(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347009
(24)【登録日】2018年6月1日
(45)【発行日】2018年6月20日
(54)【発明の名称】ふせんタイプの両面接着とじ具
(51)【国際特許分類】
B42F 11/00 20060101AFI20180611BHJP
C09J 7/20 20180101ALI20180611BHJP
【FI】
B42F11/00 A
C09J7/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-125783(P2012-125783)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-248821(P2013-248821A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2012年6月1日
【審判番号】不服2015-20700(P2015-20700/J1)
【審判請求日】2015年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】712001793
【氏名又は名称】喜田 健義
(72)【発明者】
【氏名】喜田 健義
【合議体】
【審判長】
黒瀬 雅一
【審判官】
藤本 義仁
【審判官】
吉村 尚
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−1769(JP,A)
【文献】
実開平7−19345(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00 - 23/00
C09J 7/00 - 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形の紙片もしくはフィルムの両面のそれぞれを二分する三角形の片側に着脱可能な接着剤塗布面を設け、方形の紙片もしくはフィルム上の接着剤塗布面をまず、貼り付けようとする用紙等の対象物に貼り付けて、次に来る貼り付けようとする用紙等の対象物を重ねることにより、繰り返し着脱でき、接着剤塗布面との境界線に平行な位置合わせのための線を設け、貼り付けようとする用紙等の対象物の隅において貼り付けることができ、これにより小さな接着力で貼り付けようとする用紙等の対象物の接合を可能とすることができ、剥離紙を必要とせず直接方形の紙片もしくはフィルムを積み重ねた状態で提供できることを特徴とするふせんタイプの両面接着とじ具。
【請求項2】
方形の紙片もしくはフィルムの両面のそれぞれを二分する長方形の片側に着脱可能な接着剤塗布面を設け、方形の紙片もしくはフィルム上の接着剤塗布面をまず、貼り付けようとする用紙等の対象物に貼り付けて、次に来る貼り付けようとする用紙等の対象物を重ねることにより、繰り返し着脱でき、接着剤塗布面との境界線に平行な位置合わせのための線を設け、貼り付けようとする用紙等の対象物の辺において貼り付けることができ、これにより小さな接着力で貼り付けようとする用紙等の対象物の接合を可能とすることができ、剥離紙を必要とせず直接方形の紙片もしくはフィルムを積み重ねた状態で提供できることを特徴とするふせんタイプの両面接着とじ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類を容易に、見映え良くとじることを可能とするとじ具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、書類をとじる場合、クリップ等で圧力をかけて固定するものを除けば、書類のマージン部分に穴を開けて、紐やひも状プラスチックもしくは細い金属パイプをもって該穴に通す事でとじていた。より簡便な方法としては、ステープラによって、複数枚の書類をとじることを成してきた。近年は、用紙に小穴を穿ち、これによって生じた小紙片を絡ませる事で接合を成すものもある。
【0003】
しかし、これらの方法は、いずれも用紙に穴を開ける必要があった。また、ひとたび結合すると用紙を取り外すことが難しく、用紙の破損を伴う事があった。つまり、用紙の差し替えは容易ではなく、コピーをとるにも取り外す手間が負担となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−022225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステープラ等でとじた書類の全部もしくは一部をコピーする際に、複写物に穴のあとが写るので見映えが悪かった。また、書類の一部用紙を差し替える必要が生じた場合、容易には用紙を取り出せないので、コピーを取ったりする際に手間が掛かった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、用紙に穴を開けずにとじられ、かつ容易にとじた状態から用紙を取り出せる方法で、課題を解決しようとするものである。
【0007】
請求項1に関わる技術は、方形の紙もしくはフィルム上の着脱可能な接着剤塗付面1と4により、重ねようとする用紙を接合するものである。着脱可能な接着剤による接合なので、容易にとじた状態から任意の用紙を取り出せ、また元に戻す事ができる。
【0008】
