特許第6346901号(P6346901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346901
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】スクィーズタイプマスカラ容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
   A45D34/00 510
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-546394(P2015-546394)
(86)(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公表番号】特表2015-536753(P2015-536753A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】KR2013011292
(87)【国際公開番号】WO2014088368
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2016年11月25日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0142139
(32)【優先日】2012年12月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ヘ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ノ, ヨン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】シム, ミン キョン
(72)【発明者】
【氏名】チョエ, ヨン ジン
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−103322(JP,A)
【文献】 国際公開第00/071439(WO,A1)
【文献】 特開2006−136739(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/091128(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0294666(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム素材のパウチ型内容器;および
前記内容器の外部を取り囲む弾性物質素材の外容器;
を含み、
前記フィルムは、アルミニウム、ナイロン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー(TPE)、オレフィン樹脂、PA(polyamide)、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene naphthalate)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、COC(cyclic olefin copolymer)、EVA(ethylene‐vinyl acetate)およびEVAL(ethylene‐vinyl alcohol)からなる群より選択される1つ以上を使用したラミネートフィルムまたは多層フィルムであり、
前記弾性材料は、シリコーン、フルオロが添加されたシリコーン、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンおよびプロピレンゴム、ウレタンゴムおよび熱可塑性エラストマー(TPE)からなる群より選択される1つ以上であり、
前記外容器は、スクィーズすることによりマスカラ内容物を塗布部材に伝達する、マスカラ容器。
【請求項2】
前記弾性材料は、0.2〜0.5kgfの力を加えて1〜10mmの変形が起こる、請求項1に記載のマスカラ容器。
【請求項3】
前記フィルムは、マスカラ内容物保護のための遮断性を有する遮断性フィルムである、請求項1に記載のマスカラ容器。
【請求項4】
前記フィルムは、0.01〜0.5kgfの力を加えて1〜10mmの変形が起こる、請求項1に記載のマスカラ容器。
【請求項5】
前記内容器は、開口部に接着されたショルダー部および前記ショルダー部に着脱されるワイパー(wiper)を含む、請求項1に記載のマスカラ容器。
【請求項6】
前記ショルダー部は、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、ABS(Acrylonitrile, Butadiene, Styrene plastic)、AS(Acrylonitrile Styrene)、PET(polyethylene terephthalate)、PETG(polyethylene terephthalate, glycol)、PCTA(polycyclohexylene dimethylene terephtalate, acid)およびナイロンからなる群より選択される1つ以上である、請求項に記載のマスカラ容器。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項によるマスカラ容器;および
