特許第6347373号(P6347373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6347373透明導電性基材及びこれを製造するための積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347373
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】透明導電性基材及びこれを製造するための積層体
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/14 20060101AFI20180618BHJP
   B32B 3/18 20060101ALI20180618BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20180618BHJP
   B32B 27/06 20060101ALI20180618BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20180618BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20180618BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20180618BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20180618BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   H01B5/14 A
   B32B3/18
   B32B7/02 103
   B32B7/02 104
   B32B27/06
   B32B5/18
   B32B27/18 Z
   H01B5/14 B
   H01L31/04 130
   H01L31/04 262
   H01L31/04 266
   H01L21/288 Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-27862(P2017-27862)
(22)【出願日】2017年2月17日
(62)【分割の表示】特願2016-80664(P2016-80664)の分割
【原出願日】2016年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-191770(P2017-191770A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年1月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000235783
【氏名又は名称】尾池工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592066723
【氏名又は名称】中沼アートスクリーン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397059571
【氏名又は名称】京都エレックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517132810
【氏名又は名称】地方独立行政法人大阪産業技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】特許業務法人森脇特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安倉 秀明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】中山 豊
(72)【発明者】
【氏名】尾本 義和
(72)【発明者】
【氏名】松川 公洋
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 充
【審査官】 福井 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−102055(JP,A)
【文献】 特開2011−192755(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/115070(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/111715(WO,A1)
【文献】 特開2015−65473(JP,A)
【文献】 特開2013−196954(JP,A)
【文献】 特開2014−216089(JP,A)
【文献】 特開2015−130050(JP,A)
【文献】 特表2013−524536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/00−5/16
B32B 1/00−43/00
H01L 21/28−21/288
H01L 21/44−21/445
H01L 29/40−29/47
H01L 31/04−31/078
H02S 10/00−10/40
