(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、特許文献1に記載の帯電防止靴の電気抵抗測定装置では、左右の帯電防止靴の電気抵抗をそれぞれ測定可能になっている。左右の帯電防止靴の電気抵抗を順番に測定すると、電気回路は簡素な構成で済むが、測定に時間を要してしまう。特に、
図15に示される静電靴の抵抗レンジの管理目標は、0.1M〜1000M[Ω]と比較的広いレンジになっている。このため、複数の抵抗レンジが切り替え可能な抵抗測定回路を用いて、測定レンジが低い抵抗値側から順に切り替えられて測定が行われる。したがって、測定対象の帯電防止靴の電気抵抗が含まれる抵抗レンジが探索されるまでに時間を要する場合がある。
【0008】
一方、時間短縮のために左右の帯電防止靴の電気抵抗を同時に測定可能にするためには、電気回路が複雑な構成となり、コストが上昇してしまう。
【0009】
上記特許文献1に記載の帯電防止靴の電気抵抗測定装置は、例えば半導体素子製造工場の入口に設置される。そして、帯電防止靴を着用した従業員は、測定を行って管理目標に適合していることが確認された後、工場に入っている。このため、電気抵抗の測定に時間を要すると、朝の出勤時には、多数の従業員が測定装置の前に並ぶこととなる。
【0010】
したがって、コストが上昇することなく、測定に長時間を要しない帯電防止靴の電気抵抗測定装置が望まれている。しかしながら、上記特許文献1に記載の電気抵抗測定装置では、この点が十分に検討されていない。
【0011】
本発明は、コストが上昇することなく、測定に過度の時間を要しない帯電防止靴の電気抵抗測定装置、測定方法及び測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面は、帯電防止靴の電気抵抗を測定する測定装置であって、前記帯電防止靴を両足に着用した被験者の身体の一部を接触させるための第1電極と、前記被験者の一方の足を載せるための第2電極と、下限抵抗値から上限抵抗値までの測定可能レンジ内において前記電気抵抗を測定する抵抗測定部と、前記測定可能レンジのうち前記電気抵抗が合格と判断される合格レンジを設定する設定部と、前記抵抗測定部を制御して、前記測定可能レンジから選択された第1初期レンジから前記第1電極と前記第2電極との間の第1電気抵抗の測定を開始する測定制御部と、を備え、前記測定制御部は、前記第1初期レンジを前記測定可能レンジのうち前記合格レンジ内から選択するレンジ選択部と、前記第1電気抵抗が前記合格レンジに含まれるか否かを判定する合格判定部と、を含むものである。
【0013】
上記構成によれば、下限抵抗値から上限抵抗値までの測定可能レンジ内において帯電防止靴の電気抵抗が抵抗測定部により測定される。測定可能レンジのうち電気抵抗が合格と判断される合格レンジが設定部により設定される。測定制御部により、測定可能レンジから選択された第1初期レンジから第1電極と第2電極との間の第1電気抵抗の測定が開始される。レンジ選択部により、第1初期レンジは、測定可能レンジのうち合格レンジ内から選択される。合格判定部により、第1電気抵抗が合格レンジに含まれるか否かが判定される。
【0014】
一般に、普通に使用されている帯電防止靴の電気抵抗は、合格レンジに含まれることが多いと考えられる。このため、合格レンジ内から第1初期レンジが選択されることから、第1電気抵抗が合格レンジに含まれると直ぐに判定されることが多い。また、一方の足に着用された帯電防止靴の電気抵抗が測定される。このため、両足に着用された帯電防止靴の電気抵抗が同時に測定される場合に比べて、構成が簡素化される。その結果、コストが上昇することなく、帯電防止靴の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。
【0015】
上記構成において、前記測定可能レンジは、N(Nは2以上の整数)個の抵抗レンジに区分されてもよい。前記設定部は、前記N個の抵抗レンジのうちから前記合格レンジとして少なくとも1個の抵抗レンジを設定してもよい。前記レンジ選択部は、前記設定部により前記合格レンジとして設定された前記少なくとも1個の抵抗レンジのうちの一の抵抗レンジを前記第1初期レンジとして選択してもよい。
【0016】
上記構成によれば、測定可能レンジがN(Nは2以上の整数)個の抵抗レンジに区分されている。N個の抵抗レンジのうちから合格レンジとして少なくとも1個の抵抗レンジが設定される。合格レンジとして設定された少なくとも1個の抵抗レンジのうちの一の抵抗レンジが第1初期レンジとして選択される。
【0017】
一般に、普通に使用されている帯電防止靴の電気抵抗は、合格レンジに含まれることが多いと考えられる。したがって、合格レンジとして設定された少なくとも1個の抵抗レンジのうちの一の抵抗レンジが第1初期レンジとして選択されることから、第1電気抵抗が合格レンジに含まれると直ぐに判定されることが多い。その結果、帯電防止靴の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。
【0018】
上記構成において、前記設定部は、前記N(Nは3以上の整数)個の抵抗レンジのうちから前記合格レンジとしてM(Mは3以上N以下の整数)個の抵抗レンジを設定してもよい。前記レンジ選択部は、前記M個の抵抗レンジのうち、電気抵抗が最も低い抵抗レンジ及び電気抵抗が最も高い抵抗レンジ以外の中間抵抗レンジを前記第1初期レンジとして選択してもよい。
【0019】
上記構成によれば、N(Nは3以上の整数)個の抵抗レンジのうちから合格レンジとしてM(Mは3以上N以下の整数)個の抵抗レンジが設定される。合格レンジとして設定されたM個の抵抗レンジのうち、電気抵抗が最も低い抵抗レンジ及び電気抵抗が最も高い抵抗レンジ以外の中間抵抗レンジが第1初期レンジとして選択される。
【0020】
一般に、普通に使用されている帯電防止靴の電気抵抗は、合格レンジとして設定されたM個の抵抗レンジのうちでも、中央の抵抗値に近いことが多いと考えられる。このため、中間抵抗レンジが第1初期レンジとして選択されることから、第1電気抵抗が中間抵抗レンジに含まれると直ぐに判定されることが多い。したがって、帯電防止靴の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。
【0021】
上記構成において、前記設定部は、前記N(Nは3以上の整数)個の抵抗レンジのうちから前記合格レンジとしてM(Mは3以上N以下の奇数)個の抵抗レンジを設定してもよい。前記レンジ選択部は、前記M個の抵抗レンジのうち中央の抵抗レンジを前記第1初期レンジとして選択してもよい。
【0022】
上記構成によれば、N(Nは3以上の整数)個の抵抗レンジのうちから合格レンジとしてM(Mは3以上N以下の奇数)個の抵抗レンジが設定される。合格レンジとして設定されたM個の抵抗レンジのうち中央の抵抗レンジが第1初期レンジとして選択される。
