特許第6346904号(P6346904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346904
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】ベータ−ラクタマーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20180611BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20180611BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   C07F5/02 CCSP
   A61K31/69
   A61P31/04
【請求項の数】25
【全頁数】156
(21)【出願番号】特願2015-552833(P2015-552833)
(86)(22)【出願日】2014年1月10日
(65)【公表番号】特表2016-506419(P2016-506419A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】US2014011144
(87)【国際公開番号】WO2014110442
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2016年11月17日
(31)【優先権主張番号】61/783,261
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/751,161
(32)【優先日】2013年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515153521
【氏名又は名称】ベナトルクス ファーマシューティカルズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,クリストファー,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】デイグル,デニス
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】マクギャリー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ペビアー,ダニエル シー.
(72)【発明者】
【氏名】トラウト,ロバート イー.リー
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,ランディー,ダブリュー.
【審査官】 石井 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−503181(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0292185(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)又は式(Ia)の化合物、それらの薬学的に許容可能な塩、多形体、溶媒和物、N−オキシド、又は立体異性体であって:
【化1】
式中:
Mは単結合又はSO−であり;
mは0、1、又は2であり;
nは0、1、2、又は3であり;
pは2又は3であり;
とXは独立して、−OH、−OR、又はFから選択され;
Zは、>C=O又は>SOであり;
ArAは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、チアゾール、トリアゾール、インドール、ベンズイミダゾール、アザインドール、チエノ−ピラゾール、キノリン、キナゾリン、又はキノキサリンであり、それら各々は、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、任意に置換したC−Cアルキル、任意に置換したC−Cシクロアルキル、任意に置換したヘテロ環、任意に置換したアリール、任意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、及び−SR10から成る群から選択される1以上の置換基で任意に置換され、
Yはそれぞれ、−NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−N(R)C(=NR)R、−(CRNR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRNR、−NR(CROR10、−(CRNR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(O)CR(NR)(CRNR、−(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(O)(CRNR、−C(=NR)NRC(O)R、−NR(CRヘテロアリール、及び−O(CRNRから成る群から選択され;
ここで:vは1−4であり、
又は、ArAに結合される炭素原子と一体となって形成される2つのYは、任意に置換したピロリン又はテトラヒドロピリジンの環を形成し;
、R、及びRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、任意に置換したC−Cアルキル、任意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−NR、及び−SR10から成る群から選択され;
とRは独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、任意に置換したC−Cアルキル、任意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、及び−NRから成る群から選択され、或いは、一体となって形成されるRとRは、結合される炭素を含む任意に置換した炭素環を形成し;
は、水素、又は任意に置換したC−Cアルキルであり;
は、水素又はC−Cアルキルであり、
及びRは独立して、水素、任意に置換したC−Cアルキル、任意に置換したアルコキシアルキル、任意に置換したヒドロキシアルキル、及び任意に置換したヘテロシクリルから成る群から選択され;
とRは独立して、水素、フルオロ、及び任意に置換したC−Cアルキルから成る群から選択され;
は、任意に置換したC−Cアルキル、又は任意に置換したC−Cシクロアルキルであり;及び
10は、任意に置換したC−Cアルキル又は任意に置換したC−Cシクロアルキルである
ことを特徴とする化合物。
【請求項2】
、R、及びRは独立して、水素、フルオロ、又はクロロである、ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、及びRは水素である、ことを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、又はイソプロピルである、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の化合物。
【請求項5】
は水素である、ことを特徴とする請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
とXはOHである、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載の化合物。
【請求項7】
は水素である、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載の化合物。
【請求項8】
Zは>C=Oである、ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1つに記載の化合物。
【請求項9】
mとnは0である
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1つに記載の化合物。
【請求項10】
m又はnは1である
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1つに記載の化合物。
【請求項11】
少なくとも1つのYは−(CRNRである、ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
結合される炭素原子と一体となって形成される2つのY基は、任意に置換したピロリン又はテトラヒドロピリジンの環を形成する、ことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1つに記載の化合物。
【請求項13】
ピロリン又はテトラヒドロピリジンの環は、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、任意に置換したC−Cアルキル、任意に置換したC−Cシクロアルキル、任意に置換したヘテロ環、任意に置換したアリール、任意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール、及び−(CRヘテロシクリルから成る群から選択される1乃至3の置換基で任意に置換される、ことを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
2つのY基は、結合される原子と共に、ピロリン環を形成する、ことを特徴とする請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
とRは独立して、水素又は任意に置換したC−Cアルキルである、ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
とRは夫々水素である、ことを特徴とする請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
とRは夫々水素である、ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
vは1である、ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
以下の構造:
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
によって表わされる群から選択される請求項1に記載の化合物、又は、それらの薬学的に許容可能な塩、多形体、溶媒和物、N−オキシド、又は立体異性体である、ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
以下の構造:
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
によって表わされる群から選択される化合物、又は、それらの薬学的に許容可能な塩、多形体、溶媒和物、N−オキシド、又は立体異性体である、ことを特徴とする化合物。
【請求項21】
請求項1乃至20の何れか1つに記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、多形体、溶媒和物、N−オキシド、又は立体異性体、及び、薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項22】
ベータ−ラクタム系抗生物質を更に含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
ベータ−ラクタム系抗生物質は、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、モノバクタム、架橋したモノバクタム、又はそれらの組み合わせである、ことを特徴とする請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
細菌感染を処置するための薬の製造における、治療上効果的な量のベータ−ラクタム系抗生物質と組み合わせた、請求項1乃至20の何れか1つに記載の化合物の使用。
【請求項25】
細菌感染を処置するための薬の製造における、任意にベータ−ラクタム系抗生物質と組み合わせた、請求項21乃至23の何れか1つに記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、2013年1月10日出願の米国仮特許出願第61/751,161号、及び2013年3月14日出願の米国仮特許出願第61/783,261号の利益を請求するものであり、その各々は、全体を参照することで本明細書に組み込まれる。
【0002】
<発明の分野>
本発明は、ホウ素含有化合物、組成物、調製物、並びに、ベータ−ラクタマーゼ酵素の阻害剤及び抗菌剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
抗生物質は、臨床的に細菌感染症を治療するための最も効果的な薬物である。副作用が制限される優れた抗菌効果の利点のため、それらの市場は幅広いものである。その中で、抗生物質(例えば、ペニシリン、セファロスポリン、及びカルバペネム)のベータ−ラクタムのクラスが広く使用される。なぜなら、それらが強力な殺菌効果と低毒性を持つためである。
【0004】
様々なベータ−ラクタムの効果に対抗するために、細菌は発達すると、ベータ−ラクタマーゼと呼ばれるベータ−ラクタム失活酵素(beta−lactam deactivating enzymes)の変異体を作り、且つ、種間で及び種内でこのツールを共有する能力を発達させる。これらベータ−ラクタマーゼは、酵素活性部位において重要なセリン又は亜鉛の存在に基づき、それぞれ、「セリン」又は「メタロ」として分類される。菌耐性のこの機構が急速に広がることで、病院及び共同体におけるベータ−ラクタム処置の選択を厳しく制限しかねない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書には、ベータ−ラクタマーゼの活性を調節する化合物が記載される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物はベータ−ラクタマーゼを阻害する。特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物は細菌感染の処置に有用である。
【0006】
1つの態様において、本明細書には、式I又は式Iaの化合物、或いは、それらの薬学的に許容可能な塩、多形体、溶媒和物、互変異性体、代謝物、又はN−オキシドが提供され:
【0007】
【化1】
式中:
Mは単結合、−O−、−S−、−S(O)−、SO−、又は−N(R)−であり;
mは0、1、又は2であり;
nは0、1、2、又は3であり;
但し、nが0である場合、Mは単結合であることを前提とし;
pは2、3、4、又は5であり;
とXは独立して、−OH、−OR、又はFから選択され;
Zは、>C=O、>C=S、又は>SOであり;
ArAは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロ環、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、及び−SR10から成る群からの1以上の置換基で随意に置換した芳香環系又は芳香族複素環系であり;
Yはそれぞれ、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−S(O)0,1,2(CRNR、−N(R)C(O)(CRNR、−(CRN(R)C(O)(CRNR、−(CRNR(CRNR、−NR(CROR10、−NR(CRS(O)0,1,210、−C(O)NR(CRNR、−S(O)0,1,2NR(CRNR、−NRC(O)NR(CRNR、−OC(O)NR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR、−N(R)C(=NR)R、−(CRN(R)C(=NR)R、−NR(CRN(R)C(=NR)R、−O(CRN(R)C(=NR)R、−S(O)0,1,2(CRN(R)C(=NR)R、−(CRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−O(CRN(R)C(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(=NR)NRC(=NR)NR、−(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−C(=NR)NRC(O)R、−NRSO、−NRC(O)R、−NRC(=O)OR、−C(O)NR、−(CRC(O)NR、−SONR、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−ヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−N(R)−ヘテロアリール−NR、−N(R)−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロアリール、−(CRヘテロシクリル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクリル、−NR(CRヘテロアリール、−NR(CRヘテロシクリル、−O(CRヘテロアリール、−O(CRヘテロシクリル、−NR(CRNR−ヘテロアリール、−NR(CRNR−ヘテロシクリル、−O(CRNR−ヘテロアリール、−O(CRNR−ヘテロシクリル、−O(CRO−ヘテロシクリル、−NR9+、−(CRNR9+、−NR(CRNR9+、−NR9+(CRNR9+、−(CR(T)、及び−O(CRNR9+から成る群から選択され;
ここで:
Tはピリジン−1−イル、ピリミジン−1−イル、又はチアゾール−3−イルであり;
Qは薬学的に許容可能なカウンターイオンであり;及び
vは1−4であり;
又は、ArAに付けられる炭素原子と共に得られる2つのYは、随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成し;
、R、及びRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、−NR、及び−SR10から成る群から選択され;
とRは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、及び−NRから成る群から選択され、或いは、共に得られたRとRは、オキソ、オキシム、又は、付けられる炭素を含む随意に置換した炭素環或いは随意に置換したヘテロ環を形成し;
は、水素、随意に置換したC−Cアルキル、又は薬学的に許容可能なプロドラッグであり;
、R、及びRは独立して、水素、−OH、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、随意に置換したアミノアルキル、随意に置換したシクロアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、随意に置換したシクロアルキルアルキル、随意に置換したヘテロシクリルアルキル、随意に置換したアラルキル、随意に置換したヘテロアラルキル、(ポリエチレングリコール)エチル、及び随意に置換したサッカライドから成る群から選択され;或いは、共に得られたRとRは、付けられる窒素を含む随意に置換したヘテロ環を形成し;
とRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRSO、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、及び随意に置換したヘテロアリールから成る群から選択され;又は、共に得られたRとRは、オキソ、オキシム、又は、付けられる炭素を含む随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成し;
は、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、又は薬学的に許容可能なボロン酸エステル基であり;
は随意に置換したC−Cアルキルであり;
10は、随意に置換したC−Cアルキル又は随意に置換したC−Cシクロアルキルである。
【0008】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、R、R、及びRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−NR、及び−SR10から成る群から選択される。特定の実施形態において、R、R、及びRは独立して、水素、フルオロ、又はクロロである。好ましい実施形態において、R、R、及びRは水素である。
【0009】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、又はイソプロピルである。好ましい実施形態において、Rは水素である。
【0010】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、XとXは−OHである。
【0011】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、Rは水素又はC−Cアルキルである。好ましい実施形態において、Rは水素である。
【0012】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、Zは>C=O、又は>SOである。好ましい実施形態において、Zは>C=Oである。
【0013】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、RとRは各々、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、及び−NRから成る群から選択され、或いは、共に得られたRとRは、オキソ、オキシム、又は、付けられる炭素を含む随意に置換した炭素環或いは随意に置換したヘテロ環を形成する。
【0014】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、ArAは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン・ピラジン、ピリダジン、トリアジン、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、インダゾール、アザインドール、アザインダゾール、イソインドール、インドリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロ−ピリジン、チアゾロ−ピリジン、ピロロ−ピリミジン、チエノ−ピラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾフラン、ベンズイソオキサゾール、ベンズイソチアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾトリアジン・ナフチリジン(napthyridine)、ピリド−ピリミジン、ピリド−ピラジン、ピリドピリダジン、イソオキサゾロ−ピリジン、及びオキサゾロ−ピリジンから成る群から選択される。特定の実施形態において、ArAは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、チアゾール、トリアゾール、インドール、ベンズイミダゾール、アザインドール、チエノピラゾール、キノリン、キナゾリン、及びキノキサリンから成る群から選択される。好ましい実施形態において、ArAはベンゼン、チオフェン、ピリジン、アザ−インドール、又はキノキサリンである。
【0015】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、少なくとも1つのYは、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−N(R)C(O)(CRNR、−(CRN(R)C(O)(CRNR、−C(O)NR(CRNR、−S(O)0,1,2NR(CRNR、−NRC(O)NR(CRNR、−OC(O)NR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR、−N(R)C(=NR)R、−(CRN(R)C(=NR)R、−NR(CRN(R)C(=NR)R、−O(CRN(R)C(=NR)R、−(CRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−O(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(=NR)NRC(=NR)NR、−(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−C(=NR)NRC(O)R、−NRSO、−NRC(O)R、−NRC(=O)OR、−C(O)NR、−(CRC(O)NR、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−ヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−N(R)−ヘテロアリール−NR、−N(R)−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロアリール、−(CRヘテロシクリル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクリル、−NR(CRヘテロアリール、−NR(CRヘテロシクリル、−O(CRヘテロアリール、−O(CRヘテロシクリル、及び−O(CRO−ヘテロシクリルから成る群から選択される。特定の実施形態において、少なくとも1つのYは、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−C(O)NR(CRNR、−NRC(O)NR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR、−N(R)C(=NR)R、−(CRN(R)C(=NR)R、−NR(CRN(R)C(=NR)R、−(CRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(=NR)NRC(=NR)NR、−(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−C(=NR)NRC(O)R、−NRC(O)R、−(CRC(O)NR、−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−N(R)−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロシクリル、及び−NR(CRヘテロシクリルから成る群から選択される。更なる実施形態において、少なくとも1つのYは、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−ヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−N(R)−ヘテロアリール−NR、−N(R)−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロアリール−C(=NR)NR、−ヘテロシクリル−C(=NR)NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、及び−(CRヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NRから成る群から選択される。好ましい実施形態において、少なくとも1つのYは、−NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−N(R)C(=NR)R、−(CRNR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRNR、−NR(CROR10、−(CRNR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR
、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(O)CR6(NR)(CRNR、−(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(O)(CRNR、−C(=NR)NRC(O)R、−NR(CRヘテロアリール、及び−O(CRNRから成る群から選択される。好ましい実施形態において、少なくとも1つのYは−(CRNRである。
【0016】
特定の実施形態に置いて、付けられる炭素原子と共に得られた2つのY基は、随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成する。幾つかの実施形態において、炭素環又はヘテロ環は、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロ環、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール、及び−(CRヘテロシクリルから成る群から選択される1乃至3の置換基で随意に置換される。特定の実施形態において、2つのY基は、付けられる原子と共に、ピロリン又はテトラヒドロピリジンの環を形成する。特定の実施形態において、2つのY基は、付けられる原子と共に、ピロリン環を形成する。
【0017】
幾つかの実施形態において、pは、2、3、又は4である。特定の実施形態において、pは2又は3である。
【0018】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、RとRは独立して、水素、−OH、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、及び随意に置換したヘテロシクリルから選択される。好ましい実施形態において、RとRは独立して、水素又は随意に置換したC−Cアルキルである。特定の実施形態において、RとRは水素である。
【0019】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、RとRは各々独立して、水素、随意に置換したC−Cアルキル、−OH、−NR、及び随意に置換したヘテロシクリルから選択され、又は、共に得られたRとRは、付けられる炭素を含む随意に置換したヘテロ環を形成する。好ましい実施形態において、RとRは各々独立して、水素、フルオロ、又は随意に置換したC−Cアルキルである。幾つかの実施形態において、RとRは水素である。幾つかの好ましい実施形態において、vは1である。
【0020】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、化合物は少なくとも1つの塩基性アミンを含む。幾つかの実施形態において、化合物は少なくとも2つの塩基性アミンを含む。
【0021】
式I又は式Iaの化合物の特定の実施形態において、化合物、又は、それらの薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、多形体、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、代謝物、N−オキシド、又は異性体であって、前記化合物は、以下の構造:
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
によって表わされる群から選択され、ここで、化合物は、式Iに係る閉鎖した環式形態に存在するか、及び上記構造に示されるように、式Iaに係る開放した非環式形態に存在するか、又はそれらの混合物で存在する。
【0029】
幾つかの実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、本明細書に示される構造の何れかによって表わされる立体異性体である。幾つかの実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、本明細書に示される構造の何れかによって表わされる立体異性体のエナンチオマーである。特定の実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、本明細書に示される構造の何れかによって表わされる立体異性体のジアステレオマーである。幾つかの実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、本明細書に示される構造の何かによって表わされる立体異性体のエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物である。特定の実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、本明細書に示される構造の何れかによって表わされる立体異性体のラセミ化合物である。
【0030】
別の態様において、本明細書には、本明細書に記載されるような式I又は式Iaの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、多形体、溶媒和物、プロドラッグ、N−オキシド、又は異性体、及び、薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態において、医薬組成物はベータ−ラクタム系抗生物質を更に含む。特定の実施形態において、ベータ−ラクタム系抗生物質は、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、モノバクタム、架橋した(bridged)モノバクタム、又はそれらの組み合わせである。
【0031】
更なる態様において、本明細書には、被験体の細菌感染を処置する方法が提供され、該方法は、ベータ−ラクタム系抗生物質の治療上効果的な量と組み合わせて、本明細書に記載されるような式I又は式Iaの化合物を被験体に投与する工程を含む。
【0032】
更なる態様において、本明細書には、被験体の細菌感染を処置する方法が提供され、該方法は、随意にベータ−ラクタム系抗生物質と組み合わせて、本明細書に記載されるような医薬組成物を被験体に投与する工程を含む。特定の実施形態において、被験体の細菌感染を処置する方法は、ベータ−ラクタム系抗生物質と組み合わせて本明細書に記載されるような医薬組成物を被験体に投与する工程を含む。
【0033】
<参照による組み込み>
あたかも個々の刊行物、特許、又は特許出願がそれぞれ参照によって組み込まれるために具体的かつ個々に示されるかのように、本明細書中で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、同じ程度の参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ベータ−ラクタマーゼは典型的に、4つの分類にグループ分けされる:それらのアミノ酸配列に基づいて、Ambler分類A、B、C、及びD。分類A、C、及びDの酵素は、活性部位セリン・ベータ−ラクタマーゼであり、一方で分類Bの酵素はZn依存性である。より新世代のセファロスポリンとカルバペネムは、初期のセリンをベースとするベータ−ラクタマーゼ変異体の不活性化効果を回避する能力に基づき、部分的に発達させられた。
しかし、セリンをベースとするベータ−ラクタマーゼの新たなバージョン(例えば、分類Aの広域スペクトル・ベータ−ラクタマーゼ(ESBL)酵素、分類Aのカルバペネマーゼ(例えばKPC−2)、染色体及びプラスミドを媒介とする分類Cのセファロスポリナーゼ(AmpC、CMY等)、及び分類Dのオキサシリナーゼ(oxacillinases))、同様に、分類Bのメタロ−ベータ−ラクタマーゼ(例えばVIM、NDM)の最近の急増により、より最近の世代のベータ−ラクタム薬物を含む、ベータ−ラクタム系抗生物質ファミリーの有用性が減り始め、重大な医療問題に繋がった。実際、カタログに載せられるセリンをベースとするベータ−ラクタマーゼの数は、1970年代においては10未満であったが、750以上の変異体にまで急上昇した(例えば、the Lahey Clinic website上の、Jacoby & Bush, “Amino Acid Sequences for TEM, SHV and OXA Extended−Spectrum and Inhibitor Resistant β−Lactamases”を参照)。
【0035】
市販で入手可能なベータ−ラクタマーゼ阻害剤(クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム)は、1970年代と1980年代において臨床的に関連したベータ−ラクタマーゼ(例えばペニシリナーゼ)に対処するために開発された。これらベータ−ラクタマーゼ阻害剤は、現在臨床的に出現する(emergin)ベータ−ラクタマーゼ酵素(セリンとメタロの両方をベースとする)の多様性に対して、十分に活性ではない。加えて、これらの酵素阻害剤は、ペニシリン誘導体の決められた組み合わせとしてのみ、利用可能である。セファロスポリン(又はカルバペネム)との組み合わせは、臨床的に利用可能ではない。より新世代のセファロスポリンとカルバペネムの使用の増加と組み合わせて、この事実は、新たなベータ−ラクタマーゼ変異体(ESBL、カルバペネマーゼ、染色体及びプラスミドを媒介とするクラスC、クラスDのオキサシリナーゼ等)の選択と普及を促進している(driving)。ESBLに対する優れた阻害活性を維持している間、レガシー(legacy)ベータ−ラクタマーゼ阻害剤は、新たなクラスAとクラスBのカルバペネマーゼに対し、染色体及びプラスミドを媒介とするクラスCのセファロスポリナーゼに対し、及びクラスDのオキサシリナーゼの多くに対して、大きな効果は無い。
【0036】
この増大する治療上の脆弱性に対処するために、並びに、セリンをベースとするベータ−ラクタマーゼの3つの主要な分子の分類、及びメタロ−ベータ−ラクタマーゼの1つの主要な分類が存在し、これら分類の各々がベータ−ラクタマーゼ変異体の多くを含むため、我々は、広域スペクトル官能性を備えた新しいベータ−ラクタマーゼ阻害剤の開発のための方法を同定した。特に、我々は、セリン及びメタロの両方をベースとするベータ−ラクタマーゼ酵素に対して活性である化合物の開発のための方法を同定した。本発明の化合物は、4つの主要な分類全てのベータ−ラクタマーゼにわたる強力な活性を実証する。
【0037】
本発明は、ベータ−ラクタマーゼ阻害剤と抗菌化合物である、特定のホウ素をベースとする化合物(ボロン酸と環式のボロン酸のエステル)に関する。化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、単独で有用であり、及び、細菌感染(特に抗生物質抵抗性の細菌感染)の処置用のベータ−ラクタム抗生物質と組み合わせても有用である。幾つかの実施形態は、化合物、組成物、医薬組成物、それらの使用及び調製を含む。
【0038】
<定義>
以下の記載において、特定の具体的な詳細が、様々な実施形態の徹底的な理解を提供するために説明される。しかし、当業者は、本発明がこれら詳細を必要とすることなく実行され得ることを理解する。他の例において、周知の構造は、実施形態の記載を不必要に不明瞭にするのを回避するために、詳しく示されておらず、且つ記載されていない。文脈が他に要求しない限り、後述の明細書及び請求項の全体にわたって、用語「含む(comprise)」と、「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などのその変形は、広い包括的な意味(即ち、「含むが、これらに限定されない(including,but not limited to)」)で解釈されねばならない。更に、本明細書で提供される見出しは、利便性のためだけのものであり、請求された本発明の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0039】
「1つの実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」に対する、本明細書全体にわたる言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。故に、本明細書全体にわたる様々な場所における句「1つの実施形態において」又は「一実施形態において」の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すというわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせられてもよい。また、本明細書と添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、他に文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対照を含む。用語「又は」は一般的に、文脈が他のものを明確に指定しない限り、「及び/又は」を含む意味において利用されることにも、留意されたい。
【0040】
用語「抗生物質(antibiotic)」は、微生物の生存度を減少させるか、又は微生物の成長又は増殖を阻害する化合物又は組成物を指す。句「成長又は増殖を阻害する」は、少なくとも2倍にまで生成時間(即ち、細菌細胞を分割する又は集まりを倍にするのに必要な時間)を増加することを意味する。好ましい抗生物質は、少なくとも10倍以上にまで(例えば、合計の細胞死におけるように、少なくとも約100倍、又は無限にまで)生成時間を増加させることが可能なものである。本開示に使用されるように、抗生物質は更に、抗菌剤、静菌剤、又は殺菌剤を含むように意図される。本発明に関して使用するのに適切な抗生物質の例は、ペニシリン、セファロスポリン、及びカルバペネムを含む。
【0041】
用語「β−ラクタム系抗生物質」は、β−ラクタム官能性を含む抗生物質特性を備えた化合物を指す。本発明に関して有用なベータ−ラクタム系抗生物質の制限しない例は、ペニシリン、セファロスポリン、ペネム、カルバペネム、及びモノバクタムを含む。
【0042】
用語「β−ラクタマーゼ」は、β−ラクタム系抗生物質を不活性化することが可能なタンパク質を示す。β−ラクタマーゼは、β−ラクタム系抗生物質のβ−ラクタム環の加水分解を触媒する酵素であり得る。本明細書における特定の対象は、微生物のβ−ラクタマーゼである。β−ラクタマーゼは、例えば、セリンβ−ラクタマーゼ又はメタロ−β−ラクタマーゼでもよい。対象のβ−ラクタマーゼは、ベータ−ラクタマーゼ命名法を監視する継続中のウェブサイト(www.lahey.org)、及びBush, K. and G. A. Jacoby. 2010.An updated functional classification of β−lactamases. Antimicrob. Agents Chemother. 54:969−976に開示されるものを含む。特に対象とされるβ−ラクタマーゼは、SHV、CTX−M、及びKPCのサブクラスを含む分類Aのβ−ラクタマーゼ、VIMなどの分類Bのβ−ラクタマーゼ、分類Cのβ−ラクタマーゼ(染色体及びプラスミドの両方を媒介とする)、及び分類Dのβ−ラクタマーゼなど、細菌に見出されるβ−ラクタマーゼを含む。用語「β−ラクタマーゼ阻害剤」は、β−ラクタマーゼ活性を阻害することが可能な化合物を指す。β−ラクタマーゼ活性の阻害は、分類A、B、C、又はDのβ−ラクタマーゼの活性を阻害することを意味する。抗菌剤の適用のために、50%の阻害濃度での阻害は、約100マイクログラム/mL以下で、又は約50マイクログラム/mL以下で、又は約25マイクログラム/mL以下で達成されるのが好ましい。用語「分類A」、「分類B」、「分類C」、及び「分類D」のベータ−ラクタマーゼは、当業者によって理解され、且つ、「Bush, K. and G. A. Jacoby. 2010. An updated functional classification of β−lactamases. Antimicrob. Agents Chemother. 54:969−976」に記載される。