H02S 30/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の透明基材と、
前記透明基材の片側に形成された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記透明基材とは反対側の面に埋め込まれた
配線幅が15〜30[μm]においてアスペクト比が0.15〜0.20であるパターン電極と、
前記透明樹脂層および前記パターン電極の直上に形成された透明な集電電極とを有し、
前記集電電極の表面が平坦である
透明導電性基材。
【請求項2】
板状の透明基材と、
前記透明基材の片側に形成された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記透明基材とは反対側の面に埋め込まれたパターン電極とを有し、
配線幅が15〜30[μm]において裾引きのない椀型の断面形状であるパターン電極と、
前記透明樹脂層および前記パターン電極の直上に形成された透明な集電電極とを有し、
前記集電電極の表面が平坦である
透明導電性基材。
【請求項3】
前記パターン電極は、比抵抗が8×10−6〜5×10−5[Ωcm]である請求項1又は2記載の透明導電性基材。
【請求項4】
前記パターン電極は、局所的なくびれや膨らみを繰り返す不均一な線幅の形状を含まない、かつ直線的な細線パターンである請求項1〜3のいずれか1項記載の透明導電性基材。
【請求項5】
前記パターン電極の材料は、Ag(銀)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Au(金)、Pt(白金)、W(タングステン)及びC(カーボン)から選択されるいずれか1つを含む請求項1〜4のいずれか1項記載の透明導電性基材。
【請求項6】
板状の透明基材と、
前記透明基材の片側に形成された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記透明基材とは反対側の面に埋め込まれたパターン電極と、
前記透明樹脂層および前記パターン電極の直上に固体粒子を主成分とする多孔質膜から構成される受容リリース層と、
前記受容リリース層の直上に形成された離型フィルム層とを含む積層体。
【請求項7】
前記固体粒子は、無機物粒子、高分子、有機物粒子から選択される少なくともいずれか1つで構成される請求項6記載の積層体。
【請求項8】
前記固体粒子は、シリカ、アルミナ、ポリスチレンから選択される少なくともいずれか1つで構成される請求項6記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機EL素子等に使用可能な透明導電性フィルムおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機薄膜太陽電池(OPV)、色素増感太陽電池(DSC)など光電変換素子の受光面側、有機EL素子(OLED)など発光素子の発光面側には透明電極が用いられている。有機薄膜太陽電池は、発電効率は低いものの、製造コストが低く、さらに軽量で、曲げることができるという利点のため、様々な分野での応用が期待されている。そのため、透明電極は、これらの利点を損なわないことが必要である。
【0003】
有機薄膜太陽電池は、例えば図6に示すように、ホール輸送層101と活性層102と電子輸送層103との積層構造である機能層を、透明基材104上に形成された受光面である透明電極105と、その対向電極であるアルミニウム電極106で挟みこんだ構造を有している。また近年、ホール輸送層101と電子輸送層103の積層順が逆になった逆構造の有機薄膜太陽電池も開発されている。
【0004】
透明電極は、高い光透過率(80%以上)と低いシート抵抗(5Ω/□以下)が要求されるため、インジウム錫酸化物(ITO)が用いられることが多いが、透明電極の抵抗を下げるためには、ITOの膜厚を300〜400nmに設定する必要がある。しかし、高価なインジウムを使用するため、製造コストが高くなる上、ITO膜が硬いため可撓性が低下し、有機薄膜太陽電池の持つ利点が損なわれてしまうという問題がある。そのため、厚膜のITO膜に替えて、グリッド状(格子状)の金属製のパターン電極に集電電極として薄膜のITO膜を積層した電極が開発されている。
【0005】
有機薄膜太陽電池等で使用する透明電極の基材は、多くの場合可撓性のある透明基材に集電電極を形成することになる。この透明基材として廉価で可撓性のある材料は、PET等のように耐熱性が150℃程度のものが多い。そのため集電電極に形成するパターン電極は、150℃以下の低温プロセスで形成することが好ましい。低温での形成が可能であれば、透明基材として、幅広く材料の選択ができ、様々な用途に活用することが可能となるからである。
【0006】
また、有機薄膜太陽電池等の製品の製造コストを下げるためには、パターン電極も低コストにパターニングすることが重要であり、パターニング方法としては、スクリーン印刷を用いることができる。スクリーン印刷は、金属等の導電性粉末を含有する導電性ペースト(金属ペースト)を、スクリーン印刷版に描画された開口パターン部を介して、印刷対象物である透明基材上に付着させる印刷方法である。
【0007】
