【実施例1】
【0034】
本発明に係る複数の検知精度を有する検知装置の一例である見守りシステム100について説明する。見守りシステム100は、所定領域における見守り対象者の状態を遠隔から把握し、把握した状態から、見守り対象者に生ずる危険を察知し、見守り対象者に対して適切な対応を施すためのシステムである。
【0035】
見守りシステム100は、例えば、高齢者入居施設で利用される。高齢者入居施設において、高齢者が日常の生活する生活環境においては、いくつかの危険な場所が想定される。その一つに、高齢者が生活する部屋に設置されているベッド周辺があげられる。
【0036】
一般的に、人は、ベッドから起き上がり、活動を開始しようとする際に、ベッドに横たわっている状態である横臥状態から、ベッドの端に腰掛けた状態である端座位状態となり、その後立ち上がった起立状態を経て、歩く歩行状態へと移っていく。ここで、端座位状態から起立状態へと移る際、姿勢が大きく変化する。
【0037】
高齢者の場合、端座位状態から起立状態へと移る際に、バランスを崩して倒れる等、危険な状態に陥りやすい。したがって、高齢者入所施設では、危険な場所として、ベッド及びその周辺を重点的に注意する必要がある。ベッド及びその周辺の中でも、特に、端座位状態となるベッドの端部、及び、端座位状態から起立状態となるベッド周辺について、注意する必要がある。
【0038】
また、歩行状態となった後の行動についても、注意する必要がある。例えば、部屋からの外出については、痴呆症状の有無といった見守り対象者の健康状態、昼間、深夜等の検知時間によって、注意する必要がある。
【0039】
以下においては、見守りシステム100について、高齢者入所施設で利用する場合を例に説明する。
第1 外観構成
【0040】
見守りシステム100のハードウェア構成について
図1を用いて説明する。見守りシステム100は、見守り装置110、状態解析装置130、及び、設定端末150を有している。見守り装置110は、見守り対象者である高齢者が使用する部屋において、見守り対象者の状態を検知する装置である。状態解析装置130は、見守り装置110で検知した見守り対象者の状態から、見守り対象者がどのような状態にあるのかを解析する装置である。設定端末150は、見守り装置110及び状態解析装置130に対して各種の初期設定するための装置である。
【0041】
以下において、見守り装置110、状態解析装置130、及び、設定端末150の構成について説明する。
1.見守り装置110の構成
【0042】
見守り装置110は、高齢者入所施設の部屋の天井に設置される。ここで、高齢者入居施設において、高齢者が使用する一般的な部屋を
図2Aに示す。
図2Aに示す部屋には、ベッドBが配置されるとともに、窓W、出入り口E1、E2等が配置されている。なお、見守り対象である高齢者が乗り降りする側のベッドBの端部を乗降ベッド端部T1とする。また、乗降ベッド端部T1の周辺を乗降ベッド端部周辺T2とする。
【0043】
見守り装置110のハードウェア構成について
図3を用いて説明する。見守り装置110は、CPU111、メモリ112、通信ユニット115、人感センサユニット119、及び、カメラユニット117を有している。
【0044】
CPU111は、メモリ112に記録されているプログラムに基づいた処理を行う。メモリ112は、CPU111に対して作業領域を一時的に提供する。また、メモリ112は、行動監視プログラム等その他のアプリケーションを記録保持する。
【0045】
通信ユニット115は、状態解析装置130と有線によるデータの送受信を行う。また、通信ユニット115は、設定端末150と無線によるデータの送受信を行う。
【0046】
カメラユニット117は、全周囲レンズ117a及び撮像素子ユニット117bを有している。全周囲レンズ117aは、レンズ前180度の領域を画像として取得することができるレンズである。全周囲レンズ117aを用いることによって、一般的な広角レンズでは取得することができないような、部屋全体の領域を画像として取得することができる。撮像素子ユニット117bは、全周囲レンズ117aによって取得した画像をデジタルデータとして取得する。また、カメラユニット117によって取得された画像は、通信ユニット115を介して、見守り領域画像情報として状態解析装置130へ送信される。
【0047】
見守りシステム100では、カメラユニット117において取得できる画像の範囲を見守り領域とする。したがって、カメラユニット117が
図2Aに示す領域を画像として取得できるならば、
