(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347392
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】セグメントの継手構造
(51)【国際特許分類】
E21D 11/08 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
E21D11/08
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-127261(P2015-127261)
(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公開番号】特開2017-8653(P2017-8653A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229667
【氏名又は名称】日本ヒューム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】大関 宗孝
(72)【発明者】
【氏名】煙山 史
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜明
(72)【発明者】
【氏名】芳崎 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】片岡 希誉司
(72)【発明者】
【氏名】岸下 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 智史
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−285575(JP,A)
【文献】
特開2014−201992(JP,A)
【文献】
特開2000−064791(JP,A)
【文献】
特開2002−030891(JP,A)
【文献】
特開2001−234696(JP,A)
【文献】
特開2006−052541(JP,A)
【文献】
特開2013−104278(JP,A)
【文献】
特開2014−201993(JP,A)
【文献】
特開2012−087594(JP,A)
【文献】
特開2010−133112(JP,A)
【文献】
実開昭62−085600(JP,U)
【文献】
実開昭55−145599(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第00979927(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00−19/06
E21D 23/00−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合される一方のセグメントの接合端面から突出させた雄継手部材と、他方のセグメントの接合端面に開口させた凹部内に配置された雌継手部材とを備え、前記雄継手部材を前記凹部に挿入し、且つ前記両セグメントをセグメント幅方向に相対的にスライド移動させることにより前記雄継手部材と前記雌継手部材とが互いに係合し、前記セグメント間が接合されるようにしたセグメントの継手構造において、
前記雄継手部材は、前記一方の接合端面より突出した雄鉤元部と、該雄鉤元部に基端が支持されてスライド方向奥側に延出した雄側係合鉤部とを備え、
前記雌継手部材には、前記凹部内に固定された外殻部と、該外殻部の接合端面側に固定された係合基部と、該係合基部のセグメント周方向内側に配置され、前記係合基部に支持されて前記雄側係合鉤部を付勢する弾性係合体と、該弾性係合体より雄側係合鉤部のスライド移動方向手前側に該弾性係合体と並んで前記係合基部又は外殻部に支持された補強係合部とを備え、
前記雄側係合鉤部が前記係合基部に支持された前記弾性係合体のセグメント周方向内側に差し込まれることにより、前記雄側係合鉤部と前記弾性係合体とが係合して前記セグメント間が接合され、該両セグメント間にセグメント周方向で一定以上の引張力が作用すると前記弾性係合体の弾性に抗して移動した前記雄側係合鉤部の根元部が前記補強係合部に当接するようにしたことを特徴とするセグメントの継手構造。
【請求項2】
前記雄側係合鉤部は、その端部が前記雄鉤元部のセグメント厚み方向両面又は片面に固定され、前記補強係合部は、前記雄側係合鉤部のスライド移動手前且つ前記雄鉤元部と平行に配置されている請求項1に記載のセグメントの継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの内部覆工に用いられるセグメント間を連結するセグメントの継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法よるトンネル構築においては、シールド掘削機の後方側で掘削孔の内周面に沿って円弧版状のセグメントを周方向に連結してセグメントリングを組み立て、このセグメントリングをシールド掘削機の進行に合わせて順次トンネル軸方向に連設することによりトンネル内に覆工がなされている。
【0003】
従来、各セグメントのリング周方向接合部間を接合するセグメント継手は、ボルトにより接合する構造が一般的であったが、近年では、接合する両セグメント間の位置決めと継手による両セグメントの締結とを同時に行える所謂ワンパス式のセグメント継手が広く使用されており、その一つとしてフック型継手が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
