(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
<装置の概要>
図1は本発明の一実施形態に係るカード販売装置Aの斜視図である。まず、カード販売装置Aの概要について説明し、その後、その構造の詳細について説明する。カード販売装置Aは、カードの販売機能とゲーム機能とを備え、カードが購入されるとゲームを実行するゲーム機能付きのカード販売装置である。
【0010】
カード販売装置Aは、その筐体が、本体部1と、表示・展示部2と、操作盤3と、に大別される。操作盤3は水平方向に棚上に配置されており、表示・展示部2は垂直方向に延設されている。本体部1は側面視でL字型をなし、表示・展示部2と操作盤3とを支持する。
【0011】
本体部1には、正面の前面扉10が開閉可能に備え付けられており、当該前面扉10はカードCの対価である購入代金を投入するための投入部11と、カードCを取り出すためのカード取出部12と、を備える。カード取出部12からは、例えば、未印刷のロール状のシートに対してゲームの内容に応じた情報を印刷するプリンタ(印刷装置)で印刷されカード状に1枚ずつ切断されたカードC、或いは、複数のカードを積層状態で収容するストッカ部から1枚ずつ排出されたカードCを取り出すことができる。カードCには、例えば、プリンタによりその表面にゲームに登場するキャラクタ等の画像やバーコード等が印刷される。なお、プリンタは、ロール状のシートをカードとして1枚ずつ切断する切断装置を内蔵してもよく、また当該切断装置をプリンタとは別体として設けてもよい。
【0012】
表示・展示部2には、液晶表示装置等の電子画像を表示する表示部21が設けられている。表示部21の正面には透明パネルが設けられ、表示部21を保護している。表示部21は操作盤3よりも上方に位置しており、プレイヤが操作盤3上で操作を行いながら、画像表示を見易くしている。表示部21は、カードCの販売に関するガイダンスや、ゲーム用の画像を表示する。表示部21は、例えば、カードCから読み取られるゲーム用のデータに対応したキャラクタの画像を表示する。また、例えば、ゲーム機能で実行されるゲームが、種類の異なる複数のキャラクタが対戦して勝ち負けを競う対戦ゲームである場合、その対戦ゲームの画像を表示する。
【0013】
操作盤3には、その上面に、プレイヤの操作を受け付ける操作部31R、31Lが取り付けられている。本実施形態の場合、操作部31R、31Lは、それぞれ、3つのボタン型のスイッチ(操作部材)31aから構成されている。本実施形態の場合、操作部31Rは操作盤3の上面右側に、操作部31Lは操作盤3の上面左側に、それぞれ設けられており、対戦ゲームを行う場合に、一方のプレイヤからの操作を操作部31Rで、他方のプレイヤからの操作を操作部31Lで、それぞれ受付可能としている。また、操作盤3において操作部31R、31Lの取り付け位置はプレイヤが操作部を操作し易いように水平位置よりも前側(手前側、プレイヤ側)下方に僅かに傾斜している。
【0014】
また、操作盤3にはカードCを挿入するカード挿入口32aを形成するカード挿入部32が設けられている。カード挿入口32aの奥側には、後述する読取部33が設けられている。読取部33はカードCに記録されたゲーム用のデータを読み取る。プレイヤはカード挿入口32aにカードCを挿入し、カードCを奥側にスライドすることで、そのゲーム用のデータを読取部33に読み取らせることができる。読取部33は、カードCにおけるゲーム用のデータの記録方式に応じたセンサを備え、例えば、ゲーム用のデータがバーコード形式で記録されている場合、バーコードを読み取る光学センサを備えることになる。
【0015】
操作盤3にはさらに、ジョイスティック34が設けられている。ジョイスティック34はレバー34aを360度任意の方向に傾けることが可能に構成されており、レバー34aが傾けられた方向に応じて方向入力を受け付けることができる。
【0016】
次に、
図2を参照してカード販売装置Aの制御系の構成について説明する。
図2はカード販売装置Aの制御系のブロック図である。CPU41は、ROM42に記憶された各種プログラムとデータを読み出してゲーム機能とカード販売機能とを実現する。RAM43は、ワークエリアなどとして機能する。ゲーム機能としては、例えばプレイヤがゲーム中のキャラクタを操作して対戦ゲームを行ったり、当該対戦の結果に従ってキャラクタを育成したり、仲間のキャラクタを増やしたりする。カードCに印刷されるキャラクタ情報は、当該育成されて各種パラメータが更新されたキャラクタの情報や、仲間のキャラクタの情報を含む。また、キャラクタ情報はカードCに印刷されるバーコードの内容にも反映される。
