【文献】
J. Virol.,2011年,Vol.85, No.19,pp.10213-10221
【文献】
J. Virol.,2008年,Vol.82, No.17,pp.8339-8348
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
ブルータング(BT)は、反芻動物の節足動物媒介ウイルス感染症である。ウシおよびヤギは、原因となるBTVに容易に感染しうるが、広範囲にわたる血管損傷を伴わず、従って、これらの種は、一般に著しい臨床徴候を示さない。対照的に、ヒツジにおけるこの疾患は、口、鼻および噴門洞の粘膜のカタル性炎ならびにそのひづめの蹄冠帯および蹄葉の炎症を特徴とする。上皮の表皮剥脱が見られ、最終的には口腔粘膜が壊死する。はれあがり、炎症を起こした舌および口が青色を帯びることがあり、それに基づいてこの疾患が命名されている(Spreull 1905)。ヒツジにおけるこの疾患の死亡率は1〜30%と推定されている。
【0004】
BTVは、オルビウイルス属(Orbivirus)(レオウイルス科(Reoviridae))の原型ウイルスであり、少なくとも24の異なる血清型からなっている(Wilson and Mecham 2000)。熱帯および温帯を通じて世界的に種々のBTV株が同定されている。BTV感染は、ヨーロッパにおいては北緯45°まで、アジアおよび北アメリカにおいては北緯50°まで、南緯35°まで認められている。BTVは、反芻動物間では伝染性ではないため、BTVの分布は、節足動物媒介種であるクリコイデス(Culicoides)種(ヌカカ)の存在に依存するが、世界の種々の地域で種々の媒介種が存在している。最近のデータでは、野外株の個々の遺伝子フラグメントの多様化に遺伝的浮動および創始者効果が寄与していることが示唆されている(Bonneau, Mullens et al. 2001)。BTV血清反応陽性動物は、相同BTV血清型での再感染に耐性を示すことが明らかにされている。
【0005】
反芻動物のBTV感染は短期間であるのに対し、クリコイデス(Culicoides)昆虫媒介種の感染は持続性である。ウイルス血症の持続期間は動物種およびBTV株によって異なる。ウイルス血症は、ヒツジにおいては大変短期間であり、BTV感染個体において最長41日間持続することがあり、ヤギにおいては最長42日間、ウシにおいては最長100日間持続することがあることが報告されている。ウシのBTV感染は、多くの場合、長期ではあるが持続性ではないウイルス血症をもたらすため、ウシは、クリコイデス媒介種によってウイルスが摂取され、次いで他の反芻動物に媒介されることができる保有動物の役目を果たす(Anderson, Stott et al. 1985; MacLachlan 1994; MacLachlan and Pearson 2004)。クリコイデス媒介種の大部分の生態系は解明されておらず、それらの繁殖地の大部分は解明されておらず、それらの散布速度は未知である。北アメリカにおいては、クリコイデス・ソノレンシス(Culicoides sonorensis)がBTVの主な媒介種である。雌のクリコイデス昆虫はBTVに持続的に感染し、最長14日間の体外潜伏期の後にこのウイルスを媒介することができる(Mullens, Tabachnick et al. 1995)。温帯で越冬するBTVは、垂直感染昆虫媒介種を通じて存在することができるが、最近のデータでは、昆虫媒介種の幼虫期における持続性BTV感染中に外側カプシド遺伝子の発現低下が認められることが指摘されている(White, Wilson et al. 2005)。
【0006】
BTVのビリオンは、直径およそ69nmであり、二重殻の外殻(カプシド)を有する。これは感染細胞の細胞膜に由来するリポタンパク質”エンベロープ様物(pseudo-envelope)”によって覆われていることがある。BTVゲノムは、7つの構造タンパク質(VP1からVP7まで)および4つの非構造タンパク質(NS1、NS2、NS3およびNS3a)を全体としてコードする10の異なる二本鎖RNAセグメントを含む(Roy 1996)。これらのゲノムセグメントのうち9つはモノシストロン性であるが、セグメント10は、別のインフレーム開始コドンを用いるNS3およびNS3Aの両方をコードする。ゲノムRNAは、二層のタンパク質からなるカプシドによって二十面体ビリオン粒子中に包まれている。(Verwoerd, Els et al. 1972)。二十面体コアは、2つの主要タンパク質(VP3およびVP7)ならびに3つの微量タンパク質(VP1、VP4、VP6)からなり、それぞれがゲノムセグメント2および5によってコードされるVP2およびVP5からなる外側カプシドによって覆われている(Roy 1996)。VP2は、BTVの細胞への結合および浸入、中和、血清型特異性ならびに赤血球凝集に関与している。VP2の多量体(二量体および三量体)は、ウイルス粒子の外表面のVP5足場の表面の大部分を装飾している(Hassan and Roy 1999)。24のBTV血清型の中では、VP2が最も異なっており、抗VP2抗体レベルは、in vitroおよびin vivoでのウイルス中和に関連している(Huismans and Erasmus 1981)。VP5もまた、種々のBTV血清型およびBTV株の間で著しく異なっており(de Mattos, de Mattos et al. 1994; DeMaula, Bonneau et al. 2000)、今日までVP5特異的中和MAbは同定されていないが、このタンパク質が、VP2に対するその立体配座への影響を通じて、中和および血清型決定に役割を有していることをデータは示している(Huismans and Erasmus 1981; Roy, Urakawa et al. 1990; DeMaula et al., 2000)。BTV抗コア血清で免疫吸着して微量のVP7を除去した精製されたVP2がヒツジに注射された。VP2沈降抗体ならびに中和および赤血球凝集抑制抗体を誘導するのには、初期投与量50マイクログラムのVP2で十分であった。これらのヒツジは、同じBTV血清型の毒性株でのチャレンジに対して完全に保護された。チャレンジ前に中和抗体が不検出な場合でも、低投与量のVP2であっても、有意な防御レベルを示した(Huismans, van der Walt et al. 1987)。VP2およびNS1が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)によって認識されるエピトープを発現することが最新の結果によって示されている(Andrew, Whiteley et al. 1995)が、VP7およびVP5はCTLエピトープを有さないと考えられる。これまでは、VP3、VP4、VP6、NS2およびNS3は、ヒツジにおいてCTL応答を刺激していない(Lobato, Coupar et al. 1997)。以下の表1(Wilson and Mecham 2000 から改変)に、BTV遺伝子およびそれらのタンパク質機能をまとめる。
表1 ブルータングウイルス遺伝子およびコードされるタンパク質ならびにコードされるタンパク質の位置、特性およびタンパク質機能
【0007】
対象とする特定のBTV抗原ポリペプチドはVP2およびVP5を含む。二十面体コアは2つの主要タンパク質(VP3およびVP7)ならびに3つの微量タンパク質(VP1、VP4、VP6)からなっており、ゲノムセグメント2および5によってそれぞれがコードされるVP2およびVP5からなる外側カプシドによって覆われている(Roy 1996)。VP2は、BTVの細胞への結合および浸入、中和、血清型特異性ならびに赤血球凝集に関与している。VP2の多量体(二量体および三量体)は、ウイルス粒子の外表面のVP5足場の表面の大部分を装飾している(Hassan and Roy 1999)。24のBTV血清型の中では、VP2が最も異なっており、抗VP2抗体レベルは、in vitroおよびin vivoでのウイルス中和と相関している(Huismans and Erasmus 1981)。VP5もまた、種々のBTV血清型およびBTV株の間で著しく異なっており(de Mattos, de Mattos et al. 1994; DeMaula, Bonneau et al. 2000)、今日までVP5特異的中和MAbは同定されていないが、このタンパク質が、VP2に対するその立体配座への影響を通じて、中和および血清型決定に役割を有していることをデータは示している(Huismans and Erasmus 1981; Roy, Urakawa et al. 1990; DeMaula et al., 2000)。BTV抗コア血清で免疫吸着して微量のVP7を除去した精製されたVP2がヒツジに注射された。VP2沈降抗体ならびに中和および赤血球凝集抑制抗体を誘導するのには、初期投与量50マイクログラムのVP2で十分であった。これらのヒツジは、同じBTV血清型の毒性株でのチャレンジに対して完全に保護された。チャレンジ前に中和抗体が不検出な場合でも、低投与量のVP2であっても、有意な防御レベルを示した(Huismans, van der Walt et al. 1987)。最新の結果によって、VP2およびNS1が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)によって認識されるエピトープを発現することが示されている(Andrew, Whiteley et al. 1995)が、VP7およびVP5はCTLエピトープを有さないと考えられる。これまでは、VP3、VP4、VP6、NS2およびNS3は、ヒツジにおいてCTL応答を刺激していない(Lobato, Coupar et al. 1997)。表1を参照のこと。
【0008】
アフリカウマ病(AHS)は、重篤で多くの場合致死的なウマおよびラバの節足動物媒介ウイルス病である(African Horse Sickness, The Merck Veterinary Manual)。この疾患の型によっては、死亡率は95%にも上る場合がある。ウマばかりでなくシマウマおよびロバにおいて、特に以前このウイルスの異なる血清型に感染したウマにおいて、無症候性または軽度の感染が生じうる。感染動物または媒介種は、AHSが存在しない地域にこのウイルスを運ぶことができる。最近起こった、関連するブルータングウイルスの場合と同様に、気候変動がアフリカウマ病などの節足動物媒介疾患の蔓延のリスクを増加させる恐れがあると推測する著者もある(Wilson A et al., Parasitol. Res. 2008;103:69-77)。この疾患の主な媒介種であるクリコイデス・イミコラ(Culicoides imicola)は、北アフリカおよび南ヨーロッパに侵入している。潜在的節足動物媒介種もまた、アメリカ合衆国の大部分およびアフリカの残りの部分を含む、世界中の事実上すべての地域に存在する。
アフリカウマ病は、レオウイルス科オルビウイルス属のメンバーの1つであるアフリカウマ病ウイルスの感染によって生じる。今日まで、アフリカウマ病ウイルスの9つの血清型が知られている。アフリカウマ病ウイルス血清型9は風土病地域にはびこっているが、血清型1〜8は、主として限定された地理的地域において見られる。血清型9は、アフリカ外におけるアフリカウマ病発生の大部分の原因となってきた。1987年と1990年の間に、スペインおよびポルトガルにおいて血清型4が大発生を1回引き起こした(Lubroth J., Equine Pract. 1988;10:26-33)。
アフリカウマ病ウイルスの初期の研究によって、1930年代に、アフリカウマ病ウイルスに対するマウス脳弱毒化改変生ウイルスワクチンが開発された。これらのワクチンは改良されて、1960年代に組織培養弱毒化改変生ウイルス(MLV)ワクチンが開発された。
【0009】
このワクチンの有効性にもかかわらず、このワクチンは個々の動物におけるワクチン反応(死亡を含む)、個々の動物におけるさまざまな免疫応答、受動母子免疫を有する幼動物の免疫の困難さ、ワクチンウイルスのビルレンスへの復帰の可能性および、ビルレンスへの復帰の可能性を有するワクチン接種後のワクチン株の組換えを含む固有の限界を有している(du Plessis M. et al.1998, Onderstepoort Journal of Veterinary Research 65: 321-329)。MLVワクチンの使用には、社会経済学の関与もまた存在する。南アフリカは、欧州連合および多くの他の国々にウマを輸出することを可能にするプロトコルを有している。このプロトコルはまた、一時的な期間、種々のイベントで競争させたり種馬となるために他の国々から南アフリカにウマが入ることを可能にしている。このプロトコルは、ウマがアフリカウマ病ウイルスに対して適切にワクチン接種されていることを保証することに基づいている。獣医当局は、MLVワクチンを用いることにより起こり得る危険性を承知している。これらの問題の大部分は、代わりのアフリカウマ病ウイルスワクチンを開発することによって大きく解消されるであろう。
【0010】
アフリカウマ病ウイルスゲノムは、少なくとも10のウイルスタンパク質をコードする10の二本鎖RNAセグメントで構成される(Oellermann, R. A. et al., 1970; Bremer, C. W. et al., 1976)。これらのゲノムセグメントは、PAGEにおけるそれらの泳動順に1〜10にナンバリングされている。これらのウイルスタンパク質のうち7つは構造タンパク質であり、二重殻のウイルス粒子を形成する。外側カプシドは、アフリカウマ病ウイルスの抗原多様性を決定する2つの主要ウイルスタンパク質であるVP2およびVP5で構成され、内側カプシドは、2つの主要ウイルスタンパク質(VP3およびVP7)ならびに3つの微量ウイルスタンパク質(VP1、VP4およびVP6)で構成される(Lewis SA and Grubman MJ, 1991; Martinez-Torrecuadrada JL et al., 1994); Bremer, CW, et al. 1990; Grubman, M. J. & Lewis, S. A., 1992)。VP3およびVP7は、9つの血清型の間で高度に保存されている(Oellermann et al., 1970; Bremer et al., 1990)。少なくとも3つの非構造タンパク質、NS1、NS2およびNS3が同定されている(Huismans, H. & Els, H. J., 1979; van Staden, V. & Huismans, H., 1991; Mizukoshi, N. et al., 1992)。
異種ウイルス遺伝子発現のためのベクターとして弱毒ウイルスに由来する組換えカナリアポックスウイルスが開発された。それ以来、ウマ(Minke JM, et al., 2004a and b; Minke JM, et al., 2007; Siger L, et al.2006)および他の種(Poulet H, et al., 2003)での使用に関して、南アフリカ、欧州連合およびアメリカ合衆国を含む多くの国々で、多くのこれらのカナリアポックス構築物がワクチンとして認可されてきた。
これらのワクチンが対象とする生物の遺伝子のみを含むという事実によって、それらは生得的に安全である(Minke JM, et al., 2004b)。さらにまた、検出可能な中和抗体の発現は、ワクチンの単回投与後であっても迅速である(Minke JM et al., 2004b)。このようなワクチンの生来の安全性および中和抗体の発現性によって、このようなワクチンの動物流行病への使用が特に魅力的なものになっている(Minke JM et al., 2004a)。