【0023】
一般に、普通に使用されている帯電防止靴の電気抵抗は、合格レンジとして設定されたM個の抵抗レンジのうちでも、中央の抵抗値に近いことが多いと考えられる。このため、中央の抵抗レンジが第1初期レンジとして決定されることから、第1電気抵抗が中央の抵抗レンジに含まれると直ぐに判定されることが多い。したがって、帯電防止靴の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。
【0024】
上記構成において、前記第1電気抵抗が含まれる抵抗レンジを判定するレンジ判定部をさらに備えてもよい。前記抵抗測定部は、前記レンジ選択部により選択された抵抗レンジである測定レンジごとに前記電気抵抗を測定してもよい。前記レンジ判定部は、前記第1電気抵抗が前記測定レンジに含まれるか否かを判定してもよい。前記レンジ選択部は、前記第1電気抵抗が前記測定レンジより高いと前記レンジ判定部により判定されると、現在の測定レンジより高い抵抗レンジを次の測定レンジとして選択し、前記第1電気抵抗が前記測定レンジより低いと前記レンジ判定部により判定されると、現在の測定レンジより低い抵抗レンジを次の測定レンジとして選択してもよい。
【0025】
上記構成によれば、第1電気抵抗が含まれる抵抗レンジがレンジ判定部により判定される。抵抗測定部において、レンジ選択部により選択された抵抗レンジである測定レンジごとに電気抵抗が測定される。第1電気抵抗が測定レンジに含まれるか否かがレンジ判定部により判定される。第1電気抵抗が測定レンジより高いとレンジ判定部により判定されると、現在の測定レンジより高い抵抗レンジが次の測定レンジとしてレンジ選択部により選択される。第1電気抵抗が測定レンジより低いとレンジ判定部により判定されると、現在の測定レンジより低い抵抗レンジが次の測定レンジとしてレンジ選択部により選択される。これによって、第1電気抵抗が測定レンジに含まれるか否かの判定が続けられることとなる。
【0026】
上記構成において、前記レンジ判定部は、前記上限抵抗値を含む最高抵抗レンジが前記測定レンジとして前記レンジ選択部により選択されているときに、前記第1電気抵抗が前記測定レンジより高いと判定すると、前記第1電気抵抗が前記最高抵抗レンジより高い抵抗レンジに含まれると判定してもよい。前記レンジ判定部は、前記下限抵抗値を含む最低抵抗レンジが前記測定レンジとして前記レンジ選択部により選択されているときに、前記第1電気抵抗が前記測定レンジより低いと判定すると、前記第1電気抵抗が前記最低抵抗レンジより低い抵抗レンジに含まれると判定してもよい。
【0027】
上記構成によれば、上限抵抗値を含む最高抵抗レンジが測定レンジとしてレンジ選択部により選択されているときに、第1電気抵抗が測定レンジより高いと判定されると、第1電気抵抗が最高抵抗レンジより高い抵抗レンジに含まれるとレンジ判定部により判定される。したがって、測定可能レンジより高い抵抗レンジまで判定することができる。また、下限抵抗値を含む最低抵抗レンジが測定レンジとしてレンジ選択部により選択されているときに、第1電気抵抗が測定レンジより低いと判定されると、第1電気抵抗が最低抵抗レンジより低い抵抗レンジに含まれるとレンジ判定部により判定される。したがって、測定可能レンジより低い抵抗レンジまで判定することができる。
【0028】
上記構成において、前記測定制御部は、前記第1電気抵抗が含まれる抵抗レンジが前記レンジ判定部により判定されると、前記第1電気抵抗の測定を終了してもよい。
【0029】
上記構成によれば、第1電気抵抗が含まれる抵抗レンジがレンジ判定部により判定されると、測定制御部による第1電気抵抗の測定が終了する。したがって、第1電気抵抗が合格レンジに含まれるかどうかに関係なく、第1電気抵抗が含まれる抵抗レンジを判定することができる。
【0030】
上記構成において、前記測定制御部は、前記第1電気抵抗が前記合格レンジに含まれないと前記合格判定部により判定されると、前記第1電気抵抗の測定を終了してもよい。
【0031】
上記構成によれば、第1電気抵抗が合格レンジに含まれないと合格判定部により判定されると、測定制御部による第1電気抵抗の測定が終了する。したがって、第1電気抵抗が含まれる抵抗レンジが判定されるまで測定が継続される場合に比べて、第1電気抵抗の測定を早く終了することができる場合がある。
【0032】
上記構成において、前記被験者の他方の足を載せるための第3電極をさらに備えてもよい。前記測定制御部は、前記第1電気抵抗の測定が終了すると、前記抵抗測定部を制御して、第2初期レンジから前記第1電極と前記第3電極との間の第2電気抵抗の測定を開始してもよい。前記レンジ選択部は、前記第1電気抵抗が含まれる抵抗レンジが前記レンジ判定部により判定されたときに前記測定レンジとして選択していた抵抗レンジを、前記第2初期レンジとして選択してもよい。前記合格判定部は、前記第2電気抵抗が前記合格レンジに含まれるか否かを判定してもよい。
【0033】
一般に、普通に使用されている場合には、左足の帯電防止靴の電気抵抗と右足の帯電防止靴の電気抵抗との間に大きな差はないことが多いと考えられる。したがって、第1電気抵抗が含まれる抵抗レンジがレンジ判定部により判定されたときに測定レンジとして選択されていた抵抗レンジが、レンジ選択部により第2初期レンジとして選択されることから、第2電気抵抗が第2初期レンジに含まれると直ぐに判定されることが多い。したがって、帯電防止靴の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。また、第1電気抵抗が含まれる抵抗レンジが判定されたときの測定レンジが、そのまま第2初期レンジとして使用されるため、制御構成の簡素化を図ることができる。
【0034】
また、一方の足に着用された帯電防止靴の電気抵抗が測定された後で、他方の足に着用された帯電防止靴の電気抵抗が測定される。このため、両足に着用された帯電防止靴の電気抵抗が同時に測定される場合に比べて、構成が簡素化されることから、コストを低減することができる。
【0035】
上記構成において、前記被験者の他方の足を載せるための第3電極をさらに備えてもよい。前記測定制御部は、第1電気抵抗の測定が終了すると、前記抵抗測定部を制御して、第2初期レンジから前記第1電極と前記第3電極との間の第2電気抵抗の測定を開始してもよい。前記レンジ選択部は、前記設定部により前記合格レンジとして設定された前記少なくとも1個の抵抗レンジのうちの一の抵抗レンジを前記第2初期レンジとして選択してもよい。前記合格判定部は、前記第2電気抵抗が前記合格レンジに含まれるか否かを判定してもよい。
【0036】
