特許第6347029号(P6347029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347029
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/08 20060101AFI20180618BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20180618BHJP
   G10L 15/20 20060101ALI20180618BHJP
   G10L 21/0208 20130101ALI20180618BHJP
【FI】
   H04M9/08
   H04R3/00 310
   G10L15/20 370F
   G10L21/0208 100B
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-56065(P2014-56065)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-179932(P2015-179932A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 一樹
【審査官】 西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−294168(JP,A)
【文献】 特開2011−066668(JP,A)
【文献】 特開2000−244669(JP,A)
【文献】 特開2008−306535(JP,A)
【文献】 特開2002−091469(JP,A)
【文献】 特開2007−142815(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0033030(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 13/00−99/00
H04M 9/00− 9/10
H04R 3/00− 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子機マイク及び子機スピーカを有する玄関子機と、有線の伝送路及び無線の伝送路のうち何れかの伝送路を経由して接続され前記玄関子機の前記子機マイク及び前記子機スピーカとの間で通話を行うための音声信号を入出力する親機マイク及び親機スピーカを有する居室親機とを設け、
前記居室親機は、前記親機マイクに入力された送話アナログ音声信号を送話デジタル音声信号にアナログ/デジタル変換するとともに前記玄関子機の前記子機マイクに入力され前記伝送路を経由して伝送されてくる受話デジタル音声信号を受話アナログ音声信号にデジタル/アナログ変換して前記親機スピーカから出力させる親機音声コーデックと、前記親機音声コーデックから前記伝送路に送出される前記送話デジタル音声信号及び前記伝送路から前記親機音声コーデックに送出される前記受話デジタル音声信号について送受信制御を行う音声処理部とを備え、
前記音声処理部は、電源投入時に前記親機スピーカから出力させるテスト信号を生成して前記親機音声コーデックに送出するテスト信号生成回路と、前記親機音声コーデックを経由して前記デジタル/アナログ変換された後に前記親機スピーカから前記親機マイクに音響帰還され前記親機音声コーデックを経由して前記アナログ/デジタル変換された後に伝送されてくる前記テスト信号を記憶する録音回路と、前記テスト信号生成回路で生成された前記テスト信号及び前記録音回路に記憶された前記テスト信号をもとにインパルス応答を算出する伝達関数算出回路と、呼出時に前記親機スピーカから出力させる呼出音信号を生成して前記親機音声コーデックに送出する呼出音信号生成回路と、前記呼出音信号生成回路で生成された前記呼出音信号に前記伝達関数算出回路で算出された前記インパルス応答を畳み込み前記呼出音信号の音響帰還データを抑圧するための抑圧信号を生成する抑圧信号生成回路と、前記抑圧信号生成回路で生成された前記抑圧信号を前記親機スピーカから前記親機マイクへの音響帰還時間分遅延させて送出する遅延回路と、前記呼出時に前記呼出音信号生成回路で生成され前記親機音声コーデックを経由して前記親機スピーカから前記親機マイクに音響帰還された後、前記親機音声コーデックを経由して伝送されてくる前記呼出音信号に重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号より前記遅延回路から送出された前記抑圧信号を減算する減算回路と、前記減算回路からの出力信号をもとに前記呼出音信号が重畳された前記インターホン機能を能動とするための音声信号より当該音声信号を認識する音声認識処理回路とを有することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
子機マイク及び子機スピーカを有する玄関子機と、有線の伝送路及び無線の伝送路のうち何れかの伝送路を経由して接続され前記玄関子機の前記子機マイク及び前記子機スピーカとの間で通話を行うための音声信号を入出力する親機マイク及び親機スピーカを有する居室親機とを設け、
前記居室親機は、前記親機マイクに入力された送話アナログ音声信号を送話デジタル音声信号にアナログ/デジタル変換するとともに前記玄関子機の前記子機マイクに入力され前記伝送路を経由して伝送されてくる受話デジタル音声信号を受話アナログ音声信号にデジタル/アナログ変換して前記親機スピーカから出力させる親機音声コーデックと、前記親機音声コーデックから前記伝送路に送出される前記送話デジタル音声信号及び前記伝送路から前記親機音声コーデックに送出される前記受話デジタル音声信号について送受信制御を行う音声処理部とを備え、
