特許第6346795号(P6346795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346795
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】周縁露光装置および周縁露光方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20180611BHJP
   G11B 5/84 20060101ALI20180611BHJP
   G11B 7/26 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   H01L21/30 577
   G11B5/84 Z
   G11B7/26 501
【請求項の数】12
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-117700(P2014-117700)
(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公開番号】特開2015-231019(P2015-231019A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】松尾 友宏
(72)【発明者】
【氏名】後藤 茂宏
(72)【発明者】
【氏名】久保 康憲
(72)【発明者】
【氏名】劉 氷汐
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−108316(JP,A)
【文献】 特開2002−141264(JP,A)
【文献】 特開平03−108315(JP,A)
【文献】 特開平04−072614(JP,A)
【文献】 特開平02−073621(JP,A)
【文献】 特開平02−114628(JP,A)
【文献】 特開平08−321463(JP,A)
【文献】 特開2012−114191(JP,A)
【文献】 特開2011−238798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G11B 5/84
G11B 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁露光装置であって、
基板を保持する保持部と、
前記保持部を回転させる回転機構と、
光を出射する投光部と、
前記保持部に保持された基板の上方から外れた待機位置と前記保持部に保持された基板の周縁部の上方の処理位置との間にわたって前記投光部を移動させる移動機構と、
前記投光部が光を出射することを禁止可能なシャッターと、
前記シャッターを閉状態と開状態との間で切り替える開閉機構と、
前記回転機構と前記移動機構と前記開閉機構とを制御して基板の周縁部に対する露光処理を実行させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記シャッターが前記開状態であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記投光部を前記待機位置から前記処理位置に移動させることによって、前記露光処理を開始させる
周縁露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の周縁露光装置において、
前記周縁露光装置は、前記投光部が前記処理位置に位置しているか否かを検出するための投光部用センサを備え、
前記制御部が前記露光処理を開始させるとき、前記制御部は前記投光部用センサの検出結果に基づいて前記投光部が前記処理位置に到達したか否かを判断し、
前記制御部は、さらに、前記投光部が前記処理位置に到達したと判断された時刻から経過する時間を計測する
周縁露光装置。
【請求項3】
周縁露光装置であって、
基板を保持する保持部と、
前記保持部を回転させる回転機構と、
光を出射する投光部と、
前記保持部に保持された基板の上方から外れた待機位置と前記保持部に保持された基板の周縁部の上方の処理位置との間にわたって前記投光部を移動させる移動機構と、
前記投光部が光を出射することを禁止可能なシャッターと、
前記シャッターを閉状態と開状態との間で切り替える開閉機構と、
前記投光部から出射される光の量を調整可能な絞りと、
前記絞りの開度を調整する調整機構と、
前記回転機構と前記移動機構と前記開閉機構と前記調整機構とを制御して基板の周縁部に対する露光処理を実行させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記投光部が前記処理位置に位置しており、前記シャッターが前記開状態であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記絞りの開度を零から増大させることによって、前記露光処理を開始させる
周縁露光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の周縁露光装置において、
前記周縁露光装置は、前記絞りの開度を検出するための絞り用センサを備え、
前記制御部が前記露光処理を開始させるとき、前記制御部は前記絞り用センサの検出結果に基づいて前記絞りの開度が所定値に達したか否かを判断し、
前記制御部は、さらに、前記絞りの開度が所定値に達したと判断された時刻から経過する時間を計測する
周縁露光装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の周縁露光装置において、
前記制御部は、さらに、前記シャッターが前記開状態であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記投光部を前記処理位置から前記待機位置に移動させることによって、前記露光処理を終了させる
周縁露光装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の周縁露光装置において、
前記制御部は、さらに、前記投光部が前記処理位置に位置しており、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記シャッターを前記開状態から前記閉状態に切り替えることによって、前記露光処理を終了させる
周縁露光装置。
【請求項7】
請求項3または4のいずれかに記載の周縁露光装置において、
前記制御部は、さらに、前記投光部が前記処理位置に位置しており、前記シャッターが前記開状態であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転しているときに、前記絞りの開度を零まで減少させることによって、前記露光処理を終了させる
周縁露光装置。
【請求項8】
周縁露光方法であって、
シャッターが開状態であることによって投光部が光を出射しており、かつ、基板が回転している状態において、投光部が基板の上方から外れた待機位置から基板の周縁部の上方の処理位置に移動する露光開始工程を含む
周縁露光方法。
【請求項9】
周縁露光方法であって、
投光部が基板の周縁部の上方の処理位置に位置しており、シャッターが開状態であり、かつ、基板が回転している状態において、絞りの開度が零から増大することによって投光部が光を出射し始める露光開始工程を含む
周縁露光方法。
【請求項10】
請求項8または9のいずれかに記載の周縁露光方法において、
シャッターが開状態であることによって投光部が光を出射しており、かつ、基板が回転している状態において、投光部が基板の周縁部の上方の処理位置から基板の上方から外れた待機位置に移動する露光終了工程を含む
周縁露光方法。
【請求項11】
請求項8から10のいずれかに記載の周縁露光方法において、
投光部が処理位置に位置しており、かつ、基板が回転している状態において、シャッターが開状態から閉状態に切り替わることによって投光部が光の出射を停止する露光終了工程を含む
周縁露光方法。
【請求項12】
請求項9に記載の周縁露光方法において、
投光部が処理位置に位置しており、シャッターが開状態であり、かつ、基板が回転している状態において、絞りの開度が零まで減少することによって投光部が光の出射を停止する露光終了工程を含む
周縁露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示装置用のガラス基板、光ディスク用の基板など(以下、単に「基板」と称する)の周縁部を露光する周縁露光装置と、基板の周縁部を露光する周縁露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、エッジ露光ユニットがある。エッジ露光ユニットは、保持回転部と露光部とX軸駆動部とY軸駆動部とコントローラを備えている。保持回転部は基板を保持するとともに基板を回転させる。露光部は光を出射する。X軸駆動部とY軸駆動部とはそれぞれ、露光部を移動させる。コントローラは、保持回転部とX軸駆動部とY軸駆動部と露光部とを制御する。
