(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リミッタ回路は、前記アンテナ接続端子に接続される前記容量と前記電源電圧の基準電位との間に接続された、ダイオード接続されたMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)を用いた自動認識、情報管理、トレーサビリティ管理などが広まっている。RFIDシステムは、データ書き込みが可能、情報量が多い、長距離通信が可能であるといった点から、様々な産業分野で用いられている。RFIDシステムにおける利用周波数としては、HF帯(主に13.56MHz)とUHF帯(860MHz〜960MHz)があり、UHF帯を利用するRFIDシステムでは、周波数が高い(波長が短い)ために小型化、長距離化が進んでいる。
【0003】
RFIDシステムは、それぞれアンテナを有するリーダー・ライター(R/W:Reader/Writer)とRFIDタグ(TAG)とを含み構成される。リーダー・ライターは、RFキャリア信号をコマンドで変調して送出する。RFIDタグは、リーダー・ライターからの信号を受信して、RFキャリア信号から直流電源を生成する。また、RFIDタグは、生成した直流電源で回路を駆動し、受信したコマンドを解釈してコマンドに応じた処理を行う。例えば、応答を求めるコマンドである場合には、RFIDタグは、変調回路を用いて、内部で生成したデータを基に、受信したRFキャリア信号の反射又は吸収によって2値データを作成して応答する。
【0004】
一般的に、RFIDシステムでは、リーダー・ライターとRFIDタグとの間の距離が決まっておらず、顧客用途によって様々な距離で使用される。したがって、RFIDタグに対する要求の1つとして、リーダー・ライターとRFIDタグとの間が近距離でも長距離でも安定した通信が可能なこと、言い換えれば広いダイナミックレンジを有することがある。そのため、通常、RFIDタグは、長距離の通信でも動作できるように設計される。すなわち、RFIDタグは、小電力でも受信・応答動作が可能なように、回路としては入力振幅が小さくても動くような回路設計がなされる。
【0005】
RFIDタグがリーダー・ライターの近傍にあるとき、場合によっては、使用場所での規制等に準じた最大送信電力がRFIDタグのアンテナに入力されることになる。ここで、リーダー・ライターの送信電力を一定とした場合、RFIDタグの受信電力は、リーダー・ライターとRFIDタグとの間の距離の2乗に反比例して変化する。したがって、小電力で動作可能に設計されたRFIDタグでは、リーダー・ライターの近傍では受信電力が非常に大きくなって大信号受信性能が不安定あるいは受信困難な状況が発生する可能性があり、広ダイナミックレンジな通信ができなくなってしまう。
【0006】
RFIDに用いられ、アンテナで受信された電波から直流電源を生成する半導体集積回路装置において、出力端子から出力される出力電圧が所定の電圧を超えたときに基準電位点に向けて電流を流す電圧制限回路を設け、所定電圧を超える出力電圧の上昇を制限する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、磁界エネルギーを調整された電気エネルギーに変換するデバイスにおいて、磁界変換器回路に蓄積された余分なエネルギーを放電促進器回路により放電する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態におけるRFIDシステムの構成例を示す図である。本実施形態におけるRFIDシステムは、リーダー・ライター10及び本実施形態における半導体装置としてのRFIDタグ20とを有する。リーダー・ライター10とRFIDタグ20とは、RFキャリア信号(無線信号)30を送受信して無線通信を行う。
【0014】
リーダー・ライター10は、キャリア生成回路11、コマンド生成回路12、変調回路13、アンテナ14、及び受信回路15を有する。キャリア生成回路11は、例えば発振器であり、RFキャリア信号を生成する。コマンド生成回路12は、RFIDタグ20側に送るコマンドやデータを含むコマンド信号を生成する。コマンドには、例えばRFIDタグに書き込まれた情報(ID等)を読み出すコマンドや、RFIDタグにおいて指定したアドレス領域にデータを書き込むコマンド等がある。
【0015】
