特許第6346784号(P6346784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346784
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】錠剤手撒き支援用テンプレート
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20180611BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   A61J3/00 310D
   B65B1/30 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-98738(P2014-98738)
(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公開番号】特開2015-213649(P2015-213649A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2017年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】510154420
【氏名又は名称】株式会社タカゾノテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】増田 知世
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−272461(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/035701(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を収容する複数の収容部が、横並びで6行並ぶとともに縦並びで複数列並ぶように配置され、各収容部に収容される錠剤を順次、供給して包装する装置にて、各収容部に手作業で錠剤を投入する際に、各収容部の上部に取り付けて使用される錠剤手撒き支援用テンプレートであって、
平板状に形成され、
複数の領域を有し、各領域は、マトリクス状に配置され、
各収容部の上部に取り付けられたとき、各領域は、各収容部に一致し、
各領域には、錠剤の通過を許容する錠剤通過許容部および錠剤の通過を阻止する錠剤通過阻止部のいずれか一方が形成され、
第1行および第5行では、奇数列の領域に、錠剤通過許容部が形成され、偶数列の領域に、錠剤通過阻止部が形成され、
第3行では、奇数列の領域に、錠剤通過阻止部が形成され、偶数列の領域に、錠剤通過許容部が形成され、
第2行、第4行および第6行では、全ての列の領域に、錠剤通過阻止部が形成され
取り付け方向を変えることで、分4処方の四つの服用時点のうち少なくとも二つの服用時点について錠剤を投入する際に使用でき、
しかも、前記少なくとも二つの服用時点に対応した取り付け方向を示す表示部を備える錠剤手撒き支援用テンプレート。
【請求項2】
前記複数の領域は、横並びで6行分、縦並びで偶数列分並ぶように配置され
取り付け方向を変えることで、分4処方の四つの服用時点について錠剤を投入する際に使用でき、
しかも、前記四つの服用時点に対応した取り付け方向を示す表示部を備える請求項1に記載の錠剤手撒き支援用テンプレート。
【請求項3】
各取り付け方向を示す表示部が視覚により識別可能であり、互いに異なる色彩で表示された請求項に記載の錠剤手撒き支援用テンプレート。
【請求項4】
前記錠剤通過阻止部のうち前記収容部に一致する部分の少なくとも一部が、厚さ方向に透視できるように形成された請求項1〜のいずれかに記載の錠剤手撒き支援用テンプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処方に応じた種類及び数量の錠剤を供給するための供給機構を有する装置にて使用される、錠剤手撒き支援用テンプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬剤包装装置など、分包紙や薬剤容器(バイアル瓶など)を用い、処方に応じた種類及び数量の錠剤を包装するための装置がある。