上記構成によれば、第1電気抵抗の測定が終了すると、第2初期レンジから第2電気抵抗の測定が開始される。合格レンジとして設定された少なくとも1個の抵抗レンジのうちの一の抵抗レンジが第2初期レンジとして選択される。一般に、普通に使用されている帯電防止靴の電気抵抗は、合格レンジに含まれることが多いと考えられる。このため、合格レンジとして設定された抵抗レンジが第2初期レンジとして選択されることから、第2電気抵抗が第2初期レンジに含まれると直ぐに判定されることが多い。したがって、帯電防止靴の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。
【0037】
本発明の他の局面は、帯電防止靴を両足に着用した被験者の身体の一部を接触させるための第1電極と、前記被験者の一方の足を載せるための第2電極と、下限抵抗値から上限抵抗値までの測定可能レンジ内において前記電気抵抗を測定する抵抗測定部と、前記測定可能レンジのうち前記電気抵抗が合格と判断される合格レンジを設定する設定部と、を備えた測定装置における測定方法であって、第1初期レンジを前記測定可能レンジのうち前記合格レンジ内から選択する選択ステップと、前記抵抗測定部を制御して、前記第1初期レンジから前記第1電極と前記第2電極との間の第1電気抵抗の測定を開始する制御ステップと、前記第1電気抵抗が前記合格レンジに含まれるか否かを判定する判定ステップと、を含むものである。
【0038】
上記構成によれば、選択ステップにおいて、第1初期レンジが、測定可能レンジのうち合格レンジ内から選択される。制御ステップにおいて、抵抗測定部が制御されて、第1初期レンジから第1電極と第2電極との間の第1電気抵抗の測定が開始される。判定ステップにおいて、第1電気抵抗が合格レンジに含まれるか否かが判定される。
【0039】
一般に、普通に使用されている帯電防止靴の電気抵抗は、合格レンジに含まれることが多いと考えられる。このため、合格レンジ内から第1初期レンジが選択されることから、第1電気抵抗が合格レンジに含まれると直ぐに判定されることが多い。また、一方の足に着用された帯電防止靴の電気抵抗が測定される。このため、両足に着用された帯電防止靴の電気抵抗が同時に測定される場合に比べて、構成が簡素化される。その結果、コストが上昇することなく、帯電防止靴の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。
【0040】
本発明のさらに他の局面は、帯電防止靴を両足に着用した被験者の身体の一部を接触させるための第1電極と、前記被験者の一方の足を載せるための第2電極と、下限抵抗値から上限抵抗値までの測定可能レンジ内において前記電気抵抗を測定する抵抗測定部と、前記測定可能レンジのうち前記電気抵抗が合格と判断される合格レンジを設定する設定部と、を備えた測定装置において実行される測定プログラムであって、前記測定装置のコンピュータに対して、第1初期レンジを前記測定可能レンジのうち前記合格レンジ内から選択する選択処理と、前記抵抗測定部を制御して、前記第1初期レンジから前記第1電極と前記第2電極との間の第1電気抵抗の測定を開始する制御処理と、前記第1電気抵抗が前記合格レンジに含まれるか否かを判定する判定処理と、を実行させるものである。
【0041】
上記構成によれば、選択処理により、第1初期レンジが、測定可能レンジのうち合格レンジ内から選択される。制御処理により、抵抗測定部が制御されて、第1初期レンジから第1電極と第2電極との間の第1電気抵抗の測定が開始される。判定処理により、第1電気抵抗が合格レンジに含まれるか否かが判定される。
【0042】
一般に、普通に使用されている帯電防止靴の電気抵抗は、合格レンジに含まれることが多いと考えられる。このため、合格レンジ内から第1初期レンジが選択されることから、第1電気抵抗が合格レンジに含まれると直ぐに判定されることが多い。また、一方の足に着用された帯電防止靴の電気抵抗が測定される。このため、両足に着用された帯電防止靴の電気抵抗が同時に測定される場合に比べて、構成が簡素化される。その結果、コストが上昇することなく、帯電防止靴の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。
【発明の効果】
【0043】
上述の技術によれば、コストが上昇することなく、帯電防止靴の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態が説明される。なお、各図では、同様の要素には同様の符号が付され、適宜、説明が省略される。
【0046】
図1は、本実施形態の帯電防止靴の電気抵抗測定装置10の外観を概略的に示す斜視図である。この帯電防止靴の電気抵抗測定装置10は、操作表示部11と、電極台12と、支持棒13とを含む。
【0047】
操作表示部11は、扁平な直方体形状を有し、電極台12に立設された支持棒13により支持されている。操作表示部11の表面には、測定電極130が露出している。電極台12の表面には、帯電防止靴を着用した被験者の左足を載せるための左足用電極150と、右足を載せるための右足用電極160とが、露出している。
【0048】
図2は、操作表示部11の上面を概略的に示す平面図である。
図3は、操作表示部11の下面を概略的に示す平面図である。
図4は、設定部190の設定内容を概略的に示す図である。
【0049】
操作表示部11の左側面には、電源スイッチ14が設けられている。この電源スイッチ14がオンにされると、電力供給を受けて、
図1に示される電気抵抗測定装置10が動作する。
【0050】
操作表示部11の上面には、左足用レンジ表示部20と、右足用レンジ表示部30と、合格レンジ表示部40と、判定結果表示部50と、測定電極130とが設けられている。
【0051】
左足用レンジ表示部20は、例えば赤色の発光ダイオード(LED)21〜26を含む。LED21〜26は、それぞれ、左足における測定中の抵抗レンジ(以下、「測定レンジ」とも称される)及び測定結果の抵抗レンジ(左足の帯電防止靴の電気抵抗が含まれる抵抗レンジ)を示す。右足用レンジ表示部30は、例えば赤色のLED31〜36を含む。LED31〜36は、それぞれ、右足における測定中の抵抗レンジ及び測定結果の抵抗レンジ(右足の帯電防止靴の電気抵抗が含まれる抵抗レンジ)を示す。合格レンジ表示部40は、例えば緑色のLED41〜45を含む。LED41〜45は、それぞれ、対応する抵抗レンジが合格レンジであることを示す。
【0052】
LED21,31,41は、それぞれ、0〜0.1M[Ω]の抵抗レンジを示す。LED22,32,42は、それぞれ、0.1M〜1M[Ω]の抵抗レンジを示す。LED23,33,43は、それぞれ、1M〜10M[Ω]の抵抗レンジを示す。LED24,34,44は、それぞれ、10M〜100M[Ω]の抵抗レンジを示す。LED25,35,45は、それぞれ、100M〜1000M[Ω]の抵抗レンジを示す。LED26,36は、それぞれ、1000M[Ω]を超える抵抗レンジを示す。