変調回路13は、コマンド生成回路12からのコマンド信号で、キャリア生成回路11により生成されたRFキャリア信号を変調する。変調方式は、ASK(amplitude shift keying、振幅偏移)変調であり、例えばキャリアが存在すれば“1”データを表し、キャリアが存在しなければ“0”データを表す。アンテナ14は、RFキャリア信号を送受信する。アンテナ14は、変調回路13により変調されたRFキャリア信号を送出したり、RFIDタグ20からのRFキャリア信号を受信して受信回路15に供給したりする。
【0016】
受信回路15は、アンテナ14を介してRFIDタグ20からの応答信号を受信する。受信回路15は、受信した信号をデコードし、応答データに応じた処理を行う。なお、変調回路13からのRFキャリア信号が受信回路15に直接入ると、RFIDタグ20からの応答信号を妨害してしまうので、例えば変調回路13と受信回路15及びアンテナ14の間に図示しないサーキュレータ等を挿入して信号の漏れ込みを防止する。
【0017】
RFIDタグ20は、アンテナ21、整流回路22、受信回路23、変調回路24、処理回路25、及びメモリ26を有する。アンテナ21は、RFキャリア信号を送受信する。アンテナ21により受信されたリーダー・ライター10からの変調されたRFキャリア信号(コマンドに応じて変調されたキャリア信号)は、整流回路22、受信回路23、及び変調回路24に入射する。整流回路22は、アンテナ21により受信されたRFキャリア信号を整流して電源電圧(直流電圧)を生成する。整流回路22により生成される電源電圧(直流電圧)により、RFIDタグ20が有する各回路を駆動する。
【0018】
受信回路23は、アンテナ21により受信された、変調されたRFキャリア信号からコマンドを取り出す。例えば、UHF帯のキャリア信号の場合、キャリア信号の周波数が860MHz〜960MHzであり、コマンドのビットレートが40Kb/s〜160Kb/sであるので、200KHz程度の低域通過周波数を持つローパスフィルタにより受信した信号からコマンドを取り出すことが可能である。
【0019】
処理回路25は、受信したコマンドを自己タイミングで認識し、コマンドに応じた処理を行う。コマンドの前には“0”データの長さや“0”データ及び“1”データの長さ等がヘッダとしてリーダー・ライター10から送られてくるので、この長さを基に処理を行う。メモリ26は、RFIDタグ20の情報(ID、製造番号、個別データ等)を保持する、読み書き可能な不揮発性メモリである。例えば、処理回路25により認識されたリーダー・ライター10からのコマンドの内容に基づいてメモリ26にアクセスを行うことで、情報の読み出しや書き込みが行われる。
【0020】
変調回路24は、処理回路25でのコマンドに応じた処理結果に基づいて、リーダー・ライター10への応答を行うための回路である。変調回路24は、リーダー・ライター10の変調回路13とは異なり、入射したRFキャリア信号を吸収又は反射(インピーダンス変調)することで“0”及び“1”の2値信号を作成する。例えば、アンテナ21と基準電位との間にトランジスタを配置して、このトランジスタをオン/オフ制御することで反射の量を制御する。
【0021】
図2は、整流回路(倍電圧整流回路)の構成例を示す図である。容量C1は、一方の電極が入力電圧Vinの入力端子に接続され、他方の電極がダイオードD1のカソードに接続される。ダイオードD1のアノードは、基準電位VSSとする基準電位線に接続される。また、容量C2は、一方の電極が基準電位線に接続され、他方の電極がダイオードD2のカソード及び出力電圧Voutの出力端子に接続される。ダイオードD2のアノードは、容量C1の他方の電極とダイオードD1のカソードとの相互接続点に接続される。
【0022】
図2に示した整流回路(倍電圧整流回路)の整流動作について説明する。以下では、入力端子には基準電位VSSに対して±Vinの電位の振幅を有する正弦波の信号が入力され、ダイオードD1、D2のオン電圧はともにVonであるとする。入力端子の電位が基準電位VSSと比べてダイオードのオン電圧Vonより低くなると、基準電位線からダイオードD1及び容量C1を介して入力端子に電流が流れ、容量C1に充電される。次に、入力端子の電位が基準電位VSSと比べてダイオードのオン電圧Vonより高くなると、入力端子から容量C1、ダイオードD2、及び容量C2を介して基準電位線に電流が流れる。このとき、入力端子の電位に前過程において充電された容量C1の電位が加算されて容量C2に充電される。これを繰り返し、
図2に示した整流回路は、出力電圧Voutとして電圧{2×(Vin−Von)}を生成する。
【0023】