この装置は、錠剤を供給するための供給機構と、供給機構から供給される錠剤を包装する包装機構とを有する。供給機構には、例えばこの装置の上面部に、錠剤を一時的に収容できる、複数行及び複数列に並ぶ複数の収容部を備えるものがある。なお、前記「行」は装置幅方向(横方向)についての複数の収容部の並びを指し、前記「列」は装置奥行き方向(縦方向)についての複数の収容部の並びを指す。収容部には、手作業で錠剤が投入される。収容部に投入された錠剤は、収容部ごとに前記包装機構に供給されて包装される。なお、前記「複数行」については、多くの装置で6行が採用されている。一方、「複数列」については、装置により様々である。
【0003】
収容部は、処方頻度の少ない錠剤など、装置内で自動的に供給されない錠剤につき、薬剤師などの有資格作業者が処方に応じて手撒きする際に用いられる。手撒き作業では、例えば、1日あたりの服用回数が3回(分3処方)であるか、または4回(分4処方)であるかに応じて、各収容部に対し、錠剤が手作業で投入される。
【0004】
分3処方では、収容部が6行並ぶ装置の場合、1列分の収容部に二日分の錠剤を収容できるため(6÷3=2)、同一の服用時点に対応した複数の収容部が横一行に並ぶので、薬剤師などは、例えば朝に服用する錠剤を順次横方向に錠剤を供給していけばよいため、手撒き作業を楽に行うことができる。しかし分4処方では、収容部が6行並ぶ装置の場合、一日分に対応する収容部が隣の列にまたがるため(6÷4=1余り2)、分3処方に比べて手撒き作業を行いにくく、錠剤投入につき間違い発生の可能性があるし、作業効率も低下する。
【0005】
ここで、手撒き作業を効率よく行うため、特許文献1では、各収容部の上方に重ねて配置されるテンプレートとしての「支援プレート」が提案されている。この「支援プレート」は収容部が4行並ぶ装置に対して用いられるもので、同一の服用時点に応じた貫通穴を備えた板状体であり、貫通穴を通して各収容部に錠剤を投入することで、手撒き作業を効率よく行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−272461号公報(図21図22F
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された支援プレートは、分4処方では4枚の支援プレートが必要であった。このように支援プレートが複数枚必要であるとかさばるという問題がある。更に、大部分の錠剤は自動で包装され、手撒き作業は自動包装の対象外の錠剤についてのみ行われるため、支援プレートは時々しか用いられない。そして、支援プレートは装置とは物理的に結合されていない。このため、支援プレートを紛失してしまったり、手撒き作業の際に必要な支援プレートを即座に取り出せなかったりするなど、管理上の問題を引き起こす可能性がある。
【0008】
そこで本発明は、管理が容易な錠剤手撒き支援用テンプレートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、錠剤を収容する複数の収容部が、横並びで6行並ぶとともに縦並びで複数列並ぶように配置され、各収容部に収容される錠剤を順次、供給して包装する装置にて、各収容部に手作業で錠剤を投入する際に、各収容部の上部に取り付けて使用される錠剤手撒き支援用テンプレートであって、平板状に形成され、複数の領域を有し、各領域は、マトリクス状に配置され、各収容部の上部に取り付けられたとき、各領域は、各収容部に一致し、各領域には、錠剤の通過を許容する錠剤通過許容部および錠剤の通過を阻止する錠剤通過阻止部のいずれか一方が形成され、第1行および第5行では、奇数列の領域に、錠剤通過許容部が形成され、偶数列の領域に、錠剤通過阻止部が形成され、第3行では、奇数列の領域に、錠剤通過阻止部が形成され、偶数列の領域に、錠剤通過許容部が形成され、第2行、第4行および第6行では、全ての列の領域に、錠剤通過阻止部が形成され、取り付け方向を変えることで、分4処方の四つの服用時点のうち少なくとも二つの服用時点について錠剤を投入する際に使用でき、しかも、前記少なくとも二つの服用時点に対応した取り付け方向を示す表示部を備える錠剤手撒き支援用テンプレートである。