前記音声処理部は、電源投入時及び呼出時に前記親機スピーカから出力させる呼出音信号を生成して前記親機音声コーデックに送出する呼出音信号生成回路と、前記電源投入時に前記親機音声コーデックを経由して前記デジタル/アナログ変換された後に前記親機スピーカから前記親機マイクに音響帰還され前記親機音声コーデックを経由して前記アナログ/デジタル変換された後に伝送されてくる前記呼出音信号を記憶する録音回路と、前記呼出時に前記録音回路から読出される前記呼出音信号を前記親機スピーカから前記親機マイクへの音響帰還時間分遅延させて送出する遅延回路と、前記呼出時に前記呼出音信号生成回路で生成され前記親機音声コーデックを経由して前記親機スピーカから前記親機マイクに音響帰還された後、前記親機音声コーデックを経由して伝送されてくる前記呼出音信号に重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号より前記遅延回路から送出された前記呼出音信号を減算する減算回路と、前記減算回路からの出力信号をもとに前記呼出音信号が重畳された前記インターホン機能を能動とするための音声信号より当該音声信号を認識する音声認識処理回路とを有することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項3】
前記音声認識処理回路は、前記インターホン機能を能動とするための音声信号の音響モデルを生成する音響モデル生成機能を備え、
前記音響モデル生成機能は、前記音響モデルを生成するとき、前記呼出音信号と同一の周波数を有する正弦波を背景雑音とする環境依存性が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有線の伝送路及び無線の伝送路のうち何れかの伝送路を経由して接続される玄関子機及び居室親機の間で音声信号を送受信して通話を行うインターホンシステムに係り、特に、音声信号の認識技術を有するインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のインターホンシステムとして、内線通話中やリモート操作中に外線からの着信があっても、強制終了されることがなく、着信することが可能な通信装置が開示されている。この通信装置によれば、外線通話中の通話またはリモート操作中の信号等において、着信を報知するための呼出音を重畳させることができる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−341292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術に記載の通信装置によれば、リモート操作中の信号等として例えば、インターホン機能を能動とするための音声信号に呼出音(呼出音信号)を重畳できるものの、このように呼出音(呼出音信号)が重畳された音声信号のうち当該音声信号のみを認識する手段が何ら備えられていなかった。
【0005】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、居室親機の親機スピーカから呼出音信号が出力されている当該システムの呼出時において、この呼出音信号が重畳されて親機マイクに入力される音声信号の認識精度を高めたインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホンシステムは、子機マイク及び子機スピーカを有する玄関子機と、有線の伝送路及び無線の伝送路のうち何れかの伝送路を経由して接続され玄関子機の子機マイク及び子機スピーカとの間で通話を行うための音声信号を入出力する親機マイク及び親機スピーカを有する居室親機とを設けている。居室親機には、親機マイクに入力された送話アナログ音声信号を送話デジタル音声信号にアナログ/デジタル変換するとともに玄関子機の子機マイクに入力され伝送路を経由して伝送されてくる受話デジタル音声信号を受話アナログ音声信号にデジタル/アナログ変換して親機スピーカから出力させる親機音声コーデックと、親機音声コーデックから伝送路に送出される送話デジタル音声信号及び伝送路から親機音声コーデックに送出される受話デジタル音声信号について送受信制御を行う音声処理部とを備えている。音声処理部は、電源投入時に親機スピーカから出力させるテスト信号を生成して親機音声コーデックに送出するテスト信号生成回路と、親機音声コーデックを経由してデジタル/アナログ変換された後に親機スピーカから親機マイクに音響帰還され親機音声コーデックを経由してアナログ/デジタル変換された後に伝送されてくるテスト信号を記憶する録音回路と、テスト信号生成回路で生成されたテスト信号及び録音回路に記憶されたテスト信号をもとにインパルス応答を算出する伝達関数算出回路と、呼出時に親機スピーカから出力させる呼出音信号を生成して親機音声コーデックに送出する呼出音信号生成回路と、呼出音信号生成回路で生成された呼出音信号に伝達関数算出回路で算出されたインパルス応答を畳み込み呼出音信号の音響帰還データを抑圧するための抑圧信号を生成する抑圧信号生成回路と、抑圧信号生成回路で生成された抑圧信号を親機スピーカから親機マイクへの音響帰還時間分遅延させて送出する遅延回路と、呼出時に呼出音信号生成回路で生成され親機音声コーデックを経由して親機スピーカから親機マイクに音響帰還された後、親機音声コーデックを経由して伝送されてくる呼出音信号に重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号より遅延回路から送出された抑圧信号を減算する減算回路と、減算回路からの出力信号をもとに呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号より当該音声信号を認識する音声認識処理回路とを有している。
【0007】
この態様のインターホンシステムによれば、当該システムの電源投入時において、居室親機の親機スピーカから出力させるテスト信号を音声処理部のテスト信号生成回路で生成し、このテスト信号が親機スピーカから親機マイクに音響帰還された後に録音回路に記憶される当該テスト信号とのインパルス応答を伝達関数算出回路で算出することができる。また、当該システムの呼出時において、親機スピーカから出力させる呼出音信号を呼出音信号生成回路で生成し、この呼出音信号に伝達関数算出回路で算出されたインパルス応答を畳み込む演算処理を抑圧信号生成回路で行い、遅延回路は、抑圧信号生成回路で生成された抑圧信号を親機スピーカから親機マイクへの音響帰還時間分遅延させて減算回路に送出し、減算回路は、親機マイクに入力される、呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号より遅延回路から送出された抑圧信号を減算して音声認識処理回路に送出することができる。