【0043】
下記の用語は、本明細書で使用されるように、他に示されない限り、以下の意味を持つ:
【0044】
「アミノ」は−NHラジカルを指す。
【0045】
「シアノ」又は「ニトリル」は−CNラジカルを指す。
【0046】
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は−OHラジカルを指す。
【0047】
「ニトロ」は−NOラジカルを指す。
【0048】
「オキソ」は=O置換基を指す。
【0049】
「オキシム」は=N−OH置換基を指す。
【0050】
「チオキソ」は=S置換基を指す。
【0051】
「アルキル」は、1乃至約10の炭素原子を持ち、より好ましくは1乃至6の炭素原子を持つ、随意に置換した直鎖、又は随意に置換した分枝鎖の飽和炭化水素モノラジカルを指し、ここで、アルキル残基のsp3−ハイブリダイズ炭素(sp3−hybridized carbon)は、単一の結合によって分子の残りに付けられる。例は、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−3−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−アミル及びヘキシル、並びに、へプチル、オクチルなどの長いアルキル基を含む。本明細書に現われる場合は常に、「C−Cアルキル」又は「C1−6アルキル」などの数値域は、アルキル基が、1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子、4つの炭素原子、5つの炭素原子、又は6つの炭素原子から成り得ることを意味するが、本定義はまた、数値域が明示されない場合に用語「アルキル」の出現を含める。本明細書において別段の定めが無い限り、アルキル基は、例えば、オキソ、アミノ、ニトリル、ニトロ、ヒドロキシル、アルキル、アルキレン、アルキニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールなどにより、以下に記載されるように随意に置換されてもよい。
【0052】
「アルケニル」は、1以上の炭素−炭素の二重結合を持ち、且つ、2乃至約10の炭素原子、より好ましくは2乃至約6の炭素原子を持つ、随意に置換した直鎖、又は随意に置換した分枝鎖の炭化水素モノラジカルを指し、ここで、アルケニル残留物のsp2−ハイブリダイズ炭素は、単一の結合により分子の残りに付けられる。基は、二重結合に関するシス又はトランスの構造の何れかに存在し得、両方の異性体を含むと理解されねばならない。例は、限定されないが、エテニル(−CH=CH)、1−プロペニル(−CHCH=CH)、イソプロペニル[−C(CH)=CH]、ブテニル、1,3−ブタジエニルなどを含む。本明細書に現われる場合は常に、「C−Cアルケニル」又は「C2−6アルケニル」などの数値域は、アルケニル基が2つの炭素原子、3つの炭素原子、4つの炭素原子、5つの炭素原子、又は6つの炭素原子から成り得ることを意味するが、本定義はまた、数値域が明示されない場合に用語「アルケニル」の出現を含める。
【0053】
「アルキニル」は、1以上の炭素−炭素の三重結合を持ち、且つ、2乃至約10の炭素原子、より好ましくは2乃至約6の炭素原子を持つ、随意に置換した直鎖、又は随意に置換した分枝鎖の炭化水素モノラジカルを指す。例は、限定されないが、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、1,3−ブタジイニル等を含む。本明細書に現われる場合は常に、「C−Cアルキニル」又は「C2−6アルキニル」などの数値域は、アルキニル基が2つの炭素原子、3つの炭素原子、4つの炭素原子、5つの炭素原子、又は6つの炭素原子から成り得ることを意味するが、本定義はまた、数値域が明示されない場合に用語「アルキニル」の出現を含める。
【0054】
「アルキレン」又は「アルキレン鎖」は、直鎖又は分枝鎖の二価の炭化水素鎖を指す。本明細書に別段の定めが無い限り、アルキレン基は、以下に記載されるように随意に置換されてもよい。
【0055】
「アルコキシ」は、Rが定義されるようなアルキルラジカルである式ORのラジカルを指す。本明細書に別段の定めが無い限り、アルコキシ基は、以下に記載されるように随意に置換されてもよい。
【0056】
「アリール」は、水素、6乃至30の炭素原子、及び少なくとも1つの芳香環を含む、炭化水素環系に由来するラジカルを指す。アリールラジカルは、縮合した又は架橋した環系を含み得る、単環式、二環式、三環式、又は四環式の環系でもよい。アリールラジカルは、限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、及びトリフェニレンの炭化水素環系に由来するアリールラジカルを含む本明細書に別段の定めがない限り、用語「アリール」又は接頭語「ar」(「アラルキル」などにおける)は、随意に置換したアリールラジカルを含むことを意味する。
【0057】
「シクロアルキル」又は「炭素環」は、飽和又は不飽和である、縮合又は架橋した環系を含み得る、安定した、非芳香族の、単環式又は多環式の炭素環を指す。代表的なシクロアルキル又は炭素環は、限定されないが、3乃至15の炭素原子、3乃至10の炭素原子、3乃至8の炭素原子、3乃至6の炭素原子、3乃至5の炭素原子、又は3乃至4の炭素原子を持つシクロアルキルを含む。単環式シクロアルキル又は炭素環は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルを含む。多環式シクロアルキル又は炭素環は、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル(decalinyl)、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、シス−デカリン、トランス−デカリン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、及びビシクロ[3.3.2]デカン、及び7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]へプタニルを含む。本明細書に別段の定めがない限り、シクロアルキル又は炭素環の基は、随意に置換されてもよい。シクロアルキル基の説明的な例は、以下の部分を含むがこれらに限定されない:
【0058】
【化9】
【0059】
「アラルキル」は、Rが上記で定義されるようにアリールである、−(アルキレン)−Rラジカルを意味する。
【0060】
「シクロアルキルアルキル」は、Rが上記で定義されるようにシクロアルキルである、−(アルキレン)−Rラジカルを意味する;例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルエチル、又はシクロヘキシルメチルなど。
【0061】
「縮合した」は、既存の環構造に縮合される、本明細書に記載の任意の環構造を指す。縮合環がヘテロシクリル環又はヘテロアリール環である場合、縮合ヘテロシクリル環又は縮合ヘテロアリール環の一部となる既存の環構造上の任意の炭素原子は、窒素原子と置き換えられる場合がある。
【0062】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ、又はヨードを指す。
【0063】
「ハロアルキル」は、上記に定義されるように、1以上のハロラジカルにより置換される、上記に定義されるようなアルキルラジカルを指し、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、3−ブロモ−2−フルオロプロピル、1,2−ジブロモエチルなどである。本明細書に別段の定めが無い限り、ハロアルキルの基は、随意に置換されてもよい。
【0064】
「ハロアルコキシ」は同様に、Rが定義されるようなハロアルキルラジカルである、式−ORのラジカルを指す。本明細書に別段の定めが無い限り、ハロアルコキシの基は、以下に記載されるように随意に置換されてもよい。
【0065】
「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロシクリル」又は「複素環」又は「ヘテロ環」は、2乃至23の炭素原子と、窒素、酸素、亜リン酸、及び硫黄から成る群から選択される1乃至8のヘテロ原子とを含む、安定した3乃至24員環の非芳香環ラジカルを指す。本明細書において具体的に別段の定めの無い限り、ヘテロシクリルラジカルは、縮合又は架橋した環系を含み得る、単環式、二環式、三環式、又は四環式の環系でもよく;ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素、又は硫黄の原子は、随意に酸化されてもよく;窒素原子は随意に四級化されてもよく;及び、ヘテロシクリルラジカルは、部分的又は完全に飽和されてもよい。そのようなヘテロシクリルラジカルの例は、限定されないが、アゼチジニル、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリジニル(piperidonyl)、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリニル、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、21−クラウン−7、アザ−18−クラウン−6、ジアザ−18−クラウン−6、アザ−21−クラウン−7、及びジアザ−21−クラウン−7を含む。本明細書に別段の定めが無い限り、ヘテロシクリル基は、随意に置換されてもよい。非芳香族ヘテロ環としても表される、ヘテロシクロアルキル基の説明的な例は、以下のものを含む。
【0066】
【化10】
用語「ヘテロシクロアルキル」はまた、限定されないが、単糖類、二糖類、及びオリゴ糖を含む、炭水化物の環状形態を全て含む。他に明記されない限り、ヘテロシクロアルキルは環中に2乃至10の炭素を持つ。ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数に言及する場合、ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数は、ヘテロシクロアルキルを構築する、(ヘテロ原子を含む)原子(即ち、ヘテロシクロアルキル環の骨格原子)の総数と同じでないことが理解される。本明細書に別段の定めが無い限り、ヘテロシクロアルキル基は、随意に置換されてもよい。
【0067】
「ヘテロアリール」は、水素原子と、1乃至13の炭素原子と、窒素、酸素、亜リン酸、及び硫黄から成る群から選択される1乃至6のヘテロ原子と、少なくとも1つの芳香環とを含む、5乃至14員環の環系のラジカルを指す。本発明の目的のために、ヘテロアリールラジカルは、縮合又は架橋した環系を含み得る、単環式、二環式、三環式、又は四環式の環系でもよく;ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素、又は硫黄の原子は、随意に酸化されてもよく;窒素原子は随意に四級化されてもよい。例は、限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル(dioxepinyl)、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1−オキシドピリジニル、1−オキシドピリミジニル、1−オキシドピラジニル、1−オキシドピリダジニル、1−フェニル−1H−ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、及びチオフェニル(即ち、チエニル)を含む。本明細書に別段の定めが無い限り、ヘテロアリール基は、随意に置換されてもよい。
【0068】
上記の基は全て、置換又は非置換であってもよい。本明細書で使用される用語「置換した(substituted)」は、上述の基の何れか(例えば、アルキル、アルキレン、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、及び/又はヘテロアリール)は、更に官能化されてもよく、ここで、少なくとも1つの水素原子は非水素原子置換基に対する単結合と置き換えられる。本明細書に別段の定めがない限り、置換基は、次のものから選択された1以上の置換基を含んでもよい:オキソ、アミノ、−COH、ニトリル、ニトロ、ヒドロキシル、チオオキシ、アルキル、アルキレン、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、トリアルキルアンモニウム(−N+R3)、N−オキシド、イミド、及びエナミン;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、ペルフルオロアルキル又はペルフルオロアルコキシ、例えば、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシなどの基におけるシリコン原子。「置換した」はまた、オキソ、カルボニル、カルボキシ、及びエステルの基における酸素、及び、イミン、オキシム、ヒドラゾン、及びニトリルなどの群における窒素などのヘテロ原子に対する高位結合(例えば、二重結合又は三重結合)によって、1以上の水素原子が置き換えられる、上述の基の何れかを意味する。例えば、「置換した」は、1以上の水素原子が、−NH、−NRC(=O)NR、−NRC(=O)OR、−NRSO、−OC(=O)NR、−OR、−SR、−SOR、−SO、−OSO、−SOOR、=NSO、及び−SONRで置き換えられる、上述の基の何れかを含む。前述において、RとRは同じもの又は異なるものであり、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリール、及び/又はヘテロアリールアルキルである。加えて、前述の置換基の各々はまた、上記の置換基の1以上と随意に置き換えられてもよい。更に、上記の基の何れかは、1以上の内部の酸素、硫黄、又は窒素の原子を含むように、置換されてもよい。例えば、アルキル基は、エーテル又はポリエーテルの基を形成するために、1以上の内部酸素原子で置換されてもよい。同様に、アルキル基は、チオエーテル、ジスルフィド等を形成するために、1以上の内部硫黄原子で置換されてもよい。
【0069】
用語「随意の(optional)」又は「随意に(optionally)」は、後に記載される事象又は状況が生じる又は生じない場合があること、及び、この記載が、前記事象又は状況が生じる場合の例及び生じない場合の例を含むこと、を意図する。例えば、「随意に置換したアルキル」は、上記に定義されるように「アルキル」又は「置換したアルキル」を意味する。更に、随意に置換した基は、未置換(例えば−CHCH)、完全に置換(例えば−CFCF)、モノ置換(例えば−CHCHF)、或いは、完全な置換とモノ置換の間のあらゆるレベルで置換(例えば−CHCHF、−CHCF、−CFCH、−CFHCHFなど)され得る。そのような基が、立体的に非実用的であり及び/又は合成的に非実現可能である随意の置換又は置換パターン(例えば、置換したアルキルは、随意に置換したアルキル基を含むと次々に定義される、随意に置換したシクロアルキル基を、潜在的に無制限に含む)を導入するようには意図されないことは、1以上の置換基を含む任意の基に関して、当業者によって認識されるであろう。故に、記載された任意の置換基は、約1,000ダルトン、及びより典型的には、約500のダルトンまでの最大分子量を備えていると、一般的に理解されねばならない。
【0070】
「効果的な量」又は「治療上効果的な量」は、所望の治療効果を作り出すのに効果的な、一回量又は一連の用量の一部の何れかとして、哺乳動物被験体に投与される化合物の量を指す。
【0071】
個体(例えばヒトなどの哺乳動物)又は細胞の「処置」は、個体又は細胞の自然経過を変更しようとする試みにおいて使用される、任意のタイプの介入である。幾つかの実施形態において、処置は、病的な事象の開始又は病因薬剤との接触後の、医薬組成物の投与、及び、疾病の安定(例えば、疾病が悪化しない)又は疾病の緩和を含む。他の実施形態において、処置はまた、予防的処置(例えば、個体が細菌感染に苦しんでいると疑われる場合の、本明細書に記載の組成物の投与)を含む。
【0072】
「互変異性体」は、分子の1つの原子から同じ分子の別の原子へのプロトン移動を指す。本明細書に提示された化合物は、互変異性体として存在してもよい。互変異性体は、単結合及び隣接した二重結合の切り換え(switch)を伴う水素原子の移動によって相互転換可能な化合物である。互変異性化が可能である配列を結合する際に、互変異性体の化学平衡が存在する。本明細書に開示される化合物の全ての互変異性体が考慮される。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒、及びpHを含む様々な因子に依存する。互変体の相互転換の幾つかの例は次のものを含む:
【0073】
【化11】
【0074】
本明細書に開示される化合物の「代謝物」は、化合物の代謝時に形成される、化合物の誘導体である。用語「活性代謝物」は、化合物の代謝時に形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を表す。本明細書に使用されるように、用語「代謝した」は、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(加水分解反応、及び、酸化反応等の酵素によって触媒された反応を含むが、これらに限定されない)の全体を指す。従って、酵素は化合物に対して具体的な構造上の変化を生成してもよい。例えば、チトクロームP450は、様々な酸化反応及び還元反応を触媒する一方で、ウリジン2リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、及び遊離スルフヒドリル基への、活性化グルクロン酸分子の転移を触媒する。代謝関する更なる情報は、「The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw−Hill (1996)」から得てもよい。本明細書に開示される化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与及び宿主から採取した組織サンプルの解析により、又は、肝細胞を用いた化合物のインビトロでのインキュベーション及びその結果生じる化合物の解析の何れかによって、同定され得る。両方の方法は、当該技術分野で周知である。幾つかの実施形態において、化合物の代謝物は、酸化プロセスによって形成され、対応するヒドロキシ含有化合物に相当する。幾つかの実施形態において、化合物は薬理学的に活性な代謝物に代謝される。
【0075】
<化合物>
本明細書には、ベータ−ラクタマーゼの活性を調節する化合物が記載される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物はベータ−ラクタマーゼを阻害する。特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物は細菌感染の処置において有用である。幾つかの実施形態において、細菌感染は、上気道又は下気道の感染、尿路感染症、腹腔内感染、又は皮膚感染である。
【0076】
1つの態様において、本明細書には、式I又は式Iaの化合物、或いは、それらの薬学的に許容可能な塩、多形体、溶媒和物、互変異性体、代謝物、又はN−オキシドが提供され:
【0077】
【化12】
式中:
Mは単結合、−O−、−S−、−S(O)−、SO−、又は−N(R)−であり;
mは0、1、又は2であり;
nは0、1、2、又は3であり;
但し、nが0である場合、Mは単結合であることを前提とし;
pは0、1、2、又は3であり;
とXは独立して、−OH、−OR、又はFから選択され;
Zは、>C=O、>C=S、又は>SOであり;
ArAは随意に置換した芳香環系又は芳香族複素環系であり;
Yはそれぞれ、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロ環、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、=O、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−S(O)0,1,2(CRNR、−N(R)C(O)(CRNR、−(CRN(R)C(O)(CRNR、−(CRNR(CRNR、−NR(CROR10、−NR(CRS(O)0,1,210、−C(O)NR(CRNR、−S(O)0,1,2NR(CRNR、−NRC(O)NR(CRNR、−OC(O)NR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR、−N(R)C(=NR)R、−(CRN(R)C(=NR)R、−NR(CRN(R)C(=NR)R、−O(CRN(R)C(=NR)R、−S(O)0,1,2(CRN(R)C(=NR)R、−(CRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−O(CRN(R)C(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(=NR)NRC(=NR)NR、−(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−C(=NR)NRC(O)R、−NRSO、−NRC(O)R、−NRC(=O)OR、−C(O)NR、−(CRC(O)NR、−SONR、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−ヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−N(R)−ヘテロアリール−NR、−N(R)−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロアリール、−(CRヘテロシクリル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクリル、−NR(CRヘテロアリール、−NR(CRヘテロシクリル、−O(CRヘテロアリール、−O(CRヘテロシクリル、−NR(CRNR−ヘテロアリール、−NR(CRNR−ヘテロシクリル、−O(CRNR−ヘテロアリール、−O(CRNR−ヘテロシクリル、−O(CRO−ヘテロシクリル、−NR9+、−(CRNR9+、−NR(CRNR9+、−NR9+(CRNR9+、−(CR(T)、及び−O(CRNR9+から成る群から選択され;
ここで:
Tはピリジン−1−イル、ピリミジン−1−イル、又はチアゾール−3−イルであり;
Qは薬学的に許容可能なカウンターイオンであり;及び
vは1−4であり;
又は、それらが付けられる炭素原子と共に得られた2つのYは、随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成し;
、R、及びRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、−NR、及び−SR10から成る群から選択され;
とRは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、及び−NRから成る群から選択され、或いは、共に得られたRとRは、オキソ、オキシム、又は、付けられる炭素を含む随意に置換した炭素環或いは随意に置換したヘテロ環を形成し;
は、水素、随意に置換したC−Cアルキル、又は薬学的に許容可能なプロドラッグであり;
、R、及びRは独立して、水素、OH、CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、随意に置換したアミノアルキル、随意に置換したシクロアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、随意に置換したシクロアルキルアルキル、随意に置換したヘテロシクリルアルキル、随意に置換したアラルキル、随意に置換したヘテロアラルキル、(ポリエチレングリコール)エチル、及び随意に置換したサッカライドから成る群から選択され;或いは、共に得られたRとRは、付けられる窒素を含む随意に置換したヘテロ環を形成し;
とRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRSO、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、及び随意に置換したヘテロアリールから成る群から選択され;又は、共に得られたRとRは、オキソ、オキシム、又は、それらが付けられる炭素を備える随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成し;
は、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、又は薬学的に許容可能なボロン酸エステル基であり;
は随意に置換したC−Cアルキルであり;
10は、随意に置換したC−Cアルキル又は随意に置換したC−Cシクロアルキルである。
【0078】
別の態様において、本明細書には、式(I)又は式(Ia)の化合物、それらの薬学的に許容可能な塩、多形体、溶媒和物、プロドラッグ、N−オキシド、又は異性体が提供され:
【0079】
【化13】
式中:
Mは単結合、−O−、−S−、−S(O)−、SO−、又は−N(R)−であり;
mは0、1、又は2であり;
nは0、1、2、又は3であり;
但し、nが0である場合、Mは単結合であることを前提とし;
pは2、3、4、又は5であり;
とXは独立して、−OH、−OR、又はFから選択され;
Zは、>C=O、>C=S、又は>SOであり;
ArAは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロ環、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、及び−SR10から成る群からの1以上の置換基で随意に置換した芳香環系又は芳香族複素環系であり;
Yはそれぞれ、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−S(O)0,1,2(CRNR、−N(R)C(O)(CRNR、−(CRN(R)C(O)(CRNR、−(CRNR(CRNR、−NR(CROR10、−NR(CRS(O)0,1,210、−C(O)NR(CRNR、−S(O)0,1,2NR(CRNR、−NRC(O)NR(CRNR、−OC(O)NR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR、−N(R)C(=NR)R、−(CRN(R)C(=NR)R、−NR(CRN(R)C(=NR)R、−O(CRN(R)C(=NR)R、−S(O)0,1,2(CRN(R)C(=NR)R、−(CRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−O(CRN(R)C(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(=NR)NRC(=NR)NR、−(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−C(=NR)NRC(O)R、−NRSO、−NRC(O)R、−NRC(=O)OR、−C(O)NR、−(CRC(O)NR、−SONR、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−ヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−N(R)−ヘテロアリール−NR、−N(R)−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロアリール、−(CRヘテロシクリル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクリル、−NR(CRヘテロアリール、−NR(CRヘテロシクリル、−O(CRヘテロアリール、−O(CRヘテロシクリル、−NR(CRNR−ヘテロアリール、−NR(CRNR−ヘテロシクリル、−O(CRNR−ヘテロアリール、−O(CRNR−ヘテロシクリル、−O(CRO−ヘテロシクリル、−NR9+、−(CRNR9+、−NR(CRNR9+、−NR9+(CRNR9+、−(CR(T)、及び−O(CRNR9+から成る群から選択され;
ここで:
Tはピリジン−1−イル、ピリミジン−1−イル、又はチアゾール−3−イルであり;
Qは薬学的に許容可能なカウンターイオンであり;及び
vは1−4であり;
又は、それらが付けられる炭素原子と共に得られた2つのYは、随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成し;
、R、及びRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、−NR、及び−SR10から成る群から選択され;
とRは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、及び−NRから成る群から選択され、或いは、共に得られたRとRは、オキソ、オキシム、又は、付けられる炭素を含む随意に置換した炭素環或いは随意に置換したヘテロ環を形成し;
は、水素、随意に置換したC−Cアルキル、又は薬学的に許容可能なプロドラッグであり;
、R、及びRは独立して、水素、OH、CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、随意に置換したアミノアルキル、随意に置換したシクロアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、随意に置換したシクロアルキルアルキル、随意に置換したヘテロシクリルアルキル、随意に置換したアラルキル、随意に置換したヘテロアラルキル、(ポリエチレングリコール)エチル、及び随意に置換したサッカライドから成る群から選択され;或いは、共に得られたRとRは、付けられる窒素を含む随意に置換したヘテロ環を形成し;
とRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRSO、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、及び随意に置換したヘテロアリールから成る群から選択され;又は、共に得られたRとRは、オキソ、オキシム、又は、付けられる炭素を含む随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成し;
は、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、又は薬学的に許容可能なボロン酸エステル基であり;
は随意に置換したC−Cアルキルであり;
10は、随意に置換したC−Cアルキル又は随意に置換したC−Cシクロアルキルである。
【0080】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、R、R、及びRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−NR、及び−SR10から成る群から選択される。特定の実施形態において、R、R、及びRは独立して、水素、フルオロ、又はクロロである。好ましい実施形態において、R、R、及びRは水素である。
【0081】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、又はイソプロピルである。好ましい実施形態において、Rは水素である。
【0082】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、XとXは−OHである。
【0083】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、Rは水素又はC−Cアルキルである。幾つかの実施形態において、Rはメチルである。好ましい実施形態において、Rは水素である。
【0084】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、Zは>C=O、又は>SOである。好ましい実施形態において、Zは>C=Oである。
【0085】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、ArAは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン・ピラジン、ピリダジン、トリアジン、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、インダゾール、アザインドール、アザインダゾール、イソインドール、インドリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロ−ピリジン、チアゾロ−ピリジン、ピロロ−ピリミジン、チエノ−ピラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾフラン、ベンズイソオキサゾール、ベンズイソチアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾトリアジン・ナフチリジン(napthyridine)、ピリド−ピリミジン、ピリド−ピラジン、ピリドピリダジン、イソオキサゾロ−ピリジン、及びオキサゾロ−ピリジンから成る群から選択される。特定の実施形態において、ArAは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、チアゾール、トリアゾール、インドール、ベンズイミダゾール、アザインドール、チエノピラゾール、キノリン、キナゾリン、及びキノキサリンから成る群から選択される。好ましい実施形態において、ArAはベンゼン、チオフェン、ピリジン、アザ−インドール、又はキノキサリンである。
【0086】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、少なくとも1つのYは、フルオロ、クロロ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、−OH、−OR10、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−N(R)C(O)(CRNR、−(CRN(R)C(O)(CRNR、−C(O)NR(CRNR、−S(O)0,1,2NR(CRNR、−NRC(O)NR(CRNR、−OC(O)NR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR、−N(R)C(=NR)R、−(CRN(R)C(=NR)R、−NR(CRN(R)C(=NR)R、−O(CRN(R)C(=NR)R、−(CRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−O(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(=NR)NRC(=NR)NR、−(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−C(=NR)NRC(O)R、−NRSO、−NRC(O)R、−NRC(=O)OR、−C(O)NR、−(CRC(O)NR、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−ヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−N(R)−ヘテロアリール−NR、−N(R)−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロアリール、−(CRヘテロシクリル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクリル、−NR(CRヘテロアリール、−NR(CRヘテロシクリル、−O(CRヘテロアリール、−O(CRヘテロシクリル、及び−O(CRO−ヘテロシクリルから成る群から選択される。特定の実施形態において、少なくとも1つのYは、フルオロ、クロロ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、−OH、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−C(O)NR(CRNR、−NRC(O)NR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR、−N(R)C(=NR)R、−(CRN(R)C(=NR)R、−NR(CRN(R)C(=NR)R、−(CRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(=NR)NRC(=NR)NR、−(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−C(=NR)NRC(O)R、−NRC(O)R、−(CRC(O)NR、−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−N(R)−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロシクリル、及び−NR(CRヘテロシクリルから成る群から選択される。更なる実施形態において、少なくとも1つのYは、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−ヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−N(R)−ヘテロアリール−NR、−N(R)−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロアリール−C(=NR)NR、−ヘテロシクリル−C(=NR)NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、及び−(CRヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NRから成る群から選択される。特異的な実施形態において、少なくとも1つのYは、2−(NR)−ピリジル、2−(NR)−ピリミジニル、2−(NR)−チアゾリル、2−(NR)−イミダゾリル、3−(NR)−ピラゾリル、3−(RN)−イソチアゾリル、2−(RN)−オキサゾリル、ピペリジン、ピロリジン、4−アミノ−ピペリジニル、3−アミノ−ピロリジニル、ピペラジン、又は4−カルボキシミドオイル−ピペラジニルである。好ましい実施形態において、少なくとも1つのYは、−NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR
、−N(R)C(=NR)R、−(CRNR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRNR、−NR(CROR10、−(CRNR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(O)CR6(NR)(CRNR、−(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(O)(CRNR、−C(=NR)NRC(O)R、−NR(CRヘテロアリール、及び−O(CRNRから成る群から選択される。
【0087】
特定の実施形態において、付けられる炭素原子と共に得られた2つのY基は、随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成する。幾つかの実施形態において、炭素環又はヘテロ環は、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロ環、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール、及び−(CRヘテロシクリルから成る群から選択される1乃至3の置換基で随意に置換される。特定の実施形態において、2つのY基は、付けられる原子と共に、ピロリジン環を形成する。
【0088】
幾つかの実施形態において、pは0、1、2、又は3である。特定の実施形態において、pは1又は2である。幾つかの実施形態において、pは2である。他の実施形態において、pは1である。
【0089】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、RとRは独立して、水素、−OH、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、及び随意に置換したヘテロシクリルから選択される。好ましい実施形態において、RとRは独立して、水素又は随意に置換したC−Cアルキルである。
【0090】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、RとRは独立して、水素、随意に置換したC−Cアルキル、−OH、−NR、及び随意に置換したヘテロシクリルから選択され、又は、共に得られたRとRは、付けられる炭素を含む随意に置換したヘテロ環を形成する。好ましい実施形態において、RとRは独立して、水素、フルオロ、又は随意に置換したC−Cアルキルである。
【0091】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、R、R、R、及びRは水素であり;XとXは−OHであり;Zは>C=Oであり;nは0であり;mは0又は1であり;RとRは、存在する場合に水素であり;ArAはベンゼン又はピリジンであり;pは2であり;及び、少なくとも1つのYは−(CHNRであり;vは1又は2であり;及び、RとRは、H又はC−Cアルキルである。式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、R、R、R、及びRは水素であり;XとXは−OHであり;Zは>C=Oであり;nは0であり;mは0又は1であり;RとRは、存在する場合に水素であり;ArAはベンゼン又はピリジンであり;pは2であり;及び、少なくとも2つのY基は−(CHNRであり;vは1又は2であり;及び、RとRは、H又はC−Cアルキルである。式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、R、R、R、及びRは水素であり;XとXは−OHであり;Zは>C=Oであり;nは0であり;mは0であり;ArAはベンゼン又はピリジンであり;pは2であり;及び、2つのY基は−(CHNRであり;vは1又は2であり;及び、RとRは、H又はC−Cアルキルである。式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、R、R、R、及びRは水素であり;XとXは−OHであり;Zは>C=Oであり;nは0であり;mは0であり;ArAはベンゼン又はピリジンであり;pは2であり;及び、2つのY基は−(CHNRであり;vは1であり;及び、RとRは、H又はC−Cアルキルである。式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、R、R、R、及びRは水素であり;XとXは−OHであり;Zは>C=Oであり;nは0であり;mは0であり;ArAはベンゼン又はピリジンであり;pは2であり;及び、2つのY基は−(CHNRであり;vは1であり;及び、RとRはHである。式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、R、R、R、及びRは水素であり;XとXは−OHであり;Zは>C=Oであり;nは0であり;mは0であり;ArAはベンゼンであり;pは2であり;及び、2つのY基は−(CHNRであり;vは1であり;及び、RとRはHである。
