(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346902
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】エレクトロルミネッセンスナノワイヤを製造する最適化された方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/22 20100101AFI20180611BHJP
H01L 33/06 20100101ALI20180611BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20180611BHJP
【FI】
H01L33/22
H01L33/06
H01L33/08
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-548296(P2015-548296)
(86)(22)【出願日】2013年10月10日
(65)【公表番号】特表2016-504768(P2016-504768A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】EP2013071161
(87)【国際公開番号】WO2014095110
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年8月12日
(31)【優先権主張番号】1262474
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515151273
【氏名又は名称】アレディア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カッリ,カルロ
【審査官】
小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−298106(JP,A)
【文献】
特表2012−513115(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/160051(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/156620(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面上にナノワイヤ(NTn)の配列を作製するプロセスであって、前記ナノワイヤが、電気的又は光学的制御の作用の下で少なくとも1つの波長(λ)で放射線を放射することが可能な部分を含み、かつ少なくとも部分的に導電性上部層を介して互いに電気的に接続されている、プロセスにおいて、活性ナノワイヤ(NTj)の中で不良ナノワイヤ(NTi)のサブセットを特定することを可能にする工程を含み、前記工程が、
− 前記放射波長(λ)に感受性のあるネガ型フォトレジストの層を製造し、前記ナノワイヤの前記配列を覆う段階と、
− 電気的制御又は光学的制御の下で前記ナノワイヤの前記配列を活性化することにより、前記活性ナノワイヤが前記放射線を放射し、前記放射線が前記ネガ型レジストの溶解度を低下させる段階と、
− 前記レジストを現像し、溶解度を低下させた区域を残し、前記活性ナノワイヤ(NTj)を囲み、溶解度が低下されなかった領域において前記レジストを除去する段階と、
前記不良ナノワイヤに位置する前記導電性層を除去する段階と、
を含み、
前記レジストは、2つの連続するナノワイヤ間の隙間(Oi)を含有し、
前記プロセスはさらに、前記隙間(Oi)において前記波長λに吸収性のある機能部(Mλi)を製造する段階を含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
基板の表面上にナノワイヤ(NTn)の配列を作製するプロセスであって、前記ナノワイヤが、電気的又は光学的制御の作用の下で少なくとも1つの波長(λ)で放射線を放射することが可能な部分を含み、かつ少なくとも部分的に上部導電性層を介して互いに電気的に接続されているプロセスにおいて、活性ナノワイヤ(NTj)の中で不良ナノワイヤ(NTi)のサブセットを特定する工程を含み、前記工程が、
− 前記放射波長に吸収性があり、かつ補助波長(λa)と称される波長に感受性のあるポジ型フォトレジストの層を堆積させ、前記ナノワイヤの全体を覆う段階と、
− 前記ポジ型レジストを、2つの連続するナノワイヤ間に位置する領域を除いて、前記補助波長(λa)の放射線で露光させて、溶解度を低下させた機能部(Mλj)を作成する段階と、
− 前記ポジ型レジストを現像して、前記基板の表面上の2つの連続するナノワイヤ間に溶解度を低下させた前記ポジ型レジスト機能部(Mλj)のみを残す段階と、
