【実施例】
【0017】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0018】
(実施例1)
FUJI SP BLACK8041(顔料分散体、冨士色素(株)製) 25.00部
ケルザンAR6.0%水溶液(キサンタンガム分散液、三晶(株)製) 7.50部
イオン交換水 41.45部
3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール 20.00部
プロクセルGXL(防黴剤、アビシア(株)) 0.05部
AKP−20(アルミナ、住友化学工業(株)製)のグリセリン0.662%分散液
1.00部
PDX7323(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、BASFジャパン(株)製)
1.00部
フォスファノールRB410(4オキシエチレンオレイルエーテルリン酸、東邦化学工業
(株)製)のナトリウム塩20%水溶液 2.00部
ベンゾトリアゾールの20%エチレングリコール溶液 2.00部
上記成分をホモジナイザーで分散処理を行なった後、水酸化ナトリウム20%水溶液でpHを8.3に調整した後、フィルター等で粗大粒子を除去し、脱泡機にて脱泡して、黒色ボールペン用水性インキを得た。
【0019】
(実施例2)
FUJI SP RED 5657(顔料分散体、冨士色素(株)製) 20.00部
FUJI SP RED 5653(顔料分散体、冨士色素(株)製) 5.00部
ケルザンAR6.0%水溶液(キサンタンガム分散液、三晶(株)製) 7.50部
イオン交換水 56.45部
3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール 5.00部
プロクセルGXL(防黴剤、アビシア(株)) 0.05部
AKP−20(アルミナ、住友化学工業(株)製)のグリセリン0.662%分散液
1.00部
PDX7323(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、BASFジャパン(株)製)
1.00部
フォスファノールRB410(4オキシエチレンオレイルエーテルリン酸、東邦化学工業
(株)製)のジエタノールアミン塩20%水溶液 2.00部
ベンゾトリアゾールの20%エチレングリコール溶液 2.00部
上記成分をホモジナイザーで分散処理を行なった後、水酸化ナトリウム20%水溶液でpHを8.3に調整した後、フィルター等で粗大粒子を除去し、脱泡機にて脱泡して、赤色ボールペン用水性インキを得た。
【0020】
(実施例3)
FUJI SP BLUE 6474(顔料分散体、冨士色素(株)製) 20.00部
ケルザンAR6.0%水溶液(キサンタンガム分散液、三晶(株)製) 7.50部
イオン交換水 33.45部
3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール 30.00部
プロクセルGXL(防黴剤、アビシア(株)) 0.05部
AKP−20(アルミナ、住友化学工業(株)製)のグリセリン0.662%分散液
1.00部
PDX7323(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、BASFジャパン(株)製)
1.00部
フォスファノールRB410(4オキシエチレンオレイルエーテルリン酸、東邦化学工業
(株)製)のトリエタノールアミン塩20%水溶液 5.00部
ベンゾトリアゾールの20%エチレングリコール溶液 2.00部
上記成分をホモジナイザーで分散処理を行なった後、水酸化ナトリウム20%水溶液でpHを8.3に調整した後、フィルター等で粗大粒子を除去し、脱泡機にて脱泡して、赤色ボールペン用水性インキを得た。
【0021】
(実施例4)
実施例1において、フォスファノールRB410を除き、その分フォスファノールRL−310(3オキシエチレンステアリルエーテルリン酸、東邦化学工業(株)製)のナトリウム塩20%水溶液を増やした以外は、実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0022】
(実施例5)
実施例1において、フォスファノールRB410のナトリウム塩20%水溶液を除き、その分イオン交換水を増やした以外は、実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0023】
(実施例6)
FUJI SP BLACK8041(顔料分散体、冨士色素(株)製) 25.00部
アルカシーラン0.4%水分散液(多糖類、伯東(株)製) 30.00部
イオン交換水 13.95部
3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール 20.00部
プロクセルGXL(防黴剤、アビシア(株)) 0.05部
AKP−20(アルミナ、住友化学工業(株)製)のグリセリン0.662%分散液
1.00部
PDX7323(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、BASFジャパン(株)製)
1.00部
フォスファノールRB410(4オキシエチレンオレイルエーテルリン酸、東邦化学工業
(株)製)のナトリウム塩20%水溶液 2.00部
ベンゾトリアゾールの20%エチレングリコール溶液 2.00部