図2に示したような構成の整流回路(倍電圧整流回路)の出力電圧Voutは、入力電圧Vin及びダイオードのオン電圧Vonを用いて、Vout=N×(Vin−Von)で表される。ここで、Nはダイオードの数である。なお、ダイオードのオン電圧Vonは、例えばSiダイオードでは0.7V、ショットキーバリアダイオード(SBD)では0.2〜0.3Vである。
【0024】
図2に示したような構成の整流回路において、出力電圧Voutを大きくするには、
図2に示した回路を積み重ねて(多段接続して)ダイオードの数を増やす、あるいはダイオードのオン電圧Vonを下げれば良い。
図3に一例として、
図2に示した回路構成の整流回路(倍電圧整流回路)を積み重ねて(多段接続して)ダイオードの数を12個とした整流回路(倍電圧整流回路)の構成例を示す。
図3には、RFIDタグ20の整流回路22に適用した例を示している。
【0025】
図3において破線で囲んだように、容量C1、C2とダイオードD1、D2との組、容量C3、C4とダイオードD3、D4との組、容量C5、C6とダイオードD5、D6との組、容量C7、C8とダイオードD7、D8との組、容量C9、C10とダイオードD9、D10との組、及び容量C11、C12とダイオードD11、D12との組、の各組により
図2と同様の整流回路(倍電圧整流回路)が実現される。
【0026】
そして、前の段の整流回路の出力ノードが次の段の整流回路に接続され、前の段の整流回路の出力電圧が次の段の整流回路に供給されている。すなわち、容量C1、C2とダイオードD1、D2とで構成される第1の整流回路の出力ノードN3が、容量C3、C4とダイオードD3、D4とで構成される第2の整流回路に接続され、第2の整流回路の出力ノードN4が、容量C5、C6とダイオードD5、D6とで構成される第3の整流回路に接続され、第3の整流回路の出力ノードの電位が第1の出力電位(生成する電源電圧の高電位)VDDとして出力される。
【0027】
また、容量C7、C8とダイオードD7、D8とで構成される第4の整流回路の出力ノードN2が、容量C9、C10とダイオードD9、D10とで構成される第5の整流回路に接続され、第5の整流回路の出力ノードN1が、容量C11、C12とダイオードD11、D12とで構成される第6の整流回路に接続され、第6の整流回路の出力ノードの電位が第2の出力電位(生成する電源電圧の基準電位)VSSとして出力される。ここで、出力電位VSSは、RFIDタグ20の各回路が形成される半導体集積回路(LSI)の基板電位であり、出力電位VSSを基準電位とした出力電圧VDDがRFIDタグ20内の各回路に供給される。
【0028】
また、
図3において、PWRP、PWRMはアンテナ接続端子であり、この端子間にアンテナ21が接続され、
図4に示すような端子PWRMの電位に対してある電位の振幅を有する正弦波のRFキャリア信号が入力される。
図5は、端子PWRP、PWRM間に
図4に示した信号を印加した場合の各ノードの電位の時間変化を示した図である。
図5においては、端子PWRMの電位を基準とした各ノードN1〜N4、VDD、VSSの電位を示している。なお、
図4には示されないが、端子PWRP、PWRM間に入力されるRFキャリア信号は、リーダー・ライター10によりASK変調されたRFキャリア信号である。
【0029】
図6は、
図3に示した整流回路でのダイオードのレイアウト例を示す図である。
図3に示した整流回路のダイオードD1〜D12を
図6に示すようにレイアウトして直線的に配置することで、整流回路の回路面積を小さくすることが可能である。
図7は、
図6に示したI−I線に沿った断面図である。
図7において、A部がダイオードD12及びVSSであり、B部がダイオードD6である。P型基板71上にP型ウェル72A、72B、72C及びN型ウェル73A、73Bが形成されている。また、STIはシャロートレンチアイソレーション(Shallow Trench Isolation)である。
【0030】
図7に示すように、容量C11を介してアンテナ接続端子PWRPと接続されるダイオードD12のカソード電極74Bは、コンタクトを介してN型ウェル73Aに接続される。ダイオードD12のアノード電極74Aは、N型ウェル73Aとショットキーバリア接合される。また、出力電位VDDの出力端子と接続されるダイオードD6のカソード電極75Bは、コンタクトを介してN型ウェル73Bに接続される。ダイオードD6のアノード電極75Aは、N型ウェル73Bとショットキーバリア接合される。また、P型ウェル72Bは配線76等により電位VSSとされる。