− 前記放射波長(λ)に感受性のあるネガ型フォトレジストの層を堆積させ、前記ナノワイヤの全体及び2つの連続するナノワイヤ間に位置する前記機能部の全体を覆う段階と、
− 電気的制御又は光学的制御の下で前記ナノワイヤの全体を活性化することにより、前記活性ナノワイヤが前記放射線を放射し、前記放射線が前記ネガ型レジストの溶解度を低下させる段階と、
− 前記ネガ型フォトレジストを現像し、溶解度を低下させた区域を残し、前記活性ナノワイヤを囲み、溶解度が低下されなかった領域において前記ネガ型フォトレジストを除去する段階と、
− 前記不良ナノワイヤに位置する前記導電性層を除去する段階と、
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項3】
前記ナノワイヤの構造が、III−Vヘテロ接合に基づくことを特徴とする、請求項1または2に記載の基板の表面上にナノワイヤ(NTn)の配列を作製するプロセス。
【請求項4】
前記ナノワイヤが、約235nmとなり得る波長での光学的制御により活性化されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板の表面上にナノワイヤ(NTn)の配列を作製するプロセス。
【請求項5】
前記導電性層が、化学的操作により除去されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板の表面上にナノワイヤ(NTn)の配列を作製するプロセス。
【請求項6】
前記ナノワイヤが、GaN又はGaNを含有する合金に基づくことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板の表面上にナノワイヤ(NTn)の配列を作製するプロセス。
【請求項7】
GaN又はGaNを含有する合金、GaN又はnドープGaNを含有する合金、及びGaN又はpドープGaNを含有する合金に基づくヘテロ接合ナノワイヤのエピタキシャル成長を含むことを特徴とする、請求項6に記載の基板の表面上にナノワイヤ(NTn)の配列を作製するプロセス。
【請求項8】
前記基板に垂直な面における軸方向のエピタキシャル成長の工程を含むことを特徴とする、請求項7に記載の基板の表面上にナノワイヤ(NTn)の配列を作製するプロセス。
【請求項9】
前記基板の面に平行な面における半径方向のエピタキシャル成長の工程を含むことを特徴とする、請求項7に記載の基板の表面上にナノワイヤ(NTn)の配列を作製するプロセス。
【請求項10】
基板の表面上への発光ダイオードの配列のウエハスケール作製のプロセスにおいて、
− 前記基板の表面上にナノワイヤ(NTn)の一連の配列を作製する前記プロセスであって、前記ナノワイヤが、少なくとも1つの波長(λ)で放射線を放射することが可能な光伝導性部分を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセスと、
− 前記基板を切断し、それぞれがナノワイヤ(NTn)の1つの配列を含む単一の発光ダイオードを得る段階と、
を含むことを特徴とする、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、発光ナノワイヤに基づき、かつ、例えば、光を生成するために使用され得る部品、特に発光ダイオード(LED)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数年の間に、例えば、p−n接合を含有し、かつ並列に一括して接続される垂直InGaN/GaNナノワイヤに基づく可視発光ダイオード(LED)が製造されている。
【0003】
一般に、用語「ナノワイヤ」は、その基部の大きさが数百ナノメートルほどに小さく成り得るワイヤを指す。
【0004】
その潜在的な固有の特性(良好な結晶品質、垂直自由表面での歪み緩和、導波による良好な光取り出し効率、等)により、ナノワイヤは、平面(2D)構造で作製された従来のGaNのLEDが現在直面する問題を軽減する非常に有望な候補と考えられている。
【0005】
ナノワイヤLEDを製造するための、異なる成長法に基づく2つのアプローチが、CEA、Grenobleで開発されている。
【0006】
第1の技術的アプローチは、InGaN量子井戸を含有するGaNナノワイヤを、分子線エピタキシ(MBE)により、軸方向構成でエピタキシャル成長させることを含む。これらのナノワイヤから作製されるデバイスは、緑色スペクトル領域で非常に劇的な結果をもたらしている。処理された1mm
2のチップは、100mAのDC動作電流に対して550nmで約10μWを放射することができる。
【0007】
図1は、このような構成を示し、下部接点10に接触する基板11(典型的にはシリコンから成る)の表面上のナノワイヤNT
