特許第6346948号(P6346948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6346948流体を包装するための可撓性円筒状ポーチと剛性容器とを有する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346948
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】流体を包装するための可撓性円筒状ポーチと剛性容器とを有する装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20180611BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   B65D77/06 F
   B65D83/00 K
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-524863(P2016-524863)
(86)(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公表番号】特表2016-523781(P2016-523781A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】FR2014051571
(87)【国際公開番号】WO2015004360
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2017年5月11日
(31)【優先権主張番号】1356698
(32)【優先日】2013年7月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514268453
【氏名又は名称】ラブラボ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タベルレ,ジャン−フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ギー,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ピュヴィラン,パトリス
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−092523(JP,A)
【文献】 国際公開第03/011713(WO,A1)
【文献】 特開平08−058854(JP,A)
【文献】 特表2012−525304(JP,A)
【文献】 特開2013−056692(JP,A)
【文献】 特開2006−036218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/06
B65D 83/00
B65D 77/04
B65D 35/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性ボトル(10)内に配置されると共に、ポンプ又は弁(13)に関連付けられたリークタイトな可撓性ポーチ(1)を備える、流体製品を包装及び吐出するための装置であって、
当該ポーチは、円筒状に巻かれたシート(2)から成る円筒状壁部を有し、
当該シート(2)一方の部は、前記ボトル並びに前記ポンプ若しくは前記弁に取り付けられるリングを形成する第1のフランジ(4)にリークタイトに固定され、
当該第1のフランジ(4)は、プラスチック材料から成り、
前記シート(2)他方の部は、前記ポーチの底部を形成する第2のフランジ(3)にリークタイトに固定され、
当該第2のフランジ(3)は、プラスチック材料から成り、
前記第1及び第2のフランジ(3,4)は、環状側面を形成している隆起縁部(3A,4A)を有する中実のディスク又はリングを有し、
前記シート(2)一方の縁部は、前記第1のフランジ(4)の環状側面に固定されると共に、前記シート(2)の他方の縁部は、前記第2のフランジ(3)の環状側面に固定され、
記シート(2)は、プラスチック材料から作られた少なくとも1つの内側フィルムを有する多層シートであり、
前記第1のフランジ(4)の内面は、
前記第1のフランジ(4)の内面を全体的に覆う第1の被覆シート(20B)を有し、
前記第2のフランジ(3)の内面は、
前記第2のフランジ(3)の内面を全体的に覆う第2の被覆シート(20A)を有し、
前記第1及び第2の被覆シート(20A、20B)は、
記シート(2)の前記内側フィルムと同一のプラスチック材料から成る少なくとも1つのフィルムと、金属フィルムと、を有し、
当該プラスチック材料からなるフィルムは、前記円筒状壁部を構成する前記シート(2)の内面に面している、装置。
【請求項2】
前記第1の被覆シート(20B)は、金属フィルムと、前記第1のフランジと同一のプラスチック材料からなる少なくとも1つのフィルムとを有し、