したがって、音声認識処理回路は、親機スピーカから呼出音信号が出力されている呼出時において、この呼出音信号が重畳されて親機マイクに入力される、インターホン機能を能動とするための音声信号を認識することができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様であるインターホンシステムは、子機マイク及び子機スピーカを有する玄関子機と、有線の伝送路及び無線の伝送路のうち何れかの伝送路を経由して接続され玄関子機の子機マイク及び子機スピーカとの間で通話を行うための音声信号を入出力する親機マイク及び親機スピーカを有する居室親機とを設けている。居室親機には、親機マイクに入力された送話アナログ音声信号を送話デジタル音声信号にアナログ/デジタル変換するとともに玄関子機の子機マイクに入力され伝送路を経由して伝送されてくる受話デジタル音声信号を受話アナログ音声信号にデジタル/アナログ変換して親機スピーカから出力させる親機音声コーデックと、親機音声コーデックから伝送路に送出される送話デジタル音声信号及び伝送路から親機音声コーデックに送出される受話デジタル音声信号について送受信制御を行う音声処理部とを備えている。音声処理部は、電源投入時及び呼出時に親機スピーカから出力させる呼出音信号を生成して親機音声コーデックに送出する呼出音信号生成回路と、電源投入時に親機音声コーデックを経由してデジタル/アナログ変換された後に親機スピーカから親機マイクに音響帰還され親機音声コーデックを経由してアナログ/デジタル変換された後に伝送されてくる呼出音信号を記憶する録音回路と、呼出時に録音回路から読出される呼出音信号を親機スピーカから親機マイクへの音響帰還時間分遅延させて送出する遅延回路と、呼出時に呼出音信号生成回路で生成され親機音声コーデックを経由して親機スピーカから親機マイクに音響帰還された後、親機音声コーデックを経由して伝送されてくる、呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号より遅延回路から送出された呼出音信号を減算する減算回路と、減算回路からの出力信号をもとに呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号より当該音声信号を認識する音声認識処理回路とを有している。
【0009】
この態様のインターホンシステムによれば、当該システムの電源投入時において、居室親機の親機スピーカから出力させる呼出音信号を音声処理部の呼出音信号生成回路で生成し、この呼出音信号は、親機スピーカから親機マイクに音響帰還された後に録音回路に記憶することができる。また、当該システムの呼出時において、遅延回路は、録音回路から読出した呼出音信号を親機スピーカから親機マイクへの音響帰還時間分遅延させて減算回路に送出し、減算回路は、当該システムの呼出時に親機マイクに入力される、呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号より遅延回路から送出された呼出音信号を減算して音声認識処理回路に送出することができる。したがって、音声認識処理回路は、親機スピーカから呼出音信号が出力されている呼出時において、この呼出音信号が重畳されて親機マイクに入力される、インターホン機能を能動とするための音声信号を認識することができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様又は第2の態様において、音声認識処理回路は、インターホン機能を能動とするための音声信号の音響モデルを生成する音響モデル生成機能を備えており、音響モデル生成機能は、音響モデルを生成するとき、呼出音信号と同一の周波数を有する正弦波を背景雑音とする環境依存性が形成されるものである。
【0011】
この態様のインターホンシステムにおいて、音声認識処理回路は、インターホン機能を能動とするための音声信号の音響モデルを、呼出音信号と同一の周波数を有する正弦波を背景雑音とする環境依存性を持たせて生成することができる。したがって、音声認識処理回路は、親機スピーカから呼出音信号が出力されている呼出時において、この呼出音信号が重畳されて親機マイクに入力される、インターホン機能を能動とするための音声信号を認識するにあたり、その認識精度を適切かつ確実に高いレベルで確保できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインターホンシステムによれば、居室親機の親機スピーカから呼出音信号が出力されている当該システムの呼出時において、この呼出音信号が重畳されて親機マイクに入力される、インターホン機能を能動とするための音声信号の認識精度を、背景雑音のような環境依存性に対応させて適切かつ確実に高いレベルで確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1、第2の実施例によるインターホンシステムのシステム構成を示すブロック図。
図2】(A)本発明の第1の実施例によるインターホンシステムにおいて、居室親機の音声処理部の具体的な構成を示すブロック図。 (B)本発明の第2の実施例によるインターホンシステムにおいて、居室親機の音声処理部の具体的な構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のインターホンシステムを適用した実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1、第2の実施例によるインターホンシステムのシステム構成を示すブロック図である。このインターホンシステムには、例えば、住戸玄関等の住戸外に設置され来訪者が住戸内の居住者を呼び出して通話を行う玄関子機1と、住戸内に設置され、有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路を経由して接続される玄関子機1からの呼出しに応答した居住者が来訪者との間で通話を行う居室親機2a、2bとが設けられている。ここで、居室親機2a、2bのうち一方の居室親機2aは、第1の実施例で適用される第1の居室親機2aとする。また、他方の居室親機2bは、第2の実施例で適用される第2の居室親機2bとする。
【0016】