【0053】
判定結果表示部50は、帯電防止靴の電気抵抗の判定結果を示す。判定結果表示部50は、例えば赤色のLED51と、例えば緑色のLED52とを含む。LED51は、右足及び左足の帯電防止靴の少なくとも一方の電気抵抗が合格レンジから外れていることを示す。LED52は、右足及び左足の帯電防止靴の両方の電気抵抗が合格レンジに含まれていることを示す。
【0054】
操作表示部11の下面には、
図3に示されるように、設定部190が設けられている。設定部190は、本実施形態では例えば6個のディップスイッチを含む。ユーザによりディップスイッチのオンオフが操作されることにより、
図4に示されるように、電気抵抗の測定における合格レンジ等が設定される。なお、設定部190は、ディップスイッチに限られず、他のスイッチを含んでもよく、合格レンジ等を設定可能であればよい。
【0055】
図4において、ディップスイッチ1及び2がオンに設定されている場合は、0.1M[Ω]以下の抵抗レンジ(I)が合格レンジとされる。これは、
図15から分かるように、導電靴の判定に用いられる。この場合には、上限の電気抵抗の判定が無効とされる。
【0056】
ディップスイッチ1及び2の少なくとも一方がオフに設定されている場合は、合格レンジの下限の抵抗レンジが決められる。すなわち、ディップスイッチ1がオン、ディップスイッチ2がオフに設定されている場合は、0.1M[Ω]以下の抵抗レンジ(I)が合格レンジの下限とされる。ディップスイッチ1,2の両方がオフに設定されている場合は、0.1M〜1M[Ω]の抵抗レンジ(II)が合格レンジの下限とされる。これは、
図15から分かるように、静電靴の判定に用いられる。ディップスイッチ1がオフ、ディップスイッチ2がオンに設定されている場合は、1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)が合格レンジの下限とされる。
【0057】
ディップスイッチ3,4により、合格レンジの上限の抵抗レンジが決められる。すなわち、ディップスイッチ3がオン、ディップスイッチ4がオフに設定されている場合は、1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)が合格レンジの上限とされる。これは、
図15から分かるように、測定温度が23℃の特種静電靴の判定に用いられる。
【0058】
ディップスイッチ3,4の両方がオフに設定されている場合は、10M〜100M[Ω]の抵抗レンジ(IV)が合格レンジの上限とされる。これは、
図15から分かるように、測定温度が0℃の特種静電靴及び測定温度が23℃の一般静電靴の判定に用いられる。ディップスイッチ3がオフ、ディップスイッチ4がオンに設定されている場合は、100M〜1000M[Ω]の抵抗レンジ(V)が合格レンジの上限とされる。これは、
図15から分かるように、測定温度が0℃の一般静電靴の判定に用いられる。
【0059】
なお、後述のように、電気抵抗が100M〜1000M[Ω]の抵抗レンジ(V)より高いと判定されると、電気抵抗は1000M[Ω]を超える抵抗レンジ(VI)に含まれると判定される。そこで、
図4には、ディップスイッチの設定とは関係ないが、1000M[Ω]を超える抵抗レンジ(VI)が示されている。
【0060】
ディップスイッチ5により、判定ブザー210(
図5)の動作が設定される。ディップスイッチ5がオフの場合には、電気抵抗の測定結果が合格の場合に、判定ブザー210がオンにされる。一方、ディップスイッチ5がオンの場合には、電気抵抗の測定結果が不合格の場合に、判定ブザー210がオンにされる。
【0061】
以下では、
図4に記載の符号(I)〜(VI)を用いて、抵抗レンジ(I)〜(VI)と表される。なお、ディップスイッチ6は、本実施形態では、使用されていない。
【0062】
図2の操作表示部11は、帯電防止靴の電気抵抗の測定が終了した時点の一例を示している。合格レンジ表示部40では、LED42〜44が点灯している。したがって、
図2の測定では、合格レンジが0.1M〜1M[Ω]の抵抗レンジ(II)、1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)、及び10M〜100M[Ω]の抵抗レンジ(IV)の3個の抵抗レンジに設定されたことが分かる。
【0063】
左足用レンジ表示部20では、LED23が点灯している。したがって、左足の電気抵抗は、1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)に含まれていたことが分かる。右足用レンジ表示部30では、LED33が点灯している。したがって、右足の電気抵抗も、1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)に含まれていたことが分かる。このように、両足の電気抵抗が合格レンジに含まれているため、
図2では、合格を表すLED52が点灯している。
【0064】
図5は、
図1に示される帯電防止靴の電気抵抗測定装置10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図6は、電気抵抗の測定が行われるときの帯電防止靴を着用した被験者の状態を概略的に示す図である。
【0065】
図5において、制御部300は、メモリ310及び中央演算処理装置(CPU)320を備える。メモリ310は、例えば、データを一時的に保存するランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラムを保存するリードオンリーメモリ(ROM)等を含む。メモリ310には、例えば、抵抗測定回路180(後述)に含まれる増幅回路の誤差の補正値などが予め保存されている。メモリ310は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって構成されてもよい。
【0066】
CPU320(測定制御部の一例)は、メモリ310に保存されたプログラムを実行することにより、合格レンジ取得部321、レンジ選択部322、合格判定部323、電源切替部324、左右切替部325、出力制御部326、レンジ判定部327として機能する。なお、本実施形態では、制御部300は、CPUを備えているが、これに限られない。制御部300は、CPU以外の他のハードウェアを備えてもよく、同様の機能を果たすものであればよい。
【0067】
測定用電源110は、電気抵抗を測定するための電源である。測定用電源110は、予め定められた直流電圧(例えばDC20〜30Vの範囲内の電圧)を出力する。測定用電源110は、例えば商用電源から直流電圧を生成してもよい。
【0068】
測定電極130(第1電極の一例)は、
図1、