【0092】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、R、R、R、Rは水素であり;XとXは−OHであり;Zは>C=Oであり;nは0であり;mは0又は1であり;RとRは、存在する場合に水素であり;ArAはベンゼン又はピリジンであり;pは2であり;又は、2つのYは、付けられる原子と共に、随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成する。幾つかの実施形態において、2つのY基は、付けられる原子と共に、随意に置換したピロリン又はテトラヒドロピリジンの環を形成する。幾つかの実施形態において、2つのY基は、付けられる原子と共に、随意に置換したピロリン環を形成する。幾つかの実施形態において、炭素環又はヘテロ環は、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロ環、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール、及び−(CRヘテロシクリルから成る群から選択される1乃至3の置換基で随意に置換される。
【0093】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、Mは単結合であり;mとnは0であり;pは0、1、2、又は3であり;XとXは独立して、−OH、−OR、又はFから選択され;R、R、R、Rは水素であり;ArAは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロ環、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、及び−SR10から成る群からの1以上の置換基で随意に置換した芳香族基又は複素芳香族基であり。幾つかの実施形態において、ArAは、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、イミダゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、インダゾール、アザインドール、アザインダゾール、インドリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロ−ピリジン、チアゾロ−ピリジン、ピロロ−ピリミジン、チエノ−ピラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾフラン、ベンズイソオキサゾール、ベンズイソチアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾトリアジン、ナフチリジン(napthyridine)、ピリド−ピリミジン、ピリド−ピラジン、ピリドピリダジン、イソオキサゾロ−ピリジン、及びオキサゾロ−ピリジンから成る群から選択される。例えば、幾つかの実施形態において、ArAは、二環式の芳香族基であり、例えば、ArAは、インドール、インダゾール、アザインドール、アザインダゾール、インドリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロ−ピリジン、チアゾロ−ピリジン・ピロロ−ピリミジン、チエノ−ピラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾフラン、ベンズイソオキサゾール、ベンズイソチアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾトリアジン・ナフチリジン、ピリド−ピリミジン、ピリド−ピラジン、ピリドピリダジン、イソオキサゾロ−ピリジン、及びオキサゾロ−ピリジンから成る群から選択される。幾つかの実施形態において、ArAは、ピリミジン、チオフェン、オキサゾール、トリアゾール、インドール、ベンズイミダゾール、アザインドール、チエノピラゾール、キノリン、キナゾリン、及びキノキサリンから成る群から選択される。
【0094】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、Mは単結合であり;mは0であり;nは1であり;pは0、1、2、又は3であり;XとXは独立して、−OH、−OR、又はFから選択され;R、R、R、Rは水素であり;ArAは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロ環、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、及び−SR10から成る群からの1以上の置換基で随意に置換した芳香族基又は複素芳香族基である。幾つかの実施形態において、ArAは、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、イミダゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、インダゾール、アザインドール、アザインダゾール、インドリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロ−ピリジン、チアゾロ−ピリジン、ピロロ−ピリミジン、チエノ−ピラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾフラン、ベンズイソオキサゾール、ベンズイソチアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾトリアジン、ナフチリジン(napthyridine)、ピリド−ピリミジン、ピリド−ピラジン、ピリドピリダジン、イソオキサゾロ−ピリジン、及びオキサゾロ−ピリジンから成る群から選択される。好ましい実施形態において、ArAは、二環式の芳香族基であり、例えば、ArAは、インドール、インダゾール、アザインドール、アザインダゾール、インドリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロ−ピリジン、チアゾロ−ピリジン・ピロロ−ピリミジン、チエノ−ピラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾフラン、ベンズイソオキサゾール、ベンズイソチアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾトリアジン・ナフチリジン、ピリド−ピリミジン、ピリド−ピラジン、ピリドピリダジン、イソオキサゾロ−ピリジン、及びオキサゾロ−ピリジンから成る群から選択される。幾つかの実施形態において、ArAはインドール、インダゾール、アザインドール、アザインダゾール、インドリジン、又はベンズイミダゾールである。特定の実施形態において、ArAは、ピリミジン、チオフェン、オキサゾール、トリアゾール、インドール、ベンズイミダゾール、アザインドール、チエノピラゾール、キノリン、キナゾリン、及びキノキサリンから成る群から選択される。
【0095】
別の態様において、本明細書には、式I又は式Iaの化合物、或いは、それらの薬学的に許容可能な塩、多形体、溶媒和物、互変異性体、代謝物、又はN−オキシドが提供され、
式中:
Mは単結合であり;
mは0であり;
nは0、1、又は2であり;
但し、nが0である場合、Mは単結合であることを前提とし;
pは0、1、2、又は3であり;
とXは独立して、−OH、−OR、又はFから選択され;
Zは、>C=O、>C=S、又は>SOであり;
ArAは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロ環、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、=O、−OH、−10、及び−SR10から成る群から選択される置換基で随意に置換した芳香環系又は芳香族複素環系であり;
Yはそれぞれ、−NR、−(CRNR、−NR(CRNR、−O(CRNR、−S(O)0,1,2(CRNR、−N(R)C(O)(CRNR、−(CRN(R)C(O)(CRNR、−(CRNR(CRNR、−NR(CROR10、−NR(CRS(O)0,1,210、−C(O)NR(CRNR、−S(O)0,1,2NR(CRNR、−NRC(O)NR(CRNR、−OC(O)NR(CRNR、−NRC(=NR)NR(CRNR、−N(R)C(=NR)R、−(CRN(R)C(=NR)R、−NR(CRN(R)C(=NR)R、−O(CRN(R)C(=NR)R、−S(O)0,1,2(CRN(R)C(=NR)R、−(CRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRC(=NR)NR、−(CRN(R)C(=NR)NR、−NR(CRN(R)C(=NR)NR、−O(CRN(R)C(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRN(R)C(=NR)NR、−NRC(=NR)NRC(=NR)NR、−(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NR(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−O(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−S(O)0,1,2(CRC(=NR)NRC(=NR)NR、−NRC(=NR)NR、−C(=NR)NR、−C(=NR)NRC(O)R、−NRSO、−NRC(O)R、−NRC(=O)OR、−C(O)NR、−(CRC(O)NR、−SONR、−ヘテロアリール−NR、−ヘテロシクリル−NR、−ヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−ヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−N(R)−ヘテロアリール−NR、−N(R)−ヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−NR、−(CRヘテロシクリル−NR、−(CRヘテロアリール−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロシクリル−N(R)C(=NR)NR、−(CRヘテロアリール、−(CRヘテロシクリル、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクリル、−NR(CRヘテロアリール、−NR(CRヘテロシクリル、−O(CRヘテロアリール、−O(CRヘテロシクリル、−NR(CRNR−ヘテロアリール、−NR(CRNR−ヘテロシクリル、−O(CRNR−ヘテロアリール、−O(CRNR−ヘテロシクリル、−O(CRO−ヘテロシクリル、−NR9+、−(CRNR9+、−NR(CRNR9+、−NR9+(CRNR9+、−(CR(T)、及び−O(CRNR9+から選択され;
ここで:
Tはピリジン−1−イル、ピリミジン−1−イル、又はチアゾール−3−イルであり;
Qは薬学的に許容可能なカウンターイオンであり;及び
vは1−4であり;
又は、それらが付けられる炭素原子と共に得られた2つのYは、随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成し;
、R、及びRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、−OH、−OR10、−NR、及び−SR10から成る群から選択され;
とRは、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、及び−NRから成る群から選択され、或いは、共に得られたRとRは、オキソ、オキシム、又は、付けられる炭素を含む随意に置換した炭素環或いは随意に置換したヘテロ環を形成し;
は、水素、随意に置換したC−Cアルキル、又は薬学的に許容可能なプロドラッグであり;
、R、及びRは独立して、水素、−OH、−CN、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、随意に置換したアミノアルキル、随意に置換したシクロアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、随意に置換したヘテロアリール、随意に置換したシクロアルキルアルキル、随意に置換したヘテロシクリルアルキル、随意に置換したアラルキル、随意に置換したヘテロアラルキル、(ポリエチレングリコール)エチル、及び随意に置換したサッカライドから成る群から選択され;或いは、共に得られたRとRは、付けられる窒素を含む随意に置換したヘテロ環を形成し;
とRは独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRSO、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、及び随意に置換したヘテロアリールから成る群から選択され;又は、共に得られたRとRは、オキソ、オキシム、又は、付けられる炭素を含む随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成し;
は、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、又は薬学的に許容可能なボロン酸エステル基であり;
は随意に置換したC−Cアルキルであり;
10は、随意に置換したC−Cアルキル又は随意に置換したC−Cシクロアルキルである。
幾つかの実施形態において、RとRは独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRSO、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したアリール、及び随意に置換したヘテロアリールから成る群から選択され;又は、共に得られたRとRは、付けられる炭素を含む随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成する。幾つかの実施形態において、RとRは独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、随意に置換したC−Cアルキル、随意に置換したアルコキシアルキル、随意に置換したヒドロキシアルキル、随意に置換したC−Cシクロアルキル、−OH、−OR10、−SR10、−NR、−NRC(O)R、−C(O)NR、及び−NRSOR5から成る群から選択される。幾つかの実施形態において、vは1であり;及び、RとRはフルオロである。幾つかの実施形態において、vは1であり;及び、RとRは、付けられる炭素と共に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチルの基などの炭素環を形成する。幾つかの実施形態において、vは1であり;及び、RとRは、付けられる炭素と共に、例えばアジリジン、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジンなどのヘテロ環を形成する。幾つかの実施形態において、ArAはフェニル又はピリジンである。幾つかの実施形態において、RとRは独立して、フルオロ、クロロ、ブロモから成る群から選択される。特定の実施形態に置いて、共に得られたRとRは、付けられる炭素を含む随意に置換した炭素環又は随意に置換したヘテロ環を形成する。
【0096】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、pは1、2、又は3であり;及び、少なくとも1つのYは、−O(CRNR、−(CRヘテロアリール−NR、−NR(CRNR、−C(O)NR(CRNR、及び−N(R)C(O)(CRNRから成る群から選択される。
【0097】
式I又は式Iaの化合物の幾つかの実施形態において、pは0であり;及び、ArAはヘテロアリール基で置換したアリール又はヘテロアリールである。幾つかの実施形態において、pは0であり;及び、ArAは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、インダゾール、アザインドール、アザインダゾール、インドリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロ−ピリジン、チアゾロ−ピリジン、ピロロ−ピリミジン、チエノ−ピラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾフラン、ベンズイソオキサゾール、ベンズイソチアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾトリアジン、ナフチリジン、ピリド−ピリミジン、ピリド−ピラジン、ピリドピリダジン、イソオキサゾロ−ピリジン、及びオキサゾロ−ピリジンから成る群から選択され;ここで、ArAはヘテロアリール基で置換される。幾つかの実施形態において、pは0であり、及び、ArAhs、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1−オキシドピリジニル、1−オキシドピリミジニル、1−オキシドピラジニル、1−オキシドピリダジニル、1−フェニル−1H−ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、及びチオフェニル(即ち、チエニル)から選択されるヘテロアリール基で置換される。幾つかの実施形態において、pは0であり、及び、ArAは、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、及びトリアゾリルから選択されたヘテロアリール基で置換されるベンゼン、ピリジン、又はピリミジンである。
【0098】
<化合物の調製>
本明細書には、ベータ−ラクタマーゼの活性を阻害する式I又は式Iaの化合物、及びそれらの調製プロセスが記載される。また、本明細書には、前記化合物の、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に活性な代謝物、及び薬学的に許容可能なプロドラッグも記載される。少なくとも1つのそのような化合物、又はそのような化合物の薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容可能なプロドラッグ、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物も、提供される。
【0099】
式I又は式Iaの化合物は、当業者に既知の標準の合成反応を使用して、又は、当該技術分野で既知の方法を使用して、合成してもよい。この反応は、直線配列に用いることで化合物を提供することが可能であり、又は、それらを使用することで、後に当該技術分野で既知の方法により結合されるフラグメントを合成してもよい。
【0100】
本明細書に記載される化合物の合成に用いられる出発物質は、Aldrich Chemical Co. (Milwaukee, Wisconsin)、Bachem (Torrance, California)、又はSigma Chemical Co.(St. Louis, Mo.)などであるが、これらに限定されない市販の供給源から合成してもよく、又はそれらから入手可能である。本明細書に記載される化合物と、異なる置換基を持つ他の関連化合物は、例えば、March, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed., (Wiley 1992); Carey and Sundberg, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed.SYNTHESIS, Vols. A and B (Plenum 2000, 2001); Green and Wuts, PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 3rd Ed., (Wiley 1999); Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1−17 (John Wiley and Sons, 1991); Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, Volumes 1−5 and Supplementals (Elsevier Science Publishers, 1989); Organic Reactions, Volumes 1−40 (John Wiley and Sons, 1991);及びLarock’s Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc., 1989)に記載されるものなど、当業者に既知の技術及び材料を使用して、合成することが可能である。これら文献全ては、その全体において参照により組み込まれる。本明細書に記載される化合物の合成のための他の方法は、国際特許公開WO01/01982901、Arnold et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 10 (2000) 2167−2170; Burchat et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12 (2002) 1687−1690に見出され得る。本明細書に開示されるような化合物の調製のための一般的な方法は、当該技術分野における既知の反応に由来し、該反応は、当業者に認識されるように、本明細書で提供される式に見出される様々な部分の導入のための、適切な試薬及び条件の使用によって修飾され得る。
【0101】
反応の生成物は、所望される場合、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含むが、これらに限定されない従来の技術を使用して分離又は精製されてもよい。そのような材料は、物理定数とスペクトルデータを含む従来の手段を使用して、特徴化されてもよい。
【0102】
本明細書に記載される化合物は、単一の異性体又は異性体の混合物として調製されてもよい。
【0103】
<本明細書に開示される化合物の更なる形態>
<異性体>
幾つかの実施形態において、ホウ素原子の求オキソ(oxophilic)性質のため、本明細書に記載される化合物は、特に水を含む環境(水溶液、血漿など)において、代替的な形態に変換されるか、又は代替的な形態と平衡して存在してもよい。従って、本明細書に記載される化合物は、式Iに示される「閉鎖」環式形態と、図Iaに示される「開放」非環形態との間で、平衡状態で存在してもよい。加えて、本明細書に記載される化合物は、分子内の二量体、三量体、及び関係する組み合わせに関連付けられてもよい。
【0104】
更に、幾つかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は幾何異性体として存在する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、1以上の二重結合を含む。本明細書で提供される化合物は、シス、トランス、シン、アンチ、エントゲーゲン(E)、及びツザメン(Z)異性体、同様にそれらの対応する混合物を全て含む。幾つかの状況において、化合物は互変異性体として存在する。本明細書に記載される化合物は、本明細書に記載される式内に、全ての可能な互変異性体を含む。幾つかの状況において、本明細書に記載される化合物は、1以上のキラル中心を備えており、各中心は、R配置又はS配置に存在する。本明細書に記載される化合物は、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びエピマーの形態、同様にそれらの対応する混合物全てを含む。本明細書で提供される化合物及び方法の更なる実施形態において、単一の調製工程、組み合わせ、又は相互変換から得られるエナンチオマー及び/又はジアステレオ異性体の混合物は、本明細書に記載される用途に有用である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分解剤と反応させて一対のジアステレオ異性体の化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、化合物の個々の立体異性体として調製される。幾つかの実施形態において、解離性錯体が調製される(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。幾つかの実施形態において、ジアステレオマーは、明白な物理的特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を備えており、これら相違点を利用することにより分離される。幾つかの実施形態において、ジアステレオマーは、キラルクロマトグラフィーによって、又は好ましくは、溶解度の相違に基づく分離/分解技術によって分離される。幾つかの実施形態において、光学的に純粋なエナンチオマーはその後、ラセミ化を生じない任意の実用的な手段により、分解剤と共に回収される。
【0105】
幾つかの実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、本明細書に示される構造の何れかによって表わされる立体異性体である。幾つかの実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、本明細書に示される構造の何れかによって表わされる立体異性体のエナンチオマーである。特定の実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、本明細書に示される構造の何れかによって表わされる立体異性体のジアステレオマーである。幾つかの実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、本明細書に示される構造の何かによって表わされる立体異性体のエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物である。特定の実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、本明細書に示される構造の何れかによって表わされる立体異性体のラセミ化合物である。
【0106】
<標識化した化合物>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、それらの同位体的に標識化した形態で存在する。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、そのような同位体的に標識化した化合物の投与による疾患の処置方法を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、医薬組成物として前記同位体的に標識化した化合物の投与による疾患の処置方法を含む。故に、幾つかの実施形態において、本明細書に開示される化合物は、同位体的に標識化した化合物を含み、該化合物は、1以上の原子が、通常自然に見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子により置換されるという事実を除けば、本明細書で挙げられるものと同一である。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、亜リン酸、硫酸、フッソ、及び塩化物の同位体を含み、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clなどである。本明細書に記載される化合物、及び、前述の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含むそれらの代謝物、薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体は、本発明の範囲内にある。特定の同位体的に標識化した化合物、例えば、H及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれるものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて役立つ。トリチウム化した(即ちH)及び炭素−14(即ち14C)の同位体は、調製と検出能の容易さのために特に好ましい。更に、重水素、即ちHなどの重同位元素による置換は、例えば、インビボの半減期の増加又は必要用量の減少などの、より大きな代謝安定性から生じる特定の治療上の利点をもたらす。幾つかの実施形態において、同位体的に標識化した化合物、その薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、又は誘導体は、任意の適切な方法によって調製される。
【0107】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、発色団又は蛍光部分、生物発光ラベル、又は化学発光ラベルの使用を含む、他の手段により標識化される。
【0108】
<薬学的に許容可能な塩>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、その薬学的に許容可能な塩として存在する。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、前記薬学的に許容可能な塩の投与による疾患の処置方法を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、医薬組成物としての前記薬学的に許容可能な塩の投与による疾患の処置方法を含む。
【0109】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、酸性又は塩基性の基を備え、それ故、薬学的に許容可能な塩を形成するために、多くの無機塩基又は有機塩基、及び無機酸並びに有機酸の何れかと反応する。幾つかの実施形態において、これらの塩は、本発明の化合物の最終的な分離及び精製中に、又は、遊離形態にある精製した化合物を適切な酸或いは塩基と反応させ、それにより形成される塩を分離することにより、インサイツで調製される。
【0110】
薬学的に許容可能な塩の例は、本明細書に記載される化合物の、無機質、有機酸又は無機塩基との反応によって調製される塩を含み、そのような塩は、アセタート、アクリラート、アジパート、アルギナート、アスパルテート、ベンゾアート、ベンゼンスルホナート、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、ブチラート、ブチン−1,4−ジオアート、樟脳酸塩、カンファースルホネート、カプロン酸塩、カプリル酸塩、クロロベンゾエート、塩化物、シトラート、シクロペンタンプロピオナート、デカノアート、ジグルコナート、リン酸二水素、ジニトロベンゾアート、硫酸ドデシル、エタンスルホナート、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタノエート、グリセロリン酸塩、グリコラート、ヘミ硫酸、ヘプタノアート、ヘキサノアート、ヘキシン−1,6−ジオアート、ヒドロキシベンゾアート、γ−ヒドロキシブチレート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシエタンスルホナート、ヨウ化物、イソブチラート、ラクタート、マレアート、マロナート、メタンスルホナート、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホナート、メトキシベンゾアート、メチルベンゾアート、リン酸一水素、1−ナフタレンスルホナート、2−ナフタレンスルホナート、ニコチネート、硝酸塩、パモ酸塩(palmoate)、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩、3−プロピオン酸フェニル、リン酸塩、ピクラート、ピバレート、プロピオナート、ピロ硫酸塩、ピロリン酸塩、プロピオレート(propiolate)、フタラート、フェニルアセテート、フェニルブチレート、プロパンスルホナート、サリチル酸塩、スクシナート、スルファート、亜硫酸塩、スクシナート、スベリン酸塩、セバケート、スルホナート、酒石酸塩、チオシアネート、トシラート、ウンデカノアート、及びキシレンスルホナートを含む。
【0111】
更に、本明細書に記載される化合物は、化合物の遊離塩基形態を、薬学的に許容可能な無機酸又は有機酸と反応させることにより形成される、薬学的に許容可能な塩として調製され得、前記無機酸は、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸などを含み;及び、前記有機酸は、限定されないが、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクタ−2−ene−1−カルボン酸、グルコへプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−ene−1−カルボン酸)、3−フェニルプルピオン酸、トリメチル酢酸、ターシャリブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、及びムコン酸などを含む。幾つかの実施形態において、シュウ酸などであるが、一方でそれ自体が薬学的に許容可能でない他の酸は、本発明の化合物及びその薬学的に許容可能な酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において、利用される。
【0112】
幾つかの実施形態において、遊離酸基を含む、本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な金属カチオンの、ヒドロキシド、カルボナート、重炭酸塩、硫酸塩などの適切な塩基と、アンモニアと、又は、薬学的に許容可能な有機の第一級、第二級、第三級、又は第四級アミンと、反応する。代表的な塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウムの塩などの、アルカリ又はアルカリ土類の塩を含む。塩基の典型的な例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウム、N(C1−4アルキル)などを含む。
【0113】
塩基付加塩の形成に役立つ、代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどを含む。本明細書に記載される化合物はまた、それらが含む任意の塩基性窒素含有基の四級化を含むことを、理解されたい。本明細書に記載される化合物はまた、それらが含む任意のホウ素含有基の四級化を含むことを、理解されたい。そのような四級化は、複合体又は塩を形成するためにルイス塩基によるルイス酸性のホウ素(bron)の処置から、結果として生じ得る。幾つかの実施形態において、水溶性又は油溶性、或いは分散可能な生成物が、そのような四級化によって得られる。
【0114】
<溶媒和物>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は溶媒和物として存在する。本発明は、そのような溶媒和物の投与により疾患を処置する方法を提供する。本発明は、医薬組成物としての前記溶媒和物の投与により疾患を処置する方法を更に提供する。
【0115】
溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含み、幾つかの実施形態においては、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒による結晶化のプロセス中に形成される。水和物は、溶媒が水である時に形成され、又はアルコラートは、溶媒がアルコールの時に形成される。本明細書に記載の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載のプロセス中に、都合よく調製又は形成される。ほんの一例ではあるが、本明細書に記載される化合物の水和物は、ジオキサン、テトラヒドロフラン又はメタノールを含むがこれらに限定されない有機溶媒を用いる、水性/有機溶媒混合物からの再結晶により都合よく調製され得る。加えて、本明細書で提供される化合物は、溶媒和形態と同様に、非溶媒和形態で存在し得る。一般的に溶媒和形態は、本明細書で提供される化合物及び方法の目的のため、非溶媒和形態と同等であると考慮される。
【0116】
<多形>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は多形として存在する。本発明は、そのような多形の投与により疾患を処置する方法を提供する。本発明は、医薬組成物としての前記多形の投与により疾患を処置する方法を更に提供する。
【0117】
故に、本明細書に記載される化合物は、多形として知られるそれらの結晶形態を全て含む。多形は、化合物の同じ元素組成の配置を充填する異なる結晶を含む。特定の例において、多形は、様々なX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学及び電気学上の特性、安定性、並びに溶解度を備える。特定の例において、再結晶溶媒、結晶化の速度、及び保管温度等の様々な要因が、支配的な単結晶形態を引き起こす。
【0118】
<プロドラッグ>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物はプロドラッグ形態で存在する。本発明は、そのようなプロドラッグの投与により疾患を処置する方法を提供する。本発明は、医薬組成物としての前記プロドラッグの投与により疾患を処置する方法を更に提供する。
【0119】
プロドラッグは、一般的に薬物前駆体であり、この薬物前駆体は、個体への投与及び後の吸収に続いて、代謝経路による変換などの、幾つかのプロセスを介して、活性な、又はより活性な種へと変換される。プロドラッグの中には、活性を和らげ、及び/又は薬物に溶解度又は幾つかの他の特性を与える、プロドラッグ上に存在する化学基を有するものもある。一旦、化学基がプロドラッグから開裂及び/又は修飾されると、活性薬物が生成される。幾つかの状況において、プロドラッグは、親薬物よりも容易に投与することが可能であるため、しばしば有用である。それらは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であるが、親薬物はそうではない。幾つかの例において、プロドラッグはまた、親薬物以上に改善された医薬組成物の溶解度を有する。プロドラッグの一例は、限定されないが、本明細書に記載されるような化合物であり、該化合物は、水溶性が可動性に対して有害である細胞膜をわたる転送を促進するために、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、一旦水溶性が有益である細胞内に入ると、カルボン酸、活性体へと代謝的に加水分解される。プロドラッグの更なる例は、ペプチドが代謝されることで活性部分を明らかにする、酸基に結合された短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)でもよい。(例えば、引用により本明細書に組み込まれる、Bundgaard, “Design and Application of Prodrugs” in A Textbook of Drug Design and Development, Krosgaard−Larsen and Bundgaard, Ed., 1991, Chapter 5, 113−191を参照)。
【0120】
幾つかの実施形態において、プロドラッグは、部位特異的な組織への薬物送達を増強するための調整剤として使用するために、可逆的な薬物誘導体として設計される。今日までのプロドラッグの設計は、水が主な溶媒である領域を標的とするために、治療用化合物の有効な水溶性を高めることであった。
【0121】
加えて、本明細書に記載される化合物のプロドラッグ誘導体は、本明細書に記載される方法、さもなくば当該技術分野で既知の方法によって調製され得る(更なる詳細については、Saulnier et al., Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, 1994, 4, 1985を参照)。ほんの一例として、適切なプロドラッグは、非誘導体化化合物を適切なカルバミル化剤と反応させることにより調製され得、該カルバミル化剤は、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリダート(acyloxyalkylcarbanochloridate)、炭酸パラニトロフェニルなどであるが、これらに限定されない。プロドラッグがインビボで代謝されると本明細書に明記されるような誘導体を生成する、本明細書に記載の化合物のプロドラッグの形態は、請求の範囲内に含まれる。実際、本明細書に記載の化合物の幾つかは、別の誘導体又は活性化合物のプロドラッグである。
【0122】
幾つかの実施形態において、プロドラッグは、アミノ酸残基、又は2つ以上(例えば、2、3、又は4)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、本発明の化合物の遊離アミノ酸、ヒドロキシ、又はカルボン酸の基に対する、アミド又はエステルの結合を通じて共有結合される化合物を含む。アミノ酸残基は、限定されないが、20の自然発生のアミノ酸を含み、また、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デスモシン(demosine)、イソデスモシン(isodemosine)、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン(cirtulline)、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、及びメチオニンスルフォンを含む。他の実施形態において、プロドラッグは、核酸残基、又は2つ以上(例えば、2、3、又は4)の核酸残基のオリゴヌクレオチドが、本発明の化合物に共有結合される化合物を含む。
【0123】
本明細書に記載される化合物の薬学的に許容可能なプロドラッグは、限定されないが、エステル、炭酸塩、チオ炭酸塩、N−アシル誘導体、N−アシルオキシアルキル誘導体、第三級アミンの四級誘導体、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基、アミノ酸接合体、リン酸エステル、金属塩、及びスルホン酸エステルを含む。遊離アミノ、アミド、ヒドロキシ、又はカルボン酸の基を有する化合物は、プロドラッグに変換され得る。例えば、遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導され得る。特定の例において、これらプロドラッグ部分の全ては、限定されないがエーテル、アミン、及びカルボン酸の官能性を含む基を組み込む。
【0124】