また、同図に示す玄関子機1は、子機操作部10、カメラ11、子機映像処理部12、子機マイク13、子機スピーカ14、子機音声コーデック15、子機電源供給部16及び子機I/F(インターフェース)17が備えられている。
【0017】
この玄関子機1において、子機操作部10は、来訪者が居住者を呼出すために操作するものであり、例えば、呼出ボタンで構成され、その操作によって呼出音信号を生成することができる。
【0018】
カメラ11は、呼出操作を行った来訪者の映像や住戸外(住戸玄関)の周囲近傍の映像(監視映像を含む)を撮像して映像信号を生成するものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種の映像撮像媒体で構成されている。また、子機映像処理部12は、カメラ11で生成された映像信号について例えば、FM変調、増幅等の所定の信号処理を行うものである。
【0019】
子機マイク13及び子機スピーカ14は、来訪者が居住者との間で通話を行うにあたってアナログ音声(送話音声、受話音声)信号を入出力するものである。また、子機音声コーデック15は、子機マイク13に入力された送話音声であるアナログ音声信号をデジタル音声信号にアナログ/デジタル変換(A/D変換)するとともに、第1、第2の居室親機2a、2bの後述する親機マイク22a、22bに入力され有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路を経由して伝送されてくる受話音声であるデジタル音声信号をアナログ音声信号にデジタル/アナログ変換(D/A変換)して子機スピーカ14から出力させるものである。
【0020】
なお、子機マイク13及び子機コーデック15の間には、子機マイク13に入力された送話音声であるアナログ音声信号を増幅するアンプ(図示せず)を備えることができる。また、子機コーデック15及び子機スピーカ14の間についても、子機スピーカ14から出力される受話音声であるアナログ音声信号を増幅するアンプ(図示せず)を備えることができる。
【0021】
子機電源供給部16は、第1、第2の居室親機2a、2bから有線の伝送路L1を経由して電源供給されてくる後述の子機用電源を受電して当該子機の構成各部に供給する、又は第1、第2の居室親機2a、2bから無線の伝送路L2を経由して例えば、非接触給電で電源供給されてくる後述の子機用電源を受電して当該子機の構成各部に供給するものである。
【0022】
子機I/F17は、子機操作部10から有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路への信号伝送ラインと、子機映像処理部12から有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路への信号伝送ラインと、子機音声コーデック15及び有線の伝送路L1の間の信号伝送ライン、あるいは子機音声コーデック15及び無線の伝送路L2の間の信号伝送ラインと、第1の伝送路L1及び第2の伝送路L2のうち何れかの伝送路から子機電源供給部16への電源供給ラインと、をそれぞれ形成するものである。
【0023】
さらに、同図に示す第1、第2の居室親機2a、2bは、モニタ20a、20b、親機映像処理部21a、21b、親機マイク22a、22b、親機スピーカ23a、23b、親機音声コーデック24a、24b、音声処理部25a、25b、親機操作部26a、26b、親機電源供給部27a、27b、子機用電源供給部28a、28b、CPU(親機CPU)29a、29b及び親機I/F(インターフェース)30a、30bが備えられている。
【0024】
この居室親機2a、2bにおいて、モニタ20a、20bは、CPU29a、29bにより(出画可能な状態に)制御され、来訪者による玄関子機1からの呼出しがあることを示す呼出表示と、玄関子機1のカメラ11で生成された映像信号を表示(出画)する映像表示とをそれぞれ行うものであり、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等の各種の映像表示媒体で構成されている。また、親機映像処理部21a、21bは、CPU29a、29bにより制御され、有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路を経由して玄関子機1から伝送されてくる映像信号について例えば、FM復調、増幅等の所定の信号処理を行い、玄関子機1のカメラ11で生成された映像信号をモニタ20a、20bに表示(出画)させるものである。
【0025】
親機マイク22a、22b及び親機スピーカ23a、23bは、居住者が来訪者との間で通話を行うためにアナログ音声(送話音声、受話音声)信号を入出力するものであり、この親機スピーカ23a、23bのうち、第1の実施例で適用の親機スピーカ23aは、前述の通話機能のみならず、当該システムが呼出時、すなわち、来訪者による玄関子機1からの呼出時において、この呼出しがあることを示す呼出音(呼出音信号)を出力する呼出報知機能と、当該システムが電源投入時、すなわち、親機電源供給部27aから当該親機の構成各部への電源供給時において後述のテスト信号を出力するテスト報知機能とが備えられている。一方、第2の実施例で適用の親機スピーカ23bは、前述の通話機能のみならず、当該システムが前述のような呼出時及び電源投入時に呼出音(呼出音信号)を出力する呼出報知機能が備えられている。
【0026】
親機音声コーデック24a、24bは、CPU29a、29bにより制御され、親機マイク22a、22bに入力された送話音声であるアナログ音声信号をデジタル音声信号にアナログ/デジタル変換するとともに、玄関子機1の子機マイク13に入力され有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路を経由して伝送されてくる受話音声であるデジタル音声信号をアナログ音声信号にデジタル/アナログ変換して親機スピーカ23a、23bから出力させるものである。
【0027】
なお、親機マイク22a、22b及び親機コーデック24a、24bの間には、親機マイク22a、22bに入力された送話音声であるアナログ音声信号や、呼出音信号又は後述のテスト信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号を増幅するアンプ(図示せず)を備えることができる。また、親機コーデック24a、24b及び親機スピーカ23a、23bの間についても、親機スピーカ23a、23bから出力される受話音声であるアナログ音声信号や、呼出音信号又は後述のテスト信号を増幅するアンプ(図示せず)を備えることができる。
