特許第6346908号(P6346908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346908
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】統合された電子回路を有するダンパ
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/53 20060101AFI20180611BHJP
   F16F 9/46 20060101ALI20180611BHJP
   B60G 17/015 20060101ALI20180611BHJP
   F16F 9/50 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   F16F9/53
   F16F9/46
   B60G17/015 A
   F16F9/50
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-560364(P2015-560364)
(86)(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公表番号】特表2016-514239(P2016-514239A)
(43)【公表日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】US2014019534
(87)【国際公開番号】WO2014134500
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】61/770,426
(32)【優先日】2013年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/193,879
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505318721
【氏名又は名称】テネコ オートモティブ オペレーティング カンパニー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Tenneco Automotive Operating Company Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ブランケンシップ,デイヴィッド アール.
(72)【発明者】
【氏名】カスミルスキ,カール シー.
(72)【発明者】
【氏名】ダナウェイ,スコット エス.
(72)【発明者】
【氏名】パーンハウゼン,イェローン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ロースル,マシュー エル.
(72)【発明者】
【氏名】シェロスキー,マシュー アール.
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−099514(JP,A)
【文献】 特開昭61−266842(JP,A)
【文献】 米国特許第05996745(US,A)
【文献】 米国特許第05383679(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0038149(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0071772(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/029133(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00− 9/58
B60G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のダンパシステムであって、
電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバと、
電力ドライブ電子回路を有し、前記ショックアブソーバに電気接続された印刷回路板アセンブリであって、前記ショックアブソーバに配置された印刷回路板アセンブリと、
を含み、
前記ショックアブソーバは、ロッドガイドアセンブリと、前記ロッドガイドアセンブリを貫通するピストンロッドとを含み、
前記印刷回路板アセンブリは、前記ピストンロッドが、前記ロッドガイドアセンブリおよび前記印刷回路板アセンブリを貫通するように、環状形状を有し、前記ショックアブソーバのロッドガイドアセンブリ内に配置される、ダンパシステム。
【請求項2】
車両用のダンパシステムであって、
電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバと、
電力ドライブ電子回路を有し、前記ショックアブソーバに電気接続された印刷回路板アセンブリであって、前記ショックアブソーバに配置された印刷回路板アセンブリと、
を含み、
前記ショックアブソーバは、ロッドガイドアセンブリと、前記ロッドガイドアセンブリを貫通するピストンロッドとを含み、
前記印刷回路板アセンブリは、前記ピストンロッドとほぼ平行であるように、前記ショックアブソーバの前記ロッドガイドアセンブリ内に垂直に配置されるダンパシステム。
【請求項3】
車両用のダンパシステムであって、
