(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6346963
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】ボイスコイルモータ及びフォーカスレンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20060101AFI20180611BHJP
G02B 7/02 20060101ALI20180611BHJP
H02K 33/18 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 C
H02K33/18 B
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-562553(P2016-562553)
(86)(22)【出願日】2014年4月15日
(65)【公表番号】特表2017-517760(P2017-517760A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】CN2014075377
(87)【国際公開番号】WO2015157909
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2016年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】516162803
【氏名又は名称】ボリーメディア ホールディングス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BOLYMEDIA HOLDINGS CO. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー シァォピン
【審査官】
小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−163311(JP,A)
【文献】
特開2008−197669(JP,A)
【文献】
特開2011−102824(JP,A)
【文献】
特開平11−055460(JP,A)
【文献】
特開2009−175373(JP,A)
【文献】
特開平10−026780(JP,A)
【文献】
特開2000−049708(JP,A)
【文献】
特開2009−294390(JP,A)
【文献】
特開2007−193341(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/100883(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子アセンブリ(21、31、41、51、61)、動子アセンブリ(22、32、42、52、62)及び弾性接続部材(23、33、43、53、63)を備え、前記動子アセンブリと前記固定子アセンブリとが前記弾性接続部材を介して接続されており、
前記固定子アセンブリは、固定子スリーブ(211、311、411、511、611)を含み、
前記動子アセンブリは、前記固定子スリーブと入れ子構造になっている動子スリーブ(221、321、421、521、621)を含み、
前記固定子スリーブ及び前記動子スリーブの一方が永久磁性材料スリーブ(211、311、421、521、611)であり、他方が非磁性材料スリーブ(221、321、411、511、621)であり、
前記動子アセンブリ及び前記固定子アセンブリのうち前記非磁性材料スリーブが属するアセンブリは、
永久磁性材料又は磁化材料で形成され、前記非磁性材料スリーブに対して固定された予備磁力部材(222、322、412、512、622)と、
前記非磁性材料スリーブの内表面又は外表面に配置された駆動コイル(223、323、413、513、623)とをさらに含み、
前記駆動コイルが通電されていない状態において、前記予備磁力部材と前記永久磁性材料スリーブとの間に予め存在する磁力と、前記弾性接続部材の弾性力とが、平衡状態になっており、
前記動子スリーブは、非磁性材料スリーブであり、前記予備磁力部材は、中空磁石リング(622)であり、レンズ群を支持するために用いられ、前記予備磁力部材と前記動子スリーブとは、ネジによって協働し、取り付けるときの焦点距離の調整に用いられることことを特徴とするボイスコイルモータ。
【請求項2】
前記永久磁性材料スリーブの磁化方向は、径方向又は軸方向であることを特徴とする請求項1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項3】