【0011】
以前の研究によって、外因的に発現させたVP2および適切なアジュバントと共に接種されると、ウマはAHSに対する中和抗体を発現することが示されている(Scanlen M, et al., 2002)。ヒツジにおける研究によって、VP2およびVP5を同時発現させたウイルス様粒子をヒツジに接種することによって、ブルータングウイルスに対する中和抗体応答が促進されることが示されている(Pearson LD, Roy P, 1993)。最近、ブルータングウイルスのVP2およびVP5外側カプシドタンパク質をコードする遺伝子を同時発現する組換えカナリアポックスウイルスワクチンが、ヒツジにおいて高レベルの防御を誘導することが示された(Boone JD, et al., 2007)。
AHSVのVP2およびVP5を含みそれを同時発現するベクターを接種した場合に、ウマがアフリカウマ病ウイルスに対する中和抗体を発現することは示されていない。従って、本発明が、組成物およびそれからの生成物を含む組換えポックスウイルス、特にALVACベース組換え体および組成物ならびにそれらからの生成物、特にAHSVのVP2およびV5を発現する組換え体またはそれらの任意の組み合わせならびにそれらからの組成物および生成物を提供することによって、当該技術分野でのニーズを満たすことは明らかであろう。
【0012】
BTVまたはAHSVの遺伝子改変に関する研究に関しては、Piet A van Rijn et al. (Virology Journal, 2010, 7:261)、Polly Roy et al. (Journal of Viology, 2011, 85, 19;10213-10221)、Polly Roy et al. (Journal of Viology, 2008, p8339-8348)、Massimo Palmarini et al. (PloS Pathogens, 2011, 7(12): e1002477)およびWO2009/068870に記載がある。
従って、BTVおよびAHSVに対する改善された免疫原性組成物およびワクチン組成物ならびに、鑑別診断法、アッセイおよびキットを提供するための組成物を含むこのような組成物の方法および使用方法を提供することは有益であると考えられる。
ヒトを含む動物の、BTVまたはAHSVに対する感染性を考慮すれば、BTVまたはAHSV感染を予防し動物を保護する方法は必須である。従って、BTVまたはAHSVに対する有効なワクチンが求められている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
1以上の組換えBTVまたはAHSVベクターを含む組成物であって、動物において免疫原性応答を誘発する、BTVまたはAHSVの少なくとも1つの抗原をコードする1以上の異種ポリヌクレオチドを含む組成物が提供される。一実施形態において、ポリペプチド抗原は、BTVのVP2もしくはVP5ポリペプチドまたはそれらの活性フラグメントもしくはバリアントである。
本発明の抗原ポリペプチドが、全長ポリペプチドまたはそれらの活性フラグメントもしくはバリアントであり得ることが認識される。”活性フラグメント”または”活性バリアント”とは、そのフラグメントまたはバリアントが、そのポリペプチドの抗原性を保持することを意味する。従って、本発明は、動物において免疫原性応答を誘発する任意のBTVまたはAHSVのポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を含む。BTVまたはAHSVのポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原は、任意のBTVまたはAHSVのポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原であることができ、例えば限定するものではないが、動物、例えばヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはウマ類において応答を誘発、誘導または刺激するタンパク質、ペプチドまたはそれらのフラグメントもしくはバリアントであることができる。
【0016】
本発明は、組換えBTVまたはAHSVベクターの有効量および薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルを含むことができるウシ亜科動物、ヒツジ類、ヤギ類またはウマ類のワクチンまたは組成物に関する。
いくつかの実施形態において、本ワクチンは、アジュバント、例えば米国特許第7,371,395号に記載の水中油型(O/W)エマルションをさらに含む。
さらの他の実施形態において、アジュバントは、EMULSIGEN、水酸化アルミニウムおよびサポニンならびにCpGまたはそれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、動物における応答は防御免疫応答である。
”動物”とは、哺乳動物、鳥などを意味する。動物または宿主は哺乳動物およびヒトを含む。動物は、ウマ類(例えばウマ)、イヌ科動物(例えばイヌ、オオカミ、キツネ、コヨーテ、ジャッカル)、ネコ科動物(例えばライオン、トラ、イエネコ、ヤマネコ、他の大猫ならびにチーターおよびヤマネコを含む他のネコ科動物)、ヒツジ類(例えばヒツジ)、ウシ亜科動物(例えばウシ)、ブタ類(例えばブタ)、ヤギ類(例えばヤギ)、鳥類(例えばニワトリ、カモ、ガチョウ、七面鳥、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラス、ダチョウ、エミューおよびヒクイドリ)、霊長類(例えば原猿、メガネザル、サル、テナガザル、類人猿)ならびに魚類からなる群から選択されることができる。用語”動物”は、胎生期および胎児期を含むすべての発育段階の個々の動物もまた含む。
【0017】
別途記載のない限り、本明細書に記載のすべての学術用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。単数用語”ある(a)”、”ある(an)”および”その(the)”は、文脈から明白でない限り複数指示対象を含む。同様に、語”または(or)”は、文脈から明白でない限り”および(and)”を含むものとする。
本開示、特にそのクレームおよび/またはパラグラフにおいて、用語、例えば”含む(comprises)”、”含んだ(comprised)”、”含んでいる(comprising)”などは、米国特許法においてそれらに付与された意味を有することができ、例えばそれらは”含む(includes)”、”含んだ(included)”、”含んでいる(including)”などを意味することができる。さらに、用語、例えば”本質的に〜からなっている(consisting essentially of)”または”本質的に〜からなる(consists essentially)”は、米国特許法において与えられた意味を有する。例えばそれらは明記されていない要素を許容するが、先行技術に示されているかまたは本発明の基礎的または新規な特徴に影響を及ぼす要素を排除することに注意されたい。
【0018】
本明細書において、用語”組換えBTVまたはAHSVベクター(単数または複数)”、”組換え再集合体BTVまたはAHSVベクター(単数または複数)”、”再集合体BTVまたはAHSV”、”BTVまたはAHSV再集合体”は、BTVまたはAHSVウイルスの任意の修飾、改変または工学を指すために同義で使用される。BTVまたはAHSVウイルスの修飾、改変または工学は、限定するものではないが、1以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の欠失、全遺伝子の欠失、遺伝子のコドン最適化、アミノ酸の保存的置換、1以上の異種ポリヌクレオチドの挿入、異なる血清型または種の遺伝子、転写物、RNAセグメント、DNAセグメントの新規組み合わせへの混合を含むことができる。
【0019】
本発明の抗原ポリペプチドはBTVおよびAHSVを防御することができる。すなわち、本発明の抗原ポリペプチドは動物において免疫応答を刺激することができる。”抗原”または”免疫原”とは、宿主動物において特定の免疫応答を誘導する物質を意味する。抗原は、全生物体(死滅、弱毒化もしくは生);生物体のサブユニットもしくは部分;免疫原性を有する挿入物を含む組換えベクター;宿主動物への提示によって免疫応答を誘導することができるDNAの断片またはフラグメント;ポリペプチド、エピトープ、ハプテンまたはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。あるいはまた、免疫原または抗原は毒素または抗毒素を含むことができる。
【0020】
本明細書において、用語”免疫原性タンパク質、ポリペプチドまたはペプチド”は、宿主に投与されたとき、そのタンパク質に指向性を有する体液性および/または細胞性の免疫応答を引き起こすことができるという意味で免疫学的に活性なポリペプチドを含む。好ましくは、タンパク質フラグメントは、全タンパク質と実質的に同じ免疫学的活性を有するようなタンパク質フラグメントである。従って、本発明に記載のタンパク質フラグメントは、少なくとも1つのエピトープまたは抗原決定基を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。本明細書において、”免疫原性”タンパク質またはポリペプチドは、そのタンパク質の完全長配列、それらのアナログまたはそれらの免疫原性フラグメントを含む。”免疫原性フラグメント”とは、1以上のエピトープを含み、従って前述の免疫応答を誘発するタンパク質のフラグメントを意味する。このようなフラグメントは、当該分野で公知の任意の数のエピトープマッピング技術を用いて同定することができる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66 (Glenn E. Morris, Ed., 1996)を参照のこと。例えば、タンパク質分子の部分に対応するペプチドを固体担体上に同時に多数合成し、そのペプチドがその担体に接着している間に抗体とそのペプチドを反応させることによって線状エピトープを決定することができる。このような技術は当該技術分野で公知であり、例えば米国特許第4,708,871号;Geysen et al., 1984; Geysen et al., 1986 に記載されている。同様に、立体配座エピトープは、例えばX線結晶学および2次元核磁気共鳴などでアミノ酸の空間的コンホメーションを決定することによって容易に同定される。例えば、前出のEpitope Mapping Protocolsを参照のこと。
【0021】
前記のように、本発明は抗原ポリペプチドの活性フラグメントおよびバリアントを含む。従って、用語”免疫原性タンパク質、ポリペプチドまたはペプチド”はまた、そのポリペプチドが機能して本明細書に記載の免疫応答を生じさせる限り、その配列に対する欠失、付加および置換をさらに考える。用語”保存的変異”は、生物学的に類似する他の残基によるアミノ酸残基の置換あるいは、コードされるアミノ酸残基が変化しないかまたは生物学的に類似する他の残基であるような、核酸配列におけるヌクレオチドの置換を意味する。この点において、特に好ましい置換は、一般に性質が保存的である置換、すなわち、アミノ酸ファミリー内で行われる置換である。例えば、アミノ酸は一般に4つのファミリーに分類される:(1)酸性--アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性--リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性--アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;ならびに(4)非荷電極性--グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは芳香族アミノ酸に分類される場合がある。保存的変異の例は、疎水性残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンの1つからもう1つの疎水性残基への置換または、極性残基の1つからもう1つの極性残基への置換、例えばアルギニンからリジンへの置換、グルタミン酸からアスパラギン酸への置換もしくはグルタミンからアスパラギンへの置換など;あるいはアミノ酸の1つから、生物活性に大きな影響を与えない構造的に関連するアミノ酸の1つへの同様な保存的置換を含む。従って、タンパク質の免疫原性に実質的に影響を及ぼさない少数のアミノ酸置換を有するが、参照分子と実質的に同じアミノ酸配列を有するタンパク質は、参照ポリペプチドの定義の範囲内である。これらの修飾によって生じるポリペプチドのすべては本明細書に含まれる。用語”保存的変異”はまた、置換ポリペプチドに対して産生された抗体が、非置換ポリペプチドに対しても免疫応答する限り、非置換親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸を使用することを含む。
【0022】
用語”エピトープ”とは、特定のB細胞および/またはT細胞が応答する抗原またはハプテンの部位のことをいう。この用語はまた、”抗原決定基”または”抗原決定部位”と同義で使用される。同じエピトープを認識する抗体は、ある抗体が標的抗原への他の抗体の結合を遮断する能力を示す簡単なイムノアッセイにおいて同定することができる。
組成物またはワクチンに対する”免疫応答”とは、対象とする組成物またはワクチンに対する細胞性および/または抗体性免疫応答の宿主における発生である。通例、”免疫応答”は、限定するものではないが、以下の効果:対象とする組成物またはワクチンに含まれる抗原(単数または複数)に特異的な抗体、B細胞、ヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞の産生の1以上を含む。好ましくは、宿主は、新規感染に対する抵抗性が増強され、かつ/または疾患の臨床的重症度が軽減されるような治療応答または防御免疫学的応答のいずれかを示す。このような防御は、通常感染宿主によって示される症状の軽減または欠如、回復期間の短縮化および/または感染宿主におけるウイルス力価の低下のいずれかによって示される。
【0023】
合成抗原、例えば、ポリエピトープ、隣接エピトープおよび他の組換えまたは合成的に誘導された抗原もまた定義の範囲内に含まれる。例えば、Bergmann et al., 1993; Bergmann et al., 1996; Suhrbier, 1997; Gardner et al., 1998 を参照のこと。本発明の目的上、免疫原性フラグメントは、通例、その分子の少なくとも約3アミノ酸、少なくとも約5アミノ酸、少なくとも約10〜15アミノ酸、約15〜25アミノ酸またはそれ以上のアミノ酸を含む。そのフラグメントの長さに上限はなく、タンパク質配列のほぼ完全長を含むこともできるし、タンパク質の少なくとも1つのエピトープを含む融合タンパク質を含むこともできる。