電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバと、
電力ドライブ電子回路を有し、前記ショックアブソーバに電気接続された印刷回路板アセンブリであって、前記ショックアブソーバに配置された印刷回路板アセンブリと、
を含み、
前記ショックアブソーバは、圧力チューブおよび貯蔵チューブを含み、かつ、
前記印刷回路板アセンブリは、前記圧力チューブおよび貯蔵チューブ間に配置される、ダンパシステム。
【請求項4】
車両用のダンパシステムであって、
電気機械弁を含む電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバと、
電力ドライブ電子回路を有する、統合された電子システムと、
を含み、前記電力ドライブ電子回路は、前記電気機械弁に電気接続され、前記統合された電子システムは、前記ショックアブソーバと共に配置され、
前記ショックアブソーバは、圧力チューブおよび貯蔵チューブを含み、前記圧力チューブおよび前記貯蔵チューブは、貯蔵器チャンバを画定し、かつ、
前記統合された電子システムは、前記貯蔵器チャンバ内に配置される、ダンパシステム。
【請求項5】
前記電力ドライブ電子回路は、リードフレームを介して、前記電気機械弁に接続される、請求項に記載のダンパシステム。
【請求項6】
ハウジングをさらに含み、前記統合された電子システムは、前記ハウジング内に配置される、請求項に記載のダンパシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年2月28日に出願された米国特許出願第14/193,879号明細書に対する優先権を主張し、さらに、2013年2月28日に出願された米国仮特許出願第61/770,426号明細書の利益を主張するものである。上記出願の開示全体は、参照により本明細書に援用されるものとする。
【0002】
本開示は、車両のサスペンションシステムで使用する油圧ダンパまたはショックアブソーバに関する。より詳細には、統合された電子システムを有するダンパに関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションでは、必ずしも先行技術ではない、本開示に関連する背景情報が提示される。
【0004】
ショックアブソーバは、走行中に発生する望ましくない振動を吸収するために、自動車用サスペンションシステムと共に使用される。望ましくない振動を吸収するために、ショックアブソーバは、通常、自動車のばね上部分(ボディ)とばね下部分(サスペンション)との間に連結される。
【0005】
近年、車両は、電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバを含む電気的に調整可能な制振システムを装備することがある。そのような調整可能なショックアブソーバには、電気機械弁/アクチュエータが内部に配置されたものがある。車両内に配置された主制御ユニットは、電気機械弁の作動を制御することで、各調整可能なショックアブソーバの制振状態を制御するために使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
このセクションは、本開示の全体的な概要を提示しており、最大範囲の、またはすべての特徴部の包括的な開示ではない。
【0007】
本開示は、車両用のダンパシステムを規定したものである。ダンパシステムは、電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバと、印刷回路板アセンブリなどの統合された電子システムとを含む。統合された電子システムは、電力ドライブ電子回路を含み、ショックアブソーバに電気接続される。統合された電子システムはさらに、ショックアブソーバと共に配置される。
【0008】
本明細書に提示された説明から、さらなる適用可能分野が明らかになるであろう。この概要における説明および特定の例は、単に例示することを意図され、本開示の範囲を限定することを意図されたものではない。
【0009】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態を例示することのみを目的とし、すべての可能な実施例ではなく、本開示の範囲を限定することを意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示による、電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバおよびダンパモジュールを内蔵したダンパシステムを有する車両の図である。
図2】ダンパシステムの例の斜視図である。
図3】ダンパシステムのショックアブソーバの部分断面図である。
図4】統合された電子システムを収容するハウジングの拡大斜視図である。
図5】ダンパモジュールの例示的な機能ブロック図である。
図6】ショックアブソーバ内に配置された印刷回路板アセンブリ(PCBA)を示している。
図7】PCBAを有するロッドガイドアセンブリの拡大図の付いたダンパシステムの断面図である。
図8】PCBAの例示的なブロック図である。
図9】PCBAの内部環状配置を示している。
図10】PCBAの内部垂直配置を示している。
図11】PCBAの逆付けウェット配置(inverted−wet arrangement)を示している。
図12】PCBAの外部配置を示している。
