(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347140
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/50 20180101AFI20180618BHJP
F21S 43/237 20180101ALI20180618BHJP
F21S 43/27 20180101ALI20180618BHJP
B60Q 1/32 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
F21S43/50
F21S43/237
F21S43/27
B60Q1/32
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-83808(P2014-83808)
(22)【出願日】2014年4月15日
(65)【公開番号】特開2015-204232(P2015-204232A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】国分 陽太
【審査官】
當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−146722(JP,A)
【文献】
特開2011−044394(JP,A)
【文献】
発明協会公開技報公技番号2009−506097
【文献】
独国特許出願公開第102006007134(DE,A1)
【文献】
特開2014−022212(JP,A)
【文献】
特開2012−064534(JP,A)
【文献】
特開2012−256457(JP,A)
【文献】
特開2008−103273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00−45/70
B60Q 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方側に開口を有するハウジングと、
前記開口を塞ぐように設けられるアウターレンズと、
前記ハウジングと前記アウターレンズとで形成される灯室内に配置されるインナーパネルと、
前記インナーパネルに取付けられる導光部材と、
前記導光部材の一方側の端部に光を入射させる光源とを備え、
前記インナーパネルが、前記導光部材の他方側の端部と対向する位置に孔を有し、
前記導光部材は、前記インナーパネル側に向かって突出し、前記他方側の端部にほぼ繋がる突起部を備え、
前記孔は、前記孔における前記導光部材の裏面側の縁部が、前記孔における前記導光部材の表面側の縁部と比較して、前記導光部材の一方側の端部寄りとなる位置にあり、
前記突起部が、前記孔の前記導光部材の裏面側となる縁部に係合することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記導光部材の他方側の端部は、前記インナーパネルの壁面と面一となる位置に配置され、
前記孔は、前記インナーパネルの前記導光部材の他方側の端部と対向する前記壁面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、導光部材を用いた車両用灯具が知られている(特許文献1参照)。
この車両用灯具では、導光部材の光入射端と反対側の端部と対向する位置にランプボディの壁面が存在する。
このため、反対側の端部から出射した光がランプボディの壁面で反射され、この壁面近傍が点光するとともに、この壁面で反射され、再び、導光部材に入射する光のために導光部材の端部近傍も点光するので見栄えが悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−256448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、導光部材の光入射端と反対側の端部周辺の点光を抑制し、見栄えを向上した車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために以下の構成によって把握される。
(1)本発明の車両用灯具は、車両前方側に開口を有するハウジングと、前記開口を塞ぐように設けられるアウターレンズと、前記ハウジングと前記アウターレンズとで形成される灯室内に配置されるインナーパネルと、前記インナーパネルに取付けられる導光部材と、前記導光部材の一方側の端部に光を入射させる光源とを備え、前記インナーパネルが、前記導光部材の他方側の端部と対向する位置に孔を有する。
【0006】
(2)上記(1)の構成において、前記導光部材が、前記他方側の端部近傍に前記インナーパネル側に向かって突出する突起部を備え、前記孔は、前記導光部材の裏面側となる縁部が前記導光部材の他方側の端部よりも一方側の端部寄りとなる位置にあり、前記突起部が、前記孔の前記導光部材の裏面側となる縁部に係合する。
【0007】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記孔は、前記導光部材の他方側の端部と対向する部分が面一となるように形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導光部材の光入射端と反対側の端部周辺の点光を抑制し、見栄えを向上した車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】実施形態の車両用灯具のアウターレンズおよびインナーレンズを省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態の説明では、全体を通じて同じ要素には同じ番号を付している。
なお、この明細書において、前、後、上、下、左、右は、車両用灯具を車両に搭載した際の車両に乗車する運転者から見た方向を示す。
【0011】
本発明の実施形態に係る車両用灯具は、
図1に示す車両102の前方の左右に設けられる車両用灯具(101R,101L)であり、左右の車両用灯具(101R,101L)の構成は左右対称であるため、以下では、右側の車両用灯具101Rについてのみ説明する。
【0012】
図2は、
図1に示す車両用灯具101Rの正面図であり、
図3は、
図2の分解斜視図である。
図3に示すように、車両用灯具101Rは、車両前方側に開口を有するハウジング10と、ハウジング10の開口を塞ぐようにハウジング10に設けられるアウターレンズ20とを備え、ハウジング10とアウターレンズ20とで灯室が形成され、その灯室内に、インナーパネル30が配置される。