【0003】
このように構成されるエッジ露光ユニットは次のように動作する。すなわち、露光部は保持回転部に保持された基板の周縁部の上方に移動する。その後、露光部は光を出射し始めるとともに、保持回転部は基板を回転させ始める。これにより、エッジ露光ユニットは、基板の周縁部を露光する。より厳密には、エッジ露光ユニットは、基板上に形成されているレジスト膜を露光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−32898号公報(第19頁、図6図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、最初に露光される基板の部位を「露光開始点」とすると、露光開始点は、基板が静止している状態で露光される。他方、露光開始点以外の基板の周縁部は、基板が回転している状態で露光される。基板に照射された光の量を単位面積で除した値を「露光量」とすると、露光開始点における露光量は、露光開始点以外の基板の周縁部における露光量よりも大きい。露光開始点は、露光過多(overexposure)となる。
【0006】
近年、周縁露光装置のスループットの向上を図るために、露光部が出射する光の強度は増大している。光の強度が増大するほど、露光開始点と露光開始点以外の基板の周縁部との間における露光量の差は拡大し、露光開始点における露光過多の度合いが増す。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、露光開始点が露光過多になることを抑制できる周縁露光装置および周縁露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、周縁露光装置であって、基板を保持する保持部と、前記保持部を回転させる回転機構と、光を出射する投光部と、前記保持部に保持された基板の上方から外れた待機位置と前記保持部に保持された基板の周縁部の上方の処理位置との間にわたって前記投光部を移動させる移動機構と、前記投光部が光を出射することを禁止可能なシャッターと、前記シャッターを閉状態と開状態との間で切り替える開閉機構と、前記回転機構と前記移動機構と前記開閉機構とを制御して基板の周縁部に対する露光処理を実行させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記シャッターが前記開状態であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記投光部を前記待機位置から前記処理位置に移動させることによって、前記露光処理を開始させる周縁露光装置である。
【0009】
[作用・効果]シャッターが開状態であるとき、投光部は光を出射する。投光部が光を出射しており、かつ、基板が回転している状態で、投光部は待機位置から処理位置に向かって動く。投光部が処理位置に到達すると、投光部の光は基板の周縁部を照射し始め、露光処理が始まる。露光処理が始まるとき、基板は回転している。最初に露光される基板の部位である「露光開始点」は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光開始点が露光過多になることを抑制できる。
【0010】
(2)
上述した発明において、前記周縁露光装置は、前記投光部が前記処理位置に位置しているか否かを検出するための投光部用センサを備え、前記制御部が前記露光処理を開始させるとき、前記制御部は前記投光部用センサの検出結果に基づいて前記投光部が前記処理位置に到達したか否かを判断し、前記制御部は、さらに、前記投光部が前記処理位置に到達したと判断された時刻から経過する時間を計測することが好ましい。周縁露光装置は投光部用センサを備えているので、制御部は露光処理が始まった時刻を精度良く特定できる。さらに、制御部は露光処理が始まった時刻から経過する時間を計測するので、露光処理を行う時間を制御部は好適に管理できる。
【0011】
(3)
また、本発明は、周縁露光装置であって、基板を保持する保持部と、前記保持部を回転させる回転機構と、光を出射する投光部と、前記保持部に保持された基板の上方から外れた待機位置と前記保持部に保持された基板の周縁部の上方の処理位置との間にわたって前記投光部を移動させる移動機構と、前記投光部が光を出射することを禁止可能なシャッターと、前記シャッターを閉状態と開状態との間で切り替える開閉機構と、前記回転機構と前記移動機構と前記開閉機構とを制御して基板の周縁部に対する露光処理を実行させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記投光部が前記処理位置に位置しており、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記シャッターを前記閉状態から前記開状態に切り替えることによって、前記露光処理を開始させる周縁露光装置である。
【0012】
[作用・効果]投光部が処理位置に位置しており、かつ、基板が回転している状態において、シャッターが閉状態から開状態に切り替わる。シャッターが開状態に切り替わると、投光部は光を出射し始める。投光部が処理位置に位置しているので、投光部の光は基板の周縁部を照射する。すなわち、シャッターが開状態に切り替わったとき、露光処理が始まる。露光処理が始まるとき、基板は回転している。露光開始点は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光開始点が露光過多になることを抑制できる。
【0013】
(4)
上述した発明において、前記制御部が前記露光処理を開始させるとき、前記制御部は前記シャッター用センサの検出結果に基づいて前記シャッターが前記開状態に切り替わったか否かを判断し、前記制御部は、さらに、前記シャッターが前記開状態に切り替わったと判断された時刻から経過する時間を計測することが好ましい。周縁露光装置はシャッター用センサを備えているので、制御部は露光処理が始まった時刻を精度良く特定できる。さらに、制御部は露光処理が始まった時刻から経過する時間を計測するので、露光処理を行う時間を制御部は好適に管理できる。
【0014】
(5)
また、本発明は、周縁露光装置であって、基板を保持する保持部と、前記保持部を回転させる回転機構と、光を出射する投光部と、前記保持部に保持された基板の上方から外れた待機位置と前記保持部に保持された基板の周縁部の上方の処理位置との間にわたって前記投光部を移動させる移動機構と、前記投光部が光を出射することを禁止可能なシャッターと、前記シャッターを閉状態と開状態との間で切り替える開閉機構と、前記投光部から出射される光の量を調整可能な絞りと、前記絞りの開度を調整する調整機構と、前記回転機構と前記移動機構と前記開閉機構と前記調整機構とを制御して基板の周縁部に対する露光処理を実行させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記投光部が前記処理位置に位置しており、前記シャッターが前記開状態であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記絞りの開度を零から増大させることによって、前記露光処理を開始させる周縁露光装置である。
【0015】
[作用・効果]投光部が処理位置に位置しており、シャッターが開状態であり、かつ、基板が回転している状態で、絞りの開度が零から増大する。絞りの開度が零より大きくなると、投光部は光を出射し始める。投光部が処理位置に位置しているので、投光部の光は基板の周縁部を照射する。すなわち、絞りの開度が零より大きくなったとき、露光処理が始まる。露光処理が始まるとき、基板は回転している。露光開始点は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光開始点が露光過多になることを抑制できる。
【0016】
さらに、本発明によれば、絞りの開度が零より大きくなることによって露光処理が始まるので、露光処理が始まるときに露光開始点を照射する光の強度は比較的に小さい。よって、露光開始点が露光過多になることを一層抑制できる。
【0017】
ここで、前記絞りの開度を零から少しずつ増大させることが好ましい。露光開始点と露光開始点に隣接する基板の周縁部との間で露光量が急激に変化することを抑制できる。
【0018】
(6)
上述した発明において、前記周縁露光装置は、前記絞りの開度を検出するための絞り用センサを備え、前記制御部が前記露光処理を開始させるとき、前記制御部は前記絞り用センサの検出結果に基づいて前記絞りの開度が所定値に達したか否かを判断し、前記制御部は、さらに、前記絞りの開度が所定値に達したと判断された時刻から経過する時間を計測することが好ましい。周縁露光装置は絞り用センサを備えているので、制御部は絞りの開度が所定値まで増大した時刻を精度良く特定できる。さらに、制御部は絞りの開度が所定値まで増大した時刻から経過する時間を計測するので、絞りの開度が所定値以上である状態で露光処理を行う時間を制御部は好適に管理できる。
