(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フライホイールと、当該フライホイールに結合された誘導電動機とを備えた複数台のフライホイール装置を用いて系統連系点における電力変動を補償する電力平準化装置であって、
直流側が前記系統連系点に接続された連系インバータとの直流リンク部に接続され、複数台の前記フライホイール装置に対応してそれぞれ設けられた複数台の可変電圧可変周波数電源と、
充放電指令演算ブロックからの充放電指令と複数台の前記フライホイール装置の回転数とに基づいて充放電を行う1台もしくは複数台の前記フライホイール装置を選択し、選択した前記フライホイール装置に対するそれぞれの個別電力指令を演算するFW群制御部と、
該FW群制御部によって演算された前記個別電力指令に基づいて個別トルク指令を演算するトルク指令演算部とを具備し、
前記可変電圧可変周波数電源は、前記トルク指令演算部によって演算された前記個別トルク指令を用いて、前記FW群制御部によって選択された前記フライホイール装置の前記誘導電動機をベクトル制御し、
前記FW群制御部は、前記充放電指令を、前記フライホイール装置に充放電を行う際に最大効率となる前記個別電力指令で除算して、小数点以下を1繰り上げた値を、充放電を行う前記フライホイール装置の台数として算出し、前記充放電指令が充電指令の場合には、複数台の前記フライホイール装置の中から回転数が低い順番に充電を行う前記フライホイール装置を選択し、選択した前記フライホイール装置の中で回転数が低い順番に最大効率となる前記個別電力指令を割り振り、残りを選択した前記フライホイール装置の中で回転数が最も高いものに割り振ると共に、前記充放電指令が放電指令の場合には、複数台の前記フライホイール装置の中から回転数が高い順番に放電を行う前記フライホイール装置を選択し、選択した前記フライホイール装置の中で回転数が高い順番に最大効率となる個別電力指令を割り振り、残りを選択した前記フライホイール装置の中で回転数が最も低いものに割り振ることを特徴とする電力平準化装置。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電や風力発電に代表される再生可能エネルギーを電力系統に連系する事例が増えている。しかし、再生可能エネルギーは、その発電量が日射量や風況等の自然要因によって変動するため、再生可能エネルギーの電力系統への連系量が増えると、電力の安定供給に支障を与え、系統電圧や周波数が変動し、最悪の場合、大規模停電が発生する恐れがある。そのため、再生可能エネルギーの電力変動補償を行うため、大容量蓄電デバイスによる電力平準化装置を設置して、電力平準化が図られている。大容量蓄電デバイスとしてし、鉛バッテリやLi−ion電池といった化学的な蓄電デバイスを用いるケースが多いが、離島等のメンテナンスを容易に行うことができない地域では、ケミカルレスな蓄電デバイスであるフライホイール装置(以下、FW装置と略す)を用いるケースが増えつつある。
【0003】
図5を参照すると、FW装置a1を用いた従来の電力平準化装置2は、商用系統電源3に接続された系統連系点の有効電力(P)及び無効電力(Q)を制御する連系インバータ4に接続されている。連系インバータ4は、充放電指令演算ブロック5からの有効電力指令(P指令)に基づいて系統連系点の有効電力(P)を制御すると共に、充放電指令演算ブロック5からの無効電力指令(Q指令)に基づいて系統連系点の無効電力(Q)を制御する。充放電指令演算ブロック5は、連系点電圧検出器6によって検出した系統連系点の電圧Vと、連系インバータ電流検出器7によって検出した連系インバータ4の電流I
invと、負荷電流検出器8によって検出した負荷9の負荷電流I
Lと、直流電圧検出器10によって検出した連系インバータ4と電力平準化装置2とを接続する直流リンク部の電圧V