i、及び透明層12により確保される上部p型接点を示しており、接点再分配は、厚い再分配接点13を介して達成される。軸方向に構造化されたナノワイヤNT
iは、典型的にはnドープGaNから成り得るnドープ区域、InGaNから成るか又は量子井戸若しくは多量子井戸構造を有する活性区域ZA、及びpドープGaNから成り得るpドープ区域を含有する。
【0008】
分子線エピタキシ(MBE)法を用いれば、ランダムな核形成メカニズムにより特定の不均一性が現れるが、典型的には、550nmでの単一ワイヤの放射に対して50nWの光強度、すなわち、100ナノワイヤエミッタ/mm
2で5W/mm
2が得られている。
【0009】
より最近では、金属有機化学蒸着(MOCVD)成長法により、半径方向LED構造(コア/シェル構造)を含有するInGaN/GaNナノワイヤを製造することが可能になっている。
【0010】
図2は、この種の構成を示し、ナノワイヤNT
nは、例えばシリコン基板とGaNナノワイヤとの間の格子整合を可能にする核形成層21で覆われる基板20の表面上に製造される。
【0011】
ナノワイヤの構造は、典型的には10
19cm
−3のドーパント密度でドープされたnドープGaNから成るコア22で構成される光伝導性部分と、それぞれInGaN及び非ドープGaNであり得る交互層24、23で構成される量子井戸構造と、最後に典型的には10
19cm
−3のドーパント密度でドープされたpドープGaN層25とを含む。絶縁誘電体層26は、コア22及び上部接点を絶縁するために設けられる。それは、典型的には、SiO
2又はSiNの堆積物であってもよい。上部接点は、光伝導性構造の放射波長に対して透明な上部導電性層27を介して作られている。
【0012】
この技術的アプローチでは、LED構造はコア/シェル構成を有するので、活性区域の面積は、2DナノワイヤLEDアプローチよりも大きい。
【0013】
この特性には2つの利点があり、活性区域において、放射面積を増大させ、電流密度を低下させる。完全なMOCVDナノワイヤLED構造が、シリコン基板上に製造されており、青色スペクトル領域(450nm)での発光が、技術的な処理後のナノワイヤの統合配列に対して得られている。
【0014】
ナノワイヤを成長させるために使用される技術によって、数十万のワイヤを、典型的には1mm
2となり得る領域上のチップの表面上に製造することができる。
【0015】
このような新規構造は、ナノテクノロジの出現を利用するものであるが、放射面積の増大、及びそれ故に放射光束の増大という利点を有する。
【0016】
それでも、この種のLEDは、並列接続された非常に相当な数のナノワイヤで構成されるので、非常に小数の不良ナノワイヤでさえも作製プロセス再現性不良の原因となり、LED故障を引き起こし得ることが留意されるだろう。
【0017】
具体的には、数ミリメートル角の基本LEDが0.1%未満の不良ナノワイヤを含む場合、これは、約100の使用不能なナノワイヤに相当する。これは、特に、活性区域が正常に機能しなくなる短絡又は構造欠陥によるものであり、作製プロセスにおいて生成される。
【0018】
一般に、ナノワイヤはまた、その放射波長よりも短い第1の波長で放射線を吸収することが可能であってもよく、したがって、所望の放射波長で放射するように光学的に制御することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
このような状況において、本発明は、デバイス、及び特にLEDを作製する最適化されたプロセスであって、不良ナノワイヤを分離することを可能にするプロセスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
より正確には、本発明の一つの主題は、基板の表面上にナノワイヤの配列を作製するプロセスであって、前記ナノワイヤが、電気的又は光学的制御の作用の下で少なくとも1つの波長λで放射線を放射することが可能な部分を含み、かつ少なくとも部分的に導電性上部層を介して互いに電気的に接続されているプロセスにおいて、活性ナノワイヤの中で不良ナノワイヤのサブセットを特定することを可能にする工程を含み、前記工程が、
− 前記放射波長λに感受性のあるネガ型フォトレジストの層を製造し、前記ナノワイヤの配列を覆う段階と、
− 電気的制御の下又は光学的制御の下で前記ナノワイヤの配列を活性化することにより、前記活性ナノワイヤが前記放射線を前記レジストに向けて放射し、前記放射線が前記ネガ型レジストの溶解度を低下させる段階と、
− 前記不良ナノワイヤと同じ水準の前記レジストを現像し、溶解度を低下させた区域を残し、前記活性ナノワイヤを囲む段階と、
− 前記不良ナノワイヤの上方の前記導電性層を除去する段階と、
を含むことを特徴とする、プロセスである。
