(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パンフレームの前記幅方向の一端部に固定された前記サイドフレームと前記パンフレームの前記幅方向の他端部に固定された前記サイドフレームとの間を連結する連結部材を備え、
該連結部材は、前記サイドフレームの各々と溶接にて接合されており、
前記連結部材と前記サイドフレームとの接合領域のうちの少なくとも一部は、前記連結部材から見て前記窪み部と同じ側に位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシート用フレーム。
前記パンフレームの前記幅方向の一端部に固定された前記サイドフレームと前記パンフレームの前記幅方向の他端部に固定された前記サイドフレームとの間を連結する連結部材を備え、
該連結部材は、前記サイドフレームの各々と溶接にて接合されており、
前記幅方向から見たときの前記連結部材の中心を通過する仮想平面のうち、前記窪み部を通過する該仮想平面は、前記連結部材と前記サイドフレームとの接合領域を通過することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート用フレーム。
前記サイドフレームの下端部のうち、前記窪み部の下方位置にある領域は、前記窪み部よりも外側に突出していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート用フレーム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パンフレームに対してサイドフレームを適切に取り付ける上でサイドフレーム側の剛性、より厳密にはサイドフレームのパンフレームに対する取り付け剛性が確保されていなければならない。
また、特許文献1に開示されたシートクッションフレームでは、一対のサイドフレーム同士を連結する連結部材が設けられているが、この連結部材とサイドフレームとを溶接にて接合する場合には、サイドフレームの剛性の更なる向上が期待できる箇所で溶接を行うことが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パンフレームの幅方向の両端部の各々にサイドフレームが固定されている構造のシート用フレームとして、サイドフレームのパンフレームに対する取り付け剛性が向上したシート用フレームを提供することである。
また、本発明の他の目的は、サイドフレーム同士を連結する連結部材とサイドフレームとが溶接にて接合している構成のシート用フレームにおいて、サイドフレームの剛性を更に向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明のシート用フレームによれば、パンフレームと、該パンフレームの幅方向の両端部の各々に固定されているサイドフレームと、を備えるシート用フレームであって、前記サイドフレームは、該サイドフレームの上端部が前記幅方向内側に折れ曲がることで形成されたフランジにて前記パンフレームに固定されており、前記フランジのうち、前記パンフレームに固定されている部分には、前記幅方向の内側に向かって窪んだ窪み部が形成されて
おり、該窪み部は、第1窪み部と、前記シート用フレームの前後方向において前記第1窪み部の後方で前記第1窪み部と隣接する位置に設けられた第2窪み部と、を有し、前記第1窪み部は、前記第2窪み部よりも前記幅方向の内側に窪んでいることにより解決される。
上記のシート用フレームでは、サイドフレームの上端部に形成されたフランジのうち、パンフレームに固定されている部分に窪み部が設けられている。この窪み部は、サイドフレームを折り曲げることで構成されている。すなわち、サイドフレーム中には上記の窪み部を設けるために折り曲げられた部分が形成され、この折り曲げられた部分が形成されることで窪み部及びその周辺部分の剛性が向上する。そして、上記のシート用フレームでは、剛性が向上した部分にてサイドフレームがパンフレームに固定されている。このように上記のシート用フレームではサイドフレームが高剛性の部分にてパンフレームに固定される結果、サイドフレームのパンフレームに対する取り付け剛性が向上することとなる。
【0007】