【0017】
音声出力装置44は、例えば、音声回路とスピーカとを備え、CPU41からの出力命令にしたがって効果音や音声メッセージなどを出力する。コイン検知部11aは、投入部11に投入されたコインを検知するセンサを備え、正規のコインの投入を検知すると検知信号をCPU41に送出する。なお、コインは硬貨であってもよいし、硬貨と引き換えで貸与されるゲーム用コインであってもよい。プリンタ45は、ゲームが終了すると、又はゲームの進行中に、ゲームの進行状況に応じた情報(キャラクタや背景の情報を含む)及びバーコードを未印刷のロール状のシートに印刷してカードとしてカード取出部12に排出する。
【0018】
CPU41は、例えば、以下の処理を行う。まず、コイン検知部11aからコイン検知信号を受信すると、表示部21にメニュー画面を表示する。当該メニュー画面は、プレイヤにプレイするゲームを選択させたり、プレイヤが所有するカードCを読取部33読み取らせるための指示を行ったりする画面である。プレイヤは、操作部31R又は31L、或いはジョイスティック34を操作してメニュー画面に対して応答する。なお、ゲームをプレイする場合には、更に、一人でプレイするか2人でプレイするかを選択させるようにすることができる。
【0019】
画面の指示に従いプレイヤがカードCをカード挿入口32aに挿入し、読取部33がカードCを読み取ると、ゲームの進行に必要なパラメータ(例えば、キャラクタに関する体力、攻撃力、防御力等)が設定される。そして、表示部21にゲーム画像を表示し、操作部31R又は31L、ジョイスティック34に対するプレイヤの操作と、設定したパラメータとに基づいて勝敗を決定する処理等を行う。一人プレイの場合は、プレイヤ対コンピュータとなり、二人プレイの場合はプレイヤ対プレイヤとなるが、基本的な処理は同様のものとなる。
【0020】
なお、ジョイスティック34の構造は、
図3の断面図に示す通りである。ジョイスティック34は、レバー34a、台座34b及び操作検知部34cで構成されている。レバー34aは、操作盤3の面に対し、プレイヤに向かって一定角度(
図3では15度)の傾斜を有するように設置されている。これにより、初期位置においてレバー34aがプレイヤ側に傾くことになるので操作性が向上する。また、台座34bは、操作盤3の面に対し、上方に隆起した形状となっている。これにより、操作盤3上においてレバー34aを目立たせることが出来ると共に、操作検知部34cを台座34bの内部空間に収めることで本体部1内のプリンタ等との干渉を避けることができる。
【0021】
<筐体構造の詳細>
次に、カード販売装置Aの内部構造について
図1、
図4乃至
図9を参照して詳述する。
図4は、本体部1の正面に位置する前面扉10を開放した場合の内部構造を示す。
図4において、本体内には、プリンタ45が本体内を前後に移動可能な設置台51上に設置されている。プリンタ45は、カラープリンタであって印字方式はインクジェット方式、電子写真方式のいずれであってもよい。プリンタで印刷されカード状に1枚ずつ切断されたカードCは排出口45aから排出される。
【0022】
設置台51にはスライド方向に平行な側面にスライドレール51aが取り付けられており、設置台51はスライドレール51aの作用により本体内を前側と奥側との間でスライド可能となっている。スライドレール51aは、例えば、アウターレール、インナーレール、多数のボール、及び、該多数のボールを収容するボール収容部で構成される。アウターレールとインナーレールとはボールを介して接触し、インナーレールがアウターレールからスライドして引き出し可能に構成される。なお、本実施形態においては、プリンタ45を設置した設置台51自体をスライド可能に構成する例を説明したが、設置台51を設けずにプリンタ45自体をスライド可能に構成したものでもよい。あるいは、設置台51は固定的に構成する一方で、プリンタ45自体をスライド可能に構成したものでもよい。当該プリンタ45自体をスライド可能に構成する方法としては、例えば、プリンタ45の底板をプリンタ45の本体に対してスライド可能に構成する方法や、プリンタ45の底面にスライドレールを設ける方法がある。
【0023】