前記固定子スリーブと前記動子スリーブとは、密接に嵌合され、接触面が平滑面であることを特徴とする請求項1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項4】
前記弾性接続部材は、磁化材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項5】
前記駆動コイルは、絶縁被覆巻線で構成され、又は、単層又は複数層のフレキシブルプリント基板(FPC)で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項6】
前記固定子アセンブリは、基板(316、416、516、616)をさらに含み、前記固定子スリーブは、前記基板に固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項7】
前記予備磁力部材は、前記非磁性材料スリーブにおける前記基板から離れた一端に固定され、前記弾性接続部材は、前記予備磁力部材と前記永久磁性材料スリーブにおける前記基板から離れた一端との間に接続され、又は、
前記予備磁力部材は、前記基板に固定され、前記弾性接続部材は、前記予備磁力部材と前記永久磁性材料スリーブにおける前記基板に近い一端との間に接続されていることを特徴とする請求項6に記載のボイスコイルモータ。
【請求項8】
前記基板は、プリント基板(PCB)であり、前記駆動コイルは、リードピン(3231、6231)を介して前記基板と直接に剛性接続又は塑性接続されていることを特徴とする請求項6に記載のボイスコイルモータ。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の構造を有するボイスコイルモータ、前記基板に固定された感光チップ(34、44、54、64)及び前記動子アセンブリに取り付けられたフォーカスレンズ群(325、425、525、625)を備えていることを特徴とするフォーカスレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ分野に関し、特に直線型ボイスコイルモータ及びこれを用いたフォーカスレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイスコイルモータ(VCM、Voice Coil Motor)は、比較的簡単なモータである。中でも、直線型ボイスコイルモータは、例えば携帯電話のカメラオートフォーカスモジュールのような工学分野において、幅広く利用されている。説明を容易にするため、以下、ボイスコイルモータにおける運動する部分を動子アセンブリといい、固定されている部分を固定子アセンブリという。
【0003】
ボイスコイルモータは、通常、
図1に示すように、固定子11、動子12及び弾性接続部材13を備える。弾性接続部材13は、動子12と固定子11とを接続している。負荷(不図示)は、動子12に固定されている。
図1において、固定子11は、永久磁石であり、動子アセンブリは、動子12に巻き付く駆動コイル123を含む。駆動コイル123に通電した後に、動子12は、固定子11の磁界作用により直線運動する。逆方向への運動は、逆電流を印加する又は弾性接続部材13の復帰力を利用することにより実現されてよい。別の場合には、動子12を永久磁石として配置し、駆動コイル123を固定子アセンブリ内に含めてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構造が採用されたボイスコイルモータは、駆動コイルが発生した電磁力と弾性接続部材の弾性力とのバランスを介して、負荷の位置に対して精確な位置決めを行う(例えば、フォーカスレンズを必要な位置に移動させる)。通常、作動区間内において、弾性接続部材の弾性力がその変位に比例するため、動子の変位が大きければ大きいほど、必要な電磁力が大きくなり、駆動コイルの電流も大きくなる。動子がある固定位置(例えば、フォーカスを実現する位置)に長時間保持される必要がある場合には、駆動コイルの電流も長時間保持しなければならないため、ボイスコイルモータは、大きな静的保持消費電力を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、固定子アセンブリ、動子アセンブリ及び弾性接続部材を備えたボイスコイルモータを提供する。前記動子アセンブリと前記固定子アセンブリとは、前記弾性接続部材を介して接続されている。