図13】PCBAのキャップ配置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
対応する参照番号は、図面のいくつかの図全体にわたって対応する要素を示している。
【0012】
添付の図面を参照して、本開示が以下にさらに詳細に説明される。図1を参照すると、統合された電子システムを備えたダンパを有するサスペンションシステムを内蔵した車両10の例がここで提示されている。車両10は、リアサスペンション12、フロントサスペンション14、およびボディ16を含む。リアサスペンション12は、1対のリアホイール18を動作可能に支持するように構成された、横方向に延びるリアアクスルアセンブリ(図示せず)を有する。リアアクスルアセンブリは、1対のダンパシステム20および1対のスプリング22によってボディ16に取り付けられている。同様に、フロントサスペンション14は、1対のフロントホイール24を動作可能に支持する、横方向に延びるフロントアクスルアセンブリ(図示せず)を含む。フロントアクスルアセンブリは、1対のダンパシステム20により、および1対のスプリング26により、ボディ16に取り付けられている。
【0013】
ダンパシステム20は、車両10のばね下部分(すなわち、フロントサスペンション14およびリアサスペンション12)の、ばね上部分(すなわち、ボディ16)に対する相対運動を弱めるように機能する。車両10は、フロントおよびリアアクスルアセンブリを有する乗用車として図示されているが、ダンパシステム20は、それらに限定されるものではないが、非独立型フロントおよび/または非独立型リアサスペンションを内蔵した車両、独立型フロントおよび/または独立型リアサスペンションを内蔵した車両、あるいは当技術分野で公知の他のサスペンションシステムを含む他のタイプの車両、あるいは他のタイプの用途で使用することができる。さらに、ダンパシステム20はまた、すべてのホイール式および/または無限軌道式車両で使用することができる。例えば、ダンパシステム20は、オートバイおよび全地形車などの2または3ホイールタイプの車両で使用することができる。
【0014】
ここで図2〜3を参照すると、ダンパシステム20の例がさらに詳細に示されている。ダンパシステム20は、電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバ30(下記では「ショックアブソーバ30」とする)およびダンパモジュール(DM)32を含む。図3に示すように、ショックアブソーバ30は、2チューブ構成を有することができる。ショックアブソーバ30は、圧力チューブ36、ピストンアセンブリ38、ピストンロッド39、貯蔵チューブ40、およびベース弁アセンブリ42を含むことができる。
【0015】
本明細書で説明する例示的な実施形態では、ダンパシステム20は、2チューブの電気的に調整可能なショックアブソーバを含むとして説明および図示される。ダンパシステム20は、他のタイプの電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバを含むことができ、本明細書で説明するショックアブソーバに限定されないことが容易に理解される。例えば、ダンパシステム20は、単一チューブ構成、3チューブ構成、または当技術分野で公知の他の任意の適切なショックアブソーバ設計を有する、電気的に調整可能なショックアブソーバを含むことができる。さらに、以下の説明において、ショックアブソーバは、非倒立型ショックアブソーバとして、車両のばね上およびばね下部分に連結される。本開示は、車両のばね上およびばね下部分に連結される方法が異なる倒立型ショックアブソーバにさらに適用可能であることが容易に理解される。
【0016】
圧力チューブ36は、作動チャンバ44を画定する。ピストンアセンブリ38は、圧力チューブ36内にスライド可能に配置され、作動チャンバ44を上側作動チャンバ46と下側作動チャンバ48とに分割している。
【0017】
ピストンロッド39は、ピストンアセンブリ38に取り付けられ、上側作動チャンバ46と、圧力チューブ36の上側端を閉じるロッドガイドアセンブリ50とを貫通している。ピストンアセンブリ38とは反対側のピストンロッド39の端部は、車両10のばね上質量に固定されるように構成されている。
【0018】
ピストンアセンブリ38内の弁は、圧力チューブ36内でのピストンアセンブリ38の移動中に、上側作動チャンバ46と下側作動チャンバ48との間の流体の移動を制御する。ピストンロッド39は、上側作動チャンバ46を貫通し、下側作動チャンバ48を通らないため、圧力チューブ36に対するピストンアセンブリ38の移動により、上側作動チャンバ46で移動する流体の量と、下側作動チャンバ48で移動する流体の量とに差が生じる。移動流体は、ベース弁アセンブリ42、ピストンアセンブリ38、またはそれらの組み合わせを通って流れることができる。
【0019】