【0019】
(7)
上述した発明において、前記制御部は、さらに、前記シャッターが前記開状態であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記投光部を前記処理位置から前記待機位置に移動させることによって、前記露光処理を終了させることが好ましい。投光部が光を出射しており、かつ、基板が回転している状態で投光部は処理位置から待機位置に移動する。投光部が処理位置から外れると、投光部は基板の周縁部を照射しなくなり、露光処理が終了する。露光処理が終了するとき、基板は回転している。最後に露光される基板の部位(以下、「露光終了点」と呼ぶ)は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光終了点が露光過多になることを抑制できる。
【0020】
(8)
上述した発明において、前記制御部は、さらに、前記投光部が前記処理位置に位置しており、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記シャッターを前記開状態から前記閉状態に切り替えることによって、前記露光処理を終了させることが好ましい。投光部が処理位置に位置しており、かつ、基板が回転している状態で、シャッターが開状態から閉状態に切り替わる。シャッターが閉状態に切り替わると、投光部は光の出射を停止し、投光部は基板の周縁部を照射しなくなり、露光処理が終了する。露光処理が終了するとき、基板は回転している。露光終了点は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光終了点が露光過多になることを抑制できる。
【0021】
(9)
上述した発明において、前記制御部は、さらに、前記投光部が前記処理位置に位置しており、前記シャッターが前記開状態であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記絞りの開度を零まで減少させることによって、前記露光処理を終了させることが好ましい。投光部が処理位置に位置しており、シャッターが開状態であり、かつ、基板が回転している状態で、絞りの開度が零まで減少する。絞りの開度が零まで減少すると、投光部は光の出射を停止し、投光部は基板の周縁部を照射しなくなり、露光処理が終了する。露光処理が終了するとき、基板は回転している。露光終了点は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光終了点が露光過多になることも抑制できる。
【0022】
さらに、本発明によれば、絞りの開度が零まで減少することによって露光処理が終了するので、露光処理が終了するときに露光終了点を照射する光の強度は比較的に小さい。よって、露光終了点が露光過多になることを一層抑制できる。
【0023】
ここで、前記絞りの開度を零まで少しずつ減少させることが好ましい。絞りの開度が徐々に減少するので、露光終了点と露光終了点に隣接する基板の周縁部との間で露光量が急激に変化することを抑制できる。
【0024】
(10)
また、本発明は、周縁露光方法であって、シャッターが開状態であることによって投光部が光を出射しており、かつ、基板が回転している状態において、投光部が基板の上方から外れた待機位置から基板の周縁部の上方の処理位置に移動する露光開始工程を含む周縁露光方法である。
【0025】
[作用・効果]露光開始工程では、投光部が光を出射しており、かつ、基板が回転している状態で投光部は待機位置から処理位置に移動する。投光部が処理位置に到達すると、露光処理が始まる。露光処理が始まるとき、基板は回転している。露光開始点は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光開始点が露光過多になることを抑制できる。
【0026】
(11)
また、本発明は、周縁露光方法であって、投光部が基板の周縁部の上方の処理位置に位置しており、かつ、基板が回転している状態において、シャッターが閉状態から開状態に切り替わることによって前記投光部が光を出射し始める露光開始工程を含む周縁露光方法である。
【0027】
[作用・効果]露光開始工程では、投光部が処理位置に位置しており、かつ、基板が回転している状態で、シャッターが閉状態から開状態に切り替わる。シャッターが開状態に切り替わると、投光部は光を出射し始め、露光処理が始まる。露光処理が始まるとき、基板は回転している。露光開始点は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光開始点が露光過多になることを抑制できる。
【0028】
(12)
また、本発明は、周縁露光方法であって、投光部が基板の周縁部の上方の処理位置に位置しており、シャッターが開状態であり、かつ、基板が回転している状態において、絞りの開度が零から増大することによって投光部が光を出射し始める露光開始工程を含む周縁露光方法である。
【0029】
[作用・効果]露光開始工程では、投光部が処理位置に位置しており、シャッターが開状態であり、かつ、基板が回転している状態で、絞りの開度が零から増大する。絞りの開度が零より大きくなると、投光部は光を出射し始め、露光処理が始まる。露光処理が始まるとき、基板は回転している。露光開始点は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光開始点が露光過多になることを抑制できる。
【0030】
さらに、本発明によれば、絞りの開度が零より大きくなることによって露光処理が始まるので、露光処理が始まるときに露光開始点を照射する光の強度は比較的に小さい。よって、露光開始点が露光過多になることを一層抑制できる。
【0031】
(13)
上述した発明において、シャッターが開状態であることによって投光部が光を出射しており、かつ、基板が回転している状態において、投光部が基板の周縁部の上方の処理位置から基板の上方から外れた待機位置に移動する露光終了工程を含むことが好ましい。露光終了工程では、投光部が光を出射しており、かつ、基板が回転している状態で投光部が処理位置から待機位置に移動する。投光部が処理位置から外れると、露光処理が終了する。露光処理が終了するとき、基板は回転している。露光終了点は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光終了点が露光過多になることを抑制できる。
【0032】
(14)
上述した発明において、投光部が処理位置に位置しており、かつ、基板が回転している状態において、シャッターが開状態から閉状態に切り替わることによって投光部が光の出射を停止する露光終了工程を含むことが好ましい。露光終了工程では、投光部が処理位置に位置しており、かつ、基板が回転している状態で、シャッターが開状態から閉状態に切り替わる。シャッターが閉状態に切り替わると、投光部は光の出射を停止し、露光処理が終了する。露光処理が終了するとき、基板は回転している。露光終了点は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光終了点が露光過多になることを抑制できる。
【0033】
(15)
上述した発明において、投光部が処理位置に位置しており、シャッターが開状態であり、かつ、基板が回転している状態において、絞りの開度が零まで減少することによって投光部が光の出射を停止する露光終了工程を含むことが好ましい。露光終了工程では、投光部が処理位置に位置しており、シャッターが開状態であり、かつ、基板が回転している状態で、絞りの開度が零まで減少する。絞りの開度が零になると、投光部は光の出射を停止し、露光処理が終了する。露光処理が終了するとき、基板は回転している。露光終了点は、基板が回転している状態で露光される。よって、本発明によれば、露光終了点が露光過多になることを抑制できる。
【0034】
さらに、本発明によれば、絞りの開度が零まで減少することによって露光処理が終了するので、露光処理が終了するときに露光終了点を照射する光の強度は比較的に小さい。よって、露光終了点が露光過多になることを一層抑制できる。
【0035】
なお、本明細書は、次のような周縁露光装置および周縁露光方法に係る発明も開示している。
【0036】
(1)上述した発明に係る周縁露光装置において、前記制御部は、前記シャッターが前記開状態であり、前記絞りの開度が所定値以上であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記投光部を前記待機位置から前記処理位置に動かすことによって、前記露光処理を開始させることが好ましい。
【0037】
前記(1)に記載の発明によれば、シャッターが開状態であり、かつ、絞りの開度が所定値以上であるとき、投光部は光を出射する。投光部が光を出射しており、かつ、基板が回転している状態において投光部が処理位置に到達すると、露光処理が始まる。露光処理が始まるとき、基板は回転している。露光開始点は、基板が回転している状態で露光される。よって、露光開始点が露光過多になることを抑制できる。