【0021】
前記レジストが2つの連続するナノワイヤ間の隙間を含有する、本発明の一変形例によれば、プロセスは、前記隙間において前記波長λに吸収性のある機能部を製造する段階を含む。
【0022】
有利には、ネガ型フォトレジストは、ナノワイヤの形状に合うコンフォーマルコーティングを形成するようにコンフォーマルであってもよい。
【0023】
本発明の別の主題は、基板の表面上にナノワイヤの配列を作製するプロセスであって、前記ナノワイヤが、電気的又は光学的制御の作用の下で少なくとも1つの波長λで放射線を放射することが可能な部分を含み、かつ少なくとも部分的に上部導電性層を介して互いに電気的に接続されているプロセスにおいて、活性ナノワイヤの中で不良ナノワイヤのサブセットを特定する工程を含み、前記工程が、
− 補助波長λ
aと称される波長に吸収性があり、かつ感受性のあるポジ型フォトレジストの層を堆積させ、前記ナノワイヤの全体を覆う段階と、
− 前記ポジ型レジストを、2つの連続するナノワイヤ間に位置する領域を除いて、前記補助波長λ
aの放射線で露光させる段階と、
− 前記ポジ型レジストを現像して、前記基板の表面上の2つの連続するナノワイヤ間の前記領域に位置する溶解度を低下させた機能部を規定する段階と、
− 前記放射波長λに感受性のあるネガ型フォトレジストの層を堆積させ、前記ナノワイヤの全体及び2つの連続するナノワイヤ間に位置する機能部の全体を覆う段階と、
− 電気的制御又は光学的制御の下で前記ナノワイヤの全体を活性化することにより、前記活性ナノワイヤが前記放射線を放射し、前記放射線が前記ネガ型レジストの溶解度を低下させる段階と、
− 不良ナノワイヤと同じ水準の前記ネガ型フォトレジストを現像し、溶解度を低下させた区域を残し、前記活性ナノワイヤを囲む段階と、
− 前記不良ナノワイヤの上方の前記導電性層を除去する段階と、
を含むことを特徴とするプロセスである。
【0024】
本発明の一変形例によれば、GaN又はGaNに基づく合金から成り得る、ナノワイヤの構造は、III−Vヘテロ接合に基づく。
【0025】
本発明の一変形例によれば、プロセスは、前記ネガ型フォトレジストを通して接点を製造する段階を含む。
【0026】
本発明の一変形例によれば、前記ナノワイヤの活性化は、ネガ型フォトレジストにおいて約300〜400mJ/cm
2の線量を生じる。
【0027】
本発明の一変形例によれば、前記ナノワイヤが、光学的制御により活性化される。別の波長で放射線を放射するために、典型的には、ナノワイヤの放射波長よりも短い235nmの励起波長で放射し、ナノワイヤの活性区域が感受性のあるHeCdレーザーを使用することができる。
【0028】
本発明の一変形例によれば、導電性層は、化学的操作により除去される。
【0029】
本発明の一変形例によれば、基板は、典型的には10
19cm
−3のドーパント密度でドープされた高nドープシリコンから成る。
【0030】
有利には、シリコン基板に対する前記波長λで放射される放射線の反射を確実にする機能が提供されるように、ナノワイヤ間の隙間に金属層を堆積させるようにしてもよい。
【0031】
本発明の一変形例によれば、プロセスは、GaN又はGaNを含有する合金、GaN又はnドープGaNを含有する合金、及びGaN又はpドープGaNを含有する合金に基づくヘテロ接合ナノワイヤのエピタキシャル成長を含む。
【0032】
本発明の一変形例によれば、プロセスは、基板に垂直な面における軸方向エピタキシャル成長の工程を含む。
【0033】
本発明の一変形例によれば、プロセスは、基板の面に平行な面における半径方向エピタキシャル成長の工程を含む。
【0034】
本発明の一変形例によれば、エピタキシャル成長工程は、MOCVDにより実行される。
【0035】
本発明の一変形例によれば、導電性層は、インジウム錫酸化物(ITO)又は酸化亜鉛から成る。
【0036】
本発明の一変形例によれば、プロセスは、基板上の基板ナノワイヤ間に、波長λでの放射に対して反射性であり得る金属層を堆積させる工程を含む。
【0037】
本発明の別の主題は、発光ダイオードを作製するプロセスにおいて、本発明による基板の表面上にナノワイヤの配列を作製するプロセス、を含むことを特徴とするプロセスである。
【0038】
本発明のさらに別の主題は、基板の表面上への発光ダイオードの配列のウエハスケール作製のプロセスにおいて、
− 前記基板の表面上にナノワイヤの一連の配列を作製するプロセスであって、前記ナノワイヤが、本発明により、少なくとも1つの波長λで放射線を放射することが可能な光伝導性部分を含む、プロセスと、
− 前記基板を切断し、それぞれがナノワイヤの1つの配列を含む単一の発光ダイオードを得る段階と、
を含むことを特徴とする、プロセスである。
【0039】