前記マスカラ容器内に担持された、200,000〜300,000mPa・sの粘度を有するマスカラ内容物;
を含むマスカラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクィーズタイプマスカラ容器に関し、より具体的に、弾性を有する外容器に圧力を加えてマスカラ内容物を塗布部材に効果的に伝達することにより、マスカラ使用期間の最初から最後まで、マスカラ内容物の使用量およびまつ毛塗布量を維持させるスクィーズタイプマスカラ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、マスカラ容器は、中空容器であって、PP、PE、PETなどの汎用樹脂をブロー(BLOW)成形をして製作され、平均0.5mm以上の厚さであって、5kgf以上の力でスクィーズしてもほとんど変形がない。
【0003】
マスカラの粘度は、通常100,000〜200,000mPa・sであって、ほぼ流動性がない。また、マスカラの一般的な使用は、中空容器の入口部分に、ブラシに担持された内容物の量を適切に調節する役割をするワイパー(Wiper)を中心に、直角にブラシを挿入、排出させるポンピング動作を通じて内容物をブラシに付けて担持させる。このとき、ブラシが容器内に入り、容器内の内容物を容器壁面に移動させて位置させることによってこれ以上流れなくなるため、容器内中心部分の内容物のみを使用することになる。内容物の使用期間が長くなるにつれ、中心部分のみ空になる空洞現象(空隙化現象)が現れることになる。このため、ブラシに付着して担持される内容物の量が少なくなる。内容物が少なく塗られることにより、マスカラ使用者はマスカラが乾燥された感じるようになり、このことは顧客の不満事項となってクレームへと繋がりもする。また、壁面に付着している内容物の量が、内容物充填容量の通常50%程度と非常に多い量であって、環境的側面や資源の効率性の側面からも好ましくない。
【0004】
内容物の組成においてワックスやポリマーといった粘着性のある固相の内容物の比重が多くなるほど、まつ毛に付着されるマスカラの量が多くなり、このような塗布量の強化は、ボリューム強化によりボリューム感のあるまつ毛を演出することを望む顧客にとって非常に大きな強みを感じさせる。しかし、内容物の粘度が高くなるほど、先に言及した空洞現象が深刻化して内容物の使用量が少なくなり、乾燥感を感じさせやすくする製品となる。
【0005】
従来のマスカラ容器の壁麺を柔らかくするために弾性のある素材を使用する技術が、公開特許第10‐2007‐0087569号において研究されたことがあるが、これは、中空容器の壁面下部の一部のみを柔軟にし、膨脹した状態としたマスカラを入れるための中空容器であるにすぎず、内容物を入れる内部パウチ構造および外部ゴム(シリコーン)の形態のスクィーズ可能容器ではなく、それにより内容物の使用量の側面において効果が劣るという問題があった。内容物の密閉や保護においても、密閉型パウチ構造を使用していないため乾燥の減量や内容物の商用性に問題が生じ、内容物が乾燥され、容器にワックスのような低分子量物質がにじみ出てきて商品性が低下することになる。これに加えて、チューブとワイパー(wiper)が結合された形態の容器は、ショルダー部の干渉や容器の広い直径のため内容物の使用量極大化が困難であり、スクィーズ物性が良好でなく、外部衝撃にも曝されやすく、ブラシの変形および損傷を受けやすい。
【0006】
これにより、内容物充填量の多くの部分を使用できるようにすることにより、環境に優しい製品を開発し、資源の効率的使用を通じて消費の合理化を可能にするマスカラが要求されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−103322号公報
【特許文献2】国際公開第00/71439号
【特許文献3】韓国公開特許第10−2007−0087569号公報
【特許文献4】米国特許第4780017号明細書
【特許文献5】特開2001−211930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のような問題点を解決するために、本発明は、弾性材料の外容器を使用して、マスカラ容器内部に担持されたマスカラ内容物と塗布部材との物理接接触を増加させ、時間の経過に伴いマスカラ内容物が乾燥して発生する空洞現象なしに、マスカラ内容物の使用量を最大化させる二重構造のスクィーズタイプマスカラ容器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような目的を解決するために、本発明は、フィルム素材のパウチ型内容器;前記内容器の外部を取り囲む弾性物質素材の外容器;を含むマスカラ容器を提供する。
【0010】
本発明の一実施例において、前記弾性物質は、0.2〜0.5kgfの力を加えて、1〜10mmの変形が起こるものであってよい。
【0011】
本発明の一実施例において、前記弾性材料は、シリコーン、フルオロが添加されたシリコーン、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンおよびプロピレンゴム、ウレタンゴムおよび熱可塑性エラストマー(TPE)からなる群より選択される1つ以上であってよい。