貯蔵チューブ40は、チューブ40および36間に配置された流体貯蔵器チャンバ52を画定するように圧力チューブ36を囲んでいる。貯蔵チューブ40の底端部は、車両10のばね下質量に連結することができるベースカップ54によって閉じられている。貯蔵チューブ40の上側端は、ロッドガイドアセンブリ50に取り付けられている。ベース弁アセンブリ42は、チャンバ48および52間の流体の流れを制御するために、下側作動チャンバ48と貯蔵器チャンバ52との間に配置されている。ショックアブソーバ30の長さが伸長すると、下側作動チャンバ48内の流体量を増量する必要がある。したがって、流体が、貯蔵器チャンバ52から、例えばベース弁アセンブリ42を通って下側作動チャンバ48に流れることができる。ショックアブソーバ30の長さが縮むと、余分な流体を下側作動チャンバ48から除去しなければならず、したがって、流体は、下側作動チャンバ48からベース弁アセンブリ42、ピストンアセンブリ38、またはそれらの組み合わせを通って貯蔵器チャンバ52に流れることができる。
【0020】
ショックアブソーバ30は、1つまたは複数の電気機械弁34を含むことができる。電気機械弁34は、デジタル弁、可変状態弁、または他の適切な電気機械弁とすることができる。電気機械弁34は、電気機械弁34の作動を制御するコイルを含むことができる。より詳細には、電力が電気機械弁34に供給されると、コイルは電気機械弁34を作動させる磁界を発生させる。電気機械弁34の作動により、ショックアブソーバ30内の流体の流れが制御される。例えば、電気機械弁34は、上側作動チャンバ46と貯蔵器チャンバ52との間の流体の流れを制御することができる。
【0021】
例示的な実施形態では、電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバは、電気機械弁34を有するとして設けられているが、本開示は、電気機械弁を必要としない電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバにも適用可能である。例えば、本開示は、磁性流体および電気粘性流体制振技術を使用する、電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバに適用可能である。
【0022】
図4〜5を参照すると、DM32の例が提示されている。DM32は、ハウジング100内でショックアブソーバ30に配置されている。DM32は、ショックアブソーバの制振特性を制御する。例えば、例示的な実施形態では、DM32は、ショックアブソーバ30内に配置された電気機械弁34の作動を制御することで、ショックアブソーバ30の制振特性を制御することができる。それに応じて、各ダンパシステム20は、下記にさらに詳細に説明するように、ショックアブソーバ30の作動を調整するDMを含む。
【0023】
DM32は、車両10に配置されたマスタモジュール90からダンパ設定を受信することができる。より詳細には、DM32は、通信ネットワークを介してマスタモジュール90に通信可能に接続されている。マスタモジュール90は、通信ネットワークを介してデータを電気信号として送る。電気信号は、アナログ信号、パルス幅変調(PWM)信号、CAN、LIN、または当技術分野で公知の他のタイプの信号/デジタル信号プロトコルとすることができる。ダンパ設定に基づき、DM32は、ショックアブソーバ30が目標制振状態で動作するように、ショックアブソーバ30内に配置された電気機械弁34を制御する。
【0024】
図5を参照すると、ここでDM32の例が提示されている。DM32は、信号モジュール102、制振状態モジュール104、コイル励磁モジュール106、および診断モジュール108を含む。信号モジュール102は、マスタモジュール90などのDM32の外部にある装置から受信した電気信号を復号する。例えば、信号モジュール102は、マスタモジュール90からダンパ設定を受信する。信号モジュール102はまた、DMの外部にある装置にデータを送ることもできる。例えば、信号モジュール102は、診断モジュール108によって検出された障害に関するデータを送ることができる。信号モジュール102は、スイッチなどのDM32の外部にある他の装置から電子信号を受信することができ、マスタモジュール90に限定されないことが容易に理解される。
【0025】
制振状態モジュール104は、信号モジュール102から受信したデータに基づき、ショックアブソーバ30を目標制振状態で動作させるための制御動作を定める。例えば、ダンパ設定に基づき、制振状態モジュール104は、ショックアブソーバ30の制振状態を定め、次いで、ショックアブソーバ30を、定めた制振状態で動作させるために、電気機械弁34の作動を制御する。同様に、複数の電気機械弁が、ショックアブソーバ30内に配置されている場合に、制振状態モジュール104は、各弁34の適切な励磁/非励磁を決定する。
【0026】
制振状態モジュール104は、コイル励磁モジュール106に制御信号を提供し、コイル励磁モジュール106は、それに応じて、電気機械弁34のコイルに供給される電力を制御する。より詳細には、コイル励磁モジュール106は、下記に説明するように、コイルドライバに対する入力を定める。
【0027】
診断モジュール108は、任意の障害/不具合があるかどうかについて、コイル励磁モジュール106および電気機械弁34の動作を監視する。障害が検出された場合、診断モジュール108は、制振状態モジュール104に通知することができる。次いで、制振状態モジュール104は、ショックアブソーバ30を所定の動作状態に制御することができる。
【0028】
上記のように、障害に関する情報は、DM32の外部にある装置に送ることもできる。例えば、診断モジュール108は、障害に関するデータを信号モジュール102に送ることができ、信号モジュール102は、マスタモジュール90にそのデータを送る。