図2Aに示す領域が見守り領域となる。なお、本実施例においては、カメラユニット117が画像として取得する
図2Aに示す領域を見守り領域SAとして説明する。
【0048】
人感センサユニット119は、検知する対象である見守り対象の温度を赤外線を用いて検出することによって、所定の検知領域における人の存在を検知する。人感センサユニット119は、見守り対象が発する赤外線(熱線)を検知波として受信する検知領域形成手段119aを有している。人感センサユニット119によって検知された見守り対象の検知情報は、通信ユニット115を介して、見守り対象検知情報として状態解析装置130へ送信される。
【0049】
人感センサユニット119は、
図2Bに示すように、部屋の床面に、所定の長さ方向及び幅方向の軸に沿った矩形形状の検知領域である第1部分見守り領域SA1を形成する。人感センサユニット119は、第1部分見守り領域SA1内を分割した所定のグリッド毎に見守り対象を検知する。このため、第1部分見守り領域SA1は、複数のグリッドに分割されている。
【0050】
全周囲レンズ117aによって取得した見守り領域のうち、人感センサユニット119の第1部分見守り領域SA1を除く領域を第2部分見守り領域SA2とする。第2部分見守り領域SA2では、カメラユニット117が取得した画像に基づき、状態解析装置130が、画像解析によって、見守り対象を検知する。
【0051】
見守り装置110の外観構成について
図4を用いて説明する。見守り装置110は、基礎筐体110a及び可動筐体110bを有している。基礎筐体110aは、天井の所定の位置に固定される。基礎筐体110aの内部には、CPU111、メモリ112、通信ユニット115、及びカメラユニット117が配置される。
【0052】
基礎筐体110aの外表面には、所定の位置に、人感センサユニット119が形成する第1部分見守り領域SA1の長さ方向、幅方向、それぞれの軸の方向を示す第1部分見守り領域軸指定マーク110cが表示されている。見守り装置110を設置しようとする設置者は、ベッドBの長さ方向、幅方向、それぞれが、第1部分見守り領域軸指定マーク110cの検知領域の長さ方向、幅方向の軸に沿うように、見守り装置110を天井に設置する。
【0053】
また、基礎筐体110aの外部には、全周囲レンズ117aを配置するための全周囲レンズ配置孔110dが形成されている。
【0054】
可動筐体110bは、基礎筐体110aに対して移動でき、所望の位置で固定できる。可動筐体110bの内部には、少なくとも人感センサユニット119の検知領域形成手段119aが配置される。これにより、簡単に第1部分見守り領域SA1を形成する位置を設定することができる。
【0055】
基礎筐体110aに対する可動筐体110bの位置については、可動筐体位置情報として、見守り装置110のメモリ112に記憶される。
2.状態解析装置130の構成
【0056】
状態解析装置130は、見守り装置110が取得した第1部分見守り領域SA1における人の位置、及び、第2部分見守り領域SA2に関する画像、から見守り対象の状態を解析する装置である。状態解析装置130のハードウェア構成について
図5を用いて説明する。
【0057】
状態解析装置130は、CPU131、メモリ132、ハードディスク133及び通信回路138を備えている。さらに、状態解析装置130には、キーボード134、マウス135、ディスプレイ136及び光学式ドライブ137が接続されている。
【0058】
CPU131は、ハードディスク133に記録されているオペレーティング・システム(OS)、状態解析プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ132は、CPU131に対して作業領域を提供する。ハードディスク133は、OS、状態解析プログラム等その他のアプリケーション及び各種データを記録保持する。
【0059】
通信回路138は、ネットワークに接続するための通信回路を有しており、見守り装置110等の外部の通信機器とデータの送受信を行う。
【0060】
キーボード134、マウス135は、外部からの命令を受け付け、状態解析装置130へ提供する。ディスプレイ136は、状態解析装置130からユーザーインターフェイス等の画像情報を取得し、取得した画像情報を表示する。光学式ドライブ137は、状態解析プログラムが記録されている光学式メディア230から状態解析プログラム及び他の光学式メディアからその他のアプリケーションのプログラムを読み取る等、光学式メディアからのデータの読み取りを行い、状態解析装置130へ提供する。
3.設定端末150の構成
【0061】