前記第2の被覆シート(20A)は、金属フィルムと、前記第2のフランジと同一のプラスチック材料からなる少なくとも1つのフィルムとを有し、
前記第1のフランジと同一のプラスチック材料からなるフィルムは、前記第1のフランジの内面に面していると共に、前記第2のフランジと同一のプラスチック材料からなるフィルムは、前記第2のフランジの内面に面している、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の被膜シート(20A,20B)の金属フィルムは、アルミニウムから成る、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記内側フィルムのプラスチック材料は、ポリエチレンである、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の被覆シート(20A、20B)は、多層シートであり、当該多層シートの層は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、アルミニウム及びポリエチレンから作られている、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の被覆シート(20A、20B)は、前記円筒状壁部を構成している前記シート(2)の内面上に溶接される、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側の剛性ボトルと、流体を包装するための内側の可撓性の円筒状ポーチとを有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置が、特許文献1に記載されている。
【0003】
図1に示されているように、液体製品を包装及び吐出するための本装置は、リークタイトな(漏れ止めの)可撓性ポーチ1を有する。ポーチ1は、剛性ボトル10内に配置され、ポンプ又は弁13に関連付けられ、且つ、包装されるべき製品を充填することを目的としている。このポーチ1は、巻いて円筒状物にされた、少なくとも1つの金属シート又はプラスチック材料のシートから成る円筒状の壁部を有する。この円筒状壁部の縁部が、2つのフランジ3,4にリークタイト(漏れないように)に固着されている。フランジの一方であるフランジ3はポーチの底部を形成し、他方のフランジ4は、ボトル及びポンプ又は弁に取り付けられるためのリングを形成している。
【0004】
各フランジ3,4は、隆起縁部3A,4Aを有する中実のディスク又はリングを有し、隆起縁部は環状の側面を形成している。この環状側面に、ポーチ1の円筒状壁部のシートの縁部が固着されている。
【0005】
包装されるべき製品(包装対象製品)が充填されているポーチ1がボトル10内に導入され、上側リング4の半径方向縁部4Bが、ボトル10の内壁に形成された溝11内に、スナップ嵌めにより嵌め付けられている。プッシュボタン14及びノズル16を備えたポンプ13が、上側リング4上にリークタイトに取り付けられている。
【0006】
また、好ましくは、特許文献2に記載されているように、ポーチ1の円筒状壁部は多層シートから成り、これらの層は、外側層から内側層まで、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、アルミニウム及びポリエチレンからつくられている。
【0007】
また、2つのフランジ3,4は、通常、プラスチック材料、好ましくは、ポリエチレンからつくられる。
【0008】
このようなポリエチレンフランジは、以下の技術的問題を呈する。
【0009】
これらのポリエチレンフランジは、光透過性で且つ酸素透過性である。これらのフランジが、揮発性製品、例えばアルコールの蒸発を引き起こす場合がある。幾つかの製品は、吸着現象、及び/又は、プラスチック材料の吸着を生じて、これにより変性する場合がある。
【0010】
これらのフランジをバリア材料から成形して大量生産することも考えられよう。しかし、このような材料は比較的高価である。また、これらのバリア材料を使用すると、ポーチを形成するシートにも同一のバリア材料を使用するか、又は、フランジに(好ましくは溶接により)固着されうる適合性材料を使用することを必要とする。これは、製造コスト及び装置全体の複雑性をかなり高めることになろう。
【0011】
さらに、特許文献3は、剛性ボトル内に配置され且つポンプ又は弁に関連付けられたリークタイトな可撓性ポーチを有する、液体製品を包装及び吐出する装置を記載している。このポーチは、巻いて円筒状物にされたシートから成る円筒状壁部を有し、この円筒状壁部の縁部の一方が、ボトル及びポンプ又は弁に取り付けられるためのリングを形成しているフランジに、リークタイトに固着されている。
【0012】
このリングはプラスチック材料から成り、リングの内面が、リングの内面を部分的に覆うバリア性能を有するワッシャを有し得る。そしてこのワッシャは、金属フィルムを有する金属/プラスチック複合材料からつくられ得る。