【0012】
本発明の一実施例において、前記フィルムは、マスカラ内容物保護のための遮断性を有する遮断性フィルムであってよい。
【0013】
本発明の一実施例において、前記フィルムは、0.01〜0.5kgfの力を加えて1mm〜10mmの変形が起こるものであってよい。
【0014】
本発明の一実施例において、前記フィルムは、アルミニウム、ナイロン、ウレタン、熱可塑性エラストマー(TPE)、オレフィン樹脂、PA(polyamide)、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene naphthalate)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、COC(cyclic olefin copolymer)、EVA(ethylene‐vinyl acetate)およびEVAL(ethylene‐vinyl alcohol)からなる群より選択される1つ以上を使用したラミネートフィルムまたは多層フィルムであってよい。
【0015】
本発明の一実施例において、前記内容器は、開口部に接着されたショルダー部および前記ショルダー部に着脱されるワイパー(wiper)を含むものであってよい。
【0016】
本発明の一実施例において、前記ショルダー部は、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、ABS(Acrylonitrile, Butadiene, Styrene plastic)、AS(Acrylonitrile Styrene)、PET(polyethylene terephthalate)、PETG(polyethylene terephthalate, glycol)、PCTA(polycyclohexylene dimethylene terephtalate, acid)およびナイロンからなる群より選択される1つ以上であってよい。
【0017】
本発明の一実施例において、前記マスカラ内容物は、200,000〜300,000mPa・sの粘度を有するものであってよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスクィーズタイプマスカラ容器によれば、使用者が外容器を軽くスクィーズすることにより、高粘度のマスカラ内容物を容易に塗布部材に伝達することができ、容器内のマスカラ内容物の残量を容易に吐出させるため、マスカラ開封後の使用時間に関わらず内容量の使用量を増加させ、これにより、十分な量のマスカラ内容物の塗布によるまつ毛のボリューム力増進効果を奏することができる。また、本発明のスクィーズタイプマスカラ容器の内容器の遮断性フィルムパウチは、マスカラ内容物の揮発および容器との相溶性を防止するため、マスカラ内容物の乾燥を防ぎ、品質を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るスクィーズタイプマスカラ容器の写真である。
図2】本発明の一実施形態に係るスクィーズタイプマスカラ容器を使用して空隙化現象が解消される原理を示す模式図である。
図3】従来のマスカラ容器の使用期間による内容物塗布量を示すグラフおよび写真である。
図4】本発明の一実施形態に係るスクィーズタイプマスカラ容器の使用期間による内容物塗布量を示すグラフおよび写真である。
図5】マスカラの内容物の粘度による塗布量を示すグラフである。
図6】従来のマスカラ容器を使用して現れる空隙化現象および内容物の使用量を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好適な実施例について詳細に説明することとする。
【0021】
本発明は、内部にマスカラ内容物を担持するマスカラ容器において、マスカラ内容物の保護のための遮断性を有する遮断性フィルム素材のパウチ型内容器20;および、前記内容器の外部を取り囲む弾性物質素材の外容器30を含む、二重構造のマスカラ容器を提供する。
【0022】
まず、本発明は、内容器の外部を取り囲む弾性物質素材の外容器を含む。
【0023】
弾性材料の伸縮ないし変形は、容易に内部の内容物をブラシにミキシングさせるのに非常に好ましい効果を示す。また、前記外容器は、摩擦力に優れるため、スクィーズにより内・外容器が分離されない。そして、伸縮力に優れるため、スクィーズによる原形回復が容易である。また、耐スクラッチ物性などに非常に優れ、外部コーティングをしなくてもよいため、コーティング費の節減を図ることができ、容器の後加工に要する単価も節減することができる。
【0024】
本発明において、弾性材料は、弾性ないし柔軟性を有する物質であれば特に限定されるものではない、0.5kgf以下の弱い力を加えたときに形態の変形が起こる物質であって、1mm以上、好ましくは5mm以上の変形が起こるものであってよい。このとき、変形は、垂直変形または屈曲変形であってよい。具体的に、0.2〜0.5kgf、好ましく0.2〜0.3kgfの力を加えて1〜10mmの変形が起こるものであってよい。力が0.2kgf未満であるとスクィーズが起こらず、0.5kgf超であると使用者が片手でスクィーズすることが難しい。変形が1mm未満であると、内容物のミキシング効果が微々たるものである。