【0010】
この構成によると、第1行および第5行では、奇数列の領域に、錠剤通過許容部が形成され、偶数列の領域に、錠剤通過阻止部が形成され、第3行では、奇数列の領域に、錠剤通過阻止部が形成され、偶数列の領域に、錠剤通過許容部が形成され、第2行、第4行および第6行では、全ての列の領域に、錠剤通過阻止部が形成される。このため、2枚使用で、例えば1枚目の表と裏とで分4処方のうち二つの服用時点に対応でき、2枚目の表と裏とで分4処方のうち他の二つの服用時点に対応できる。よって、錠剤手撒き支援用テンプレートの必要枚数を減らすことができる。また、薬剤師などが表示部を手掛かりに、各収容部上における錠剤手撒き支援用テンプレートの配置方向を迅速かつ的確に把握できる。
【0011】
なお、前記「錠剤」は狭義の錠剤に限定されず、例えばカプセル剤なども含み、粉状、顆粒状、液状、気体状の形態を除く薬剤全般(ただし、カプセル内に封入されたものを除く)であって、薬剤師などが所定の分量(例えば一包分の分量)を手に取って分けることのできる形態を有しているものを広く含む。
【0012】
また、前記複数の領域は、横並びで6行分、縦並びで偶数列分並ぶように配置され、取り付け方向を変えることで、分4処方の四つの服用時点について錠剤を投入する際に使用でき、しかも、前記四つの服用時点に対応した取り付け方向を示す表示部を備えるものとできる。この構成によると、1枚使用で、例えば表かつ縦方向一方側、表かつ縦方向他方側、裏かつ縦方向一方側、裏かつ縦方向他方側で、分4処方の四つの服用時点に対応できる。よって、分4処方に対応する錠剤手撒き支援用テンプレートの必要枚数を1枚だけにできる。
【0014】
また、各取り付け方向を示す表示部が視覚により識別可能であり、互いに異なる色彩で表示されたものとできる。この構成によると、異なる色彩の表示部により薬剤師などが一目で各収容部上における錠剤手撒き支援用テンプレートの配置方向を把握できる。
【0015】
また、前記錠剤通過阻止部のうち前記収容部に一致する部分の少なくとも一部が、厚さ方向に透視できるように形成されたものとできる。この構成によると、薬剤師などが既に手撒きした錠剤を錠剤通過阻止部越しに確認できるため、手撒き忘れの確認を、各収容部上から錠剤手撒き支援用テンプレートを取り外すことなく行うことができる。よって、手撒き忘れを容易に抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、錠剤手撒き支援用テンプレートの必要枚数を減らすことできる。このため、管理が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る錠剤手撒き支援用テンプレートが取り付けられる装置の一例を示す斜視図である。
図2】同装置における収容部を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る錠剤手撒き支援用テンプレートを示し、(A)は表面図、(B)は裏面図である。
図4】同錠剤手撒き支援用テンプレートの使用要領(手撒き手順)を示す表面視または裏面視の説明図であり、(A)は分4処方のうち例えば朝服用分の手撒き手順を示し、(B)は分4処方のうち例えば昼服用分の手撒き手順を示す。
図5】同錠剤手撒き支援用テンプレートの使用要領(手撒き手順)を示す表面視または裏面視の説明図であり、(A)は分4処方のうち例えば夕服用分の手撒き手順を示し、(B)は分4処方のうち例えば就寝前服用分の手撒き手順を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。本実施形態の手撒き支援用テンプレート(以下、「テンプレート」と表記する)1は、例えば図1に示す薬剤包装装置90に対して用いられる。薬剤包装装置90は、錠剤を供給する供給機構と、供給機構から供給される錠剤を包装する包装機構とを備え、処方に応じた種類及び数量の錠剤を1回あたりの服用量ごとに包装するために用いられる。供給機構は、錠剤を一時的に収容できる複数の収容部91…91を有し、各収容部91は略水平な平面に沿ってマトリクス状に配置される。各収容部91の上部には開口が形成され、各収容部91には、この開口を介して上方から錠剤が手作業で投入される。各収容部91に収容された錠剤は順次、包装機構に供給される。供給機構から供給される錠剤は、包装機構によって順次包装される。