また、上記のシート用フレームにおいて、前記窪み部は、該窪み部の中で最も前記幅方向の内側に位置する底部を備え、前記サイドフレームは、前記フランジのうち、前記窪み部が位置する部分が前記パンフレームに溶接されることで前記パンフレームに固定されており、前記フランジと前記パンフレームとの溶接領域は、前記幅方向において前記底部よりも内側に位置し、かつ、前記シート用フレームの前後方向において前記底部に沿って形成されていることとしてもよい。
以上の構成では、フランジとパンフレームとの溶接領域が、窪み部の底部よりも内側で、当該底部に沿って形成されている。このため、上記溶接領域及びその周辺の剛性が高まり、結果として、サイドフレームのパンフレームに対する取り付け剛性が更に向上することになる。
【0008】
また、上記のシート用フレームにおいて、前記前後方向における前記窪み部の長さが前記溶接領域の長さよりも長いと、好適である。
以上の構成では、窪み部の長さがフランジとパンフレームとの溶接領域(すなわち、溶接痕)の長さよりも長くなっているため、窪み部には上記の溶接領域からはみ出た領域が存在することになる。このように溶接領域からはみ出た領域が窪み部に備わっていることで、パンフレームに対するサイドフレームの取り付け位置に作用する荷重を分散させ、溶接領域への荷重集中を抑制することが可能となる。
また、上記のシート用フレームにおいて、前記窪み部の一部と前記溶接領域の一部とが前記前後方向において同じ位置に配置されているとよい。
【0009】
また、上記のシート用フレームにおいて、
前記溶接領域は、前記前後方向において互いに離れた位置に複数形成されており、複数の前記溶接領域のうちの第1溶接領域は、前記前後方向において前記第1窪み部と同じ位置にあり、複数の前記溶接領域のうちの第2溶接領域は、前記前後方向において前記第1溶接領域よりも後方位置にあり、前記前後方向において、前記第1窪み部の後端部分と前記第2窪み部の前端部分との境界位置が前記第1溶接領域と前記第2溶接領域との間に位置していると、より好適である。
以上の構成では、サイドフレーム中、第1窪み部の後端にあり比較的低剛性となった部分が、比較的高剛性である溶接領域の間に挟まれた位置に配置されている。この結果、第1窪み部の後端部分の剛性が低下するのを抑制することが可能となる。
【0010】
また、上記のシート用フレームにおいて、前記パンフレームの前記幅方向の一端部に固定された前記サイドフレームと前記パンフレームの前記幅方向の他端部に固定された前記サイドフレームとの間を連結する連結部材を備え、該連結部材は、前記サイドフレームの各々と溶接にて接合されており、前記連結部材と前記サイドフレームとの接合領域のうちの少なくとも一部は、前記連結部材から見て前記窪み部と同じ側に位置すると、より一層好適である。
以上の構成では、連結部材とサイドフレームとの接合領域のうちの少なくとも一部と窪み部とが連結部材から見て互いに同じ側に位置する。つまり、サイドフレーム中、より高剛性となった窪み部や接合領域が連結部材から見て互いに同じ側に位置する結果、窪み部及びその周辺の部分の剛性が尚一層向上する。
【0011】
また、上記のシート用フレームにおいて、前記パンフレームの前記幅方向の一端部に固定された前記サイドフレームと前記パンフレームの前記幅方向の他端部に固定された前記サイドフレームとの間を連結する連結部材を備え、該連結部材は、前記サイドフレームの各々と溶接にて接合されており、前記幅方向から見たときの前記連結部材の中心を通過する仮想平面のうち、前記窪み部を通過する該仮想平面は、前記連結部材と前記サイドフレームとの接合領域を通過すると、更に好適である。
以上の構成では、幅方向から見たときの連結部材の中心を通過する仮想平面のうち、窪み部を通過する仮想平面が常に連結部材とサイドフレームとの接合領域を通過する。つまり、連結部材の中心と第1窪み部とを通過する仮想平面上に連結部材とサイドフレームとの接合領域が存在することになるので、サイドフレーム中、上記仮想平面に沿って広がる領域の剛性が向上することとなる。
【0012】
また、上記のシート用フレームにおいて、前記サイドフレームの下端部のうち、前記窪み部の下方位置にある領域は、前記窪み部よりも外側に突出していると、尚一層好適である。