設定端末150は、いわゆるタブレット型のコンピュータである。設定端末150のハードウェア構成について
図6を用いて説明する。設定端末150は、CPU151、メモリ152、ディスプレイ156及び通信回路158を備えている。
【0062】
CPU151は、メモリ152に記録されているオペレーティング・システム(OS)、見守り装置設定プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ152は、CPU151に対して作業領域を提供する。また、メモリ152は、OS、見守り装置設定プログラム等その他のアプリケーション及び各種データを記録保持する。
【0063】
通信回路158は、無線ネットワークに接続する通信回路を有しており、見守り装置110等の外部の通信機器と無線通信によるデータの送受信を行う。
【0064】
ディスプレイ156は、いわゆるタッチパネル型のディスプレイである。ディスプレイ156は、ユーザーインターフェイス等の画像を表示する。また、ディスプレイ156は、タッチパネルの機能を介して、外部からの命令を受け付ける。
第2 設定処理
【0065】
見守りシステム100を使用する使用者は、まず、設定端末150を用いて、見守り装置110及び行動解析装置130を設定する。以下において、見守りシステム100の設定処理について、
図7〜
図17を用いて説明する。
【0066】
見守りシステム100の使用者は、設定端末150の見守り装置設定プログラムを起動し、設定端末150に対して、見守り装置110を設置しようとする部屋の床から天井までの距離を設置高さとして設定する。また、使用者は、見守り装置設定プログラムを介して、見守り装置110に対して、初期設定開始情報を送信する。なお、使用者は、初期設定開始情報の送信に際して、例えば、設定端末150のディスプレイ156に表示されている初期設定開始ボタンを選択する。
【0067】
図7に示すように、設定端末150のCPU151は、見守り装置設定プログラムの起動を示す見守り装置設定プログラム起動情報を取得すると(S601)、見守り装置設定プログラムを起動する(S603)。以降において、CPU151は、見守り装置設定プログラムに基づいた処理を実行する。
【0068】
CPU151は、設置する見守り装置110の種類を入力するよう促す見守り装置種類入力欄を表示する(S611)。CPU151は、例えば、見守り装置の種類を示す型番をリストとして表示し、いずれかを選択できるように、見守り装置種類入力欄を表示する。
【0069】
CPU151は、見守り装置種類入力欄に入力があると(S612)、見守り装置種類情報として、メモリ152に一時記憶する(S613)。CPU151は、設置高さの入力を促す設置高さ入力欄を表示する(S614)。CPU111は、設置高さ入力欄に入力があると(S615)、入力された設置高さを設置高さ情報としてメモリ152に一時記憶する(S616)。
【0070】
また、CPU111は、初期設定開始情報の送信指示があったと判断すると(S617)、初期設定開始情報を送信する(S618)。
【0071】
図8に示すように、見守り装置110のCPU111は、通信ユニット115を介して、設定端末150から初期設定開始情報を取得すると(S701)、カメラユニット117を介して、天井から床に向かって部屋全体を見渡した見守り領域SA(
図2B参照)に関する画像である見守り領域画像を所得する(S703)。CPU111は、カメラユニット117を介して取得した見守り領域画像BSAを、通信ユニット115を介して、見守り領域画像情報として、設定端末150に送信する(S705)。なお、カメラユニット117を介して取得する見守り領域画像BSAは、全周囲レンズ117aを介して取得されるため、
図9Aに示すような歪んだ状態となっている。
【0072】
図8に戻って、CPU111は、現在の可動筐体110bの位置を示す可動筐体位置情報をメモリ112から取得し(S707)、設定端末150に送信する(S709)。
【0073】
図10に移って、設定端末150のCPU151は、通信ユニット155を介して、見守り領域画像情報を取得すると(S901)、歪んだ状態の見守り領域画像BSAを、
図9Bに示すような平面的な歪みのない画像である補正見守り領域画像DSAへと補正する画像補正処理を実行する(S903)。なお、この画像補正処理については、一般的に用いられている画像補正技術を利用する。CPU151は、補正見守り領域画像DSAをディスプレイ156に表示する(S905)。
【0074】