【0025】
本発明において、弾性材料は、シリコーン、フルオロが添加されたシリコーン、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンおよびプロピレンゴム、ウレタンゴムおよび熱可塑性エラストマー(TPE)からなる群より選択される1つ以上であってよい。好ましくは、シリコーンであってよいが、特にこれに限定されるものではない。シリコーンは、乳児用乳首用として用いられるほど非毒性および優れた衛生性を有し、手に掴まれるスクィーズ感触が非常に優れる。
【0026】
マスカラ使用者は、吐出量の減少を通じて、内容物が乾燥したと感じるようになるが、これは、内容物の状態は変わらないが、内容物が容器の壁面にのみ付着し、ブラシに伝達がなされていないために生じる問題である。本発明のマスカラ容器の最外部である外容器は、弾性材料素材であるため、把持感に優れるとともに、使用者がマスカラ容器を手で掴み、弱い力を加えて押せばスクィーズされるため、内部のマスカラ内容物が空隙化現象を起こすことなく塗布部材と容易に接触および伝達されるようになる。
【0027】
一方、スクィーズが容易な弾性力のあるゴム材質(特に、シリコーン)は、内容物との相溶性が良くないため、内容物の低分子ワックス類およびオイル類を吸脱着して、素材ににじみ出てくるようになる。内容物の揮発性成分が容器の外に排出されると、内容物の減量が起こり、乾燥化が始まり、容器壁面からワックス類およびオイル類の臭いが出るようになる。したがって、本発明は、スクィーズが可能であるとともに、上述した問題点を解決するために、容器内部に遮断性フィルムパウチを内蔵した構造を適用する。
【0028】
すなわち、本発明は、マスカラ内容物の保護のための遮断性を有する遮断性フィルム素材のパウチ型内容器を含む。
【0029】
本発明において、遮断性とは、マスカラ内容物またはその一部がにじみ出たり外部に排出されたりすることを遮断して、マスカラ内容物を密閉および保護する性質をいう。本発明において、内容器は、パウチ形態であって、内容物の密閉および保護に有利な構造を有する。
【0030】
本発明において、遮断性フィルムは、マスカラ内容物保護のための遮断性を有するものであって、内容物の排出および乾燥化を防止するものであれば特に限定されない。ただし、遮断性フィルムパウチもまた、遮断性と同時に柔軟性を有するものでなければならない。
【0031】
したがって、本発明において、遮断性フィルムは、0.01〜0.5kgf、好ましくは、0.01〜0.3kgfの力を加えて1〜10mmの変形が起こる柔軟性を有する物質であってよい。このような柔軟性ないし弾性を有する内容器であってこそ、外容器に力が加えられた際に内容器にまで変形が起こる。
【0032】
本発明において、遮断性フィルムは、特に限定されるものではないが、アルミニウム、ナイロン、ウレタン、熱可塑性エラストマー(TPE)、オレフィン樹脂、PA(polyamide)、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene naphthalate)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、COC(cyclic olefin copolymer)、EVA(ethylene‐vinyl acetate)およびEVAL(ethylene‐vinyl alcohol)からなる群より選択される1つ以上を使用したラミネートフィルムまたは多層フィルムであってよい。
【0033】
前記遮断性フィルムは、400μm以下の厚さであることが好ましい。これは、400μm超であるとき、スクィーズ性が低下するからである。
【0034】
本発明の内容器は、パウチ形態の開口部に接着されたショルダー部21および前記ショルダー部に着脱されるワイパー(wiper)22を含んでよい。
【0035】
ワイパーは、マスカラ容器の特性上、塗布部材に付着している内容物を濾す役割をし、ショルダー部は、ワイパーを容器の開口部に固定させる。
【0036】
本発明において、前記ショルダー部を内容器の開口部に接着して、完全に密閉させる。接着は、熱接着、超音波接着、高周波接着、人体無害ボンド接着などによるものであってよく、好ましくは、熱接着を使用してよい。具体的に、熱接着は、治具で遮断性フィルムおよびショルダー部の下端部を接触させ、熱を加えて加工するものであってよい。
【0037】
前記ショルダー部と接着される開口部は、特に限定されるものではないが、楕円形が好ましい。接着部が楕円形である場合、押さえ量が多く、接着工程上、品質が優れるようになり得る。
【0038】
本発明において、ショルダー部は、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、ABS(Acrylonitrile, Butadiene, Styrene plastic)、AS(Acrylonitrile Styrene)、PET(polyethylene terephthalate)、PETG(polyethylene terephthalate, glycol)、PCTA(polycyclohexylene dimethylene terephtalate, acid)およびナイロンからなる群より選択される1つ以上であってよい。好ましくは、ワイパーを締結するのにより容易なPP(polypropylene)またはPE(polyethylene)であってよい。PEまたはPPは、熱接着性が良好であるため、密閉性および生産性が良好となる。また、軟性が高くてキャッピング時の密閉力に優れる。