図2に示されるように、操作表示部11の表面に露出する電極である。
【0069】
図6に示されるように、帯電防止靴61を左足に着用し、帯電防止靴62を右足に着用した被験者63は、左足を左足用電極150(第2電極の一例)に載せ、右足を右足用電極160(第3電極の一例)に載せた状態で、測定電極130に手64で接触する。すると、被験者63及び帯電防止靴61を介して、測定電極130と左足用電極150とが電気的に接続される。また、被験者63及び帯電防止靴62を介して、測定電極130と右足用電極160とが電気的に接続される。
【0070】
したがって、制御部300は、被験者63及び帯電防止靴61の合成電気抵抗と、被験者63及び帯電防止靴62の合成電気抵抗とを測定することになる。ここで、人体の電気抵抗は、通常、1000[Ω]程度以下である。このため、上記各合成電気抵抗は、それぞれ、帯電防止靴61,62の電気抵抗に等しいと見なすことができる。
【0071】
図5に戻って、測定スイッチ140は、測定電極130の下部に設けられている。測定スイッチ140は、帯電防止靴61,62を着用した被験者63の手64により測定電極130が押されている間、オンにされる。電力供給スイッチ120は、電源切替部324により制御されて、測定用電源110から測定電極130への電力供給をオンオフする。電源切替部324は、測定スイッチ140のオンオフを検出する。電源切替部324は、測定電極130を被験者63が手64で押すことにより測定スイッチ140がオンにされている間、電力供給スイッチ120をオンにする。
【0072】
左右切替回路170は、左右切替部325からの左右切替信号LRに応じて、左足用電極150及び右足用電極160のいずれか一方を抵抗測定回路180に接続する。本実施形態では、左右切替部325は、被験者63が測定スイッチ140をオンにすると、左右切替信号LRを左右切替回路170に出力して、まず左足用電極150を抵抗測定回路180に接続する。左右切替部325は、左足に着用された帯電防止靴61の測定が終了すると、左右切替信号LRを左右切替回路170に出力して、右足用電極160を抵抗測定回路180に接続する。これによって、右足に着用された帯電防止靴62の測定が開始される。なお、左右の順番は、逆でもよい。
【0073】
抵抗測定回路180(抵抗測定部の一例)は、増幅回路を含む公知の回路である。抵抗測定回路180は、下限抵抗値から上限抵抗値までの測定可能レンジ内で選択された測定レンジごとに帯電防止靴61,62の電気抵抗を測定する。抵抗測定回路180は、帯電防止靴61,62の電気抵抗が測定レンジの内部に入っているか、測定レンジより高いか、測定レンジより低いかを測定する。抵抗測定回路180は、増幅回路のゲインを調整するための4個のフィードバック抵抗を備える。
【0074】
レンジ選択部322から出力される4ビットのレンジ選択信号RSによって、4個のフィードバック抵抗のうち使用されるフィードバック抵抗が選択される。すなわち、4個のうち使用されるフィードバック抵抗が選択されることにより、0.1M〜1M[Ω]の抵抗レンジ(II)、1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)、10M〜100M[Ω]の抵抗レンジ(IV)、100M〜1000M[Ω]の抵抗レンジ(V)の4個の抵抗レンジのいずれかが、測定レンジとして選択される。
【0075】
本実施形態では、
図4に示されるように、下限抵抗値から上限抵抗値までの測定可能レンジRG1は、抵抗レンジ(II)〜(V)であり、電気抵抗の判定が可能な判定レンジRG2は、抵抗レンジ(I)〜(VI)である。本実施形態において、0.1M[Ω]が下限抵抗値の一例であり、1000M[Ω]が上限抵抗値の一例である。
【0076】
抵抗測定回路180は、測定結果を表す直流電圧値VLの電圧信号VSをCPU320のAD入力端子に出力する。具体的には、抵抗測定回路180は、測定された電気抵抗が測定レンジの内部に入っているときは、V1≦VL≦V2の範囲の電圧値VLの電圧信号VSを出力する。抵抗測定回路180は、測定された電気抵抗が測定レンジより高いときは、VL<V1の範囲の電圧値VLの電圧信号VSを出力する。抵抗測定回路180は、測定された電気抵抗が測定レンジより低いときは、V2<VLの範囲の電圧値VLの電圧信号VSを出力する。電圧値V1,V2は、例えば0<V1<V2<5[V]の範囲の電圧値である。
【0077】
レンジ判定部327は、抵抗測定回路180から入力される電圧信号VSの電圧値VLに基づき、測定されている電気抵抗が測定レンジの内部に入っているか、測定レンジより高いか、測定レンジより低いかを判定する。レンジ判定部327は、判定結果をレンジ選択部322、合格判定部323及び出力制御部326に通知する。
【0078】
合格レンジ取得部321は、設定部190の各ディップスイッチのオンオフに基づき、ユーザにより設定された合格レンジを取得する。合格レンジ取得部321は、取得した合格レンジをレンジ選択部322及び合格判定部323に通知する。
【0079】
例えば
図2では、上述のように、LED42〜44が点灯している。すなわち、合格レンジの下限の抵抗レンジが0.1M〜1M[Ω]の抵抗レンジ(II)であり、合格レンジの上限の抵抗レンジが10M〜100M[Ω]の抵抗レンジ(IV)である。したがって、合格レンジ取得部321は、合格レンジとして、0.1M〜1M[Ω]、1M〜10M[Ω]、10M〜100M[Ω]の3個の抵抗レンジ(II)、(III)、(IV)を取得する。
【0080】
レンジ選択部322は、抵抗測定回路180における左足の帯電防止靴61の測定開始時の最初の測定レンジ(第1初期レンジの一例)を、合格レンジ内の抵抗レンジから選択する。レンジ選択部322は、現在の測定レンジを、レンジ判定部327及び出力制御部326に通知する。
【0081】
レンジ選択部322は、レンジ判定部327から通知された判定結果に基づき、抵抗測定回路180における測定レンジを選択する。すなわち、測定された電気抵抗が測定レンジより高いとレンジ判定部327により判定されると、レンジ選択部322は、現在の抵抗レンジより高い抵抗レンジを測定レンジとして選択する。一方、測定された電気抵抗が測定レンジより低いとレンジ判定部327により判定されると、レンジ選択部322は、現在の抵抗レンジより低い抵抗レンジを測定レンジとして選択する。
【0082】
また、左足に着用された帯電防止靴61(
図6)の測定の場合に、測定された電気抵抗が含まれる抵抗レンジがレンジ判定部327により判定されると、レンジ選択部322は、選択されている測定レンジをそのまま維持する。これによって、左足に着用された帯電防止靴61(
図6)の測定終了時の抵抗レンジが最初の測定レンジ(第2初期レンジの一例)として選択されて、右足に着用された帯電防止靴62(