【0038】
(2)上述した発明に係る周縁露光装置において、前記制御部は、前記投光部が前記処理位置に位置しており、前記絞りの開度が所定値以上であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記シャッターを前記閉状態から前記開状態に切り替えることによって、前記露光処理を開始させることが好ましい。
【0039】
前記(2)に記載の発明によれば、投光部が処理位置に位置しており、絞りの開度が所定値以上であり、かつ、基板が回転している状態においてシャッターが開状態に切り替わると、投光部は光を出射し始め、露光処理が始まる。露光処理が始まるとき、基板は回転している。露光開始点は、基板が回転している状態で露光される。よって、露光開始点が露光過多になることを抑制できる。
【0040】
(3)上述した発明に係る周縁露光装置において、
前記制御部は、さらに、前記シャッターが前記開状態であり、前記絞りの開度が所定値以上であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記投光部を前記処理位置から前記待機位置に移動させることによって、前記露光処理を終了させることが好ましい。
【0041】
前記(3)に記載の発明によれば、投光部が光を出射しており、かつ、基板が回転している状態で投光部が処理位置から外れると、露光処理が終了する。露光処理が終了するとき、基板は回転している。露光終了点は、基板が回転している状態で露光される。よって、露光終了点が露光過多になることを抑制できる。
【0042】
(4)上述した発明に係る周縁露光装置において、前記制御部は、さらに、前記投光部が前記処理位置に位置しており、前記絞りの開度が所定値以上であり、かつ、前記保持部に保持された基板が回転している状態において前記シャッターを前記開状態から前記閉状態に切り替えることによって、前記露光処理を終了させることが好ましい。
【0043】
前記(4)に記載の発明によれば、投光部が処理位置に位置しており、絞りの開度が所定値以上であり、かつ、基板が回転している状態においてシャッターが閉状態に切り替わると、投光部は光の出射を停止し、露光処理が終了する。露光処理が終了するとき、基板は回転している。露光終了点は、基板が回転している状態で露光される。よって、露光終了点が露光過多になることも抑制できる。
【0044】
(5)上述した発明に係る周縁露光装置において、前記制御部は、計測された時間が所定の処理時間に達すると、露光処理を終了させることが好ましい。
【0045】
前記(5)に記載の発明によれば、露光処理を適切なタイミングで終了させることがきる。
【0046】
(6)上述した発明において、前記露光処理を実行している間、前記保持部に保持される基板は回転し続けることが好ましい。
【0047】
(7)上述した発明において、前記周縁露光方法は、さらに、前記露光開始工程を実行した後から前記露光終了工程を実行するまでの間、投光部が処理位置に位置し、かつ、基板が回転している状態で投光部が光を出射する露光処理工程を備えていることが好ましい。
【0048】
前記(6)および前記(7)に記載の発明によれば、露光処理が始まってから終了するまでの間、基板は常に回転している。よって、基板の周縁部の全体にわたって露光量がばらつくことを好適に抑制できる。
【0049】
(8)上述した発明において、前記露光処理が始まってから前記露光処理が終了するまでの間、基板の回転速度は一定に保たれることが好ましい。
【0050】
前記(8)に記載の発明によれば、露光開始点および露光終了点における処理条件が、露光開始点および露光終了点以外の基板の周縁部における処理条件と実質的に一致する。よって、基板の周縁部の全体にわたって露光量がばらつくことを一層抑制できる。
【発明の効果】
【0051】
この発明に係る周縁露光装置および周縁露光方法によれば、露光開始点が露光過多になることを好適に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】実施例1に係る周縁露光装置の模式的に示す図である。
図2】投光部の位置を説明するための平面図である。
図3】投光部の位置を説明するための側面図である。
図4】周縁露光装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図5】実施例1に係る周縁露光装置の動作手順を示すフローチャートである。
図6】比較例に係る周縁露光装置の動作手順を示すフローチャートである。
図7図7(a)は実施例1による露光範囲を模式的に例示する図であり、図7(b)は比較例による露光範囲を模式的に例示する図である。
図8】実施例2に係る周縁露光装置の動作手順を示すフローチャートである。
図9図9(a)は、実施例1による露光処理が始まった直後の露光範囲を模式的に示す図であり、図9(b)は、実施例2による露光処理が始まった直後の露光範囲を模式的に示す図である。
図10】実施例3に係る周縁露光装置1の動作手順を示すフローチャートである。
図11図11(a)は、実施例2による露光処理が始まった直後の露光範囲を模式的に例示する図であり、図11(b)は、実施例3による露光処理が始まった直後の露光範囲を模式的に例示する図である。
【実施例1】
【0053】
図1は、実施例1に係る周縁露光装置の模式的に示す図である。周縁露光装置1は、基板Wの周縁部に対して露光処理を行う。ここで、「基板W」は、例えば、半導体ウエハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示装置用のガラス基板、プラズマディスプレイ用の基板、光ディスク用の基板、磁気ディスク用の基板、光磁気ディスク用の基板などである。
【0054】
周縁露光装置1は、保持部3と軸部材4と回転機構5とを備える。保持部3は、1枚の基板Wを略水平姿勢で保持する。保持部3は、例えば、基板Wの下面中央を吸着することによって基板Wを保持する。軸部材4の軸心は、鉛直方向Zと略平行である。軸部材4の上端は保持部3の下部中央に連結されている。軸部材4の下端は回転機構5に連結されている。回転機構5は、例えば、モータである。回転機構5は、軸部材4をその軸心回りに回転させる。保持部3および保持部3に保持された基板Wは、軸部材4と一体に回転する。すなわち、回転機構5は、基板Wを回転させる。基板Wの回転軸RAは、軸部材4の軸心と同軸である。基板Wの回転軸RAは、基板Wの略中心を通る。
【0055】
周縁露光装置1は、投光部7とライトガイド9と光源部11とを備える。
【0056】
投光部7は、露光用の光を出射する。露光用の光は、例えば、紫外線である。以下では、露光用の光を、単に「光」という。投光部7から出射された光は、鉛直方向Zの下向きに進む。投光部7は、例えば、不図示のマスクとレンズを備えている。
【0057】
ライトガイド9の一端9aは光源部11に接続されている。ライトガイド9の他端は、投光部7と接続されている。ライトガイド9は、光源部11から投光部7に光を送る。ライトガイド9は、例えば、光ファイバーである。
【0058】
光源部11は、光を発生する。光源部11の詳細な構成について説明する。
【0059】
光源部11は、光源12とリフレクタ13とを備えている。光源12は、光を発生する。光源12は、例えば、水銀キセノンランプである。リフレクタ13は、光源12が発生した光の一部を反射する。光源12およびリフレクタ13は、ライトガイド9の一端9aと向かいあうように配置されている。光源12の光は、直接的に、または、リフレクタ13を介して、一端9aに入射する。図1では、光源12から一端9aまでの光の経路を、模式的に示す。一端9aに入射した光は、ライトガイド9を通じて投光部7に伝送される。
【0060】
光源部11は、さらに、シャッター14と開閉機構15とシャッター用センサ16とを備えている。
【0061】
シャッター14は、光を遮る部材である。シャッター14は、光源12と一端9aとの間に配置されている。シャッター14は、投光部7が光を出射することを禁止可能である。
【0062】
開閉機構15は、シャッター14を開状態と閉状態との間で切り替える。開閉機構15は、例えば、モータである。シャッター14が開状態であるとき、シャッター14は、光が一端9aに入射することを許容する。シャッター14が閉状態であるとき、シャッター14は、光が一端9aに入射することを禁止する。その結果、投光部7から光は出射されない。
【0063】
シャッター用センサ16は、シャッター14が開状態であるか否かを検出する。シャッター用センサ16は、例えば、開閉機構15に取り付けられ、開閉機構15の駆動量を検出するエンコーダである。開閉機構15の駆動量によれば、シャッター14が開状態であるか否かを好適に検出できる。
【0064】
光源部11は、さらに、絞り17と調整機構18と絞り用センサ19とを備えている。