当該設置台51の移動を停止させ、所定位置に固定するための停止・固定機構56は、設置台51を本体内の奥側の第1の位置と、本体内の前側の第2の位置とでそれぞれ停止、固定させる。停止・固定機構56は、ストッパ56aとロック機構56bとを含み、ストッパ56aは設置台51と結合され設置台51の可動範囲を規定する。具体的に、本体内の奥側へ向かう設置台51の移動は仕切り板55がストッパ56aと当接して移動が規制される。また、本体内の前側に向かう移動は、ストッパ56aがロック機構56bと当接することにより規制される。
【0024】
ここで、
図5を参照して設置台51と停止・固定機構56の構造的関係を更に説明する。
図5(A)において、ストッパ56aが設けられる設置台51の延長部分51bには上記第1の位置と第2の位置とにそれぞれ対応する開口部51cが設けられている。ロック機構56bは逆L字型のプレートを備え、当該プレートが下方向に移動して開口部51cに挿入されることにより、設置台51を第1の位置及び第2の位置のそれぞれにおいて固定することができる。設置台51の延長部分51bは設置台の移動に伴って本体内を前後方向に移動するが、上述のように本体内の奥側ではストッパ56aが仕切り板55と当接して移動が規制される。また、本体内の前側ではストッパ56aがロック機構56bと当接してやはり移動が規制される。
図5(B)は、逆L字型プレートが開口51cに挿入されたロック状態(実線)と、開口51cから引き抜かれたアンロック状態(点線)とを示している。
【0025】
なお、プリンタ45自体をスライド可能に構成した場合、プリンタ45は底板、或いは、スライドレールに対して、少なくとも上記第1の位置と第2の位置との間の距離に応じた可動範囲を有する。そして、プリンタ45が底板等の真上に位置する場合にはプリンタ45は本体内の奥側の第1の位置に配置される一方、プリンタ45が底板等の真上から本体の手前側に引き出されれば第2の位置に配置されることとなる。
【0026】
以上の構造に基づき、前面扉10を閉じてカード販売装置Aを利用する状態ではプリンタ45を本体内の上記第1の位置に対応する位置に配置された状態とする。その一方、前面扉10を開いて、プリンタ45をメンテナンスする場合には、プリンタ45が本体の前側に引き出されて本体内の上記第2の位置に対応する位置に配置された状態となり、プリンタの記録媒体であるロール状のシートの補充や、カートリッジの交換が容易になる。
【0027】
また、カード販売装置Aの内部では、収納部52の奥側にカード販売装置Aの動作を制御するためのパソコン(
図2のCPU41、ROM42、RAM43を包含する)が配置される。当該パソコンは表示部21、操作部31R、31L、ジョイスティック34、コイン検知部11a、音声出力装置44、プリンタ45、制御基板46と接続され、これらの動作を制御する。なお、パソコンの収納部は、本体の裏側(後述する第2の空間)に設けられてもよい。
【0028】
図4に戻って、コイン収納部53は投入部11から投入されたコインを収納するボックスであって、鍵53a及び開閉用のレバー53bを備えている。また、電源部54はカード販売装置A内の各構成要素に対して電源を供給する。仕切り板55は、本体内をプリンタ45、コイン収納部53、電源部54が配置される収納部(第1の空間)と、カード販売装置Aの制御基板等が配置される収納部以外の空間(第2の空間)とを仕切っている。仕切り板55には、プリンタ45の後部と当接しないように、該プリンタ45を収容可能な大きさを有する開口55aが設けられている。カード販売装置Aは、メンテナンスのために制御基板に対し装置の裏側からアクセスすることが可能となっているが、プリンタ45を設置台51から取り除くことで、又は設置台51を前側にスライドさせることで開口55aからもアクセスが可能となるので、メンテナンス効率が向上する。
【0029】
次に、
図6を参照して、カード販売装置Aの前面扉10の裏側の構造について詳述する。
図6において、前面扉10の裏側には、カード取出部12の本体内部側構造、セパレータ57、コイン検知部11aが備えられている。カード取出部12は、プリンタ45等から排出されたカードを収容するカード収容器12aを備えており、当該カード収容器12aの底板12bに対し、プリンタ45で印刷されたカードCが投下される、カード収容器12aは例えばステンレス製であり、カードCがプレイヤによって回収されるまでカードCを保持する。斜線で示す内側扉12cは、カード収容器12a内に配置された防犯用の中扉である。また、折り返し板12dは、カード収容器12aの前面扉10と交差する辺において内側に折り返された板状の構造体であって、カード収容器12aと同一素材であってもよい。当該折り返し板12dは、コイン検知部11aに不正目的でアクセスするためにカード取出部12の表側開口から本体内部に手やワイヤーが侵入した場合に、進路を妨害することにより当該不正行為を防止することができる。