ヒドロキシプロドラッグは、「Advanced Drug Delivery Reviews 1996, 19, 115」に概説されるように、限定されないが、アシルオキシアルキル(例えば、アシルオキシメチル、アシルオキシエチル)エステル、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル、アルキルエステル、アリールエステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、硫酸エステル、及びエステルを含むジスルフィドなどのエステル;エーテル、アミド、カルバマート、ヘミスクシナート、ジメチルアミノアセタート、及びホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む。
【0125】
アミン由来のプロドラッグは、限定されないが、以下の基及び基の組み合わせ:
【0126】
【化14】
同様に、スルホンアミド及びホスホンアミドを含む。
【0127】
特定の実施形態において、任意の芳香環部分上の部位は、様々な代謝反応に敏感である。それ故、芳香環構造上の適切な置換基の組み込みは、この代謝経路を縮小し、最小化し、又は除去し得る。
【0128】
<代謝物>
幾つかの実施形態において、式I又は式Iaの化合物は、様々な代謝反応に対して感受性がある。それ故、幾つかの実施形態において、構造への適切な置換基の組み込みは、代謝経路を縮小し、最小化し、又は除去することになる。具体的な実施形態において、代謝反応に対する芳香環の感受性を減らす又は除去するのに適切な置換基は、ほんの一例として、ハロゲン、又はアルキルの基である。
【0129】
追加の又は更なる実施形態において、本明細書に記載の式I又は式Iaの化合物は、所望の治療効果を含む所望の硬化を生成するために後に使用される、代謝物を生成する必要がある生物体への投与後に、代謝される。
【0130】
<医薬組成物/製剤>
別の態様において、本明細書には、本明細書に記載されるような式I又は式Iaの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、多形、溶媒和物、プロドラッグ、N−オキシド、又は異性体、及び、薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態において、医薬組成物はベータ−ラクタム系抗生物質を更に含む。特定の実施形態において、ベータ−ラクタム系抗生物質は、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、モノバクタム、架橋したモノバクタム、又はそれらの組み合わせである。
【0131】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、医薬組成物へと処方される。医薬組成物は、活性化合物の、薬学的に使用され得る製剤への処理を促進する、1以上の薬学的に許容可能な不活性成分を使用する従来の方法で、処方される。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載される医薬組成物の概要は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;及び、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999)において見出され得、それらは開示のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
本明細書には、式I又は式Iaの化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な不活性成分とを含む医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、式I又は式Iaの化合物が併用療法におけるように他の活性成分と混合される、医薬組成物として投与される。他の実施形態において、医薬組成物は、他の医療薬剤又は医薬品、担体、アジュバント、防腐剤、安定化剤、湿潤剤又は乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩、及び/又はバッファーを含む。また他の実施形態において、医薬組成物は、他の治療上有益な物質を含む。
【0133】
医薬組成物は、本明細書で使用されるように、式I又は式Iaの化合物と、担体、賦形剤、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香味料、甘味料、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色料、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤(moistening agents)、可塑剤、安定剤、浸透促進剤、湿潤剤(wetting agents)、消泡剤、抗酸化剤、防腐剤、又はそれらの1以上の組み合わせなどの他の化学成分(即ち、薬学的に許容可能な不活性成分)との混合物を指す。医薬組成物は、生体への化合物の投与を促進する。本明細書に提供される処置又は使用の方法の実施において、治療上効果的な量の本明細書に記載される化合物は、処置される疾患、障害、又は疾病を有する哺乳動物へと、医薬組成物中で投与される。幾つかの実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。治療上効果的な量は、疾患の重症度、被験体の年齢及び相対的な健康状態、使用される化合物の効能、及び他の要因に依存して広く変わり得る。化合物は、単一で、又は混合物の成分としての1以上の治療薬剤と組み合わせて、使用され得る。
【0134】
本明細書に記載される医薬製剤は、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬側、局所、直腸、又は経皮の投与経路を含むが、これらに限定されない適切な投与経路によって、被験体に投与される。本明細書に記載される医薬製剤は、水性液体分散、液体、ゲル、シロップ、エリキシル、スラリー、懸濁液、自己乳化分散液、固溶体、リポソーム分散液、エアロゾル、固形経口剤形、粉末剤、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、糖衣錠、発泡製剤、凍結乾燥製剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多重微粒子製剤、及び、即時混合且つ制御放出製剤を含むが、これらに限定されない。
【0135】
式I又は式Iaの化合物を含む医薬組成物は、ほんの一例ではあるが、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉砕、乳化、封入、包括、又は圧縮のプロセスの手段などの、従来の方法で製造され得る。
【0136】
医薬組成物は、遊離酸形態又は遊離塩基形態で、又は、薬学的に許容可能な塩の形態で、活性成分として少なくとも1つの式I又は式Iaの化合物を含むことになる。加えて、本明細書に記載される方法及び医薬組成物は、N−オキシド(適切な場合)、結晶形態、非晶質相、同様に同じタイプの活性を有するこれら化合物の活性代謝物の使用を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒と共に、非溶媒和形態で、又は溶媒和形態で存在する。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書で開示されるものと考慮される。
【0137】
経口使用のための医薬調製物は、所望される場合、錠剤又は糖衣錠コアを得るために、適切な助剤を添加した後、1以上の固形賦形剤を、本明細書に記載の1以上の化合物と混合し、結果として生じる混合物を随意に粉砕し、及び顆粒の混合物を処理することによって得られる。適切な賦形剤は、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖などの充填材;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物;又は、ポリビニルピロリドン(PVP又はポビドン)或いはリン酸カルシウムなどの他のものを含む。所望されると、架橋結合クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸、或いはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの、崩壊剤が添加される。幾つかの実施形態において、染料又は色素が、活性化合物の用量の異なる組み合わせの識別又は特徴化のために、錠剤又は糖衣錠のコーティングに添加される。
【0138】
経口投与される医薬調製物は、ゼラチン製の押し出し型カプセル、同様に、ゼラチン製のソフト密封カプセル、及び、グリセロール又はソルビトールなどの可塑剤を含む。押し出し型カプセルは、ラクトースなどの充填材、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク或いはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び随意に安定剤を備えた混合剤中に、活性成分を含み得る。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中で溶解される又は懸濁される。幾つかの実施形態において、安定剤が添加される。
【0139】
特定の実施形態において、医薬化合物のための送達システムは、例えばリポソーム及びエマルジョンなどで利用されてもよい。特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物はまた、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、及びデキストランから選択される、粘膜付着性ポリマーを含む。
【0140】
<併用処置>
式I又は式Iaに係る化合物は、細菌感染の処置において1以上の抗生物質と組み合わせて使用されてもよい。そのような抗生物質は、一般的に使用される経路及び量で、式I又はIaの化合物と同時に又は連続して投与されてもよい。式I又はIaの化合物が1以上の抗生物質と同時に使用されると、そのような他の薬物及び本発明の化合物を含む、単位投与形態の医薬組成物が、好ましい。しかし、併用療法はまた、式I又はIaの化合物と1以上の抗生物質が、異なる重複するスケジュールで投与される治療を含む場合がある。また、1以上の抗生物質と組み合わせて使用されると、抗生物質は、各々が単独に使用される場合の用量よりも少ない用量で使用されてもよいことも、考慮する。
【0141】
従って、本発明の医薬組成物はまた、式I又は式Iaに係る化合物に加えて、1以上の抗生物質を含むものを含む。幾つかの実施形態において、式I又はIaの化合物を含む医薬組成物は更に、ベータ−ラクタム系抗生物質を含む。特定の実施形態において、ベータ−ラクタム系抗生物質は、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、モノバクタム、架橋したモノバクタム、又はそれらの組み合わせである。
【0142】
上記の組み合わせは、1つの抗生物質だけでなく、2つ以上の抗生物質との、式I又はIaの化合物の組み合わせを含む。同様に、式I又はIaの化合物は、抗生物質と組み合わせて、又はそれ自体で、細菌感染の危険性又は細菌感染に関連する疾病の予防、処置、制御、回復、又は減少に使用される他の薬物と組み合わせて使用されてもよい。そのような他の薬物は、一般的に使用される経路及び量で、式I又はIaの化合物と同時に又は連続して投与されてもよい。式I又はIaの化合物が1以上の他の薬物と同時に使用されると、本発明の化合物に加えてそのような他の薬物を含む医薬組成物が、好ましい。従って、本発明の医薬組成物はまた、式I又はIaの化合物に加えて、1以上の他の活性成分も備えるものを含む。第2の活性成分に対する、式I又はIaの化合物の重量比は、異なるものであってもよく、各成分の有効量に依存することになる。一般的に、各々の有効量が使用されることとなる。
【0143】
幾つかの実施形態において、式I又は式Iaに係る化合物は、細菌感染の処置において1以上の抗生物質と組み合わせて使用される。特定の実施形態において、細菌感染は、上気道又は下気道の感染、尿路感染症、腹腔内感染、又は皮膚感染である。幾つかの実施形態において、1以上の抗生物質は、ベータ−ラクタム系抗生物質から選択される。ベータ−ラクタム系抗生物質は、限定されないが、ペニシリン、ペネム、カルバペネム、セファロスポリン、セファマイシン、モノバクタム、又はそれらの組み合わせを含む。ペニシリンは、限定されないが、アモキシシリン、アンピシリン、アジドシリン、アズロシリン、バカンピシリン、ベンザチンベンジルペニシリン、ベンザチンフェノキシメチルペニシリン、ベンジルペニシリン(G)、カルベニシリン、カリンダシリン、クロメトシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、エピシリン、フルクロキサシリン、ヘタシリン、メシリナム、メタンピシリン、メチシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペナメシリン、フェネチシリン、フェノキシメチルペニシリン(V)、ピペラシリン、ピバンピシリン、ピブメシリナム、プロカインベンジルペニシリン、プロピシリン、スルベニシリン、タランピシリン、テモシリン、チカルシリンを含む。ペネムは、限定されないがファロペネムを含む。カルバペネムは、限定されないが、ビアペネム、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム、メロペネム、及びパニペネムを含む。セファロスポリン/セファマイシンは、限定されないが、セファセトリル、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファマンドール、セファピリン、セファトリジン、セファザフル、セファゼドン、セファゾリン、セフブペラゾン、セフカペン、セフダロキシム(cefdaloxime)、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフェタメト、セフィキシム、セフメノキシム、セフメタゾール、セフミノックス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォベシン、セフォキシチン、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフポドキシム、セフプロジル、セフキノム、セフキノム、セフラジン、セフロキサジン、セフスロジン、セフタロリンフォサミル、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチオレン(ceftiolene)、セフチゾキシム、セフトビプロール、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、フロモキセフ、ラタモキセフ、ロラカルベフを含む。モノバクタムは、アズトレオナム、カルモナム、ノカルジシンA、及びチゲモナム(tigemonam)を含むが、これらに限定されない。
【0144】
<医薬組成物の投与>
適切な投与経路は、経口投与、静脈内投与、直腸投与、エアロゾル投与、非経口投与、経眼投与、経肺投与、経粘膜投与、経皮投与、膣内投与、経耳投与、経鼻投与、及び局所投与を含むが、これらに限定されない。加えて、ほんの一例ではあるが、非経口送達は、くも膜下腔内、直接脳室内、腹腔内、リンパ内、及び鼻腔内の注入だけでなく、筋肉内、皮下、静脈内、髄内の注入も含む。
【0145】
幾つかの実施形態において、式I又は式Iaの化合物、及びその組成物は、任意の適切な様式で投与される。投与の様式は、例えば、局所又は全身の処置が所望されるかどうか、及び処置される領域に基づいて、選択され得る。例えば、組成物は、経口で、非経口で(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、又は筋肉内の注入)、吸入、体外、局所(経皮、経眼、膣内、直腸、鼻腔内を含む)などによって、投与され得る。
【0146】
組成物の非経口投与は一般的に、使用される場合、注入により特徴化される。注射剤は、液体溶液又は懸濁液、注入前の液体における懸濁液の溶液に適切な固体形態、又はエマルションの何れかとして、従来の形態で調製され得る。非経口投与のために最近改訂された方法は、一定の投与量が維持されるように、遅延放出又は徐放性のシステムの使用を含む。
【0147】
<抗菌活性のためのアッセイ>
ベータ−ラクタマーゼ活性の阻害のためのアッセイは、当該技術分野で周知である。例えば、標準の酵素阻害アッセイにおいてベータ−ラクタマーゼ活性を阻害する化合物の能力が、使用されてもよい(例えば、Page, Biochem J, 295:295−304 (1993)を参照)。そのようなアッセイにおいて使用するためのベータ−ラクタマーゼは、細菌源から生成されてもよく、又は好ましくは、多くのベータ−ラクタマーゼのための遺伝子及びcDNAクローンのコード化が知られているため、組換DNA技術によって作られる(例えば、Cartwright & Waley, Biochem J 221 :505−12 (1984)を参照)。
【0148】
代替的に、ベータ−ラクタマーゼを作ると知られる、又はそのために設計される細菌の、阻害剤に対する感受性が、決定されてもよい。他の細菌阻害アッセイは、寒天ディスク拡散と寒天希釈を含む(例えば、Traub&Leonhard,Chemotherapy 43 159−67(1997)を参照)。故に、ベータ−ラクタマーゼは、ベータ−ラクタマーゼ酵素を効果的な量の本発明の(inventive)化合物と接触させることにより、又は、ベータ−ラクタマーゼ酵素を作り出す細菌を効果的な量の前記化合物と接触させることで細菌中のベータ−ラクタマーゼを阻害剤と接触させることにより、阻害されてもよい。接触は、インビトロ又はインビボで生じ得る。「接触」は、ベータ−ラクタマーゼと阻害剤をくっつけることにより、阻害剤がベータ−ラクタマーゼに結合することができることを意味する。ベータ−ラクタマーゼを阻害するのに効果的な化合物の量は、経験に基づいて決定されてもよく、そのような決定は、当該技術分野内で行われる。阻害は、ベータ−ラクタマーゼ活性の減少と除去の両方を含む。
【0149】
<方法>
本開示はまた、例えば、ベータ−ラクタム系抗生物質に対する菌耐性を減らすことにより細菌増殖を阻害する方法を提供し、該方法は、細菌細胞培養物、又は細菌感染した細胞培養物、組織、或いは生体を、本明細書に記載されるベータ−ラクタマーゼ阻害剤と接触させる工程を含む。好ましくは、式I又はIaのベータ−ラクタマーゼ阻害剤の投与によって阻害される細菌は、ベータ−ラクタム抗生物質に耐性がある細菌である。用語「耐性」は、当業者によって十分に理解される(例えば、Payne et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy 38 767−772 (1994), Hanaki et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy 30 1120−1126 (1995)を参照)。
【0150】
これらの方法は、様々な状況における細菌増殖を阻害するのに役立つ。特定の実施形態において、式I又はIaの化合物は、ベータ−ラクタム耐性菌の増殖を妨げるために、インビトロで実験用細胞培養物に投与される。特定の他の実施形態において、式I又はIaの化合物は、インビボでベータ−ラクタム耐性菌の増殖を妨げるために、ヒトを含む哺乳動物に投与される。この実施形態に係る方法は、ヒトを含む哺乳動物に、治療上効果的な時間で、治療上効果的な量のベータ−ラクタマーゼ阻害剤を投与する工程を含む。好ましくは、ベータ−ラクタマーゼ阻害剤は、上述されるような医薬組成物の形で投与される。幾つかの実施形態において、ベータ−ラクタム系抗生物質は、上述されるようなベータ−ラクタマーゼ阻害剤と共に同時投与される。
【0151】
別の態様において、本明細書には、細菌感染を処置する方法が開示され、該方法は、式I又は式Iaの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を、被験体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、被験体の細菌感染を処置する方法は、随意にベータ−ラクタム系抗生物質と組み合わせて、本明細書に記載されるような医薬組成物を被験体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、細菌感染は、上気道又は下気道の感染、尿路感染症、腹腔内感染、又は皮膚感染である。
【0152】
幾つかの実施形態において、処置又は予防される感染は、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas acidovorans、Pseudomonas alcaligenes、Pseudomonas putida、Stenotrophomonas maltophilia、Burkholderia cepacia、Aeromonas hydrophilia、Escherichia coli、Citrobacter freundii、Salmonella typhimurium、Salmonella typhi、Salmonella paratyphi、Salmonella enteritidis、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Enterobacter cloacae、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella oxytoca、Serratia marcescens、Francisella tularensis、Morganella morganii、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、Providencia alcalifaciens、Providencia rettgeri、Providencia stuartii、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter calcoaceticus、Acinetobacter haemolyticus、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosis、Yersinia intermedia、Bordetella pertussis、Bordetella parapertussis、Bordetella bronchiseptica、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus haemolyticus、Haemophilus parahaemolyticus、Haemophilus ducreyi、Pasteurella multocida、Pasteurella haemolytica、Branhamella catarrhalis、Helicobacter pylori、Campylobacter fetus、Campylobacter jejuni、Campylobacter coli、Borrelia burgdorferi、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Legionella pneumophila、Listeria monocytogenes、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Kingella、Moraxella、Gardnerella vaginalis、Bacteroides fragilis、Bacteroides distasonis、Bacteroides 3452A homology group、Bacteroides vulgatus、Bacteroides ovalus、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides uniformis、Bacteroides eggerthii、Bacteroides splanchnicus、Clostridium difficile、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare、Mycobacterium leprae、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium ulcerans、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pyogenes、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus intermedius、 Staphylococcus hyicus subsp.hyicus、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus hominis、又はStaphylococcus saccharolyticusに関する感染である。
【0153】
幾つかの実施形態において、処置又は予防される感染は、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Stenotrophomonas maltophilia、Escherichia coli、Citrobacter freundii、Salmonella typhimurium、Salmonella typhi、Salmonella paratyphi、Salmonella enteritidis、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Enterobacter cloacae、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella oxytoca、Serratia marcescens、Acinetobacter calcoaceticus、Acinetobacter haemolyticus、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosis、Yersinia intermedia、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus haemolyticus、Haemophilus parahaemolyticus、Helicobacter pylori、Campylobacter fetus、Campylobacter jejuni、Campylobacter coli、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Legionella pneumophila、Listeria monocytogenes、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Moraxella、Bacteroides fragilis、Bacteroides vulgatus、Bacteroides ovalus、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides uniformis、Bacteroides eggerthii、又はBacteroides splanchnicusを含む細菌を含む。
【実施例】
【0154】
<略語の一覧>
上記で使用されるように、及び本発明の記載の全体にわたって、以下の略語が、他に明記されない限り、以下の意味を持つものであると理解される:
ACN アセトニトリル
Bn ベンジル
BOC又はBoc tert−ブチルカルバマート
BOP ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム
t−Bu tert−ブチル
Cbz ベンジルカルバマート
Cy シクロヘキシル
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−オン
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン(CHCI
DIC 1,3−ジイソプロピルカルボジイミド
DEAD アゾジカルボン酸ジエチル
DIAD アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン
DMP試薬 デズ−マーティン・ペルヨージナン試薬
DMF ジメチルホルムアミド
DMA N,N−ジメチルアセトアミド
DME 1,2−ジメトキシ−エタン
DMSO ジメチルスルホキシド
Dppf 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EDCI 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl
eq 同等物
Et エチル
EtO ジエチルエーテル
EtOH エタノール
EtOAc 酢酸エチル
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HOBT 1−ヒドロキシベンズトリアゾール
HOSu N−ヒドロキシスクシンアミド
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LAH リチウムアルミニウム無水物
Me メチル
MeI ヨウ化メチル
MeOH メタノール
MOMCl メトキシメチルクロリド
MOM メトキシメチル
MS 質量分光法
NMP N−メチル−ピロリジン−2−オン
NMR 核磁気共鳴法
PyBOP ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート
SPHOS 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル
TBD 1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−dec−5−ene
RP−HPLC 逆相高圧液体クロマトグラフィー
TBS tert−ブチルジメチルシリル
TBSCl tert−ブチルジメチルシリル塩化物
TBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム
TEOC 2−トリメチルシリルエチルカルバマート
TFA トリフルオロ酢酸
TfO トリフラート無水物
TMG 1,1,3,3−テトラメチルグアニジン
THF テトラヒドロフラン
THP テトラヒドロピラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
XPHOS 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル
【0155】
<本発明の化合物の調製の一般的な例>
本発明の化合物のための出発物質と中間体は、以下に記載される方法の適用又は順応、それらの明白な化学当量によって、又は、例えば、「The Science of Synthesis, Volumes 1−8. Editors E. M. Carreira et al. Thieme publishers (2001−2008)」などの文献に記載されるように、調製されてもよい。試薬と反応物の選択の詳細はまた、Scifinder(www.cas.org)又はReaxys(www.reaxys.com)など商用のコンピュータ調査エンジンを使用する、構造及び反応の検索によって、利用可能である。
【0156】
−78℃と0℃の間の温度で、ジクロロメタンなどの溶媒中で、BClなどのルイス酸による処置によって、本発明の特定の化合物(I)(模式図1)を、対応する官能基で保護したボロン酸エステル(II)から調製して、続いて水性のクエンチを行う。
【0157】
【化15】
【0158】
代替的に、(I)を、室温と100℃の間の温度で、ジオキサン中で水性の塩酸(約3−5モル)による(II)の処置によって(II)から得る。
【0159】
必要なボロン酸エステル(II)を、アミン(III)と(カルボン又はスルホン)酸(IV)と結合することにより得た(模式図2)。酸塩化物、無水物、又は反応的なエステル(Va、Vb、又はVc)として最初に酸官能性を活性化し、その後、通常は4−メチル−モルホリン、トリエチルアミン、又はジイソプロピルエチルアミンなどの非求核性塩基の存在下で、ほぼ室温で、DMF、DMA、NMP、THF、又はジクロロメタン(又はそれらの混合物)などの溶媒における(III)による活性化基質の処置によって、この形質転換が達成される。
【0160】
酸塩化物(Va)の形成は、略室温で、DMFなどの触媒の存在下で、ジクロロメタンなどの溶媒において、塩化チオニル、五塩化リン、又は塩化オキサリルなどの塩素化剤による(IV)の処置を含む。特定の場合には、DMFも共溶媒として使用される。無水物(Vb)の形成(ZはC=Oである)は、室温又はそれ以下で、トリエチルアミン又はジイソプロピルアミンなどの非求核性塩基の存在下で、ジクロロメタンなどの不活性溶媒において、トリメチルアセチル塩化物又はイソプロピルクロロホルメートなどの立体障害酸塩化物又はクロロホルメートによる(IV)の処理を含む。活性化エステル(Vc)の形成は、室温又はそれ以下で、DMF、DMA、NMP、又はジクロロメタン等の溶媒において、EDCI、DCC/HOBt、HATU、BOPの試薬、又はTBTUなどの活性化試薬系による(IV)の処置を含む(International Journal of Pharmaceutical Sciences Review and Research(2011),8(1),108−119)。
【0161】
必要な酸(IV)を、多くの異なる反応配列によって調製する。以下に列挙された典型的な実施例の中に共通のテーマと戦略が存在する一方で、適切な反応配列(保護基の必要条件を含む)の選択は、標的分子に存在する官能性の性質と配列によって指示され、それ故、特定の場合において適用するために、図示された方法の明白な順応を含んでもよい。
【0162】
【化16】
【0163】
=随意に置換した1,3−ジアミノ−プロピル又は1,4−ジアミノ−ブチル(模式図3)である場合、必要な酸(IV)は、MgSO、CuSO、Ti(OEt)、又はモレキュラーシーブなどルイス酸又は乾燥剤の存在下で、及び幾つかの場合にはディーン・シュタルク・タイプの反応器システムにおいて、典型的にジクロロメタン、エーテル、ベンゼン、又はトルエンなどの溶媒中で、t−ブチルスルフィンアミン(Chemical Reviews, (2010), 110(6), 3600−3740)による適切なベンジルオキシ−アルキルで置換したベンズアルデヒド又はフェニル−ケトン(VIa VIb)の処理によって、調製される。その後、−60℃と0℃の間の温度で、THF、エーテル、ジクロロメタン、又はトルエン等の溶媒において、オレフィンで置換したアルキル・グリニャール等の適切な有機金属により、結果として生じるt−ブチルスルフィンアミン(butylsulphinimine)(VII)を凝縮して、スルフィンアミンで置換した芳香族(VIII)を得る。略室温で、ジクロロメタン等の溶媒におけるトリフルオロ酢酸、又はジオキサン中のHClなどの酸による(VIII)処置によってスルフィニル基の除去を達成することで、対応する第一級アミン(IX)を得る。
【0164】
【化17】
【0165】
第一級アミン(IX)は様々な手順を使用して更に官能化され得る。例えば、BOC又は他の適切な誘導体のような(IX)の保護は(Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis; 4th Edition: John Wiley & Sons, Inc., 2006)、カルバマート(X)を提供する。カルバマートは、0℃と約100℃の間の温度で、THF、DMF、DMA、又はアセトニトリルなどの溶媒において、水素化ナトリウム又は炭酸カリウムなどの塩基の存在下で、ハロゲン化アルキル又はアルキル−スルホナート等の、アルキル化剤で処理される。(XI)中のオレフィンの酸化開裂は、tert−ブタノール/水又はアセトン/水等の溶媒系において、N−メチルモルホリン・N−オキシドなどの共酸化剤の存在下で、触媒の量の四酸化オスミウム(Org. Synth. Oxid. Met. Compd.(1986), 633−93. : Plenum, New York)による処置によって達成され、それにより対応する近接のジ−ヒドロキシ−誘導体を得る。その後、略室温で、THF/水等の溶媒において、過ヨウ素酸ナトリウムを使用して、このジオールを開裂することで、(XII)を得る。
【0166】
第2アミノ官能性の架設は、ジクロロメタン、メタノール、1,4−ジオキサン、THF、又は酢酸(又はそれらの組み合わせ)などの溶媒において、NaBH、NaCNBH、又はNa(AcO)BHなどの還元剤の存在下で(Organic Reactions, Vol. 59, E. W. Baxter & A. B. Reitz, Wiley 2002)、第二級アミン(RNH)による(XII)の処理によって達成され、それにより(XIII)を得る。(XIII)は、水素大気(1−5bar)下で、酢酸エチル、THF、メタノール、又は酢酸などの溶媒において、炭素上のパラジウムなどの不均一触媒を使用して、典型的に水素化分解反応による、最初にベンジル保護基を除去することによって、必要なカルボン酸に変換され、それにより第一級アルコールを得る。このアルコールは、2工程の手順を使用して対応する酸へと酸化する;Swern酸化(Organic Reactions.(1990), 39, 297−572.)などの、DMSOベースの酸化剤システムを使用する、又は、略室温でのジクロロメタンなどの溶媒に置ける過剰なデズ−マーティン・ペルヨージナンでの処置による、アルデヒドへの初期の酸化を含む(Journal of Organic Chemistry. (1983), 48, 4155)。略室温でt−ブタノール/水などの溶媒において、亜塩素酸ナトリウム/NaHPO及び2,3−ジメチル−ブト−2−エンによる処置によって、後のアルデヒドの酸化が達成される(Journal of Organic Chemistry, (1980), 45, 4825)。特定の場合において、略室温で、3/2/2の比率の水/CCl/CHCNの溶媒混合物において、NaIO及び触媒のRuClなどによる((Journal of Organic Chemistry, (1981), 46(19), 3936−8))、又は、略室温で、DMF中のピリジニウムジクロマートによる(Tetrahedron Letters, (1979). 20 (52), 399)、多くの酸化プロトコルの1つを使用することで、第一級アルコールはまた、(IV)へと直接酸化され得る。
【0167】
=随意に置換した1,2−ジアミノ−エチルである場合、必要な酸(IV)は、略室温乃至100℃で、水性の1,4−ジオキサン、DME、THFなどの溶媒において、NaCO、CsCO、NaPOなどの塩基、及び(PhP)Pd、Dppf/Pd(OAc)又はPEPPSIの触媒系などのパラジウム触媒の存在下で、適切なビニル−ボロン(XV)酸による処理によって適切なハロゲン化アリール(M=I、Br、Cl)から調製され(模式図4)、それによりで、オレフィン誘導体(XVI)を得た(Journal of Organometallic Chemistry,(1999), 576, 147−168)。−30℃と0℃の間の温度で、アセトニトリルなどの溶媒において、Mn(OAc)(HO)、及び、酢酸又はトリフルオロ酢酸などの酸などの、穏やかな酸化剤の存在下で、ナトリウムアジドにより(XVI)を処置することで、ジアジド((XVII)を得る(Synthetic Communications, 28(10), 1913−1922; 1998)。
【0168】
THF等の溶媒において、トリフェニルホスフィンなどの還元剤による処置によって後にビス−アジドを還元し、その後、過剰な水による中間体アザ−ホスホランのインサイツの加水分解により、ビス−アミン(XVIII)を得る。特定の例において、ビス−アジドの還元は、THF又はメタノールなどの溶媒において、炭素上のパラジウムなどの触媒の存在下で、水素ガスによる(XVII)の処置によって達成される。上に説明されるように、(XVIII)の後の官能化が達成され、それにより(XIX)を得る。特に、R4がピペラジン環構造の一部を構成する場合、(XVIII)は、略室温で、水性のTHF又はジクロロメタンなどの溶媒において、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、1,2−ジブロモエタンなどのアルキル二ハロゲン化物により処理され、それにより(XIXa)を得る。上に説明されるように、中間体(XIXa)は(XIXb)に変換される。必要な酸(IV)は、エステル官能性の形式上の加水分解によって、対応するエステル(XIX又はXIXb)から得られる。使用される反応条件は、使用されるエステルのタイプに依存する。メチル、エチル、又は他の単純なアルキルの場合、加水分解は通常、THF、水、及びメタノールの溶媒混合液において、ナトリウム又は水酸化リチウムなどの塩基水溶液による簡潔な処置によって達成される。しかし、ベンジル、2−トリメチルシリル−エチル、又は2,2,2−トリクロロエチルなどの、他の酸保護基も使用され得る。これらの場合、対応する酸へのエステルの転換は、文献(Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis. Fourth Edition. John Wiley & Sons, Inc. 2006)中の標準の脱保護手順を使用して達成される。
【0169】
【化18】
【0170】
代替的に、1,2−ジアミノ−エチルの下部構造は、(XX)などの適切なアリール−アルキルケトンから調製され得る(模式図5)。例えば、トリエチルアミンの存在下で、約0℃の、エーテル中でのトリメチルシリル−トリフラートによる(XX)の処理により、シリル−エノールエーテル(XXI)を得る。−78℃と室温の間の温度で、ジクロロメタン又はシクロヘキサンなどの不活性溶媒において、臭素、NCS、又はピリジニウムトリブロミドなどのハロゲン化試薬により(XXI)を処理することで、α−ハロ−ケトン(XXII)を得る。(XXII)は、室温以上で、トルエン、THF、アセトニトリル、又はDMAなどの不活性溶媒においてアミン(NHR4R5)と共に濃縮され、それによりα−アミノ−ケトン(XXIII)を得る。上記のような(XXIII)の還元的アミノ化により、ジアミノ−エチル誘導体(XXIV)を得て、これを更に処理して(ベンジルエーテルの除去と酸化)、上記のような必要な酸(IV)を得る。
【0171】
【化19】
【0172】
が1,2−ジアミノ−置換−プロピル、又はブチル基である場合、前述の化学作用に必要なアルケン基質は、略室温で、THF等の溶媒において、CuBr:DMSなどの銅触媒の存在下で、適切なフェニル−ハロゲン化物(I、Br、Cl)又はトリフラート、及びアリル又はブテン−イル・グリニャールから調製される。
【0173】
1,2−ジアミノ系の変異体において、Yはアミノ−アルキルである。Yはアミノアルキルであり、それにより、Yのアミン含有炭素(amine bearing carbon)上の置換基と、Yのアミン含有炭素上の置換基が共に環を形成し、必要な酸(IV)は、適切なベンゾ融合環式アルケン(XXV)から調製される(模式図6)。(XXV)ののビス−アジド化(azidination)により、必要な酸(IV)を得るために前述のように処理される環状ビスアジ化物(XXVI)を得る。