しかしながら、パターン電極上に形成するITO膜は、通常PVD法により形成するため、グリッド状のパターン電極の段差部分において、ITO膜が途切れてしまい、連続したITO膜が形成されないことがある。そのため、グリッド状のパターン電極の段差を解消する方法が、特許文献1および特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2013−524536号公報
【特許文献2】特開2013−102055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、省エネルギーが推進される中、有機薄膜太陽電池の発電効率向上のため、フレキシブル(可撓性のある)基板において透明電極の光透過率の向上とシート抵抗の低減とを両立させる低温プロセス技術の開発が進められている。特に、フレキシブルかつ低価格の材料の多くは、上記の通り耐熱性に乏しく、配線抵抗低減の目的で500℃程度の高温熱処理(焼成)を行うことが困難であり、透明電極で使用される集電電極の細線化と低抵抗化との両立を、低温度プロセスで実現することが重要となる。
【0010】
特許文献1は、金属ナノ粒子を溶媒に分散させ、コーティングによりグリッド電極を形成することが記載されているものの、どの程度の幅の電極配線をどの程度の比抵抗(体積固有抵抗率)で実現できるのか、具体的にどのような条件で形成を行うのか不明である。
【0011】
特許文献2は、スクリーン印刷法を用いたパターン電極配線の具体的形成方法が開示されているものの、パターン電極(グリッド電極)の最小配線幅は50[μm]程度であり、さらなる微細な配線について低抵抗で再現性よく形成する技術までは開示されていない。
【0012】
本発明はこれらの点を考慮してなされたものであり、アスペクト比を確保し、線幅を均一にすることで、30[μm]以下の微細な線幅においても低抵抗なパターン電極配線を備えた透明導電性基材、およびその透明導電性基材を、安価で、低温プロセスで製造できる製造方法の提供を目的とする。
【0013】
なお、本発明にかかる透明導電性基材は、例えば有機太陽電池等の光電変換装置や表示装置に有効に活用できるが、その用途は限定されるものではなく、他の幅広い用途への活用も可能である。また、本発明は、耐熱性の乏しい可撓性の透明基材上において、特にその優位性を見いだすことができるが、高耐熱な基材に対しても、本発明が適用できることは言うまでもない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る透明導電性基材の一態様は、
板状の透明基材と、
前記透明基材の片側に形成された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記透明基材とは反対側の面に
配線幅が15〜30[μm]においてアスペクト比が0.15〜0.5である
印刷されたパターン電極と、
前記透明樹脂層および前記パターン電極の直上に形成された透明な集電電極とを有し、
前記集電電極の表面が平坦であることを特徴とする。
【0015】
上記製造方法により得られる透明導電性基材の一態様は、
板状の透明基材と、
前記透明基材の片側に形成された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記透明基材とは反対側の面に
配線幅が15〜30[μm]において、裾引きのない椀型の断面形状である、
印刷されたパターン電極と、
前記透明樹脂層および前記パターン電極の直上に形成された透明な集電電極とを有し、
前記集電電極の表面が平坦である
ことを特徴とする。
【0016】
上記透明導電性基材によれば、パターン電極の比抵抗を8×10−6〜5×10−5[Ωcm]を実現することができる。
【0017】
上記製造方法により得られる透明導電性基材の一態様は、
板状の透明基材と、
前記透明基材の片側に形成された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記透明基材とは反対側の面に
配線幅が15〜30[μm]においてアスペクト比が0.15〜0.5である
印刷されたパターン電極と、
前記透明樹脂層および前記パターン電極の直上に形成された透明な集電電極とを有し、
前記集電電極の表面が平坦であることを特徴とする。
【0018】
上記製造方法により得られる透明導電性基材の一態様は、
板状の透明基材と、
前記透明基材の片側に形成された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記透明基材とは反対側の面に
配線幅が15〜30[μm]において、裾引きのない椀型の断面形状である、
印刷されたパターン電極と、
前記透明樹脂層および前記パターン電極の直上に形成された透明な集電電極とを有し、
前記集電電極の表面が平坦である
ことを特徴とする。
【0019】
上記製造方法により得られる透明導電性基材によれば、パターン電極の比抵抗を8×10−6〜5×10−5[Ωcm]を実現することができる。
【0020】
また、上記製造方法により得られる透明導電性基材によれば、パターン電極の配線幅の均一性が、配線幅が15から30[μm]において、25%以下を実現することができる。
【0021】