前記固定子アセンブリは、固定子スリーブを含み、前記動子アセンブリは、前記固定子スリーブと入れ子構造となっている動子スリーブを含む。前記固定子スリーブ及び前記動子スリーブの一方が永久磁性材料スリーブであり、他方が非磁性材料スリーブである。前記動子アセンブリ及び前記固定子アセンブリのうち前記非磁性材料スリーブが属するアセンブリは、予備磁力部材及び駆動コイルをさらに含む。前記予備磁力部材は、永久磁性材料又は磁化材料で形成され、前記非磁性材料スリーブに対して固定されている。前記駆動コイルは、前記非磁性材料スリーブの内表面又は外表面に配置されている。前記駆動コイルが通電されていない状態において、前記予備磁力部材と前記永久磁性材料スリーブとの間に予め存在する磁力と、前記弾性接続部材の弾性力とが、平衡になっている。
動子スリーブは、非磁性材料スリーブであり、予備磁力部材は、中空磁石リング(622)であり、レンズ群を支持するために用いられ、予備磁力部材と動子スリーブとは、ネジによって協働し、取り付けるときの焦点距離の調整に用いられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るボイスコイルモータによれば、予め存在する磁力により、通電されていない場合には、弾性接続部材が応力平衡状態に置かれ、且つ当該予め存在する磁力により、より少ない電磁力で弾性接続部材の運動を実現することができ、これにより駆動電流が減少し、消費電力が低減される。
【0007】
以下、図面と併せて、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来のボイスコイルモータの構成概略図である。
【
図2】本発明に係るボイスコイルモータの等価構成概略図である。
【
図3】実施形態1のボイスコイルモータの構成概略図である。
【
図4】実施形態2のボイスコイルモータの構成概略図である。
【
図5】実施形態3のボイスコイルモータの構成概略図である。
【
図6】実施形態4のボイスコイルモータの構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つの等価構成として、
図2に示すように、本実施形態に係るボイスコイルモータは、固定子アセンブリ21、動子アセンブリ22及び弾性接続部材23を備えている。動子アセンブリ22と固定子アセンブリ21とは、弾性接続部材23を介して接続されている。
【0010】
固定子アセンブリ21は、相対的に固定され、固定子スリーブ211を含む。固定子スリーブ211は、例えば基板やベース等のような部材(不図示)に固定されてもよく、当該ボイスコイルモータの取付箇所の他の固定アセンブリに固定されてもよい。
【0011】
動子アセンブリ22は、固定子スリーブ211と嵌合されている動子スリーブ221を含む。例えば光学ズーム及びフォーカスのような一部の応用において、動子スリーブ221と固定子スリーブ211とは、同軸で嵌合されていることが好ましい。また、軸方向運動の過程において、光軸の安定性をより良好に保つために、固定子スリーブ211は、動子スリーブ221と密接に嵌合され、接触面が平滑面であることが好ましい。具体的に実現する際に、固定子スリーブ211は、動子スリーブ221の外側に配置されてもよく、動子スリーブ221の内側に配置されてもよい。設計の必要性に従って確定すればよい。
【0012】
弾性接続部材23として、螺旋状のばねを採用してもよく、他の形式のもの(例えば、金属エッチング工程を用いて製作された平面ばね片等)を採用してもよい。
【0013】
本発明によれば、固定子スリーブ211及び動子スリーブ221の一方は永久磁性材料スリーブであり、他方は非磁性材料スリーブである。また、動子アセンブリ22及び固定子アセンブリ21のうち、非磁性材料スリーブが属するアセンブリは、予備磁力部材及び駆動コイルをさらに含む。例えば、
図2において、固定子スリーブが永久磁性材料スリーブであり、動子スリーブが非磁性材料スリーブであるため、動子アセンブリは、予備磁力部材222及び駆動コイル223をさらに含む。もちろん、固定子スリーブが非磁性材料スリーブであり、動子スリーブが永久磁性材料スリーブであってもよい。この場合に、固定子アセンブリには、予備磁力部材及び駆動コイルがさらに含まれる。
【0014】
予備磁力部材は、永久磁性材料又は磁化材料から形成され、非磁性材料スリーブに対して固定されている。例えば、動子スリーブが非磁性材料スリーブである場合には、予備磁力部材は、同軸に配置され、動子スリーブの一端に固定された磁石リングであってよい(