以上の構成では、サイドフレーム中、窪み部を設けるために窪ませた部分がサイドフレームの下端まで達しておらず途中で途切れている。換言すると、前後方向において窪み部が設けられた位置では、サイドフレームに凹凸が形成されているので、当該凹凸の形成によりサイドフレームの剛性が一段と向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サイドフレームの上端部に形成されたフランジ部のうち、パンフレームに固定されている部分が高剛性な窪み部となっていることで、サイドフレームのパンフレームに対する取り付け剛性が向上することとなる。
また、本発明によれば、サイドフレームのうち、パンフレームに溶接された部分及びその周辺部分において剛性の向上を図ることが可能となる。
また、本発明によれば、パンフレームに対するサイドフレームの取り付け位置に作用する荷重を分散させ、溶接領域への荷重集中を抑制することが可能となる。
また、本発明によれば、サイドフレーム中、窪み部(第1窪み部)の後方位置にある部分について、剛性の低下を抑制することが可能となる。
また、本発明によれば、サイドフレーム中、サイドフレーム同士を連結する連結部材とサイドフレームとの接合領域及び窪み部の間の位置関係に応じる形で、窪み部及びその周辺の部分の剛性が更に向上する。
また、本発明によれば、サイドフレーム中、サイドフレーム同士を連結する連結部材の中心と窪み部とを通過する仮想平面に沿って広がる領域の剛性が向上する。
また、本発明によれば、サイドフレーム中、前後方向において窪み部が設けられた位置では、側壁に凹凸が形成されているので、当該凹凸の形成によりサイドフレームの剛性が一段と向上することになる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係るシート用フレームについて、
図1乃至7を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0016】
本実施形態に係るシート用フレームは、車両用シートのフレーム、特に、車両用シートのシートクッションS用のフレーム(以下、シートクッションフレーム1)である。このシートクッションフレーム1は、
図1に示すように、左右一対のサイドフレーム11と、パンフレーム12と、メンバーパイプ13と、Sバネ14、15と、連結部材としての連結パイプ16とを主な構成要素として備える。
【0017】
そして、シートクッションフレーム1は、
図2に示すように、パンフレーム12及びSバネ14、15の上に載置されたクッションパッド2a及びクッションパッド2aを覆う表皮材2bとともにシートクッションSを構成する。なお、一般的な車両用シートの場合、シートクッションSの後端部には不図示のリクライニング機構を介して不図示のシートバックが組み付けられる。つまり、シートクッションフレーム1の後端部には、シートバックの骨格を構成する不図示のシートバックフレームが組み付けられる。
【0018】
以下、シートクッションフレーム1の各構成部品の基本構成について説明する。
左右一対のサイドフレーム11は、シートクッションフレーム1の幅方向両端部に位置し、シートクッションSの幅を規定している。各サイドフレーム11は、シートクッションフレーム1の前後方向に長い板金フレームである。サイドフレーム11の後端部は、
図1に示すように、屈曲して斜め上方に向かって延出している。そして、サイドフレーム11の後端部には、前述したように、リクライニング機構を介してシートバックフレームが組み付けられる。
【0019】
また、各サイドフレーム11の上端部は、幅方向内側に向けて略90度折り曲げられることでフランジ11bを形成している。なお、本実施形態では、各サイドフレーム11の下端部においても同様にフランジ11bが形成されているが、少なくとも上端部にフランジ11bが形成されていればよく、下端部にはフランジ11bが形成されていなくてもよい。なお、左右一対のサイドフレーム11のうち、車両ドアにより近い側にあるサイドフレーム11の側壁11cの外表面には、車両用シートの高さを調整する高さ調整機構を駆動するための操作レバー及びギア輪列がユニット化された駆動ユニット(不図示)が取り付けられている。
【0020】
また、