【0174】
【化20】
【0175】
=随意に置換したアミノ−アルキル−アミノである場合、必要な酸(IV)は、適切な臭化アリール(XXVII、M=Br)、アリール・ヨウ化物(XXVII;M=I)、塩化アリール(XXVII;M=Cl)、又はアリール−スルホン酸エステル(XXVII;M=OSR)を、ジアミン(又はモノ−N−保護−ジアミン)(XXVIII)とクロスカップリングすることによって調製され(模式図7)(Metal−Catalyzed Cross Coupling Reactions, 2nd Ed., Wiley−VCH: 2004)、中間体(XXIX)を得た。この次に、エステル官能性の加水分解を行い、(IV)を得る。(XXVII)とアミンのクロスカップリングは一般的に、ナトリウムt−ブトキシド、リン酸カリウム、又はリチウムヘキサメチルジシラジドなどの塩基と、2,2’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)−1,1’−ビナフチレン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−キサンテン、トリ(tert−ブチル)−ホスフィン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,8,9−トリイソブチル−2,5,8,9−テトラアザ−1−ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン,2−メチル−N,N’−ビス(イソブチル)−2−[[(イソブチル)アミノ]−メチル]−1,3−プロパンジアミン、又はPEPPSIシステムなどのリガンドの存在下で、80℃と110℃の間の温度で、トルエン、THF、DMF、又はDMAなどの溶媒において、パラジウム・ビス(ジベンジリデンアセトン(dibenzylidineacetone)、トリス(ジベンジリデンアセトニル)ビス−パラジウム、又はパラジウムジアセテートなどのパラジウムソースを使用して、パラジウム触媒作用の下で行われる(Chemical Society Reviews, (2011), 40, 5151−5169)。特定の場合には、(XXVII)と(XXVIII)のクロスカップリングは、室温と100℃の間の温度で、CsCOなどの塩基の存在下で、DMFにおいて、ヨウ化銅など銅触媒と、2−イソブチリル−シクロヘキサノンなどの1,3−ジカルボニル・リガンドを使用する。Mがノナフラートである場合、塩基は一般的に、DBU又はMTBDであり(7−メチル−1,5,7−トリアザ−ビシクロ−[4.4.0]−デカ−5−エン)、且つ、リガンドは、100−150℃の温度で、トルエンなどの溶媒において、2,4,6,−トリイソプロピル−2’ジシクロヘキシルホスフィノ−ビフェニル又は9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−キサンテンである(Journal of Organic Chemistry (2006), 71, 430)。
【0176】
(XXVIII)に使用されたN−保護基は一般的に、tert−ブチル、ベンジル、又は2−トリメチルシリル−エチルなどのカルバマートである。そのような基の除去は、文献(Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, Fourth Edition, John Wiley & Sons, Inc., 2006)に記載される標準の条件を使用する。
【0177】
【化21】
【0178】
=随意に置換したアミノ−アルキルであり、且つYが独立して随意に置換したアミノアルキルである場合、必要な酸((IV)、図1)は通常、対応するヒドロキシル又はオキソで置換した炭素スカホードの中へアミン官能性を連続して導入することによって、調製される。ヒドロキシル官能基のアミンへの転換は、文献(Comprehensive Organic Transformations, VCH publishers. 1989)において既知である、多くの反応シーケンスの1つによって達成される。これらは一般的に、ヨウ化物、臭化物、ベンゼンスルホナート、メシレート、又はトリフラートなどの脱離基へのアルコールの転換、そしてその後の、DMF、DMA DMSO、又はアセトニトリルなどの溶媒における、ナトリウムアジド又はテトラブチルアンモニウムアジドなどのアジドアニオン塩を使用する脱離基の置換を含む。アジドはその後、上述のように、水素添加又はシュタウディンガー反応によって対応する第一級アミンに還元される。代替的に、Mitsunobu条件(Chemical Reviews, (2009) 2551−2651)下でアルコール官能性を対応するフタラミドに転換し、その後、室温以上で、エタノールなどの溶媒において、過剰なヒドラジンによる処置によってフタラミドを脱保護することにより、第一級アミン官能性の導入が達成される。
【0179】
オキソ官能性の対応するアミンへの転換は、還元的アミノ化又はt−ブチルスルフィンイミドの形成及び水素化物の追加/イミンのC=N官能性のアルキル化によって達成される(Chemical Reviews, (2010), 110(6), 3600−3740)。オキソがカルボン酸基の一部である特殊な場合において、アミン官能性はクルチウス転位により導入され得る。(Tetrahedron (1974), 30 (14): 2151−2157)。
【0180】
【化22】
【0181】
適切なヒドロキシル又はオキソで置換した炭素スカホードは、文献において既知である広範囲のシーケンスの1つによって調製される。所定の場合において使用されるシーケンスは、必要とされるジアミン官能性の特異的な配列に依存する。例えば、p=0でありm=2((IV)、図1)である場合、炭素スカホードは模式図8に示されるように調製される。前述のように、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下で、第二級アミン(R3R4NH)による3−ブロモ−4−ホルミル−ベンゾアート(XXX)の処理は、ベンジル型アミン(XXXI)を提供する。Heck反応の条件下でメチル−ビニルケトンにこの中間体を曝すことで、α,β−不飽和ケトン(XXXII)を得る。室温乃至70℃の温度で、トルエン、酢酸エチル、メタノール、又はTHF(又はそれらの混合物)等の溶媒において、水素ガス(1−4atm)の大気下で、Pd触媒、Rh触媒、又は炭素上の10%のPdなどのPt触媒、或いはウィルキンソン触媒を使用する(XXXII)の還元により、不飽和ケトン(XXXIII)を得る。代替的に、不飽和ケトン(XXXII)は、略室温で、メタノール等の溶媒における過剰マグネシウムによる処置によって還元される(Tetrahedron Letters, (1986); 2721), 24092410)。上述のように、第二級アミン(R4’R5’NH)による(XXXIII)の還元的アミノ化により、(XXXIV)を得る。最終的に、(XXXIV)におけるエステル官能性の加水分解により、必要な酸(IV)を得る。
【0182】
【化23】
【0183】
アルコール又はカルボニルの誘導体化に加えて、アミノ官能性も、潜在的な形態で(ニトロ、シアノ、又はアミドなど)、或いは、炭素骨格の構築に使用されたC−C結合成形反応の間に直接、導入されてもよい。例えば(模式図9)、トルエンと水の溶媒混合物において、Pd(OAc)、SPhos又はXPhosなどのホスフィンリガンド、及び炭酸カリウムなどの塩基の存在下で、塩化アリール(XXXV)とカリウム(BOC−アミノメチル)−トリフルオロボラートとのカップリングにより、ベンジルアミン(benzyamine)誘導体(XXXVI)を得る(Organic Letters, (2011), 13(15), 3956−3959)。BOCアミンの官能基化は上述のように達成され、それにより(XXXVII)を得る。フッ化物イオンのソースの存在下でのこの中間体とシリル−ニトロナート(XXXVIII)とのカップリングにより、ニトロアルドール生成物(XXXIX)を得る(European Journal of Organic Chemistry, (2007), 16, 2561−2574)。THFにおける水素化アルミニウムリチウムによる(XXXIX)の還元により、ビス−アミン(XL)を得る。この中間体を再度、上述のように誘導体化して、(XLI)を得る。(XLI)はその後、上述のように対応する酸(IV)に転換される。
【0184】
【化24】
【0185】
=随意に置換したアミノ−アルキルでありYが随意に置換したアミノ基である場合、必要な酸(IV)は、模式図7に図示されるように、上述のようなパラジウムを触媒とするアミノ化によって、対応する臭化物(XXVI)(模式図10)から調製される(Metal−Catalyzed Cross Coupling Reactions, 2nd Ed., Wiley−VCH: 2004)。
【0186】
【化25】
【0187】
=置換したアミノ−アルキルでありYが置換したアミノ基であり、それによりYのアミン含有炭素上の置換基とYのN−置換基が共に環を形成するこのシステムの変形において、必要な酸(IV)(模式図11)は、約0℃で、ジクロロメタンなどの溶媒において、ジアリールリン酸エステル(例えば、BINOLのリン酸エステル)などの酸の存在下で(Journal of the American Chemical Society, (2011), 133(37), 14804−14813)、適切に置換したアニリン(XLIII)、アルデヒド又はケトン(XLIV)、及びN−ビニルカルバマート(XLV)からポヴァロフ反応(Name Reactions in Heterocyclic Chemistry II, (2011), 385−399 Wiley)を使用して調製され、それにより(XLVI)を得る。前述のように、(XLVI)におけるアミン官能性の後の誘導体化、その後のエステル加水分解により、(IV)を得る。
【0188】
【化26】
【0189】
=随意にアミノで置換したピペリジンでありYがHである場合、必要な酸(IV)(模式図12)は、前述のように、(XLIX)などのアリール・グリニャール試薬を(XLVIII)などの適切に保護したスルフィンイミド)と反応させることにより調整され、それにより中間体(L)を得る。ジクロロメタン中のTFA又はジオキサン中のHCl等の酸による(L)の処理によって、脱保護したアミノエステル(LI)を得る。標準分析法を用いる、(LI)のBoc保護、その後の第一級アルコールの対応するトシラートへの転換により、(LII)を得る。DMA、NMP、又はDMFなどの溶媒における、KCO、NaH、DBU、又はTMGなどの塩基による(LII)の処理により環化を達成し、(LIII)を得る。(LIII)を前述のように脱保護して誘導体化することで、必要な酸(IV)を得る。
【0190】
【化27】
【0191】
=ヘキサヒドロピリミニン(hexahydropyriminin)−2−イミンでありYがHである、このシステムの変形において、必要な酸(IV)(模式図13)は、2−メチル−2−チオイソ尿素スルファート(LV)(Journal of Medicinal Chemistry, (1985), 28(6), 694−8)により2−フェニル−1,3ジアミノ−プロパン(LIV)を濃縮することで調製され、それにより(LVI)を得て、それを前述のように処理して(IV)を得る。必要な1,3ジアミン(LIV)は、ビス・アミド(LVII)のホフマン分解によって;前述のようなジアミン官能性の対応するヒドロキシルで置換した炭素スカホード(LVIII)への導入によって(Organic Letters, (2207), 9(21), 4203−4206)、又はTHF等の溶媒における水素化アルミニウムリチウムなどの水素化物ドナーによるジ−ニトロ誘導体(LIX)の還元によって、得られる。ジ−ニトロ誘導体は、室温でのアルミナの存在下のニトロメタンでの濃縮により(European Journal of Organic Chemistry, (2010), (3), 483−493)、又は、第四級アンモニウムフッ化物イオンのソースの存在下でのニトロ−アルケンシリル−ニトロナートの濃縮により(Angewandte Chemie International Edition, (2006), 45, 7606−7608)、適切なアルデヒド/ケトンから得られる。
【0192】
【化28】
【0193】
=随意にアミノ−アルキルで置換したピペリジンである場合、必要な酸(IV)(模式図14)は、THF、DMSO、トルエン、又はDMFなどの溶媒において、水素化ナトリウム、カリウム・t−ブトキシド、又は水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下で、ビス−(クロロアルキルアミン)による、(LX)などの適切に置換したフェニル−アセトニトリル、フェニル−アセトン、又はフェニル酢酸の誘導体のアルキル化によって調製される。水性のNaOHが塩基である場合、メチル−トリオクタニルアンモニウム塩化物などの相間移動触媒も使用することで(Journal of Heterocyclic Chemistry, (1986), 23(1), 73−5)、(LXI)を得る。
【0194】
(PhP)Pdなどのパラジウム触媒の存在下での、DMF等の溶媒における、ビニル又はアリルスタンナンによる(LXI)中のヨウ化物/臭化物の官能基化により、オレフィンで官能化したピペリジン(LXII)を得る。THF又はグライム等の溶媒における、水素化アルミニウムリチウムなどの強力な還元剤による(LXII)の処理により、4,4−二置換ピペリジン(LXIII)を得る。既に記載したように、(LXIV)を得るためのアミン官能性の誘導体化を達成する。(IV)を得るためのカルボキシル官能性の架設は、対応する第一級アルコールを得るためのヒドロホウ素化/酸化によって、又は、1つの炭素で短縮した(carbon truncated)アルデヒドを得るためのオレフィン官能性の酸化的開裂によって達成され、その後、前述のような酸への更なる酸化を行う。
【0195】
【化29】
【0196】
=4−置換ピペリジンでありYが置換したアミンであり、それによりピペリジンの4位置上の置換基と(Y2)アミン上の置換基が共に環を形成する、このシステムの特定の変形において、必要な酸(IV)(模式図15)は適切に置換した2−フルオロ−アリール/ヘテロアリールアセトニトリルから調製される(Tetrahedron, (2004), 60(22), 4874−4878)。例えば、上述のような、ビス−(2−クロロエチル)−アミン誘導体による、臭素置換又はヨード置換した2−フルオロ−アセトニトリル(LXV)の処理により、ピペリジン(LXVI)を得る。(PhP)Pdなどのパラジウム触媒の存在下での、DMF等の溶媒における、ビニル又はアリルスタンナンによるヨウ化物/臭化物の官能基化により、オレフィンで官能化したピペリジン(LXVII)を得る。グライム等の溶媒における、水素化アルミニウムリチウム/エタノールなどの強力な還元剤による(LXVII)の処理により、スピロ−インドール(LXVIII)を得る。
【0197】
【化30】
【0198】
既に記載したように、(LXIX)を得るためのアミン官能性の誘導体化を達成する。(IV)を得るためのカルボキシル官能性の架設は、前述のようなオレフィン官能性の酸化によって達成される。
【0199】
このシステムの別の変形において、Y=4−置換ピペリジンであり、それにより、ピペリジンの4位置上の置換基と、共に得られたA上のオルトの置換基は、環状炭素を形成する。この例において、必要な酸(IV)(模式図16)は、適切なアリールが融合したシクロペンタジエンから調製される。例えば、約0℃で、THF等の溶媒における、LHMDSなどの強塩基の存在下での、ビス−(2−クロロエチル)−アミン誘導体による(LXX)の処理により、スピロ−シクロペンタジエン(LXXI)を得る(Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, (2012), 22(1), 363−366)。約0℃でのTHF中の9−BBNによるオレフィンのヒドロホウ素化、その後の酸化のワークアップにより(NaOH/H)、提供した。
【0200】
【化31】
【0201】
ヒドロキシル誘導体(LXXII)。上述のようなアルコール官能性の誘導体化により、ジアミン誘導体(LXXIII)を得る。酸官能性の架設は、上述のように、臭化物とアリル又はビニルのスタンナンとのスティレ・カップリングを介して、その後、オレフィン基を酸化し、結果として生じるアルコール/アルデヒドを対応する酸へと更に酸化することによって達成される。
【0202】
がピペリジン−4−イル−置換C−Cアルキルであり、YがC1−アミノ−アルキル基であり、それによりYのピペリジンのC4とYのC1−アルキル基が、5、6、又は7員の環を形成するために単結合を介して連結される場合、必要な酸(IV)(模式図17)は、適切に置換したアリール/ヘテロアリールを融合した炭素環式ケトンから調製される。例えば、約50℃で、DMF、DMA、又はNMPなどの溶媒において、NaHなどの塩基の存在下で、置換したビス−(ブロモエチル)−アミンによるケトン(LXXIV)の処理により(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, (2010) 20(2), 746−754)、スピロ−ピペリジン−ケトン(LXXV)を得る。第2アミノ官能性の架設は、室温と還流の間の温度で、ベンゼンなどの溶媒において、TiCl(OiPr)4−n(n=0−4)などのルイス酸の存在下で、アミン(NHR4’R5’)による(LXXV)の処理によって達成され、それによりイミン(LXXVI)を得る(European Journal of Organic Chemistry, (2007), 18, 2945−2957. Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio−Organic Chemistry (1988), 12, 3399−406)。イミン(LXXVI)は、THF、グライム、又はメタノールなどの溶媒においてNaBH又はLiBHなどヒドリド還元剤により還元され、それにより(LXXVIII)を得る。代替的に、インサイツで(in situ)N−トリメチルシリルイミン(LXXVII)を形成するためのLHMDSによる(LXXV)の処理、その後のTHF等の溶媒におけるNaBH又はLiBHによる還元により、第一級アミン(LXXIX)を得て、それをその後、既に記載したように誘導体化する。第3の方法は、アジド(LXXXI)を得るための、約0℃でベンゼン又はトルエンなどの溶媒における、その後50と100℃の間の温度での加熱の間の、DBUの存在下での、NaBH又はLiBHによる(LXXV)の処理、その後の結果として生じるアルコール(LXXX)とジフェニルホスホルイルアジドとの反応を含む。アジドは還元され、結果として生じる第一級アミン(LXXIX)は前述のように誘導体化される。前述のように、(IV)を得るための(LXXXII)中のベンジルオキシアルキル側鎖の処理が、達成される。
【0203】
【化32】
【0204】
がアミノで置換したC2−C4アルキルであり、Yがピペリジン−4イル基であり、それによりYのピペリジン上のC−4置換基とYのアミノで置換した炭素が共に、5、6、又は7員の環を形成する、このシステムの変形において、必要なカルボン酸(IV)(模式図18)は、上述のようなピペリジン環形成とアミン架設に関する同じ方法を本質的に使用して、適切な環状ケトン(LXXXIII)から調製される。
【0205】
【化33】
【0206】
が二塩基性又はカチオンのC3−C4アルキルであり、それにより、Y上のC2置換基と、Yからオルトまでに(ortho−to Y)位置付けられるArA上の置換基が、共に環を形成する、このシステムの特定の変形において、必要なカルボン酸(IV)(模式図19)は、適切なアリール/ヘテロアリールが融合した炭素環式ケトン(LXXXIV)から調製される。例えば、標準条件下での(LXXXIV)のシリル−エノールエーテルの形成、その後の、ジクロロメタンなどの溶媒におけるTiClnOiPr4−n(n=0−4)などのルイス酸の存在下での適切なニトロ−アルケンによるシリル−エノールエーテルの濃縮により、ニトロ−エチル−置換ケトン(LXXXV)を得る(Journal of the American Chemical Society, (1984) 106(7), 2149−56)。THF中の水素化アルミニウムリチウムなどの水素化物ドナーによる(LXXXV)の還元により、アミノアルコール(LXXXVI)を得る。前述のような、(LXXXVI)の第一級アミノ基の誘導体化により、アルコール(LXXXVII)を得る。前述のような、アルコールのアジドへの転換、及びその後のアミンの誘導体化により、ジアミン(LXXXVIII)を得る。この中間体は、上述のように(IV)を得るために処理される。同様に、TMSOTfの存在下での、(LXXXIV)から得たシリル−エノールエーテルと、アミンアセタールとの反応により(Tetrahedron, (1988), 44(13), 4157−4172)、(LXXXIX)を得て、それを処理し、(XC)を介して上述のような(IV)を得る。
【0207】
【化34】
【0208】
がアミノ又はアミノメチル−置換ピロリジンである場合、必要なカルボン酸(IV)(模式図20)は、0℃以上で、トルエン又はジクロロメタンなどの溶媒において、TFAなどの酸の存在下で、適切なシンナマート(XCI)とN−(メトキシメチル)−N−(トリメチルシリルメチル)−アミン誘導体(XCII)から調製され、それにより(XCIII)を得る。エステル(XCIII)は、(XCIV)を得るためのエステル加水分解とクルチウス転位を介して、又は、(XCV)を得るためのアミド形成と前述のような(XCVI)を得るためのアミドカルボニルの還元により、処理される。中間体(XCIV)を誘導体化して、(XCVII)を得る。中間体(XCV)と(XCVII)は、ベンジルエーテル除去、及び前述のような結果として生じる第一級アルコールの酸化によって、対応する酸(IV)に転換される。
【0209】
【化35】
【0210】
が3−アミノ又は3−アミノメチル−置換ピペリジン−5−イルの基である、このシステムの変形において、必要なカルボン酸(IV)(模式図21)は、−78℃と0℃の間の温度で、THFなどの溶媒において、LDA又はLHMDSなどの強塩基による適切なフェニル酢酸エステル(XCVIII)の処理によって調製され、それによりエノラートを形成し、その後、この中間体と、適切な2−(N,N−ジベンジルアミノ)−メタクリル酸塩(XCIX)エステルとの反応により、(C)を得る。前述のような水素化分解による(C)の脱ベンジル化、その後の、室温と100℃の間の温度で、トルエンなどの溶媒における、DBU又はTMGなどの塩基の存在下で、結果として生じる第一級アミノエステルの環化により、ラクタム(CI)を得る。
【0211】
【化36】
【0212】
前述のような、(CI)におけるアミド窒素の誘導体化、及びアミドカルボニルの還元により、ピペリジン(CII)を得る。(CIII)を得るための(CII)におけるエステル官能性の処理を、前述のように実行する。標準条件下でのMOM保護基の除去、その後の結果として生じる第一級アルコールの酸化により、必要な酸(IV)を得る。
【0213】
がアミノで置換したアルコキシであり、Yが炭素を介してアリール環に結合されるアミジンである場合、必要な酸(IV)(模式図22)は、Mitsunobu反応条件下で、THF等の溶媒において、DEAD又はDIADなどアゾジカルボキシラートエステル及びPhPなどのホスフィンの存在下で、適切に官能化したアルコール(CVI)による処理によって適切なシアノ−置換−フェノール(CV)から調製され、それにより、(CVII)を得る。標準条件下での(CVII)における潜在的なカルボニル官能性の脱保護により、(CVIII)を得る。後に(CVIII)を処理することで、対応するアミン(CIX)を得る。(CIX)のアミジン(CX)への転換は、メタノール中のHClによる処理によって達成され、それにより対応するイミダートエステルを得て、その後、略室温で、メタノール又はTHF等の溶媒において、この中間体を適切なアミン(RNH)と反応させる。更に、上記のRNHがアンモニアである場合、アミジン官能性も、ヒドロキシルアミンによるニトリル(CIX)の処理によって導入され、それにより対応するN−ヒドロキシル−アミジンを得る。この後に、触媒の水素化分解(酢酸/無水酢酸における炭素上のPd)を行い、アミジン(CX)を得る。(CX)におけるアミジン官能性のアシル化、及びエステル官能性の選択的な加水分解により、(IV)を得る。
【0214】
【化37】
【0215】
がグアニジンである(又はそれを含む)場合、グアニジノ基は、室温以上で、DMF(Synthesis, (2004), 37−42)又はピリジン等の溶媒における、1,3−ジ−tert−ブチルオキシカルボニル−S−メチルイソチオ尿素などの試薬による処置により、又は、略室温で、DMF又はDMA等の溶媒における、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下でのN,N’ビス−(BOC)−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジンによる処置によって、適切な第一級アミン又は第二級アミン(CXI)(模式図23)から派生させ、それにより(CXII)を得る。(CXII)におけるエステル官能性の選択的な開裂により、既に記載したように、対応する酸(IV)を得る。同様に、第一級又は第二級のアミン(CXI)は、0℃と室温の間の温度で、エタノール等の溶媒における、2−ナフチルメチルチオイミダート誘導体(XVI)などの適切なアルキルチオイミダートによる処理によって、アミジン官能性に転換され(Tetrahedron Letters, (1997), 38(2), 179−182)、それにより(CXIII)を得る。標準条件下でBOC又はCbz(CXIV)などのカルバマート誘導体としてのアミジン(CXIII)を保護し、その後、選択的なエステル加水分解により、酸(IV)を得る。
【0216】
特定の例において、芳香族複素環の形成前に、Y及び/又はYを集めることが、都合がよい。例えば、ArAが1,2,3−トリアゾールである場合、必要なカルボン酸(IV)(模式図24)は、DMF/水などの溶媒において、硫酸銅/アスコルビン酸ナトリウムなどの銅触媒の存在下で(Chemical Society Reviews (2010), 39(4), 1302−1315)、適切に置換したアジド(CXVI)による適切に置換したアルキン(CXV)の濃縮によって調製され、それにより(CXVII)を得る。(CXVII)におけるエステル官能性の開裂により、前述のように、(IV)を得る。
【0217】
【化38】
【0218】
ArAがチアゾールである場合、必要なカルボン酸(IV)(模式図25)は、室温と120℃の間の温度で、トルエンなどの溶媒において、適切に置換した第一級−チオアミド/チオ尿素(CXVIII)と適切に置換したα−ハロ−ケトン(CXIX)から調製し、それにより(CXX)を得る。(CXX)におけるエステル官能性の開裂により、前述のように、(IV)を得る。
【0219】
【化39】
【0220】
Zがスルホニル基である場合(模式図26)、略室温で、ジクロロメタンなどの溶媒においてナトリウムヒドロキシチオピリドンによる処理によって、必要なスルホン酸を対応する活性カルボン酸(V)から調製して、バートンのエステル中間体(CXXI)を得る。略還流の温度で、タングステンUVランプの下で、(CXXI)をCCl中のヨードホルムで処理して、デ−カルボキシレート(carboxylative)−ヨウ素化の生成物(CXXII)を得る(Journal of Organic Chemistry, 75(19), 6489−6501; 2010)。代替的に、略還流の温度で、タングステンUVランプの下で、酸(IV)をCCl中のヨードソ−ベンゼン−ジアセテートとヨウ素により処理することで(Journal of Organic Chemistry, (1986), 51, 402)、直接(CXXII)を得る。60℃と90℃の間の温度で、水性エタノール、イソプロパノール、又はアセトン中で亜硫酸ナトリウムにより(CXXII)を処置して、その後酸性化を行うことで、スルホン酸(IV)を得る。代替的に、約60℃でアセトン中のチオ尿素により(CXXII)を処理することで、イソチオウロニウム塩の誘導体(CXXIII)を得る(Synthetic Letters, (2010), 7, 1037)。水性のチオ硫酸ナトリウムにより(CXXIII)を開裂することで、チオール(CXXIV)を得る。過ギ酸(約0℃乃至室温での、ギ酸と水性のH)により(CXXIV)を処理することで、(IV)を得る。
【0221】
必要なアミン(III)は、文献中の方法(WO2010/130708)に従って調製される。
【0222】
<合成例>
以下における、式I又は式Iaの化合物と中間体の調製は、当業者が本発明をより明確に理解し且つ実施することが可能となるように提供される。それらは、本発明の範囲を制限するものではないが、単にその実例且つ典型であると、考慮されねばならない。
【0223】
実施例1:(R)−2−ヒドロキシ−3−(1−フェニルシクロプロパンカルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0224】
【化40】
【0225】
工程1:tert−ブチル3−((2R)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−2−(1−フェニルシクロプロパンカルボキサミド)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
−100℃でアルゴンの下でTHF(20mL)中の無水CHCl(0.61mL、9.4mmol))(MeOH/Liq.N)に、n−BuLi(2.7mL、ヘキサン中で2.5M)を滴下で加え、反応混合物を30分間、同じ温度で撹拌した。2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステル(2.37g、5.92mmol)のTHF(5mL)溶液を、10分間にわたり加えた。20分後、冷却槽を取り除き、反応混合物を0℃までゆっくりと暖め、1時間、同じ温度で撹拌した。その後、反応混合物を−78℃にまで冷却し、LHMDS(8.0mL、THF中で1M)をゆっくり加え、結果として生ずる反応混合物を撹拌し、一方で一晩中、室温にまで徐々に暖めた。無水MeOH(0.29mL、7.1mmol)を−10℃で加え、反応物を1時間、同じ温度で撹拌し、その後1時間室温で撹拌した。
【0226】
1.1gの1−フェニルシクロプロパンカルボン酸(6.8mmol)を含むフラスコ中に、無水のCHCl(15mL)を加えた。この反応混合物にNMM(0.92mL、8.4mmol)を加え、その後、HATU(2.66g、7.0mmol)を加えた。DMF(1mL)を加え、結果として生ずる溶液を1時間室温で撹拌し、その時点で、上記反応からの溶液をフラスコに加えて、反応物を2時間撹拌した。反応物を水(50mL)を追加することでクエンチし、水相をEtOAc(3×50mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、真空内で濃縮して、未精製の生成物を得て、それをシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、生成物(1.0g、29%)を得た。
【0227】
工程2:(R)−2−ヒドロキシ−3−(1−フェニルシクロプロパンカルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸。
−78℃で、無水CHCl中の、工程1からのtert−ブチル3−((2R)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−2−(1−フェニルシクロプロパンカルボキサミド)エチル)−2−メトキシベンゾアートの溶液に、BCl(2.5mL、DCM中で1M、2.5mmol)を加え、反応混合物を1時間、同じ温度で撹拌し、その時点で、反応混合物を0℃にまで暖め、更に1時間、同じ温度で撹拌した。反応物を、0℃で水(5mL)を追加することでクエンチした。水相をEtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。未精製の生成物をEtOAc/ヘキサン中で再結晶化して、白色固形物として生成物(35mg)を得た。ESI−MS m/z 352(MH)
【0228】
実施例2:(R)−3−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0229】
【化41】
【0230】
(R)−3−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成
実施例1の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと2,2−ジフルオロ−2−フェニル酢酸から調製し、白色固形物として生成物(5.5mg)を得た。ESI−MS m/z 362(MH)
【0231】
実施例3:(R)−2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0232】
【化42】
【0233】
工程1:tert−ブチル4−((1R)−2−(3−(tert−ブトキシカルボニル)−2−メトキシフェニル)−1−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチルカルバモイル)−4−フェニルピペリジン−1−カルボキシラートの合成。
実施例1の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボン酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 717.1(MH)
【0234】
工程2:(R)−2−ヒドロキシ−3−(4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
−78℃で、無水CHCl(15mL)中の工程1からの生成物(460mg、0.64mmol)の溶液に、BCl(5.0mL、DCM中で1M、5.0mmol)を加えて、反応混合物を1時間同じ温度で撹拌し、その時点で、反応混合物を0℃にまで暖めて、更に1時間に同じ温度で撹拌した。反応物を、0℃で水(5mL)を追加することでクエンチした。相分離の後、水相中の生成物を、逆相分取HPLC[Phenomenex Luna, 5μm、30×75mm、5−100%のAcCN:HO(0.1%のTFAを備える)]によって精製し、凍結乾燥を使用して乾燥し、白色固形物として生成物(10mg)を得た。ESI−MS m/z 395(MH)
【0235】
実施例4:(R)−2−ヒドロキシ−3−(4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0236】
【化43】
【0237】
(R)−2−ヒドロキシ−3−(4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、6−(tert−ブトキシカルボニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボン酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 373(MH)
【0238】
実施例5:(R)−3−(2−ボロノ−2−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボキサミド)エチル)−2−ヒドロキシ安息香酸
【0239】
【化44】
【0240】
(R)−3−(2−ボロノ−2−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボキサミド)エチル)−2−ヒドロキシ安息香酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、2−(tert−ブトキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボン酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 367(MH)
【0241】
実施例6:(R)−2−ヒドロキシ−3−(6−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0242】
【化45】
【0243】
(R)−2−ヒドロキシ−3−(6−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
MeOH(5mL)中の(R)−3−(2−ボロノ−2−(4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキサミド)エチル)−2−ヒドロキシ安息香酸(実施例4から10.0mg)に、ホルムアルデヒド(1.0mL、37%の溶液)を、その後10%のPd/C(20mg)を加えた。反応混合物を3時間、Hバルーン下で水素化した。反応混合物を濾過し、溶媒を真空下で除去した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 387(MH)
【0244】
実施例7:(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0245】
【化46】
【0246】
(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例6に記載の手順を使用して、(R)−3−(2−ボロノ−2−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボキサミド)エチル)−2−ヒドロキシ安息香酸(実施例5からのもの)から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 381(MH)
【0247】
実施例8:(R)−2−ヒドロキシ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0248】
【化47】
【0249】
(R)−2−ヒドロキシ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、2−(tert−ブトキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボン酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 352(MH)
【0250】
実施例9:(R)−2−ヒドロキシ−3−(イソインドリン−5−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0251】
【化48】
【0252】
工程1:ベンジル5−((1R)−2−(3−(tert−ブトキシカルボニル)−2−メトキシフェニル)−1−(2,9,9トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチルカルバモイル)イソインドリン−2−カルボキシラートの合成。
実施例3の工程1に記載の手順に従い、2−(ベンジルオキシカルボニル)イソインドリン−5−カルボン酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 709.1(MH)
【0253】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−2−(イソインドリン−5−カルボキサミド)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
MeOH(10mL)中のベンジル5−((1R)−2−(3−(tert−ブトキシカルボニル)−2−メトキシフェニル)−1−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチルカルバモイル)イソインドリン−2−カルボキシラート(250mg)に、Cの上にあるPd(25mg、10%)を加え、反応混合物を4時間、水素バルーンの下で撹拌した。触媒を濾過し、溶媒を真空内で除去して、遊離アミン(180mg、89%)を得た。ESI−MS m/z 575.1(MH)
【0254】
工程3:(R)−2−ヒドロキシ−3−(イソインドリン−5−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−2−(イソインドリン−5−カルボキサミド)エチル)−2−メトキシベンゾアートとBClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 353(MH)
【0255】
実施例10:(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−メチルイソインドリン−5−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0256】
【化49】
【0257】
(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−メチルイソインドリン−5−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例6に記載の手順に従い、(R)−3−(2−ボロノ−2−(イソインドリン−5−カルボキサミド)エチル)−2−ヒドロキシ安息香酸から調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 367(MH)
【0258】
実施例11:(R)−3−(2−(2−アミノエチル)イソインドリン−5−カルボキサミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0259】
【化50】
【0260】
工程1:tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)イソインドリン−5−カルボキサミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
DMF(5mL)中の、実施例9の工程2からのtert−ブチル3−((2R)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−2−(イソインドリン−5−カルボキサミド)エチル)−2−メトキシベンゾアート(263mg、0.46mmol)に、KCO(252mg、1.84mmol)とtert−ブチル2−ブロモエチルカルバマート(122mg、0.54mmol)を加えた。結果として生じる反応物を一晩、室温で撹拌した。水(15mL)を加え、水相をEtOAcで抽出した。有機相を、1N HCl、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、真空内で濃縮した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 718.1(MH)
【0261】