dcとからP指令とQ指令とを演算する。電力平準化装置2は、連系インバータ4と接続された可変電圧可変周波数電源(VVVF)b1と、直流電圧一定制御ブロック30とで構成されている。直流電圧一定制御ブロック30は、直流電圧検出器10によって検出した連系インバータ4と電力平準化装置2とを接続する直流リンク部の電圧V
dcから周波数指令f
FWを演算し、VVVFb1は、直流電圧一定制御ブロック30で演算された周波数指令f
FWに基づいて、FW装置a1(フライホイールを駆動する誘導電動機)をV/f制御し、連系インバータ4とVVVFb1とを接続する直流リンク部の電圧V
dcが一定になるように制御していた(例えば、特許文献1参照)。そして、1台のFW装置a1で電力補償できない場合は、
図6に示すように、複数台のVVVFb1〜VVVFbnとFW装置a1〜FW装置anとを並列接続して補償容量を増加させている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、各図において、同一の構成には、同一の符号を付して一部説明を省略している。
【0011】
本実施の形態の電力平準化装置2aは、蓄電デバイスであるn台のFW装置a1〜anに電力を充放電することで電力を平準化する装置であり、
図1に示すように、FW装置a1〜an毎に設けられた可変電圧可変周波数電源(VVVF)c1〜cnと、トルク指令演算ブロック40とで構成されている。なお、FW装置a1〜anは、フライホイールと、フライホイールに結合された誘導電動機とを備え、充電時には誘導電動機によってフライホイールを回転させて回転エネルギーを蓄え、放電時には誘導電動機を発電機として動作させてフライホイールの回転エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する。
【0012】
VVVFc1〜cnは、交流側がFW装置a1〜anの誘導電動機にそれぞれ接続されていると共に、直流側が連系インバータ4aとの直流リンク部に接続されている。そして、VVVFc1〜cnは、FW装置a1〜anの誘導電動機にそれぞれ可変電圧可変周波数の交流を供給してフライホイールの回転数を制御することにより、連系インバータ4aとの直流リンク部とFW装置a1〜anとの間で電気エネルギーの授受を行う。
【0013】
連系インバータ4aは、交流側が商用系統電源3に接続された系統連系点に接続されていると共に、直流側がVVVFc1〜cnとの直流リンク部に接続されている。連系インバータ4aは、充放電指令演算ブロック5aからの無効電力指令(Q指令)に基づいて系統連系点での無効電力(Q)を制御するための無効電流を制御すると共に、充放電指令演算ブロック5aからの直流電圧指令(V
dc指令)に基づいて連系インバータ4aと電力平準化装置2aとを接続する直流リンク部の電圧V
dcを一定にするための有効電流を制御する。
【0014】
充放電指令演算ブロック5aは、連系点電圧検出器6によって検出した系統連系点の電圧Vと、連系インバータ電流検出器7によって検出した連系インバータ4の電流I
invと、負荷電流検出器8によって検出した負荷9の負荷電流I
Lと、直流電圧検出器10によって検出した連系インバータ4と電力平準化装置2aとを接続する直流リンク部の電圧V
dcとから有効電力指令(P指令)と無効電力指令(Q指令)と直流電圧指令(V
dc指令)とを演算する。そして、充放電指令演算ブロック5aは、演算したQ指令及びV
dc指令を連系インバータ4aに出力すると共に、充放電指令である演算したP指令を電力平準化装置2aのトルク指令演算ブロック40に出力する。なお、P指令、Q指令及びV
dc指令の出力は、例えば数秒単位等の所定の間隔で行われる。
【0015】
トルク指令演算ブロック40内には、FW群制御部50が設けられている。
FW群制御部50は、充電モードと、放電モードと、待機モードとの3つの制御モードがある。各動作モードの切り替え判定はP指令の符号を用いるので、充電指令の場合は+、放電指令の場合は―とそれぞれ定義する。充電モードは、余剰電力が発生してP指令の符号が+で充電指令である場合に行われる動作モードであり、FW群制御部50は、FW装置a1〜anの中から充電を行う1台もしくは複数台のFW装置ai(iは1〜nの整数であり、以下、i=1〜nの整数として説明する)を選択し、選択したFW装置aiに対する個別の充電指令である個別電力指令P