インナーパネル30には、クリアランスランプとなる導光部材40が設けられ、その導光部材40を覆うようにインナーレンズ50がインナーパネル30に設けられている。
また、インナーパネル30の開口60を通してヘッドランプ(図示せず)が配置され、開口70を通して信号灯例えばターンランプ(図示せず)が配置されている。
【0013】
なお、本実施形態では、導光部材40がクリアランスランプを構成している場合について示しているが、これに限定されるものではなく、導光部材40が構成するランプの種類は、特に限定されるものではない。例えば、デイタイムランプなどでもよい。
【0014】
図3に示す導光部材40の一方側の端部41は、
図2に示すように、インナーパネル30の貫通孔を通してインナーパネル30の裏面側に配置される。
図示しないインナーパネル30の裏面側には、例えば、LEDやEL(有機EL)のような半導体型光源が設けられており、貫通孔を通して裏面側に配置された導光部材40の一方側の端部41には、光源からの光が入射される。
【0015】
導光部材40の一方側の端部41から入射した光は、導光部材40内を他方側の端部42に向かって導波しながら、臨界角を超えた光が順次車両前方側に向かって出射する。
【0016】
本実施形態の車両用灯具101Rの組付けの一例としては、インナーパネル30の車両前側から導光部材40の一方側の端部41をインナーパネルの貫通孔を通すようにしてインナーパネル30に導光部材40を取付けた後、導光部材40を覆うようにインナーレンズ50をインナーパネル30に取付け、その後、インナーパネル30の裏面側に配置された導光部材40の一方側の端部41に光を入射させるように、インナーパネル30の裏面側に光源の取り付けを行った後、インナーパネル30をアウターレンズ20の裏面側に装着し、インナーパネル30が装着されたアウターレンズ20をハウジング10に取付けるようにして行われる。
なお、アウターレンズ20をハウジング10に取付ける前に、ハウジング10にヘッドランプや信号灯等の取付けが行われている。
【0017】
図4は、車両用灯具101Rからアウターレンズ20およびインナーレンズ50を取り除いた斜視図である。
図4に示すように、導光部材40の他方側の端部42は、インナーパネル30の壁面と面一となる位置に配置されている。
図5は、
図4のC部分の拡大図である。
図5に示すように、インナーパネル30の導光部材40の他方側の端部42と対向する壁面には、孔32が形成されている。
【0018】
図6は、
図5のA−A線断面図である。
図6に示すように、導光部材40の裏面側にはプリズム構造45が形成されており、導波している光の一部が、このプリズム構造45によって臨界角を超えるような光となり、この臨界角を超えた光が実線矢印で示すように順次車両前方側に照射される。
【0019】
一方、車両前方側に照射されずに導波した光は、導光部材40の他方側の端部42から点線矢印のように出射するが、前述した通り、この端部42に対向するインナーパネル30の部分には、孔32が形成されているので、点線矢印のように出射した光は、インナーパネル30の壁面に反射されることなく、インナーパネル30の裏面側へと出射する。
【0020】
したがって、導光部材40の他方側の端部42から出射する光は、インナーパネル30の壁面で反射されることがないので、この壁面での光の反射に伴う点光が抑制される。
【0021】
また、端部42から出射した光が、再び、端部42から導光部材40内に入射することもないので、端部42から導光部材40に光が再入射することで起きる端部42近傍の導光部材40の点光も抑制される。
このため、導光部材40の他方側の端部42近傍での点光が無い見栄えのよい車両用灯具101Rを実現することができる。
【0022】
一方、
図6に点線で示すように、導光部材40の端部42は、インナーパネル30の壁面と面一となる位置にあり、この端部42に対向するインナーパネル30の位置に形成される孔32も端部42と面一となるように形成されている。
【0023】
このようにすることで、導光部材40の端部42とインナーパネル30との間に隙間ができることが抑制され、車両前方側から見たときの見栄えが良くなる。
また、孔32も導光部材40によって隠れるので孔32の存在も認識され難く、見栄えが良くなる。
【0024】
次に、
図6を参照しながら、導光部材40のインナーパネル30への固定構造について説明する。
図6に示すように、導光部材40の端部42近傍の位置には、導光部材40からインナーパネル30側に向かって突出する突起部43が設けられている。
【0025】
また、インナーパネル30の孔32は、導光部材40の裏面側となる縁部が導光部材40の端部42よりも導光部材40の一方側の端部41寄りとなる位置になるように形成されている。
この結果、突起部43に対向する導光部材40の裏面側となる位置に孔32の一部が存在するようになっている。
【0026】
そして、この導光部材40の裏面側に位置するように形成された孔32の縁部に導光部材40の突起部43の鍵爪状のエッジを係合させることで、導光部材40がインナーパネル30に固定されている。
このようにすることで、導光部材40の端部42近傍をインナーパネル30に固定することができるので、導光部材40の端部42の位置が振動等によってふらつくことが抑制される。
【0027】
仮に、このような固定が行われていないとすれば、振動等によって導光部材40の端部42の位置がズレる可能性がある。
そして、例えば、端部42がインナーパネル30の孔32に対向する位置から少し、車両前方側の位置にズレたりして、インナーパネル30の壁面のある位置に端部42が位置すると、端部42から出射した光は、その壁面で反射されるので点光が発生することになる。
また、導光部材40が位置ズレするような状態にあると、振動などで位置ズレが起きるときに、導光部材40がインナーパネル30に擦れるなどして傷つく恐れもある。
【0028】
本実施形態のように、導光部材40の端部42近傍がインナーパネル30に固定されていると、振動などがあっても導光部材40が動くことを回避できるので、上記のような点光や傷の発生を効果的に抑制することができる。
【0029】
上記のように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0030】
10 ハウジング
20 アウターレンズ
30 インナーパネル
32 孔
40 導光部材
41 一方側の端部
42 他方側の端部
43 突起部
45 プリズム構造
50 インナーレンズ
60 開口
70 開口
101L 左側の車両用前照灯(車両用灯具)
101R 右側の車両用前照灯(車両用灯具)
102 車両