図1に示すように、サイドフレーム11の間にはメンバーパイプ13、Sバネ14、15及び連結パイプ16が配置されており、これらの部品によってサイドフレーム11同士が連結する。より具体的に説明すると、各サイドフレーム11の後端部にはメンバーパイプ13の取り付け孔が形成されており、当該取り付け孔に挿入されたボルトやピン等の締結部品によってメンバーパイプ13が各サイドフレーム11に取り付けられている。また、
図1に示すように、各サイドフレーム11の内壁面のうち、メンバーパイプ13の前方に位置する領域には貫通孔を有する凸部11aが形成されており、かかる凸部11aの貫通穴にSバネ14、15の端部が係止されることでSバネ14、15が各サイドフレーム11に取り付けられている。
【0021】
さらに、各サイドフレーム11の前端部には取り付け孔が形成されている。この取り付け孔に連結パイプ16の端部が挿入された上で、サイドフレーム11中、取り付け孔の外縁部と連結パイプ16の外周面とが溶接接合されている。これにより、連結パイプ16が各サイドフレーム11に取り付けられている。なお、サイドフレーム11と連結パイプ16との接合領域、すなわち、溶接痕は、連結パイプ16の中心に対して対称的な位置に2箇所ある。具体的に説明すると、
図3に示すように、各溶接痕は、略1/4円弧の形状をなし、連結パイプ16の中心からサイドフレーム11の上端フランジ11bを垂直に貫く仮想線を基準(0度の位置)としたときの80度から180度の範囲、及び、260度から360度の範囲に設けられている。
【0022】
パンフレーム12は、平面視で幅方向に長い矩形状の板金フレームであり、左右一対のサイドフレーム11の前端部に架設されている。つまり、パンフレーム12の幅方向両端部にはサイドフレーム11の前端部が固定されている。より具体的に説明すると、各サイドフレーム11は、上端に形成されたフランジ11bがパンフレーム12の幅方向両端部に溶接されることでパンフレーム12に固定されている。ここで、パンフレーム12の幅方向は、シートクッションフレーム1の幅方向と一致する方向である。
なお、パンフレーム12にサイドフレーム11が固定された状態において、パンフレーム12の幅方向両端は、サイドフレーム11(厳密には、サイドフレーム11の上端に形成されたフランジ11b)の外側端よりも内側に位置している。
【0023】
また、
図2に示すように、パンフレーム12の前端部12aは下方に向かって略90度折り曲げられており、その下端部分には、公知の係止方法によって表皮材2bの端部が係止されている。
【0024】
また、
図1や2に示すように、パンフレーム12の下方位置には連結部材としての連結パイプ16が配置されている。この連結パイプ16は、後面衝突時のサブマリン現象、すなわち、着座状態にある乗員が後面衝突時に下方に沈み込む現象を抑制するために設けられたものであり、本実施形態では円筒パイプである。そして、本実施形態に係る連結パイプ16は、前述したように、その両端部が各サイドフレーム11の前端部に形成された取り付け孔に挿入された状態にあり、溶接にて各サイドフレーム11に接合されている。
【0025】
次に、本実施形態に係るシートクッションフレーム1の特徴的構成について
図1、3及び4を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、幅方向一端側のサイドフレーム11と幅方向他端側のサイドフレーム11とは、略同様の構成となっており、特に断る場合を除き、一方のサイドフレーム11(幅方向一端側のサイドフレーム11)の構成のみを説明する。
【0026】
本実施形態において、サイドフレーム11の上端に形成されたフランジ11bのうち、パンフレーム12に固定されている部分には、
図1や
図3に図示するように、窪み部としての第1窪み部11kと、第2窪み部11sとが形成されている。ここで、第1窪み部11k及び第2窪み部11sは、フランジ11bのうち、幅方向内側に窪むことによって構成された部分である。
【0027】
そして、本実施形態では、2つの窪み部(第1窪み部11k及び第2窪み部11s)がシートクッションフレーム1の前後方向において互いに異なる位置に設けられている。より具体的に説明すると、第1窪み部11kは、
図1や
図3に示すように、前後方向においてサイドフレーム11の前端よりもやや後方に設けられている。一方、第2窪み部11sは、前後方向において第1窪み部11kの後方で当該第1窪み部11kと隣接する位置に設けられている。