FWaiを演算する。放電モードは、不足電力が発生してP指令の符号が―で放電指令である場合に行われる動作モードであり、FW群制御部50は、FW装置a1〜anの中から放電を行う1台もしくは複数台のFW装置ai(iは1〜nの整数であり、以下、i=1〜nの整数として説明する)を選択し、選択したFW装置aiに対する個別の放電指令である個別電力指令P
FWaiを演算する。待機モードは、余剰電力も不足電力もなくP指令が0である場合に行われる動作モードであり、FW群制御部50は、充放電指令である個別電力指令P
FWaiを演算することなく待機する。なお、待機モードを判別するとき、P指令が0のみだと待機モードへの遷移が行われない場合があるので、P指令が0を中心とする所定範囲で待機モードを判別するようにしても良い。また、待機モードや、充電モード及び放電モードで選択されなかったFW装置aiにおいては、誘導電動機の励磁もオフして完全にフリーランさせる方が損失は少なくなるが、再起動に時間を要し、高速の電力補償が行えない場合があるので、励磁は必要最低限レベルで継続させると良い。
【0016】
FW群制御部50は、
図2を参照すると、SOCリミッタ51と、個別電力指令演算部52と、FW損失データ記憶部52とを備えている。なお、FW回転数の代わりにFW装置a1〜anの出力周波数を入力するようにしても良い。
【0017】
SOCリミッタ51は、FW装置a1〜an全体の充電状態に応じて充放電指令演算ブロック5aによって演算されたP指令を絞るSOCリミッタ処理を行う。SOCリミッタ51は、FW装置a1〜anが満充電や放電終止状態になって、電力の充放電が不可とならないように、FW装置a1〜an全体の蓄積エネルギーを所定の基準範囲(例えば、50〜60%)に保つためにSOCリミッタ処理を行う。SOCリミッタ51は、FW装置a1〜anのFW回転数に基づいて全体の蓄積エネルギーを把握し、全体の蓄積エネルギーが予め設定された上限値(例えば、蓄積エネルギーの基準範囲の上限60%よりも若干低い58%)を超える場合にはP指令(充電指令)を絞り、全体の蓄積エネルギーが予め設定された下限値(例えば、蓄積エネルギーの基準範囲の下限50%よりも若干高い52%)を下回る場合にはP指令(放電指令)を絞る。なお、SOCリミッタ51によるリミッタ処理後の有効電力指令をP’指令とする。
【0018】
FW損失データ記憶部52は、ROMやフラッシュメモリ等の記憶手段であり、FW装置a1〜anに充放電を行う際の電力の損失量を示すFW損失データが記憶されている。FW損失データとしては、例えば、
図4(a)に示すように、FW装置a1〜anの回転速度に応じた損失特性を示す機械損失特性データを用いることができる。
図4(a)に示す機械損失特性データによると回転速度が速くなるほど損失の増減率が高くなることがわかる。また、基本的に複数台あるFW装置a1〜anは同じ仕様で作られているので、FW損失データは1種類のみで良いが、異なる特性のFW で複数台使用する場合は、それぞれのFW損失データを記憶させておくことも可能である。さらに、FW損失データはテーブルとして備えても良いし、近似式に変換して記憶しておいて逐一計算する方法であっても良い。
【0019】
個別電力指令演算部53は、SOCリミッタ51から出力されたP’指令と、FW装置a1〜anのFW回転数とに基づいて、充放電を行う1台もしくは複数台のFW装置aiを選択し、選択したFW装置aiに対する個別電力指令P
FWaiをそれぞれ演算する。
【0020】
まず、個別電力指令演算部53によるFW装置a1〜anの選択動作について説明する。
個別電力指令演算部53は、次式に示すように、SOCリミッタ51から出力されたP’指令の絶対値を、1台のFW装置aiが充放電可能な最大電力P
FWで除算することで、選択する台数N
cを算出する。但し、台数N