【0029】
動作時、DM32は、電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバ30の制振状態を制御する。DM32は、統合された電子システムとしてハウジング100内に配置される。特に、図6〜7に示すように、ショックアブソーバ30は、印刷回路板アセンブリ(PCBA)200を含む。PCBA200は、ショックアブソーバ30に配置され、ハウジング100内に配置することができる。例示的な実施形態では、PCBA200は、ロッドガイドアセンブリ50内に配置されている。PCBA200は、磁界を発生させるために、コイルドライバを介してコイルに電力を供給する、統合された電子システムである。磁界は、電気機械弁34(すなわち、油圧弁)を作動させ、それにより、ショックアブソーバ30の制振特性を調整する。
【0030】
図8を参照すると、PCBA200の例示的なブロック図が示されている。PCBAは他の構成要素を含むことができ、したがって、図示した構成要素および/または構成に限定されない。PCBA200は、マイクロコントローラ202、コイルドライバ204A、204B、204C、204D(下記では「コイルドライバ204A〜204D」)、および送受信機206を含む。マイクロコントローラ202は、DM32の機能を果たす。具体的には、マイクロコントローラ202は、信号モジュール102、制振状態モジュール104、コイル励磁モジュール106、および診断モジュール108の動作を実行する。
【0031】
コイル励磁モジュール106と同様に、マイクロコントローラ202は、各コイルドライバ204A〜204Dに対する入力を定める。電力ドライブ電子回路と同様に、コイルドライバ204A〜204Dは、例えば、マイクロコントローラ202からの入力(すなわち、信号)に基づき、電気機械弁への電流を制御する。例示的な実施形態では、4つのコイルドライバが示されているが、ショックアブソーバ30内に配置された電気機械弁/コイルの数に基づき、1つまたは複数のコイルドライバを使用できることが容易に理解される。特に、各電気機械弁は、専用のコイルドライバを有する。
【0032】
診断モジュール108と同様に、マイクロコントローラ202は、ダンパ設定を変えるコマンドに応答しながら、各電気機械弁34に電力を供給する電流を監視することができる。したがって、マイクロコントローラ202は、コイルドライバ204A〜204Dおよび電気機械弁コイルなどの電気構成要素が、適切に動作することを保証するために、電流レベルを監視することができる。電流レベルを所定の限界値と比較することで、コイルドライバ204A〜204D(すなわち、電力ドライブ電子回路)が、短絡、開回路、温度限界、または他の障害などの障害を受けないことが保証される。
【0033】
さらに、さらなるロジックを用いると、過渡電流波形(transient current profile)は、長期にわたって記録した場合に、電気機械弁の機械的状態を示すことができる。電気機械弁が通電状態から非通電状態およびその逆に変わるときに、電気機械弁のインダクタンスの変化が電流に影響を及ぼす。したがって、この電流波形の検証により、電気機械弁34の機械的状態および電気的状態を求めることができる。
【0034】
送受信機206は、LIN送受信機として設けることができる。送受信機は、DM32と、マスタモジュール90などのDM32の外部にある装置との間の通信リンクとして設けられた通信バスにPCBA200を通信可能に接続する。通信バスは、PCBA200の外部にあるLINバス209とすることができる。
【0035】
PCBA200は、ハイサイドドライバ208、PWM入力部210、タイマ212、電圧レギュレータ214、保護回路216、および温度センサ218を含むこともできる。ハイサイドドライバ208は、各コイルドライバ204A〜204Dに電気接続されている。ハイサイドドライバ208は、各コイルドライバ204A〜204Dへの電力供給を制御するマスタスイッチのように機能する。PWM入力部210は、PCBA200の外部に配置されたセンサ/モジュールから電子信号を受信するための代替通信リンク(図8では参照番号222)として設けることができる。タイマ212は、マイクロコントローラ202の動作を監視し、必要に応じて、マイクロコントローラ202をリセットする監視タイマとすることができる。
【0036】
温度センサ218は、PCBA200の周囲温度を検出する。温度センサ218は、情報をマイクロコントローラ202に提供する。次いで、マイクロコントローラ202は、検出された温度に基づき、ダンパシステム20の適切な動作を定めることができる。したがって、PCBA200に配置された構成要素は、限界温度から保護される。
【0037】
PCBA200は、車両用バッテリから電力を受け取る。電圧レギュレータ214は、車両用バッテリからの電力をPCBA200上の構成要素に適した電圧レベルに調整する。保護回路216は、バッテリ線負荷遮断過渡および逆電圧保護回路として設けることができる。保護回路は、PCBA200上の構成要素の適切な動作に損害を与える、またはその動作を妨害することがある電気過渡現象からPCBA200の構成要素を保護する。
【0038】