工程2:(R)−3−(2−(2−アミノエチル)イソインドリン−5−カルボキサミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)イソインドリン−5−カルボキサミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 396(MH)
【0262】
実施例12:(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−(ピリジン−3−イルメチル)イソインドリン−5−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0263】
【化51】
【0264】
工程1:tert−ブチル2−メトキシ−3−((2R)−2−(2−(ピリジン−3−イルメチル)イソインドリン−5−カルボキサミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)ベンゾアートの合成。
1,2−ジクロロエタン(5mL)中の、実施例9の工程2からのtert−ブチル3−((2R)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−2−(イソインドリン−5−カルボキサミド)エチル)−2−メトキシベンゾアート(240mg、0.42mmol)に、ニコチンアルデヒド(90mg、0.84mmol)とNa(OAc)BH(211mg、1mmol)を加えた。反応混合物を6時間、室温で撹拌した。水(10mL)を0℃で加え、水相をEtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、真空内で濃縮した。未精製の生成物を、更に精製することなく次の工程で使用した。ESI−MS m/z 666.1(MH)
【0265】
工程2:(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−(ピリジン−3−イルメチル)イソインドリン−5−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル2−メトキシ−3−((2R)−2−(2−(ピリジン−3−イルメチル)イソインドリン−5−カルボキサミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)ベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 344(MH)
【0266】
実施例13:(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−イル)アセトアミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0267】
【化52】
【0268】
(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−イル)アセトアミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−イル)酢酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 382(MH)
【0269】
実施例14:(R)−3−(3,4−ビス(アミノメチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0270】
【化53】
【0271】
工程1:3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)安息香酸の合成
【0272】
【化54】
【0273】
工程1a:メチル3,4−ビス(ブロモメチル)ベンゾアートの合成。
CCl(110mL)中の3,4−ジメチル安息香酸(10g)、NBS(23.6g)、及びAIBN(1.0g)の溶液を、10時間、還流で加熱した。冷却と濾過の後、溶媒を除去し、残留物をDCM(200mL)中で溶解し、有機相を水と水性の飽和NaHCOの溶液で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、真空内で濃縮した。未精製の生成物(20g)を、更に精製することなく次の工程に直接使用した。
【0274】
工程1b:メチル3,4−ビス(アジドメチル)ベンゾアートの合成。
EtOH/THF/HO(100mL、4:2:1)中のメチル3,4−ビス(ブロモメチル)ベンゾアート(3.24g、10mmol)に、NaN(2.00g、30mmol)を加え、結果として生じる混合物を一晩、室温で撹拌した。水相(aqueous)をEtOAc(100mL×3)で抽出した。有機相を組み合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮した。残留物(2.2g)を、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
【0275】
工程1c:メチル3,4−ビス(アミノメチル)ベンゾアートの合成。
上記の工程からの未精製の材料(2.2g、20mmol)を、MeOH(200mL)中で溶解して、4時間、60psiでパーを使用して水素化した。反応混合物をセライト上で濾過し、真空内で濃縮して、生成物(1.5g)を得て、それを更に精製することなく次の工程に直接使用した。
【0276】
工程1d:メチル3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ベンゾアートの合成
DCM(10mL)中のメチル3,4−ビス(アミノメチル)ベンゾアート(1.0g、5.2mmol)に、TEA(2.9mL、20mmol)とジ−tert−ブチル重炭酸塩(3.4g、15.5mmol)を加えた。結果として生じる反応混合物を一晩、室温で撹拌した。有機相を、1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥し、真空内で濃縮した。残留物をシリカゲル上で精製して、生成物(1.0g)を得た。
【0277】
工程1e:3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)安息香酸の合成。
上記の工程からのエステル(1.0g、2.5mmol)を、MeOH/THFの混合物(50mL、2:1)中で溶解した。1N NaOH(10mmol、10mL)を加え、反応混合物を一晩、室温で撹拌した。1N HClを加え 反応物のpHを3までに調整した。水層をEtOAcで抽出した。有機相を1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥し、真空内で濃縮して、浅黄色の固形物として生成物(0.55g)を得た。
【0278】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例3の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)安息香酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 792.1(MH)
【0279】
工程3:(R)−3−(3,4−ビス(アミノメチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 370(MH)
【0280】
実施例15:(R)−3−(2−アミノ−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボキサミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0281】
【化55】
【0282】
工程1:2−(2,4−ジメトキシベンジルアミノ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボン酸の合成
【0283】
【化56】
【0284】
工程1a:メチル4−(ブロモメチル)−3−ニトロベンゾアートの合成。
メチル4−(ブロモメチル)−3−ニトロベンゾアートを、実施例14の工程1aに記載される手順に従い調製した。
【0285】
工程1b:メチル4−(アジドメチル)−3−ニトロベンゾアート・ニトロベンゾアートの合成。
メチル4−(アジドメチル)−3−ニトロベンゾアート・ニトロベンゾアートを、実施例14の工程2に記載される手順に従い調製した。
【0286】
工程1c:メチル3−アミノ−4−(アミノメチル)ベンゾアートの合成。
メチル3−アミノ−4−(アミノメチル)ベンゾアートを、実施例14の工程3に記載される手順に従い調製した。
【0287】
工程1d:メチル2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−7−カルボキシラートの合成。
二硫化炭素(1.36mL、22.6mmol)を、ピリジン(10mL)中のメチル3−アミノ−4−(アミノメチル)ベンゾアート(2.0g、11.3mmol)の溶液に加え、結果として生ずる反応混合物を60℃で一晩撹拌した。冷却後、水を反応混合物に加えた。形成された固形物を濾過して、2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−7−カルボキシラート(2.2g)を得て、それを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0288】
工程1e:メチル2−(メチルチオ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボキシラートの合成。
無水EtOH(5mL)中のメチル2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン−7−カルボキシラート(110mg、0.5mmol)の懸濁液に、MeI(0.125mL、2mmol)を加えた。反応混合物を1時間、還流で撹拌した。冷却後、固形物を濾過により分離し、2−(メチルチオ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボキシラート(100mg)を得た。
【0289】
工程1f:メチル2−(2,4−ジメトキシベンジルアミノ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボキシラートの合成。
メチル2−(メチルチオ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボキシラート(1.30g、4.2mmol)をtBuOH(10mL)中で溶解し、(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミン(2.8g、16.8mmol)を加えた。反応混合物を一晩、還流で加熱した。冷却後、固形物を濾過して、茶色の固形物として2−(2,4−ジメトキシベンジルアミノ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボキシラート(1.0g)を得た。
【0290】
工程1g:2−(2,4−ジメトキシベンジルアミノ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボン酸の合成。
エステルの酸への加水分解を、実施例14の工程1eに記載される手順に従い調製した。
【0291】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(2,4−ジメトキシベンジルアミノ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボキサミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例3の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、2−(2,4−ジメトキシベンジルアミノ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボン酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:4)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 753.1(MH)
【0292】
工程3:(R)−3−(2−アミノ−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−カルボキサミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 381(MH)
【0293】
実施例16:(R)−3−(2−カルバムイミドイルイソインドリン−5−カルボキサミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0294】
【化57】
【0295】
(R)−3−(2−カルバムイミドイルイソインドリン−5−カルボキサミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
MeOH(2mL)中の実施例9からの(R)−3−(2−ボロノ−2−(イソインドリン−5−カルボキサミド)エチル)−2−ヒドロキシ安息香酸(15mg)に、tert−ブチル(1H−ピラゾール−1−イル)メタンジリデンジカルバマート(15mg)を加え、4時間撹拌した。溶媒を真空内で除去した。残留物をジオキサン(2mL)中の4N HClにおいて溶解し、2時間撹拌した。溶媒を真空内で除去し、未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 395(MH)
【0296】
実施例17:(R)−3−(3−アミノ−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,3]ジアゼピン−7−カルボキサミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0297】
【化58】
【0298】
(R)−3−(3−アミノ−4,5−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,3]ジアゼピン−7−カルボキサミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
DMF(1mL)中の(R)−3−(2−(3,4−ビス(アミノメチル)ベンズアミド)−2−ボロノエチル)−2−ヒドロキシ安息香酸(10mg)に、BrCN(10mg)を加え、反応物を5時間撹拌した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 395(MH)
【0299】
実施例18:(R)−3−(3−アミノ−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0300】
【化59】
【0301】
工程1:4−((ジメチルアミノ)メチル)−3−ニトロ安息香酸の合成。
【0302】
工程1a:メチル4−(ブロモメチル)−3−ニトロベンゾアートの合成。
実施例14の工程1に記載される手順に従い、メチル4−メチル−3−ニトロベンゾアートから調製した。
【0303】
工程1b:メチル4−((ジメチルアミノ)メチル)−3−ニトロベンゾアートの合成。
THF(5mL)中のメチル4−(ブロモメチル)−3−ニトロベンゾアート(100mg)に、ジメチルアミン(2mL、THF中で2M)を加え、結果として生じる反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後溶媒を除去して、メチル4−((ジメチルアミノ)メチル)−3−ニトロベンゾアートを得て、それを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0304】
工程1s:4−((ジメチルアミノ)メチル)−3−ニトロ安息香酸の合成。
実施例14の工程1eに記載される手順を使用して、メチル4−((ジメチルアミノ)メチル)−3−ニトロベンゾアートから調製した。
【0305】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(4−((ジメチルアミノ)メチル−3−ニトロベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例3の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、4−((ジメチルアミノ)メチル)−3−ニトロ安息香酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0306】
工程3:tert−ブチル3−((2R)−2−(3−アミノ−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(3a,6,6−トリメチルヘキサヒドロベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボロール−2−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例9の工程2に記載される手順に従い調製した。ESI−MS m/z 606.1(MH)
【0307】
工程4:(R)−3−(3−アミノ−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(3−アミノ−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(3a,6,6−トリメチルヘキサヒドロベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボロール−2−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 384(MH)
【0308】
実施例19:(R)−3−(3,4−ビス((メチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0309】
【化60】
【0310】
工程1:3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニル(メチル)アミノ)メチル)安息香酸の合成。
THF(5mL)中の3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)安息香酸(380mg、1mmol)に、NaH(200mg、60%)を加えた。20分間室温で撹拌した後、MeI(4eq)を加え、結果として生ずる溶液を室温で一晩撹拌した。水を加え、水相をEtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、真空内で濃縮して、メチル3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ベンゾアート(368mg)を得た。実施例14の工程1eに記載の手順に従いエステルを加水分解して、3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニル(メチル)アミノ)メチル)安息香酸(300mg)を得た。
【0311】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニル(メチル)アミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例3の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニル(メチル)アミノ)メチル)安息香酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 820.1(MH)
【0312】
工程3:(R)−3−(3,4−ビス((メチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニル(メチル)アミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 398(MH)
【0313】
実施例20:(R)−3−(2−(3,4−ビス(アミノメチル)フェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0314】
【化61】
【0315】
工程1:2−(3,4−ビス(アミノメチル)フェニル)酢酸の合成
CCl(10mL)中の2−(3,4−ジメチルフェニル)酢酸メチルエステル(1g)、NBS(2.2g)、及びAIBN(0.1g)を、10時間、還流で加熱した。冷却と濾過の後、溶媒を除去し、残留物をDCM中で溶解し、有機相を水と水性の飽和NaHCOの溶液で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、真空内で濃縮した。未精製の生成物(1.90g)を、更に精製することなく次の工程に直接使用した。
【0316】
EtOH/THF/HO(70mL、4:2:1)中のメチル2−(3,4−ビス(ブロモメチル)フェニル)アセテート(1.9g)に、NaN(1.09g、17mmol)を加え、結果として生じる混合物を一晩、室温で撹拌した。水相をEtOAc(100mL×3)で抽出した。有機相を組み合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮した。残留物を更に精製することなく次の工程で直接使用した。
【0317】
上記の工程からの未精製の材料をMeOH(150mL)中で溶解し、Cの上にあるPd(10%、100mg)を加えた。反応混合物を4時間、60psiでパーを使用して水素化した。反応混合物をセライト上で濾過し、真空内で濃縮して、生成物を得て、それを更に精製することなく次の工程に直接使用した。
【0318】
DCM(100mL)中の上記工程のメチル3,4−ビス(アミノメチル)ベンゾアート(2.6g)に、TEA(5mL)とジ−tert−ブチル重炭酸塩(4.5g)を加えた。結果として生じる反応混合物を一晩、室温で撹拌した。有機相を、1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥し、真空内で濃縮した。残留物をシリカゲル上で精製して、生成物(1.1g)を得た。
【0319】
メチル2−(3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)フェニル)アセタート(1.1g)を、MeOH/THFの混合物(50mL、2:1)中で溶解した。1N NaOH(10mmol、10mL)を加え、反応混合物を一晩、室温で撹拌した。1N HClを加え 反応物のpHを3までに調整した。水層をEtOAcで抽出した。有機相を1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥し、真空内で濃縮して、黄色固形物として生成物(0.38g)を得た。
【0320】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)フェニル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例3の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、2−(3,4−ビス(アミノメチル)フェニル)酢酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 806.1(MH)
【0321】
工程3:(R)−3−(2−(3,4−ビス(アミノメチル)フェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
【0322】
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)フェニル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 384(MH)
【0323】
実施例21:(R)−3−(3−((S)−2,3−ジアミノプロパンアミド)−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0324】
【化62】
【0325】
工程1:tert−ブチル3−((2R)−2−(3−((S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
DCM/DMF(4mL、1/1)中の、実施例18の工程3からのtert−ブチル3−((2R)−2−(3−アミノ−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアート(130mg、0.22mol)と、(S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸(85mg、0.25mol)に、NMM(1.2eq)、その後HATU(114mg、0.3mol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。水を加え、水相をEtOAcで抽出した。有機相を、1N HCl、飽和NaOH、ブラインで洗浄し、乾燥し、真空内で濃縮して、茶色の油として生成物(0.130g)を得た。ESI−MS m/z 926.1(MH)
【0326】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(3−((S)−2−アミノ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)2−メトキシベンゾアートの合成。
MeOH(20mL)中の tert−ブチル3−((2R)−2−(3−((S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)2−メトキシベンゾアート(130mg)に、10%のPd/C(20mg)を加えた。反応混合物を6時間、Hバルーン下で撹拌した。触媒を濾過によって除去し、MeOHを減圧下で除去して、生成物(90mg)を得て、それを次の工程に使用した。
【0327】
工程3:(R)−3−(3−((S)−2,3−ジアミノプロパンアミド)−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
【0328】
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(3−((S)−2−アミノ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)−4−((ジメチルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 470(MH)
【0329】
実施例22:(R)−3−(3−((S)−2,3−ジアミノプロパンアミド)−4−メチルベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0330】
【化63】
【0331】
(R)−3−(3−((S)−2,3−ジアミノプロパンアミド)−4−メチルベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
3−((R)−2−ボロノ−2−(3−((S)−2,3−ジアミノプロパンアミド)−4−メチルベンズアミド)エチル)−2−ヒドロキシ安息香酸を、実施例21の副産物として得た。ESI−MS m/z 427(MH)
【0332】
実施例23:(R)−3−(3−アミノ−4−メチルベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0333】
【化64】
【0334】
(R)−3−(3−アミノ−4−メチルベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
(R)−3−(2−(3−アミノ−4−メチルベンズアミド)−2−ボロノエチル)−2−ヒドロキシ安息香酸を、実施例18の副産物として得た。ESI−MS m/z 341(MH)
【0335】
実施例24:(R)−2−ヒドロキシ−3−(4−(ピリジン−2−イル)ベンズアミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0336】
【化65】
【0337】
実施例3の工程1と工程2に記載の手順に従い、(R)−2−ヒドロキシ−3−(4−(ピリジン−2−イル)ベンズアミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸を、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、4−(ピリジン−2−イル)安息香酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 389(MH)
【0338】
実施例25:(R)−3−(3,4−ビス(グアニジノメチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0339】
【化66】
【0340】
実施例16に記載の手順を使用して、(R)−3−(3,4−ビス(グアニジノメチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸を、(R)−3−(2−(3,4−ビス(アミノメチル)ベンズアミド)−2−ボロノエチル)−2−ヒドロキシ安息香酸(実施例14)から調製した。ESI−MS m/z 454(MH)
【0341】
実施例26:(R)−2−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−5−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0342】
【化67】
【0343】
工程1:3−[2−[(1H−インドール−5−カルボニル)−アミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸tert−ブチルエステルの合成。
実施例3の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、インドール−5−カルボン酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(EtOAc;ヘキサン、0−100%)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 573.5(MH)
【0344】
工程2:2−ヒドロキシ−3−[(1H−インドール−5−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−オキサ−2−ボラ−ナフタレン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載される手順に従い、3−[[2−(1H−インドール−5−カルボニル)−アミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸tert−ブチルエステルと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 351.0(MH)
【0345】
実施例27:(R)−2−ヒドロキシ−3−(4−(ピリジン−4−イル)ベンズアミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0346】
【化68】
【0347】
工程1:2−メトキシ−3−[2−(4−ピリジン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステルの合成。
実施例3の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、4−(4−ピリジル)安息香酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(EtOAc;ヘキサン、0−100%)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 611.5(MH)
【0348】
工程2:2−ヒドロキシ−3−(4−ピリジン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−1−オキサ−2−ボラ−ナフタレン−8−カルボン酸の合成。
【0349】
実施例3の工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−[2−(4−ピリジン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステルと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 389.0(MH)
【0350】
実施例28:(R)−2−ヒドロキシ−3−(キノリン−6−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0351】
【化69】
【0352】
工程1:2−メトキシ−3−[2−[(キノリン−6−カルボニル)−アミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステルの合成。
実施例3の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、6−キノリンカルボン酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(EtOAc;ヘキサン、0−100%)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 585.5(MH)
【0353】
工程2:2−ヒドロキシ−3−[(キノリン−6−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−オキサ−2−ボラ−ナフタレン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−[2−(キノリン−6−カルボニル)−アミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステルと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 363.0(MH)
【0354】
実施例29:(R)−2−ヒドロキシ−3−(キノキサリン−6−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0355】
【化70】
【0356】
工程1:2−メトキシ−3−[2−[(キノキサリン−6−カルボニル)−アミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステルの合成。
【0357】
実施例3の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、キノキサリン−6−カルボン酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(EtOAc;ヘキサン、0−100%)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 586.5(MH)
【0358】
工程2:2−ヒドロキシ−3−[(キノキサリン−6−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−1−オキサ−2−ボラ−ナフタレン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−[2−(キノキサリン−6−カルボニル)−アミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステルと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 364.0(MH)
【0359】
実施例30:(R)−2−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−6−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0360】
【化71】
【0361】
(R)−2−ヒドロキシ−3−[(1H−インドール−6−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、インドール−6−カルボン酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 351(MH)
【0362】
実施例31:(R)−2−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−7−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0363】
【化72】
【0364】
(R)−2−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−7−カルボキサミド)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、インドール−7−カルボン酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 351(MH)
【0365】
実施例32:(R)−2−ヒドロキシ−3−[(1H−インドール−4−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0366】
【化73】
【0367】
(R)−2−ヒドロキシ−3−[(1H−インドール−4−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、インドール−4−カルボン酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 351(MH)
【0368】
実施例33:(R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0369】
【化74】
【0370】
(R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、5−カルボキシオキシインドールから調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 367(MH)
【0371】
実施例34:(R)−3−[(3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニル)−アミノ]−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0372】
【化75】
【0373】
(R)−3−[(3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニル)−アミノ]−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、1H−ベンズイミダゾール−6−カルボン酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 352(MH)
【0374】
実施例35:(R)−2−ヒドロキシ−3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0375】
【化76】
【0376】
(R)−2−ヒドロキシ−3−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 352(MH)
【0377】
実施例36:(3R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−イソインドリン−5−イルアセチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−1,2−ベンズオキサボリニン−8−カルボン酸
【0378】
【化77】
【0379】
工程1:4−ブロモ−1,2−ビス(ブロモメチル)ベンゼンの合成。
四塩化炭素(40mL)中の4−ブロモ−1,2−ジメチル−ベンゼン(3.7g、20mmol)の溶液に、N−ブロモ−スクシンアミド(7.83g、44mmol)を加えた。この混合物に、アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN、150mg)を加えた。結果として生じる懸濁液を還流にまで加熱し、3時間この温度で撹拌した。AIBNを更に一度で加え(75mg)、15時間撹拌を続けた。反応混合物を室温に冷却し、濾過して、濾液を真空下で濃縮した。残留物をシリカクロマトグラフィー(ヘキサンで溶出される50gのシリカ)によって精製して、半固体生成物を得た。この材料をヘキサンで粉末化し、濾過して、白色固形物として表題化合物を得た。
【0380】
工程2:5−ブロモ−2−(p−トリルスルホニル)イソインドリンの合成。
N,N−ジメチルアセトアミド(24mL)中の水素化ナトリウム(440mg、鉱油中で60%の分散液、11mmol)の懸濁液に、約5分にわたり、N,N−ジメチルアセトアミド(8mL)中のp−トルエンスルホンアミド(1.45g、8.5mmol)の溶液を滴下で加えた。泡状の溶液を室温で1時間撹拌し、その後、60℃に加熱し、0.5時間この温度で撹拌した。この混合物に、N,N−ジメチルアセトアミド(6mL)中の4−ブロモ−1,2−ビス(ブロモメチル)ベンゼン(2.9g、8.4mmol)の溶液を滴下で加えた。結果として生じる混合物を1時間撹拌し、その後、室温に冷却し、17時間撹拌した。その後、この混合物をエーテルで希釈し、水(2×)、そしてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濃縮した。この残留物を酢酸エチルで粉末化し、濾過して、白色固形物として表題化合物を得た。
【0381】
工程3:5−ブロモイソインドリンの合成。
水性臭化水素酸(16mL、水中で48%の溶液)、プロピオン酸(2.8mL)、及びフェノール(2g)の溶液に、5−ブロモ−2−(p−トリルスルホニル)イソインドリン(2.4g、6.8mmol)を加えた。結果として生じる混合物を還流にまで加熱し、10時間この温度で撹拌し、そして室温に冷却した。この混合物を水(20mL)で希釈し、エーテル(2×50mL)で抽出した。水性抽出物を、5M水酸化ナトリウム溶液によりpH14とした。この溶液をエーテル(3×)で抽出した。エーテル抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、油として表題化合物を得た。
【0382】
工程4:ベンジル5−ブロモイソインドリン−2−カルボキシラートの合成。
ジクロロメタン(15mL)中の5−ブロモイソインドリン(1.1g、5.5mmol)の冷却溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.16mL、6.6mmol)、その後クロロギ酸ベンジル(942μL、6.6mmol)を加えた。氷槽を取り除き、2時間撹拌を続けた。その後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、真空下で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で0−50%の酢酸エチルで溶出する25gのシリカ)によって精製して、白色固形物として表題化合物を得た。