cは整数であるため、小数点以下の値が生じた場合は1繰り上がった値になる。
【0022】
次に、個別電力指令演算部53は、FW損失データ記憶部52にFW損失データとして機械損失特性データが記憶されている場合には、機械損失特性データに基づいて機械損失が少なくなるように、FW装置a1〜anの中から〔数1〕で算出した台数N
cのFW装置aiを選択する。FW損失データ記憶部52に
図4(a)に示す機械損失特性データが記憶されている場合、充電モードでは、FW装置a1〜anの中からFW回転数が低い順番に〔数1〕で算出した台数N
cのFW装置aiを選択し、放電モードでは、FW装置a1〜anの中からFW回転数が高い順番に〔数1〕で算出した台数N
cを選択する。これにより、FW装置a1〜anの機械損失を少なくすることができる。
【0023】
次に、個別電力指令演算部53は、次式に示すように、SOCリミッタ51から出力されたP’指令を、〔数1〕で算出した台数N
cで除算することで、選択したFW装置aiのそれぞれに対する個別電力指令P
FWaiを算出する。
【0025】
なお、本実施の形態では、選択したFW装置aiに対して個別電力指令P
FWaiを均等に割り振るように構成したが、充電指令の場合には、選択したFW装置aiの中でFW回転数が低い順番に最大電力P
FWを個別電力指令P
FWaiとして割り振り、残りを選択したFW装置aiの中でFW回転数が最も高いものに割り振るようにしても良い。また、放電指令の場合には、選択したFW装置aiの中でFW回転数が高い順番に最大電力P
FWを個別電力指令P
FWaiとして割り振り、残りを選択したFW装置aiの中でFW回転数が最も低いものに割り振るようにしても良い。
【0026】
そして、トルク指令演算ブロック40は、個別電力指令演算部53によって演算された個別電力指令P
FWaiから個別トルク指令T
FWaiを演算し、VVVFc1〜cnは、トルク指令演算ブロック40で演算された個別トルク指令T
FWaiに基づいて、FW装置a1〜an(フライホイールを駆動する誘導電動機)をベクトル制御する。
【0027】
次に、トルク指令演算ブロック40における個別トルク指令の演算方法について詳細に説明する。
前提として、制御を行うのはFW装置aiの機械出力(単位はW)であり、FW装置ai加減速時のすべりは考慮せず、同期周波数で計算された回転数をFW装置aiの回転数とし、粘性摩擦、外乱トルクはないものとする。この条件下で、加減速時のトルクをT
m、機械出力をP
m、回転角速度をω
mとすると、機械系の方程式から以下の関係式が導かれる。
【0029】
[数3]によると、個別電力指令P
FWaiを機械出力P
mとし、FW装置aiの回転角速度ω
mをFW回転数を用いて演算することで、トルク指令T
mを個別トルク指令T
FWaiとして演算することが可能である。従って、充放電指令演算ブロック5aによって演算されたP指令をトルク指令演算ブロック40に入力すると共に、FW装置aiの回転角速度ω
mをFW回転数を用いて演算することで、トルク指令演算ブロック40では、[数3]を用いて個別トルク指令T
FWaiを逐一演算する。
【0030】
そして、VVVFciは、トルク指令演算ブロック40で演算された個別トルク指令T
FWaiに従ってFW装置aiの誘導電動機をベクトル制御する。なお、個別トルク指令T
FWaiに従った誘導電動機のベクトル制御は、本出願人が先に出願した特願2010−73248号によって提案している。具体的には、トルク指令T
mにトルク係数の逆数を乗算することでq軸電流指令を求めることができる。そして、磁束指令は、トルク指令T
mをLPF処理し、定格トルクと定格電流を用いた演算を行った後,相互インダクタンスと回転座標換算のための係数を乗じて求めることができる。これにより、加減速時のFW装置1の充放電電力を指令値通りに高性能且つ低損失に制御することができる。
【0031】
トルク指令演算ブロック40は、