【0065】
絞り17は、光の通過を許容する開口(不図示)を有する。絞り17は、光源12と一端9aとの間に配置されている。絞り17は、投光部7から出射される光の量を調整可能である。
【0066】
調整機構18は、絞り17の開度を調整する。開度は、開口の最大面積に対する開口の面積の割合である。調整機構18は、例えば、モータである。調整機構18が開度を変えると、開口の面積が変わり、絞り17を通過する光の量が変わる。すなわち、調整機構18は、投光部7から出射される光の量を調整できる。
【0067】
調整機構18が調整可能な開度の範囲は零(すなわち、0[%])以上である。開度が零であるとき、光が絞り17を透過することが禁止され、投光部7が光を出射することが禁止される。調整機構18が調整可能な開度の範囲は、より好ましくは、100[%]以下である。開度が100[%]であるとき、開口の面積は最大面積である。調整機構18は、さらに、開度をきめ細かく調整できる。例えば、調整機構18は、少しずつ(小刻みに)開度を増減できる。
【0068】
絞り用センサ19は、絞り17の開度を検出する。絞り用センサ19は、例えば、調整機構18に取り付けられ、調整機構18の駆動量を検出するエンコーダである。調整機構18の駆動量によれば、絞り17の開度を好適に検出できる。
【0069】
周縁露光装置1は、投光部7を移動させる移動機構21を備えている。以下、移動機構21の構成例を説明する。
【0070】
移動機構21は、固定台22と可動台23とアーム24と第1移動機構25と第2移動機構26とを備える。固定台22は、固定的に設置されている。固定台22は、可動台23を水平な第1方向Xに摺動可能に支持する。第1移動機構25は、固定台22に対して可動台23を第1方向Xに移動させる。可動台23は、アーム24を水平な第2方向Yに摺動可能に支持する。第2方向Yは、第1方向Xと直交することが好ましい。第2移動機構26は、可動台23に対してアーム24を第2方向Yに移動させる。アーム24は、投光部7を、保持部3に保持される基板Wよりも高い位置で支持する。第1移動機構25が可動台23を移動させると、投光部7は可動台23と一体に第1方向Xに移動する。第2移動機構26がアーム24を移動させると、投光部7はアーム24と一体に第2方向Yに移動する。
【0071】
図2は、投光部7の位置を説明するための平面図である。図3は、投光部7の位置を説明するための側面図である。投光部7は処理位置Ptと原点Poとに移動可能である。図2図3において、処理位置Ptに位置する投光部7を実線で示し、原点Poに位置する投光部7を点線で示す。処理位置Ptは、基板Wの周縁部の上方にあたる位置である。原点Poは、基板Wの上方から外れた位置である。実施例1では、処理位置Ptは、原点Poを第2方向Yに平行移動した位置に相当する。原点Poの位置は、本発明における待機位置の例である。
【0072】
実施例1では、原点Poの座標(xo、yo)と、原点Poに対する処理位置Ptの変位量Δyとが、予め規定されている。処理位置Ptは、座標(xo、yo)と変位量Δyとによって決まる。
【0073】
図1を参照する。周縁露光装置1は、投光部7が処理位置Ptに位置しているか否かを検出するための投光部用センサ31を備えている。実施例1では、投光部用センサ31は、原点用センサ33と変位量用センサ37を含む。原点用センサ33は、投光部7が原点Poに位置しているか否かを検出する。変位量用センサ37は、第2方向Yにおける投光部7の移動量を検出する。
【0074】
原点用センサ33は、さらに、第1位置センサ34と第2位置センサ35を含む。第1位置センサ34は、第1方向Xにおける投光部7の位置がX座標xoであるか否かを検出する。第2位置センサ35は、第2方向Yにおける投光部7の位置がY座標yoであるか否かを検出する。
【0075】
第1位置センサ34と第2位置センサ35の具体例を説明する。第1位置センサ34は固定台22に取り付けられ、第2位置センサ35は可動台23に取り付けられている。各位置センサ34、35は、例えば、透過型センサである。第1方向Xにおける投光部7の位置がX座標xoであるとき、第1位置センサ34は、可動台23に取り付けられた第1突起部41を検知する。第2方向Yにおける投光部7の位置がY座標yoであるとき、第2位置センサ35は、アーム24に取り付けられた第2突起部42を検知する。
【0076】
変位量用センサ37は、例えば、第2移動機構26に取り付けられ、第2移動機構26の駆動量を検出するエンコーダである。第2移動機構26の駆動量によれば、第2方向Yにおける投光部7の移動量を好適に検出できる。
【0077】
図4は、周縁露光装置1の制御系の構成を示すブロック図である。周縁露光装置1は、制御部45を備える。制御部45は、上述したシャッター用センサ16、絞り用センサ19および投光部用センサ31と接続されている。各センサ16、19、31の検出結果(例えば、検出信号)は、制御部45に入力される。
【0078】
また、制御部45は、露光処理の条件を規定する情報(「処理レシピ」などと呼ばれる)を予め記憶している。条件情報は、処理時間と絞り17の開度に関する所定値と変位量Δyとを含む。絞り17の開度に関する所定値は、例えば、100[%]である。
【0079】
さらに、制御部45は、回転機構5、開閉機構15、調整機構18および移動機構21(第1移動機構25および第2移動機構26)に接続されている。制御部45は、各センサ16、19、31の検出結果および処理レシピに基づいて、各機構5、15、18、21を制御する。
【0080】
次に、実施例1に係る周縁露光装置1の動作例について説明する。図5は、実施例1に係る周縁露光装置1の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、シャッター14は閉状態であり、絞り17の開度は所定値であるものとして、動作説明を始める。
【0081】
<ステップS1> 投光部が原点に位置する
制御部45は、原点用センサ33の検出結果に基づいて移動機構21を制御し、投光部7を原点Poに移動させる。
【0082】
<ステップS2> 基板が保持される
不図示の搬送機構が基板Wを保持部3に載置する。保持部3は基板Wを保持する。基板W上には、既にレジスト膜が形成されている。不図示の搬送機構は、周縁露光装置1の内部および外部のいずれに設けられていてもよい。
【0083】
<ステップS3> 基板が回転する
制御部45は、回転機構5を制御し、基板Wを回転させ始める。
制御部45は、基板Wを一定の回転速度で回転させる。基板Wの回転速度は、基板Wを静止させるとき(ステップS11)まで一定に保たれる。基板Wの回転速度は、例えば、1秒当たり2周である。言い換えれば、基板Wは、例えば、1回転あたり0.5秒で回転する。
【0084】
<ステップS4> シャッターを開く
制御部45は、開閉機構15を制御して、シャッター14を閉状態から開状態に切り替える。より厳密には、制御部45は、シャッター14を開状態に切り替えるような制御を実行する。
【0085】
<ステップS5> シャッターが開いたか?
制御部45は、シャッター用センサ16の検出結果に基づいて、シャッター14が実際に開状態に切り替わったか否かを判断する。その結果、シャッター14が開状態に切り替わったと判断された場合には、ステップS6に進む。そうでない場合は、ステップS4に戻る。
【0086】
シャッター14が実際に開状態に切り替わると、投光部7は光を出射し始める。ただし、投光部7は原点Poに位置しているので、投光部7の光は基板Wを照射しない。
【0087】
<ステップS6> 投光部7が処理位置に向かって動く
制御部45は、移動機構21を制御して、投光部7を原点Poから処理位置Ptに向かって動かす。
【0088】
<ステップS7> 投光部7が処理位置に到達したか?
制御部45は、変位量用センサ37の検出結果に基づいて、投光部7が処理位置Ptに到達したか否かを判断する。より詳しくは、制御部45は、変位量用センサ37の検出結果に基づいて第2方向Yにおける投光部7の移動量を特定し、第2方向Yにおける投光部7の移動量が変位量Δyに達したか否かを判断する。その結果、第2方向Yにおける投光部7の移動量が変位量Δyに達したと判断された場合には、制御部45は投光部7が処理位置Ptに到達したと判断し、ステップS8に進む。そうでない場合には、ステップS6に戻る。
【0089】
投光部7が処理位置Ptに到達すると、投光部7の光が基板Wの周縁部を照射し始める。すなわち、基板Wに対する露光処理が始まる。露光処理によって、基板W上に形成されているレジスト膜が露光される。ステップS6、S7は、本発明における露光開始工程の例である。
【0090】
<ステップS8> 時間を計測する
制御部45は、投光部7が処理位置Ptに到達したと判断された時刻から経過する時間を計測する。以下では、計測される時間を適宜に「計測時間」と呼ぶ。
【0091】
<ステップS9> 処理時間が経過したか?