さらに、上記製造方法により得られる透明導電性基材によれば、パターン電極の平均粒径が、0.1〜10[μm]の範囲内の粒状の導電性粉末、2〜20[μm]の範囲内のフレーク状の導電性粉末および熱硬化性樹脂を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷して形成された電極で構成することができる。なお、本発明に係る透明導電性基材は上記のような製造方法を使用せずに特定することは不可能又は困難であることは明らかである。
【0022】
また、上記導電性ペーストの導電性粉末と熱硬化性樹脂の比率が重量比率で90:10〜96:4であることが好ましい。
【0023】
このような構成とすることで、50μm以下、特に30μm以下の線幅のパターン電極配線においても、低抵抗でかつ配線幅の均一性がよいパターン電極を低コストにスクリーン印刷法により形成することができ、それにより光透過率の低下を防止し、低いシート抵抗を実現できる透明電極を提供することができる。また、パターン電極を低温プロセスで形成することができるため、可撓性のある低価格な、耐熱性の劣るフィルムにもパターン形成が可能となり、フィルムの選択肢が増え、有機太陽電池等の様々な製品への応用が、低コストで可能となる。さらに、導電性ペーストの粒状およびフレーク状導電性粉末とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹との重量比率を90:10〜96:4とすることにより、低抵抗なパターン電極をスクリーン印刷法により形成することができる。
【0024】
本発明に係る積層体の一態様は、板状の透明基材と、
前記透明基材の片側に形成された透明樹脂層と、
前記透明樹脂層の前記透明基材とは反対側の面に埋め込まれたパターン電極と、
前記透明樹脂層および前記パターン電極の直上に固体粒子を主成分とする多孔質膜から構成される受容リリース層と、
前記受容リリース層の直上に形成された離型フィルム層とを含むことを特徴とする。
【0025】
前記固体粒子は、無機物粒子、高分子、有機物粒子から選択される少なくともいずれか1つで構成されることが好ましく、例えば、シリカ、アルミナ、ポリスチレンから選択される少なくともいずれか1つで構成される。
【0026】
このような積層体を作成し、透明樹脂層およびパターン電極と、受容性リリース層との界面において、離型フィルムと受容性リリース層とを剥離することで、上記のような透明導電性基材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る透明導電基材の主要製造工程の断面図。
図3】受容性リリース層表面状態の組成依存性を示す表面SEM像写真。
図2】パターン電極の配線形状のリリース層有無依存性を示す表面写真。
図4】本発明に係る透明導電基材の主要製造工程の断面図。
図5】本発明に係る透明導電基材の断面図。
図6】有機薄膜太陽電池の構造断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明にかかる一実施形態の透明導電基材の主要製造工程の断面を示す。
図1(a)に示すように、離型フィルム1、例えば厚さ50[μm]の環状ポリオレフィンやPETフィルム等のフレキシブル基材の表面に、受容性リリース層2をグラビアコーティング、ダイコーティングなどの塗布技術により、例えば1[μm]形成し、熱風、例えば50℃〜120℃、送風等により乾燥後、UV照射により硬化する。
【0029】
受容性リリース層2を形成するための材料は、アクリル系樹脂である多官能アクリルモノマー(TMPTA、DPHA、PETA等)と固体粒子、例えばシリカ、アルミナ等の無機物粒子や高分子、例えばポリスチレン等から形成された有機物粒子、を含有する。無機物粒子を用いる場合は、アクリル系樹脂と無機物粒子を接着させるためにポリメチルフェニルシラン(PMPS)を添加することが望ましい。この場合、PMPSが光重合開始剤としても働くが、光重合開始剤を別途添加してもよい。さらに後述する離型性を向上させるために、フッ素官能基を持ち、シラン若しくはアクリルと重合するシランカップリング剤(例えばFOTES)や界面活性剤、アクリルモノマーを添加しても良い。
【0030】
また、PMPSとアクリルモノマーとの相容性を向上させるために、トルエンやPGMEA等の溶媒を添加しても良い。
【0031】
上記方法により形成された受容性リリース層2は、固体粒子を主成分とする多孔質膜であり、後述する剥離工程に耐える機械強度を備える。
【0032】
光重合開始剤にポリメチルフェニルシランを使用する場合、添加する固体粒子は、好適にはシリカ粒子を用いることができる。ポリメチルフェニルシランは、硬化することでシリコン酸化物を形成するため、シリカ粒子とアクリル樹脂とを結合させる効果があるためである。シリカ粒子は、例えば市販の有機溶媒を用いたシリカ分散液である扶桑化学工業(株)製PL−1(平均粒径15nm)やPL−7(平均粒径70nm)を利用することができる。
【0033】
固体粒子径は、上記具体例のように10ナノメートルオーダーのサイズが好適に用いられる。固体粒子の平均粒径は、導電性ペーストに含まれる導電性粉末(金属粉末等)の平均粒径より十分小さく、10分の1〜100分の1程度であることが好ましい。
【0034】