【0028】
第1窪み部11kについて詳細に説明すると、第1窪み部11kは、サイドフレーム11の側壁11cのうち、上下方向において上端から側壁11cの略中央に亘る部分を幅方向内側に窪ませることで形成される。これにより、フランジ11bには、平面視で横向きU字状をなす第1窪み部11kが形成される。なお、本実施形態では、
図4に示すように第1窪み部11kが第2窪み部11sよりも幅方向内側に窪んでいる。
【0029】
一方、サイドフレーム11の側壁11cのうちの下端部、より厳密には第1窪み部11kの下方位置にある領域には、
図5に示すように突出し部11pが形成されている。また、側壁11cのうち、第1窪み部11kより前方に位置する部分にも突出し部11pが形成されている。ここで、突出し部11pとは、第1窪み部11kや第2窪み部11sよりも幅方向外側に突出した部分であり、本実施形態では、サイドフレーム11の側壁11c中、窪んでいない部分が該当する。なお、突出し部11pについては、第1窪み部11kや第2窪み部11sよりも幅方向外側に突出している限りにおいては、幅方向内側に若干窪んだ部分を突出し部11pとしてもよく、或いはビード等が設けられていることで凹凸が形成された部分を突出し部11pとしてもよい。
【0030】
第1窪み部11kの構成について
図4を参照しながらより詳しく説明すると、第1窪み部11kは、互いに対向した位置にあり幅方向内側に向かって傾斜した一対の傾斜部11mと、傾斜部11mの間に形成され第1窪み部11kの中で最も幅方向内側に位置する底部11nとを備える。この底部11nは、前後方向に沿って延出している。なお、第1窪み部11kのうち、傾斜部11mと底部11nとがなす角部は、R状に湾曲した角部となっていてもよく、あるいは、鋭角状の角部となっていてもよい。
【0031】
次に、第2窪み部11sについて説明すると、第2窪み部11sは、サイドフレーム11の側壁11cのうち、上下方向において上端から下端よりも幾分上方位置に亘る部分を幅方向内側に窪ませることで形成される。なお、本実施形態では、サイドフレーム11の側壁11c中、第2窪み部11s形成のために窪ませた範囲内には、
図3に示すように、連結パイプ16の接合部分(つまり、連結パイプ16挿入用の取り付け孔が形成された部分)が含まれている。
【0032】
また、サイドフレーム11の側壁11cの下端部のうち、第2窪み部11sの下方位置にある領域には、突出し部11pが形成されている。さらに、本実施形態では、側壁11cのうち、第2窪み部11sの後方で当該第2窪み部11sと隣接する部分にも突出し部11pが形成されている。
【0033】
第2窪み部11sの構成について
図3及び
図4を参照しながら詳しく説明すると、第2窪み部11sは、第1窪み部11kが備える後側の傾斜部11mと隣接する底部11uと、第1窪み部11kの傾斜部11mとは反対側で底部11uと隣接する傾斜部11tと、を有する。この底部11uは、前後方向に沿って延出している。
【0034】
以上のように本実施形態では、サイドフレーム11の上端に設けられたフランジ11bに複数の窪み部、すなわち、第1窪み部11k及び第2窪み部11sが設けられている。これにより、サイドフレーム11のフランジ11bの剛性が向上することになる。換言すると、サイドフレーム11の側壁11cには、フランジ11bに窪み部を設けるために折り曲げられた部分が存在する。一方、サイドフレーム11の剛性は、折り曲げられた部分及びその周辺においてより高くなる。このように本実施形態では窪み部を設けることで、サイドフレーム11のフランジ11b、特にパンフレーム12に固定されている部分の剛性が高められている。さらに、本実施形態では、窪み度合いが異なる2つの窪み部が前後に隣接するように形成されている。これにより、サイドフレーム11の剛性を効率的に向上させることが可能となる。
【0035】
なお、本実施形態に係るサイドフレーム11では、その側壁11cの下端部のうち、第1窪み部11k及び第2窪み部11sの各々の下方位置にある領域に突出し部11pが形成されている。すなわち、本実施形態では、サイドフレーム11の側壁11c中、各窪み部を形成するために窪ませた部分が側壁11cの下端まで到達しておらず途中で途切れている。換言すると、前後方向において各窪み部が設けられた位置では、側壁11cに凹凸が形成されているので、当該凹凸の形成によりサイドフレーム11の剛性が一段と向上することになる。