図6)の測定が開始される。
【0083】
合格判定部323は、レンジ判定部327から通知された判定結果と、合格レンジ取得部321から通知された合格レンジとに基づき、測定された帯電防止靴61,62の電気抵抗が合格か不合格かを判定する。合格判定部323は、判定結果を出力制御部326に通知する。
【0084】
表示部200は、
図2に示される左足用レンジ表示部20と、右足用レンジ表示部30と、合格レンジ表示部40と、判定結果表示部50とを含む。なお、本実施形態では、表示部200は、LEDにより構成されているが、これに限られない。表示部200は、例えば液晶ディスプレイパネル又は有機ELパネルにより構成されてもよい。
【0085】
出力制御部326は、合格判定部323から通知された帯電防止靴61,62の電気抵抗の合格又は不合格の判定結果と、設定部190のディップスイッチ5のオンオフとに基づき、判定ブザー210のオンオフを制御する。
【0086】
出力制御部326は、表示部200の各LEDの点灯及び消灯を制御する。出力制御部326は、レンジ選択部322からの通知内容に基づき、左足用レンジ表示部20及び右足用レンジ表示部30の測定レンジに対応するLEDを点灯する。すなわち、出力制御部326は、レンジ選択部322により異なる抵抗レンジが測定レンジとして選択されると、点灯するLEDを切り替える。
【0087】
出力制御部326は、左足用レンジ表示部20及び右足用レンジ表示部30の測定結果の抵抗レンジに対応するLEDを点灯する。例えば、測定レンジに対応するLEDとしてLED23が点灯された状態で、左足の帯電防止靴61(
図6)の電気抵抗が1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)に含まれるか否かがレンジ判定部327によって判定される。そして、例えば
図2に示されるように、左足の帯電防止靴61(
図6)が1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)に含まれるとレンジ判定部327によって判定される。すると、出力制御部326は、測定レンジとして点灯していたLED23を、そのまま測定結果の抵抗レンジに対応するLEDとして点灯させる。
【0088】
また、例えば、測定レンジに対応するLEDとしてLED25が点灯された状態で、左足の帯電防止靴61(
図6)の電気抵抗が100M〜1000M[Ω]の抵抗レンジ(V)に含まれるか否かがレンジ判定部327によって判定される。そして、例えば、左足の帯電防止靴61(
図6)の電気抵抗が100M〜1000M[Ω]の抵抗レンジ(V)より高いとレンジ判定部327によって判定される。すると、出力制御部326は、測定レンジとして点灯していたLED25を消灯し、測定結果の抵抗レンジに対応するLEDとしてLED26を点灯させる。
【0089】
図5において、制御部300は、帯電防止靴61,62の電気抵抗の合格又は不合格の判定結果を示す2値の信号を外部に出力する構成を備えてもよい。あるいは、制御部300は、帯電防止靴61,62の電気抵抗の合格又は不合格の判定結果を含む通信信号として、例えばUSB規格に準拠した通信信号を外部に出力する構成を備えてもよい。制御部300がこれらの構成を備えることによって、例えばパーソナルコンピュータなどの外部の装置によって、帯電防止靴61,62の電気抵抗を管理することが可能になる。
【0090】
図7、
図8は、帯電防止靴の電気抵抗測定装置10の動作の一例を概略的に示すフローチャートである。
図9〜
図14は、
図7、
図8の動作中における各LEDの点灯状態を概略的に示す操作表示部11の平面図である。操作表示部11に設けられた電源スイッチ14(
図2)がオンにされると、帯電防止靴の電気抵抗測定装置10は、
図7、
図8に示される処理を開始する。
【0091】
図7のステップS1において、合格レンジ取得部321は、設定部190の各ディップスイッチのオンオフを検出する。合格レンジ取得部321は、検出した各ディップスイッチのオンオフに基づき、合格レンジを取得する。合格レンジ取得部321は、取得した合格レンジを出力制御部326に通知する。
図7では、合格レンジ取得部321は、合格レンジとして、0.1M〜1M[Ω]、1M〜10M[Ω]、10M〜100M[Ω]の3個の抵抗レンジ(II)、(III)、(IV)を取得したものとする。
【0092】
次に、ステップS2において、出力制御部326は、合格レンジ表示部40のLED41〜45のうち、合格レンジに対応するLEDを点灯する。上述のように、ステップS1において、0.1M〜1M[Ω]、1M〜10M[Ω]、10M〜100M[Ω]の3個の抵抗レンジ(II)、(III)、(IV)が取得されている。したがって、出力制御部326は、
図9に示されるように、LED42〜44を点灯する。
【0093】
次に、ステップS3において、電源切替部324は、測定スイッチ140が被験者63(
図6)によりオンにされたか否かを判断する。測定スイッチ140がオンにされていないと判断されると(ステップS3でNO)、処理はステップS1に戻る。そして、測定スイッチ140がオンにされるまで、ステップS1,S2が繰り返される。
【0094】
ステップS3において、測定スイッチ140がオンにされたと判断されると(ステップS3でYES)、ステップS4において、電源切替部324は、電力供給スイッチ120をオンにして、測定用電源110からの電力供給を開始する。
【0095】
次に、ステップS5において、レンジ選択部322は、レンジ選択信号RSを抵抗測定回路180に出力し、合格レンジのうち中央に近い抵抗レンジ、すなわち最も抵抗が高い抵抗レンジ及び最も抵抗が低い抵抗レンジ以外の中間抵抗レンジを最初の測定レンジとして選択する。ここでは、上述のように、合格レンジとして、0.1M〜1M[Ω]、1M〜10M[Ω]、10M〜100M[Ω]の3個の抵抗レンジ(II)、(III)、(IV)が設定されている。したがって、レンジ選択部322は、最初の測定レンジとして、1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)を選択する。
【0096】
次に、ステップS6において、左右切替部325は、左右切替信号LRを左右切替回路170に出力し、左足用電極150を抵抗測定回路180に接続する。次に、ステップS7において、出力制御部326は、現在の測定レンジに対応する左足用レンジ表示部20のLEDを点灯する。ここでは、1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)が最初の測定レンジとされているので、出力制御部326は、
図10に示されるように、LED23を点灯する。
【0097】
