特許第6346978号(P6346978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6346978
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】排水縦管洗浄装置及び排水縦管洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/304 20060101AFI20180611BHJP
   B08B 9/043 20060101ALI20180611BHJP
   B05C 7/08 20060101ALI20180611BHJP
   B05B 13/06 20060101ALI20180611BHJP
   E03F 9/00 20060101ALI20180611BHJP
【FI】
   E03C1/304
   B08B9/043 436
   B05C7/08
   B05B13/06
   E03F9/00
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-115496(P2017-115496)
(22)【出願日】2017年6月12日
【審査請求日】2018年1月22日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.平成28年12月14日〜平成29年1月25日を施工期間とする、大阪市森ノ宮第2団地6号棟05系〜12系 30本の排水縦管清掃工事において、排水縦管の洗浄試験を行った。 2.平成29年1月26日〜同年2月16日を施工期間とする、大阪府堺市原山台団地2号棟01号系〜21号系 21本の排水縦管清掃工事において、排水縦管の洗浄試験を行った。 3.平成29年2月23日〜同年3月25日を施工期間とする、京都府洛西竹の里団地1〜3号棟01系 合計20本の排水縦管清掃工事において、排水縦管の洗浄試験を行った。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514234333
【氏名又は名称】河原田 祥正
(74)【代理人】
【識別番号】100133798
【弁理士】
【氏名又は名称】江川 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100189991
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 通子
(72)【発明者】
【氏名】河原田 祥正
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−025189(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3162677(JP,U)
【文献】 特開2016−065439(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3085078(JP,U)
【文献】 実開昭63−028189(JP,U)
【文献】 米国特許第05740830(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12−1/308
B05B 9/00−9/46
B05C 7/08
E03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高層建物の排水縦管を低層階から高層階に向けて洗浄するための排水縦管洗浄装置であって、
洗浄用ノズルを先端に接続した耐圧ホースと、
前記耐圧ホースに沿う可撓性直立支持材と、
前記耐圧ホースに接続されて、前記管洗浄用ノズルに高圧水を供給する高圧水洗浄機と、を備え
前記管洗浄用ノズルは、
前記耐圧ホースを経て供給される高圧水を噴射する高圧水噴射ノズルと、
前記高圧水噴射ノズルの先端に配置された矢じり状部材と、を備え、
前記矢じり状部材は、外径が前記高圧水噴射ノズルの外径よりも大きく、中心軸から広がる円弧状のエッジを有する少なくとも3枚の面状の羽を有し、前記各羽は先端へ向けて先細りになり先鋭部を形成していることを特徴とする排水縦管洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排水縦管洗浄装置を用いた高層建物の排水縦管の洗浄方法であって、
前記排水縦管の低層階側の開口部に、前記管洗浄用ノズルを侵入させる工程と、
前記高圧水噴射ノズルから、前記高圧水洗浄機から供給される高圧水を噴射させながら、前記排水縦管内で前記低層階側から高層階側に向かって前記耐圧ホースを送り上げる工程と、を備えることを特徴とする排水縦管洗浄方法。
【請求項3】