【0039】
前記内容器およびショルダー部の接触部部分も、外容器によって覆い被されることが密閉性の増進および審美性において好ましい。
【0040】
本発明のマスカラ容器は、前記内容器が前記外容器内に内蔵される二重構造を形成する。これにより、内容器による内容物の密封および保護と、容器のスクィーズ物性を同時に具現することができる。本発明のマスカラ容器はスクィーズ物性を有することにより、手で容器を押して内部のマスカラ内容物が塗布部材、たとえばブラシに容易に伝達されるようし、内容物の空洞現象(空隙化現象)を防止して、マスカラ開封後の使用期間の経過に関わらず、一定量の内容物がまつ毛に塗布され得るようにする。本発明の一実施形態に係るスクィーズタイプマスカラ容器を使用して空隙化現象が解消される原理を示す模式図を図2に示した。
【0041】
本発明は、マスカラ容器に担持されるマスカラ内容物の充填量に対して60体積%、好ましくは、80体積%以上を使用してよい。
【0042】
本発明において、マスカラ内容物は、特に限定されるものでないが、特に、200,000〜300,000mPa・sの高粘度を有するものであってよい。マスカラ内容物の粘度が増加すると、まつ毛のボリューム力向上効果に優れるのに対し、従来のマスカラ容器では、乾燥速度および内容物の空洞現象が深刻であるという問題があった。本願発明は、二重構造により、上述したような問題を解決することができるので、高粘度のボリューム力増進用マスカラに適用され得る。
【0043】
以下の実施を通じて、本発明がより詳細に説明される。ただし、実施例は、本発明を例示するためのものであって、これらのみをもって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0044】
[実施例1]
シリコーン樹脂の外容器およびPET/PEフィルムの内容器を使用してスクィーズタイプマスカラ容器を製造し、これにマスカラ内容物を担持した。
【0045】
[実験例1]マスカラの使用期間による内容物の塗布量変化
前記実施例1によるスクィーズタイプマスカラを3ヶ月間使用しつつ、まつ毛に塗布される内容物の量を測定した。その結果を図4に示した。また、同一の実験を、既存のマスカラを利用して行った。その結果を図3に示した。
【0046】
図3から見られるように、初期マスカラ塗布量が、1ヶ月経過後からは1/2以下に減少したことが分かる。人造まつ毛への塗布テストの結果も、塗布量が目に見えて減少することが分かった。一方、図4から見られるように、本発明に係るマスカラは、初期1ヶ月の塗布量が、2ヶ月、3ヶ月経過してもほとんど変化がないことを知ることができる。このことは、人造まつ毛塗布テストの結果からも確認することができた。
【0047】
[実験例2]内容物の粘度による塗布量変化
前記実施例1にスクィーズタイプのマスカラを使用して、粘度126,000mPa・s、208,000mPa・sおよび340,000mPa・sの内容物をもってまつ毛に塗布した。その結果を図5に示した。
【0048】
既存のマスカラに一般的に使用されていた粘度100,000〜200,000mPa・sの内容物に比べ、粘度340,000mPa・sの内容物が、約30%以上塗布量が増加することを確認することができた。このように、本発明のマスカラ容器を導入することにより、優れたボリューム力向上を与えることのできる高粘度の内容物の処方が可能となったのである。すなわち、本発明によるスクィーズマスカラは、高粘度の内容物を使用することのできる構造を有する。
【0049】
[実験例3]内容使用率の測定
前記実施例1によるスクィーズタイプのマスカラと、既存のマスカラ5種を比較例1〜5として、マスカラがこれ以上ブラシに付着して出てこなくなるまで使用した。その後、充填量に対する内容物使用量の比率を計算して、下記表1および図6に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
本発明による実施例1に比べて、既存のマスカラ容器は、高粘度の内容物を充填する場合、内容物の流れ性が低下して、壁面に付着して残る量が多くなるので充填量の多くの量を使用できなくなることを確認することができる。このような内容物残量の問題は、先に言及したところのように、内容物が壁面に付いて流れず、マスカラ軸が中空容器の中心軸を基準に上下往復運動を通じて使用されるため、内容物の中央部分のみ掻き出される空洞現象が発生するためである。
【0052】
これに反して、実施例1は、80%以上の内容を使用することができた。すなわち、本発明のスクィーズマスカラ容器の使用により、ボリューム力増進効果を与えるマスカラ製品の開発が可能になったのである。
【符号の説明】
【0053】
10 外キャップ
11 軸
20 内容器
21 ショルダー部
22 ワイパー
30 外容器
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6