以下の、添付の図面に関連して与えられる非限定的な説明を読むことにより、本発明がより良く理解され、他の利点が明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】従来技術による、軸方向に構造化されたナノワイヤを使用する第1のLED構成を示す図である。
【
図2】従来技術による、半径方向に構造化されたナノワイヤを使用する第2のLED構成を示す図である。
【
図3】基板の表面上にナノワイヤを作製する本発明によるプロセスの第1の実施例の第2の工程に使用されるコンフォーマルネガ型レジストの堆積を示す図である。
【
図4a-4c】本発明によるプロセスの第1の実施例の第3の工程であって、吸収性機能部と、このように得られたその構造の電気的制御部とを製造する段階を含み、かつ不良ナノワイヤを特定することを可能にする、工程を示す図である。
【
図5】本発明によるプロセスの第1の実施例における不良ナノワイヤの露光に関する第4の工程を示す図である。
【
図6】ネガ型レジストの完全な除去に関する第5の工程を示す図である。
【
図7a-7b】従来の作製プロセス、及び本発明のプロセスによる、相互接続線へのナノワイヤの接続を示す概略上面図である。
【
図8a-8d】本発明によるプロセスの第2の実施例の第1の一連の工程であって、ポジ型フォトレジストを使用する段階と、作製の第1の実施例の
図4aに示されるものと同等の構造を得ることを可能にするポジ型レジスト機能部を製造する段階と、を含む工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、以下で、青色スペクトル領域(450nm)で放射するGaN系の光伝導性材料を使用し、コア/シェル構造であり、かつシリコン基板上に作製される発光ダイオードの作製という面において、より正確に説明されるだろう。
【0042】
一般に、使用される基板はGaN、又はサファイア若しくは実際にシリコンから成り得るが、後者は、マイクロエレクトロニクス技術における基板として非常に広く使用されるので、特に大量生産に関するコストの点で、やはり多くの利点を有する。
【0043】
作製プロセスの第1の実施例が、特に
図3〜5に基づいて、コア/シェル構造に関して、説明される。
【0044】
従来技術と共通する第1の一連の工程:
図2に示されるようなナノワイヤNT
nの配列が製造される。
【0045】
第2の一連の工程:
図3に示されるように、光伝導性ナノワイヤの放射波長範囲で感受性のあるネガ型フォトレジスト30が、その後、堆積される。この種のネガ型レジストを用いれば、露光された区域において、光子がネガ型フォトレジストと反応し、その溶解度特性を低下させ、露光されたレジストは、より溶解し難くなる。
【0046】
選択された機能部は、現像剤にあまり可溶性でない区域が、基板の表面上の場所に残されるので、その後、現像剤(典型的には水性塩基性溶液)に暴露することができ、レジストの残りの部分が、その中に溶解される。
【0047】
レジストはさらに、コンフォーマルコーティングを形成可能なように、すなわち、ナノワイヤの形状にできるだけ厳密に合うように、選択することができる。それは、例えば、MichroChem製の噴霧可能なXP Microspray(著作権)レジストであってもよい。形成されたコンフォーマルレジストコーティングにより、隙間又は開口Oiを2つの隣接するナノワイヤ間に残すことが可能になる。
【0048】
フォトレジストの堆積の工程中、接点パッド(図示せず)は保護される。
【0049】
第3の一連の工程:
プロセスは、その後、継続し、
図4aに示されるように、隙間Oi内のインクの堆積により、ナノワイヤの感受性波長範囲に吸収性のある材料から成る吸収性機能部M
λiを規定することが可能となる。典型的には、それは、アクリル溶液内の銅フタロシアニン及びジスアゾピラゾロンの混合物であってもよい。
【0050】
制御パッドから電流を注入することにより、ナノワイヤは、
図4bに示されるように活性化される。この図は、2つの活性ナノワイヤNT
j及び1つの不良ナノワイヤNT
iを示し、ナノワイヤにより放射される放射線が太い矢印で表される。吸収インク及びこのような隙間O
i内の機能部M
λiの利点は、それらが、不良ナノワイヤを被服するレジストが近隣のナノワイヤにより照明されることを防ぐという事実にある。
【0051】
生成された照明は、レジストの領域30bにおいて、露光レジスト部を未露光レジスト部と異なるように描く
図4cに示されるように、比較的不溶性のレジストの区域を作成する。
【0052】
このテストフェーズを実行するために、電子テストシステムとナノワイヤの配列が製造された基板との間のインタフェースとして作用する制御ボードを使用することが有利には可能である。
【0053】