上記成分をホモジナイザーで分散処理を行なった後、水酸化ナトリウム20%水溶液でpHを8.3に調整した後、フィルター等で粗大粒子を除去した。その後、90℃の環境下で24時間放置した後、黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0024】
(実施例7)
実施例6において、フォスファノールRB410のナトリウム塩20%水溶液を除き、その分フォスファノールML−240(2オキシエチレンラウリルエーテルリン酸、東邦化学工業(株)製)のナトリウム塩20%水溶液を増やした以外は、実施例6と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0025】
(実施例8)
実施例6において、フォスファノールRB410のナトリウム塩20%水溶液を除き、その分イオン交換水を増やした以外は、実施例6と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0026】
(実施例9)
FUJI SP BLACK8041(顔料分散体、冨士色素(株)製) 25.00部
ケルザンAR6.0%水溶液(キサンタンガム分散液、三晶(株)製) 7.50部
イオン交換水 36.45部
3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール 15.00部
エチレングリコール 5.00部
プロクセルGXL(防黴剤、アビシア(株)) 0.05部
AKP−20(アルミナ、住友化学工業(株)製)のグリセリン0.662%分散液
1.00部
PDX7323(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、BASFジャパン(株)製)
1.00部
フォスファノールRB410(4オキシエチレンオレイルエーテルリン酸、東邦化学工業
(株)製)のナトリウム塩20%水溶液 2.00部
フォスファノールRS710(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)のナトリウム塩
20%水溶液 5.00部
ベンゾトリアゾールの20%エチレングリコール溶液 2.00部
上記成分をホモジナイザーで分散処理を行なった後、水酸化ナトリウム20%水溶液でpHを8.3に調整した後、フィルター等で粗大粒子を除去し、脱泡機にて脱泡して、黒色ボールペン用水性インキを得た。
【0027】
(実施例10)
実施例9において、エチレングリコールをジエチレングリコールに変えた以外は、実施例9と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0028】
(実施例11)
実施例1において、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールを10.00部減量し、その分、イオン交換水を増やした以外は、実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0029】
(実施例12)
実施例2において、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールを2.00部減量し、その分、イオン交換水を増やした以外は、実施例2と同様になして赤色のボールペン用水性インキを得た。
【0030】
(実施例13)
実施例3において、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールを10.00部増量し、その分、イオン交換水を減らした以外は、実施例3と同様になして青色のボールペン用水性インキを得た。
【0031】
(比較例1)
FUJI SP BLACK8041(顔料分散体、冨士色素(株)製) 25.00部
ケルザンAR6.0%水溶液(キサンタンガム分散液、三晶(株)製) 7.50部
イオン交換水 41.45部
エチレングリコール 20.00部
グリセリン 20.00部
プロクセルGXL(防黴剤、アビシア(株)) 0.05部
AKP−20(アルミナ、住友化学工業(株)製)のグリセリン0.662%分散液
1.00部
PDX7323(スチレン・アクリル系樹脂エマルジョン、BASFジャパン(株)製)
1.00部
フォスファノールRB410(4オキシエチレンオレイルエーテルリン酸、東邦化学工業
(株)製)のナトリウム塩20%水溶液 2.00部
ベンゾトリアゾールの20%エチレングリコール溶液 2.00部
上記成分をホモジナイザーで分散処理を行なった後、水酸化ナトリウム20%水溶液でpHを8.3に調整した後、フィルター等で粗大粒子を除去し、脱泡機にて脱泡して、黒色ボールペン用水性インキを得た。
【0032】
(比較例2)
比較例1において、エチレングリコールとグリセリンを除き、その分イオン交換水を増やした以外は、比較例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0033】
(比較例3)
比較例1において、エチレングリコールとグリセリンを除き、その分プロピレングリコールモノメチルエーテルを増やした以外は、比較例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0034】
(比較例4)
ピグメントブラック7(着色剤) 6.00部
イオン交換水 60.10部
イソプロピルアルコール 8.00部
プライサーフ208B(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、第一工業