【0013】
このワッシャは、大きい面を介してリングの面に溶接されて、リングのベース部に、プラスチック材料の小さい環状ビードにより保持されている。
【0014】
このようなワッシャは効果的なバリアを形成しない。なぜなら、このワッシャは、リングのベース部を保持しているこのプラスチック材料のビードの下にあるリング内面を覆わないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第03/011713号
【特許文献2】国際公開第2010/125304号
【特許文献3】欧州特許第0354137号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、このような被覆層のバリア性能を高める。また、プラスチック材料から成る既存のフランジに容易に取り付けられることができる配置及び製造が容易な装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、剛性ボトル内に配置されると共に、ポンプ又は弁に関連付けられたリークタイトな可撓性ポーチを備える、流体製品を包装及び吐出するための装置を提供する。当該ポーチは、円筒状に巻かれたシートから成る円筒状壁部を有し、当該円筒状壁部の縁部の一方は、ボトル及びポンプ又は弁に取り付けられるリングを形成するフランジにリークタイトに固定され、このフランジがプラスチック材料から成る。前記シートの縁部の他方は、前記ポーチの底部を形成する第2のフランジにリークタイトに固定されており、この第2のフランジがプラスチック材料から成り、
これらのフランジが、環状側面を形成している隆起縁部を有する中実のディスク又はリングを有し、前記環状側面に、前記ポーチの前記壁部を形成している前記シートの縁部が固定されており、前記円筒状壁部の前記シートは、プラスチック材料からつくられた少なくとも1つの内側フィルムを有する多層シートである。
前記フランジの内面が被覆シートを有し、当該被覆シートは、前記フランジの内面を全体的に覆うと共に、前記ポーチの前記壁部を形成している前記シートの前記縁部が取り付けられる前記内側環状側面の少なくとも一部も覆っている。
前記被覆シートは、前記円筒状壁部の前記シートの前記内側フィルムと同一のプラスチック材料から成る少なくとも1つのフィルムと、金属フィルムとを有し、当該プラスチック材料からなるフィルムは、前記円筒状壁部を構成している前記シートの内面に面している。
【0018】
各フランジの前記被覆シートの金属フィルムが、前記ポーチ内に収容された包装製品と接触している各フランジの内面全体にわたる確実なバリアを保証する。この実施形態は、前記ポーチ内に収容されている包装された製品と接触している前記フランジの内面全体における完全なバリアを保証する。
【0019】
従って、前記被覆シートは、プラスチック材料から作られた少なくとも1つのフィルムと金属フィルムとを有する多層シートである。前記円筒状壁部の前記多層シートの前記内側フィルムのプラスチック材料は、前記円筒状壁部の前記内面に面している前記被覆層のフィルムを構成しているプラスチック材料と同一であるため、この壁部と前記覆われたフランジとの、溶接による固着を特に効率的に行うことができる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、前記被覆シートは、前記フランジと同一のプラスチック材料から作られた少なくとも1つのフィルムと、前記金属フィルムとを有し、当該プラスチック材料フィルムは、前記フランジの前記内面に面している。
【0021】
該プラスチック材料フィルムは、前記フランジのプラスチック材料と同一の材料から作られると共に、前記フランジの前記内面に面しているため、前記被覆シートと前記フランジとの溶接による固着を特に効率的に行うことができる。
【0023】
好ましくは、前記単数又は複数の金属フィルムがアルミニウムからつくられる。
【0024】
さらに好ましくは、前記プラスチック材料がポリエチレンである。
【0026】
有利には、前記被覆シートが多層シートであり、当該多層シートの層が、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、アルミニウム及びポリエチレンからつくられている。
【0029】
好ましくは、前記被覆シートは、前記円筒状壁部を構成している前記シートの前記内面上に溶接される。
【0030】
以下に、本発明を、図面を補助として、より詳細に記載する。図面は、本発明の好ましい一実施形態を代表的に示しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】上記で既に記載した先行技術に係る装置の鉛直方向断面図である。
図2】本発明に係る装置のポーチの断面図である。
図3】本発明に係る装置のポーチの斜視図である。
図4】本発明に係るフランジの、断面が見えるように切り取られた斜視図である。