このような固体粒子と導電性粉末との平均粒径の関係とすることで、後述のように多孔質の受容性リリース層2に、導電性粉末は吸収されることなく、導電性ペーストに含有されている粘度の低い溶媒が毛細管現象により吸収されるからである。
【0035】
受容性リリース層2の固体粒子の充填率は、その材料に含有される固体粒子の大きさ、固体粒子の含有率に依存し、それに従い多孔質に形成される孔の大きさ、密度が確定する。
【0036】
次に、図1(b)に示すように、受容性リリース層2上にスクリーン印刷法により、導電性粉末を分散させた導電性ペースト、例えば銀ペーストをスクリーン印刷し、熱処理により乾燥させ、パターン電極3を形成する。スクリーン印刷に用いる刷版は、例えばステンレス製のメッシュ上に、感光性の樹脂でパターン電極3に対応するパターン形状、例えば、グリッド状を形成したものを使用する。一例であるが、線径16[μm]、ピッチ51[μm](#500メッシュ)のステンレス製メッシュ上に、感光性の樹脂でパターン電極3に対応するパターン形状、例えばグリッド状を形成したものを使用する。
【0037】
なお、パターンはグリッド状に限定されず、ストライプ状、円弧状、ハニカム状やランダムパターン他、顧客用途に合わせた任意のパターンを用いることができる。
【0038】
スクリーン印刷後の導電性ペーストの熱処理による乾燥条件は、例えば100℃〜300℃、30〜60分であり、高温、長時間ほど形成される導電性配線(パターン電極3)の比抵抗が低くなる傾向がある。しかし、150℃以上の熱処理を行う場合、これらの熱処理条件に対する耐熱のないフィルムや基板材料を使用することができない。そのため、より低温で乾燥が可能な導電性ペーストを使用することで、離型フィルム1として採用できるフィルムや基材の種類の選択肢が大幅に拡がることになる。
【0039】
また、熱処理温度が高くなるほどに、パターン電極3と受容性リリース層2との密着性が強くなり、剥離特性が劣化するという問題が発生することがある。乾燥工程を、より低温かつ短時間化することで、昇温、降温時間を含めた熱処理工程の処理時間が短縮することにより、熱処理装置の処理能力が向上し、製造コストの削減が可能となる。
【0040】
本発明に使用できる低抵抗の導電性ペーストは導電性粉末を高充填する必要があり(導電性粉末)/(導電性粉末+エポキシ樹脂成分)×100≧90[wt.%]とする必要が有る。このような高充填の組成物を得るためには、導電性粉末としては例えば、平均粒径0.1〜10[μm]サイズの球状粉末と、平均粒径が2〜20[μm]のサイズのフレーク状粉末との混合粉末であり、タップ密度5.0〜5.5[g/cc]で充填できる導電性粉末を使用する。導電性粉末(粒子)の材料の例としては、Ag(銀)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Au(金)、Pt(白金)、W(タングステン)、C(カーボン)が挙げられる。
【0041】
さらに樹脂は、異なる2種類の樹脂(例えば粘度の異なる液状エポキシ樹脂の組合せや、室温で固形のエポキシ樹脂と液状のエポキシ樹脂の組合せ等)、硬化剤および溶剤から構成され得る。
【0042】
導電性ペースト、例えば銀ペースト、に含有する導電性粉末のフレーク状粉末と球状粉末との配合及びタップ密度、ならびに異なる粘度のエポキシ系樹脂組成物および硬化剤の配合を最適化することにより、120℃、15分の熱処理条件においても、低い比抵抗のパターン電極3を形成することが可能となる。
【0043】
低抵抗なパターン電極3を形成(印刷)するための特に好適な導電性ペーストは、例えば、平均粒径0.1〜10[μm]サイズの球状導電性粉末と、平均粒径が2〜20[μm]のサイズのフレーク状導電性粉末との混合粉末であり、そのタップ密度が5.0〜5.5[g/cc]である導電性粉末と、樹脂(熱硬化性樹脂)として、単独もしくは2種類以上のエポキシ樹脂を混合し、その混合物のエポキシ当量が130〜800であるところのエポキシ樹脂配合物を使用し、導電性粉末とエポキシ樹脂との配合比率[(導電性粉末)/(導電性粉末+エポキシ樹脂成分)×100]が90〜96[wt.%]である。ここで言う粉末の平均粒径は、マイクロトラック測定(マイクロトラック粒度分布測定装置)により測定し求めたものである。なお、粒径測定は、マイクロトラック測定に限らず、それと等価な粒径を測定できる方法を用いても良い。
【0044】
なお、フレーク状粉末とは、二次元的な広がりを有する形状であり、薄片状または鱗片状と言い換えることができ、部分的に凹凸があり変形が見られても、全体として見た場合に、平板または厚みの薄い直方体に近い形状の粉末であればよく、球状粉末とは、部分的に凹凸があり変形が見られても、全体として見た場合に、直方体よりは立方体に近い立体形状の粉末であればよい。また、樹脂、硬化剤、溶剤は、導電性ペーストに用いられている公知のものを利用することができる。
【0045】
さらに異なる2種類の樹脂の配合比率は、印刷されたパターン電極の機械的強度や、樹脂の硬化収縮による導電性粉末(金属粉末等)間の接触(電気抵抗)に影響を与える。そのため、これら2種の配合比率を最適化することにより、低温(100〜150℃)、短時間(15〜30分)での熱乾燥によっても後述のように低い比抵抗(体積固有抵抗率)を実現できる。
