特許第6346907号(P6346907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346907
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】オーバーフロー弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/04 20060101AFI20180611BHJP
【FI】
   F16K17/04 F
   F16K17/04 A
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-559437(P2015-559437)
(86)(22)【出願日】2014年2月15日
(65)【公表番号】特表2016-508587(P2016-508587A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】EP2014000419
(87)【国際公開番号】WO2014131495
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】102013003405.1
(32)【優先日】2013年2月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596055475
【氏名又は名称】ヴアブコ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】WABCO GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100062317
【弁理士】
【氏名又は名称】中平 治
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ディークマイヤー・ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・ハウケ
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−098837(JP,U)
【文献】 特開2004−340265(JP,A)
【文献】 実開昭53−017935(JP,U)
【文献】 米国特許第03770008(US,A)
【文献】 特開平09−209960(JP,A)
【文献】 特開2010−237862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00−1/54
F16K 17/00−17/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮バネ(28)によって予荷重を受けたピストン(26)を有し、このピストンが、長手方向中心軸(14)に沿って移動可能にオーバーフロー弁(10)のシリンダ(16,18)内に収容されているガス状の流体のためのオーバーフロー弁(10)において、
ピストン下側(40)に半径方向及び軸方向のシールをするためのシールリング(42)が配置されていること、シールリング(42)の半径方向外側(48)が、半径方向のプレス嵌めを形成しつつシリンダ(16,18)の内側に当接すること、シールリング(42)が、オーバーフロー弁(10)の閉鎖状態で、圧縮バネ(28)の予荷重によって中空シリンダ状の弁座(44)に当接すること、及び、シールリング(42)が、流体のための流路(84)を解放するために、流体の所定の限界圧力を上回った後のオーバーフロー弁(10)の開放状態で、リング間隙(82)を形成しつつ弁座(44)から持ち上げられていること、を特徴とするオーバーフロー弁。
【請求項2】
シールリング(42)の外側(48)が、ほぼ半円形の横断面形状を備えること、を特徴とする請求項1に記載のオーバーフロー弁。
【請求項3】
シールリング(42)の下側(50)の領域に、少なくとも部分的にリング溝(52)が形成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載のオーバーフロー弁。
【請求項4】
ピストン(26)が、長手方向中心軸(14)に対して同軸に形成された、半径方向外に向かって開放した少なくとも1つのリング溝(46)を備えること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオーバーフロー弁。
【請求項5】
シールリング(42)が、円形リング状に形成され、その半径方向内側に形成された円形の開口(54)によって、ピストン(26)の中空シリンダ状の突起(56)上に収容され、この突起(56)が、ピストン下側(40)の領域に形成され、ピストン(26)と一体的に結合されたピストンロッド(58)を同軸に包囲すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオーバーフロー弁。
【請求項6】
シールリング(42)の半径方向内側の開口(54)が、少なくとも部分的に楔状又は直方体状の隆起(60)によって包囲されていること、を特徴とする請求項5に記載のオーバーフロー弁。
【請求項7】