従って、エピトープを発現するポリヌクレオチドの最小構造とは、それがBTVまたはAHSVポリペプチドのエピトープまたは抗原決定基をコードするヌクレオチドを含むか、または本質的にそれらからなるか、またはそれらからなることである。BTVまたはAHSVポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチドは、それらのポリペプチドをコードする配列の最低限15ヌクレオチド、約30〜45ヌクレオチド、約45〜75または少なくとも57、87もしくは150隣接または連続ヌクレオチドを含むか、または本質的にそれらからなるか、またはそれらからなることができる。エピトープ決定手順、例えばオーバーラップペプチドライブラリーの作成(Hemmer et al., 1998)、Pepscan (Geysen et al., 1984; Geysen et al., 1985; Van der Zee R. et al., 1989; Geysen, 1990; Multipin. RTM. Peptide Synthesis Kits de Chiron)およびアルゴリズム (De Groot et al., 1999; PCT/US2004/022605)を本発明の実施に用いることができる。
【0024】
用語”核酸”および”ポリヌクレオチド”は、直鎖または分枝鎖、一本鎖または二本鎖、あるいはそれらのハイブリッドであるRNAまたはDNAのことをいう。本用語はRNA/DNAハイブリッドもまた含む。以下は限定するものではないポリヌクレオチドの例である:遺伝子または遺伝子フラグメント、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブおよびプライマー。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ、ウラシル(uracyl)、他の糖および連結基、例えばフルオロリボースおよびチオラートならびにヌクレオチド分枝を含むことができる。ヌクレオチドの配列は、重合後、例えば標識成分との結合によってさらに修飾されることができる。本定義に含まれる他の種類の修飾は、キャップ、天然に存在するヌクレオチドの1以上のアナログによる置換および、タンパク質、金属イオン、標識成分、他のポリヌクレオチドまたは固体担体にポリヌクレオチドを結合させるための手段の導入である。ポリヌクレオチドは化学合成で得ることもできるし、微生物に由来することもできる。
用語”遺伝子”は、生物学的機能と関連するポリヌクレオチドの任意のセグメントを指すために広く用いられる。従って、遺伝子は、ゲノム配列におけるイントロンおよびエクソンまたはcDNAにおけるコード配列そのものならびに/またはそれらの発現に必要な調節配列を含む。例えば、遺伝子はまた、mRNAもしくは機能性RNAを発現する核酸フラグメントまたは、特定のタンパク質をコードしかつ調節配列を含む核酸フラグメントのことをいう。
【0025】
本明細書において、用語”タンパク質”、”ペプチド”、”ポリペプチド”および”ポリペプチドフラグメント”は同義で使用され、任意の長さのアミノ酸残基のポリマーのことをいう。ポリマーは直鎖または分枝鎖であることができ、修飾アミノ酸またはアミノ酸アナログを含むこともでき、アミノ酸以外の化学的部分によって中断されることもできる。この用語はまた、天然にまたは介入により、例えばジスルフィド結合生成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、例えば標識もしくは生体活性成分との結合によって改変されたアミノ酸ポリマーを含む。
”単離された”生物学的成分(例えば核酸またはタンパク質または細胞小器官)は、成分が天然に存在する、生物体の細胞内の他の生物学的成分、例えば、他の染色体および染色体外のDNAおよびRNA、タンパク質ならびに細胞小器官から実質的に分離または精製された成分のことをいう。”単離された”核酸およびタンパク質は、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質を含む。この用語はまた、組換え技術ばかりでなく、化学合成によって生成された核酸およびタンパク質もまた含む。
本明細書において、用語”精製された”は絶対的な純度を必要としない。むしろそれは相対的用語である。従って、例えば、精製されたポリペプチド調製物とは、そのポリペプチドがその自然環境に存在する場合よりもポリペプチドがさらに富化された調製物である。それは細胞成分から分離されたポリペプチドである。”実質的に精製された”とは、そのポリペプチドが、細胞成分または材料の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%またはそれ以上が除去されたいくつかの実施形態に相当することを意味する。同様に、ポリペプチドは部分精製されることができる。”部分精製される”とは、細胞成分または材料の60%未満が除去されることを意味する。同じことがポリヌクレオチドに適用される。本明細書に開示されたポリペプチドは、当該技術分野で公知の手段のいずれかによって精製されることができる。
【0026】
上で述べたように、抗原ポリペプチドまたはそれらのフラグメントもしくはバリアントはBTVまたはAHSV抗原ポリペプチドである。開示されたポリヌクレオチドのフラグメントおよびバリアントならびにそれらによってコードされるポリペプチドもまた本発明に含まれる。”フラグメント”とは、ポリヌクレオチドの一部、またはポリヌクレオチドによってコードされる抗原性アミノ酸配列の一部を意味する。ポリヌクレオチドのフラグメントは、天然タンパク質の生物活性を保持し、従って本明細書の他の部分で述べた免疫原性活性を有するタンパク質フラグメントをコードすることができる。ポリペプチド配列のフラグメントは、動物において防御免疫応答を誘導する能力を保持する。
”バリアント”は、実質的に類似した配列を意味するものとする。ポリヌクレオチドに関しては、バリアントは、天然ポリヌクレオチドの1以上の部位における1以上のヌクレオチドの欠失および/もしくは付加ならびに/または天然ポリヌクレオチドの1以上の部位における1以上のヌクレオチドの置換を含む。本明細書において、”天然”ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、それぞれ天然に存在するヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を含む。本発明の特定のポリヌクレオチド(すなわち参照ポリヌクレオチド)のバリアントは、バリアントポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドとの間で配列同一性パーセントを比較することによって評価することもできる。”バリアント”タンパク質は、天然タンパク質の1以上の部位における1以上のアミノ酸の欠失もしくは付加ならびに/または天然タンパク質の1以上における1以上のアミノ酸の置換によって天然タンパク質から誘導されたタンパク質を意味するものとする。本発明に含まれるバリアントタンパク質は、生物学的に活性である。すなわちそれらは免疫応答を誘発する能力を有する。
【0027】
一実施形態において、本発明は、BTVまたはAHSVの少なくとも1つのポリペプチドをコードする1以上の異種ポリヌクレオチドを含む1以上の組換えBTVまたはAHSVベクターを含む組成物またはワクチンを提供する。該ポリペプチドは、VP1、VP2、VP3、VP4、VP6、VP5、VP7、NS1、NS2およびNS3/3Aからなる群から選択される任意のBTVまたはAHSVポリペプチドであることができる。一側面において、組換えBTVまたはAHSVベクターは、BTVまたはAHSVの血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25および26のゲノムに由来するベクター骨格を含む。他の側面において、異種ポリヌクレオチドは、ベクター骨格として用いられるBTVまたはAHSVの血清型とは異なるBTVまたはAHSVの血清型からの抗原をコードする。
他の実施形態において、組換えBTVまたはAHSVベクターは、ポリペプチドVP1、VP2、VP3、VP4、VP5、VP7、NS1、NS2、VP6およびNS3/3Aをコードする異種ポリヌクレオチドを含むが、該ポリペプチドは、BTVまたはAHSVの異なる血清型、例えば血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25および26からのポリペプチドであることができる。BTVまたはAHSVの異なる血清型からのポリペプチドの種々の組み合わせは、以下の表で例示することができる。本発明における組換え再集合体BTV(またはAHSV)ベクターに用いられる命名法は、名称の大文字部分はウイルス骨格を指し、置換されるタンパク質(単数または複数)を含む下付き文字(セグメントの血清型起源が前に来る)がそれに続くように定義される。例えばBTV-
18VP1は、BTV-8のVP1遺伝子を含むBTV-1骨格を有するウイルスのことをいう。
【0028】
表1 BTV血清型の1つからの1つまたは2つのポリペプチドおよびもう1つのBTV血清型からの9つまたは8つのポリペプチドを含む再集合体BTVの例
【0029】
本発明は、式BTV-A
BVPa、BTV-A
BVPc,VPd、BTV-A
BNSe、BTV-A
BVPc,NSe(式中、AおよびBは、(BTVまたはAHSV血清型に関して)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25および26であり;cおよびdは(VP1、VP2、VP3、VP4、VP5、VP6またはVP7に関して)1、2、3、4、5、6および7であり;eは(fNS1、NS2またはNS3/3Aに関して)1、2および3/3Aである)を有する再集合体BTVを含む組換えBTVベクターを含む。
【0030】
他の側面において、本発明は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189または190の配列を有するBTVポリペプチドおよびそれらのバリアントまたはフラグメントを提供する。
【0031】
さらに、ヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類、またはウマ類からのBTVまたはAHSVポリペプチドのホモログは本発明の範囲内であるものとする。本明細書において、用語”ホモログ”はオルソログ、アナログおよびパラログを含む。用語”アナログ”とは、同一または同様な機能を有するが、類縁性のない生物体において別々に進化した2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドのことをいう。用語”オルソログ”とは、異なる種からの2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドであるが、種分化によって共通の祖先遺伝子から進化したもののことをいう。通常は、オルソログは、同一または同様な機能を有するポリペプチドをコードする。用語”パラログ”は、ゲノム内の重複によって関連する2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドのことをいう。通例、パラログは異なる機能を有するが、これらの機能は関連している場合がある。野生型のBTVまたはAHSVポリペプチドのアナログ、オルソログおよびパラログは、翻訳後修飾、アミノ酸配列の相違またはその両方によって野生型BTVポリペプチドとは異なる場合がある。特に、本発明のホモログは、一般に、野生型BTVもしくはAHSVまたはポリヌクレオチド配列の全部または一部に対して少なくとも80〜85%、85〜90%、90〜95%または95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を示し、同様な機能を示す。バリアントは対立遺伝子バリアントを含む。用語”対立遺伝子バリアント”とは、タンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらし、自然集団(例えばウイルス種または変種)内に存在する多型を含むポリヌクレオチドまたはポリペプチドのことをいう。このような天然の対立遺伝子変異によって、一般的には、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの1〜5%の変異を生じる場合がある。対立遺伝子バリアントは、いくつかの異なる種における対象核酸配列を配列決定することによって同定することができ、これは、これらの種の同じ遺伝子の遺伝子座を同定するためのハイブリダイゼーションプローブを用いて容易に行うことができる。天然の対立遺伝子変異によって生じ、対象遺伝子の機能活性を変化させない、ありとあらゆるこのような核酸変異および得られたアミノ酸多型または変異は、本発明の範囲内であるものとする。
【0032】
本明細書において、用語”誘導体”または”バリアント”は、(1)対応するポリペプチドが、野生型ポリペプチドと比較して実質的に等しい機能を有するか、または(2)このポリペプチドに対して作られた抗体が、野生型ポリペプチドに対して免疫反応性である、ような1以上の保存的アミノ酸変異または他の小さな修飾を有するポリペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸のことをいう。これらのバリアントまたは誘導体は、未修飾カウンターパートポリペプチドと比較して実質的に等しい活性を生じうる、BTVまたはAHSVポリペプチドの一次アミノ酸配列の小さな修飾を有するポリペプチドを含む。このような修飾は、部位特異的変異誘発などによる人工的なものであることもできるし、自然発生的なものであることもできる。用語”バリアント”はさらに、本明細書に記載の免疫応答を生じさせるようにポリペプチドが機能する限り、その配列に対する欠失、付加および置換を考える。
用語”保存的変異”は、生物学的に類似する他の残基によるアミノ酸残基の置換か、あるいはコードされるアミノ酸残基が変化しないかまたは他の生物学的に類似する残基であるような、核酸配列におけるヌクレオチドの置換を意味する。この点において、特に好ましい置換は、一般に、前述のように性質が保存的である。
【0033】
本開示のポリヌクレオチドは、遺伝コードの結果(例えば特定の宿主のための最適化されたコドン使用頻度)として縮重している配列を含む。本明細書において、”最適化された”とは、所定の種における発現を増加させるために遺伝的に操作されたポリヌクレオチドのことをいう。BTVまたはAHSVポリペプチドをコードする最適化されたポリヌクレオチドを提供するために、BTVまたはAHSVタンパク質遺伝子のDNA配列は、1)特定の種において強く発現されている遺伝子に好ましいコドンを含むか;2)前記種において実質的に見出される、ヌクレオチド塩基組成におけるA+TまたはG+C含量を含むか;3)前記種の開始配列を形成するか;あるいは4)RNAの不安定化、不適切なポリアデニル化、分解および終結を引き起こす配列または二次構造ヘアピンもしくはRNAスプライス部位を形成する配列を除去する、ように修飾されることができる。前記種におけるBTVまたはAHSVタンパク質の発現増加は、真核生物および原核生物におけるコドン使用頻度分布または特定の種におけるコドン使用頻度分布を利用することにより達成することができる。用語”好ましいコドン使用頻度”とは、所定のアミノ酸を指定するヌクレオチドコドンの使用において特定の宿主細胞によって示される選択性のことをいう。20の天然アミノ酸が存在し、それらの大部分は2以上のコドンによって指定される。従って、ヌクレオチド配列によってコードされるBTVまたはAHSVポリペプチドのアミノ酸配列が機能的に変化しない限り、すべての縮重ヌクレオチド配列が本開示に含まれる。