図2参照)。また、固定子スリーブが非磁性材料スリーブである場合には、予備磁力部材は、固定子スリーブに固定されてもよく、固定子アセンブリ内の他の部材(例えば基板やベース)に固定されてもよい。一部の実施形態において、予備磁力部材は、予め存在する磁力を永久磁性材料スリーブと協働して発生させることができる限りは、例えば、非磁性材料スリーブに間隔式で嵌め込まれ又は固定されるような、離散の形式で配置されてもよい。
【0015】
駆動コイルは、非磁性材料スリーブの内表面又は外表面に配置されている。例えば、
図2において、駆動コイルは、動子スリーブの外壁に配置され、固定子スリーブの内壁に密接している。駆動コイルは、絶縁被覆巻線(例えば、エナメル線)で構成されてもよく、単層又は複数層のフレキシブルプリント基板(FPC、Flexible Printed Circuit)で形成されてもよい。巻線をプリント基板で代替することにより、巻線の困難さ(特に通常光学フォーカスに用いられるボイスコイルモータの寸法は大きくない。)が解消され、取付がより簡単になる。
【0016】
また、光学ズーム及びフォーカスを行うためのフォーカスレンズを用いる場合、運動する必要があるレンズ群を動子アセンブリに固定させるのが一般的である。例えば、
図2に示すように、レンズ群225を磁石リングに固定させる。他の実施形態において、レンズ群をレンズ支持部材に取り付け、次にレンズ支持部材を動子アセンブリに接続してもよい。
【0017】
駆動コイルが通電されていないときに、予備磁力部材と永久磁性材料スリーブとの間の予め存在する磁力(吸引又は反発の磁力であってよい。)により、動子アセンブリ及び固定子アセンブリを接続する弾性接続部材が変形する。そして、当該予め存在する磁力と、発生した弾性力とが平衡に達する。これにより、弾性接続部材は、予め応力平衡状態に置かれる。従って、弾性接続部材が予め平衡を保つ位置を弾性接続部材の作動区間の2つの端点のうちの1つ又は間に位置するように設定してよい。即ち、対応する作動状態の消費電力ゼロを維持することができる。また、弾性接続部材が当該応力平衡位置から離れる際に必要な消費電力は、“予め存在する磁力”が印加されていないときよりもさらに少ないため、光学フォーカスに用いられる際に、電力の消費量が少なく、移動の行程が長いというメリットがある。予め存在する磁力により弾性接続部材の駆動消費電力が低下することに関する詳細な理論分析について、中国特許出願(出願番号N201310748592.0)を参考されたい。
【0018】
駆動コイルが通電されているときに、コイルと永久磁性材料スリーブ及び予備磁力部材との間に作用力が発生し、さらに、“予め存在する磁力”と弾性力との平衡状態が変更され、それにより、動子アセンブリが軸方向に沿って運動する。以下、永久磁性材料スリーブと駆動コイルとの間の作用力の状況について概括的に説明する。
永久磁性材料スリーブの磁化方向は、2つの場合がある。1つは、径方向磁化である。即ち、スリーブの内外表面は、それぞれ南極及び北極のうちの1つであり、もう1つは、軸方向磁化である。即ち、スリーブの上下両端は、それぞれ南極及び北極のうちの1つである。
永久磁性材料スリーブの磁化方向が径方向磁化である場合には、駆動コイルが通電されているときに、コイルと永久磁性材料スリーブとの間に軸方向の電磁力(ローレンツ力)が発生し、それにより、動子アセンブリが押されて上下に移動する。
永久磁性材料スリーブの磁化方向が軸方向磁化である場合には、駆動コイルが通電されているとき、コイルと永久磁性材料スリーブとの間の磁界力は、径方向に沿うが、円周の対称性により相互に相殺される。しかしながら、コイルが発生させた磁界の方向が永久磁性材料スリーブの磁界の方向と同一又は反対であるため、電流が発生させた磁界は、永久磁性材料スリーブの磁界にプラスされるか相殺される。それにより、永久磁性材料スリーブと予備磁力部材との間の作用力が増大又は減少し、“予め存在する磁力”と弾性力との平衡状態が解消されることにより、動子アセンブリの運動が実現される。
【0019】
好ましくは、弾性接続部材として、例えば、鋼又は鉄磁性材料のような磁化材料を採用してよい。これにより、永久磁性材料スリーブと予備磁力部材との間の磁力を伝送する効果が得られ、動子アセンブリの重量を低減することができる。
【0020】
上述したように、本発明に係るボイスコイルモータの構造は、様々に変更可能である。例えば、固定子スリーブと動子スリーブとの相対的位置を交換してよい。また、永久磁性材料スリーブの磁化方向は、径方向でも軸方向でもよい。また、予備磁力部材は、固定子アセンブリに配置されてもよく、動子アセンブリに配置されてもよい。これらの変更を互いに組み合わせて、種々の異なる具体的な実現方式を取得することができる。以下、具体的な実施形態を介して、本発明に係るボイスコイルモータについて説明する。