【0019】
各収容部91は、前記平面上の第1方向(装置幅方向)に6行が並び、前記平面上で第1方向に交差する第2方向(装置奥行き方向)に8列が並ぶ。このようにして、48個の収容部91…91が配設される。本実施形態の各収容部91は、図1及び図2に示すように、図示装置奥側から装置手前側に向けて第1行、第2行…第5行、第6行のように行番号を設定し、図示装置左側から右側に向けて第1列、第2列…第7列、第8列のように列番号を設定している。なお、行番号は、図示装置手前側から装置奥側に向けて第1行、第2行…第5行、第6行のように行番号を設定しても良いし、図示装置右側から左側に向けて第1列、第2列…第7列、第8列のように列番号を設定しても良い。
【0020】
各収容部91には、予め手作業で、処方における1回あたりの服用量の錠剤が投入される。まず、第1列の各収容部91に収容された錠剤について、第1行の各収容部91に収容された錠剤から順に包装機構に供給される(第1列1行目、同2行目…)。その後、第2列以降の各収容部91に収容された錠剤についても同様に、第1行の各収容部91に収容された錠剤から順に、包装機構に供給される。
【0021】
各収容部91には、第1列第1行を始点として第1列第2行…第6行、第2列第1行…第6行(第3列以降も同じ)の順番で、各日における服用時点に服用すべき錠剤が服用順に並ぶように、錠剤が投入される。このため、処方における服用の順番で包装機構に錠剤を供給することができる。
【0022】
例えば、薬剤師などが分4処方に応じて錠剤を手作業で各収容部91に投入する際、各収容部91には、図2上にて矢印で示したように、第1列については、第1行〜第6行の各収容部91に、1日目の朝服用分、同昼服用分、同夕服用分、同就寝前服用分、2日目の朝服用分、同昼服用分の錠剤がそれぞれ投入される。第2列については、第1行〜第6行の各収容部91に、2日目の夕服用分、同就寝前服用分、3日目の朝服用分、同昼服用分、同夕服用分、同就寝前服用分の錠剤がそれぞれ投入される。同じ要領で第3列以降についても、第1行〜第6行の各収容部91に、錠剤がそれぞれ投入される。この投入された錠剤は、薬剤包装装置90内部の図示しない包装機構に供給されて、例えば1回あたりの服用量ごとに包装される。
【0023】
本実施形態のテンプレート1は、前記供給機構を備える装置(薬剤包装装置90など)において、分4処方用の錠剤を各収容部91に手作業で投入する際に用いられる。このテンプレート1は各収容部91の上方に重ねるように取り付けて使用される。図3(A)(B)に示すように、このテンプレート1は平板状体であって、厚み方向から見て略長方形状である。また、テンプレート1は端縁が短辺11(左辺11a、右辺11b)と長辺12(上辺12a、下辺12b)とされている。テンプレート1は、図3(A)に示すように複数の領域10…10を有し、各領域10はマトリクス状に配置される。テンプレート1の各領域10は、各収容部91の上方に重ねるように取り付けられたとき、第1方向に6行、第2方向に8列が並び、各領域10は各収容部91に一致する。各領域10には、錠剤通過許容部である窓部2、または、錠剤通過阻止部である閉塞部3が形成される。各窓部2は、表面視及び裏面視の形状が収容部91の上端形状に略一致した形状とされている。窓部2は厚さ方向に貫通し、錠剤の通過を許容する。また、閉塞部3は、窓部2の形成されない領域10に形成され(閉塞部3は窓部2の形成されなかった残りの領域10であるとも言える)、例えば図3(A)に二点鎖線で示す範囲である。各収容部91にテンプレート1が取り付けられた際に、この閉塞部3が各収容部91を覆うことで、当該各収容部91の上端開口を閉じることができ、錠剤の通過を阻止する。
【0024】
このテンプレート1は分4処方専用である。テンプレート1の表面側形状の形態を図3(A)に示し、裏面側形状を図3(B)に示す。なお、図3(B)に示す状態は、図3(A)に示す状態の図示上部が図3(B)に示す状態の図示下部になるように裏返したものである。