図3を参照すると、除算器41と、トルク制限ブロック42とを備え、基本的に[数3]の演算を行う。除算器41の演算結果が[数3]の演算結果となる。しかし、FW装置aiの回転数が低い場合、指令通りの電力を充放電すると、FW装置aiを駆動する誘導電動機に過大なトルクが発生し、誘導電動機が焼き切れる可能性が有る。従って、トルク制限ブロック42を設け、誘導電動機の個別トルク指令T
FWaiを制限している。
【0032】
この構成により、FW装置aiの充電時は、トルク指令演算ブロック40に入力するP指令の符号を+で与えることで、演算される個別トルク指令T
FWaiの符号も+となり、FW装置aiは加速し、回転エネルギーを蓄えられる。一方、FW装置aiの放電時は、トルク指令演算ブロック40に入力するP指令の符号を―で与えることで、個別トルク指令T
FWaiの符号も―となり、FW装置aiは減速し、回転エネルギーが電気エネルギーに変換されて出力される。但し、FW装置aiの回転方向が正転の時の関係であり、FW装置aiが逆転で回転している場合、P指令の符号と個別トルク指令T
FWaiの符号は反転の関係となる。
【0033】
また、FW装置aiの負荷率(充放電電力/FW装置aiの定格容量)に応じた効率を示すモータ効率特性データ(
図4(b)参照)をFW損失データとしてFW損失データ記憶部52に記憶させておくようにしても良い。
図4(b)に示すモータ効率特性データによると、負荷率が略80%で最大効率となり、最大効率となる個別電力指令P
FWaiを導くことができる。従って、SOCリミッタ51から出力されたP’指令の絶対値を、最大効率となる個別電力指令P
FWaiで除算することで、選択する台数N
cを算出するようにしても良い。そして、充電指令の場合には、選択したFW装置aiの中でFW回転数が低い順番に最大効率となる個別電力指令P
FWaiを割り振り、残りを選択したFW装置aiの中でFW回転数が最も高いものに割り振るようにしても良い。また、放電指令の場合には、選択したFW装置aiの中でFW回転数が高い順番に最大効率となる個別電力指令P
FWaiを割り振り、残りを選択したFW装置aiの中でFW回転数が最も低いものに割り振るようにしても良い。
【0034】
また、VVVFciの負荷率(充放電電力/VVVFciの定格容量)に応じた効率を示すインバータ効率特性データ(
図4(c)参照)をFW損失データとしてFW損失データ記憶部52に記憶させておくようにしても良い。
図4(c)に示すインバータ効率特性データによると、負荷率が略80%で最大効率となり、最大効率となる個別電力指令P
FWaiを導くことができる。従って、SOCリミッタ51から出力されたP’指令の絶対値を、最大効率となる個別電力指令P
FWaiで除算することで、選択する台数N
cを算出するようにしても良い。そして、充電指令の場合には、選択したFW装置aiの中でFW回転数が低い順番に最大効率となる個別電力指令P
FWaiを割り振り、残りを選択したFW装置aiの中でFW回転数が最も高いものに割り振るようにしても良い。また、放電指令の場合には、選択したFW装置aiの中でFW回転数が高い順番に最大効率となる個別電力指令P
FWaiを割り振り、残りを選択したFW装置aiの中でFW回転数が最も低いものに割り振るようにしても良い。
【0035】
さらに、
図4(a)に示す機械損失特性データと、
図4(b)に示すモータ効率特性データと、
図4(c)に示すインバータ効率特性データとの中から複数個をFW損失データ記憶部52にFW損失データとして記憶させておいても良い。この場合には、FW群制御部50は、FW損失データ記憶部52に記憶された機、械損失特性データ、モータ効率特性データと、インバータ効率特性データに基づいて、充放電時の損失が最少となるFW装置aiの選択と、選択したFW装置aiに割り振る個別電力指令P