また、CPU151は、可動筐体位置情報を取得すると(S907)、メモリ152から見守り装置種類情報を取得する(S909)。CPU151は、メモリ152に記憶されている標準第1部分見守り領域データベース(以下、標準第1部分見守り領域DBとする)から見守り装置種類情報に対応する標準第1部分見守り領域を標準第1部分見守り領域情報として取得する(S911)。
【0075】
ここで、標準第1部分見守り領域DBについて、
図11を用いて説明する。標準第1部分見守り領域DBには、見守り装置が形成する第1部分見守り領域SA1の標準取付位置における状態、例えば、形状、大きさを、見守り装置の種類毎に関連づけて登録されている。ここで、標準取付位置とは、例えば、平面状の床面から高さ2メートルの位置に取り付けた状態をいい、予め設定されている。
【0076】
標準第1部分見守り領域DBは、見守り装置名欄C1101、標準第1部分見守り領域欄C1103を有している。見守り装置名欄C1101には、見守り装置を特定する名称が記述される。標準第1部分見守り領域欄C1103には、標準取付位置における第1部分見守り領域の状態、第1部分見守り領域の形状、大きさが記述される。
【0077】
図11における標準第1部分見守り領域DBには、見守り装置名「A」の標準第1部分見守り領域は「長さ2メートル、幅1.5メートルの四角形状」が登録されている。
【0078】
図10に戻って、CPU151は、メモリ152から設置高さ情報を取得する(S91
3)。CPU151は、設置高さ情報及びステップS911で取得した標準第1部分見守
り領域情報から、部屋に形成される第1部分見守り領域SA1の大きさ、形状を算出する
(S915)。さらに、CPU151は、ディスプレイ156に表示されている補正見守
り領域画像DSAに重ねて表示する第1部分見守り領域SA1(以下、表示補正第1部分
見守り領域DSA1とする。)の大きさ、形状
を算出する(S917)。
【0079】
また、CPU151は、ステップS907で取得した可動筐体位置情報を用いて、可動筐体設定情報及び設置高さ情報から、床面における第1部分見守り領域SA1の位置を算出する(S919)。さらに、CPU151は、ディスプレイ156に表示されている補正見守り領域画像DSAにおける表示補正第1部分見守り領域DSA1の位置を算出する(S921)。CPU151は、
図12Aに示すように、算出した表示補正第1部分見守り領域DSA1を、ディスプレイ156に表示されている補正見守り領域画像に重ねて表示する(S923)。
【0080】
また、CPU151は、可動筐体位置情報を用いて、
図12Aに示すようにディスプレイ156に可動筐体位置表示欄TAを表示する(S925)。可動筐体位置表示欄TAには、可動筐体110bの基礎筐体110aに対する位置が表示される。
【0081】
使用者は、見守り対象が乗り降りする側のベッドBの端部である乗降ベッド端部T1及び乗降ベッド端部周辺T2含むように(
図2A参照)、第1部分見守り領域SA1を設定する必要がある。このとき、使用者は、ディスプレイ156において、
図12Bに示すように、例えば指で、表示補正第1部分見守り領域DSA1を、乗降ベッド端部T1、乗降ベッド端部周辺T2、それぞれに対応する、ディスプレイ156上の乗降ベッド端部DT1及びその周辺DT2を含むように移動させる。
【0082】
図13に示すように、CPU151は、ディスプレイ156を介して、ディスプレイ156に表示されている表示補正第1部分見守り領域DSA1の移動指示を取得すると(S1101)、取得した移動指示に沿って、ディスプレイ156に表示している表示補正第1部分見守り領域DSA1を移動させる(S1103)。なお、移動指示は、ディスプレイ156のタッチパネル機能を利用して、例えば、使用者が、ディスプレイ156に表示されている表示補正第1部分見守り領域DSA1を指を用いて長押しすることによって、表示補正第1部分見守り領域DSA1を選択した後、指をディスプレイ156上で所望の方向へスライドさせる操作によって、CPU151に提供される。
【0083】
また、CPU151は、表示補正第1部分見守り領域DSA1の移動に合わせて、移動後の可動筐体110bの基礎筐体110aに対する位置を、設置高さ情報及び標準第1部分見守り領域状態情報を用いて算出し(S1105)、可動筐体位置表示欄TAに表示する(S1107)。
【0084】
CPU151は、表示補正第1部分見守り領域DSA1を移動させると、第1部分見守り領域SA1に設定する見守り度合いの入力を促す見守り度合い入力欄DAをディスプレイ156に表示する(S1111)。ディスプレイ156に表示される見守り度合い入力欄DAの一例を、