PCBA200は、コネクタ202(図2)を介して、電源と通信バスとを接続することができる。コネクタ202は、PCBA200を電源および通信バスにそれぞれ電気的にも、通信可能にも接続するように構成することができる。あるいは、PCBA200は、2つの別々のコネクタを介して接続することができる。一方は電源に接続するためであり、他方は通信バスに接続するためである。
【0039】
図9〜13を参照すると、PCBA200をショックアブソーバ30に統合する例示的な方法が提示されている。本開示は、図9〜13に示す構成に限定されず、PCBA200をショックアブソーバ30に統合するのに、他の適切な構成を採用できることが容易に理解される。
【0040】
図9を参照すると、内部環状配置300が提示されている。そのような配置では、PCBA200は、ロッドガイドアセンブリ50内に配置されている。特に、PCBA200は、リング状の構造を有するため、ピストンロッド39(図示せず)は、PCBA200を貫通することができる。環状配置は、図6および図7にも示されている。そのような構成では、PCBA200は、電磁弁34に直接接続される。特に、PCBA200に配置されたコイルドライバは、電磁弁34に直接接続され、それにより、電気コネクタの必要性をなくす。
【0041】
図10を参照すると、内部垂直配置320が提示されている。PCBA200は、垂直に(すなわち、ピストンロッド39と平行に)、かつロッドガイドアセンブリ50内に配置されている。PCBA200をロッドガイドアセンブリ50の側面に沿って配置することで、PCBA200は、もはや環状形状に限定されない。具体的には、PCBA200は、長方形または正方形形状を有することができる。リードフレーム250は、PCBA200に配置されたコイルドライバと電磁弁34との間を電気接続する。したがって、PCBA200は、リードフレーム250によって電磁弁34に接続される。
【0042】
図11を参照すると、逆付けウェット配置340が提示されている。PCBA200は、圧力チューブ36と貯蔵チューブ40との間に配置される。特に、2チューブタイプのショックアブソーバにおいて、PCBA200は、貯蔵器チャンバ52内に配置することができる。そのような構成は、PCBA200が油圧流体と接触することから、「ウェット」と記載される。明確にするために、圧力チューブ36および貯蔵チューブ40は図11に示されていない。図に示していないが、PCBA200は、油圧流体がPCBA200に流入するのを防止するハウジング内に配置されることが容易に理解される。
【0043】
リードフレーム250は、PCBA200を電気機械弁に接続する。例えば、リードフレーム250は、PCBA200に配置されたコイルドライバをロッドガイドアセンブリ50から最も遠い電磁弁34の端部に接続する。したがって、この構成は逆の配置を有する。
【0044】
図12を参照すると、外部配置360が提示されている。PCBA200は、ショックアブソーバ30の外側面に沿って配置されている。PCBA200は、ハウジング内に配置することができ、ハウジングは、雨、湿気、異物などの環境要素からPCBA200を保護する。この場合に、PCBA200はリードフレーム254を介して電気機械弁34に接続される。
【0045】
図13を参照すると、キャップ配置380が提示されている。PCBA200は、キャップ382内に配置されている。キャップ382は、ショックアブソーバ30の外部に配置されている。より詳細には、キャップ382は、ショックアブソーバ30の端部に取り付けられている。PCBA200は、キャップ382とショックアブソーバ30との間に画定されたギャップ385に配置されている。具体的には、PCBA200は、キャップとロッドガイド384と貯蔵チューブ40との間に配置することができる。
【0046】
キャップ382は、負荷支持構造であっても、または負荷支持構造でなくてもよい。特に、PCBA200は、リング状の構造を有するため、ピストンロッド39(図示せず)は、PCBA200およびキャップ382の両方を貫通することができる。さらに、PCBA200は、弁空洞386内に配置された電気機械弁に電気接続される。PCBA200と電気機械弁との間の距離に応じて、PCBA200は、電気機械弁に直接接続することができ、または、例えば、リードフレームを介して間接的に接続することができる。
【0047】
上記のように、本開示は、電磁弁を含まない電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバにも適用可能である。例えば、ショックアブソーバが、磁性流体および電気粘性流体制振技術を利用する場合、制振モジュールは、磁性流体および電気粘性流体制振技術を利用する公知の方法を使用して、ショックアブソーバを動作させることができる。相応して、電気機械弁ではなくて、PCBA200は、ショックアブソーバ内に配置されたコイルに供給される電流を制御する。
【0048】
上記のように、PCBA200は、磁界を発生させるために、コイルに電力を供給する、統合された電子システムである。磁界は、電気機械弁(すなわち、油圧弁)を作動させ、それにより、ショックアブソーバの制振特性を調整する。電子システムを電気的に調整可能な油圧式ショックアブソーバに統合することで、車両制振システム/サスペンションシステムの複雑さが軽減される。本質的に、各ダンパシステム20は、ショックアブソーバ30の制振状態を制御するためのそれぞれの電力ドライブ電子回路を含む。
【0049】