オーバーフロー弁(10)のシリンダが、オーバーフロー弁(10)のハウジング(12)のポット状の空所(16)によって構成されていること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオーバーフロー弁。
【請求項8】
オーバーフロー弁(10)のシリンダが、オーバーフロー弁(10)のハウジング(12)のポット状の空所(16)内へ挿入された中空シリンダ状のシリンダインサート(18)によって構成されていること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオーバーフロー弁。
【請求項9】
圧縮バネ(28)が、オーバーフロー弁(10)のハウジング(12)のカバー(36)内に配置されていること、及び、ピストン(26)が、圧縮バネ(28)によって軸方向に予荷重を受けるように配置され、圧縮バネ(28)の予荷重が、調整ネジ(34)によって調整可能であること、を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のオーバーフロー弁。
【請求項10】
シリンダインサート(18)が、圧縮バネ(28)から軸方向に離れたところにアバットメント部分(22)を備え、このアバットメント部分の前に、流体のための入口(62)を有する圧力制限装置(20)が接続されていること、を特徴とする請求項8に記載のオーバーフロー弁。
【請求項11】
ピストン(26)を伴ったシリンダインサート(18)と圧力制限装置(20)が、軸方向に相前後してハウジング(12)のポット状の空所(16)内に配置されていること、及び、圧縮バネ(28)を収容するための同様にポット状のカバー(36)が、ハウジング(12)のポット状の空所(16)を蓋状に閉鎖すること、を特徴とする請求項8又は10に記載のオーバーフロー弁。
【請求項12】
シールリング(42)が、水素化アクリロニトリルブタジエンゴムをベースにしたエラストマーから成ること、を特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のオーバーフロー弁。
【請求項13】
自動車の圧縮空気作動のブレーキシステム内での請求項1〜12のいずれか1項に記載のオーバーフロー弁の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮バネによって予荷重を受けたピストンを有し、このピストンが、長手方向中心軸に沿って移動可能にシリンダインサート内に収容されている、例えば自動車の圧縮空気作動のブレーキシステム内のガス状の流体のためのオーバーフロー弁に関する。
【背景技術】
【0002】
オーバーフロー弁は、圧縮空気技術において、例えば1つの配管内の圧力低下中に残りの圧縮空気システム内の圧力を維持するために、広範に使用される。独国特許出願公開第10 2010 047 401号明細書からは、例えば流体用の入口及び出口を有する、圧力制限弁として形成された弁が公知である。弁の必要な開放圧力が達成されるとすぐに、開放による流体の十分に支障のない貫流を可能にするために、ピストン状のシール体が、流体圧力の影響下で、バネ要素の復元力に抗して開放位置へ移動する。開放工程の過程で、流体圧力が作用するシール体の総有効面積が同時に拡大する。この増幅効果のために、弁の改善された、特に迅速な応答が得られる。特に、シール体が、中空シリンダ状の弁ハウジング内で傾き、これにより最悪の場合にはシリンダ内で引っ掛かり、これが、状況によってはオーバーフロー弁の機能不良を生じさせることが欠点である。更に、シリンダ壁に対するシール体の半径方向のシールが存在しないことに基づいて軸方向のシールが非封止状況である場合には極僅かなリークが生じ得る。
【0003】
更に、特別に形成された2つの別個のシールによるシリンダに対する弁体の軸方向及び半径方向のシールが行なわれ、これにより特に、部品数、組立費、構造サイズ、及びこれに伴うこのような圧力制限弁の総重量が比較的大きくなるオーバーフロー弁が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2010 047 401号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底にある課題は、低減された部品数とこれにより簡素化された構造的構成を有するこのようなオーバーフロー弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って本発明は、圧縮バネによって予荷重を受けたピストンを有し、このピストンが、長手方向中心軸に沿って移動可能にオーバーフロー弁のシリンダ内に収容されている、例えば自動車の圧縮空気作動のブレーキシステム内のガス状の流体のためのオーバーフロー弁に関する。提起した課題は、ピストンの下側に半径方向及び軸方向のシールをするためのシールリングが配置されていること、シールリングの半径方向外側が、半径方向のプレス嵌めを形成しつつシリンダの内側に当接すること、シールリングが、オーバーフロー弁の閉鎖状態で、圧縮バネの予荷重によって中空シリンダ状の弁座に当接すること、及び、シールリングが、流体のための流路を解放するために、流体の所定の限界圧力を上回った後のオーバーフロー弁の開放状態で、リング間隙を形成しつつ弁座から持ち上げられていること、によって解決される。
【0007】