【0025】
図3(A)に示す状態にて、窓部2…2と閉塞部3…3とは、各収容部91に対応するように、第1方向に(横並びで)6行分、第2方向に(縦並びで)8列分の領域10…10に形成されている。各収容部91と同様の行番号及び列番号を付すならば、第1行及び第5行では、奇数列(第1列、第3列、第5列、第7列)の領域10…10に窓部2…2が形成され、他の領域10…10に閉塞部3…3が形成されている。第3行では、偶数列(第2列、第4列、第6列、第8列)の領域10…10に前記窓部2…2が形成され、他の領域10…10に閉塞部3…3が形成されている。第2行、第4行、第6行では、窓部2は形成されておらず、全列の領域10…10に閉塞部3…3が形成されている。
【0026】
本実施形態のテンプレート1は、表裏それぞれにおいて、上辺12aと下辺12bとが入れ替わるように平面方向に回転させる(上下ひっくり返す)ことにより、各収容部91に対して4パターンの向きで使用できる。このため、各パターンを分4処方の各服用時点(朝、昼、夕、就寝前)に対応させることができる。よって、テンプレート1の使用枚数が1枚であっても、例えば表かつ縦方向一方側、表かつ縦方向他方側、裏かつ縦方向一方側、裏かつ縦方向他方側で、分4処方の四種類の服用時点に対応できるので、複数枚数が必要な場合と比べ、管理負担を軽減できる。
【0027】
このように1枚を4パターンの向きで使用するため、薬剤師などが向きを容易に識別できるように、このテンプレート1には、各収容部91の上方に取り付けて使用する際の取り付け方向を示す表示部4を備える。この表示部4として、表面には、図3(A)に示す左上隅に第1の表示4aとして数字「1」が表示され、右下隅に第2の表示4bとして数字「4」が表示されている。そして裏面には、図3(B)に示す左上隅に第3の表示4cとして数字「2」が表示され、右下隅に第4の表示4dとして数字「3」が表示されている。分4処方の各服用時点への対応は、各表示(数字)が左上に位置するように各収容部91の上方に取り付けた場合に、第1の表示4a(数字「1」)が朝に、第3の表示4c(数字「2」)が昼に、第4の表示4d(数字「3」)が夕に、第2の表示4b(数字「4」)が就寝前に対応する。このように、テンプレート1が表示部4を備えるため、薬剤師などが表示部4(4a〜4d)を手掛かりに、各収容部91上におけるテンプレート1の配置方向を迅速かつ的確に把握できる。
【0028】
更に、表面に表示される第1の表示4a(数字「1」)と第2の表示4b(数字「4」)とは異なる色彩とされ、裏面に表示される第3の表示4c(数字「2」)と第4の表示4d(数字「3」)とは異なる色彩とされている。このため、異なる色彩の表示部4,4により薬剤師などが一目で各収容部91上におけるテンプレート1の配置方向を把握できるので、テンプレート1の配置方向をより迅速かつ的確に把握できる。
【0029】
次に、テンプレート1の使用手順の一例について説明する。まず、分4処方で朝服用分の錠剤を手撒きするには、図3(A)及び図4(A)に示すように第1の表示4a(数字「1」)が左上にくるようにテンプレート1を各収容部91の上方に取り付ける。そして、図4(A)の矢印のように、2a、2b、2c、…2j、2k、2lの順で錠剤を投入する。なお、処方日数が12日未満の場合は、処方日数に対応する窓部2まで錠剤の投入を行う(他の服用時点も同様)。
【0030】
朝服用分の錠剤投入が終わったら昼服用分の錠剤を手撒きする。テンプレート1を裏返し、図3(B)及び図4(B)に示すように第3の表示4c(数字「2」)が左上にくるようにする。そして、図4(B)の矢印のように、2b、2a、2c、…2k、2j、2lの順で錠剤を供給する。
【0031】
昼服用分の錠剤投入が終わったら夕服用分の錠剤を手撒きする。テンプレート1を裏返さず図上の上下を逆さまにし、図5(A)に示すように第4の表示4d(数字「3」)が左上にくるようにする。そして、図5(A)の矢印のように、2l、2j、2k、…2c、2a、2bの順で錠剤を供給する。
【0032】