図5】本発明に係るフランジの、断面が見えるように切り取られた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図2及び図3に示されているように、本発明は、流体製品を包装及び吐出するための装置に関し、この装置は、剛性ボトル内に配置され且つポンプ又は弁に関連付けられた、リークタイトな(漏れ止め性)可撓性ポーチ1を有する。このポーチは、巻いて円筒状物にされた多層シート2から成る円筒状の壁部を有し、この円筒状壁部の縁部が、2つのフランジ3,4にリークタイトに取り付けられている。フランジの一方であるフランジ3は、ポーチの底部を形成し、他方のフランジ4は、ボトル及びポンプ又は弁に取り付けられるためのリングを形成している。
【0033】
各フランジ3,4は、隆起縁部3A,4Aを有する中実のディスク又はリングを有し、隆起縁部は環状の側面を形成している。この環状側面に、ポーチの円筒状壁部のシートの縁部が固着されている。
【0034】
ポーチ1の多層シート2は、プラスチック材料からつくられた少なくとも1つの内側フィルムと金属フィルムと(好ましくは、ポリエチレンからつくられたフィルムと、アルミニウムからつくられたフィルムと)を有する。好ましくは、実際、ポーチ1は多層シートから成り、これらの層は、有利には、最適な化学的及び機械的状態を保証するように、外側層から内側層まで、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、アルミニウム及びポリエチレンからつくられている。
【0035】
フランジ3,4は、シート2の内側フィルムと同一のプラスチック材料から成り、好ましくは、ポリエチレンから成る。
【0036】
前記フランジ3,4の少なくとも一方の内面が、被覆シート20A,20Bを有する。シート20A,20Bは、金属フィルムを有し、対応するフランジの内面を全体的に覆っている。
【0037】
このために、被覆シート20A,20Bは、フランジ3,4の内面だけでなくフランジ3,4の隆起縁部3A,4Aの内側環状側面の少なくとも一部も覆っている。
【0038】
被覆シート20A,20Bは、ポーチ1の円筒状壁部を構成している多層シート2と同一であり、多層シートである。これらの層は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、アルミニウム及びポリエチレンからつくられている。
【0039】
従って、ポーチ1を充填することを意図した包装対象製品は、ポリエチレンに接触したままとなっているが、厚さの割合が非常に小さくなっており、いずれの吸着現象及び/又は吸着も制限する。詳細には、フランジ3,4の厚さが約1mm〜1.5mmの場合、被覆層20A,20Bのポリエチレンフィルムの厚さは、約0.1mmである。
【0040】
さらに、被覆シート20A,20Bが、その2つの面上にポリエチレンフィルムを有するので、被覆シートとフランジとの溶接による固着が容易である。また、フランジが被覆されたとき、フランジはその隆起縁部の外側環状側面上にポリエチレンフィルムを有するので、フランジに向けられたポリエチレンフィルムを有するポーチ1の円筒状壁部のシート2の溶接による固着を容易にする。
【0041】
本発明の範囲において、フランジ3,4の一方のみにこのような被覆シートを設けた場合でも、蒸発、吸着、及び/又は吸収の状況を改善できるであろう。それでもやはり、最適なのは、両方のフランジをプラスチック材料(好ましくはポリエチレン)により形成して、ポーチ1の2つのフランジ3,4の内面が、図4及び図5に示す被覆シート20A,20Bを有することである。図4及び図5に見られるように、被覆シート20A,20Bは、好ましくは、フランジ3,4の内側環状側面の全体を覆う。
【0042】
被覆シート20A,20Bのそれぞれを対応するフランジ3,4上に取り付けるプロセスは、フランジを構成しているプラスチック材料と、被覆シート20A,20Bのフィルムのプラスチック材料とが同一(好ましくはポリエチレン)であることで、非常に容易に行われる。
【0043】
被覆シート20A,20Bは、フランジの内面上に、「インモールドラベリング」(In-mold labeling)、すなわち「IML」として知られている方法によりオーバーモールド(外側被膜)される。この方法は、環状側面3A,4Aだけでなくフランジ3,4の内面全体に亘って、被覆シートを最適に一体化させることを保証する。この方法は、完全にロボット化できることに加え、被覆シートの完全な位置決めが確保されるので、各フランジの内面の完全且つ全面的な被覆を確保する。
【符号の説明】
【0044】
1 ポーチ
3 フランジ
3A 隆起縁部(環状側面)
4 フランジ
4A 隆起縁部(環状側面)
4 上側リング
4B 上側リングの半径方向縁部
10 ボトル
11 ボトル溝
13 ポンプ又は弁
14 プッシュボタン
16 ノズル
20A 被覆シート
20B 被覆シート
図1
図2
図3
図4
図5