【0034】
2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、NCBI(国立生物工学情報センター(Center for Biotechnology Information))のペアワイズブラスト(pairwise blast)およびblosum62マトリックスにより、標準的パラメーターを用いて達成することができる(例えば、国立生物工学情報センター(米国、メリーランド州、ベセズダ)のサーバーだけでなくAltschul et al.においても入手可能なBLAST又はBLASTXアルゴリズムを参照のこと;従って、本文書において、用語”blast”は、BLASTまたはBLASTXアルゴリズムおよびBLOSUM62マトリックスの使用のことを指す。
【0035】
配列に関する”同一性”は、2つの配列のうち、短い方の配列におけるヌクレオチド数またはアミノ酸数によって割った、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸を有する位置の数で示すことができる。ここで、2つの配列のアラインメントは、Wilbur and Lipmanアルゴリズム(Wilbur and Lipman)に従って、例えば、ウインドウサイズ20ヌクレオチド、ワード長4ヌクレオチドおよびギャップペナルティ4を用いて決定することができ、アラインメントを含むコンピュータ支援解析および配列データの解釈は、市販プログラム(例えばIntelligenetics(登録商標)Suite、Intelligenetics社、カリフォルニア州)を用いて有利に実施することができる。RNA配列が、DNA配列と類似するかまたはある程度の配列同一性もしくは相同性を有する場合、DNA配列におけるチミジン(T)は、RNA配列におけるウラシル(U)と等しいとみなす。従って、DNA配列におけるチミジン(T)がRNA配列におけるウラシル(U)と等しいとみなすことによって、RNA配列は本発明の範囲内であり、DNA配列から誘導することができる。
2つのアミノ酸配列の配列同一性もしくは配列類似性または2つのヌクレオチド配列間の配列同一性は、Vector NTIソフトウェアパッケージ(Invitrogen社、1600 Faraday Ave.、カールズバッド、カリフォルニア州)を用いて決定することができる。
【0036】
以下の文書は、配列の相対的同一性または相同性を比較するためのアルゴリズムを提供する。前述のものに加えて、あるいは前述のものに変えて、相同性パーセントまたは同一性を決定するために、これらの参考文献における教示を用いることができる:Needleman SB and Wunsch CD; Smith TF and Waterman MS; Smith TF, Waterman MS and Sadler JR; Feng DF and Dolittle RF; Higgins DG and Sharp PM; Thompson JD, Higgins DG and Gibson TJ;およびDevereux J, Haeberlie P and Smithies O。さらに、相同性パーセントを決定するために、当業者は、過度の実験を要することなく、多くの他のプログラムまたは参考文献を参照することができる。
ハイブリダイゼーション反応は、種々の”ストリンジェンシー”条件下で実施することができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを高める条件は公知である。例えば、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition (Sambrook et al., 1989) を参照のこと。
【0037】
本発明はさらに、ベクター分子または発現ベクターに含まれ、プロモーター配列および場合によりエンハンサーに作動可能に連結されたBTVポリヌクレオチドを含む。
”ベクター”とは、in vitroまたはin vivoのいずれかで標的細胞に送達される異種ポリヌクレオチドを含む組換えDNAもしくはRNAプラスミドまたはウイルスのことをいう。異種ポリヌクレオチドは、予防または治療の目的で対象配列を含むことができ、場合により発現カセットの形態であることができる。本明細書において、ベクターは、最終的な標的細胞または対象において複製できる必要はない。本用語はクローニングベクターおよびウイルスベクターを含む。
用語”組換え”は、自然には存在しないか、または自然界には見られない配置で他のポリヌクレオチドに結合した半合成または合成起源のポリヌクレオチドを意味する。
”異種”とは、比較されている実体の残りの部分とは遺伝的に異なった実体に由来することを意味する。例えば、遺伝子工学技術によって、異なる起源に由来するプラスミドまたはベクターにポリヌクレオチドを挿入することができるが、これは異種ポリヌクレオチドである。天然コード配列から除去され、その天然配列以外のコード配列に作動可能に連結されているプロモーターは異種プロモーターである。
【0038】
本発明は、ヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類およびブタ類のワクチンもしくは医薬または免疫組成物に関する。これらのワクチンもしくは医薬もしくは免疫組成物は、組換えBTV抗原の有効量および薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルを含むことができる。
本明細書に記載の主題事項は、一部分において、高い免疫原性を有し、相同および異種BTV株のチャレンジに対して動物を保護した、植物または藻類発現系で調製されるBTV抗原に関連する組成物および方法に関する。
本発明は、1以上の組換えBTVまたはAHSVベクターを含む組成物またはワクチンであって、BTVまたはAHSVの少なくとも1つのポリペプチドをコードする1以上の異種ポリヌクレオチドおよび薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルを含む組成物またはワクチンに関する.
他の実施形態において、薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルは油中水型エマルションであることができる。さらに他の実施形態において、油中水型エマルションは水/油/水(W/O/W)3層エマルションであることができる。
本発明は、さらに、ベクター分子または発現ベクター内に含まれ、プロモーター配列および場合によりエンハンサーに作動可能に連結されたBTVポリヌクレオチドを含む。
【0039】
他の側面において、本発明は、本発明の抗原ポリペプチド、特に配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189または190の配列を有するポリペプチドに対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するポリペプチドを提供する。
【0040】
さらに他の側面において、本発明は、上記のBTVポリペプチド(配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189または190)のフラグメントおよびバリアントを提供する。当業者は、公知の分子生物学技術を用いることによって、これらを容易に生成することができる。
【0041】
バリアントは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189または190のアミノ酸配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する相同ポリペプチドである。
【0042】
他の側面において、本発明は、BTVポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189または190の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。さらに他の側面において、本発明は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189または190の配列を有するポリペプチドに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するポリペプチドあるいはこれらのポリペプチドの1つの少なくとも8または少なくとも10連続アミノ酸の1つを含む保存的バリアント、対立遺伝子バリアント、ホモログまたは免疫原性フラグメントあるいはこれらのポリペプチドの組み合わせをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0043】
他の側面において、本発明は、配列番号63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131もしくは132のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドまたはそれらのバリアントを提供する。さらに他の側面において、本発明は、配列番号63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131または132の配列を有するポリヌクレオチドまたはそれらのバリアントの1つに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを提供する。
【0044】
本発明のポリヌクレオチドは、追加の配列、例えば同じ転写ユニット内の追加のコード配列、調節因子、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、5’UTR、3’UTR、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、同じまたは異なるプロモーターの制御下にある追加の転写ユニット、クローニング、発現、相同組換えおよび宿主細胞の形質転換を可能にする配列ならびに本発明の実施形態を提供するのに望ましい任意の構築物を含むことができる。
【0045】
BTVもしくはAHSVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原の発現のためのエレメントは、有利には、本発明のベクター中に存在する。少なくとも、エレメントは、開始コドン(ATG)、終止コドンおよびプロモーター、ならびに場合により、特定のベクター、例えばプラスミドおよび特定のウイルスベクター、例えばポックスウイルス以外のウイルスベクターのためのポリアデニル化配列を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。ポリヌクレオチドが、有利にはベクター中に、ポリタンパク質フラグメント、例えばBTVペプチドをコードする場合、リーディングフレームの5'にATGを配置し、3'に終止コドンを配置する。発現を調節するための他のエレメント、例えばエンハンサー配列、安定化配列、例えばイントロンおよび、タンパク質の分泌を可能にするシグナル配列を存在させることもできる。
本発明はまた、ベクター、例えば発現ベクター、例えば治療用組成物を含む調製物に関する。本調製物は、1以上のBTVもしくはAHSVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を含み発現する1以上のベクター、例えば発現ベクター、例えばin vivo発現ベクターを含むことができる。一実施形態において、本ベクターは、BTVまたはAHSV抗原、エピトープもしくは免疫原をコードする(有利には発現する)ポリヌクレオチドを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなるポリヌクレオチドを薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤またはビヒクル中に含み発現する。従って、本発明の実施形態によれば、本調製物中の他のベクター(単数または複数)は、コードするポリヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、該ベクターは、適切な環境下でBTVポリペプチドの1以上の他のタンパク質、抗原、エピトープもしくは免疫原またはそれらのフラグメントを発現する。
【0046】
他の実施形態によれば、本調製物中のベクター(単数または複数)は、BTVもしくはAHSVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原の1以上のタンパク質またはそれらのフラグメント(単数または複数)をコードするポリヌクレオチド(単数または複数)、これらのポリヌクレオチド(単数または複数)を発現するベクター(単数または複数)を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。他の実施形態において、本調製物は、BTVもしくはAHSVポリペプチド、抗原、融合タンパク質またはそれらのエピトープをコードし、有利にはin vivoで発現するポリヌクレオチドを含む1または2以上のベクターを含む。本発明はまた、異なるBTVもしくはAHSVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原、例えば異なる動物種、例えば限定するものではないが、ヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはブタ類からのBTVもしくはAHSVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原をコードし、発現するポリヌクレオチドを含むベクターの混合物に関する。
【0047】
よりさらなる本発明の実施形態によれば、発現ベクターはプラスミドベクターまたはDNAプラスミドベクターであり、特にin vivo発現ベクターである。特定の限定するものではない例において、pVR1020または1012プラスミド(VICAL Inc.; Luke et al., 1997; Hartikka et al., 1996、例えば米国特許第5,846,946号および第6,451,769号参照)は、ポリヌクレオチド配列を挿入するためのベクターとして用いることができる。pVR1020プラスミドはpVR1012に由来し、ヒトtPAシグナル配列を含む。一実施形態において、ヒトtPAシグナルは、Genbankアクセッション番号HUMTPA14において、アミノ酸M(1)からアミノ酸S(23)までを含む。他の特定の限定するものではない例において、ポリヌクレオチド配列の挿入のためのベクターとして用いられるプラスミドは、Genbankアクセッション番号U28070におけるアミノ酸M(24)からアミノ酸A(48)までのウマIGF1のシグナルペプチド配列を含むことができる。本技法に参照または使用することができるDNAプラスミドに関するさらなる情報は、例えば米国特許第6,852,705号;第6,818,628号;第6,586,412号;第6,576,243号;第6,558,674号;第6,464,984号;第6,451,770号;第6,376,473号および第6,221,362号において見出される。
【0048】