この構成により、半径方向のシールと軸方向のシールの両方が、ただ1つのシールリングによって得られる。例えば“AirZet(登録商標)”リングの形態の半径方向のシールをするための、これまで必要な特別に形成された別のシールは省略され、これにより、オーバーフロー弁の構造的構成と組立が著しく簡素化され、製造コストが低減される。予め設定した圧力限界値を流体圧力が上回った時に、オーバーフロー弁は、流体が解放された流路を十分に支障なく貫流することができるその開放位置を占める。これに対して流体圧力が所定の圧力限界値を下回った時−この場合、適切な高さのヒステリシス値を設けることができる−には、オーバーフロー弁は、流路が遮断されたその閉鎖位置に切り替わる。別に以下で更に立ち入る、加えて、本発明の実施形態に従ってオーバーフロー弁のハウジングのポット状の空所内へ挿入することができるシリンダインサート(シリンダブッシュ)により、オーバーフロー弁のハウジングの製造精度への要求が、著しく低減される。
【0008】
オーバーフロー弁の好ましい形成の場合、シールリングの半径方向外側が、ほぼ半円形の横断面形状を備える。シールリングの外側の半円形の横断面形状により、シリンダインサートの内壁に対して比較的少ない接触面積が得られ、これにより、これら両摩擦相手の間の摩擦が低減され、オーバーフロー弁の応答特性が更に最適化されている。
【0009】
他の有利な発展形では、シールリングの軸方向下側の領域に、少なくとも部分的にリング溝が形成されている。これにより、特にシールリングが半径方向に若干過大寸法を有する場合に、取付け状態でシールリング内に、例えばその外側の領域内の摩耗のような生じ得る摩耗発生をシールリングの半径方向の膨張によって補償し、これによりオーバーフロー弁の寿命を向上させることを可能する半径方向の加圧もしくは荷重作用が生じる。
【0010】
他の形成によれば、ピストンが、長手方向中心軸に対して同軸に形成された、半径方向外に向かって開放した少なくとも1つのリング溝を備える。これにより、ピストンとシリンダインサートの間で有効な摩擦面が更に縮小され、オーバーフロー弁の応答特性が付加的に改善されている。これにより同時に、ピストンの質量を比較的小さくともつことができる。
【0011】
別の形成では、シールリングが、円形リング状に形成され、その半径方向内側に形成された円形の開口によって、ピストンの中空シリンダ状の突起上に収容され、この突起が、ピストン下側の領域に形成され、ピストンと一体的に結合されたピストンロッドを同軸に包囲する。これにより、シールリングは、オーバーフロー弁の長手方向中心軸に対して正確に調心され、同時に、ピストンにおけるシールリングの確実な機械的な座が付与されている。
【0012】
他の発展形では、シールリングの半径方向内側の開口が、少なくとも部分的に楔状又は直方体状の隆起によって包囲されている。この隆起は、組立状態で、実質的にピストンの突起に沿って軸方向に延在する。シールリングの半径方向内側の開口のこの機械的な周縁補強部により、ピストン下側のピストンの突起に対するシールリングの確実な固定座が付与されている。
【0013】
更に、圧縮バネが、オーバーフロー弁の場合によってはポット状のカバー内に配置されていること、及び、ピストンが、圧縮バネによって軸方向に予荷重を受けるように配置され、圧縮バネの予荷重が、圧縮バネに作用する調整ネジによって調整可能である。これにより、オーバーフロー弁が解放状態に移行する流体圧力の限界値を正確かつ無段階に調整することができる。
【0014】
その壁にピストンを半径方向に支持し、ピストンを移動時に軸方向にガイドするオーバーフロー弁のシリンダは、第1の実施形態によれば、オーバーフロー弁のハウジングの既に言及したポット状の空所によって構成することができる。これに対して選択的に、オーバーフロー弁のシリンダが、オーバーフロー弁のハウジングのポット状の空所内へ挿入されかつピストンをガイドする中空シリンダ状のシリンダインサートによって構成されている。この最後のバリエーションは、オーバーフロー弁のハウジングのポット状の空所の実質的に安価な加工を可能にする。
【0015】
形成に応じて、シリンダインサートが、圧縮バネから軸方向に離れたところにアバットメント部分を備え、このアバットメント部分の前に、流体のための入口を有する圧力制限装置が接続されている。この圧力制限装置により、オーバーフロー弁に最大に作用する流体圧力が制限され、これによりオーバーフロー弁及びオーバーフロー弁の後に配置された圧縮空気機器の個々の構成要素の機械的過負荷が確実に防止される。
【0016】
他の発展形によれば、ピストンを伴ったシリンダインサートと圧力制限装置が、軸方向に上下もしくは相前後してオーバーフロー弁のハウジングのポット状の空所内に配置され、圧縮バネを収容するための同様にポット状のカバーが、ハウジングのポット状の空所を蓋状に閉鎖する。これにより、省スペースの、実質的に長手方向に延在させたオーバーフロー弁の構造形態が得られ、この構造形態は、同時に、安価な組立を許容する。ハウジング内の空所は、好ましくは製造技術的に簡単で高精度で形成可能な段付き孔によって構成されている。
【0017】
他の形成に応じて、シリンダもしくはシリンダインサートは、流体のための少なくとも2つの出口を備える。これにより、排出すべき流体のための十分に大きい出口横断面が存在する。流体は、ガス状の媒体、特に空気である。これにより、オーバーフロー弁は、優先的に空気圧設備内で使用するために適している。