図7に示した構造では、ダイオードD6(B部)を構成するN型ウェル73B、電位VSSとされるP型ウェル72B、及びダイオードD12(A部)を構成するN型ウェル73Aによる寄生的なNPNバイポーラトランジスタが存在する。
【0031】
ここで、整流回路(倍電圧整流回路)の構成上、アンテナ接続端子は容量を介してダイオードと接続される。
図3に示した例では、例えばアンテナ接続端子PWRPは、容量C1を介してダイオードD1のカソード、容量C3を介してダイオードD3のカソード、容量C5を介してダイオードD5のカソード、容量C7を介してダイオードD8のカソード、容量C9を介してダイオードD10のカソード、容量C11を介してダイオードD12のカソードに接続される。そのため、近距離での受信時にアンテナにより受信されるキャリア信号の振幅が大きくなると、ダイオードのカソード直流電位に対して正方向及び負方向のピーク電圧も大きくなる。
【0032】
容量C11を介してアンテナ接続端子PWRPと接続されるダイオードD12のカソード電極74Bの電位が、近距離の通信等により大電力が入力され負側に振り込むと電位VSSとされるP型ウェル72BからダイオードD12のカソードであるN型ウェル73Aに向かって電流が流れる(ベース電流に相当する)。さらに電流利得分増倍された電流が、ダイオードD6のカソードであるN型ウェル73BからダイオードD12のカソードであるN型ウェル73Aに向かって電流が流れることとなる(コレクタ電流に相当する)。
【0033】
そのため、ダイオードD6のカソードの電位、すなわち出力電位VDDが低下し、他の回路へ正常な電力供給ができなくなって回路の安定動作が妨げられ、通信が不安定あるいは不可能な状態となるおそれがある。コレクタ電流を減らすには、ベース電流が減るように回路間の距離を伸ばし配線抵抗を付けることが考えられるが、回路面積が大きくなってしまう。
【0034】
そこで、本実施形態では、
図8に示すようにリミッタ回路を設け、アンテナ接続端子PWRPが接続される容量とダイオードのカソードとの間のノード電位をリミッタ回路により制限して電位VSSに対して負電位への振り込みを抑制する。これにより、ダイオードD6、D12により形成される寄生バイポーラトランジスタのベース電流の増大を抑え、出力電位VDDが低下することを抑制する。
【0035】
図8は、本実施形態における整流回路(倍電圧整流回路)の構成例を示す図である。
図8には、
図3に示した12個のダイオードを有する整流回路(倍電圧整流回路)に対してリミッタ回路を設けた例を示している。
【0036】
前述したように、容量C1、C2とダイオードD1、D2との組、容量C3、C4とダイオードD3、D4との組、容量C5、C6とダイオードD5、D6との組、容量C7、C8とダイオードD7、D8との組、容量C9、C10とダイオードD9、D10との組、及び容量C11、C12とダイオードD11、D12との組、の各組により
図2と同様の整流回路(倍電圧整流回路)が実現される。
【0037】
そして、前の段の整流回路の出力ノードが次の段の整流回路に接続され、前の段の整流回路の出力電圧が次の段の整流回路に供給されている。すなわち、容量C1、C2とダイオードD1、D2とで構成される第1の整流回路の出力ノードN3が、容量C3、C4とダイオードD3、D4とで構成される第2の整流回路に接続され、第2の整流回路の出力ノードN4が、容量C5、C6とダイオードD5、D6とで構成される第3の整流回路に接続され、第3の整流回路の出力ノードの電位が第1の出力電位(生成する電源電圧の高電位)VDDとして出力される。
【0038】
また、容量C7、C8とダイオードD7、D8とで構成される第4の整流回路の出力ノードN2が、容量C9、C10とダイオードD9、D10とで構成される第5の整流回路に接続され、第5の整流回路の出力ノードN1が、容量C11、C12とダイオードD11、D12とで構成される第6の整流回路に接続され、第6の整流回路の出力ノードの電位が第2の出力電位(生成する電源電圧の基準電位)VSSとして出力される。
【0039】
アンテナ接続端子PWRPに接続される容量C11と電位VSSのノードN11との間に、リミッタ回路LIM1とダイオードD12とが並列に接続される。また、アンテナ接続端子PWRPに接続される容量C9と電位VSSのノードN11との間に、リミッタ回路LIM2とダイオードD10とが並列に接続される。アンテナ接続端子PWRPに接続される容量C7と電位VSSのノードN11との間に、リミッタ回路LIM3とダイオードD8とが並列に接続される。