前記矢じり状部材の外径が、前記排水縦管の内径の0.4倍〜0.8倍である請求項2に記載の排水縦管洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅等の高層建物に設置されている排水縦管を洗浄するために好ましく用いられる、排水縦管洗浄装置及び排水縦管洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅等の高層建物の流し台、洗面所、浴室、トイレ等の設備から発生する排水は、各設備の配された室内から通じる横枝管を経て、各階を貫通する共用の排水縦管から汚水槽等に流される。
【0003】
排水には多量の残渣や油脂等が含まれている。排水縦管の内壁には、排水の通過する時間の経過に伴い、排水中の残渣や油脂等が凝集して形成された固形物であるスラッジ(固形物)が徐々に固着し、管径を徐々に減少させる。スラッジをそのまま放置した場合にはスラッジが成長して排水縦管を閉塞させることもある。このような排水縦管の閉塞を防ぐために、高層建物に設置されている排水縦管は一定期間ごとに清掃される必要がある。
【0004】
排水縦管を清掃する方法として、高圧水噴射ノズルを先端に取り付けた耐圧ホースを排水縦管内に挿入し、ノズルから噴射される高圧水を排水縦管の内壁に固着したスラッジに当てることにより、スラッジを崩すようにして清掃する方法(以下、単に、高圧洗浄方法とも称する)が広く用いられている。
【0005】
高圧洗浄方法としては、低層階側から高層階側に向かって排水縦管を洗浄する方法が知られている。例えば、下記特許文献1及び2は、高層建物に設置されている排水縦管において、内壁に大量のスラッジが固着して内径が小さくなっているような排水縦管でも洗浄することができる排水縦管洗浄装置を提案している。具体的には、特許文献1及び特許文献2は、高層建物の排水縦管を洗浄するための排水縦管洗浄装置であって、先端に高圧水噴射ノズルを備える耐圧ホースと、耐圧ホースを直立に保持する可撓性直立支持材と、耐圧ホースに接続されて、管洗浄用ノズルに高圧水を供給する高圧水洗浄機と、を備える排水縦管洗浄装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許5748255号公報
【特許文献2】特許5748251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に開示された排水縦管洗浄装置によれば、高層建物の排水縦管内を低層階側からの作業だけで、低層階側から高層階側に向かって排水縦管を洗浄することができる。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されたような排水縦管洗浄装置においては、低層階側から高層階側に向かって排水縦管内で高圧水噴射ノズルを上昇させながら洗浄する場合、耐圧ホースがグラスファイバーロッドやアルミニウム三層管のような、可撓性直立支持材で支えられているためにフレキシブル性がなく、そのために、次のような問題が生じることがあった。
【0008】
図6及び図7は、従来の高圧水噴射ノズルを備えた排水縦管洗浄装置で排水縦管L内を洗浄するときの模式説明図である。図6中、101は噴射口jを備えた高圧水噴射ノズルであり、高圧水噴射ノズル101は図略の耐圧ジョイントにより耐圧ホース2に接続されている。また、耐圧ホース2はアルミニウム三層管やグラスファイバーロッドのような、可撓性直立支持材6で支えられている。
【0009】
図6に示すように、従来の高圧水噴射ノズル101を備えた排水縦管洗浄装置で排水縦管L内を洗浄する場合、排水縦管Lの管内を低層階から高層階に高圧水噴射ノズル101を進行させていったとき、耐圧ホース2が可撓性直立支持材6で支えられているために、直立した状態で高層階へ進行していく。この場合、図6に示すように、内壁に付着した厚みを有するスラッジSに高圧水噴射ノズル101が当たったとき、高圧水噴射ノズル101がさらに高層階に進行することが妨げられるという問題があった。また、このような場合においては、高圧水噴射ノズル101が排水縦管Lの内壁にもたれ掛かってしまうために、高圧水噴射ノズル101から噴射される高圧水を内壁に均等に当てることができなくなり、スラッジをきれいに取り除くことができないことがあった。
【0010】
また、図7に示すように、排水縦管Lに排水横管Yが接続されている場合、排水横管Yの接続口に高圧水噴射ノズル101が引っ掛かったとき、耐圧ホース2が可撓性直立支持材6で支えられているために撓みにくく、引っ掛かりを解消できず、高圧水噴射ノズル101をその先までスムーズに送ることができなくなることがあった。
【0011】