FWaiの演算とを行うことができる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態は、フライホイールと、当該フライホイールに結合された誘導電動機とを備えた複数台のFW装置a1〜anを用いて系統連系点における電力変動を補償する電力平準化装置2aであって、直流側が系統連系点に接続された連系インバータ4aとの直流リンク部に接続され、複数台のFW装置a1〜anに対応してそれぞれ設けられた複数台の可変電圧可変周波数電源VVVFc1〜cnと、連系インバータ4aへの充放電指令(P指令)と複数台のFW装置a1〜anのFW回転数とに基づいて充放電を行う1台もしくは複数台のFW装置a1〜anを選択し、選択したFW装置aiに対するそれぞれの個別電力指令P
FWaiを演算するFW群制御部50と、FW群制御部50によって演算された個別電力指令P
FWaiに基づいて個別トルク指令T
FWaiを演算するトルク指令演算ブロック40とを備え、可変電圧可変周波数電源VVVFc1〜cnは、トルク指令演算ブロック40によって演算された個別トルク指令T
FWaiを用いて、FW群制御部50によって選択されたFW装置aiの誘導電動機をベクトル制御する。
この構成により、直流リンク部の直流電圧の一定制御を連系インバータ4a側で行い、システム全体の充放電指令から、複数台接続された各FW装置a1〜anのトルク指令を個別に作成するように構成されているため、複数台のFW装置a1〜anを個別で充放電制御を行うことができ、運用効率を向上させることができる。
【0037】
さらに、本実施の形態において、FW群制御部50は、P指令に基づいて充放電を行うFW装置a1〜anの台数を算出し、P指令が充電指令の場合には、複数台のFW装置a1〜anの中から回転数が低い順番に充電を行うFW装置aiを選択し、P指令が放電指令の場合には、複数台のFW装置a1〜anの中から回転数が高い順番に放電を行うFW装置aiを選択する。
この構成により、FW装置a1〜anの機械損失を低減させることができる。
【0038】
さらに、本実施の形態において、FW群制御部50は、P指令を、FW装置a1〜anに充放電を行う際に最大効率となる個別電力指令P
FWaiで除算することで、充放電を行うFW装置aiの台数を算出する。また、FW群制御部50は、充電指令の場合には、選択したFW装置aiの中で回転数が低い順番に最大効率となる個別電力指令P
FWaiを割り振り、残りを選択したFW装置aiの中で回転数が最も高いものに割り振り、放電指令の場合には、選択したFW装置aiの中で回転数が高い順番に最大効率となる個別電力指令P
FWaiを割り振り、残りを選択したFW装置aiの中で回転数が最も低いものに割り振る。
この構成により、FW装置aiに対して効率良く充放電を行うことができ、損失を低減することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態において、連系インバータ4aとの直流リンク部の直流電圧V
dcは、連系インバータ4aによって一定に制御されている。
この構成により、連系インバータ4aと可変電圧可変周波数電源20との直流リンク部
直流電圧V
dcは、連系インバータ4a側で一定に制御されるので、回生失効にならず、FW装置a1を効率よく充放電することが可能となる。
【0040】
さらに、本実施の形態において、トルク指令演算ブロック40は、充放電指令をP
m、誘導電動機の回転速度である回転角速度をω
mとそれぞれすると、T
m=P
m/ω
mによって個別トルク指令T
FWaiを演算する。
この構成により、簡単な演算によって、連系インバータ4aへの充放電指令である有効電力指令(P指令)からFW装置a1〜an毎の個別トルク指令T
FWaiを演算することができる。
【0041】
さらに、本実施の形態において、充放電指令は、系統連系点の電圧Vと、連系インバータ4aの電流I
invと、負荷電流I
Lと、連系インバータ4aと可変電圧可変周波数電源c1〜cnとの直流リンク部の直流電圧V
dcとに基づいて演算される。
【0042】
以上の実施の形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)等については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。