【0383】
工程5:ベンジル5−アリルイソインドリン−2−カルボキシラートの合成。
ベンジル5−ブロモイソインドリン−2−カルボキシラート(332mg、1mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(80mg、0.07mmol)、及びフッ化セシウム(604mg、4mmol)の混合物に、THF(7mL)を加えた。このシステムを脱気し、アルゴンで洗い流した。この混合物に、アリルボロン酸ピナコールエステル(285μL、1.5mmol)を加えた。結果として生じる混合物を72℃に加熱し、4時間この温度で撹拌し、そして室温に冷却した。混合物を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、真空下で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で3−40%の酢酸エチルで溶出する25gのシリカ)によって精製して、白色固形物として表題化合物を得た。
【0384】
工程6:ベンジル5−(2,3−ジヒドロキシプロピル)イソインドリン−2−カルボキシラートの合成。
tert−ブタノール(2.5mL)と水(2.5mL)の中のベンジル5−アリルイソインドリン−2−カルボキシラート(294mg、1mmol)の懸濁液に、N−メチルモルホリン−N−酸化物(257mg、2.2mmol)、その後四酸化オスミウム溶液(水中で4重量%の0.1mL)を加えた。結果として生じる混合物を3時間(混合物は均質になる時間の間)撹拌した。この溶液を酢酸エチルで希釈し、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液、その後ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、真空下で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で3−40%の酢酸エチルで溶出する25gのシリカ)によって精製して、白色固形物として表題化合物を得た。
【0385】
工程7:ベンジル5−(2−オキソエチル)イソインドリン−2−カルボキシラートの合成。
THF(7mL)と水(7mL)の中のベンジル5−(2,3−ジヒドロキシプロピル)イソインドリン−2−カルボキシラート(327mg、1mmol)の溶液に、過ヨウ素酸ナトリウム(426mg、2mmol)を加えた。結果として生じる混合物を20分間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、水とブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、白色固形物として表題化合物を得た。この材料を更に精製することなく使用する。
【0386】
工程8:2−(2−ベンジルオキシカルボニルイソインドリン−5−イル)酢酸の合成。
tert−ブタノール(10mL)中のベンジル5−(2−オキソエチル)イソインドリン−2−カルボキシラート(290mg、1mmol)の溶液に、2,3−ジメチル−ブタ−2−エン(1.1mL)を加えた。この混合物に、リン酸二水素ナトリウム水和物(1.08g、8mmol)と亜塩素酸ナトリウム(1.08g、9.5mmol、技術等級(tech grade))を含む溶液を加えた。この混合物を20分間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、真空下で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(ジクロロメタン中で3−20%のメタノールで溶出する25gのシリカ)によって精製して、白色固形物として表題化合物を得た。
【0387】
工程9:[(1S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−クロロ−エチル]ボロン酸(+)ピナンジオールト(pinanediol)エステルの合成。
方法1:THF(44mL)中のジクロロメタン(2.27mL、35mmol)の冷却した(−100℃、外部温度)溶液に、45分にわたり、BuLi(8.88mL、ヘキサン中で2.5M、22mmol)を、フラスコの下部側面に滴下で加えた。約80%のBuLiの追加後、白色沈殿物が生じた。完全な追加後、反応混合物を30分間撹拌した。この混合物に、約30分にわたり、THF(20mL)中の2−メトキシ−3−2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステル(8.0g、20mmol)を、フラスコの下部側面に滴下で加えた。完全な追加後、結果として生じる溶液を5分間撹拌した。この溶液に、約12分にわたり、ZnCl(22mL、エーテル中で1M)を、フラスコの下部側面に滴下で加えた。完全な追加後、氷槽を取り除き、−10℃の槽と交換した。反応混合物を1.25時間撹拌した。この溶液に、氷冷のエーテル(300mL)と、氷冷の飽和水性NHCl(125mL)を加える。有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残基を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で、2−20%の酢酸エチルで溶出する120gのシリカ)によって精製して、無色の油として表題化合物を得た。この材料を−10℃でゆっくりと結晶化した。
【0388】
方法2:THF(20mL)中の2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステル(2.0g、5mmol)とジクロロメタン(1.6mL、25mmol)を30分間、−60℃で撹拌した。この溶液に、10分間にわたり、LDA(6.5mmol、Aldrichの2Mの溶液)を加えた。結果として生じる反応混合物を20時間、−60℃で撹拌する。ZnCl(8.75mmol、エーテル中で1Mの溶液)を、−60℃でゆっくり加えた。反応混合物を30分間、−50℃乃至−60℃で撹拌した。この結果として生じる混合物を1時間にわたり0℃にまで暖め、この時点で、10%のHSO溶液(10mL)を加えて、反応混合物を10分間撹拌した。相分離の後、有機相を水とブラインで洗浄した。その後、有機相を乾燥し、真空内で濃縮した。その後、残基をフラッシュシリカクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン:4/1)によって精製し、表題化合物を得た。
【0389】
工程10:tert−ブチル3−((2R)−2−(2−ベンジルオキシカルボニルイソインドリン−5−イル)2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
THF(3mL)中の[(1S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−クロロ−エチル]ボロン酸(+)ピナンジオールエステル(450mg、1mmol)の冷却した(−78℃)溶液に、リチウム・ビス−トリメチルシリルアミド(1.0mL、THF中で1M、)の溶液を滴下で加えた。完全な追加後、氷槽を取り除き、19時間撹拌を続けて、THF中でおよそ0.25Mの、[(1R)−1−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)エチル]ボロン(+)ピナンジオールエステルを得た。この溶液を次の操作に直接使用した。
【0390】
別個のフラスコにおいて、2−(2−ベンジルオキシカルボニルイソインドリン−5−イル)−酢酸(311mg、1mmol)とHATU(418mg、1.1mmol)の混合物に、DMA(3mL)、その後N−メチルモルホリン(122μL、1.1mmol)を加えた。結果として生じる溶液を1.5時間撹拌し、その後、(上記で調製した)THF中の、上記で調製した[(1R)−1−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)エチル]ボロン(+)ピナンジオールの溶液を加えた。この混合物を4時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、水とブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、濃縮した。残基を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で40−100%の酢酸エチルで溶出される10gのシリカ)によって精製して、フォームとして表題化合物を得た。ESI−MS m/z 745(M+Na)
【0391】
工程11:tert−ブチル3−((2R)−2−(インドリン−5−イル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
メタノール(4mL)中のtert−ブチル3−((2R)−2−(2−ベンジルオキシカルボニルイソインドリン−5−イル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアート(460mg、0.63mmol)の溶液に、炭素上のパラジウム(46mg、10重量%のパラジウム)を加えた。この混合物を水素ガスでフラッシングし、2.5時間この大気下で撹拌した。混合物を窒素でフラッシングし、ジクロロメタンで希釈し、濾過した。濾液を濃縮して、黄褐色の油として表題化合物を得て、それを更に精製することなく使用する。
【0392】
工程12:(3R)−2−ヒドロキシ−3−[(2−イソインドリン−5−イルアセチル)アミノ]−3,4−ジヒドロ−1,2−ベンズオキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
ジオキサン(2mL)中のtert−ブチル3−((2R)−2−(イソインドリン−5−イル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアート(150mg、0.25mmol)の溶液に、HCl(2mL、3M 水性)を加えた。結果として生じる溶液を還流に加熱し、2.5時間この温度で撹拌した。結果として生じる混合物を室温に冷却し、エーテル(2X)で抽出した。水性抽出物を約1/2の容積にまで濃縮し、残留物を逆相HPLCによって精製した。純粋な画分を凍結乾燥により濃縮して、白色固形物として表題化合物を得た。ESI−MS m/z 367(MH)
【0393】
実施例37:(3R)−2−[[2−(2−カルバムイミドイルイソインドリン−5−イル)アセチル]アミノ]−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−1,2ベンズオキサボリニン−8−カルボン酸
【0394】
【化78】
【0395】
工程1:tert−ブチル(3R)−3−[[2−[2−[(Z)−N,N’−ビス(tert−ブトキシカルボニル)カルバムイミドイル]イソインドリン−5−イル]アセチル]アミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
メタノール(3mL)中のtert−ブチル3−((2R)−2−(イソインドリン−5−イル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアート(190mg、0.31mmol)の溶液に、ビス−BOC−(ピラゾール−1−イル)−カルボキサミジン(124mg、0.4mmol)を加えた。結果として生じる溶液を3時間撹拌し、その後減圧下で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で20−100%の酢酸エチルで溶出される10gのシリカ)によって精製して、表題化合物を得た。
【0396】
工程2:(3R)−2−[[2−(2−カルバムイミドイルイソインドリン−5−イル)アセチル]アミノ]−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−1,2−ベンズオキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例1の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル(3R)−3−[[2−[2−[(Z)−N,N’−ビス(tert−ブトキシカルボニル)カルバムイミドイル]イソインドリン−5−イル]アセチル]アミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を逆相HPLCによって精製した。純粋な画分を凍結乾燥により濃縮して、白色固形物として表題化合物を得た。ESI−MS m/z 409(MH)
【0397】
実施例38:(R)−3−(2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0398】
【化79】
【0399】
工程1:tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例1の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)酢酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、4:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 580.1(MH)
【0400】
工程2:(R)−3−(2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)2−メトキシベンゾアート(200mg)を、3mlの3N HClと混合し、反応混合物を1時間還流で加熱した。反応溶液を冷却し、ジクロロメタンで3回洗浄した。水相中の未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 358(MH)
【0401】
実施例39:(R)−3−(3,4−ジヒドロキシベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0402】
【化80】
【0403】
工程1:3,4−ジアセトキシ安息香酸の合成。
0℃で、ピリジン(5mL)中の3,4−ジヒドロキシ安息香酸(0.84g)とDMAP(80mg)の溶液に、無水酢酸(1.2mL)を加えた。反応混合物を一晩中撹拌した。その後、反応混合物をクラッシュアイスに注いだ。溶液を酸性化し(pH<2)、EtOAcで抽出した。組み合わせた抽出物をNaSOで乾燥し、真空内で濃縮して、生成物(0.9g)を得た。
【0404】
工程2:(R)−3−(3,4−ジヒドロキシベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例39の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、3,4−ジアセトキシ安息香酸から調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 344(MH)
【0405】
実施例40:(R)−3−(4−(2−アミノエトキシ)−3−ヒドロキシベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0406】
【化81】
【0407】
工程1:tert−ブチル3−((2R)−2−(3−アセトキシ−4−ヒドロキシベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
表題の生成物を、クロマトグラフィー中に実施例39の工程2の副産物として得た。
【0408】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(3−アセトキシ−4−(2−アミノエトキシ)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
DMF(3mL)中のtert−ブチル3−((2R)−2−(3−アセトキシ−4−ヒドロキシベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアート(工程1から100mg)に、KCO(100mg)、その後tert−ブチル2−ブロモエチルカルバマート(100mg)を加えた。結果として生じる反応混合物を一晩、室温で撹拌した。水を反応混合物に加え、EtOAcで3回抽出した。混合した有機相を乾燥し、濃縮して、未精製の生成物を得て、それを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0409】
工程3:3−(R)−3−(4−(2−アミノエトキシ)−3−ヒドロキシベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例38の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(3−アセトキシ−4−(2−アミノエトキシ)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 387(MH)
【0410】
実施例41:(R)−3−{[1−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−6−カルボニル]−アミノ}−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0411】
【化82】
【0412】
工程1:1H−インドール−6−カルボン酸メチルエステルの合成。
ヨードメタン(0.75mL、12.0mmol)を、アルゴンの下で、DMF(30mL)中のインドール−6−カルボン酸(1.68g、10.5mmol)と炭酸カリウム(2.16g、15.7mmol)の懸濁液に加えた。反応物を19時間、室温で撹拌した。反応物を飽和NHClでクエンチし、酢酸エチル(2X)で抽出した。混合した有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。未精製の生成物を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(0−60%のEtOAc:ヘキサン)によって精製した。ESI−MS m/z 176(MH)
【0413】
工程2:1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−1H−インドール−6−カルボン酸メチルエステルの合成。
アルゴンの下で、1H−インドール−6−カルボン酸メチルエステル(0.503g、2.87mmol)とDMF(9.0mL)の溶液を10分間、0℃に冷却した。水素化ナトリウム(〜48%、0.190g、3.80mmol)を加え、反応物を30分間室温にまで温めた。2−(Boc−アミノ)臭化エチル(0.787g、3.52mmol)を加え、反応物を17時間撹拌した。反応物をHOでクエンチし、酢酸エチル(3×)で抽出した。混合した有機層をHOとブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。未精製の生成物を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(0−50%のEtOAc:ヘキサン)によって精製した。ESI−MS m/z 319(MH)
【0414】
工程3:1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−1H−インドール−6−カルボン酸の合成。
水酸化ナトリウム(1N、6.0mL、6.00mmol)を、メタノール(12mL)とTHF(4.0mL)中の1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−1H−インドール−6−カルボン酸メチルエステル(0.501g、1.57mmol)に加えた。反応物を68時間、室温で撹拌した。反応物を真空内で濃縮した。水性の残留物を1N HClでpH〜1にまで酸性化し、酢酸エチル(3×)で抽出した。組み合わせた有機質層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。未精製の生成物を精製することなく次の工程に使用した。ESI−MS m/z 327(M+Na)
【0415】
工程4:(R)−3−{[1−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−6−カルボニル]−アミノ}−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程1と工程2に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−1H−インドール−6−カルボン酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 394(MH)
【0416】
実施例42:(R)−3−{[1−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−4−カルボニル]−アミノ}−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0417】
【化83】
【0418】
(R)−3−{[1−(2−アミノ−エチル)−1H−インドール−4−カルボニル]−アミノ}−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例40の工程1乃至4に記載の手順に従い、インドール−4−カルボン酸から調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 394(MH)
【0419】
実施例43:(R)−2−ヒドロキシ−3−[(1−メチル−1H−インドール−6−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0420】
【化84】
【0421】
工程1:1−メチル−1H−インドール−6−カルボン酸メチルエステルの合成。
ヨードメタン(2.3mL、36.9mmol)を、アルゴンの下で、DMF(32mL)中のインドール−6−カルボン酸(1.55g、9.62mmol)と炭酸カリウム(1.98g、14.3mmol)の懸濁液に加えた。反応物を24時間、室温で撹拌した。反応物を飽和NHClでクエンチし、酢酸エチル(2X)で抽出した。混合した有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。未精製の生成物を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(0−60%のEtOAc:ヘキサン)によって精製した。ESI−MS m/z 190(MH)
【0422】
工程2:(R)−2−ヒドロキシ−3−[(1−メチル−1H−インドール−6−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例40の工程3と4に記載の手順に従い、1−メチル−1H−インドール−6−カルボン酸メチルエステルから調製した。最終生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 365(MH)
【0423】
実施例44:(R)−3−(3,5−ビス(アミノメチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0424】
【化85】
【0425】
工程1:3,5−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)安息香酸の合成。
実施例14の工程1a−1eに記載の手順に従い、3,5−ジメチル安息香酸から調製した。
【0426】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(3,4−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例36の工程10に記載の手順に従い、[(1S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−クロロ−エチル]ボロン酸(+)ピナンジオールエステルと、3,5−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)安息香酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 792.1(MH)
【0427】
工程3:(R)−3−(3,5−ビス(アミノメチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(3,5−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 370(MH)
【0428】
実施例45:(R)−3−(3,5−ビス(グアニジノメチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0429】
【化86】
【0430】
(R)−3−(3,5−ビス(グアニジノメチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例16に記載の手順を使用して、(R)−3−(3,5−ビス(グアニジノメチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸を、(R)−3−(2−(3,5−ビス(アミノメチル)ベンズアミド)−2−ボロノエチル)−2−ヒドロキシ安息香酸(実施例44)から調製した。生成物を逆相HPLCによって精製し、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 454(MH)
【0431】
実施例46:(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−1H−インドール−6−イル−アセチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0432】
【化87】
【0433】
工程1:3−[2−(2−1H−インドール−6−イル−アセチルアミノ)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸tert−ブチルエステルの合成。
実施例1の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、2−(1H−インドール−6−イル)酢酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(EtOAc;ヘキサン、25−100%)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 587(MH)
【0434】
工程2:(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−1H−インドール−6−イル−アセチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例1の工程2に記載される手順に従い、3−[2−(2−1H−インドール−6−イル−アセチルアミノ)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸tert−ブチルエステルと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 365(MH)
【0435】
実施例47:(R)−2−ヒドロキシ−3−[4−(1H−イミダゾール−2−イル)−ベンゾイルアミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0436】
【化88】
【0437】
工程1:3−[2−[4−(1H−イミダゾール−2−イル)−ベンゾイルアミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸tert−ブチルエステルの合成。
実施例1の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、4−(1H−イミダゾール−2−イル)安息香酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(CHOH;CHCl、0−15%)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 600(MH)
【0438】
工程2:(R)−2−ヒドロキシ−3−[4−(1H−イミダゾール−2−イル)−ベンゾイルアミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例1の工程2に記載される手順に従い、3−[2−[4−(1H−イミダゾール−2−イル)−ベンゾイルアミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸tert−ブチルエステルと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 378(MH)
【0439】
実施例48:(R)−2−ヒドロキシ−3−[2−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−アセチルアミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0440】
【化89】
【0441】
工程1:ジ−プロプ−2−イニル−カルバミン酸tert−ブチルエステルの合成。
N−Boc−プロパルギルアミン(2.63g、16.9mmol)とDMF(35mL)の混合物をアルゴンの下で調製し、20分間0℃に冷却した。水素化ナトリウム(60%、0.714g、17.9mmol)を加え、反応物を30分間0℃で撹拌した。DMF(5mL)中の臭化プロパルギル(トルエン中で80%、2.7mL、24.2mmol)をゆっくり加え、反応物を5分間0℃で撹拌し、その後、室温に暖めて、更に17時間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで2回抽出した。混合した有機層を水(3×)とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。未精製の生成物を、精製することなく次の反応で使用した。ESI−MS m/z 194(MH)
【0442】
工程2:5−カルボキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成。
ジ−プロプ−2−イニル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(4.78g、24.7mmol)とエタノール(120mL)の混合物を、アルゴンの下で調製し、15分間0℃に冷却した。3−ブチン酸(3.64g、43.3mmol)とトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)塩化物(1.14g、1.23mmol)を加え、反応物を1.3時間かけて、室温にまで徐々に暖めた。その後、反応物を17分間、45℃に加熱した。反応物を室温に冷却し、真空内で濃縮した。残留物を1N NaOHで希釈し、ジエチルエーテル(3×)で抽出した。水層を1N HClでpH〜1にまで酸性化し、EtOAc(3x)で抽出した。組み合わせたEtOAc層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。未精製の生成物を、シリカゲル(EtOAc;ヘキサン、5−100%)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 278(MH)
【0443】
工程3:5−{[2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチルカルバモイル]−メチル}−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成。
実施例1の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−5−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、5−カルボキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルから調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(EtOAc;ヘキサン、30−100%)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 689(MH)
【0444】
工程4:3−[2−(2−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル−アセチルアミノ)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸の合成。
トリフルオロ酢酸(0.60mL、8.08mmol)を、アルゴンの下で、CHCl(3.0mL)中の5−{[2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチルカルバモイル]−メチル}−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.285g、0.414mmol)の溶液に加えた。反応物を2時間、室温で撹拌し、その後、真空内で濃縮し、精製することなく次の工程に使用した。ESI−MS m/z 533(MH)
【0445】
工程5:2−メトキシ−3−[2−[2−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−アセチルアミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−安息香酸の合成。
3−[2−(2−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル−アセチルアミノ)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸(0.110g、0.207mmol)、ホルムアルデヒド(HO中で37%、0.06mL、0.740mmol)、及びメタノール(2.5mL)の溶液を、アルゴンでパージした。炭素上のパラジウム(10%、0.049g)を加え、フラスコを空にし、反応物を18時間、水素下に置いた。反応混合物を、セライトを詰めたフィルタフリットに通して濾過し、CHOHとCHClで洗浄し、濃縮した。未精製の生成物を精製することなく次の工程に使用した。ESI−MS m/z 547(MH)
【0446】
工程6:(R)−2−ヒドロキシ−3−[2−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−アセチルアミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
2−メトキシ−3−[2−[2−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−アセチルアミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−安息香酸(0.113g、0.207mmol)と1,4−ジオキサン(2.0mL)の混合物に、3N HCl(1.7mL、5.10mmol)を加え、反応物を1時間100℃で加熱した。反応物を室温に冷却し、ジエチルエーテル(3×)で抽出した。生成物は水層中に残り、それを逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 381(MH)
【0447】
実施例49:(R)−3−{2−[2−(2−アミノ−エチル)−2,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0448】
【化90】
【0449】
工程1:3−[2−{2−[2−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル]−アセチルアミノ}−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸の合成。
3−[2−(2−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル−アセチルアミノ)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸(0.110g、0.207mmol)(実施例48の工程1−4の手順に従い調製)、N−Boc−2−アミノアセトアルデヒド(0.06g、0.427mmol)、及びメタノール(2.5mL)の溶液を、アルゴンでパージした。炭素上のパラジウム(10%、0.051g)を加え、フラスコを空にし、反応物を91時間、水素下に置いた。反応混合物を、セライトを詰めたフィルタフリットに通して濾過し、CHOHとCHClで洗浄し、濃縮した。未精製の生成物を精製することなく次の工程に使用した。ESI−MS m/z 676(MH)
【0450】
工程2:(R)−3−{2−[2−(2−アミノ−エチル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル]−アセチルアミノ}−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例48の工程6に記載される手順に従い、3−[2−{2−[2−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル]−アセチルアミノ}−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−2−メトキシ−安息香酸と、HClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 410(MH)
【0451】
実施例50:(3R)−3−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−1,2−ベンズオキサボリニン−8−カルボン酸
【0452】
【化91】
【0453】
工程1:5−ブロモ−2,3−ジメチル−ピリジンの合成。
水冷式の還流凝縮器と塩化カルシウムを入れた乾燥管を備える丸底フラスコの中で150℃で保持した発煙硫酸(80mL)中の2,3−ジメチル−ピリジン(6.79mL、60mmol)の撹拌溶液に、2時間にわたり、臭素(3.1mL、60mmol)を滴下で加えた。結果として生じる暗赤色の溶液を16時間撹拌し、その後、室温に冷却し、一晩静置させた(stand)。この混合物を、およそ400gの氷に注いだ。この混合物を氷槽中で冷却することでpH12とした。結果として生じる混合物をエーテルで希釈し、エーテル抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で、2−20%の酢酸エチルで溶出する50gのシリカ)によって精製して、無色の油として表題化合物(8.3g)を得た。
【0454】
工程2:5−ブロモ−2,3−ビス(ブロモメチル)ピリジンの合成。
CCl(120mL)中の5−ブロモ−2,3−ジメチル−ピリジン(8.3g、44.6mmol)の溶液に、N−ブロモ−スクシンイミド(16.77g、93.7mmol)、その後AIBN(167mg、1mmol)を加えた。結果として生じる溶液を82℃に加熱し、2時間この温度で撹拌した。この混合物に、AIBN(167mg、1mmol)を加えた。この混合物を82℃で更に2時間撹拌し、その後、室温に冷却した。固形の沈殿物を濾過により取り除き、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で、2−20%の酢酸エチルで溶出する50gのシリカ)によって精製して、出発物質と三臭素化(tri−brominated)誘導体との混合物として表題化合物を得た。
【0455】
工程3:3−ブロモ−6−トリチル−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジンの合成。
DMF(40mL)中の5−ブロモ−2,3−ビス(ブロモメチル)ピリジン(上記の工程2、5.6g、約16.3mmol)の溶液に、トリチルアミン(5.3g、20.6mmol)、その後ジイソプロピルエチルアミン(8.6mL、49mmol)を加えた。結果として生じる溶液を60℃に加熱し、2.5時間この温度で撹拌した。その後、混合物を減圧下で濃縮し、残留物をシリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で10−100%のジクロロメタンで溶出される50gのシリカ)によって精製して、フォームとして表題化合物を得た。
【0456】
工程4:3−ブロモ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジンの合成。
クロロホルム(15mL)とメタノール(15mL)中の3−ブロモ−6−トリチル−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン(1.57g、3.66mmol)の冷却した(0℃)溶液に、1時間にわたりトリフルオロ酢酸(30mL)を加えた。完全な追加後、溶液を5分間撹拌し、その後、氷槽を取り除き、30分間撹拌を続けた。この溶液を減圧下で濃縮し、残留物をHCl(30mL、1M aq.)の中で取り上げた。この混合物をエーテル(2×20mL)で抽出し、その後、水相を水酸化ナトリウム(5M aq.)で塩基化した。この混合物をジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。組み合わせたジクロロメタン抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、固形物として表題化合物を得た。
【0457】
工程5:tert−ブチル3−ブロモ−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−6−カルボキシラートの合成。
ジクロロメタン(15mL)中の3−ブロモ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン(755mg、3.79mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(791μL、4.54mmol)、その後ジ−tert−ブチル重炭酸塩(989mg、4.54mmol)を加えた。結果として生じる溶液を1時間撹拌し、その後、エーテルで希釈し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で5−40%の酢酸エチルで溶出される25gのシリカ)によって精製して、固形物として表題化合物を得た。
【0458】
工程6:tert−ブチル3−アリル−5,7−ジヒドロキシピロロ[3,4−b]ピリジン−6−カルボキシラートの合成。