本発明は、排水縦管を低層階から高層階に向けて洗浄する場合に、内壁に固く付着したスラッジや排水縦管につながる排水横管との接続口で高圧水噴射ノズルが引っ掛かることを防止して高圧水噴射ノズルをスムーズに進行させたり、また、噴射される水を内壁に均等に当てることのできる、排水縦管洗浄装置及び排水縦管洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面は、管内を進行しながら管内壁に付着したスラッジを除去するための管洗浄用ノズルであって、耐圧ホースを経て供給される高圧水を噴射する高圧水噴射ノズルと、高圧水噴射ノズルの先端に配置される矢じり状部材と、を備え、矢じり状部材の外径が高圧水噴射ノズルの外径よりも大きい管洗浄用ノズルである。このような管洗浄用ノズルによれば、排水縦管を低層階から高層階に向けて洗浄する場合に、内壁に固く付着したスラッジや排水縦管につながる排水横管との接続口で高圧水噴射ノズルが引っ掛かることを防止して高圧水噴射ノズルをスムーズに進行させ、また、噴射される水を内壁に均等に噴射させることができる。
【0013】
また、矢じり状部材は、外径が高圧水噴射ノズルの外径よりも大きく、中心軸から広がる円弧状のエッジを有する少なくとも3枚の面状の羽を有し、各羽は先端へ向けて先細りになり先鋭部を形成していることにより、矢じり状部材の先鋭部を管内の中心付近を通過させることができる。
【0014】
また、本発明の他の一局面は、高層建物の排水縦管を洗浄するための排水縦管洗浄装置であって、上記管洗浄用ノズルを先端に接続した耐圧ホースと、耐圧ホースに沿う可撓性直立支持材と、耐圧ホースに接続されて、管洗浄用ノズルに高圧水を供給する高圧水洗浄機と、を備える排水縦管洗浄装置である。
【0015】
また、本発明の他の一局面は、上記排水縦管洗浄装置を用いた高層建物の排水縦管の洗浄方法であって、排水縦管の低層階側の開口部に、管洗浄用ノズルを侵入させる工程と、高圧水噴射ノズルから、高圧水洗浄機から供給される高圧水を噴射させながら、排水縦管内で低層階側から高層階側に向かって耐圧ホースを送り上げる工程と、を備える排水縦管洗浄方法である。このような排水縦管洗浄方法においては、矢じり状部材の外径が、排水縦管の内径の0.4倍〜0.8倍であることが、矢じり状部材の先鋭部を管内の中心付近を通過させやすい点から好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、管内で強固に固まったスラッジを効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態の管洗浄用ノズル10の構成を説明するための模式説明図である。
図2図2は、実施形態の排水縦管Lを洗浄するための、排水縦管洗浄装置20の全体構成を説明する模式説明図である。
図3図3は、耐圧ホース2に可撓性直立支持材6,16を沿わせるときの構成の一例を示す模式断面図である。
図4図4は、管洗浄用ノズル10が排水縦管Lを洗浄するときの様子を説明するための模式説明図である。
図5図5は、管洗浄用ノズル10が排水縦管Lを洗浄するときの様子を説明するための模式説明図である。
図6図6は、従来の管洗浄用ノズルを用いて、排水縦管Lを洗浄するときの様子を説明するための模式説明図である。
図7図7は、従来の管洗浄用ノズルを用いて、排水縦管Lを洗浄するときの様子を説明するための模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態の管洗浄用ノズル、排水縦管洗浄装置及び排水縦管洗浄方法を図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の管洗浄用ノズル10の模式説明図であり、(a)は正面模式図、(b)は高圧水噴射ノズル1及び耐圧ホース2の内部構造を説明するための部分模式断面図である。図1中、1は噴射口jを備えた高圧水噴射ノズル、5は矢じり状部材である。また、高圧水噴射ノズル1は耐圧ジョイント3により耐圧ホース2に接続されており、後述する高圧水洗浄機から高圧水が供給される。
【0019】
管洗浄用ノズル10は、耐圧ホース2から供給される高圧水を噴射することにより、排水縦管内を進行しながら管内壁に付着したスラッジを除去するためのノズルである。高圧水噴射ノズル1は、通水路R1,R2を有する軸体1bとキャップ部材1cとの間に配されたノズルヘッド1aを備える。ノズルヘッド1aは軸体1bの外周に摺動可能に支持されている。そして、耐圧ホース2から供給された高圧水は、軸体1bの通水路R1及び通水路R2の順に通過し、ノズルヘッド1aの噴射口jから高圧水を噴射する。このとき、噴射口jが適度な角度をもって高圧水を噴射するように設けられることにより、高圧水の噴射の勢いにより軸体1bを中心としてノズルヘッド1aが回転する。そして、排水縦管内において、ノズルヘッド1aが回転しながら、噴射口jから噴射される高圧水を管内壁に均一に当てることにより、管内壁に付着したスラッジを剥離させる。
【0020】
そして、キャップ部材1cの先端に矢じり状部材5が接続されている。矢じり状部材5は、例えばキャップ部材1cの先端に設けられたねじ穴に矢じり状部材5に接続されたボルトを螺合することにより固定したり、キャップ部材1cの先端に溶接して固定したりして先端に固定される。矢じり状部材5は矢じり状の先鋭部Tが高圧水噴射ノズル1の進行方向の先端に位置するように接続されている。