【0018】
最後に、シールリングが、例えば水素化アクリロニトリルブタジエンゴムをベースにしたエラストマーから成ることを指摘したい。好ましくは水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)が使用されることに基づいて、同時に弁座エラストマーの高い摩耗強度を備えつつオーバーフロー弁の抜群のシール作用が得られる。
【0019】
本発明を良好に理解するために、明細書に実施例の図面が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】閉鎖位置にある本発明によるオーバーフロー弁の縦断面図
図2】少なくとも部分的に開放された位置にある図1によるオーバーフロー弁
【発明を実施するための形態】
【0021】
例えば空気のような図してない好ましくはガス状の流体のためのオーバーフロー弁10は、特に段付き孔の形式で長手方向中心軸14に対して対称にハウジング12に形成されたポット状の空所16を有するハウジング12を有する。この空所16内に、シリンダインサート18と圧力制限装置20が軸方向に相前後して配置されている。この場合、シリンダインサート18は、ハウジング12のポット状の空所16の半径方向内側に向かって突出する段の半径方向外側に、圧力制限装置20の底から離れた端部の圧力制限装置近傍のそのアバットメント部分22によって取り付けられている。シリンダインサート18とハウジング12の空所16の間には、模範的に3つのOリング24,24’,24”が、シールのために配置されている。
【0022】
シリンダインサート18内には、長手方向に対して対称で実質的にシリンダ状のピストン26が、長手方向軸14に対して同軸に軸方向に移動可能に収容されている。ピストン26は、圧力制限装置20から離れたその端部において、圧縮バネ28によってバネ力を負荷される。圧縮バネ28の指示してない両端は、それぞれキャップ30,32で覆われている。上のキャップ30は、調整ネジ34に支持され、この調整ネジは、圧縮バネ28の機械的な予荷重をコントロールするために使用され、長手方向中心軸14を中心として回転可能に、蓋として使用される同様にポット状のカバー36内に収容されている。このポット状のカバー36により、ハウジング12の空所36は、バネ側を閉鎖されている。波状にされた横断面形状を有する下のキャップ32は、ピストン26の上側38に支持される。両キャップ30,32は、特に調整バネ34とピストン26の間に圧縮バネ28を位置固定及びガイドするために使用される。
【0023】
シリンダインサート18の利用は、確かに有利であるが、本発明により形成されたオーバーフロー弁10の機能性のために必ずしも必要でない。この構造形態は、ここでは模範的にしか図示されていない。
【0024】
半径方向外側のピストン下側40に、ほぼ円形リング状のシールリング42が当接する。シールリング42は、オーバーフロー弁10の図示した閉鎖状態で、圧縮バネ28の荷重作用に基づいて、シリンダインサート18のほぼ中空シリンダ状に形成された弁座44に押し付けられる。弁座44のシールリング42側の指示してない環状の上エッジは、好ましくはほぼ半円形の横断面形状を備える。シールリング42は、好ましくは強く負荷可能なエラストマーから、例えば水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(“HNBR”)から製造されている。
【0025】
シリンダインサート18内でのピストン26の滑り摩擦を更に低減するために、ピストン26に、長方形の横断面形状を有する好ましくは環状の半径方向外に向かって開放したリング溝46を形成することができる。
【0026】
シールリング42の半径方向外側48は、図2の図で、ほぼ半円形の横断面形状を備え、好ましくは若干半径方向のプレス嵌めを形成しつつシールをするためにシリンダインサート18の半径方向内側に当接する。
【0027】
更に、シールリング42の軸方向下側50の領域、即ちシールリング42のピストン26とは反対の側に、四角形の、しかしながら溝底の領域を湾曲させた横断面形状を有する小さい環状のリング溝52もしくは溝が形成されている。このリング溝52もしくは溝により、特にオーバーフロー弁10の開放状態で、取り付けられたシールリング42が若干半径方向に過大寸法を有する場合には、例えばシールリング42の外側48の摩耗のような特に生じ得る摩耗発生をシールリングの半径方向の膨張によって補償するために、シールリングの半径方向の荷重作用を生じさせることができる。この場合、半径方向の荷重作用は、特に作用する流体圧力によって惹起される。
【0028】
シールリング42の半円形の外側48は、シリンダインサート18と協働して、オーバーフロー弁10の半径方向のシールであり、これに対して、オーバーフロー弁10の軸方向のシールは、弁座44とのシールリング42の協働により実現されている。これにより、公知のオーバーフロー弁の場合にはさもなければ必要な付加的な半径方向のシールが省略されるが、このシールは、出願人が知るオーバーフロー弁の場合には、例えば“AirZet(登録商標)”リングの配置によって実現されている。
【0029】