夕服用分の錠剤投入が終わったら就寝前服用分の錠剤を手撒きする。テンプレート1を裏返し、図5(B)に示すように第2の表示4b(数字「4」)が左上にくるようにする。そして、図5(B)の矢印のように、2l、2k、2j、…2c、2b、2aの順で錠剤を供給する。これら一連の手順により、枡部91に分4処方に応じた錠剤が供給される。
【0033】
各収容部91への錠剤の投入が終了した後、処方に応じて更に異なる錠剤を投入する必要があれば、前述の手順と同様にテンプレート1を用いて、各収容部91に対して錠剤を投入する。なお、複数種類の錠剤を同時に各収容部91に投入することもできる。
【0034】
ここで、閉塞部3は不透明に形成することもできるし、透明または半透明に形成することもできる。特に、閉塞部3のうち収容部92に一致する部分の少なくとも一部が透明または半透明であって、厚さ方向に透視できるように形成された場合には、薬剤師などが既に手撒きした錠剤を閉塞部3越しに確認できるため、手撒き忘れの確認を、各収容部91上からテンプレート1をいちいち取り外すことなく行うことができる。よって、手撒き忘れを容易に抑制できる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0036】
例えば、各収容部91に対する手撒き開始位置は、前記実施形態では左上隅の収容部91であったが、この位置は薬剤包装装置90などの装置により異なる。よって、どのように列番号と行番号を設定するかに応じて、左下隅、右上隅、右下隅のいずれかの収容部91が手撒き開始位置となることがある。
【0037】
また、前記実施形態では、複数の収容部91…91の列数とテンプレート1上の領域10…10の列数が共に8列とされていたが、これに限定されず、一方の列数を他方の列数よりも大きくすることもできる。
【0038】
また、前記実施形態では、テンプレート1上で窓部2と閉塞部3とは偶数列である8列分の領域10…10に位置していたが、これに限られず、奇数列(例えば11列)分の領域10…10に位置させることもできる。ただし、窓部2と閉塞部3とを奇数列分の領域10…10に位置させた場合、前記実施形態のように、裏返さずに上下を逆さまにして使用することはできないため、窓部2と閉塞部3との形成位置が異なる2枚のテンプレート1が必要となる。しかし、2枚使用する場合であっても、例えば1枚目の表と裏とで分4処方のうち二種類の服用時点に対応でき、2枚目の表と裏とで分4処方のうち他の二種類の服用時点に対応できるので、テンプレート1の必要枚数を減らすことができるというメリットがある。
【0039】
また、表示部4については、前記実施形態では数字を用いたがこれに限定されない。例えば、記号や文字(例えば「朝」「昼」「夕」「寝」など)を用いることができる。また、テンプレート1の表面に色彩または模様を塗り分けた塗装がなされることにより、塗装された部分を表示部4として用いることができる。更に、テンプレート1が樹脂製の場合、樹脂自体に顔料などが加えられたことで着色された部分を表示部4とできる。また、前記実施形態のように表示部4として数字を用い、数字自体は単色あるいは無色で表示した上で、数字の周囲を数字自体と異なる色彩で着色することもできる。
【0040】
そして表示部4については、視覚のみにより識別可能な表示に限られず、触覚により識別可能な表示とすることもできる。例えばテンプレート1の表面または裏面に形成された凹凸、端縁に形成された切欠、貫通孔が例示でき、その他形態の表示部4ともできる。
【0041】
また、各収容部91、または、テンプレート1と各収容部91の両方に、テンプレート1を各収容部91に取り付ける際の位置合わせを容易にするマークなどを表示することもできる。
【0042】
また、前記実施形態では、分4処方における全ての服用時点にテンプレート1を対応させ、錠剤を各収容部91に投入する場合のテンプレート1の使用手順を説明したが、処方によって、特定の服用時点を除いて錠剤を収容部に投入する必要がある場合は、特定の服用時点以外にテンプレートを対応させ、錠剤を各収容部91に投入することもできる。
【符号の説明】
【0043】
1 錠剤手撒き支援用テンプレート
10 領域
2 錠剤通過許容部、窓部
3 錠剤通過阻止部、閉塞部
4 表示部
90 装置、薬剤包装装置
91 収容部
図1
図2
図3
図4
図5