【0028】
音声処理部25a、25bは、CPU29a、29bにより制御され、親機音声コーデック24a、24bから有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路に送出される送話デジタル音声信号と、有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路から親機音声コーデック24a、24bに送出される受話デジタル音声信号について送受信制御を行うものである。
【0029】
親機操作部26a、26bは、CPU29a、29bにより操作検出され、来訪者による玄関子機1からの呼出しがあることを確認した居住者が応答し、親機マイク22a、22b及び親機スピーカ23a、23bを用いた通話を行うための応答操作、又はその通話を終了するための終話操作等を行うものであり、例えば、通話ボタンやモニタ20a、20bの前面に設けられるタッチパネル(図示せず)が好適とされる。
【0030】
親機電源供給部27a、27bは、商用電源を整流して直流電源を生成するものである。また、子機用電源供給部28a、28bは、CPU29a、29bにより制御され、親機電源供給部27a、27bで生成された直流電源をもとに玄関子機1を動作させるための子機用電源を生成するものである。
【0031】
CPU29a、29bは、第1、第2の居室親機2a、2bの構成各部を制御するものである。また、親機I/F30a、30bは、有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路から親機映像処理部21a、21bへの信号伝送ラインと、有線の伝送路L1及び親機処理部25a、25bの間の信号伝送ライン、あるいは無線の伝送路L1及び音声処理部25a、25bの間の信号伝送ラインと、子機用電源供給部28a、28bから第1の伝送路L1及び第2の伝送路L2のうち何れかの伝送路への電源供給ラインと、有線の伝送路L1及びCPU29a、29bの間の信号伝送ライン、あるいは無線の伝送路L2及びCPU29a、29bの間の信号伝送ラインと、をそれぞれ形成するものである。
【0032】
次に、第1の居室親機2aの音声処理部25aの具体的な構成について、図2(A)のブロック図を参照して説明する。この音声処理部25aは、テスト信号生成回路250a、録音回路251a、伝達関数算出回路252a、呼出音信号生成回路253a、抑圧信号生成回路254a、遅延回路255a、減算回路256a、音声認識処理回路257a及び通話制御回路258aを有している。
【0033】
この音声処理部25aにおいて、テスト信号生成回路250aは、当該システムの電源投入時に親機スピーカ23aから出力させる(測定用の)テスト信号、例えば、タイムストレッチドパルス(TSP)信号を生成して親機音声コーデック24aに送出するものである。また、録音回路251aは、親機音声コーデック24aを経由してデジタル/アナログ変換された後に親機スピーカ23aから親機マイク22aに音響帰還され親機音声コーデック24aを経由してアナログ/デジタル変換された後、伝送されてくるテスト信号を記憶するものであり、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体で構成されている。また、伝達関数算出回路252aは、テスト信号生成回路250aで生成されたテスト信号及び録音回路251aに記憶されたテスト信号をもとにインパルス応答を算出するものである。また、呼出音信号生成回路253aは、当該システムの呼出時に親機スピーカ23aから出力させる呼出音信号を生成して親機音声コーデック24aに送出するものである。また、抑圧信号生成回路254aは、呼出音信号生成回路253aで生成された呼出音信号に伝達関数算出回路252aで算出されたインパルス応答の畳み込みを行うことで、呼出音信号の音響帰還データを抑圧するための抑圧信号を生成するものである。また、遅延回路255aは、抑圧信号生成回路254aで生成された抑圧信号を、親機スピーカ23aから親機マイク22aへの音響帰還時間分遅延させて減算回路256aに送出するものである。また、減算回路256aは、前述の呼出時に呼出音信号生成回路253aで生成され親機音声コーデック24aを経由して親機スピーカ23aから親機マイク22aに音響帰還された後、親機音声コーデック24aを経由して伝送されてくる呼出音信号に重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号、例えば、「はい」等の操作音声とされる音声信号より遅延回路255aから送出された抑圧信号を減算するものである。さらに、音声認識処理回路257aは、減算回路256aからの出力信号をもとに呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号より当該音声信号を認識するものであって、インターホン機能を能動とするための音声信号の音響モデルを生成する音響モデル生成機能が備えられている。この音響モデル生成機能は、音響モデルを生成するとき、呼出音信号と同一の周波数を有する正弦波を背景雑音とする環境依存性が形成されるものである。
【0034】
通話制御回路258aは、例えば、入出力されるデジタル音声信号の音圧レベルを比較して、当該音圧レベルの大きい一方の音声信号の信号伝送ラインを形成し、他方の音声信号の信号伝送ラインは遮断するようなボイススイッチ機能や、例えば、特開2011−55058号公報等に開示されている技術であって、玄関子機1が設置される住戸外の騒音(ノイズ)レベル及び第1の居室親機2aが設置される住戸内の騒音(ノイズ)レベルのレベル差に依存することなく当該居室親機における送話状態又は受話状態の通話路の切り換えや、そのレベル差に対応させて親機スピーカ23aからの出力信号の信号レベルを増幅又は減衰するような、アッテネータ機能等を備えることができる。
【0035】