用語プラスミドは、本発明のポリヌクレオチドおよび所望の宿主または標的の細胞(単数または複数)内でのそのin vivo発現に必要なエレメントを含む任意のDNA転写ユニットを含む。この点において、スーパーコイルまたは非スーパーコイルプラスミド、環状プラスミドだけでなく、線状形もまた本発明の範囲内であるものとすることに注意されたい。
各プラスミドは、異種ペプチド配列、バリアント、アナログまたはフラグメントに融合され、場合により、プロモーターに作動可能に連結された、またはプロモーターの制御下にある、またはプロモーターに依存したBTVもしくはAHSV抗原、エピトープまたは免疫原をコードするポリヌクレオチドを含むか、それらを含有するか、または本質的にそれらからなる。一般に、真核細胞内で機能する強力なプロモーターを用いるのが有利である。強力なプロモーターは、限定するものではないが、ヒトまたはマウス起源であり、場合によりラットまたはモルモットなどの起源を有する前初期サイトメガロウイルスプロモーター(CMV-IE)、スーパープロモーター(Ni, M. et al., Plant J. 7, 661-676, 1995)であることができる。CMV-IEプロモーターは、エンハンサー部分と関連することも関連しないこともある実際のプロモーター部分を含むことができる。EP-A-260148、EP-A-323597、米国特許第5,168,062号、第5,385,839号および第4,968,615号ばかりでなく、PCT出願番号WO87/03905もまた参照することができる。CMV-IEプロモーターは、有利にはヒトCMV-IE(Boshart et al., 1985)またはマウスCMV-IEである。
より一般的には、プロモーターはウイルス起源、植物起源または細胞起源のいずれかを有する。本発明の実施に有用に用いることができるCMV-IE以外の強力なウイルスプロモーターは、SV40ウイルスの初期/後期プロモーターまたはラウス肉腫ウイルスのLTRプロモーターである。本発明の実施に有用に用いることができる強力な細胞プロモーターは、細胞骨格の遺伝子のプロモーター、例えばデスミンプロモーター(Kwissa et al., 2000)またはアクチンプロモーター(Miyazaki et al., 1989)である。
【0049】
構成的、調節性または刺激依存性プロモーターのいずれも用いることができる。例えば、構成的プロモーターは、アグロバクテリウム・ツメファキエンス(Agrobacterium tumefasciens)からのマンノピンシンターゼプロモーターを含むことができる。あるいはまた、熱ショック遺伝子プロモーター、乾燥誘導性遺伝子プロモーター、病原菌誘導遺伝子プロモーター、傷害誘導遺伝子プロモーターおよび明/暗誘導遺伝子プロモーターを用いることもまた有利であることができる。植物成長調節因子、例えばアブシジン酸、オーキシン、サイトカイニンおよびジベレリン酸によって調節されるプロモーターを用いることは有用であることができる。組織特異的発現(例えば根、葉および花特異的プロモーター)を示すプロモーターもまた選択されることができる。
【0050】
プラスミドは他の発現調節因子を含むことができる。特に、安定化配列(単数または複数)、例えばイントロン配列(単数または複数)、例えば、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼイントロン(Callis et al. Genes & Dev.1(10):1183-12001, Dec. 1987)、hCMV-IEの第1イントロン(PCT出願番号WO1989/01036)、ウサギβ-グロビン遺伝子の第2イントロン(van Ooyen et al., 1979)を組み込むことが有利である。他の実施形態において、プラスミドは3’UTRを含むことができる。3’UTRは、限定するものではないが、アグロバクテリウムノパリンシンターゼ(Nos)3’UTRであることができる(Nopaline synthase: transcript mapping and DNA sequence. Depicker, A. et al. J. Mol. Appl. Genet., 1982; Bevan, NAR, 1984, 12(22): 8711-8721)。
ポックスウイルス以外のプラスミドおよびウイルスベクターのためのポリアデニル化シグナル(ポリA)には、ウシ成長ホルモン(bGH)遺伝子(米国特許第5,122,458号参照)のポリ(A)シグナルまたはウサギβ-グロビン遺伝子のポリ(A)シグナルまたはSV40ウイルスのポリ(A)シグナルを使用することができる。
”宿主細胞”または”細胞”は、遺伝子改変されているか、または外因性ポリヌクレオチド、例えば組換えプラスミドまたはベクターまたはssRNAまたはdsRNAの投与によって遺伝子改変されることができる原核または真核細胞を意味する。遺伝子改変細胞について言えば、この用語は、最初に改変された細胞およびその子孫の両方を指す。
【0051】
一実施形態において、本明細書に開示された主題事項は、組換えBTVまたはAHSVベクターの作製方法であって、a)BTVまたはAHSVの血清型の1つの1以上のポリペプチドをコードするRNA;およびb)a)におけるBTVまたはASHVの血清型とは異なるBTVまたはAHSVの血清型の1つの全ゲノムの転写物を含むRNAであって、a)におけるポリペプチドをコードする転写物の欠失を含むRNAで細胞をトランスフェクトすることを含む方法に関する。
他の実施形態において、本明細書に開示された主題事項は、ヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類、またはブタ類にワクチン接種する方法であって、ヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはブタ類に、組換えBTVベクターの有効量および薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤またはビヒクルを含むことができるワクチンの有効量を投与することを含む方法に関する。
一実施形態において、本明細書に開示された主題事項は、免疫応答を誘発する方法であって、免疫応答が誘発されるヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはブタ類に、ヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはブタ類の組換えBTVまたはAHSVベクターを含むワクチンを投与することを含む方法に関する。
投与は皮下であることもできるし、筋肉内であることもできる。投与は無針(例えばPigjetまたはBioject)であることができる。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの共通のポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を用いる、少なくとも1つの第1投与および少なくとも1つのブースター投与を含むプライム・ブースト投与計画を用いることができる。典型的には、第1投与に用いられる免疫組成物またはワクチンは、ブースターとして用いられるものとは性質が異なる。しかしながら、第1投与およびブーストとして同じ組成物を用いることができることに注意されたい。この投与プロトコルは”プライム・ブースト”と呼ばれる。
【0052】
本発明のプライム・ブーストは、抗原ポリペプチドもしくはフラグメントまたはそれらのバリアントをコードするBTVコード配列またはそれらのフラグメントを発現するために用いられる組換えウイルスベクターを含むことができる。具体的には、本ウイルスベクターは、抗原ポリペプチドをコードするBTVもしくはAHSV遺伝子またはそれらのフラグメントを発現することができる。本明細書において考えられるウイルスベクターは、限定するものではないが、ポックスウイルス[例えばワクシニアウイルスまたは弱毒化ワクシニアウイルス、トリポックスウイルスまたは弱毒化トリポックスウイルス(例えばカナリアポックス、鶏痘、鳩痘、鳩痘、ウズラ痘、ALVAC、TROVAC;例えば米国特許第5,505,941号、米国特許第5,494,8070号参照)、アライグマポックスウイルス、豚痘ウイルスなど]、アデノウイルス(例えばヒトアデノウイルス、イヌアデノウイルス)、ヘルペスウイルス(例えばイヌヘルペスウイルス、七面鳥ヘルペスウイルス、マレック病ウイルス、伝染性喉頭気管炎ウイルス、ネコヘルペスウイルス、喉頭気管炎ウイルス(ILTV)、ウシヘルペスウイルス、ブタヘルペスウイルス)、バキュロウイルス、レトロウイルスなどを含む。他の実施形態において、アビポックス発現ベクターは、カナリアポックスベクター、例えばALVACであることができる。さらに他の実施形態において、アビポックス発現ベクターは鶏痘ベクター、例えばTROVACであることができる。発現される本発明のBTVまたはAHSV抗原は、特に、特定のポックスウイルスプロモーター、例えばアムサクタモーレイエントモポックスウイルス42Kプロモーター(Barcena, Lorenzo et al. 2000)、ワクシニアプロモーター7.5kDa(Cochran et al., 1985)、ワクシニアプロモーターI3L(Riviere et al., 1992)、ワクシニアプロモーターHA(Shida,1986)、牛痘プロモーターATI(Funahashi et al., 1988)、ワクシニアプロモーターH6(Taylor et al., 1988b; Guo et al., 1989; Perkus et al., 1989)の制御下に挿入される。
他の実施形態において、アビポックス発現ベクターはカナリアポックスベクター、例えばALVACであることができる。BTVもしくはAHSVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原は、BTVまたはAHSV VP2またはBTV VP5であることができる。ウイルスベクターは、BTVコドン最適化合成VP2およびVP5をコードするvCP2289であることができる(US2007/0280960参照)。
【0053】
本発明のプライム・ブーストプロトコルの他の側面において、本発明の組換えBTVベクターを含む組成物が投与され、次いで、BTVもしくはAHSV抗原または不活化ウイルスワクチンまたは、BTVもしくはAHSV抗原を含み発現するDNAプラスミドワクチンもしくは組成物を含むワクチンもしくは組成物が投与される。同様に、プライム・ブーストプロトコルは、不活化ウイルスワクチンまたはBTVもしくはAHSV抗原を含む組成物または、BTVもしくはAHSV抗原を含み発現するDNAプラスミドワクチンもしくは組成物を含むワクチンまたは組成物の投与に続く、本発明の組換えBTVもしくはAHSVベクターを含む組成物の投与を含むことができる。さらに、第1投与および第2投与は、共に本発明のBTV抗原を含む組成物を含むことができることに注意されたい。
プライム・ブーストプロトコルは、少なくとも1つの共通のポリペプチドおよび/もしくはバリアントまたはそれらのフラグメントを用いる、少なくとも1つのプライム投与および少なくとも1つのブースト投与を含む。プライム投与に用いられるワクチンは、後のブースターワクチンで用いられるワクチンとは性質が異なることができる。プライム投与は、1以上の投与を含むことができる。同様に、ブースト投与は、1以上の投与を含むことができる。
【0054】
哺乳動物標的種のための組成物の投与容量、例えば、ウイルスベクター、例えば非ポックスウイルス-ウイルスベクターベース組成物に基づくヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはブタ類組成物の投与容量は、一般に、約0.1〜約5.0ml、約0.1〜約3.0mlおよび約0.5ml〜約2.5mlである。
ワクチンの有効性は、動物、例えばヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはブタ類を、BTVの毒性株、例えばBTV-1/2/3/4/8/9/16または17株でチャレンジする最終免疫化の約2〜4週間後に試験することができる。例えば、BTV株は血清型17であることができる。これは、最初、カリフォルニア州トゥーレアリ郡からのヒツジの血液から単離された(Bonneau, DeMaula et al. 2002; DeMaula, Leutenegger et al. 2002 を参照のこと)。BTV株は血清型8であることもでき、その不活化ワクチンは現在Merial社から入手可能である。
他の株は、BTV1(オーストラリア分離株)、BTV1(南アフリカ分離株)、BTV2(米国分離株)、BTV3(南アフリカ分離株)、BTV4-9、BTV10(米国分離株)、BTV11(米国分離株)、BTV12、BTV13(米国分離株)、BTV14-17、BTV17(米国分離株)、BTV18、BTV19、BTV20(オーストラリア分離株)、BTV21-24またはCorsican BTVを含むことができる。
ワクチンの有効性を試験するためのチャレンジに、相同株および異種株の両方を用いることができる。皮内、皮下、スプレー、鼻腔内、眼内、気管内、および/または経口で動物をチャレンジすることができる。
【0055】
ウシ亜科動物およびヤギ類は、BTVに関しては、広範囲にわたる血管損傷について評価される。同様に、ヒツジ類は、BTVに関しては、口、鼻および噴門洞の粘膜のカタル性炎、ひづめの蹄冠帯および蹄葉の炎症、上皮の表皮剥脱、口腔粘膜の壊死ならびにはれあがり/炎症を起こした/青色の舌および口について評価される。チャレンジ後、ウイルス単離のためにすべての動物から拭取り検体を採取することができる。上記の組織におけるウイルス抗原の存否は、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRRT-PCR)によって評価することができる。チャレンジ前およびチャレンジ後に血液試料を採取し、抗BTV特異的抗体の存在に関して分析することができる。
【0056】
プライム・ブースト投与は、有利には、2〜6週間、例えば約3週間離して行うことができる。一実施形態によれば、有利にはウイルスベクターベースワクチンを用いる年2回のブースターまたは年1回のブースターもまた考えられる。動物は、有利には、初回投与時に少なくとも6〜8週齢である。
プライム・ブーストプロトコルに用いられる本発明の組換え抗原ポリペプチドを含む組成物は、薬学的もしくは獣医学的に許容されるビヒクル、希釈剤または賦形剤に含まれる。本発明のプロトコルは、ヒツジ、ウシ、ヤギまたはブタBTVもしくはAHSVから動物を保護し、かつ/または感染動物において疾患進行を予防する。
種々の投与は、好ましくは、1〜6週間離して行われ、より具体的には約3週間離して行われる。好ましい方法によれば、好ましくはワクチンのウイルスベクターベース免疫組成物を用いる年1回のブースターもまた考えられる。動物は、好ましくは、初回投与の時点で少なくとも1日齢である。
本開示は例として提供されるものであって、本発明がそれに限定されないことは当業者には明らかであろう。本開示および当該技術分野における知識から、当業者は、過度の実験を要することなく、各注射プロトコルに使用される投与回数、投与経路および用量を決定することができる。
【0057】