なお、比抵抗ρは、通常の方法により測定できる。すなわち、温度25℃において、矩形状のパターンの両端の抵抗値Rを測定し、幅Wと長さL、段差計により測定した膜厚Tにより、ρ=RWT/Lの関係式より算出できる。
【0046】
最適な導電性ペースト(銀ペースト)を硬化することにより形成した導電性配線の比抵抗は、表1に示す通り、8×10−6〜5×10−5[Ωcm]という低い値を実現することができる。表1において、ペースト例1〜6が上記導電性ペーストの条件を満たす導電性ペーストであり、他方比較例1はタップ密度が上記条件より低く、比較例2は上記条件より配合比率が低い導電性ペーストである。ペースト例1〜6は、比較例1、2より低い比抵抗を有し、その値は8×10−6〜5×10−5[Ωcm]であることが理解できる。
【0047】
表1.比抵抗の導電性ペースト依存性

【0048】
添加する溶剤によって、導電性ペーストの粘度を調整できる。スクリーン印刷においては、導電性ペーストが刷版のメッシュの開口部を通過して受容性リリース層2に印刷される。導電性ペーストの粘度が高過ぎると、流動性が低下し刷版の開口部に、導電性ペーストが完全に入り込まず、またメッシュを構成するステンレス線により導電性ペーストが途切れるため、十分な流動性を確保できるだけの溶剤を添加する必要がある。
【0049】
しかし、流動性を高めると、被印刷体の表面で導電性ペーストが広がり、滲み現象が生じてしまい、細い線幅の制御が困難となり、出来上がった配線幅は不均一で、凹凸のある平面および断面形状となり、パターン電極配線の膜厚も減少する。
【0050】
そのため、従来50[μm]以下、特に30[μm]以下の細い線幅の形成は困難であり、均一な線幅のパターンを形成することが困難で、局所的なくびれや膨らみ(へび玉形状)を繰り返す不均一な線幅の形状となり、設計通りの細線を形成することができなかった。すなわち、配線の両側面の境界線が平行な2つの直線とならず、印刷性能が低いことになる。また、くびれ部分では、線幅が狭くなり、膜厚も薄くなるため、パターン電極3の抵抗値が増大し、膨らみ部分ではパターン電極3の開口率を低下し、透明導電性基材の光透過率を低下することとなる。
【0051】
しかし、本発明においては、受容性リリース層2上で、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法によりパターン電極を形成することができるため、流動性を高めた導電性ペーストを使用することが可能となる。
【0052】
図2に、導電性ペースト(銀ペースト)を用いてスクリーン印刷法により、(a)受容性リリース層2を形成しない離型フィルム上に形成したパターン電極と、(b)上記受容性リリース層2を備えた離型フィルム1上に形成したパターン電極の形状とを比較して示す。スクリーン印刷は、24[μm]幅の溝状の開口パターンを感光性樹脂により形成した刷版を用いて印刷し、刷版のメッシュは、線径16μm、ピッチ51[μm](#500メッシュ)のステンレス製メッシュを使用した。パターン電極の線幅は、受容性リリース層2を有しない場合34.4[μm]であったが、受容性リリース層2を有する離型フィルム上においては22.3[μm]と、ほぼ刷版の線幅と等しい値であり、設計通りの良好な形状のパターン電極を印刷できることを確認した。なお、線幅は、形成されたパターン電極の最大幅で定義している。
【0053】
また、離型フィルム1上に受容性リリース層2を有する場合には、明らかに配線パターン形状が良好になり、配線幅の不均一性を解消できることが理解できる。パターン配線幅の均一性を評価するための指標として、最大線幅と最小線幅との差を刷版線幅で除した値を用いた。50μm以下の線幅に対して従来パターン電極の値は50〜100[%]であったものが、本発明においては25[%]以下にまで減少し、大きく改善することが分かる。
【0054】
このように滲みが解消される理由は、以下のように考えられる。
受容性リリース層2中に含有する固体粒子の平均粒径を、導電性ペーストに含まれる導電性粉末の平均粒径より、十分小さい値、すなわち2桁小さい値とすることで、導電性ペーストの溶剤分のみが受容性リリース層2に吸い込まれる。その結果、受容性リリース層2に吸収されずに残った導電性ペースト(樹脂と導電性粉末)の弾性が大きくなり濡れ拡がらなくなるからである。
【0055】
そのため、配線端部のプロファイルにおいて、滲みの発生を防止できない場合、印刷された配線の側部(基板との境界から最大膜厚の点まで)断面は裾引きがある形状をなすが、滲みの発生を防止することにより印刷された配線では裾引きがない形状を実現できる。本実施形態によれば、狭いスクリーンメッシュを通過できる流動性を持ちながら、裾引きがない断面形状を有する電極配線を初めて形成することができる。
【0056】
なお、本明細書において裾引きとは配線端部で基板に繋がる部分が緩やかな傾きで繋がる部分であり、裾引きがない形状とは、具体的には配線の最大厚みに対して20[%]に満たない厚みの領域(幅)が、線幅に対して20[%]以下であることを意味する。
【0057】
また、上記のように裾引きは滲み現象によって生じるため、滲み部分とそれ以外の部分との境界部分において、配線断面のプロファイルが大きく変化し、曲率半径の符号が変化する点が生じる。
【0058】