シールリング42は、更に、半径方向内側に配置された円形の開口54を有し、この開口は、ピストン26の下側の中空シリンダ状の突起56に不動に装着され、この突起は、ピストン下側40の領域に存在し、ピストン26のチューブ状のピストンロッド58を包囲する。
【0030】
シールリング42の機械的安定性の更なる向上のため並びにピストン26の中空シリンダ状の突起56上の機械的座の最適化のため、シールリング42の円形の開口54は、図1及び2の図示した実施例では、環状の隆起60によって囲まれ、この隆起は、ここでは模範的に楔状の横断面形状を備え、その半径方向の厚さは、圧力制限装置20の方向に減少する。
【0031】
図してない流体の供給のため、圧力制限装置20は入口62を有し、流体の流入方向は、入口62内の小さい白の矢印で図示されている。シリンダインサート18のアバットメント部分22の領域に、圧力制限装置20に対応付けされた第1の出口64が設けられ、シリンダインサート18の弁座44の領域に、オーバーフロー機能に対応付けされた流体のための第2の出口66が設けられている。可能な流れ方向は、それぞれ小さい黒の矢印で図示されている。全部で4つの黒の矢印は、良好な図的明快さのために、符号を備えていない。言及した両出口64及び66に基づいて、オーバーフロー弁10から排出すべき流体のための十分な流れ横断面が付与されている。
【0032】
図2は、少なくとも部分的に開放された状態にある図1によるオーバーフロー弁を示す。オーバーフロー弁10は、更にまた長手方向中心軸14に対して中心に配置されたポット状の空所16を有するハウジング12を有し、空所内には、圧力制限装置20と、下側にアバットメント部分22が形成されたシリンダインサート18が収容されている。シリンダインサート18内には、圧縮バネ28によって予荷重を受けたピストン26が、長手方向中心軸14に対して移動可能に収容されている。図示してない流体は、更にまた圧力制限装置20の入口62を介して下からオーバーフロー弁10内へ流入する。
【0033】
図1の図とは異なり、図2のピストン26は、所定の限界値を上回る流体圧力に基づいて、圧縮バネ28のバネ力に抗して大きい白の矢印の方向に軸方向に移動されている。これにより、シールリング42は、弁座44から完全に持ち上げられている。これにより、シールリング42は、狭いリング間隙82を解放するので、流体は、多数の小さい黒の矢印によって図示したように流路74に沿って十分に支障なくオーバーフロー弁10貫流することができる。この場合、流体は、圧力制限装置20の領域の底側の入口62を経てオーバーフロー弁10内へ流入し、引き続き第1の出口64及び第2の出口66の領域内でこの出口から流出するために、実質的に小さい黒の矢印によって図解された流路84に沿ってオーバーフロー弁10を経て案内される。従って、流路84により、入口62は、オーバーフロー弁10の開放状態で、両出口64,66と接続されている。良好な図的明快さのために、流路84を示す多数の小さい黒の矢印は、一貫して符号84を備えてはいない。
【0034】
流体圧力が更に上昇すると、ピストン26は、圧力制限装置20がその最終位置に達し、シリンダインサート18内の第2の弁座を介して入口62を両出口64,66から切り離し、これにより出口64,66及びこれら出口と接続された配管内の圧力を所定の圧力に制限するまで、圧縮バネ28の方向に更に移動する。
【0035】
流体圧力が再び予め設定した限界値以下に低下する−この場合好ましくは振動発生を回避するために更にヒステリシス値を下回るべきである−と、前で説明した工程が逆転し、シールリング42が、圧縮バネ28の高いバネ力に基づいて再び弁座44に不動に当接することになり、これにより、オーバーフロー弁10は、閉鎖状態にある。オーバーフロー弁10のこの閉鎖状態で、流路84は、弁さ44に当接するシールリング42によって再び中断されているので、流体圧力は、オーバーフロー弁10が場合によっては新たにその開放位置へ切り替わるまで、新たに所定の限界値までに上昇することができる。
【0036】
ネジ内で回転可能にハウジング12の空所16のカバー36に配置された調整ネジ34により、圧縮バネ28の予荷重を微細に調整すること、及び、これによりオーバーフロー弁10を開放するための流体圧力の所定の限界値を正確に調整すること、ができる。
【符号の説明】
【0037】
10 オーバーフロー弁
12 ハウジング
14 長手方向中心軸
16 オーバーフロー弁のシリンダ、ハウジング内の空所
18 オーバーフロー弁のシリンダ、シリンダインサート
20 圧力制限装置
22 アバットメント部分
24,24’,24” Oリング
26 ピストン
28 圧縮バネ
30 上のキャップ
32 下のキャップ
34 調整ネジ
36 ハウジングのカバー
38 ピストン上側
40 半径方向外側のピストン下側
42 シールリング
44 弁座
46 ピストンの半径方向のリング溝
48 シールリングの外側
50 シールリングの下側
52 シールリングの下側のリング溝
54 シールリングの円形の開口
56 ピストンの中空シリンダ状の突起
58 ピストンロッド
60 シールリングの隆起
62 入口
64 第1の出口
66 第2の出口
80 矢印、ピストン26の軸方向の変位
82 流路内のリング間隙
84 開放位置の流路
図1
図2