本発明は、本発明によって作製される治療用組成物の有効量の動物への少なくとも1つの投与を考える。動物は、雄、雌、妊娠雌および新生児であることができる。該投与は、限定するものではないが、筋肉内(IM)、皮内(内径)もしくは皮下(SC)注射または鼻腔内もしくは経口投与を含む種々の経路によって行うことができる。本発明の治療用組成物は、無針装置(例えばPigjet、Dermojet、Biojector、Avijet(Merial社、ジョージア州、米国)、VetjetまたはVitajet装置(Bioject社、オレゴン州、米国))によって投与することもできる。プラスミド組成物を投与するためのもう1つのアプローチは、エレクトロポレーションの使用である(例えばTollefsen et al., 2002; Tollefsen et al., 2003; Babiuk et al., 2002; PCT出願番号WO99/01158を参照のこと)。他の実施形態において、治療用組成物は、遺伝子銃または金粒子銃によって動物に送達される。
一実施形態において、本発明は、標的細胞内にBTVもしくはAHSV抗原またはエピトープを送達し発現させるための製剤の治療的有効量の投与を提供する。治療的有効量の決定は、当業者にはルーチン試験である。一実施形態において、製剤は、BTVもしくはAHSV抗原またはエピトープを発現するポリヌクレオチドおよび薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、ビヒクルまたは賦形剤を含む発現ベクターを含む。他の実施形態において、薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、ビヒクルまたは賦形剤は、ポリヌクレオチドの宿主動物への導入のためのトランスフェクションまたは他の手段を容易にし、かつ/または宿主内のベクターまたはタンパク質の保存を改善する。
一実施形態において、本明細書に開示された主題事項は、感染動物とワクチン接種動物(DIVA)とを区別するための検出法を提供する。
現在、入手可能なBTVワクチンがいくつかある。Merial社およびIntervet社は、共に不活化BTV8ワクチンを提供している。BTVワクチン接種動物とBTV感染動物とを区別する方法が最近記載された(Silvia C. Barros et al., Veterinary-Microbiology, 2009)。
本明細書において、本発明のワクチンまたは組成物の使用が、動物におけるBTVまたはAHSV感染の検出を可能にすることが開示される。本明細書において、本発明のワクチンまたは組成物の使用が、感染動物とワクチン接種動物(DIVA)とを区別することによって動物における感染の検出を可能にすることが開示される。本明細書において、BTV-NS3ベース免疫原性検出法、例えば、NS3特異的ELISAを用いて動物におけるBTV感染を診断する方法が開示される。
【0058】
製造物
一実施形態において、本明細書に開示された主題事項は、組換えBTVもしくはAHSV免疫組成物またはワクチン、あるいは不活化BTVもしくはAHSV免疫組成物またはワクチンのいずれか1つ、組換えBTVもしくはAHSVウイルス組成物またはワクチンおよび本方法を実施するための使用説明書を含むことができる、免疫応答を誘発または誘導する方法を実施するためのキットに関する。
本発明の他の実施形態は、動物において、BTVまたはAHSVに対して免疫応答または感染防御応答を誘導する方法を実施するためのキットであって、本発明のBTV抗原を含む組成物またはワクチンおよび組換えBTVもしくはAHSVウイルス免疫組成物またはワクチンならびに動物において免疫応答を誘発するための有効量で送達する方法を実施するための使用説明書を含むキットである。
本発明の他の実施形態は、動物においてBTVまたはAHSVに対する免疫応答または感染防御応答を誘導する方法を実施するためのキットであって、本発明のBTVまたはAHSV抗原を含む組成物またはワクチンおよび不活化BTV免疫組成物またはワクチンならびに動物において免疫応答を誘発するための有効量で送達する方法を実施するための使用説明書を含むキットである。
本発明のさらに他の側面は、前述の本発明によるプライム・ブーストワクチン接種のためのキットに関する。本キットは、少なくとも2つのバイアル:本発明のプライムワクチン接種のためのワクチンまたは組成物を含む第1バイアルおよび、本発明のブーストワクチン接種のためのワクチンまたは組成物を含む第2バイアル、を含むことができる。本キットは、有利には、追加のプライムワクチン接種または追加のブーストワクチン接種のための追加の第1または第2バイアルを含むことができる。
【0059】
以下の実施形態は本発明に含まれる。一実施形態において、組換えBTVもしくはAHSVベクターおよび薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物が開示される。一実施形態において、薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルが油中水型エマルションまたは水中油型エマルションである上記組成物が開示される。他の実施形態において、ヒツジ、ウシ、ヤギまたはブタBTVもしくはAHSVに罹患しやすい動物にワクチン接種する方法であって、該動物に上記組成物を投与することを含む方法が開示される。一実施形態において、ヒツジ、ウシ、ヤギまたはブタBTVもしくはAHSVに罹患しやすい動物にワクチン接種する方法であって、プライム・ブースト投与計画を含む方法が開示される。一実施形態において、動物のインフルエンザ感染を診断する方法が開示される。さらに他の実施形態において、少なくとも2つのバイアルを含むプライム・ブーストワクチン接種のためのキットであって、第1バイアルが本発明の組成物を含み、第2バイアルが、BTVもしくはAHSV抗原を含む若しくは発現する、組換えウイルスベクターを含む組成物、不活化ウイルス組成物を含む組成物、またはDNAプラスミド組成物を含む、ブーストワクチン接種のための組成物である、前記キットが開示される。
【0060】
薬学的もしくは獣医学的に許容される担体またはビヒクルまたはアジュバントまたは賦形剤は当業者に公知である。例えば、薬学的もしくは獣医学的に許容される担体またはビヒクルまたは賦形剤は0.9%NaCl(例えば生理食塩水)溶液またはリン酸緩衝液であることができる。本発明の方法に使用することができる他の薬学的もしくは獣医学的に許容される担体またはビヒクルまたは賦形剤は、限定するものではないが、ポリ-(L-グルタミン酸)またはポリビニルピロリドンを含む。薬学的もしくは獣医学的に許容される担体またはビヒクルまたは賦形剤は、ベクター(または本発明のベクターからin vitroで発現されるタンパク質)の投与を容易にする任意の化合物または化合物の組み合わせであることができる。有利には、担体、ビヒクルまたは賦形剤は、トランスフェクションを容易にし、かつ/またはベクター(またはタンパク質)の保存を改善することができる。本明細書において、用量および投与容量は一般的な記載で説明されているが、当業者は、過度の実験を要することなく、本開示を読み、当該技術分野での知識と組み合わせることによって決定することもできる。
【0061】
第四級アンモニウム塩を含み、限定するものではないが有利にはプラスミドに適したカチオン性脂質は、有利には次式:
(式中、R1は12〜18炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖脂肪族基であり、R2は2〜3炭素原子を含む他の脂肪族基であり、Xはアミンまたはヒドロキシル基である)を有するもの、例えばDMRIEである。他の実施形態において、カチオン性脂質は、中性脂質、例えばDOPEと組み合わせることができる。
【0062】
これらのカチオン性脂質の中で、DMRIE(N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンアンモニウム;WO96/34109)が好ましく、有利には中性脂質、有利にはDOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン;Behr, 1994)と組み合わされて、DMRIE-DOPEを形成する。
有利には、アジュバントとのプラスミド混合物は、その場で調製され、有利には、調製物の投与と同時に、あるいは調製物の投与の直前に調製される。例えば、投与の直前または投与前に、有利には投与前に混合物が複合体を形成するのに十分な時間があるように、例えば投与約10〜約60分前に、例えば投与おおよそ30分前に、プラスミド-アジュバント混合物が調製される。
DOPEが存在する場合、DMRIE:DOPEモル比は好都合には約95:約5〜約5:約95であり、より好都合には約1:約1であり、例えば1:1である。
DMRIEまたはDMRIE-DOPEアジュバント:プラスミド重量比は、約50:約1〜約1:約10であり、例えば約10:約1〜約1:約5、約1:約1〜約1:約2であり、例えば1:1〜1:2であることができる。
【0063】
他の実施形態において、薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントは油中水型エマルションであることができる。適切な油中水型エマルションの例は、抗原を含む水相6〜50容量%、好ましくは12〜25v/v%、全部または一部に非代謝性油(例えばパラフィン油などの鉱油)および/または代謝可能油(例えば植物油または脂肪酸、ポリオールまたはアルコールエステル)を含む油相50〜94容量%、界面活性剤0.2〜20p/v%、好ましくは3〜8p/v%(後者は全部もしくは一部で、または混合物でポリグリセロールエステル(前記ポリグリセロールエステルは好ましくはポリグリセロール(ポリ)リシノール酸エステルである)またはポリオキシエチレンリシンオイルあるいは水添ポリオキシエチレンリシンオイルである)を含む4℃で安定かつ流動性のオイルベース油中水型ワクチンエマルションを含む。油中水型エマルションに用いることができる界面活性剤の例は、エトキシル化ソルビタンエステル(例えばポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン(ツイーン80(登録商標))、AppliChem社、チェシア、コネチカット州から入手できる)およびソルビタンエステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン(SPAN 80(登録商標))、Sigma Aldrich社、セントルイス、ミズーリ州から入手できる)を含む。加えて、油中水型エマルションに関しては、米国特許第6,919,084号(例えばその実施例8)もまた参照のこと(参照により本願に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、抗原を含む水相は、1以上の緩衝化剤を含む生理食塩水を含む。適切な緩衝溶液の例は、リン酸緩衝化生理食塩水である。有利な実施形態において、油中水型エマルションは水/油/水(W/O/W)3層エマルション(米国特許第6,358,500号)であることができる。他の適切なエマルションの例は米国特許第7,371,395号に記載されている。
【0064】
本発明の免疫組成物およびワクチンは、1以上の薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤、ビヒクルまたはアジュバントを含むかまたは本質的にそれらからなることができる。本発明の実施に使用するための適切な担体またはアジュバントは、(1)アクリル酸もしくはメタクリル酸のポリマー、無水マレイン酸およびアルケニル誘導体のポリマー、(2)免疫刺激配列(ISS)、例えば1以上の非メチル化CpGユニットを有するオリゴデオキシリボヌクレオチド配列(Klinmanら、1996;WO98/16247)、(3)水中油型エマルション、例えばM.Powell、M.Newman(プレナムプレス1995)によって出版された“Vaccine Design, The Subunint and Adjubant Approach”の147ページに記載されているSPTエマルションおよび同書の183ページに記載されているMF59エマルション、(4)第四級アンモニウム塩を含有するカチオン脂質、例えばDDA、(5)サイトカイン、(6)水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウム、(7)サポニンもしくは(8)引用され、本願に参照により組み込まれた前述の任意の文書に記載の他のアジュバント、または(9)それらの任意の組み合わせもしくは混合物である。
【0065】
水中油型エマルション(3)は特にウイルスベクターに適切であり、軽質流動パラフィン油(欧州薬局方タイプ)、スクアラン、スクアレンなどのイソプレノイド油、アルケンのオリゴマー化によって得られる油、例えばイソブテンもしくはデセン、直鎖アルキル基を有する酸もしくはアルコールのエステル、例えば植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコール、ジ(カプリラート/カプラート)、グリセロールトリ(カプリラート/カプラート)およびプロピレングリコールジオレアート、または分枝鎖、脂肪アルコールもしくは酸のエステル、特にイソステアリン酸エステルに基づくことができる。
【0066】
油は乳化剤と組み合わせて用いられてエマルションを形成する。乳化剤は、非イオン界面活性剤、例えば、片方がソルビタン、マンニド(例えばアンヒドロマンニトールオレアート)、グリセロール、ポリグリセロールもしくはプロピレングリコールであり、もう片方がオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸もしくはヒドロキシステアリン酸のエステルである非イオン界面活性剤であることができ、前記エステルは場合によりエトキシル化もしくはポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、例えばプルロニック、例えばL121であることができる。
【0067】
タイプ(1)アジュバントポリマーの中では、架橋されたアクリル酸またはメタクリル酸のポリマーが好ましく、特に糖またはポリアルコールがポリアルケニルエーテルで架橋されたポリマーが好ましい。これらの化合物は、カルボマー(carbomaer)(Pharmeuropa, vol. 8, no. 2, June 1996)の名称で知られている。当業者はまた、少なくとも3つのヒドロキシル基、好ましくは8つ以下のヒドロキシル基を有し、少なくとも3つのヒドロキシル基の水素原子が、少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族基によって置換されているポリヒドロキシル化合物で架橋されたアクリルポリマーが記載されている米国特許第2,909,462号を指摘することもできる。好ましい基は、2〜4炭素原子を含む基、例えばビニル、アリルおよび他のエチレン性不飽和基である。不飽和基はまた、メチルなどの他の置換基を含むこともできる。カルボポル(Carbopol)(BF Goodrich社、オハイオ州、米国)の名称で販売されている製品が特に適切である。カルボポルはアリルサッカロースまたはアリルペンタエリスリトールによって架橋されている。その中で、特にカルボポル974P、934Pおよび971Pがあげられる。
【0068】
無水マレイン酸-アルケニル誘導体コポリマーには、直鎖または架橋されたエチレン-無水マレイン酸コポリマーであって、例えばジビニルエーテルによって架橋されているEMA(Monsanto社)が好ましい。J.Fieldsら(1960)もまた参照することができる。