このように受容性リリース層2上に形成されたパターン電極3の断面形状は椀型であり、配線幅が15〜50[μm]においてアスペクト比が0.15〜0.5であり、特に線幅15〜30[μm]におけるアスペクト比は0.15〜0.20であり、線幅30〜50[μm]におけるアスペクト比は0.20〜0.50である。そのため、従来の手法により形成されたパターン電極と比較し、厚いパターン電極を形成することができ、パターン電極3の抵抗を下げるとともに、光透過率を向上させることができる。
なお、椀型とは、後述の集電電極である透明樹脂とパターン電極との界面は直線であって、この界面に平行なパターン電極の幅は界面部分で最大で、界面から遠ざかるにしたがってなだらかに減少し、パターン電極と透明樹脂層の界面が尖った部分を有しない形状であり、この形状によって、有機薄膜太陽電池などの製品を曲げたときの応力集中を避け、界面の剥離、透明樹脂層やパターン電極の損傷を防止することができる。
【0059】
このように、8×10−6〜5×10−5[Ωcm]の低い比抵抗を得られる導電性ペーストを用い、受容性リリース層2の採用により滲みを防止したプロセスにより形成されたパターン電極をもつ透明導電フィルムは、5[Ω/□]以下といった低い表面抵抗のものが得られる。
【0060】
さらに本発明においては、受容性リリース層2は、最終的に除去する構成とするため、その光透過率に関する拘束を受けることなく、十分な溶媒吸収特性を有し、滲み防止効果のある材料を選択することができる。
【0061】
すなわち、受容性リリース層2が含有する固体粒子による乱反射が生じても、あるいは固体粒子そのものの光透過性が低くても、固体粒子は、受容性リリース層2とともにパターン電極3および透明樹脂層上から実質的に除去されるため、透明導電性基板の光透過性に影響を与えたり、透明電極との接触面積低下による抵抗増大を引き起こすレベルの固体粒子が残存することはない。なお固体粒子の除去の状況は、顕微鏡等の光学的手段により確認すればよく、TEM等の微量分析によってのみ検出される程度の固体粒子の残は、これらの特性に影響を与えることは無い。
【0062】
図3は、受容性リリース層を形成する材料の組成物のシリカ粒子の含有率を変え、形成された受容性リリース層の表面のSEM像である。シリカ粒子の分散液は、扶桑化学工業(株)製のPL−1−Tol(シリカ粒子径 10〜15nm、濃度20[Wt%]、有機溶媒:トルエン、)を一例として用いた。PL−1−Tolの量2.5[g]に対して、図3(a)は、PMPS(ポリシラン)およびTMPTA(アクリル樹脂)を各100[mg]配合した材料(リリース層条件1)、図3(b)は、PMPS(ポリシラン)およびTMPTA(アクリル樹脂)を各150[mg]を配合した材料(リリース層条件2)により形成した受容性リリース層の表面SEM写真である。
【0063】
明らかに両者の表面モフォロジーに差が見られ、シリカ粒子の含有率が多い図3(a)の方が、表面に観察される孔(ボイド)が多く、シリカ粒子の含有率が多くなるほど多孔質膜になることが理解できる。このようにボイドに起因した光散乱により白濁する傾向があるが、受容性リリース層2は除去されるため、その影響を懸念する必要は無い。
【0064】
これらのリリース層条件1およびリリース層条件2により形成した受容性リリース層2上に、導電性ペーストを用いて細線のパターンを印刷し、その形状を比較した。その結果、リリース層条件1により形成した受容性リリース層2上の配線は、配線幅が均一でくびれや膨らみが無く、良好な配線形状を示すが、リリース層条件2により形成した受容性リリース層2上の配線は、配線幅が均一ではなく、くびれや膨らみが観察された。受容性リリース層2表面の孔の量が多い方が銀ペーストの溶媒を効率よく吸収するため、配線の線幅の均一性が向上するものと考えられる。なお、図2(b)に示す写真は、図3(a)の受容性リリース層を使用したものである。
【0065】
上記例においては、PL−1−Tol量2.5[g]に対し、PMPSおよびTMPTAを各100[mg]配合した材料を受容性リリース層の形成に使用した場合に、良好な配線形状を得ることができたが、この配合量はシリカ粒子径にも依存する。シリカ粒子径の大きいシリカ分散液を用いた場合、PMPSおよびTMPTAの量は、増やすことができる。樹脂量を多くすることにより、受容性リリース層2の固体粒子間の結合が強くなり、剥離に対する機械的強度も向上する。シリカ粒子径およびそれに対応して、各樹脂の配合を最適化すれば良い。
【0066】
また、離型特性を調整するため、フッ素添加剤を受容性リリース層2に含有させ、剥離強度の調整を行うことも可能である。フッ素添加剤として、例えばFOTESが挙げられるが、これに限定するものではない。
【0067】
受容性リリース層2は、後工程において剥離特性を有する必要があるが、導電性ペーストの組成の最適化により熱乾燥温度の低温で施すことが可能となるため、剥離特性の劣化を防止することができる。
【0068】
上記説明においては、耐熱性に乏しい離型フィルム1上に、導電性ペーストの低温乾燥でパターン電極を形成する例について説明したが、離型フィルム1の材質として、耐熱性のある材料、例えばガラスフィルムを使用し、高温(例えば150℃〜300℃)の熱処理温度で、導電性ペースト(例えば銀ペースト)を乾燥し、場合によってはさらに焼成(例えば400〜600℃)しても良い。受容性リリース層2の固体粒子として、耐熱性のあるシリカやアルミナを使用できるうえ、PMPS由来のシリカ成分が粒子を結合させるからである。