次に、ステップS8において、レンジ判定部327は、測定されている電気抵抗が測定レンジの内部に入っているか、測定レンジより高いか、又は測定レンジより低いかを判定する。測定されている電気抵抗が測定レンジより高いと判定されると(ステップS8で「より高い」)、処理は、ステップS9に進む。測定されている電気抵抗が測定レンジより低いと判定されると(ステップS8で「より低い」)、処理は、ステップS12に進む。測定されている電気抵抗が測定レンジの内部に入っていると判定されると(ステップS8で「内部」)、処理は、ステップS21(
図8)に進む。
【0098】
ステップS9において、レンジ選択部322は、現在の測定レンジが、測定可能レンジRG1(
図4)において上限抵抗値を含む最高の抵抗レンジか否かを判断する。測定可能レンジRG1(
図4)において上限抵抗値を含む最高の抵抗レンジは、本実施形態では100M〜1000M[Ω]の抵抗レンジ(V)である。
【0099】
現在の測定レンジが、最高の抵抗レンジでなければ(ステップS9でNO)、処理は、ステップS10に進む。一方、現在の測定レンジが、最高の抵抗レンジであれば(ステップS9でYES)、処理は、ステップS11に進む。
【0100】
ステップS10において、レンジ選択部322は、レンジ選択信号RSを抵抗測定回路180に出力して、測定レンジとして現在より1つ高い抵抗レンジを選択する。その後、処理は、ステップS7に戻る。
【0101】
ステップS9において、現在の測定レンジが、最高の抵抗レンジ(V)である(ステップS9でYES)ということは、ステップS9でNO、ステップS10、ステップS7、ステップS8で「より高い」のループが続いてきたということを意味する。つまり、出力制御部326は、
図10に示されるようにLED23を点灯した後、次にLED24を点灯し、ステップS9でYESとなった時点では、
図11に示されるように、LED25を点灯している。
【0102】
続くステップS11では、現在の測定レンジが、最高の抵抗レンジ、つまり100M〜1000M[Ω]の抵抗レンジ(V)であるため、測定可能レンジRG1内では、これ以上高い抵抗レンジはない。また、ステップS8で「より高い」と判断されているため、測定されている電気抵抗が、この最高の抵抗レンジ(V)より高い。一方、ステップS8で「より高い」と判断された時点では、
図11に示されるように、LED25が点灯されている。そこで、ステップS11において、出力制御部326は、
図12に示されるように、LED25を消灯して、LED26を点灯する。その後、処理は、ステップS21(
図8)に進む。
【0103】
ステップS12において、レンジ選択部322は、現在の測定レンジが、測定可能レンジRG1(
図4)において下限抵抗値を含む最低の抵抗レンジか否かを判断する。測定可能レンジRG1(
図4)において下限抵抗値を含む最低の抵抗レンジは、本実施形態では0.1M〜1M[Ω]の抵抗レンジ(II)である。
【0104】
現在の測定レンジが、最低の抵抗レンジでなければ(ステップS12でNO)、処理は、ステップS13に進む。一方、現在の測定レンジが、最低の抵抗レンジであれば(ステップS12でYES)、処理は、ステップS14に進む。
【0105】
ステップS13において、レンジ選択部322は、レンジ選択信号RSを抵抗測定回路180に出力して、測定レンジとして現在より1つ低い抵抗レンジを選択する。その後、処理は、ステップS7に戻る。
【0106】
ステップS12において、現在の測定レンジが、最低の抵抗レンジ(II)である(ステップS12でYES)ということは、ステップS12でNO、ステップS13、ステップS7、ステップS8で「より低い」のループが続いてきたということを意味する。つまり、出力制御部326は、
図10に示されるようにLED23を点灯した後、ステップS12でYESとなった時点では、LED22を点灯している。
【0107】
続くステップS14では、現在の測定レンジが、最低の抵抗レンジ、つまり0.1M〜1M[Ω]の抵抗レンジ(II)であるため、測定可能レンジRG1内では、これ以上低い抵抗レンジはない。また、ステップS8で「より低い」と判断されているため、測定されている電気抵抗が、この最低の抵抗レンジ(II)より低い。一方、ステップS8で「より低い」と判断された時点では、上述のように、LED22が点灯されている。そこで、ステップS14において、出力制御部326は、LED22を消灯して、LED21を点灯する。その後、処理は、ステップS21(
図8)に進む。
【0108】
図8のステップS21において、レンジ判定部327は、測定されている電気抵抗が含まれる抵抗レンジをメモリ310に保存する。ステップS8で「内部」と判定された場合には、ステップS21において、レンジ判定部327は、現在の測定レンジをメモリ310に保存する。この場合、出力制御部326は、現在の測定レンジ、つまり測定されている電気抵抗が含まれる抵抗レンジのLEDの点灯を維持する。
【0109】
一方、ステップS11でLED26が点灯された場合には、ステップS21において、レンジ判定部327は、測定されている電気抵抗が含まれる抵抗レンジとして、1000M[Ω]を超える抵抗レンジ(VI)をメモリ310に保存する。また、ステップS14でLED21が点灯された場合には、ステップS21において、レンジ判定部327は、測定されている電気抵抗が含まれる抵抗レンジとして、0.1M[Ω]以下の抵抗レンジ(I)をメモリ310に保存する。
【0110】
ステップS21において、左足の帯電防止靴61の電気抵抗(第1電気抵抗の一例)の測定が終了し、続くステップS22から、右足の帯電防止靴62の電気抵抗(第2電気抵抗の一例)の測定が開始される。ステップS22において、左右切替部325は、左右切替信号LRを左右切替回路170に出力し、右足用電極160を抵抗測定回路180に接続する。
【0111】
次に、ステップS23において、出力制御部326は、右足用レンジ表示部30の測定レンジに対応するLEDを点灯する。ここで、レンジ選択部322は、左足の帯電防止靴61の測定終了後、異なる抵抗レンジを測定レンジとして選択しておらず、左足の帯電防止靴61の測定終了時の測定レンジがそのまま維持されている。
【0112】
したがって、例えば
図2に示されるように、左足の帯電防止靴61の電気抵抗が1M〜10M[Ω]の抵抗レンジ(III)に含まれていた場合には、出力制御部326は、ステップS23において、LED33を点灯する。
【0113】
また、例えば
図12に示されるように、左足の帯電防止靴61の電気抵抗が1000M[Ω]を超える抵抗レンジ(VI)に含まれると判定されていた場合には、その時点での測定レンジは、100M〜1000M[Ω]の抵抗レンジ(V)である。したがって、出力制御部326は、ステップS23において、
図13に示されるように、LED35を点灯する。
【0114】