THF(15mL)中のtert−ブチル3−ブロモ−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−6−カルボキシラート(857mg、2.87mmol)、フッ化セシウム(1.7g、11.5mmol)、及びテトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(229mg、0.2mmol)の混合物を、脱気し、窒素でフラッシングした。この混合物に、アリル−ボロン酸ピナコールエステル(820μL、4.3mmol)を加えた。結果として生じる混合物を還流に加熱し、2.5時間この温度で撹拌し、その後、室温に冷却し、エーテルで希釈し、水とブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(ヘキサン中で5−40%の酢酸エチルで溶出される25gのシリカ)によって精製して、固形物として表題化合物を得た。
【0459】
工程7:tert−ブチル3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−6−カルボキシラートの合成。
tert−ブタノール(5mL)と水(5mL)の中のtert−ブチル3−アリル−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−6−カルボキシラート(430mg、1.64mmol)の溶液に、N−メチル−モルホリン・N−オキシド(422mg、3.6mmol)、その後四酸化オスミウム(20μl、4%の水溶液)を加えた。結果として生じる溶液を48時間撹拌し、その後、エーテルで希釈し、10%のチオ硫酸ナトリウム溶液とブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、固形物として表題化合物を得た。
【0460】
工程8:6−tert−ブトキシカルボニル−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボン酸と2−(6−tert−ブトキシカルボニル−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−3−イル)酢酸の合成。
THF(4.5mL)と水(4.5mL)の中のtert−ブチル3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−6−カルボキシラート(450mg、1.52mmol)の溶液に、過ヨウ素酸ナトリウム(648mg、3mmol)を加えた。結果として生じる混合物を20分間撹拌し、その後、酢酸エチルで希釈し、水とブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、濃縮した。残留物をtert−ブタノール(15mL)中で取り上げた。この溶液に、2,3−ジメチル−ブタ−2−エン(1.7mL)、その後、水(15mL)中に亜塩素酸ナトリウム(1.6g、技術等級、約14mmol)とリン酸水素2ナトリウム水和物(1.6g、12mmol)を含む溶液を加えた。結果として生じる混合物を20分間撹拌し、その後、酢酸エチルで希釈し、水とブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、固形物として表題化合物(およそ1:9の比率)を得た。この生成物を更に精製することなく使用した。
【0461】
工程9:[(1R)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−[(6−tert−ブトキシカルボニルオキシカルボニル−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニル)アミノ]エチル]ボロン酸(+)ピナンジオールエステルの合成。
2−(2−ベンジルオキシカルボニルイソインドリン−5−イル)−酢酸の代わりに6−tert−ブトキシカルボニル−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボン、及び2−(6−tert−ブトキシカルボニル−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−3−イル)酢酸を使用することを除き、実施例36の工程10に記載の本質的に同じ手順を使用して、表題化合物を調製した。
【0462】
工程10:(3R)−3−(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−1,2−ベンズオキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
[(1R)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−[(2−イソインドリン−5−イルアセチル)アミノ]エチル]ボロン酸の代わりに、[(1R)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−[(6−tert−ブトキシカルボニルオキシカルボニル−5,7−ジヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン−3−カルボニル)アミノ]エチル]ボロン酸(+)ピナンジオールエステルを使用することを除き、実施例36の工程12に記載される本質的に同じ手順を使用して、表題化合物を調製した。逆相HPLC(Phenomene×Luna;5ミクロン C18カラム;35×75mm;流量40ml/min 8分にわたり5−40%のCHCN/HO/0.1% TFAで溶出される)によって精製を行った。精製された画分を凍結乾燥によって分離した。ESI−MS m/z 354(MH)
【0463】
実施例51:(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル−アセチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0464】
【化92】
【0465】
工程1:7−{[2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチルカルバモイル]−メチル}−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成。
実施例1の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、2−Boc−1,2,3,4−テトラヒドロ−7−イソキノリン酢酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(EtOAc;ヘキサン、25−100%)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 703(MH)
【0466】
工程2:(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル−アセチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例48の工程6に記載される手順に従い、7−{[2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチルカルバモイル]−メチル}−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステルと、HClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 381(MH)
【0467】
実施例52:(R)−2−ヒドロキシ−3−[(オキサゾール−5−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0468】
【化93】
【0469】
工程1:2−メトキシ−3−[2−[(オキサゾール−5−カルボニル)−アミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステルの合成。
実施例1の工程1に記載される手順に従い、2−メトキシ−3−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イルメチル)−安息香酸tert−ブチルエステルと、オキサゾール−5−カルボン酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(EtOAc;ヘキサン、10−100%)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 525(MH)
【0470】
工程2:(R)−2−ヒドロキシ−3−[(オキサゾール−5−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
塩化アルミニウム(0.132g、0.990mmol)を、CHCl(3.0mL)中の2−メトキシ−3−[2−[(オキサゾール−5−カルボニル)−アミノ]−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル(0.064g、0.122mmol)の溶液に加えた。反応物を16時間、室温で撹拌した。反応物をHOとCHOHでクエンチし、ヘキサン(2X)で抽出した。未精製の生成物は水層中に残り、それを逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 303(MH)
【0471】
実施例53:(R)−3−(2−カルボキシベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0472】
【化94】
【0473】
工程1:tert−ブチル3−((2R)−2−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
10mLのDMSO中の[(1S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−クロロ−エチル]ボロン酸(+)ピナンジオールエステル(実施例36の工程9から1.3g)に、カリウムフタルイミド(1.2g)を加えた。結果として生じる反応混合物を4時間、室温で撹拌した。水を反応溶液に加え、EtOAcで抽出した。有機相を乾燥し、真空内で濃縮して、表題生成物(1.8g)を得た。
【0474】
工程2:(R)−3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。ESI−MS m/z 338(MH)
【0475】
工程3:(R)−3−(2−カルボキシベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
メタノールとHOの混合物(2mL、1:1)中の、20mgの(R)−3−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸に、1N NaOH(0.5mL)を加え、結果として生じる反応混合物を3時間室温で撹拌した。1N HClを加え 溶液のpHを3までに調整した。その後、生成物を逆相HPLCによって精製し、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 356(MH)
【0476】
実施例54:(R)−3−(2−(2−アミノエチルカルバモイル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0477】
【化95】
【0478】
工程1:tert−ブチル3−((2R)2−(2−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルカルバモイル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
2mLのメタノール中のtert−ブチル3−((2R)−2−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアート(実施例53の工程1から100mg)に、tert−ブチル2−アミノエチルカルバマート(1.1eq)を加えた。結果として生じる反応混合物を2時間、還流で撹拌した。その後、メタノールを減圧下で除去した。未精製の生成物を、精製することなく次の工程で使用した。
【0479】
工程2:(R)−3−(2−(2−アミノエチルカルバモイル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルカルバモイル)ベンズアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。その後、生成物を逆相HPLCによって精製し、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 398(MH)
【0480】
実施例55:(R)−3−(4−(アミノエチル)−3−((イソプロピルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0481】
【化96】
【0482】
(R)−3−(4−(アミノメチル)−3−((イソプロピルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
メタノール(2mL)中の、実施例14の(R)−3−(3,4−ビス(アミノメチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸(44.1mg)に、TEA4(0.042mL)、AcOH(0.050mL)、アセトン(0.030mL)、及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(70mg)を加えた。結果として生じる反応混合物を一晩、室温で撹拌した。溶媒の除去後、生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 412(MH)
【0483】
実施例56:(R)−3−(3,4−ビス((イソプロピルアミノ)メチル)ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0484】
【化97】
【0485】
生成物を、実施例55に記載の同じ反応において調製した。生成物を逆相HPLCによって精製し、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 454(MH)
【0486】
実施例57:(R)−3−(2−(4−(2−アミノエチルアミノ)フェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0487】
【化98】
【0488】
工程1:2−(4−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)フェニル)酢酸の合成。
メタノール(10mL)中の2−(4−アミノフェニル)酢酸(600mg)に、tert−ブチル2−オキソエチルカルバマート(800mg)とナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.3g)を加えた。結果として生じる反応混合物を一晩、室温で撹拌した。その後、溶媒を減圧下で除去した。そして、水を加え、EtOAcで抽出した。有機相を乾燥し、濃縮した。残留物を、20mLのジオキサンと20mLのHOの中で溶解した。この溶液に、ジ−tert−ブチル重炭酸塩(1.3g)とNaCO(936mg)を加えた。結果として生じる反応混合物を一晩、室温で撹拌した。溶媒の除去後、残留物を逆相クロマトグラフィーによって精製して、酸(0.5g)を得た。
【0489】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(4−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)フェニル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例36の工程10に記載の手順に従い、[(1S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−クロロ−エチル]ボロン酸(+)ピナンジオールエステルと、2−(4−(tert−ブトキシカルボニル(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)フェニル)酢酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 806.1(MH)
【0490】
工程3:(R)−3−(2−(4−(2−アミノエチルアミノ)フェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(4−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)フェニル)アセトアミノ)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 384(MH)
【0491】
実施例58:(R)−3−(2−(3,4−ビス(2−アミノエトキシ)フェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0492】
【化99】
【0493】
工程1:2−(3,4−ビス(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エトキシ)フェニル)酢酸の合成。
DMF(10mL)中のメチル2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アセテート(1.0g)に、tert−ブチル2−ブロモエチルカルバマート(2.7g)とKCO(1.7g)を加えた。結果として生じる反応混合物を一晩、60℃で撹拌した。水を加え、水相をEtOAcで抽出した。その後、有機相を乾燥し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。生成物を、モノ−アルキル化とビス−アルキル化の混合物として得た。その後、混合物をMeOHとTHF(10mL、1:1)の中で溶解し、1N NaOHを加えた。結果として生じる反応混合物を一晩、室温で撹拌した。1N HClを加えて溶液を酸性化した。水相をEtOAc(3×)で抽出した。有機相を組み合わせ、乾燥し、濃縮した。表題生成物を、逆相クロマトグラフィー精製(0.5g)によって得た。
【0494】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(3,4−ビス(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エトキシ)フェニル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例36の工程10に記載の手順に従い、[(1S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−クロロ−エチル]ボロン酸(+)ピナンジオールエステルと、2−(3,4−ビス(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エトキシ)フェニル)酢酸から調製した。未精製の生成物を、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc、2:1乃至1:2)上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0495】
工程3:(R)−3−(2−(3,4−ビス(2−アミノエトキシ)フェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(3,4−ビス(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エトキシ)フェニル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 444(MH)
【0496】
実施例59:(R)−3−(2−(4−(2−アミノエトキシ)−3−ヒドロキシフェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0497】
【化100】
【0498】
(R)−3−(2−(4−(2−アミノエトキシ)−3−ヒドロキシフェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
2−(4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エトキシ)−3−ヒドロキシフェニル)酢酸を、実施例58の工程1に記載の反応から調製した。(R)−3−(2−(4−(2−アミノエトキシ)−3−ヒドロキシフェニル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸を、実施例58の工程2と3に記載の手順に従って得た。生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 401(MH)
【0499】
実施例60:(R)−3−(2−(6−(2−アミノエチルアミノ)ピリジン−3−イル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0500】
【化101】
【0501】
工程1:メチル2−(6−クロロピリジン−3−イル)アセテートの合成。
MeOHの撹拌溶液(25mL)に、塩化アセチル(3.5mL)をゆっくり加えた。30分後、2−(6−クロロピリジン−3−イル)酢酸(2.5g)を加え、結果として生じる反応混合物を2時間室温で撹拌した。その後、溶媒を取り除いた。残留物をEtOAcの中で溶解し、10%のNaHCOで洗浄した。有機相を乾燥し、濃縮して、生成物(2.5g)を得た。
【0502】
工程2:2−クロロ−5−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ピリジン 1−オキシドの合成。
DCM(100mL)中のメチル2−(6−クロロピリジン−3−イル)アセタート(2.5g)に、mCPBA(4.6g)を加えた。結果として生じる反応混合物を4時間、室温で撹拌した。有機相を飽和NaHCOで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。未精製の生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、表題生成物(2.5g)を得た。
【0503】
工程3:2−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルアミノ)−5−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ピリジン 1−オキシドの合成。
t−BuOH(50mL)中の2−クロロ−5−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ピリジン 1−オキシド(2.5g)に、DIEA(3.4mL)とtert−ブチル2−アミノエチルカルバマート(3.0g)を加えた。結果として生じる反応混合物を2日間、80℃で撹拌した。その後、溶媒を取り除き、残留物を逆相クロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物(1.3g)を得た。
【0504】
工程4:2−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)−5−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ピリジン 1−オキシドの合成。
DCM(20mL)中の2−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルアミノ)−5−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ピリジン 1−オキシド(1.3g)に、ジ−tert−ブチル重炭酸塩(1.7g)、TEA(1.2mL)、及びDMAP(0.1mg)を加えた。結果として生じる反応混合物を一晩、室温で撹拌した。溶媒を取り除き、残留物を更に精製することなく残基を次の工程で使用した。
【0505】
工程5:2−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)−5−(カルボキシメチル)ピリジン 1−オキシドの合成。
MeOH/THFの混合物(20mL、1:1)中の、工程4の2−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)−5−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ピリジン 1−オキシドに、1N NaOHを加えた。反応混合物を一晩、室温で撹拌した。1N HClを加えて、溶液をpH4に酸性化した。水相をEtOAc(3×)で抽出した。組み合わせた有機相を乾燥し、濃縮した。その後、残留物を逆相クロマトグラフィーによって精製して、生成物(1.4g)を得た。
【0506】
工程6:2−(6−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)ピリジン−3−イル)酢酸の合成。
THF(10mL)と飽和NHCl(10mL)の混合物の中の、2−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)−5−(カルボキシメチル)ピリジン 1−オキシド(0.78g)に、亜鉛末(0.65g)を加えた。反応混合物を一晩、室温で撹拌した。そして、EtOAcを加え、水で洗浄した。有機相を乾燥し、濃縮して、所望の生成物(0.5g)を得た。
【0507】
工程7:tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(6−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)ピリジン−3−イル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
実施例36の工程10に記載の手順に従い、[(1S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−クロロ−エチル]ボロン酸(+)ピナンジオールエステルと、2−(6−(tert−ブトキシカルボニル(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)ピリジン−3−イル)酢酸から調製した。未精製の生成物をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 807.1(MH)
【0508】
工程8:(R)−3−(2−(6−(2−アミノエチルアミノ)ピリジン−3−イル)アセトアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(6−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)ピリジン−3−イル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 385(MH)
【0509】
実施例61:(R)−2−(2−アミノエチルアミノ)−5−(2−(8−カルボキシ−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−3−イルアミノ)−2−オキソエチル)ピリジン 1−オキシド
【0510】
【化102】
【0511】
(R)−2−(2−アミノエチルアミノ)−5−(2−(8−カルボキシ−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−3−イルアミノ)−2−オキソエチル)ピリジン 1−オキシドの合成。
実施例60の工程7と8に記載の同じ手順に従い、2−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)−5−(カルボキシメチル)ピリジン 1−オキシド(実施例60の工程5)から調製した。生成物を逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 401(MH)
【0512】
実施例62:(R)−3−(5,6−ビス(アミノメチル)ニコチンアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸
【0513】
【化103】
【0514】
工程1:5,6−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ニコチン酸の合成。
フラスコ中のメチル5−ブロモ−6−クロロニコチナート(1.1g)に、カリウム・t−ブトキシカルボニル・アミノ・メチル・トリフルオロボラート(2.2g)、KCO(3.62g)、及びXPhos−Pd−G2(500mg)を加えた。混合物をアルゴンで3回フラッシングした。t−BuOHとHOの混合物(18mL、1:1)を加えた。反応混合物を一晩、80℃で撹拌した。反応物をEtOAcで希釈した。有機相を水とブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮した。生成物をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーによって得て、メチル5,6−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ニコチナート(0.1g)を得た。実施例60の工程5に記載の手順に従い、エステルを酸へと加水分解した。
【0515】
工程2:tert−ブチル3−((2R)−2−(5,6−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ニコチンアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートの合成。
tert−ブチル3−((2R)−2−(2−(6−(tert−ブトキシカルボニル(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル)アミノ)ピリジン−3−イル)アセトアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアート。
実施例36の工程10に記載の手順に従い、[(1S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2−メトキシ−フェニル)−1−クロロ−エチル]ボロン酸(+)ピナンジオールエステルと、5,6−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ニコチン酸から調製した。未精製の生成物をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ESI−MS m/z 793.1(MH)
【0516】
工程3:(R)−3−(5,6−ビス(アミノメチル)ニコチンアミド)−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,2]オキサボリニン−8−カルボン酸の合成。
実施例3の工程2に記載の手順に従い、tert−ブチル3−((2R)−2−(5,6−ビス((tert−ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ニコチンアミド)−2−(2,9,9−トリメチル−3,5−ジオキサ−4−ボラ−トリシクロ[6.1.1.02,6]デカ−4−イル)エチル)−2−メトキシベンゾアートと、BClから調製した。未精製の生成物を、逆相分取HPLCによって精製して、凍結乾燥を使用して乾燥した。ESI−MS m/z 371(MH)
【0517】
【表1-1】
【0518】
【表1-2】
【0519】
【表1-3】
【0520】
【表1-4】
【0521】
【表1-5】
【0522】
【表1-6】
【0523】
【表1-7】
【0524】
【表1-8】
【0525】
【表1-9】
【0526】
【表1-10】
【0527】
【表1-11】
【0528】
【表1-12】
【0529】
【表1-13】
【0530】
実施例86:式I又は式Iaの化合物の非経口組成物
注入による投与に適した非経口の医薬組成物を調製するために、100mgの式Iまたは式Iaの化合物、又はそれらの水溶性の薬学的に許容可能な塩を、DMSOで溶解し、その後、10mLの0.9%生理食塩水溶液と混合する。混合物を、注入による投与に適した投与量単位で組み込む。
【0531】
実施例87:式I又は式Iaの化合物の経口組成物
経口送達用の医薬組成物を調製するために、400mgの式I又は式Iaの化合物と、以下の成分をよく混合し、単一の分割錠(single scored tablets)に圧縮した。
【0532】
【表2】
【0533】
以下の成分をよく混合し、ハードシェルのゼラチンカプセルに充填する。
【0534】
【表3】
【0535】
生物学的実施例
実施例13:β−ラクタマーゼ酵素アッセイのための実験方法。
β−ラクタマーゼの分離
SHV−5、Kpc−2、p99AmpC、及びOXA−1のβ−ラクタマーゼに関して、個々のβ−ラクタマーゼについての発現プラスミド(天然のタグ付きでないタンパク質として発現させられる)を持つE.coli BL21(DE3)の細菌細胞を、18−20時間、35℃で、100μg/mlnoカナマイシン選抜及び1×5052(0.5%グリセロール、0.05%グルコース、及び0.2%α−ラクトース)で補われた1Lのスーパーブロス(Teknova社 Hollister、CA)において増殖させた。細胞を、遠心分離(4,000xg、4℃、20分)により回収し、50mlの10mM HEPES pH7.5(最初の量の1/20)の中で再懸濁した。細胞を氷の上で、45Wで超音波処理(45秒に5パルス)によって溶解した。溶解物を4℃で40分間、10,000xgでの遠心分離によって清澄化した(clarified)。サンプルを、50mMの酢酸ナトリウム pH5.0中で5倍に希釈し、4℃に一晩貯蔵し、その後、それらを30分間10,000xgで遠心分離することで清澄化し、0.45μmのフィルタを介して濾過した。サンプルを、50mMの酢酸ナトリウム pH5.0で予め平衡化した、5mlのCapto Sセファロース陽イオン交換カラム(GE Healthcare)上に載せた。カラムを、5カラム分の容積の50mMの酢酸ナトリウム pH5.0で洗浄して、それにより結合していないタンパク質を洗い流し、NaCl(0から500mM)の直線勾配を使用してカラムからタンパク質(16CV以上)を溶出した。Centa(Calbiochem、Gibbstown、NJ)又はNitrocefin(EMD Millipore chemicals、Darmstadt、Germany)を、単離された画分における活性に関するレポーターβ−ラクタマーゼ基質として使用して、画分をβ−ラクタマーゼ活性についてアッセイした。活性画分を貯え、濃縮し、50mM Hepes pH7.5、150mM NaClで予め平衡化されたSuperdex75 分取グレード・ゲル濾過カラム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)でのゲル濾過クロマトグラフィーによって、更に精製した。活性画分を貯えて濃縮し、BCAタンパク定量(ThermoScientific、Rockford、IL)で定量化し、PBSに溶かし、使用するまで20%のグリセロール中に−80℃で冷凍した。
【0536】
Vim−2メタロβ−ラクタマーゼに関して、手順は以下の例外を除き同一であった:第1に、タンパク質が50mMの酢酸ナトリウムでpH5となるようにpH調整されず、第2に、クロマトグラフィー工程が、50mM Hepes pH7.5で予め平衡化された5mlのQセファロース陰イオン交換カラムに変更され、タンパク質の溶出がNaCl(0−600mM)の直線勾配によって達成された。最終的に、VIM−2の精製は、許容可能な純度(>90%)を達成するために、Qセファロース陰イオン交換カラム上で2回目の実行(3番目の工程)を必要とした。
【0537】
β−ラクタマーゼ阻害
β−ラクタマーゼ酵素の阻害のレベルを決定するために、化合物をpH7.4のPBS中で希釈して、それにより、96ウェル・マイクロタイタープレートにおいて100乃至0.00005μMの範囲の濃度を得た。希釈された酵素ストックの等容積を加えて、プレートを37℃で15分間インキュベートした。ニトロセフィンをp99 AmpC、VIM−2、及びOXA−1のために基質として使用し、100μMの終濃度で各ウェルに分注した。GEN5 ソフトウェアパッケージ(BiotekInstruments、Winooski VT)を用いる、Biotek Powerwave XS2マイクロプレート分光光度計を使用して、486nmの吸光度を、直ちに10分間モニターした。アナログの様式では、イミペネムをKpc−2のための基質として使用し、セフォタキシムをSHV−5のために使用し、その一方で、β−ラクタム環の加水分解後の吸光度の変化を、UV透過性の96−ウェル・マイクロタイターアッセイプレートにおいて、それぞれ300nmと260nmでモニターした。加水分解の最高速度を対照ウェル(阻害剤なし)のものと比較して、酵素阻害のパーセンテージを阻害剤の各濃度について計算した。基質の加水分解の初期速度を50%まで減少させるために必要とされる阻害剤の濃度(IC50)を、GraFit バージョン7 キネティックス・ソフトウェア・パッケージ(Erithacus Software、Surrey、UK)を使用して、486nmでのβ−ラクタマーゼの残存活性として計算した。
【0538】
実施例II:典型的な化合物による多様なβ−ラクタマーゼの阻害
上に記載された方法を用いて、本発明の実施例を、4つすべてのアンブラー分類(Ambler classifications)(AからD)によって、β―ラクタマーゼ酵素を阻害する能力について評価した。これらのアッセイの結果は、異なるサブタイプにわたって代表的な酵素に関する表2に要約され(SHV−5はアンブラー分類Aの拡張したスペクトルのβ−ラクタマーゼを示し、KPC−2は分類Aのカルバペネマーゼを示し、P99は染色体の分類CのAmpCを示し、OXA−1は分類Dのオキサシリナーゼを示し、VIM−2は、カルバペネマーゼ活性も有する分類Bの亜鉛依存性のメタロ−β−ラクタマーゼを示すことに留意されたい)、ここでAは10〜100μMのIC50を示し、Bは1〜10μMのIC50を示し、Cは0.1〜1μMのIC50を示し、Dは、<0.1μMのIC50を示す。NT=試験せず。
【0539】
【表4-1】
【0540】
【表4-2】
【0541】
【表4-3】
【0542】
実施例III:インビトロのβ−ラクタマーゼ阻害の抗菌性アッセイ
試験化合物が、β−ラクタマーゼ酵素を作るバクテリア菌株の増殖の阻害を強める能力を判定するために、古典的な細胞ベースのブロスマイクロ希釈MICアッセイを用いた。β−ラクタマーゼ酵素を作る6つの細菌株を使用した:E. coliは、分類Aの拡張したスペクトルのβ−ラクタマーゼ(ESBL)CTXM−15を発現し、E. cloacaeは、分類CのP99を発現し、K. pneumoniaeは、分類AのカルバペネマーゼKPC−2を発現し、P.aeruginosaは、分類BのカルバペネマーゼVIM−2を発現し、K.pneumoniaeは、分類AのカルバペネマーゼKPC−2及び分類BのカルバペネマーゼVIM−4を発現し、S.aureusは、分類AのペニシリナーゼPC−1を作る。アッセイを、陽イオンを調整したミュラー・ヒントン・ブロス(CAMHB、BD#212322、BD Diagnostic Systems、Sparks、MD)において行った。細菌株をCAMBHブロスにおいて3−5時間増殖させた。試験化合物を、32μg/mLから0.25μg/mlの終濃度範囲で、CAMHB中の2倍の連続希釈によってマイクロタイタープレートに加えた。ベータ−ラクタムを含むCAMHBのオーバーレイ(overlay)を、4μg/mlの最終静的濃度(final static concentration)で化合物に加えた。セフタジジム(CAZ, Sigma#C3809−1G, Sigma−Aldrich, St. Louis, MO)を、アンブラー分類AのESBL CTXM−15を発現するE.coli(MIC単独>128μg/mL)、及び分類CのP99を発現するE.cloacae(MIC単独=128μg/mL)のための、パートナー抗生物質として使用した。メロペネム(Mero, USP#1392454, U.S. Pharmacopeia, Rockville, MD)を、アンブラー分類AのカルバペネマーゼKPC−3を発現するK.pneumoniae(MIC単独>128μg/mL)、分類AのカルバペネマーゼVIM−2を発現するP.aeruginosa(MIC単独=16μg/mL)、及びアンブラー分類AのカルバペネマーゼKPC−2とアンブラー分類BのカルバペネマーゼVIM−4を発現するK.pneumoniae(MIC単独=16μg/mL)のための、パートナー抗生物質として使用した。ピペラシリン(Pip, Fisher#ICN15626801, MPBiomidicals, Solon, OH)を、分類AのペニシリナーゼPC−1を作るS.aureus(MIC単独=64μg/mL)のためのパートナー抗生物質として使用した。MIC読み出しによる試験化合物の滴定は、β−ラクタマーゼ酵素活性を十分に阻害し、且つベータ−ラクタムの内因性の抗菌活性を保護するために必要とされる、試験物質の濃度を示す。試験化合物の滴定に加えて、対照のベータ−ラクタムのパネルのMICも、細菌株が試験間で一貫して動いているのを確認するために試験される。一旦試験化合物と抗生物質を加えると、プレートはCLSIブロス微量希釈法(CLSI broth microdilution method)に従って播種され得る。播種後、プレートを16−20時間、37℃でインキュベートし、その後、試験化合物の最小発育阻止濃度(MIC)を視覚的に判定した。
【0543】
実施例IV:典型的な化合物のインビトロの抗菌活性
実施例IIIで上述した方法を用いて、式I又は式Iaに関する典型的な化合物を、β−ラクタム系抗生物質の存在下で、β−ラクタマーゼ産生菌の成長を阻害する能力について評価した。
【0544】
代表的な結果を表3に示し、ここで、Aは、>32μg/mLの典型的な化合物のβ−ラクタマーゼ阻害剤の存在下での、固定されたβ−ラクタム系抗生物質のMICを示し、Bは、8と32μg/mLの間の典型的な化合物のβ−ラクタマーゼ阻害剤の存在下でのMICを示し、Cは、≦4μg/mLの典型的な化合物のβ−ラクタマーゼ阻害剤の存在下でのMICを示す。NT=試験せず。
【0545】
【表5-1】
【0546】
【表5-2】
【0547】
【表5-3】
【0548】
【表5-4】
【0549】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され記載されている一方で、このような実施形態が、ほんの一例として提供されることは当業者に明白であろう。多数の変形、変化、及び置換は、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想到される。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内の方法及び構成がそれによって包含されることが、意図される。