【0040】
リミッタ回路LIM1、LIM2、LIM3は、容量C11、C9、C7とダイオードD12、D10、D8との間のノードN12、N13、N14の電位が電位VSSに対して負電位となったときに、対応するダイオードにより形成される寄生バイポーラトランジスタがオンする電位まで低下することを防止する。すなわち、リミッタ回路LIM1、LIM2、LIM3は、ノードN12、N13、N14の電位が電位VSSに対して負電位となったときに、ノードN12、N13、N14の電位と電位VSSとの電位差が寄生バイポーラトランジスタがオンする電位に到達しないよう、ある電位でクリップし電位が低下することを制限する。
【0041】
リミッタ回路LIM1、LIM2、LIM3は、
図11に示すように、例えば寄生バイポーラトランジスタがオンする電圧がV3であるとすると、電圧V3以下の電圧V2でオン状態となり、ノードN12、N13、N14の電位と電位VSSとの電位差が電圧V3とならないように十分な電流を流せる回路特性102を有している。なお、
図11において、回路特性101は、ダイオードD1〜D12の特性を示しており、
図11に示すようにリミッタ回路LIM1、LIM2、LIM3がオンする電圧V2よりも低い電圧V1でオン状態となることで、高効率な整流特性を実現することができる。なお、整流回路のダイオードD1〜D12は、高効率な整流特性を実現するために、例えばオン電圧が低いショットキーバリアダイオード(SBD)を用いることが望ましい。
【0042】
図9は、本実施形態における整流回路(倍電圧整流回路)の回路構成例を示す図である。
図9には、
図8に示したリミッタ回路LIM1、LIM2、LIM3を、ダイオード接続されたNチャネル型MOSトランジスタT1、T2、T3で実現した例を示している。
【0043】
電位VSSのノードN11とダイオードD12のカソード(ノードN12)との間に、リミッタ回路としてのダイオード接続されたNチャネル型MOSトランジスタT1が接続される。また、電位VSSのノードN11とダイオードD10のカソード(ノードN13)との間に、リミッタ回路としてのダイオード接続されたNチャネル型MOSトランジスタT2が接続される。電位VSSのノードN11とダイオードD8のカソード(ノードN14)との間に、リミッタ回路としてのダイオード接続されたNチャネル型MOSトランジスタT3が接続される。
【0044】
図10は、Nチャネル型MOSトランジスタT1、T2、T3の構成例を示す断面図である。P型基板91上にN型ウェル92が形成され、N型ウェル92にP型ウェル93が形成される。P型ウェル93には、ソース領域及びドレイン領域となるN+拡散層が形成され、その上にソース電極95及びドレイン電極96がそれぞれ形成されている。また、ソース領域とドレイン領域と間のチャネル領域上には、ゲート絶縁膜(酸化膜)97を介してゲート電極98が形成されている。
【0045】
Nチャネル型MOSトランジスタT1、T2、T3のしきい値電圧をVthとすると、
図9に示すように構成することで、ノードN12、N13、N14の電位が(Vss−Vth)以下とはならないようにすることができる。また、リミッタ回路として、ダイオード接続されたNチャネル型MOSトランジスタT1、T2、T3を用いることで、負荷としてはソース・ドレインの一方の容量だけがつくので、リミッタ回路を設けることによる負荷容量の増加を抑制することができる。
【0046】
本実施形態によれば、アンテナ接続端子PWRPが接続される容量と電位VSSのノードとの間に、低しきい値の整流素子であるダイオードと、しきい値が高くかつ電位をクランプするリミッタ回路とを並列に接続する。これにより、ダイオードのカソードの電位が電位VSSに対して負電位になった場合、その電位差が寄生バイポーラトランジスタのオンする電圧以下となるように、アンテナ接続端子PWRPが接続される容量とダイオードのカソードとの間のノード電位をリミッタ回路により制限する。したがって、近距離の通信等により大電力が入力されてもダイオードのカソード電位の負電位への振り込みを抑えて出力電位VDDが低下することを抑制し、リーダー・ライターに対して近距離に配置された場合でも安定な通信が可能となる。また、低しきい値の整流素子を用いることで整流特性の低下も抑制することができる。
【0047】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。