構造に関しては、アクリル酸またはメタクリル酸ポリマーおよびEMAは、好ましくは、次式を有する基本単位によって形成される:
【0069】
(式中、R1およびR2は、同じであっても異なっていてもよく、HまたはCH3を表し;
x=0または1であり、好ましくはx=1であり;
y=1または2であり、ここでx+y=2である)。
【0070】
EMAに関しては、x=0であり、y=2であり、カルボマーに関しては、x=y=1である。
【0071】
これらのポリマーは水または生理食塩液(20g/l NaCl)に可溶性であり、例えばソーダ(NaOH)によってpHを7.3〜7.4に調整して、発現ベクター(単数または複数)を混合することができるアジュバント溶液を作成することができる。最終免疫組成物またはワクチン組成物におけるポリマー濃度は、約0.01〜約1.5%w/v、約0.05〜約1%w/vおよび約0.1〜約0.4%w/vであることができる。
【0072】
サイトカイン(単数または複数)(5)は、免疫組成物またはワクチン組成物中のタンパク質形であることもできるし、免疫原(単数もしくは複数)またはそれらのエピトープ(単数もしくは複数)を用い、宿主内で同時発現させることもできる。免疫原(単数もしくは複数)またはそれらのエピトープ(単数もしくは複数)を発現する同じベクターまたはそれらの異なるベクターのいずれかによるサイトカイン(単数または複数)の同時発現が好ましい。
本発明は、例えば活性成分を有利にはアジュバント、担体、サイトカインおよび/または希釈剤と混合することによるこのような組み合わせ組成物の作製を含む。
本発明に用いることができるサイトカインは、限定するものではないが、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、インターフェロンγ、(IFNγ)、インターロイキン-1α(IL-1α)、インターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-5(IL-5)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-8(IL-8)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-11(IL-11)、インターロイキン-12(IL-12)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ)およびトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)を含む。サイトカインは、本発明の免疫組成物またはワクチン組成物と共投与および/または順次投与できることは言うまでもない。従って、本発明のワクチンは、例えば、適切なサイトカイン、例えばワクチン接種される宿主または免疫学的応答が誘導される宿主に適合するサイトカイン(例えば、ウシ亜科動物に投与される製剤のためのウシサイトカイン)をin vivoで発現する外因性核酸分子を含むことができる。
有利には、本発明の免疫組成物および/またはワクチンは、本明細書で述べたように、1以上のポリペプチドの治療反応を誘導する有効量を含むか、本質的にそれらからなるかまたはそれらからなり、有効量は、過度の実験を要することなく、本明細書に組み込まれる文書および当該技術分野での知識を含む本開示から決定することができる。
発現されたポリペプチドに基づく免疫組成物および/またはワクチンの場合は、用量は、BTVもしくはFMDV抗原、エピトープまたは免疫原を約1μg〜約2000μg、有利には約50μg〜約1000μg、より有利には約100μg〜約500μg含むことができる。投与容量は、約0.1〜約10mlであることができ、有利には約0.2〜約5mlであることができる。
ここで、限定するものではない以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0073】
(実施例)
DNAインサート、プラスミドおよび組換えウイルスベクターまたは植物ベクターの構築は、J. Sambrook et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989) に記載されている標準的分子生物学技術を用いて行った。
【実施例1】
【0074】
再集合体BTVの作製
細胞およびウイルス
BSR細胞はBHK-21細胞のクローンであり、5%ウシ胎児血清(FBS)および25μg/mlペニシリン/ストレプトマイシン(p/s、Gibco社)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Gibco社)中で維持した。Vero細胞は、5%FBSおよびp/sを補充したDMEM中で維持した。CPT-Tert細胞は、ヒツジ脈絡叢細胞の不死化株であり、10%FBSおよびp/sを補充したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM、Gibco社)中で維持した。すべての哺乳動物細胞は、加湿インキュベーター中、37℃、5%CO
2でインキュベートした。
BTV-1は、南アフリカ血清型1標準株であり、最初のBTV逆遺伝学系の基準として用いられてきた。ヨーロッパBTV-8株(BTV-8NET2008/06(IAHオルビウイルスコレクション))は、オランダにおいて、臨床的に感染したウシから単離され、KC細胞における1回のみの継代培養とそれに続くBHK-21細胞におけるさらに1回の継代培養の継代歴を有している。
【0075】
プラスミド
BTV-1およびBTV-8のレスキューに用いたプラスミドは以前記載されている(Ratinier et al, 2011)。各プラスミドは、5’T7プロモーターおよび3’制限部位にフランキングされたゲノムセグメントの単一BTV cDNAコピーを含む。T7プロモーターおよび制限部位は、共に、適切な制限酵素で線状化されたプラスミドが、本来のBTV末端を有するキャップ化RNA転写物のin vitro転写を可能にするように配置される。他のレスキュープラスミドと同様に、BTV-2、BTV-4およびBTV-9の悪性の野外分離株のSeg-2を含む追加のプラスミド(13)は商業的に合成された(GenScript社)。
【0076】
逆遺伝学
BT
V-1もしくはBTV-8または得られた変異体のゲノムセグメントを含むプラスミドを適切な制限酵素で線状化し、次いでフェノール・クロロホルム抽出によって精製した。製造業者の使用説明書に従って、mMESSAGE mMACHINE T7 Ultra Kit (Ambion社)を用い、消化プラスミドをin vitro転写の鋳型として用いた。製造業者のプロトコルに従って、フェノール/クロロホルム抽出およびIllustra Microspin G25カラム(GE Healthcare Life Sciences社)によってssRNAを順次精製した。
個々のRNAの組み合わせは、所望の再集合体に従って作成した(表1および
図1参照)。
【0077】
トランスフェクションの24時間前に、抗生物質を含まない増殖培地中に、BSR細胞2x10
5個を12ウェルプレートにプレーティングした。リポフェクタミン2000を用いて、RNAで細胞を2回トランスフェクトした。最初のトランスフェクションに関しては、VP1、3、4、6、NS1およびNS2をコードするin vitro転写BTV様キャップ化RNA 1x10
11コピーを、RNAsin Plus(0.5U/μl、Promega社)を最終容量10μlに含むOptiMEM(Gibco社)と混合した。Liptofectamine 2000 2μlを10μlのOptiMEM(RNAsin Plusを含む)と混合し、5分間インキュベートした後、RNAと混合した。トランスフェクション複合体を20分間形成させ、次いで細胞にトランスフェクション混合物を滴下した。最初のトランスフェクションのおおよそ18時間後、培地を交換し、全10セグメントおよびリポフェクタミン3μlを用いたこと以外は最初のトランスフェクションと同様にして、細胞を2回目のトランスフェクションにかけた。2回目のトランスフェクションの4時間後に、培地を寒天上層で置き換えた。
この報告を通じて、標準的命名法が適用される:名称の大文字部分はウイルスの骨格を指し、続いて、下付き文字は、そのセグメントの血清型起源を前に置いた置換されるタンパク質を含む。例えばBTV-1
8VP1は、BTV-1骨格を有し、BTV-8のVP1遺伝子を含むウイルスのことをいう。
再集合体BTVの作成の概略図を
図6に示す。
【0078】
増殖曲線
in vitroでのウイルス増殖の分析のために、感染前日に、増殖培地1mlが入った12ウェルプレートに2x10
5CPT-Tert細胞/ウェルまたは3x10
6KC細胞/ウェルをプレーティングした。関連ウイルスを含む培地中、細胞を37℃で2時間インキュベートした。次いで培地を除去し、DMEMで細胞を1回洗浄し、次いで適切な新しい増殖培地1mlと共にインキュベートした。感染後(p.i.)、0、8、24、48および72時間において試料の上清100μlを除去し、新しい増殖培地100μlで置き換えた。500xgで5分間の遠心分離によって試料100μlを清澄化し、次いで、4℃で保存した。次いで、試料を、BSR細胞における限界希釈アッセイ(60)によって滴定し、ウイルス力価をTCID
50/mlで表した。
【0079】
プラークアッセイ
BTVでの感染の24時間前に、6ウェルプレートに4x10
5細胞/ウェルの密度でCPT-Tert細胞を播種した。細胞を37℃で2時間感染させた。その後、ウイルスを含む培地を除去し、細胞をDMEMで洗浄し、3mlの半固体オーバーレイ(4%FBSおよびp/sを補充したDMEM中1.2%アビセル)中で72時間インキュベートした。次いで、オーバーレイを除去し、細胞をPBSで洗浄し、次いでクリスタルバイオレットのホルムアルデヒド溶液で1時間以上染色した。
【0080】
中和アッセイ
3%FBSを含むDMEMに希釈した各試験血清50μlを用いて、96ウェルプレートにおいて、4連で、BTV-1またはBTV-8特異的抗血清の3倍連続希釈液を調製した。次いで、対応するウェルおよびプレートに、BTV-1、BTV-8および選択された再集合体の100TCID
50を加え、37℃で1時間インキュベートした。最後に、各ウェルに2.5x10
4Vero細胞を加え、5%CO
2の加湿インキュベーター中、37℃で5日間プレートをインキュベートし、その後、ウイルス細胞変性効果(CPE)を視覚的に評価した。次いで、Reed-Muench法(60)を用いて、Vero細胞培養物の50%において、BTV感染を抑制する血清希釈と定義される各血清試料の防御量50(PD
50)を決定した。再集合体BTVの大規模製造のために、BHK-21細胞懸濁液を大規模にした。採取した再集合体BTVは不活化されていた。ワクチン製剤のために、適切なアジュバントを再集合体BTVに加えた。
【0081】
結果
代替骨格にBTV-1またはBTV-8のいずれかの個々のセグメントを再集合する(reassort)ことが可能かどうかを逆遺伝学を用いて決定した。BTV-1の骨格中、BTV-8の単一セグメントを有するウイルスのすべての組み合わせが首尾よくレスキューされ、逆もまた同様であった(
図1)。各再集合体ウイルスの遺伝子型を、RT-PCR増幅および各セグメントからのフラグメントの配列決定によってチェックした(
図1)。BTV-1とBTV-8の間で任意のBTVセグメントを再集合体化させることができることをこれらの結果は示した。
【0082】
各再集合体ウイルスのin vitro増殖特性を、プラークアッセイとウイルス増殖曲線の作成の両方によって評価した。2つの独立したラウンドのプラークアッセイから平均プラーク径を決定した。大多数の場合において、プラーク径はあまり変化を受けず、個々の代替セグメントが挿入された親骨格からの差はほとんどなかった(
図2A〜B)。しかしながら、一部のウイルスは、一致して、親骨格に対してより小さいかまたはより大きいプラーク表現型を示した。BTV-8 Seg-8(NS2をコードする)のBTV-1骨格(BTV-18NS2)への置換によって、野生型BTV-1よりもおおよそ33%小さいプラークを生じた(
図2A)。反対の再集合体のプラーク、すなわちBTV-81NS2もまた小さくなったが、より低い程度であった(
図2B)。親ウイルスと比較してより小さい直径のプラークを一貫して生じる他のモノ再集合体は、VP1、VP4およびNS1をコードするリアソートセグメントを有するモノ再集合体であった。
【0083】
各再集合体の増殖動態を評価するために、増殖曲線解析を行った。再集合体の大部分は、対応する野生型ウイルスと同様な増殖動態を示した(
図3)。
いくつかの研究によって、VP2はBTV血清型と密接に関連していることが示唆されている。しかしながら、特定の株の血清型の規定にVP5が寄与することもまた示唆されている。血清型決定へのVP2およびVP5の相対的寄与を研究するために、再集合体BTV-1、BTV-8ならびにBTV-1またはBTV-8のいずれかの骨格を有し、異種VP2単独またはVP2およびVP5を有する再集合体(BTV-1
8VP2、BTV-1
8VP2,VP5、BTV-8
1VP2およびBTV-8
1VP2,VP5)を用いて血清中和アッセイを行った。BTV-1およびBTV-8中和抗血清は、BTV-1またはBTV-8に対してワクチン接種され、同種株でチャレンジされた動物に由来する。
その結果、BTV-8抗血清は、野生型BTV-8を完全に中和したが、BTV-1に対して中和能力を示さなかった(
図4A)。同様に、BTV-1はBTV-1抗血清によって中和されたが、BTV-8抗血清によっては中和されなかった(
図4A)。
異種ウイルスのVP2単独またはVP2およびVP5を含む再集合体を用いる実験によって、血清がVP2タンパク質とマッチするときにのみウイルスが中和されることが明らかとなり、血清型がVP2にのみ関連づけられるという研究が確認された。
VP2単独で血清型を規定することができることを示唆するこの結果によって、血清型の選択の対象からSeg-2を組み込むBTV-1再集合体をさらに作製することが喚起された。BTV-2、BTV-4およびBTV-9のVP2を含むBTV-1再集合体ウイルス(それぞれBTV-1
2VP2、BTV-1
4VP2およびBTV-1
9VP2を生じる)が首尾よくレスキューされた。すべての場合において、野生型ウイルスと同等に増殖するウイルスがレスキューされた(
図5)。
【実施例2】
【0084】
ワクチン接種動物の臨床試験および血清検査
BTV-1骨格を用い、(VP2BTV1)または(VP2BTV1+VP5BTV1)をそれぞれ(VP2BTV8)または(VP2BTV8+VP5BTV8)で置換した2つの構築物をチャレンジ試験に用いた。試験ワクチンを製剤化するために産生させた抗原の特性を表2にまとめる。
表2 抗原の特性
【0085】
再集合体ウイルスを増殖させ、不活化し、加工処理して2つの抗原バッチを作成した。これらの抗原は、アジュバントとしてアルミニウムゲル(水酸化アルミニウム2.7mg)およびサポニン(ワクチン用量1mL当たり30HUサポニン)をブレンドすることによってワクチンに製剤化した。試験したワクチンを表3に示す。
【0086】
表3 ワクチンの特性
*:AI(活性成分)の定量的ドットブロットによって測定されたVP2
BTV8含量
**:非濃縮AIの等価mL
【0087】