典型的には、制御ボードは、テスト台と機械的に結合され、制御装置と電気的に接続される。その目的は、テストシステムとナノワイヤの配列を含む基板上の回路との間の電気的経路を提供することであり、ほとんどの場合、基板が基本モジュールへ切断される前に、このようにして、ウエハスケールで回路をテストし、検証することが可能となる。
【0054】
電気的制御の代替には、光学的制御がある。具体的には、選択された放射波長で放射線を放射させるために、全てのナノワイヤNT
nをそれらが感受性のある波長で励起することも可能である。
【0055】
ナノワイヤの放射波長よりも短い235nmであり、レジスト30を透過する励起波長で放射するレーザーを使用することが可能である。例えば構造的欠陥により不良であるナノワイヤは、ネガ型フォトレジストの溶解度を変更することが可能な放射線を放射することができないだろうし、したがって、活性ナノワイヤNT
iの周りに保護外被を維持することが可能である。
【0056】
第4の一連の工程:
フォトレジストは、その後、現像され、吸収要素も取り込んでいる、比較的不溶性にされなかった領域(したがって、領域30bを除く全ての領域)において除去される。特に金属元素に対する選択行動で知られる、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)から構成される群から選択される、四級アンモニウム化合物に基づく溶液を使用することが有利に可能である。この溶液の濃度は、例えば、0.26Nであってもよい。
【0057】
その後、ITOから成り得る、前記ナノワイヤが露光されたための短絡により不良であるナノワイヤと同じ水準の導電性層27を除去することが可能である。この除去は、化学エッチングで実行されてもよい。典型的には、ITOの場合、2対1.5の比率のHCl及びFeCl
3に基づく溶液が使用されてもよい。
図5は、この導電性層の除去を示している。
【0058】
第5の工程:
活性ナノワイヤNT
jの周りに残るレジストは、その後、
図6に示されるように、アセトンで除去することができる。
【0059】
上記一連の工程の組は、このように、導電性層で覆われる活性ナノワイヤNjのみをもたらす。
【0060】
このようにして、高品質LEDの製造を可能にする光伝導性ナノワイヤの配列を含む基板が得られる。
【0061】
図7a及び7bは、従来技術、及び本発明による、不良ナノワイヤを分離することを可能にする上部接触層を示している。
【0062】
図7aは、その周囲に、基板上の接点再分配リング40を示しており、不良ナノワイヤを含むナノワイヤNT
nの全体は、上部導電性層27に接触する。
【0063】
図7bは、本発明のプロセスで得られる構成を示しており、不良ナノワイヤN
iがもはや層27に接触せず、前記不良ナノワイヤが離脱され、それらの頂部25、及び局所的には誘電体層26が露光されることを示している。
【0064】
作製プロセスの第2の実施例:
本発明のプロセスの一変形例は、ポジ型フォトレジストを使用し、吸収性機能部を製造し、その後、非コンフォーマルネガ型フォトレジスト使用する段階を含んでもよい。
【0065】
これを行うために、
図8aに示されるように、特に上述の第1の実施例の第1の一連の工程における工程の組の後に、基板の表面上にナノワイヤを製造するために、ナノワイヤの放射領域(典型的には、この波長は、UV領域に位置してもよく、より正確には、370nm未満でもよい)以外のスペクトル領域に属する補助波長λ
aに感受性のあるポジ型フォトレジスト50が堆積される。
【0066】
図8bは、溶解度の増加した領域50aを形成することを可能にする、局所露光工程を示している。
【0067】
このポジ型レジストの現像は、
図8cに示されるように、基板の表面上で2つの連続するナノワイヤ間に機能部M
λj(前記ポジ型レジストの現像中に溶解されなかった)を残す。
【0068】
次に、このレジスト用にコンフォーマルコーティングを形成する必要なく、波長λに感受性のあるネガ型フォトレジスト30が堆積され、
図8dに示されるように、レジストは、ポジ型レジスト及び機能部M
λjにわたって堆積される。
【0069】
上記工程の組は、上述の第1の例示的なプロセスのものと均等であってもよい。
【0070】
前述のナノワイヤを作製するプロセスがどのようなものであれ、それは、ナノワイヤがサブセットに編成され、それぞれのサブセットが接続パッドに接続される、10
7ナノワイヤ/cm
2の程度であり得る濃度を有するナノワイヤを含むウエハを、ウエハスケールで処理することを可能にする。テスト方法は、ウエハスケールで、それぞれ全ての不良ナノワイヤを暴露し、かつ電気的に分離することを可能にし、その後、個別のLEDを製造することを意図する単一の切断を実行することを可能にする。