【0021】
<実施形態1>
1つの実施形態として、
図3に示すように、本発明に係るボイスコイルモータは、固定子アセンブリ31、動子アセンブリ32及び弾性接続部材33を備えている。固定子アセンブリ31は、永久磁性材料スリーブである固定子スリーブ311及び基板316を含む。動子アセンブリ32は、非磁性材料スリーブである動子スリーブ321、予備磁力磁石リング322及び駆動コイル323を含む。
【0022】
実施形態1において、よりコンパクトな構造を取得し、電気的接続を簡素化するために、基板は、プリント基板(PCB:Print Circuit Board)であることが好ましい。固定子スリーブは、基板に固定されている。
【0023】
動子スリーブは、固定子スリーブ内に同軸で密接され、駆動コイルは、動子スリーブの外側に配置され且つ固定子スリーブの内壁に密接している。予備磁力磁石リングは、動子スリーブにおける基板から離れた一端に固定されている。弾性接続部材は、予備磁力磁石リングと動子スリーブにおける基板から離れた一端との間に接続されている。
【0024】
プリント基板に電気回路を配置することができるため、実施形態1において、駆動コイルは、リードピン3231を介して基板と直接に剛性接続又は塑性接続されることにより、駆動電気回路内に接続される。
【0025】
実施形態1におけるボイスコイルモータは、例えば、オートフォーカスレンズモジュールのようなフォーカス機能を有するレンズに用いることができるように、プリント基板に感光チップ34をさらに取り付けてもよく、また、動子アセンブリは、動子スリーブに対して固定され、レンズ群325を支持するためのレンズ支持部材324をさらに含んでもよい。取り付ける際に、駆動コイルが通電されていないときに弾性接続部材の応力平衡位置におけるレンズの焦点距離を調整しやすくするために、レンズ支持部材と動子スリーブとには、ネジ式の協働を採用することが好ましい。
【0026】
図3において、N及びSは、それぞれ固定子スリーブの代替方式である磁極の方向を示す。
図3に示すように、固定子スリーブの磁化方向は、径方向(固定子スリーブの内外表面は、それぞれ南極又は北極である。)であってもよく、軸方向(固定子スリーブの上端及び下端は、それぞれ南極又は北極である。)であってもよい。実施形態1の構成により、固定子スリーブの磁化方向は、径方向であることが好ましい。
【0027】
<実施形態2>
もう1つの実施形態として、
図4に示すように、本発明に係るボイスコイルモータは、固定子アセンブリ41、動子アセンブリ42及び弾性接続部材43を備えている。固定子アセンブリ41は、非磁性材料スリーブである固定子スリーブ411、プリント基板416、予備磁力磁石リング412及び駆動コイル413を含む。動子アセンブリ42は、永久磁性材料スリーブである動子スリーブ421及びレンズ支持部材424を含む。実施形態2では、実施形態1との主な相違点として、動子スリーブが、永久磁性材料スリーブである。
【0028】
実施形態2において、固定子スリーブ及び予備磁力磁石リングは、プリント基板に固定され、駆動コイルは、固定子スリーブの内側に配置され、且つ動子スリーブの外壁に密接している。動子スリーブは、固定子スリーブ内に同軸で密接されている。弾性接続部材は、予備磁力磁石リングと動子スリーブにおけるプリント基板に近い一端との間に接続されている。駆動コイルは、固定子アセンブリに配置されているため、プリント基板に直接に挿入され、電気回路と接続することができる。レンズ支持部材と動子スリーブとは、ネジ式の協働が採用され、取り付けるときの焦点距離の調整に用いられる。
【0029】
実施形態2におけるボイスコイルモータは、フォーカスレンズに用いることができるように、プリント基板に感光チップ44をさらに取り付け、フォーカスレンズ群425をレンズ支持部材に取り付けてよく、また、固定焦点レンズ群415を固定子スリーブにさらに設けてもよい。
【0030】
図4において、N及びSは、それぞれ動子スリーブの代替方式である磁極の方向を示す。
図4に示すように、動子スリーブの磁化方向は、径方向であってもよく、軸方向であってもよい。実施形態2の構成により、動子スリーブの磁化方向は、軸方向であることが好ましい。
【0031】
<実施形態3>
もう1つの実施形態として、