図14Aに示す。見守り度合い入力欄DAには、設定可能な見守り度合いの名称及びディスプレイ156におけるその表示状態が表示され、それぞれ選択可能となっている。
図14Aにおいては、設定可能な見守り度合いとして、「端座位」、「ベッド周辺」、「出入口」が表示されている。見守り度合い「端座位」、「ベッド周辺」は、第1部分見守り領域SA1に対して設定するものである。一方、見守り度合い「出入口」は、第2部分見守り領域SA2に設定するものである。
【0085】
第1部分見守り領域SA1に対する見守り度合いの設定について以下で説明する。第1部分見守り領域SA1に対する見守り度合いは、ディスプレイ156に表示されている表示補正第1部分見守り領域DSA1を介して設定する。使用者は、ディスプレイ156に表示されている見守り度合い入力欄DAから第1部分見守り領域SA1に設定する所望の見守り度合いの名称又は表示状態を選択した後、ディスプレイ156に表示されている表示補正第1部分見守り領域DSA1の所望の領域を選択することによって、第1部分見守り領域SA1に見守り度合いを設定する。なお、第1部分見守り領域SA1における見守り度合いはグリッド毎に設定される。表示補正第1部分見守り領域DSA1の所望の領域を選択するにあたっては、ディスプレイ156上で指をスライドさせる等によって、所望のグリッドを選択する。
【0086】
なお、見守り度合い入力欄DAから第1部分見守り領域DSA1に設定できる見守り度合いが選択されると、表示補正第1部分見守り領域DSA1に対してのみ、見守り度合いを入力できる状態とし、表示補正第2部分見守り領域DSA2については、入力できない状態とする。
【0087】
例えば、
図14Bに示すように、表示補正第1部分見守り領域DSA1のグリッドにおける領域R1に対して、見守り度合い「端座位」を設定する場合、グリッド番号(4,4)のグリッドを始点として矢印a141方向へ指をスライドさせて、グリッド番号(4,4)、(4,5)、(4,6)、(4,7)の領域を選択すればよい。また、表示補正第1部分見守り領域DSA1のグリッドにおける領域R3に対して、見守り度合い「ベッド周辺」を設定する場合、グリッド番号(5,2)のグリッドを始点として矢印a145方向へ、グリッド番号(6,2)のグリッドを始点として矢印a147方向へ、及び、グリッド番号(1,8)のグリッドを始点として矢印a149方向へ、指をスライドさせて、グリッド番号(1,8)、(2,8)、(3,8)、(5,2)、(5,3)、(5,4)、(5,5)、(5,6)、(5,7)、(5,8)、(6,3)、(6,4)、(6,5)、(6,6)、(6,7)、(6,8)の領域を選択すればよい。
【0088】
ここで、表示補正第1部分見守り領域DSA1においては、左上のグリッドの番号を(1,1)として、水平方向及び垂直方向に連続する番号を付すことによって、各グリッドを特定している。なお、表示補正第1部分見守り領域DSA1に付したグリッドの番号は、第1部分見守り領域SA1における各グリッドの特定に対応している。
【0089】
次に、第2部分見守り領域SA2に対する見守り度合いの設定について以下で説明する。使用者は、ディスプレイ156に表示されている見守り度合い入力欄DAから第2部分見守り領域SA2に設定する所望の見守り度合いの名称又は表示状態を選択した後、ディスプレイ156に表示されている表示補正第2部分見守り領域DSA2から所望の領域を選択することによって、第2部分見守り領域SA2に見守り度合いを設定する。なお、第2部分見守り領域SA2に対する見守り度合いは、第1部分見守り領域SA1に対する見守り度合いの設定とは異なり、自由に領域を設定することができる。表示補正第2部分見守り領域DSA2の所望の領域を選択するにあたっては、ディスプレイ156上で指をスライドさせる等によって、所望の領域を選択する。
【0090】
なお、見守り度合い入力欄DAから第2部分見守り領域DSA2に設定できる見守り度合いが選択されると、表示補正第2部分見守り領域DSA2に対してのみ、見守り度合いを入力できる状態とし、表示補正第1部分見守り領域DSA1については、入力できない状態とする。
【0091】
例えば、
図15に示すように、表示補正第2部分見守り領域DSA2の窓Wの領域R5に対して、見守り度合い「出入口」を設定する場合、領域R5の端点の一つである点P(X1,Y1)を始点として、領域5のもう一つの端点である点Q(X2,Y2)まで矢印a151方向へ指をスライドさせて、領域5を選択すればよい。
【0092】
ここで、表示補正第2部分見守り領域DSA2においては、ディスプレイ156に表示している補正見守り領域画像DSA左上の端点を(0,0)として、水平方向及び垂直方向の座標によって、各点を特定している。