次に、第2の居室親機2bの音声処理部25bの具体的な構成について、図2(B)のブロック図を参照して説明する。この音声処理部25aは、録音回路251b、呼出音信号生成回路253b、遅延回路255b、減算回路256b、音声認識処理回路257b及び通話制御回路258bが備えられている。
【0036】
この音声処理部25bにおいて、呼出音発生回路253bは、当該システムの電源投入時及び当該システムの呼出時に親機スピーカ23bから出力させる呼出音信号を生成して親機音声コーデック24bに送出するものである。また、録音回路251bは、親機音声コーデック24bを経由してデジタル/アナログ変換された後に親機スピーカ23bから親機マイク22bに音響帰還され、親機音声コーデック24bを経由してアナログ/デジタル変換された後に伝送されてくる呼出音信号を記憶するものであり、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体で構成されている。また、遅延回路255bは、前述の呼出時に録音回路251bから読出される呼出音信号を、親機スピーカ23bから親機マイク22bへの音響帰還時間分遅延させて減算回路256bに送出するものである。また、減算回路256bは、前述の呼出時に呼出音信号生成回路253bで生成され親機音声コーデック24aを経由して親機スピーカ23aから親機マイク22aに音響帰還された後、親機音声コーデック24aを経由して伝送されてくる呼出音信号に重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号、例えば、「はい」等の操作音声とされる音声信号より遅延回路255bから送出された呼出音信号を減算するものである。さらに、音声認識処理回路257bは、減算回路256bからの出力信号をもとに呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号より当該音声信号を認識するものであって、前述の第1の実施例で適用された音声認識処理回路257aと同様、呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号の音響モデルを生成する音響モデル生成機能が備えられている。この音響モデル生成機能は、音響モデルを生成するとき、呼出音信号と同一の周波数を有する正弦波を背景雑音とする環境依存性が形成されるものである。
【0037】
通話制御回路258bは、前述の第1の実施例で適用された通話制御回路258aと同様、例えば、入出力されるデジタル音声信号の音圧レベルを比較して、当該音圧レベルの大きい一方の音声信号の信号伝送ラインを形成し、他方の音声信号の信号伝送ラインは遮断するようなボイススイッチ機能や、例えば、特開2011−55058号公報等に開示されている技術であって、玄関子機1が設置される住戸外の騒音(ノイズ)レベル及び第2の居室親機2bが設置される住戸内の騒音(ノイズ)レベルのレベル差に依存することなく当該居室親機における送話状態又は受話状態の通話路の切り換えや、そのレベル差に対応させて親機スピーカ23bからの出力信号の信号レベルを増幅又は減衰するような、アッテネータ機能等を備えることができる。
【0038】
このように構成された本発明の第1、第2の実施例によるインターホンシステムにおいて、以下、具体的な動作について説明する。
【0039】
最初に、本発明の第1、第2の実施例で共通の動作として、図1に示す第1、第2の居室親機2a、2bの親機電源供給部27a、27bは、当該システムを起動するような電源投入時に交流電源を整流して得られる直流電源を生成し、当該親機の構成各部に電源供給することができる。また、子機用電源供給回路28a、28bは、親機電源供給部27a、27bで生成された直流電源をもとに玄関子機1を動作させるための子機用電源を生成し、親機I/F30a、30bから有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路、玄関子機1の子機I/F17を経由して子機電源供給部16に電源供給する。この子機電源供給部16は、受電した子機用電源を当該子機の構成各部に電源供給することができる。
【0040】
次に、図2(A)に示す音声処理部25aを備える第1の居室親機2aが設けられた本発明の第1の実施例において、前述のような当該システムの電源投入時に図1に示す第1の居室親機2aのCPU29aは、親機音声コーデック24aが能動となるように制御するとともに音声処理部25aが能動となるように制御するにあたり、親機スピーカ23aから出力される(測定用の)テスト信号、例えば、タイムストレッチドパルス(TSP)信号をテスト信号生成回路250aで生成させる。このテスト信号は、伝達関数算出回路252aに送出されるとともに、親機音声コ−デック24aでデジタル/アナログ変換され、親機スピーカ23aから出力された後、親機マイク22aに音響帰還されるため、このような音響帰還データである親機マイク22aに入力されたテスト信号は、親機音声コーデック24aでアナログ/デジタル変換された後、録音回路251aに記憶される。
【0041】
また、第1の居室親機2aの音声処理部25aにおいて、伝達関数算出回路252aは、テスト信号生成回路250aで生成されたテスト信号、及び録音回路251aに記憶された音響帰還データであるテスト信号をもとにインパルス応答を算出して抑圧信号生成回路254aに送出する。
【0042】
この後、第1の居室親機2aが設置された住戸内の居住者を呼出すために、住戸外に居る来訪者が玄関子機1の子機操作部10を用いて所定の呼出操作を行うと、この子機操作部10で生成された呼出音信号が、子機I/F17、有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路、第1の居室親機2aの親機I/F30aを経由してCPU29aに伝送されるとともに、カメラ11及び子機映像処理部12がそれぞれ能動となる。また、カメラ11は、呼出操作を行った来訪者の映像(住戸外の周囲近傍の映像を含む)の撮像を開始して映像信号を生成する。この映像信号は、子機映像処理部12で例えば、FM変調、増幅等の所定の信号処理が行われた後、子機I/F17、有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路、親機I/F29aを経由して親機映像処理部21aに伝送される。
【0043】