通常のBTV血清陰性ヒツジに1回かまたは2回の注射によってワクチンを投与した。ワクチン接種完了の21日後に悪性のBTV-8チャレンジを行い、その後臨床およびウイルス学的モニタリングを行って防御を評価した。以下の表4に従って、ヒツジにおけるチャレンジ試験を行った。
表4
【0088】
ワクチン接種セッションの前に、すべての動物を、その健康状態および直腸温に関してモニターした。D0および/またはD21に、表4の記載に従って、群G1〜G6からの各動物に、適切なワクチン1mLの1回量を投与した。注射部位の局所消毒後に、肘の近くの胸郭の左側面(D0)または右側面(D21)に皮下経路で注射を行った。群G7からの動物は未処理のままとし、対照とした。
【0089】
すべての動物について、D42(チャレンジ前)に直腸温を記録し、次いでD47からD56まで毎日記録した。D47からD56まで、すべての動物の一般行動および身体状態を記録した。全身状態については、良好(Good)はスコアを0とし、感情鈍麻(Apathic)はスコアを1とし、元気のない(Depressed)はスコアを2とし、腹這いになった(Prostrated)はスコアを3とする。身体状態については、正常(Normal)はスコアを0とし、やせている(Thin)はスコアを1とし、悪疫質(Cachectic)はスコアを2とする。
【0090】
D47からD56まで、ブルータング感染中にしばしば観察される臨床徴候(下記を含む)を記録した:
-鼻づまりおよび/または浮腫(特に頭部:眼、鼻腔、耳、唇、房、下顎内間隙)
-過流涎
-鼻漏/痂皮
-悲しげな鳴き声
-溢血点
-運動障害(跛行)
-呼吸障害(咳/呼吸困難)
-胃腸障害(下痢)
-紅斑症
【0091】
存在する場合、他の臨床徴候を記録した。個々の臨床モニタリングが実施されない日には、デイリーケアおよび維持の一部として、獣群の一般健康状態を毎日チェックした。
D0(ワクチン接種前)、D21(ワクチン接種前)、D42(チャレンジ前)およびD56に、平滑管を用いる静脈穿刺によってすべてのヒツジから採血した。すべての試料を処理して血清を回収した。血清を分注し、熱失活(56℃、30分間)させ、次いで臨床検査室に運んだ。血清中和試験によって、試料採取のすべての日付における個々の血清におけるBTV-8特異的抗体力価を測定した。
臨床検査室によって現在使われている技術(N°002488)によって血清中和試験を行った。簡潔に言えば、マイクロタイタープレートにおいて、1/3から始めて、3倍希釈液(0.48Log10)で血清を試験した。希釈血清100マイクロリットルを、所定のBTV血清型(血清型8)のウイルス懸濁液50マイクロリットルと共に37℃で1時間インキュベートした。次いで、1ml当たり500000細胞を含むVERO細胞浮遊液50マイクロリットルをこの混合物に加え、プレートを37℃でインキュベートした。7日間のインキュベーション後に、細胞変性効果に基づいてプレートを測定した。Log10(PD50%)で表した血清力価は、角変換後に回帰によって算出した。
【0092】
D42(チャレンジ前)、D47、D49、D51、D54およびD56に、EDTA管を用いる静脈穿刺によってすべてのヒツジから採血した。
血液中のブルータングウイルスRNAを検出し定量するために、これらの試料にqRT-PCR試験による分析を行った。これらのアッセイは、臨床検査室によって現在使われている技術第200336号(自動化された方法)によって行った。
簡潔に言えば、市販キット(Nucleospin multi 96)を用いる抽出後に、RNAは熱処理によって最初に変性させた。次いで、MGBプローブ、特異的プライマーおよび、Invitrogen Super Script III Platinium One step キットからの試薬と共にアリコート1つをインキュベートし、サーモサイクラ―中で増幅させた。このステップは2連で行った。蛍光シグナルは合成されるDNA量に比例する。増幅は、24BTV血清型のいずれかに関係する。試料中のBTV核酸の定量は、標準的RNA試料に対する比較によって行った。共に陽性の場合および、2連試験の1つが陰性であり、陽性が1つのみである場合、各2連で得られた結果を考慮して、血液1ml当たりのLog10RNAコピー数でRNA量を表した。この技術の陽性カットオフポイント95%(試験運転の95%において検出されることができる試料容量当たりの最小数の標的配列と定義される)あるいは肯定応答閾値95%(PRT95)は、3.68log10RNAコピー/mLで測定した。3.68log10RNAコピー/mL以下の滴定結果を示す試料は<PRT95で表し、陰性とみなした。≧PRT95の滴定結果を示す試料はこのように記載し、陽性とみなした。
結果記述(平均値、標準偏差値および曲線下面積の計算)および解析の目的で、3.68log10RNAコピー/mLの力価は陰性試料に帰した。
【0093】
高体温結果
チャレンジ後の平均温度の経時的変化を
図8に示す。最高体温(maximal hyperthermia)のばらつきを
図9に示す。
対照群において、D48(すなわちチャレンジ後6日目)に開始し、D49に最高点に達し(平均して41.3℃)、次いでD56まで徐々に減少する直腸温の増加が明確に観察された。
すべてのワクチン接種群において、モニタリング期間を通じて平均体温はどちらかと言えば一定であった。ワクチン接種群G1、G3およびG4において、対照群(G7)と比較して、最高体温は統計的に有意に(p≦0.01)低下した。G2とG6に関しては、差は統計的に有意ではなかった。
【0094】
臨床徴候および臨床スコア
平均1日臨床スコアの経時的変化を
図10に示す。各群のGCSのばらつきを
図11に示す。
チャレンジ後、最も頻繁に観察された臨床徴候は頭部の鼻づまりおよび浮腫であった。特に、紅斑症、無関心、痩せ、鼻漏および痂皮、呼吸障害および運動障害もまたしばしば観察された。
これらの徴候の観察頻度および観察期間は、ワクチン接種群よりも対照群において著しく高かった。
対照群(G7)においては、平均1日臨床スコアはD50(すなわちチャレンジ後8日目)に値8.8の最高点に達し、任意のワクチン接種群よりも常に高かった。G7の平均GCSは50であった。ワクチン接種群において、モニタリング期間を通じて平均1日臨床スコアは大変低かった。対照群(G7)と比較して、G2を除くすべてのワクチン接種群において、GCSは統計的に有意に(p≦0.01)低かった。差は、統計的有意性に接近していた。
【0095】
ウイルス血症結果
平均ウイルス血症力価の経時的変化を
図12にまとめる。PCR陽性試料の頻度およびAUCを表5に示す。
図13はAUCのばらつきを示す。
すべてのヒツジは、チャレンジ前にRT-PCR陰性であることが確定された。対照群において、すべてのヒツジはD47(すなわちチャレンジ後5日目)で陽性であった。それらはすべて、モニタリング期間の終了まで、比較的高い力価で陽性を維持していた。
ワクチン接種群G3およびG4において、ヒツジ1頭は、接種の直後の試料採取日に弱く陽性であることが検出された。次いで、ヒツジは両方とも、常に陰性であった。これらの一過性の弱い陽性結果は、恐らくチャレンジ接種物の残りの検出によるものと考えられ、明らかにウイルス増殖に起因するものではなかった。
対照群(G7)と比較して、G2以外のすべてのワクチン接種群において、曲線下面積は統計的に有意に低かった(p≦0.01)。G2に関しては、差は、統計的有意性に接近していた。G1、G3、G4およびG5において、ウイルス血症の完全な予防が達成されたとみなされた。
【0096】
表5 PCR陽性試料の頻度およびAUC
*:市販ワクチンBR8:市販BTV-8ワクチン(Merial社)
**:D53にヒツジが1頭死んだ
【0097】
血清学的結果
平均BTV-8中和抗体力価の経時的変化を
図14にまとめた。
すべてのヒツジはワクチン接種前に血清陰性であることが確定され、対照はチャレンジまでは血清陰性を維持した。
2回ワクチン接種群(G1およびG4)において、D21に、一部のセロコンバージョンが観察された。D42に、両方の群においてすべてのヒツジがセロコンバージョンを起こしており、平均力価はほぼ同一であった。
1回ワクチン接種群(G2、G3、G5およびG6)において、ワクチン接種(すなわちD42)後の21日目に一部のセロコンバージョンが観察された。1回ワクチン接種群と2回ワクチン接種群との間(G1対G2およびG4対G5)に血清学的力価(D42)の明らかな相違が認められたが、抗原ペイロードに従った血清学的力価の違い(G2対G3)はあまり明確ではなかった。
すべてのヒツジは、チャレンジ(D56)後に強くセロコンバージョンを引き起こしており、すべてのワクチン接種群において、明確なブースター効果が認められた。
【0098】
結論
これらの構築物が、有意な高体温の低下、有意な臨床徴候の減少およびウイルス血症の完全かつ有意な予防を提供することが、結果によって示された。
【実施例3】
【0099】
複数の血清型の合成BTVの作成
実施例1の記載に従って逆遺伝子系を用い、以下の表6に示すように、各VP2が、BTV-1骨格(VP1、VP3、VP4、NS1、VP7、NS2、VP6およびNS3タンパク質)における相同VP5タンパク質とカップリングしている、26の異なる血清型のうち24を含む、”合成”BTV再集合体(sBTV)を作成した。ゲノムセグメントは、ウイルス分離株のゲノムを増幅するよりはむしろ、既知の配列からin vitroで合成されることができるため、用語”合成”はこれらのプラットフォームを説明するために用いた。
興味深いことにかつ驚くべきことに、BTV-25(トッゲンブルグオルビウイルス)は、細胞培養物中で増殖しないが、VP2およびVP5タンパク質のコード配列内にBTV-1の非翻訳領域を導入することによって、我々はBTV-25血清型のsBTVをレスキューすることができた。従って、このワクチンプラットフォームは、組織培養において容易に単離されることができないウイルス株に極めて有用である。
【0100】
表6 逆遺伝子系によって合成される入手可能なsBTVウイルス
#BTV-1の非翻訳領域にフランキングされたタンパク質コード領域
【0101】
sBTVの解析およびin vitro複製
各sBTVウイルスのウイルスストックをBSR細胞内で増殖させ、滴定する。感染72時間後にヒツジ細胞のプラークアッセイによってプラーク表現型を評価した(
図15)。前記のように、レスキューされたすべての血清型は相同のVP2/VP5組み合わせを有する。
BHK-21細胞内でのsBTV複製を測定した(MOI 0.001で感染)。感染72時間後に細胞上清を採取した(
図16)。続いて、BHK-21細胞において、TCID
50で3連試料を滴定し(Reed-Muench法を用いて)、Log10TCID
50/mlとしてプロットした。
【実施例4】
【0102】
不活化再集合体ウイルスの作製
再集合体BTVとしての2つの構築株(1つは、BTV-1骨格におけるBTV8からのVP2に対応、もう1つは、BTV-1骨格においてBTV8からのVP2/VP5を有する)をBHK21細胞内で増幅させた。
【0103】
細胞の作製
7Lバイオリアクターに、7%仔牛血清および2x10
9細胞(6BHK2M12-継代培養47代)を含むGMEM培地5リットルを接種した(継代培養48代)。パラメータとしてpH:7.1±0.1、温度:37.0±1.5℃、DO2:40±10%および撹拌:300rpm±10%を用いて培養物を制御した。培養2日後、計数を行った。前もって滅菌し、GMEM培地+7%CSを35リットル含むB4バイオリアクターに懸濁液の全量を移した。パラメータとしてpH:7.1±0.1、温度:37.0±1.5℃、DO2:40±10%および撹拌:150rpm±10%を用いて培養物を制御した。培養3日後、デカンテーションのためバイオリアクターの撹拌を+5℃で約24時間の間停止した。デカンテーションした後、培地を除去し(残存容量=5リットル)、VMM培地を添加した(30リットル)。混合した後、細胞計数を行い、接種物(第1活性成分のための接種物BTV1+BTV8 VP2(RAS10)および第2活性成分のための接種物BTV1+BTV8 VP2/VP5(RAS32))を添加した。バイオリアクターにおける最終容量は35リットルであり、接種物の容量を算出し、5 10
-4CCID
50/細胞に等しいMOIを得た。培養物のパラメータは、pH:7.4±0.1、温度:37.0±1.5℃、DO2:40±10%、撹拌:100rpm±10%および圧力:0.1バール±10%であった。撹拌しながら冷却することによって、約46時間後に培養を停止させた。
【0104】
不活化前の処理
酸素の制御を停止し、クロロホルムを添加して最終濃度0.05%にした。約8℃、pH7.4±0.1に調節して1時間、混合物を撹拌下においた。pH調節を停止し、生成物を処理するまで撹拌せずに約+8℃で保存した。培養物約24リットルをultra-turrax T50で処理した(実験質温度で3分間、1000ワット、3000mlの8つの試料)。処理後、試料をプールした。
次いで、生成物を遠心分離によって清澄化した(20℃、3500rpmで20分間)。上清を濾過し、不活化前に+5℃で保存した。
【0105】
不活化
上清濾液を37℃に加熱し、pHを7.4±0.1に調整した。ホルムアルデヒド溶液を添加して、最終濃度0.5mg/mlにした。20分後、1回目のEIを加えて最終濃度1.5mMにした。18時間後、2回目のEIを加えた(同じ濃度)。この不活化ステップは、37℃で24時間行った(T0=EIの1回目の添加時間)。この不活化ステップの間、試料はL-システイン溶液によって保持し処理した。
【0106】
濾過および濃度
不活化生成物を濾過した(CUNO 30S)。新しくなった容量を測定した。濾液を研究室の温度で濃縮し、濃縮倍数を算出した。
【0107】
精製およびホルムアルデヒド処理
濃縮物は、S6FFを充填したカラムXK25/100を用いて精製した。精製は2回行った。精製条件には、試料容量:カラムの15%(約60ml);溶離緩衝液:リン酸緩衝液pH7.4;溶離速度:2.5ml/min、を用いた。排除ピーク(活性成分)、安全性フラクションおよびタンパク質ピークは別々に採取した。活性成分にホルムアルデヒド溶液を加えて最終濃度1mg/mlにして+5℃で保存した。
図17および18に、BTV1+BTV8 VP2(RAS10)およびBTV1+BTV8 VP2/VP5(RAS32)の感染力価、ELISA、ドットブロットVp2の結果を示す。2つの精製された不活化BTV再集合体の作製は首尾よく行われた。これらの2つの再集合体をワクチンの製剤化に用いた。
【0108】
これまで、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明してきたが、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、それらの多くの見かけの変形が可能であるため、上記パラグラフによって定義される本発明が、上記の説明で述べた特定の詳細に限定されるべきではないことが理解されなければならない。
本願引用文書で引用または参照したすべての文書および本明細書において引用または参照したすべての文書(”本明細書引用文書”)および本明細書引用文書で引用または参照したすべての文書は、参照により本願に組み込まれる本明細書または任意の文書に記載の、任意の製品のための任意の製造業者の使用説明書、解説、製品仕様書および製品シートと共に、これによって参照により本願に組み込まれ、本発明の実施に用いることができる。
【0109】
参考文献