【0021】
図1に示すように、矢じり状部材5は、例えば、中心軸Cを中心として4枚の羽5a〜5dが接続された構成を備える。そして、各羽5a〜5dの形状は先端で一致して先鋭部Tを形成し、その輪郭は先鋭部Tから中心軸Cに対して垂直方向に凸状に円弧を描くような形状である。そして、矢じり状部材5の各羽5a〜5dの最外部を結んで形成される外周における最大径D1は、高圧水噴射ノズル1の最大径D2よりも大きい。中心軸Cの延長線は、高圧水噴射ノズル1の中心を通過する軸線Zに略一致する。また、矢じり状部材5においては、各羽5a〜5dに軽量化を目的として、孔hが設けられている。
【0022】
矢じり状部材5の形状は一例である。本発明における矢じり状部材は、中心軸から延びる少なくとも2枚以上の羽根を備え、先端に先鋭部を備えるような形状であれば特に限定されない。また、羽の枚数も2枚以上であればとくに限定されないが、3枚以上、とくには4枚以上備えるような形状であることが好ましい。また、中心軸Cの長さは、特に限定されず、配管の内径や、配管内部の閉塞状態によって適宜最適なサイズが選択される。中心軸Cの長さの一例としては、例えば50〜200mm程度が好ましい範囲として例示できる。また、矢じり状部材を形成する材質としては、ステンレス等の金属やセラミックスのような硬質の材質が好ましく用いられる。また、羽の厚さも配管内部の閉塞状態等によって、最適なものを選ぶことができるが、例えば1〜5mm程度が好ましい範囲として例示される。なお、矢じり状部材が重すぎる場合にはハンドリング性が低下する。従って、ハンドリング性を考慮して厚さを選ぶこともある。また、矢じり状部材5においては軽量化を目的として各羽の面内に、孔hを設けたが、もちろん、孔を形成しなくてもよい。
【0023】
次に、管洗浄用ノズルを用いた排水縦管の内部の洗浄方法、及びその洗浄方法に用いられる排水縦管洗浄装置の一実施形態について図2を参照しながら説明する。
【0024】
図2は、本実施形態の排水縦管洗浄方法を説明するための説明図である。図2中、2は耐圧ホースであり、6は可撓性直立支持材、10は管洗浄用ノズル、12は耐圧ホース2に高圧水を供給する高圧水洗浄機、13は耐圧ホース2と可撓性直立支持材6とを巻回させて収納するホースリールである。
【0025】
また、7は、可撓性直立支持材6を沿わせた耐圧ホース2を送り上げる送りローラである。また、8は分岐管であり、分岐管8は排水縦管Lに一端が接続される主路8a,主路8aから分岐する分岐路8b及び分岐路8bへ向かって送風するための送風口8c,止水シール材8dを備える。9は、送風口8cに接続され、分岐路8bに向けて送風するためのブロアーである。また、50は、分岐管8から排出されるスラッジS及び水Wを固液分離する固液分離装置である。固液分離装置50は、剥離させたスラッジを捕捉する網50aと排水ポンプ50bとを備える
【0026】
本実施形態の排水縦管洗浄方法においては、はじめに、排水縦管Lの低層階、好ましくは1階で排水縦管Lを切断する。そして、排水縦管Lの切断により形成された開口部に分岐管8をカップリング継手8eを用いて接続する。そして、耐圧ホース2の先端に装着された管洗浄用ノズル10を排水縦管Lの開口部から侵入させる。
【0027】
そして、送りローラ7に可撓性直立支持材6を沿わせた耐圧ホース2を挟持させ、送りローラ7を回転させることにより、排水縦管L内において、それらを低層階側から高層階側に向かって送り上げる。ホースリール13からは、可撓性直立支持材6を沿わせた耐圧ホース2が順次繰り出される。
【0028】
このとき、ホースリール13から繰り出された耐圧ホース2を排水縦管Lの管内の低層階側(1F)から高層階側(11F)に向けて送り出しながら、高圧水洗浄機12から高圧水を送り、管洗浄用ノズル10の高圧水噴射ノズル1の噴射口jから進行方向に対して側面、又は斜め後方に高圧水を噴射させる。
【0029】
なお、排水縦管Lが高層建物の排水縦管である場合、図2に示すように、耐圧ホース2は可撓性直立支持材6で支えられていることが高層階まで耐圧ホース2を直立させたまま送り上げることが容易になる点から好ましい。可撓性直立支持材とは、巻回可能な可撓性と巻回状態から解放して直線状に賦形したときに直立性を保持する線状または管状の部材である。このような可撓性直立支持材は、可撓性を有するために作業現場へ巻回した状態で運搬することができるとともに、排水縦管内においては直立性を維持することができる。可撓性直立支持材で耐圧ホースを支える構造としては、例えば、図3(a)に示すように、耐圧ホース2の外側にグラスファイバーロッドやカーボンファイバーロッドのような可撓性を有するロッドである可撓性直立支持材6を沿うようにして固定したり、図3(b)に示すように、耐圧ホース2の管内に可撓性直立支持材6を収容したり、図3(c)に示すように、アルミニウム三層管のような管状の可撓性直立支持材16の管内に耐圧ホース2を収容したりするようにして、耐圧ホース2に直立性を付与するような構造が挙げられる。