【0036】
ところで、前述したように、サイドフレーム11は、その上端部に設けられたフランジ11b(厳密には、フランジ11bの上面)にてパンフレーム12に固定されている。そして、本実施形態では、フランジ11bのうち、パンフレーム12に固定されている部分に前述の第1窪み部11k及び第2窪み部11sが形成されている。換言すると、本実施形態に係るサイドフレーム11は、そのフランジ11bのうち、より高剛性となった窪み部(第1窪み部11k及び第2窪み部11s)の形成部分にてパンフレーム12に固定されている。これにより、サイドフレーム11のパンフレーム12に対する取り付け剛性が向上することとなる。
【0037】
より詳しく説明すると、サイドフレーム11をパンフレーム12に固定する際には、取り付け剛性の高い部分にて固定する目的から、サイドフレーム11のフランジ11bが取り付け箇所として選択される。本実施形態では、その中でも特に剛性の高い窪み部の形成部分にてサイドフレーム11をパンフレーム12に取り付ける。このように剛性の高い部分にてサイドフレーム11をパンフレーム12に取り付けることで、パンフレーム12に対するサイドフレーム11の固定状態を安定させることが可能となる。以上の効果は、シートの小型化に伴いサイドフレーム11が薄肉化したり軽量化したりした場合に特に有効である。
【0038】
パンフレーム12に対するサイドフレーム11の固定方法について説明すると、サイドフレーム11のフランジ11bのうち、前後方向において窪み部が位置する部分がパンフレーム12に溶接されている。このようにフレーム間の固定方法として溶接を用いると、各フレームの溶接領域とその周辺部分の剛性が向上する。これにより、サイドフレーム11の剛性の更なる向上を図ることが可能となる。なお、溶接領域とは、溶接痕、より具体的には溶接ビードのことである。
【0039】
溶接領域についてより詳しく説明すると、シートクッションフレーム1の一端側及び他端側にそれぞれ2箇所の溶接領域が存在し、当該2箇所の溶接領域は、シートクッションフレーム1の前後方向において互いに離れた位置に存在する。2箇所の溶接領域のうちの一方(以下、第1溶接領域B1)は、
図4に示すように、前後方向において第1窪み部11kと同じ位置にある。
【0040】
さらに詳しく説明すると、第1溶接領域B1は、幅方向において第1窪み部11kの底部11nよりも内側に位置し、かつ、前後方向において底部11nに沿って形成されている(つまり、前後方向に長く延出するように形成されている)。このように第1溶接領域B1が底部11nに沿って前後方向に長く形成されていれば、前後方向において第1溶接領域B1の長さを確保することが可能となる。この結果、第1溶接領域B1及びその周辺の剛性が高まり、サイドフレーム11のパンフレーム12に対する取り付け剛性が更に向上することになる。
【0041】
また、本実施形態では、フランジ11bのうち、前後方向において第1窪み部11kが位置している部分の存在範囲内に第1溶接領域B1が形成されている。換言すると、前後方向における第1窪み部11kの長さが第1溶接領域B1の長さよりも長くなっている。なお、第1窪み部11kの長さとは、第1窪み部11kの開口幅、すなわち、傾斜部11mの幅方向外側端同士の間の距離である。
【0042】
以上のようにフランジ11bのうち、前後方向において第1窪み部11kが位置している部分には、第1溶接領域B1よりも前方にはみ出た領域、及び、第1溶接領域B1よりも後方にはみ出た領域が存在することになる。このように第1溶接領域B1からはみ出た領域が第1窪み部11kの前後に備わっていることで、パンフレーム12からサイドフレーム11に向かって作用する荷重を分散させ、当該荷重が第1溶接領域B1に集中するのを抑制することが可能となる。
【0043】
なお、本実施形態とは異なる構成として、シートクッションフレーム1の前後方向における第1窪み部11kの長さが第1溶接領域B1の長さよりも短くなった構成を採用することとしてもよい。かかる構成であれば、第1溶接領域B1の長さが第1窪み部11kの長さよりも長くなることで、第1溶接領域B1への荷重集中の抑制効果の代わりに、溶接領域の形成による剛性向上の効果を得ることが可能となる。