【0069】
導電性ペーストの導電性粉末に使用する導電性材料は、銀の他の金属、例えば銅、金、アルミニウム、白金、タングステンやカーボンを用いても良い。
【0070】
次に、図1(c)に示すように、受容性リリース層2およびパターン電極3上にアクリル系の紫外線(UV)硬化樹脂をコーティングすることにより、透明樹脂層4を、例えば15[μm]形成する。透明樹脂層4は、アクリル系の他、エステル系、シリコーン系、エポキシ系などの透明な樹脂を用いることができる。また、膜厚は、パターン電極3より厚くすることにより、パターン電極3の表面を覆うことができる。パターン電極3は、受容性リリース層2との接触面以外は、透明樹脂層4により覆われる構造となるが、透明樹脂層4の流動性により、その表面は平坦(断面が直線状すなわち透明樹脂層との段差が無い形状)になる。
【0071】
透明樹脂層4の形成に使用する樹脂は、UV硬化樹脂を用いるのが好ましい。透明樹脂層4は単一の層であってもよいし、複数の層から構成されていてもよい。
【0072】
さらに、透明樹脂層4上に接着層を、コーティングまたは印刷により形成しても良い。
【0073】
なお、透明樹脂層4は印刷により形成した場合、パターン電極3を印刷した領域の直上のみに透明樹脂層4を形成するため、材料コストが下がるという利点がある。
【0074】
次に、図1(d)に示すように、厚さ50から250μmのPETフィルムからなる基材5を積層(ラミネート)する。基材5は、PETの他、PEN、COP、PC(ポリカーボネート)、PMMA(アクリル)、PI(ポリイミド)、LCP(液晶ポリマー)などフレキシブル性に飛んだプラスチックフィルムや、200μm以下の可撓性のあるガラス基材(所謂ガラスフィルム)を用いることができる。上述のように、透明樹脂層4は流動性があるため、透明樹脂層4と基材5との界面は平坦である。
【0075】
また、基材5上に1〜10μmの耐摩耗層(ハードコート)、100〜150nmの反射防止層やガスバリア層を形成しても良い。これによって、透明電極基材の耐摩耗性や全光線透過率、ガスバリア性が向上する。また、透明基材2や該耐摩耗層、反射防止層は紫外線(UV)吸収剤を含むものであってもよい。
【0076】
その後、透明樹脂層4の硬化処理を行う。透明樹脂層4としてUV硬化樹脂を用いる場合、紫外線(UV)を基材5側から透明樹脂層4に向かって照射する。基材5を形成後に透明樹脂層4を硬化させるため、硬化処理時の透明樹脂層4の収縮による変形の影響を軽減し、パターン電極3と透明樹脂層4との段差が生じにくくなる。
【0077】
次に、図4(a)に示すように、透明樹脂層4およびパターン電極3と、受容性リリース層2との界面において、離型フィルム1と受容性リリース層2とを剥離し、透明樹脂層4とパターン電極3を露出する。
【0078】
パターン電極3および透明樹脂層4の露出した表面は、面一となる。また、パターン電極3の露出した表面以外は、透明樹脂層4で囲まれている。そのため、パターン電極3は透明樹脂層4に埋め込まれた構成となる。
【0079】
受容性リリース層2は、上述のとおり剥離に対して十分な機械的強度を有し、剥離工程において破断を生じることは無い。また、剥離に必要な強度は、フッ素添加剤によって調整してもよい。
【0080】
次に、図4(b)に示すように、透明樹脂層4およびパターン電極3の露出した表面に集電電極として透明導電膜6、例えばITO膜を形成する。透明導電膜6は、透明で導電性があればよく、ITO系膜の他、ZnO系、SnO2系、TiO2系、導電性高分子(PEDOT/PSS)、メタルナノワイヤー(MNW)、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン等や、これらの組合せた材料を用いることができる。透明導電膜6は、単一の層でも複数の層から構成されていても良い。
【0081】
透明導電膜6のITOの膜厚は、薄すぎると抵抗が高くなり、厚すぎると製造コストが増大し、また可撓性を損なうため、10〜150nmであることが好ましく、10〜30nmであることがさらに好ましい。
【0082】
図5は、透明樹脂層4を印刷法により形成した場合の図4(b)の工程の段階での透明導電性基材の断面構造図である。印刷で透明樹脂層4をパターン電極2形成領域上のみに形成しているため、基材5上に部分的に透明樹脂層4が形成されている。最終製品、例えば有機太陽電池等の受光面や有機EL素子の発光面等に本導電性基材を転写する場合、パターン電極2と透明樹脂層4が積層されている領域を使用する。
そのため、透明導電性膜6を蒸着等により全面に形成した場合、パターン電極2と透明樹脂層4が積層されている領域と、それ以外の領域との境界で段差が生じるが、実使用において問題は無い。
【符号の説明】
【0083】
1 離型フィルム
2 受容性リリース層
3 パターン電極
4 透明樹脂
5 基材
6 透明導電膜
101 ホール輸送層
102 活性層
103 電子輸送層
104 透明基材
105 透明電極
106 アルミニウム電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6