【0093】
図13に戻って、CPU151は、見守り度合いが選択され、表示補正第1部分見守り領域DSA1においてグリッドが選択されると(S1113)、グリッド毎に設定された見守り度合いを見守り度合い情報として、メモリ152に一時記憶する(S1115)。
【0094】
ここで、見守り度合い情報について、
図16を用いて説明する。見守り度合い情報は、見守り度合いを特定する名称と、見守り度合いを設定した表示補正第1部分見守り領域DSA1のグリッド番号と、が対応付けられたテーブルである。
【0095】
見守り度合い情報は、見守り度合い名欄C1501、設定領域C1503を有している。見守り度合い名欄C1101には、見守り度合いを特定する名称が記述される。設定領域域欄C1503には、見守り度合い名欄C1501に記述される見守り度合いが第1部分見守り領域に設定するものであれば、表示補正第1部分見守り領域DSA1の各グリッドを特定するグリッド番号が記述される。一方、見守り度合い名欄C1501に記述される見守り度合いが第2部分見守り領域に設定するものであれば、表示補正第2部分見守り領域DSA2を特定する座標が記述される。
【0096】
図16における見守り度合い情報には、例えば、見守り度合い名称「端座位」が表示補正第1部分見守り領域DSA1のグリッド番号「(4,4)、(4,5)、(4,6)、(4,7)」に設定されていることが登録されている。
【0097】
図13に戻って、CPU151は、見守り度合いの設定が終了すると(S1117)、メモリ152に一時記憶している見守り度合い情報を見守り装置110へ送信する(S1119)。
【0098】
図8に移って、見守り装置110のCPU111は、見守り度合い情報を取得すると(S711)、状態解析装置130へ送信する(S713)。
【0099】
一方、使用者は、設定が終了した段階で設定端末150のディスプレイ156に表示されている可動筐体位置表示欄TAに表示されている移動量に基づき、見守り装置110の可動筐体110bを移動させる。これにより、見守り装置110を適切な状態に容易に設定できる。
【0100】
見守り装置110のCPU111は、可動筐体110bが移動されたと判断すると(S715)、移動後の可動筐体110bの位置を可動筐体位置情報としてメモリ132に記憶する(S717)。
【0101】
図17に示すように、状態解析装置130のCPU131は、見守り度合い情報を受信すると(S1701)、メモリ132に保存する(S1703)。
【0102】
状態解析装置130は、見守り装置110から見守り対象検知情報及び見守り領域画像情報を取得すると、メモリ132に保存した見守り度合い情報を用いて、見守り対象の状態を判断する。
【0103】
このとき、状態解析装置130は、人感センサユニット119が第1部分見守り領域SA1において人の存在を検知している場合には、人感センサユニット119から取得する見守り対象検知情報に基づき、見守り対象の状態を判断する。例えば、状態解析装置130は、見守り対象が、見守り度合い「端座位」の領域に存在すると判断すると、所定の警告を表示したり、所定の者に警報を発したりする。
【0104】
一方、状態解析装置130は、人感センサユニット119が第1部分見守り領域SA1において人の存在を検知していない場合には、カメラユニット117から取得する見守り領域画像情報から、第2部分見守り領域SA2について、例えば、画像追跡の技術を用いて、見守り対象の状態を判断する。例えば、状態解析装置130は、画像追跡の結果、見守り対象が、出入口E1、E2(
図2A参照)から外出したと判断すると、所定の警告を表示したり、所定の者に警報を発したりする。
[他の実施例]
【0105】
(1)見守り装置110:前述の実施例1においては、見守り装置110は、天井に設置するとしたが、第1部分見守り領域SA1、第2部分見守り領域SA2を設定できるところであれば、例示の場所に限定されない。例えば、部屋の壁等、床面に介して所定の角度を有する場所であってもよい。
【0106】
(2)検知領域形成手段119a:前述の実施例1においては、人感センサユニット119は、見守り対象である人が発する赤外線を検知する検知領域形成手段119aを用いて人を検知するとしたが、人を検知できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、