制御部45は、計測時間が所定の処理時間に達したか否かを判断する。その結果、計測時間が処理時間に達したと判断された場合には、ステップS10に進む。そうでない場合には、ステップS8に戻る。処理時間は、例えば、基板Wが10周、回転するのに要する時間である。処理時間は、例えば5秒である。ステップS8、S9は、本発明における露光処理工程の例である。
【0092】
<ステップS10> 投光部7が原点に移動する
制御部45は、移動機構21を制御して、投光部7を処理位置Ptから原点Poに移動させる。投光部7が処理位置Ptから外れたとき(離れたとき)、露光処理が終了する。ステップS10は、本発明における露光終了工程の例である。
【0093】
<ステップS11> 基板が静止する
制御部45は、回転機構5を制御し、基板Wの回転を停止させる。基板Wは静止する。
【0094】
<ステップS12> シャッターが閉じる
制御部45は、開閉機構15を制御して、シャッター14を開状態から閉状態に切り替える。
【0095】
上述した実施例1によれば、以下の効果を奏する。
【0096】
ステップS6では、投光部7が光を出射しており、かつ、基板Wが回転している状態で投光部7が処理位置Ptに向かって動く。より厳密には、シャッター14が開状態であり、絞り17の開度が所定値であり、かつ、保持部3に保持された基板Wが回転している状態において投光部7が処理位置Ptに向かって動く。そして、投光部7が処理位置Ptに到達すると、露光処理が始まる(ステップS7)。露光処理が始まるとき、基板Wは回転している。最初に露光される基板Wの部位を「露光開始点」とすると、露光開始点は基板Wが回転している状態で露光される。よって、露光開始点が露光過多になることを好適に抑制できる。
【0097】
また、ステップS10では、投光部7が光を出射しており、かつ、基板Wが回転している状態で投光部7が処理位置Ptから原点Poに移動する。より厳密には、シャッター14が開状態であり、絞り17の開度が所定値であり、かつ、保持部3に保持された基板Wが回転している状態において投光部7が処理位置Ptから原点Poに移動する。ここで、投光部7が処理位置Ptから外れると、露光処理が終了する。露光処理が終了するとき、基板Wは回転している。最後に露光される基板Wの部位を「露光終了点」とすると、露光終了点は、基板Wが回転している状態で露光される。よって、露光終了点が露光過多になることを好適に抑制できる。
【0098】
ここで、上述した効果を具体的に説明するために、実施例1を比較例と対比する。比較例では、露光処理が始まるとき、基板Wは回転していない。また、比較例では、露光処理が終了するとき、基板Wは回転していない。
【0099】
このような比較例の動作を例示する。図6は、比較例に係る周縁露光装置の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【0100】
投光部は原点に位置する(ステップT1)。基板Wが保持される(ステップT2)。
【0101】
投光部が処理位置に移動する(ステップT4、T5)。シャッターが開く(ステップT5、T6)。これにより、基板Wの周縁部に対する露光処理が始まる。このように、比較例では、露光処理が始まるとき、基板Wが静止している。
【0102】
その後、基板Wが回転し始める(ステップT7)。基板Wは、例えば、1回転当たり3.2秒で回転する。基板Wの回転量が所定値に達するまで、基板Wを回転させる(ステップT8、T9)。所定値は、例えば、360度、または、360度より僅かに小さい値である。
【0103】
基板Wの回転量が所定値に達すると、基板Wが静止する(ステップT10)。その後、投光部が原点に移動する(ステップT11)。投光部7が処理位置から外れたとき、露光処理が終了する。このように、比較例では、露光処理が終了するとき、基板Wが静止している。また、露光処理の間に基板Wは2周以上回転しない。
【0104】
最後に、シャッターが閉じる(ステップT12)。
【0105】
図7(a)は実施例1による露光範囲を模式的に例示する図であり、図7(b)は比較例による露光範囲を模式的に例示する図である。図7(a)、7(b)はそれぞれ、基板Wの平面図において露光された範囲をハッチングで示す。
【0106】
比較例の場合、露光処理が始まるときに基板Wが回転していないので、露光開始点Qsが露光過多になる。また、露光処理が終了するときに基板Wが回転していないので、露光終了点Qfが露光過多になる。その結果、図7(b)に示すように、露光開始点Qsおよび露光終了点Qfでは、露光された範囲が膨らむ。言い換えれば、露光開始点Qsおよび露光終了点Qfでは、不要な領域が露光される。
【0107】
実施例1の場合、露光開始点Qsおよび露光終了点Qfが露光過多になることが好適に抑制されている。その結果、図7(a)に示すように、露光開始点Qsおよび露光終了点Qfでは、露光された範囲が膨らまない。言い換えれば、露光開始点Qsおよび露光終了点Qfでは、不要な領域が露光されない。
【0108】
なお、図7では、便宜上、実施例1における露光開始点Qsおよび露光終了点Qfを、比較例におけるそれらと同じ位置に図示した。ただし、実施例1の場合、露光開始点Qsと露光終了点Qfとの相対的な位置は、基板Wの回転速度と処理時間とによって決まる。比較例の場合、露光開始点Qsと露光終了点Qfとの相対的な位置は、基板Wの回転量に関する所定値によって決まる。
【0109】
実施例1のその他の効果を説明する。
露光処理が始まってから終了するまでの間、基板Wは回転し続けている。よって、基板Wの周縁部の全体にわたって露光量がばらつくことを好適に抑制できる。
【0110】
特に、露光処理が始まってから終了するまでの間、基板Wの回転速度は一定に保たれている。よって、露光開始点Qsおよび露光終了点Qfにおける処理条件が、露光開始点Qsおよび露光終了点Qf以外の基板Wの周縁部における処理条件と実質的に一致する。よって、基板Wの周縁部の全体にわたって露光量がばらつくことを一層抑制できる。
【0111】
周縁露光装置1は投光部用センサ31を備えている。よって、制御部45は、投光部7が処理位置Ptに位置しているか否かを好適に特定できる。
【0112】
特に、制御部45が露光処理を開始させるとき、制御部45は投光部用センサ31の検出結果に基づいて投光部7が処理位置Ptに到達したか否かを判断する(ステップS7)。これにより、制御部45は露光処理が始まった時刻を精度良く推定できる。
【0113】
制御部45は、露光処理が始まった時刻から経過する時間を計測する(ステップS8)。これにより、制御部45は、露光処理を施す時間を好適に管理できる。
【0114】
制御部45は、露光処理が始まった時刻から所定時間が経過すると、露光処理を終了させる(ステップS10)。これにより、露光処理を適切なタイミングで終了させることができる。
【0115】
露光処理時における基板Wの回転速度は、1秒当たり2周以上であり、比較的に速い。よって、投光部7が出射する光の強度を増大させた場合であっても、基板Wの周縁部を適切に露光できる。すなわち、露光処理の品質を保ちつつ、露光処理のスループットを向上させることができる。
【0116】
制御部45が時間を計測し始めたときから処理時間が経過するまでの間に、基板Wは10周、回転する。よって、基板Wの周縁部の全体にわたって露光量がばらつくことを一層抑制できる。
【0117】
周縁露光装置1は、シャッター用センサ16を備えている。よって、制御部45は、シャッター14が開状態であるか否かを好適に特定できる。
【0118】
周縁露光装置1は、絞り用センサ19を備えている。よって、制御部45は、絞り17の開度を好適に特定できる。
【実施例2】
【0119】
以下、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。実施例2に係る周縁露光装置1の構造は、基本的に実施例1と同等である。よって、実施例2の構造に関する説明を省略し、実施例2に係る動作例のみを説明する。以下の説明では、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで、詳細な説明を省略する。
【0120】
図8は、実施例2に係る周縁露光装置1の動作手順を示すフローチャートである。実施例2の動作手順は、実施例1の各ステップの順番を入れ換えたものである。このため、以下では、適宜に簡略に説明する。シャッター14は閉状態であり、絞り17の開度は100[%]であるものとして、動作説明を始める。
【0121】
投光部7が原点に位置する(ステップS21)。基板Wが保持部3に保持される(ステップS22)。基板Wが回転する(ステップS23)。続いて、投光部7が原点Poから処理位置Ptに移動する(ステップS24、S25)。
【0122】
その後、制御部45は開閉機構15を制御して、シャッター14を閉状態から開状態に切り替える(ステップS26)。その際、制御部45は、シャッター用センサ16の検出結果に基づいて、シャッター14が実際に開状態に切り替わったか否かを判断する(ステップS27)。その結果、シャッター14が開状態に切り替わったと判断された場合には、ステップS28に進む。そうでない場合は、ステップS26に戻る。