製薬(株)製) 1.00部
ネオコールYSK(ジアルキルスルホコハク酸塩、第一工業製薬(株)製) 0.20部
KF618(ポリエーテル変性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製) 0.20部
HPD96(スチレン−アクリル樹脂、BASF社製) 20.00部
ジョンクリル7001(スチレン−アクリル樹脂、BASF社製) 3.00部
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.00部
1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.50部
上記成分をホモジナイザーで分散処理を行なった後、水酸化ナトリウム20%水溶液でpHを8.3に調整した後、フィルター等で粗大粒子を除去し、脱泡機にて脱泡して、黒色ボールペン用水性インキを得た。
【0035】
(比較例5)
C.I.acid RED87(着色剤) 6.00部
イオン交換水 48.90部
トリエチレングリコール 20.00部
トリエチレングリコールジエチルエーテル 15.00部
ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル 10.00部
ジオキシン(防黴剤) 0.10部
上記成分をホモジナイザーで分散処理を行なった後、水酸化ナトリウム20%水溶液でpHを8.3に調整した後、フィルター等で粗大粒子を除去し、脱泡機にて脱泡して、黒色ボールペン用水性インキを得た。
【0036】
(試験サンプルボールペン)
実施例1〜10及び比較例1〜5で得たボールペン用水性インキを、ステンレス製のボールペンチップ(ボール素材:超硬合金、ボール径:0.7mmからなるぺんてる(株)製ハイパーG(製品符号KL257)のリフィル(インキ収容管材質:ポリプロピレン)に約0.8g充填し、インキ界面に上記KL257に使用されている逆流防止体組成物を層状に配置した後、ペン先が外側を向くように遠心処理を施し脱泡して、試験用ボールペンとした。
【0037】
(筆跡乾燥性試験)
室温20±15℃、湿度65±20%の環境下で、JIS S 6061の7.3に示される試験用紙に、2×2の大きさの「永」の文字を筆記し、消しゴム(ハイポリマー、ぺんてる(株)製)で1回擦った時に、紙面が汚れなくなるまでの時間を求めた。
【0038】
(筆跡の紙への裏抜け試験)
室温20±15℃、湿度65±20%の環境下で、JIS S 6061の7.3に示される試験用紙に、2×2の大きさの「永」の文字を筆記し、カッターで筆跡部分の断面を作成し、インキ浸透深さを測定した。
【0039】
(手脂用紙の作成)
以下の配合で作製した人工手脂配合1で調製した手脂を、アセトンで30%に希釈した溶液(以下、30%手脂希釈溶液という)を作成する。前記手脂希釈溶液を、JIS S 6061の7.3に示される試験用紙に、スプレーにて均一に噴霧した後、室温にて2時間乾燥させアセトンを除去し、手脂で汚染された手脂用紙を作成した。また、同様に60%手脂希釈溶液を作成し、手脂で著しく汚染された手脂用紙2を作成した。
(人工手脂配合)
スクワラン 10重量部
イソプロピルミリステート 20重量部
オリーブ油 40重量部
コレステロール 2重量部
パルミチン酸 2重量部
オレイン酸 13重量部
イソステアリン酸 13重量部
上記成分を攪拌混合して手脂を得た。
【0040】
(手脂用紙1による手脂筆記性試験1)
試験サンプルボールペンを用いて、手脂用紙1に(株)トリニティーラボ製のTribo−master(Type:TL201Sa)にて、筆記速度7cm/sec、筆記角度70°、筆記荷重100gの筆記条件で、15cmの直線を筆記した。筆記終了後、直線中の線飛びした距離を測定した。
(手脂用紙2による手脂筆記性試験2)
試験サンプルボールペンを用いて、手脂用紙2に(株)トリニティーラボ製のTribo−master(Type:TL201Sa)にて、筆記速度7cm/sec、筆記角度70°、筆記荷重100gの筆記条件で、15cmの直線を筆記した。筆記終了後、直線中の線飛びした距離を測定した。
結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例1〜13の水性ボールペン用インキは、比較例1〜6に比べ、筆跡の紙への裏抜けすることなく筆跡乾燥性が良好だった。また、手脂が塗布された紙に対して線飛びすることなく良好な筆跡が得られた。
特に、実施例1〜4、6、9〜13は、リン酸誘導体を含有することにより、紙への浸透深さが更に少なく筆跡乾燥性が良好だった。また、著しく手脂が塗布された紙に対しても線飛びすることなく良好な筆跡が得られた。
【0043】
これに対し、比較例1〜3は、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールが配合されていないので、筆跡乾燥性が遅く、手脂成分で汚染された紙面の筆跡が線飛びする。ジアルキルスルホコハク酸とフッ素系界面活性剤を併用することで浸透効果を大きくした比較例4は多少の乾燥性の向上は見られるが、筆跡が紙裏面まで到達する裏抜けが大きい。同様にジエチレングリコールモノメチルエーテル溶剤で多糖類の添加されない低粘度のインキも多少の乾燥性の向上は見られるが、筆跡が紙裏面まで到達する裏抜けが大きく、ボールペンインキとしての性能が不十分である。