図18に示すように、人感センサユニット219が、第1部分見守り領域を形成する所定の検知波を送信する検知波送信手段219a、及び、送信した検知波の反射波を受信する反射波受信手段219bを有するようにしてもよい。この場合、検知波としては、近赤外線を用いるようにすればよい。また、超音波や、可視光であってもよい。
【0107】
(3)全周囲レンズ117a:前述の実施例1においては、見守り装置110のカメラユニット117は、全周囲レンズ117aを介して、広範囲の見守り装置の画像を取得するとしたが、見守り領域の画像を広範囲に取得できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、複数の広角レンズを用いて取得した画像を統合して見守り領域の画像を取得するようにしてもよい。また、一般的な、いわゆる魚眼レンズを用いるようにしてもよい。
【0108】
(4)全周囲レンズ配置孔110d:前述の実施例1においては、基礎筐体110aの外部に、全周囲レンズ117aを配置するための全周囲レンズ配置孔110dを形成するとしたが、可動筐体110bに形成するようにしてもよい。また、基礎筐体110a、可動筐体110bとは異なる筐体であって、筐体110を構成するものに形成するようにしてもよい。
【0109】
さらに、全周囲レンズ117aを可動筐体110bに配置する場合、全周囲レンズ117aを含むカメラユニット117全体を可動筐体110bの内部に配置するようにしてもよい。
【0110】
(5)可動筐体位置情報の記憶:前述の実施例1においては、見守り装置110が可動筐体位置情報を記憶するとしたが、記憶しないようにしてもよい。この場合、見守り装置110を設定する際には、最初に可動筐体110bを標準取付位置に配置するようにすればよい。
【0111】
(6)第1部分見守り領域軸指定マーク110c:前述の実施例1においては、基礎筐体110aの外表面に、第1部分見守り領域軸指定マーク110cが表示されているとしたが、第1部分見守り領域SA1の配置位置を決定できるものであれば、例示のものに限定されない。
【0112】
(7)見守り装置110における状態解析:前述の実施例1においては、見守り対象の状態解析については、状態解析装置130が実行するとしたが、見守り装置110が、カメラユニット117を介して取得する見守り領域画像や、人感センサユニット119を介して取得する見守り対象の存在情報を用いて、見守り対象の状態解析を実行するようにしてもよい。
【0113】
(8)可動筐体110bの移動:前述の実施例1においては、設定端末150のディスプレイ156に表示された可動筐体位置表示欄TAに表示されている移動量に基づいて、使用者が可動筐体110bを移動させることとしたが、可動筐体位置表示欄TAに表示されている移動量を見守り装置110に送信し、可動筐体110bが自動で動くようにしてもよい。この場合、見守り装置110に、可動筐体110bを移動させるためのモータ等の動力源を配置すればよい。
【0114】
(9)見守り度合い情報の送信:前述の実施例1においては、設定端末150において設定した見守り度合い情報は、設定端末150から見守り装置110を介して状態解析装置130に送信されるとしたが、設定端末150から直接に状態解析装置130に送信するようにしてもよい。
【0115】
(10)見守り度合い情報の入力:前述の実施例1においては、見守り度合い入力欄DAを用いて、見守り度合いを入力することとしたが、所望の見守り度合いを所望の領域に入力できるものであれば、例示のものに限定されない。
【0116】
(11)設定端末150:先述の実施例1においては、設定端末150はタブレット型のコンピュータとしたが、見守り装置設定プログラムを実行でき、第1部分見守り領域SA1、第2見守り領域SA2等、所定の部分見守り領域を設定でき、見守り度合いを設定できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、ノートブック型のコンピュータであってもよい。
【0117】
また、設定端末150のディスプレイ156について、タッチパネル型でなくとも、設定端末150として第1見守り領域SA1等の部分見守り領域の移動等、所定の設定をできるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、タッチパネル型でないLCDであってもよい。
【0118】
(12)各種プログラムが実行するフローチャート:前述の実施例1においては、各種プログラムは、
図7、
図8、
図10、
図13、
図17に示すフローチャートに基づいて所定の処理を実行するとしたが、各種プログラムの目的を達成することができるフローチャートであれば、例示のものに限定されない。