【0123】
シャッター14が開状態に切り替わると、投光部7が光を出射し始め、基板Wの周縁部を照射し始める。すなわち、露光処理が始まる。ステップS26、S27は、本発明における露光開始工程の例である。
【0124】
制御部45は、シャッター14が開状態に切り替わったと判断された時刻から時間を計測する(ステップS28)。そして、シャッター14が開状態に切り替わったと判断された時刻から処理時間が経過するまで、露光処理を継続する(ステップS29)。ステップS28、S29は、本発明における露光処理工程の例である。
【0125】
処理時間が経過すると、シャッター14が閉状態に切り替わる(ステップS30)。これにより、露光処理が終了する。ステップS30は、本発明における露光終了工程の例である。
【0126】
続いて、基板Wの回転が停止する(ステップS31)。その後、投光部7が処理位置Ptから原点Poに移動する(ステップS32)。
【0127】
上述した実施例2によれば、基本的に実施例1と同様な効果を奏する。以下では、実施例2の主たる効果を説明する。
【0128】
ステップS26では、投光部7が処理位置Ptに位置しており、かつ、基板Wが回転している状態においてシャッター14が閉状態から開状態に切り替わる。より厳密には、投光部7が処理位置Ptに位置しており、絞り17の開度が所定値であり、かつ、基板Wが回転している状態においてシャッター14が閉状態から開状態に切り替わる。シャッター14が開状態に切り替わると、露光処理が始まる(ステップS27)。露光処理が始まるとき、基板Wは回転している。露光開始点Qsは基板Wが回転している状態で露光される。よって、露光開始点Qsが露光過多になることを好適に抑制できる。
【0129】
また、ステップS30では、投光部7が処理位置Ptに位置しており、かつ、基板Wが回転している状態においてシャッター14が開状態から閉状態に切り替わる。より厳密には、投光部7が処理位置Ptに位置しており、絞り17の開度が所定値であり、かつ、保持部3に保持された基板Wが回転している状態においてシャッター14が開状態から閉状態に切り替わる。シャッター14が閉状態に切り替わると、露光処理が終了する。露光処理が終了するとき、基板Wは回転している。露光終了点Qfは、基板Wが回転している状態で露光される。よって、露光終了点Qfが露光過多になることを好適に抑制できる。
【0130】
制御部45が露光処理を開始させるとき、制御部45はシャッター用センサ16の検出結果に基づいてシャッター14が開状態に切り替わったか否かを判断する(ステップS27)。これにより、制御部45は露光処理が始まった時刻を精度良く推定できる。
【0131】
さらに、実施例2では、投光部7が処理位置Ptに位置している状態で露光処理が始まる。その結果、露光処理の最初から正規の幅で基板Wを露光できる。よって、露光開始点Qsを一層適切に露光できる。ちなみに、実施例1では、投光部7が処理位置Ptに移動することによって露光処理が始まるので、露光処理の最初から正規の幅で基板Wを露光することが困難である。
【0132】
図9を参照する。図9(a)は、実施例1による露光処理が始まった直後の露光範囲を模式的に例示する図であり、図9(b)は、実施例2による露光処理が始まった直後の露光範囲を模式的に例示する図である。図9(a)、(b)では、露光処理が始まった時から基板Wが角度θ3だけ回転する時までの間に露光された範囲をハッチングで示す。
【0133】
実施例1の場合、図9(a)に示すように、露光が始まった時から基板Wが角度θ2だけ回転する時まで、正規の幅で露光できない。図9(a)では、基板Wの回転量が角度θ1である時における露光幅dfと、基板Wの回転量が角度θ3である時における露光幅Dを示す。幅は、図示のとおり、基板Wの半径方向における距離である。露光幅Dは正規の幅であり、この露光幅Dよりも露光幅dfは小さい。なお、その後、露光処理が終了するまでに基板Wは2周以上回転するので、露光処理が始まった直後における露光量のばらつきは、好適に軽減される。
【0134】
実施例2の場合、図9(b)に示すように、露光が始まった時から正規の幅で露光できる。図9(b)では、露光が始まった時における露光幅DFと、基板Wの回転量が角度θ3である時における露光幅Dを示す。露光幅Dは正規の幅である。露光幅DFは、この露光幅Dと実質的に等しい。よって、露光開始点Qsを一層適切に露光できる。
【0135】
投光部7が処理位置Ptに位置している状態で露光処理が終了する。その結果、露光処理が終了する時まで正規の幅で基板Wを露光できる。よって、露光終了点Qfを一層適切に露光できる。
【実施例3】
【0136】
以下、図面を参照してこの発明の実施例3を説明する。実施例3に係る周縁露光装置1の構造は、基本的に実施例1と同等である。よって、実施例3の構造に関する説明を省略し、実施例3に係る動作例のみを説明する。以下の説明では、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで、詳細な説明を省略する。
【0137】
図10は、実施例3に係る周縁露光装置1の動作手順を示すフローチャートである。シャッター14は閉状態であるものとして、動作説明を始める。
【0138】
投光部7が原点に位置する(ステップS41)。基板Wが保持部3に保持される(ステップS42)。制御部45は、調整機構18を制御して、絞り17の開度を零(すなわち、0[%])に調整する(ステップS43)。基板Wが回転する(ステップS44)。続いて、投光部7が原点Poから処理位置Ptに移動する(ステップS45、S46)。シャッター14が開状態に切り替わる(ステップS47、S48)。
【0139】
制御部45は、調整機構18を制御して、絞り17の開度を零から増大させる(ステップS49)。絞り17の開度が零より大きくなると、投光部7は光を出射し始め、基板Wの周縁部を照射し始める。すなわち、露光処理が始まる。
【0140】
ここで、絞り17の開度は、少しずつ増大することが好ましい。言い換えれば、絞り17の開度は、徐々に増大することが好ましい。たとえば、制御部45は、絞り17の開度を1[%]ずつ増大させることが好ましい。
【0141】
また、絞り17の開度が、時間的に緩やかに増大することが好ましい。例えば、制御部45は、1秒当たり100[%]の割合で絞り17の開度を増大させることが好ましい。あるいは、制御部45は、基板Wが1回転するごとに50[%]ずつ、絞り17の開度を増大させることが好ましい。
【0142】
制御部45は、絞り用センサ19の検出結果に基づいて、絞り17の開度が所定値に達したか否かを判断する(ステップS50)。その結果、絞り17の開度が所定値に達したと判断された場合には、ステップS51に進む。そうでない場合には、ステップS49に戻る。ステップS49、S50は、本発明における露光開始工程の例である。
【0143】
制御部45は、絞り17の開度が所定値に達したと判断された時刻から時間を計測する(ステップS51)。そして、絞り17の開度が所定値に達したと判断された時刻から処理時間が経過するまで、絞り17の開度が所定値である状態で露光処理を継続する(ステップS52)。ステップS51、S52は、本発明における露光処理工程の例である。
【0144】
処理時間が経過すると、制御部45は調整機構18を制御して、絞り17の開度を減少させる(ステップS53)。
【0145】
ここで、絞り17の開度は、少しずつ減少することが好ましい。たとえば、制御部45は、絞り17の開度を1[%]ずつ減少させることが好ましい。
【0146】
また、絞り17の開度が、時間的に緩やかに減少することが好ましい。例えば、制御部45は、1秒当たり100[%]の割合で絞り17の開度を減少させることが好ましい。あるいは、制御部45は、基板Wが1回転するごとに50[%]ずつ、絞り17の開度を減少させることが好ましい。
【0147】
制御部45は、絞り用センサ19の検出結果に基づいて、絞り17の開度が零まで減少したか否かを判断する(ステップS54)。その結果、絞り17の開度が零まで減少したと判断された場合には、ステップS55に進む。そうでない場合には、ステップS53に戻る。絞り17の開度が零まで減少すると、投光部7は光を出射しなくなり、露光処理が終了する。ステップS53、S54は、本発明における露光終了工程の例である。
【0148】
続いて、シャッター14が閉状態に切り替わる(ステップS55)。基板Wの回転が停止する(ステップS56)。その後、投光部7が処理位置Ptから原点Poに移動する(ステップS57)。
【0149】
上述した実施例3によれば、基本的に実施例1と同様な効果を奏する。以下では、実施例3の主たる効果を説明する。
【0150】