第1の居室親機2aのCPU29aは、玄関子機1から伝送されてきた呼出音信号を受信すると、来訪者による玄関子機1からの呼出しがあることを検出し、モニタ20a及び親機映像処理部21aがそれぞれ能動となるように制御する。この親機映像処理部21aは、玄関子機1から伝送されてきた映像信号について例えば、FM復調、増幅等の所定の信号処理を行った後、モニタ20aに送出することで、玄関子機1のカメラ11で生成された映像信号、すなわち、呼出操作を行った来訪者の映像(住戸外の周囲近傍の映像を含む)がモニタ20aに表示(出画)される。
【0044】
また、第1の居室親機2aのCPU29aは、前述のような呼出検出時、すなわち、当該システムが呼出時において(図2(A)に示す)親機音声コーデック24aが能動となるように制御するとともに音声処理部25aが能動となるように制御するにあり、来訪者による玄関子機1からの呼出しがある旨の呼出音信号を呼出音生成回路253aで生成させる。この呼出音信号は、抑圧信号生成回路254aに送出されるとともに、親機音声コーデック24aでデジタル/アナログ変換された後、親機スピーカ23aから出力される。
【0045】
ここで、前述のような第1の居室親機2aの親機スピーカ23aから呼出音信号が出力されている呼出時において、このような呼出報知とともにモニタ20aの映像表示を確認した居住者が、インターホン機能を能動とするための音声信号、例えば、「はい」等の操作音声とされる音声信号を発すると、親機マイク22aには、呼出音信号の音響帰還データがインターホン機能を能動とするための音声信号に重畳された状態で入力される。このような重畳信号である、呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号は、親機音声コーデック24aでアナログ/デジタル変換された後、音声処理部25aの減算回路256aに伝送される。
【0046】
また、第1の居室親機2aの音声処理部25aにおいて、抑圧信号生成回路254aは、呼出音信号生成回路253aで生成された呼出音信号に伝達関数算出回路252aで算出されたインパルスル応答を畳み込むことにより、親機スピーカ23aから親機マイク22aへの呼出音信号の音響帰還データを抑圧するための抑圧信号を生成して遅延回路255aに送出する。この遅延回路255aは、抑圧信号生成回路254aで生成された抑圧信号について親機スピーカ23aから親機マイク22aへの音響帰還時間分遅延させて減算回路256aに送出することにより、減算回路256aは、親機音声コーデック24aからの呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号と抑圧信号回路254aから遅延回路255aを経由して伝送されてきた抑圧信号が、その入力タイミングで同期が得られているため、頭切れ等を発生させることなくインターホン機能を能動とするための音声信号より抑圧信号を減算した後、音声認識処理回路257aに送出する。
【0047】
さらに、第1の居室親機2aの音声処理部25aにおいて、音声認識処理回路257aによれば、減算回路256aからの出力信号である、インターホン機能を能動とするための音声信号と、呼出音信号と同一の周波数を有する正弦波を背景雑音とする環境依存性をもとに予め生成されている音響モデルとを比較することで、この音声信号を適切かつ確実に高レベルの精度で認識することができる。
【0048】
なお、第1の居室親機2aの音声処理部25aにおいて、音声認識処理回路257aで認識された、インターホン機能を能動とするための音声信号は、CPU29aに送出することができる。このCPU29aによれば、例えば、親機音声コーデック24a及び音声処理部25aのみならず、玄関子機1の子機音声コ−デック15をそれぞれ能動とすることにより、来訪者が使用する子機マイク13及び子機スピーカ14と、子機音声コーデック15、子機I/F17、第1の伝送路L1及び第2の伝送路L2のうち何れかの伝送路、親機I/F30a、親機音声処理部25a(の構成各部)、親機音声コ−デック24aを経由して居住者が使用する親機マイク22a及び親機スピーカ23aとの間の信号伝送ラインが形成され、形成された信号伝送ラインを経由して音声信号を送受信することで通話を行うことができる。すなわち、当該システムが呼出状態からインターホン機能としての通話状態に遷移され、居住者によれば前述の呼出状態から継続してモニタ20aに表示(出画)されている来訪者の映像を確認しながらの通話が可能となる。
【0049】
前述までの説明から明らかなように、本発明の第1の実施例によれば、第1の居室親機2aの親機スピーカ23aから呼出音信号が出力されている当該システムの呼出時において、この呼出音信号が重畳されて親機マイク22aに入力される、インターホン機能を能動とするための音声信号の認識精度を、背景雑音のような環境依存性に対応させて適切かつ確実に高いレベルで確保できる。
【0050】
次に、図2(B)に示す音声処理部25bを備える第2の居室親機2bが設けられた本発明の第2の実施例において、前述のような当該システムの電源投入時に図1に示す第2の居室親機2bのCPU29bは、親機音声コーデック24bが能動となるように制御するとともに音声処理部25bが能動となるように制御するにあたり、親機スピーカ23bから出力される呼出音信号を呼出音信号生成回路253bで生成させる。この呼出音信号は、親機音声コーデック24bでデジタル/アナログ変換され、親機スピーカ23bから出力された後、親機マイク22bに音響帰還されるため、このような音響帰還データである呼出音信号は、親機音声コーデック24bでアナログ/デジタル変換された後、録音回路251bに記憶される。
【0051】
この後、第2の居室親機2bが設置された住戸内の居住者を呼出すために、住戸外に居る来訪者が、玄関子機1の子機操作部10を用いて所定の呼出操作を行うと、前述の第1の実施例と同様、この子機操作部10で生成された呼出音信号が、子機I/F17、有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路、第2の居室親機2bの親機I/F29bを経由してCPU29bに伝送されるとともに、カメラ11及び子機映像処理部12がそれぞれ能動となる。また、カメラ11は、呼出操作を行った来訪者の映像(住戸外の周囲近傍の映像を含む)の撮像を開始して映像信号を生成する。この映像信号は、子機映像処理部12で例えば、FM変調、増幅等の所定の信号処理が行われた後、子機I/F17、有線の伝送路L1及び無線の伝送路L2のうち何れかの伝送路、第2の居室親機2bの親機I/F29bを経由して親機映像処理部21bに伝送される。