続くステップS24〜S30,S31は、左足が右足に置き換えられる以外は、ステップS8〜S14,S21と同じである。すなわち、ステップS27では、出力制御部326は、LED36を点灯する。また、ステップS30では、出力制御部326は、LED31を点灯する。
【0115】
ステップS32において、合格判定部323は、測定結果の合否を判定し、判定結果を出力制御部326に通知する。出力制御部326は、通知された判定結果に基づき、判定結果表示部50のLED51又はLED52を点灯する。
【0116】
例えば左足の帯電防止靴61及び右足の帯電防止靴62の両方の電気抵抗が合格レンジに含まれている場合には、
図2に示されるように、出力制御部326は、LED52を点灯する。一方、例えば右足の帯電防止靴62の電気抵抗が合格レンジに含まれていても、左足の帯電防止靴61の電気抵抗が合格レンジに含まれていなければ、出力制御部326は、
図14に示されるように、LED51を点灯する。
【0117】
次に、ステップS33において、電源切替部324は、測定スイッチ140のオンオフを判定する。電源切替部324は、測定スイッチ140がオフにされると、電力供給スイッチ120をオフにする。その後、処理はステップS1(
図7)に戻る。
【0118】
なお、
図7、
図8のステップの順番は一例である。本実施形態では、動作に支障のない限り、ステップの順番が入れ替えられてもよい。例えば、ステップS4〜S6は、互いに入れ替えられてもよい。
【0119】
以上説明されたように、本実施形態では、下限抵抗値から上限抵抗値までの測定可能レンジRG1が、0.1M〜1M[Ω]の抵抗レンジ(II)から100M〜1000M[Ω]の抵抗レンジ(V)までのN=4個の抵抗レンジに区分されている。また、電気抵抗を判定可能な判定レンジRG2は、0.1M[Ω]以下の抵抗レンジ(I)から1000M[Ω]を超える抵抗レンジ(VI)までの6個の抵抗レンジとなっている。
【0120】
また、本実施形態では、0.1M〜100M[Ω]の抵抗レンジ(II)、(III)、(IV)のM=3個の抵抗レンジが設定部190により合格レンジとして設定されている。この設定は、
図15から分かるように、測定温度が0℃の特種静電靴又は測定温度が23℃の一般静電靴の判定に使用される。
【0121】
また、本実施形態では、設定部190により合格レンジとして設定された抵抗レンジ(II)、(III)、(IV)のうち中央の抵抗レンジ(III)が最初の測定レンジとして選択されて、左足の帯電防止靴61の電気抵抗の測定が開始される。
【0122】
一般に、普通に使用されている帯電防止靴61の電気抵抗は、合格レンジ内の3個の抵抗レンジのうちでも、中央の抵抗値に近いことが多いと考えられる。したがって、本実施形態によれば、帯電防止靴61の電気抵抗が含まれる抵抗レンジが判定されるまでに必要な測定レンジの選択回数が少なくて済む。その結果、本実施形態によれば、左足の帯電防止靴61の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。
【0123】
また、本実施形態では、最初に測定された、左足の帯電防止靴61の電気抵抗が含まれている抵抗レンジが判定されたときに抵抗測定回路180において測定レンジとして選択されていた抵抗レンジが、次に実行される右足の帯電防止靴62の電気抵抗の測定における最初の測定レンジとして選択されている。
【0124】
一般に、普通に使用されている場合には、左足の帯電防止靴61の電気抵抗と右足の帯電防止靴62の電気抵抗との間に大きな差はないと考えられる。したがって、本実施形態では、右足の帯電防止靴62の電気抵抗が含まれる抵抗レンジが判定されるまでに必要な測定レンジの選択回数が少なくて済む。その結果、本実施形態によれば、右足の帯電防止靴62の電気抵抗の測定に過度の時間を要しないという利点がある。
【0125】
(変形された実施形態)
(1)上記実施形態では、設定部190により合格レンジとして設定された抵抗レンジ(II)、(III)、(IV)のうち中央の抵抗レンジ(III)が最初の測定レンジとして選択されているが、これに限られない。例えば抵抗レンジ(II)又は(IV)が最初の測定レンジとして選択されてもよい。この場合でも、合格レンジ以外の抵抗レンジが最初の測定レンジとして選択される場合に比べて、帯電防止靴の電気抵抗が含まれる抵抗レンジが見出されるまでに必要な測定レンジの選択回数が少なくて済むという利点がある。
【0126】
(2)上記実施形態では、設定部190は、合格レンジとして3個の抵抗レンジ(II)、(III)、(IV)を選択しているが、これに限られない。
【0127】
設定部190は、例えば、抵抗レンジ(II)、(III)、(IV)、(V)の4個の抵抗レンジを合格レンジとして設定してもよい。この設定は、
図15から分かるように、測定温度が0℃の一般静電靴の判定に使用される。
【0128】
この場合には、電気抵抗が最も低い抵抗レンジ(II)及び電気抵抗が最も高い抵抗レンジ(V)以外の中間抵抗レンジ(III)又は(IV)が最初の測定レンジとして選択されて、左足の帯電防止靴61の電気抵抗の測定が開始されてもよい。これによって、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0129】
あるいはまた、合格レンジの抵抗レンジ(II)又は(V)のいずれかが最初の測定レンジとして選択されて、左足の帯電防止靴61の電気抵抗の測定が開始されてもよい。これによって、上記変形された実施形態(1)と同様の効果が得られる。
【0130】
さらに、設定部190は、例えば、抵抗レンジ(II)、又は抵抗レンジ(III)、又は抵抗レンジ(IV)、又は抵抗レンジ(V)のいずれか1個の抵抗レンジを合格レンジとして設定してもよい。
【0131】
(3)上記実施形態では、最初に測定された左足の帯電防止靴61の電気抵抗が含まれていた抵抗レンジが、次の右足の帯電防止靴62の電気抵抗の測定における最初の測定レンジとして選択されているが、これに限られない。右足の帯電防止靴62の電気抵抗の測定も、左足の帯電防止靴61の電気抵抗の測定と同様に、合格レンジ内の抵抗レンジが最初の測定レンジとして選択されてもよい。この場合でも、合格レンジ以外の抵抗レンジが最初の測定レンジとして選択される場合に比べて、帯電防止靴の電気抵抗が含まれる抵抗レンジを見出すまでに必要な測定レンジの選択回数が少なくて済むという利点がある。
【0132】
(4)上記実施形態では、帯電防止靴61,62の電気抵抗が含まれる抵抗レンジがレンジ判定部327により判定されるまで、電気抵抗の測定が継続されているが、これに限られない。例えば、CPU320は、帯電防止靴61,62のいずれかの電気抵抗が合格レンジから外れると合格判定部323により判定された時点で、測定を終了してもよい。