請求項2に関わる技術は、方形の紙もしくはフィルム上の着脱可能な接着剤塗付面5と8により、重ねようとする用紙を接合するものである。着脱可能な接着剤による接合なので、容易にとじた状態から任意の用紙を取り出せ、また元に戻す事ができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のとじ具は、とじようとする用紙に穴を開けずにとじられるので、とじた状態から任意の用紙をはずしてコピーをとった場合、穴が写らないので見映えが良い。着脱可能な接着剤で結合してあるので、容易に任意の用紙を取り外す事ができて、用紙を差し替えたり、コピーを取ったりする際に手間が掛からないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は請求項1に関わるとじ具の平面図である。
【
図2】
図2は請求項1に関わるとじ具の底面図である。
【
図3】
図3は請求項1に関わるとじ具を用紙上の1つの角に付した図である。
【
図4】
図4は請求項1に関わるとじ具でとじた用紙をめくり挙げた状態を示す図である。
【
図5】
図5は請求項2に関わるとじ具の平面図である。
【
図6】
図6は請求項2に関わるとじ具の底面図である。
【
図7】
図7は請求項2に関わるとじ具を用紙上の1つの辺に付した図である。
【
図8】
図8は請求項2に関わるとじ具でとじた用紙をめくり挙げた状態を示す図である。
【
図9】
図9は両とじ具をふせんタイプに供した参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
請求項1に関わる技術の実施において、方形の紙片もしくはフィルム上の接着剤塗付面を最下段の用紙の左上隅に貼り付けて、次に来る用紙を重ねる。該とじ具をさらに貼り付けて用紙を重ねる。これを必要枚数繰り返す事で用紙をとじ合わせる事ができる。
【0012】
用紙をめくり上げる際に、接着剤が塗布されていない部分3が用紙のめくり上がる動きにともなってめくり上がるが、この弾性変形に伴う復元力が用紙をめくり上げようとする力に対して拮抗する方向に働くため、めくりすぎになる力を減少させる。このため用紙をめくる力に対しては抵抗性があり、はがれにくい。
【0013】
とじられた用紙から1枚を取り出す際には、3もしくは7の部分を指で引き上げれば容易に用紙をはがす事ができる。
【0014】
用紙の中に名刺等の厚手紙片を貼り付ける事も、見映え良く容易にできる。該とじ具上に印刷された線2と6は、外部紙片等を貼り付ける際に正確な位置決めを可能にするので水平、垂直が用紙と紙片との間で確保できて、見映え良く貼り付ける事ができる。はがす際には、3もしくは7を指で持って引き上げれば、容易に紙片等をはがす事ができて破損することがない。
【0015】
本願名称に用いた、ふせんタイプとは、以下の意味である。個々のとじ具をその接着面で結合させる事で重ね合わせた状態から、その非接合面を指で持ち上げる事で1枚のとじ具を取り出すことが出来る形態を持つものである。
【0016】
請求項2に関わる技術の実施において、方形の紙片もしくはフィルム上の接着剤塗付面を最下段の用紙の左辺にあわせて貼り付けて、次に来る用紙を重ねる。該とじ具をさらに貼り付けて用紙を重ねる。これを必要枚数繰り返す事で用紙をとじ合わせる事ができる。
【0017】
用紙をめくり上げる際に、接着剤が塗布されていない部分7が用紙のめくり上がる動きにともなってめくり上がるが、この弾性変形に伴う復元力が用紙をめくり上げようとする力に対して拮抗する方向に働くため、めくりすぎになる力を減少させる。このため用紙をめくる力に対しては抵抗性があり、はがれにくい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
書類の大量保管はパソコンによる管理が一般化しており、書類の物理的保管は問題とはならなくなっているが、一方、数枚の書類の閲覧、配布の必要性は高いものがあると言える。一般的に、ステープラによるとじ合わせが用いられており、これはとじ合わせた書類の一部もしくは全部をコピーしたり、差し替えたりする場合、ステープラの金具を取り外さなければならず、かつ金具による穴が開いた用紙をコピーすることになり、手間が掛かり、見映えも悪かった。本願発明は、これらを解消できるので、企業等での事務効率が向上し、利用価値が大きいと見込まれる。
【0019】
営業活動において、案内状、紹介状等に名刺を添える必要が多く発生するが、名刺はステープラで止められている。ステープラの腕が短いので用紙の角やふちにしか止められず、文章を遮ってしまうし、名刺を金属ピンで刺し止めることは抵抗感があり、顧客から見てもイメージの良いものとはならない。
【0020】
本願発明を用いれば用紙中央部分に設けた名刺貼り付け用スペースに貼りつけられるので文章を遮らず、全体として見映えも良く、顧客が名刺を簡単にはがせるので後日の利用に用いられる可能性も大きくなり、営業活動の効果を高める事ができる。
【0021】
チケット、クーポン等営業活動に用いられる小紙片を案内状等に見映え良く貼りつけられるので、マーケティング活動の有力なツールとしての利用が可能となる。
【0022】
ステープラ本体と金属製ピンを使用しなくても済むので、省資源効果がある。
【符号の説明】
【0023】
1 接着剤塗布面(表)
2 位置合わせの線
3 指で持つ部分
4 接着剤塗布面(裏)
5 接着剤塗布面(表)
6 位置合わせの線
7 指で持つ部分
8 接着剤塗布面(裏)