ステップS49では、投光部7が処理位置Ptに位置しており、シャッター14が開状態であり、かつ、基板Wが回転している状態において絞り17の開度が零より大きくなると、露光処理が始まる。露光処理が始まるとき、基板Wは回転している。露光開始点Qsは基板Wが回転している状態で露光される。よって、露光開始点Qsが露光過多になることを好適に抑制できる。
【0151】
投光部7が処理位置Ptに位置している状態で露光処理が始まる。その結果、露光処理が始まる時から正規の幅で基板Wを露光でき、露光開始点Qsを一層適切に露光できる。
【0152】
また、絞り17の開度が零より大きくなることによって露光処理が始まるので、露光処理が始まるときに投光部7が出射する光の強度は、比較的に小さい。よって、露光開始点Qsが露光過多になることを一層抑制できる。
【0153】
さらに、絞り17の開度が少しずつ増大する場合、露光開始点Qsと露光開始点Qsに隣接する基板Wの周縁部との間で露光量が急激に変化することを抑制できる。
【0154】
図11を参照する。図11(a)は、実施例2による露光処理が始まった直後の露光範囲を模式的に例示する図であり、図11(b)は、実施例3による露光処理が始まった直後の露光範囲を模式的に例示する図である。図11(a)、(b)では、露光処理が始まった時から基板Wが角度θcだけ回転する時までの間に基板Wに対して露光処理が施された範囲をハッチングで示す。
【0155】
図11(a)に示すように、実施例2では、露光処理が始まった時から、絞り17の開度は所定値Acのままである。図11(b)に示すように、実施例3では、露光処理が始まった時から、絞り17の開度が、少しずつ増大する。図11(b)の例では、露光処理が始まった時から基板Wの回転量が角度θaである時までは、絞り17の開度はAaである。基板Wの回転量が角度θaから角度θbまでの期間では、絞り17の開度はAbである。基板Wの回転量が角度θbから角度θcである期間では、絞り17の開度はAcである。ここで、開度Abは開度Acより小さく、開度Acは開度Abより小さい。その結果、実施例3における露光開始点Qsにおける露光量は、実施例2における露光開始点Qsの露光量より小さい。
【0156】
露光開始点Qsと、露光開始点Qsに隣接する基板Wの周縁部Qjとの間における露光量の差(以下、適宜に「露光量の差」と略記する)に注目する。そうすると、実施例2に比べて実施例3では、露光量の差が小さい。このように、実施例3によれば、露光開始点Qsと、露光開始点Qsに隣接する基板Wの周縁部Qjとの間で露光量が急激に変化することを抑制できる。よって、露光開始点Qsの近傍を一層適切に露光できる。
【0157】
なお、実施例2の場合、露光処理が終了するまでに基板Wは2周以上回転するので、露光処理が始まった直後に露光開始点Qsの近傍に生じる露光量のばらつきは、好適に軽減される。
【0158】
投光部7が処理位置Ptに位置しており、シャッター14が開状態であり、かつ、基板Wが回転している状態において絞り17の開度が零まで減少すると、露光処理が終了する(ステップS53、S54)。露光処理が終了するとき、基板Wは回転している。露光終了点Qfは、基板Wが回転している状態で露光される。よって、露光終了点Qfが露光過多になることを好適に抑制できる。
【0159】
また、絞り17の開度が零まで減少することによって露光処理が終了するので、露光処理が終了するときに投光部7が出射する光の強度は、比較的に小さい。よって、露光終了点Qfが露光過多になることを一層抑制できる。
【0160】
さらに、絞り17の開度が少しずつ減少する場合、露光終了点Qsと露光終了点Qfに隣接する基板Wの周縁部との間で露光量が急激に変化することを抑制できる。
【0161】
露光処理が行われている間(ステップS51、S52)、保持部3に保持される基板Wは回転している。よって、基板Wの周縁部の全体にわたって露光量がばらつくことを好適に抑制できる。
【0162】
制御部45が露光処理を開始させるとき、制御部45は絞り用センサ19の検出結果に基づいて絞り17の開度が所定値まで増大したか否かを判断する(ステップS50)。これにより、制御部45は絞り17の開度が所定値まで増大した時刻を精度良く推定できる。
【0163】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0164】
(1)上述した実施例1では、周縁露光装置1は絞り17を備えていたが、これに限られない。すなわち、周縁露光装置1は絞り17を備えていなくてもよい。この場合、調整機構18および絞り用センサ19を省略してもよい。
【0165】
この変形実施例の場合、シャッター14が開状態であり、かつ、保持部3に保持された基板Wが回転している状態において投光部7が処理位置Ptに移動することによって、露光処理が始まる。このように、変形実施例によっても、露光開始点Qsが露光過多になることを好適に抑制できる。
【0166】
また、シャッター14が開状態であり、かつ、保持部3に保持された基板Wが回転している状態において投光部7が処理位置Ptから外れることによって、露光処理が終了する。このように、変形実施例によっても、露光終了点Qfが露光過多になることを好適に抑制できる。
【0167】
(2)上述した実施例2では、周縁露光装置1は絞り17を備えていたが、これに限られない。すなわち、周縁露光装置1は絞り17を備えていなくてもよい。この場合、調整機構18および絞り用センサ19を省略してもよい。
【0168】
この変形実施例の場合、投光部7が処理位置Ptに位置しており、かつ、基板Wが回転している状態においてシャッター14が開状態に切り替わることによって、露光処理が始まる。このように、変形実施例によっても、露光開始点Qsが露光過多になることを好適に抑制できる。
【0169】
また、投光部7が処理位置Ptに位置しており、かつ、保持部3に保持された基板Wが回転している状態においてシャッター14が閉状態に切り替わることによって、露光処理が終了する。このように、変形実施例によっても、露光終了点Qfが露光過多になることを好適に抑制できる。
【0170】
(3)上述した各実施例1−3によって、3種類の露光開始工程と、3種類の露光終了工程を例示した。ここで、いずれかの実施例における露光開始工程と他の実施例における露光終了工程とを組み合わせてもよい。例えば、実施例1における露光開始工程と実施例2における露光終了工程とを組み合わせてもよいし、実施例1における露光開始工程と実施例3における露光終了工程とを組み合わせてもよい。
【0171】
(4)上述した各実施例1−3では、絞り17の開度に関する所定値として、100[%]を例示したが、これに限られない。例えば、所定値は、調整機構18が調整可能な開度の最大値であってもよい。あるいは、所定値は、0[%]より大きく、100[%]より小さな値であってもよい。
【0172】
(5)上述した実施例3では、ステップS50において、絞り17の開度が所定値に達したと判断されると、ステップS49に戻らなかった(すなわち、絞り17の開度を更に増大させなかった)が、これに限られない。例えば、ステップS50において、絞り17の開度が所定値に達したと判断された後も、絞り17の開度をさらに増大させてもよい。
【0173】
例えば、絞り17の開度が第1所定値に達したと判断されると、制御部45は、時間を計測するとともに、絞り17の開度を更に第1所定値よりも高い第2所定値まで増大させてもよい。
【0174】
(6)上述した各実施例1−3は、原点Poと処理位置Ptとの相対的な位置関係を具体的に例示したが、これに限られない。原点Poと処理位置Ptとの相対的な位置関係は、適宜に変更することができる。
【0175】
(7)上述した各実施例1−3では、基板Wの回転速度の具体的な値を例示したが、これに限られない。例えば、基板Wは、例えば、1秒当たり2周以上で回転してもよい。
【0176】
(8)上述した各実施例1−3では、処理時間の具体的な値を例示したが、これに限られない。例えば、処理時間は、基板Wが2周以上、回転するのに要する時間であってもよい。
【0177】
(9)上述した各実施例1−3では、移動機構21はシャッター14および絞り17を移動させなかったが、これに限られない。すなわち、移動機構21は、シャッター14および絞り17の少なくともいずれかと、投光部7とを移動させてもよい。
【0178】
(10)上述した各実施例1−3および上記(1)から(9)で説明した各変形実施例については、さらに各構成を他の実施例の構成または他の変形実施例の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0179】
1 … 周縁露光装置
3 … 保持部
5 … 回転機構
7 … 投光部
14 … シャッター
15 … 開閉機構
16 … シャッター用センサ
17 … 絞り
18 … 調整機構
19 … 絞り用センサ
21 … 移動機構
31 … 投光部用センサ
Pt … 処理位置
Po … 原点(待機位置)
Qs … 露光開始点
Qf … 露光終了点
W … 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11