【0030】
セパレータ57は、やはりコイン検知部11aへの不正アクセスを防止するための機構であって、コイン検知部11aへの進路を妨害することにより当該不正行為を防止することができる。なお、コイン検知部11aそのものは発明の主たる特徴的要素ではないので、
図5ではその詳細な構造については省略し、簡略的にボックスとして示している。なおコイン検知部11aを通過したコインは上述のコイン収納部53に収納される。
【0031】
次に
図7を参照して、カード収容器12aとプリンタ45との配置関係について説明する。
図7(A)は、前面扉10が閉じた状態でのカード収容器12aとプリンタとの関係を示している。この状態ではプリンタ45の排出口45aの真下にカード収容器12aが位置している。従って、プリンタ45から排出されたカードCはそのまま重力で下方向に落下するとカード収容器12a内に収容されることとなる。また、
図7(A)の状態ではカード収容器12aとプリンタ45とが近接した状態となっているが、このときプリンタ45が設置されている設置台51は、本体内の奥側の第1の位置で停止した状態である。また、プリンタ45は設置台51の前側端部ぎりぎりに設置されていると仮定する。よって、前面扉10を閉じるためには設置台51を本体内の奥側の第1の位置まで移動することが必要となる。なお第1の位置では上述のロック機構56bによりロックが係ることになっているので、ロック位置である第1の位置まで設置台51を押し込み、プリンタを本体内に収納することとなる。
【0032】
次に、
図7(B)は、前面扉10が開いた状態でのカード収容器12aとプリンタとの関係を示している。この状態では前面扉10の開放に伴いカード収容器12aはプリンタ45の直近位置から離れて位置することとなり、プリンタ45の前方に空間が生まれる。これにより設置台51を前方に引き出して第2の位置まで移動させることが可能となる。
図7(B)では、第1の位置におけるプリンタ45及び設置台51の位置を点線で示すと共に、第2の位置におけるプリンタ45及び設置台51の位置を実線で示している。この状態であれば、プリンタ45のメンテナンスを容易に行える。
【0033】
次に
図8を参照して、カード収容部12におけるカードを取り出す際の状態の変化について説明する。
図8は、カード収容器12aの
図7(A)の一点鎖線における断面を、矢印方向に見た場合の断面図を概略的に示す。
図8(A)では、カード収容器12aの底板12bにはカードCが存在している。プレイヤはまだカードを回収に来ていないので内側扉12c及びカード収容部12の外側(前面扉10の表側)に位置する外側扉12eは共に閉じた状態にある。次に
図8(B)では、プレイヤが外側扉12eを本体の前側方向に開けると共に、手をカード収容器12a内に挿入し内側扉12cを本体の奥側方向に押し込むことによりカードCにアクセス可能な状態となっている。内側扉12c及び外側扉12eは、それぞれ回転軸12fにより回動可能となっている。
【0034】
次に
図9を参照して、設置台51上にプリンタ45の代わりにストッカ61を配置した場合を説明する。ストッカ61は、印刷済みの複数のカードを積層状態で収容し、1枚ずつ排出することができる。排出されたカードCはカード収容器12aへ投下される。
図9はストッカ61が2台設置された例を示しており、各ストッカ61は設置台51上での占有面積がプリンタと少なくとも同じか、より小さいことが望ましい。これにより設置台51を共通に使用することが可能となる。よって、ストッカ61にカードを補充する場合にも設置台51を第2の位置に引き出すことが可能となるので、カードの補充作業がより効率的に実施可能となる。なお、ストッカ61とプリンタ45とを併設してもよい。その場合には、プリンタ45からはゲーム実行結果に応じた情報が印刷されたカードCが排出され、ストッカ61からは印刷済みのカードCが排出されることとなるが、排出されるカード及びカードの排出元は、ゲームの進行状況や結果、及び、プレイヤの選択の少なくともいずれかに応じて切り替えることができる。