【0044】
2箇所の溶接領域のうち、もう一方の溶接領域(以下、第2溶接領域B2)は、
図3及び4に示すように、フランジ11bのうち、前後方向において第1溶接領域B1よりも後方位置にある。本実施形態では、第2溶接領域B2が、前後方向においてサイドフレーム11中、連結部材である連結パイプ16の取り付け箇所よりも幾分後方に位置している。
【0045】
なお、第2溶接領域B2の形成位置については、
図3及び
図4に図示の位置に限定されず、例えば、
図6及び
図7に示すように前後方向においてサイドフレーム11中の連結パイプ16の取り付け箇所の直上位置に位置していることとしてもよい。かかる位置であれば、第2溶接領域B2及びその周辺の部分の剛性が更に向上する。
【0046】
また、本実施形態では、
図4に示すように、シートクッションフレーム1の前後方向において第1溶接領域B1と第2溶接領域B2との間に第1窪み部11kの後端部分と第2窪み部11sの前端部分との境界位置(
図4中、二点鎖線にて示す位置)が存在する。ここで、サイドフレーム11中、第1窪み部11kの後端部分については、剛性が低下する傾向にある。そこで、本実施形態では、第1窪み部11kの後端部分を前後方向において、溶接領域B1、B2が形成されて高剛性となった部分の間に挟み込むことにより、第1窪み部11kの後端部分の剛性低下を抑制することが可能となる。
【0047】
ところで、本実施形態では、連結パイプ16とサイドフレーム11とが溶接にて接合されており、前述したように、連結パイプ16の外周面に沿って2箇所の接合領域が存在する。このうち、より上方に位置する側の接合領域(以下、第1接合領域R1)は、連結パイプ16から見て第1窪み部11kと同じ側に位置している。すなわち、本実施形態では、連結パイプ16とサイドフレーム11との接合領域のうちの少なくとも一部は、連結パイプ16から見て第1窪み部11kと同じ側に位置している。このようにサイドフレーム11中、剛性向上に寄与する第1窪み部11kや第1接合領域R1が連結パイプ16から見て互いに同じ側に位置する結果、第1窪み部11k及びその周辺の部分の剛性が更に向上する。
【0048】
第1接合領域R1と第1窪み部11kとの位置関係について
図3を参照しながらより詳細に説明する。シートクッションフレーム1の幅方向から見たときの連結パイプ16の中心を通過する仮想平面のうち、第1窪み部11kを通過する仮想平面(
図3中、二点鎖線にて示す面)は、常に第1接合領域R1、及び、第1接合領域R1と対をなす接合領域(以下、第2接合領域R2)を通過する。ここで、第1窪み部11kを通過する仮想平面とは、第1窪み部11k中のいずれかの部分(具体的には、傾斜部11mや底部11n)に差し掛かる仮想平面である。
【0049】
以上のような位置関係により、本実施形態では、サイドフレーム11の剛性を更に向上させることが可能である。具体的に説明すると、連結パイプ16の中心と第1窪み部11kとを通過する仮想平面に沿って広がる領域には、連結パイプ16とサイドフレーム11との接合領域R1、R2が存在する。このようにサイドフレーム11中、連結パイプ16の中心と第1窪み部11kとを通過する仮想平面に沿って広がる領域内には第1接合領域R1及び第2接合領域R2が存在することで、上記仮想平面に沿って広がる領域の剛性が向上することとなる。
【0050】
さらにまた、連結パイプ16とサイドフレーム11との各接合領域R1、R2が、サイドフレーム11とパンフレーム12との溶接領域(厳密には、第2溶接領域B2)に近付いていると、尚一層剛性が向上する。このため、
図4や
図6に示すように、各接合領域R1、R2については、少なくとも一部分が上下方向において連結パイプ16の中心位置よりも上方に位置している。
【0051】
以上までに説明してきた構成により、本実施形態に係るシートクッションフレーム1では、サイドフレーム11の剛性、特に、パンフレーム12と溶接される部分の剛性が十分に確保される。この結果、パンフレーム12の幅方向両端部にサイドフレーム11を固定し、かかる固定状態を安定して保持することが可能となる。