【0052】
第2の居室親機2bのCPU29bは、玄関子機1から伝送されてきた呼出音信号を受信すると、来訪者による玄関子機1からの呼出しがあることを検出し、モニタ20b及び親機映像処理部21bがそれぞれ能動となるように制御する。この親機映像処理部21bは、玄関子機1から伝送されてきた映像信号について例えば、FM復調、増幅等の所定の信号処理を行った後にモニタ20bに送出することで、玄関子機1のカメラ11で生成された映像信号、すなわち、呼出操作を行った来訪者の映像(住戸外の周囲近傍の映像を含む)がモニタ20bに表示(出画)される。
【0053】
また、第2の居室親機2bのCPU29bは、前述のような呼出検出時、すなわち、当該システムが呼出時において(図2(B)に示す)親機音声コーデック24bが能動となるように制御するとともに音声処理部25bが能動となるように制御するにあたり、来訪者による玄関子機1からの呼出しがある旨の呼出音信号を呼出音生成回路253bで生成させる。この呼出音信号は、親機音声コーデック24bでデジタル/アナログ変換された後、親機スピーカ23bから出力される。
【0054】
ここで、前述のような第2の居室親機2bの親機スピーカ23bからの呼出音信号の出力中において、このような呼出報知とともにモニタ20bの映像表示を確認した居住者が、前述の第1の実施例と同様、インターホン機能を能動とするための音声信号、例えば、「はい」等の操作音声とされる音声信号を発すると、親機マイク22bには、呼出音信号の音響帰還データがインターホン機能を能動とするための音声信号に重畳された状態で入力される。このような重畳信号である、呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号は、親機音声コーデック24bでアナログ/デジタル変換された後、音声処理部25bの減算回路256bに伝送される。
【0055】
また、第2の居室親機2bの音声処理部25bにおいて、遅延回路255bは、システムの呼出時に(同期して)録音回路251bから読出した呼出音信号について親機スピーカ23bから親機マイク22bへの音響帰還時間分遅延させて減算回路256bに送出することにより、減算回路256bは、親機音声コーデック24bからの呼出音信号が重畳されたインターホン機能を能動とするための音声信号と(録音回路251bから)遅延回路255bを経由して伝送されてきた呼出音信号が、その入力タイミングで同期が得られているため、頭切れ等を発生させることなくインターホン機能を能動とするための音声信号より呼出音信号を減算した後、音声認識処理回路257bに送出する。
【0056】
さらに、第2の居室親機2bの音声処理部25bにおいて、音声認識処理回路257bによれば、減算回路256bからの出力信号である、インターホン機能を能動とするための音声信号と、呼出音信号と同一の周波数を有する正弦波を背景雑音とする環境依存性をもとに予め生成されている音響モデルとを比較することで、この音声信号を適切かつ確実に高レベルの精度で認識することができる。
【0057】
なお、第2の居室親機2bの音声処理部25aにおいて、音声認識処理回路257bで認識された、インターホン機能を能動とするための音声信号は、CPU29bに送出することができる。このCPU29bによれば、前述の第1の実施例と同様、例えば、親機音声コーデック24b及び音声処理部25bのみならず、玄関子機1の子機音声コ−デック15をそれぞれ能動とすることにより、来訪者が使用する子機マイク13及び子機スピーカ14と、子機音声コーデック15、子機I/F17、第1の伝送路L1及び第2の伝送路L2のうち何れかの伝送路、親機I/F30b、親機音声処理部25b(の構成各部)、親機音声コ−デック24bを経由して居住者が使用する親機マイク22b及び親機スピーカ23bとの間の信号伝送ラインが形成され、形成された信号伝送ラインを経由して音声信号を送受信することで通話を行うことができる。すなわち、当該システムが呼出状態からインターホン機能としての通話状態に遷移され、居住者によれば前述の呼出状態から継続してモニタ20bに表示(出画)されている来訪者の映像を確認しながらの通話が可能となる。
【0058】
前述までの説明から明らかなように、本発明の第2の実施例によれば、第2の居室親機2bの親機スピーカ23bから呼出音信号が出力されている当該システムの呼出時において、この呼出音信号が重畳されて親機マイク22bに入力される、インターホン機能を能動とするための音声信号の認識精度を、背景雑音のような環境依存性に対応させて適切かつ確実に高いレベルで確保できる。
【0059】
本発明のインターホンシステムにおいては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られ如何なる構成のインターホンシステム、例えば、映像の撮像/信号処理機能(11、12)が不備とされる当該玄関子機及び映像の出画/信号処理機能(20a、20b、21a、21b)が不備とされる当該居室親機を有するインターホンシステムであっても採用できるということはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0060】
1……玄関子機
13……子機マイク
14……子機スピーカ
2a……第1の居室親機
22a……親機マイク
23a……親機スピーカ
24a……親機音声コーデック
25a……音声処理部
250a……テスト信号生成回路
251a……録音回路
252a……伝達関数算出回路
253a……呼出音信号生成回路
254a……抑圧信号生成回路
255a……遅延回路
256a……減算回路
257a……音声認識処理回路
2b……第2の居室親機
22b……親機マイク
23b……親機スピーカ
24b……親機音声コーデック
25a……音声処理部
251b……録音回路
253b……呼出音信号生成回路
255b……遅延回路
256b……減算回路
257b……音声認識処理回路
L1……有線の伝送路
L2……無線の伝送路
図1
図2