図5に示すように、本発明に係るボイスコイルモータは、固定子アセンブリ51、動子アセンブリ52及び弾性接続部材53を備えている。固定子アセンブリ51は、非磁性材料スリーブである固定子スリーブ511、プリント基板516、予備磁力磁石リング512及び駆動コイル513を含む。動子アセンブリ52は、永久磁性材料スリーブである動子スリーブ521及びレンズ支持部材524を含む。実施形態3では、実施形態2との主な相違点として、固定子スリーブと動子スリーブとの位置を交換することができる。
【0032】
実施形態3において、固定子スリーブ及び予備磁力磁石リングは、プリント基板に固定され、駆動コイルは、固定子スリーブの内側に配置され、且つ動子スリーブの内壁に密接している。動子スリーブは、固定子スリーブの外側に同軸で密接されている。弾性接続部材は、予備磁力磁石リングと動子スリーブにおけるプリント基板に近い一端との間に接続されている。駆動コイルは、プリント基板に直接に挿入されていることにより、電気回路と接続されている。レンズ支持部材と動子スリーブとは、ネジ式の協働が採用され、取り付けるときの焦点距離の調整に用いられる。
【0033】
実施形態3におけるボイスコイルモータは、フォーカスレンズに用いることができるように、プリント基板に感光チップ54をさらに取り付け、フォーカスレンズ群525をレンズ支持部材に取り付けてよい。
【0034】
<実施形態4>
もう1つの実施形態として、
図6に示すように、本発明に係るボイスコイルモータは、固定子アセンブリ61、動子アセンブリ62及び弾性接続部材63を備えている。固定子アセンブリ61は、永久磁性材料スリーブである固定子スリーブ611及びプリント基板616を含む。動子アセンブリ62は、非磁性材料スリーブである動子スリーブ621、予備磁力磁石リング622及び駆動コイル623を含む。実施形態4では、実施形態1との主な相違点として、固定子スリーブと動子スリーブとの位置を交換することができる。また、弾性接続部材の取付位置が実施形態1と異なり、且つ予備磁力磁石リングの取付方式が実施形態1と異なる。
【0035】
実施形態4において、固定子スリーブは、プリント基板に固定され、動子スリーブは、固定子スリーブの外側に同軸で密接されている。駆動コイルは、動子スリーブの外側に配置され、リードピン6231を介して基板と直接に剛性接続又は塑性接続されることにより、駆動電気回路内に接続される。弾性接続部材は、基板と動子スリーブにおける基板に近い一端との間に接続されている。
【0036】
実施形態4において、予備磁力磁石リングは、中空磁石リングであり、レンズ支持部材の機能をも果たしている。即ち、予備磁力磁石リングは、フォーカスレンズ群625を支持するために用いられる。予備磁力磁石リングと動子スリーブとは、ネジによって協働し、取り付けるときの焦点距離の調整に用いられる。このような好ましい構成により、1つの部材を省略でき、加工及び取付がより簡素化される。
【0037】
実施形態4におけるボイスコイルモータは、フォーカスレンズに用いることができるように、プリント基板に感光チップ64をさらに取り付けてもよい。また、固定焦点レンズ群615を固定子スリーブにさらに設けてもよい。
【0038】
上記した本発明に係るボイスコイルモータの実施形態では、6つ又は7つの部材(プリント基板、感光チップ及び代替の固定焦点レンズ群)を採用するだけで、レンズのオートフォーカス又はズームを実現することができる。これにより、組立が簡単になり、フォーカスの行程が長く、電力の消費量が少なく、“予め存在する磁力”と弾性力とが平衡状態に達するという利点を十分に得ることができる。したがって、本発明に係るボイスコイルモータの実施形態は、スーパーボイスコイルモータと言えるであろう。
【0039】
また、上記の実施形態におけるボイスコイルモータの外部に1組又は2組のズームレンズ群を配置することにより、ズームレンズの機能を実現することができる。一方、固定焦点レンズ群を有する一部の実施形態(例えば、実施形態2又は4)の外部に1組又は2組のズームレンズ群をさらに取り付ければ、4組のレンズを有するズームレンズを実現することができる。従って、本発明に係るボイスコイルモータは、オートフォーカスレンズモジュールを実現するために用いられてもよく、ズームレンズ内のフォーカス部分として用いられてもよい。
【0040】
以上、具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態について詳述したが、上記の実施形態は、本発明の理解を深めるためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の思想に基づいて、上記の具体的な実施形態を変更することができる。