【0030】
可撓性を有するロッドとしては、例えば、建築物の配線のための入線ロッドとして広く用いられているような弾性ロッドが特に好ましく用いられる。弾性ロッドの具体例としては、例えば、グラスファイバー,カーボンファイバー,スチールファイバー,セラミックファイバー等で補強された繊維強化プラスチックを主体とするようなロッドが好ましく用いられる。また、管状の可撓性直立支持材としては、例えば、アルミニウム管の内層と外層をポリエチレン等の樹脂で被覆したアルミニウム三層管やフレキシブル金属チューブ(パイプ)のような直立性フレキシブルチューブ等のような、巻回可能な可撓性と巻回状態から解放したときに直立性を有する管状の部材等が挙げられる。
【0031】
そして、図4の管洗浄用ノズル10付近の拡大図に示すように、排水縦管Lの内壁面に固着したスラッジSは、管洗浄用ノズル10の高圧水噴射ノズル1から噴射される高圧の水Wにより破壊される。管洗浄用ノズル10は、排水縦管L内の低層階側から高層階側に送り出されながら、排水縦管L内を低層階側から高層階側に向かって清浄化していく。このとき、矢じり状部材5は先細りの矢じり状の先鋭部Tを有するために、厚いスラッジS1,S2が固着して管の内径が細くなった部分が存在する場合には、各羽5a〜5dの円弧状のエッジが先鋭部Tを管の中心部のスラッジが存在しない部分を通過するように誘導するために、厚いスラッジS1,S2に管洗浄用ノズル10が引っ掛かることなく、厚いスラッジS1,S2を各羽5a〜5dで崩しながら、進行させることができる。また、先鋭部Tが管の中心近傍を通過することにより、高圧水噴射ノズル1が排水縦管Lの内壁にもたれないために、噴射される高圧の水Wを内壁に均等に当てることができる。さらに、矢じり状部材5自身によっても前方のスラッジを崩すこともできる。
【0032】
また、図5の管洗浄用ノズル10付近の拡大図に示すように、排水縦管Lが分岐する横管Yに接続されている場合、管洗浄用ノズル10は、矢じり状部材5の各羽5a〜5dがその円弧状のエッジによって排水縦管Lから分岐する横管Yの開口した接続部に引っかかることを回避するように誘導するために、管洗浄用ノズル10を直線状に進行させることができる。
【0033】
このような排水縦管洗浄方法においては、矢じり状部材5の外径D1は、排水縦管の内径の閉塞状況によって適宜最適なサイズが選択されるが、例えば、矢じり状部材5の外径D1は、排水縦管の内径の0.4倍〜0.8倍、さらには0.5倍〜0.75倍であることが、先鋭部Tを管内の中心付近を通過させやすい点から好ましい。
【0034】
そして、図4及び図5に示すように、排水縦管Lの内壁面に固着していた崩されたスラッジSは、排水縦管L内を水Wとともに落下する。そして、落下するスラッジSと水Wとは、図2に示すように、分岐管8の主路8aと分岐路8bとの分岐点に達したときに、ブロアー9からの風により分岐路8bへ吹き飛ばされる。そして、分岐路8bから排出されたスラッジS及び水Wは、固液分離装置50へ送られ、固液分離された後、処理される。
【0035】
以上、本発明に係る管洗浄用ノズル、排水縦管洗浄装置及び排水縦管洗浄方法の実施形態を詳しく説明した。発明に係る管洗浄用ノズル、排水縦管洗浄装置及び排水縦管洗浄方法は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更して用いられてもよい。例えば、高圧水噴射ノズルの構造は上述したものに限られず、数多くの従来から知られた高圧水噴射ノズルの構造が特に限定なく採用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 高圧水噴射ノズル
2 耐圧ホース
3 耐圧ジョイント
5 矢じり状部材
5a〜5d 羽
6 (ロッド状)可撓性直立支持材
10 管洗浄用ノズル
12 高圧水洗浄機
13 ホースリール
16 (管状)可撓性直立支持材
20 排水縦管洗浄装置
【要約】
【課題】排水縦管を低層階から高層階に向けて洗浄する場合に、内壁に固く付着したスラッジや排水縦管につながる排水横管との接続口で高圧水噴出ノズルが引っ掛かることを防止して高圧水噴出ノズルをスムーズに進行させ、また、噴出される噴射水を内壁に均等に噴射させたりするための管洗浄用ノズル装置、排水縦管洗浄装置及び排水縦管洗浄方法を提供する。
【解決手段】管内を進行しながら管内壁に付着したスラッジを除去するための管洗浄用ノズル装置であって、耐圧ホースを経て供給される高圧水を後方に噴射する高圧水噴出ノズルと、高圧水噴出ノズルの軸線方向の先端に配置される矢じり状部材と、を備え、矢じり状部材の外径が高圧水噴出ノズルの外径よりも大きい管洗浄用ノズル装置を用いる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7