実施形態の前述の説明は、例示および説明のために提示された。実施形態は、網羅的であることを意図されておらず、または本開示を限定することも意図されていない。特定の実施形態の個々の要素または特徴部は、通常、その特定の実施形態に限定されるのではなく、具体的に図示または説明していなくても、適用可能な場合に、選択された実施形態において交換可能であり、使用することができる。同一のものを様々な方法で変えることもできる。そのような変形形態は、本開示からの逸脱とみなすべきではなく、そのような修正形態のすべては、本開示の範囲内に含まれることを意図されている。
【0050】
本願では、下記の定義を含めて、モジュールという用語は回路という用語で置き換えることができる。モジュールという用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル、アナログ、または混合アナログ/デジタルディスクリート回路、デジタル、アナログ、または混合アナログ/デジタル集積回路、組み合わせロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ(共有、専用、またはグループ)、プロセッサによって実行されるコードを格納するメモリ(共有、専用、またはグループ)、説明した機能を提供する他の適切なハードウェア構成要素、あるいはシステムオンチップなどにおける上記の一部またはすべての組み合わせを指す、それらの一部である、あるいはそれらを含むことができる。
【0051】
例示的な実施形態は、本開示が完全であるように提示され、当業者にその範囲を十分に伝えるであろう。本開示の実施形態の十分な理解をもたらすために、特定の構成要素、装置、および方法の例などの様々な特定の細部が説明された。特定の細部は使用される必要がなく、例示的な実施形態は多数の異なる形態で具現化でき、どれも本開示の範囲を限定すると解釈すべきでないことが当業者には明らかであろう。一部の例示的な実施形態では、公知のプロセス、公知の装置構造、および公知の技術が詳細に説明されていない。
【0052】
本明細書で使用した用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図されていない。本明細書では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が別途明示しない限り、さらに複数形を含むことを意図することができる。「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含むこと(including)」および「有すること(having)」という用語は包括的であり、したがって、決まった特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。
【0053】
要素が、他の要素に「載っている」、「係合している」、「連結されている」、または「接続されている」と言い表される場合に、要素は、他の要素に直接載ること、係合すること、連結されること、または接続されることが可能であり、あるいは介在する要素が存在してもよい。対照的に、要素が、他の要素に「直接載っている」、「直接係合している」、「直接連結されている」、または「直接接続されている」と言い表される場合に、介在する要素は存在することができない。要素間の関係を説明する他の文言も、同様に解釈されるべきである(例えば、「〜の間に」対「〜の間に直接」、「隣接する」対「直接隣接する」など)。本明細書では、「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連する列挙された物品の任意およびすべての組み合わせを含む。
【0054】
第1の、第2の、第3のなどの用語は、様々な要素および/または構成要素を説明するために、本明細書で使用することができるが、これらの要素および/または構成要素は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素および/または構成要素を他の要素および/または構成要素から区別するためだけに使用することができる。「第1の」、「第2の」などの用語、および他の数字用語は、本明細書で使用する場合、文脈によって明示されない限り、シーケンス、または順序を意味するものではない。したがって、説明する第1の要素または構成要素は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素または構成要素と称することができる。
【0055】
「内側」、「外側」、「下方」、「〜の下」、「下側」、「〜の上」、「上側」などの空間的相対用語は、図に示すように、1つの要素または特徴部の他の要素または特徴部に対する関係を説明するための記述を容易にするために、本明細書で使用することができる。空間的相対用語は、図に示された向きに加えて、使用時または動作時の装置の様々な向きを包含することを意図することができる。例えば、図の装置が反転した場合、他の要素または特徴部の「下」または「下方」として記載された要素は、他の要素または特徴部の「上」の位置に置かれる。したがって、「〜の下」という例示的用語は、上と下の両方の向きを包含することができる。装置は、それ以外に向けることができ(90°または他の向きに回転される)、本明細書で使用された空間的相対記述子は相応に解釈される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13