このようなフック型継手は、周方向で接合される一方のセグメントの接合端面より突出させたフック状の雄継手部材と、他方の接合端面に開口した凹部内に配置された雌継手部材とを備え、雄継手部材を凹部内に挿入し、両セグメントをセグメント幅方向に相対的にスライド移動させることにより、雌雄両継手部材が互いに係合し、両セグメント間を接合させるようになっている。
【0005】
雄継手部材には、一方のセグメントの接合端面より突出した棒板状の雄側支持基部と、雄側支持基部よりスライド移動方向前方に向けて延出させた雄側係合鉤部とを一体に備え、雌継手部材には、函状に形成された外殻部と、外殻部の接合端面側に配置された雌側係合部とを備え、両セグメントの相対移動に伴い雄側係合鉤部が雌側係合部の内側に差し込まれ、それにより雄側係合鉤部が雌側係合部と係合するようになっている。
【0006】
また、その他のワンパス方式の他のセグメント継手としては、楔構造を利用したコッター型継手(例えば、特許文献2を参照)やコーン型継手も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−256995号公報
【特許文献2】特開2004−324104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の如き従来のフック型継手では、雄側係合鉤部が雌側係合部の内側に差し込まれて係合することにより両セグメント間を接合する構造であるため、両接合端面同士が突き合わされた状態で雄側係合鉤部と雌側係合部との間に余裕(遊び)がないと両セグメントが相対スライド移動できず、作業効率が悪くなるという問題がある反面、両係合部間に余裕(遊び)を設けると、雌雄両継手部材間の締結強度が確保できないという問題があった。
【0009】
また、このようなフック形継手では、雌側係合部と互いに係合する雄側係合鉤部が接合端面より突出した雄側支持基部に片持ち梁状に支持された構造であるため、セグメント間に周方向の引張力が作用すると、雄側係合鉤部が雌側係合部より反力を受けて雄継手部材に曲げ応力が生じるため、両セグメント間の高い締結強度を確保する為に高い耐曲げ性が必要となる。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、組立時の作業性が高く、高い締結力及び引張耐力を有する安価なセグメント継手の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、互いに接合される一方のセグメントの接合端面から突出させた雄継手部材と、他方のセグメントの接合端面に開口させた凹部内に配置された雌継手部材とを備え、前記雄継手部材を前記凹部に挿入し、且つ前記両セグメントをセグメント幅方向に相対的にスライド移動させることにより前記雄継手部材と前記雌継手部材とが互いに係合し、前記セグメント間が接合されるようにしたセグメントの継手構造において、前記雄継手部材は、前記一方の接合端面より突出した雄鉤元部と、該雄鉤元部に基端が支持されてスライド方向奥側に延出した雄側係合鉤部とを備え、前記雌継手部材には、前記凹部内に固定された外殻部と、該外殻部の接合端面側に固定された係合基部と、該係合基部のセグメント周方向内側に配置され、前記係合基部に支持されて前記雄側係合鉤部を付勢する弾性係合体と、該弾性係合体
より雄側係合鉤部のスライド移動方向手前側に該弾性係合体と並んで前記係合基部又は外殻部に支持された補強係合部とを備え、前記雄側係合鉤部が前記係合基部に支持された前記弾性係合体のセグメント周方向内側に差し込まれることにより、前記雄側係合鉤部と前記弾性係合体とが係合して前記セグメント間が接合され、該両セグメント間にセグメント周方向で一定以上の引張力が作用すると
前記弾性係合体の弾性に抗して移動した前記雄側係合鉤部の根元部が前記補強係合部に当接するようにしたセグメントの継手構造にある。
【0012】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記雄側係合鉤部は、その端部が前記雄鉤元部のセグメント厚み方向両面又は片面に固定され、前記補強係合部は、前記雄側係合鉤部のスライド移動手前且つ前記雄鉤元部と平行に配置されていることにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るセグメントの継手構造は、互いに接合される一方のセグメントの接合端面から突出させた雄継手部材と、他方のセグメントの接合端面に開口させた凹部内に配置された雌継手部材とを備え、前記雄継手部材を前記凹部に挿入し、且つ前記両セグメントをセグメント幅方向に相対的にスライド移動させることにより前記雄継手部材と前記雌継手部材とが互いに係合し、前記セグメント間が接合されるようにしたセグメントの継手構造において、前記雄継手部材は、前記一方の接合端面より突出した雄鉤元部と、該雄鉤元部に基端が支持されてスライド方向奥側に延出した雄側係合鉤部とを備え、前記雌継手部材には、前記凹部内に固定された外殻部と、該外殻部の接合端面側に固定された係合基部と、該係合基部のセグメント周方向内側に配置され、前記係合基部に支持されて前記雄側係合鉤部を付勢する弾性係合体と、該弾性係合体
より雄側係合鉤部のスライド移動方向手前側に該弾性係合体と並んで前記係合基部又は外殻部に支持された補強係合部とを備え、前記雄側係合鉤部が前記係合基部に支持された前記弾性係合体のセグメント周方向内側に差し込まれることにより、前記雄側係合鉤部と前記弾性係合体とが係合して前記セグメント間が接合され、該両セグメント間にセグメント周方向で一定以上の引張力が作用すると
前記弾性係合体の弾性に抗して移動した前記雄側係合鉤部の根元部が前記補強係合部に当接するようにしたことにより、接合作業を容易且つ効率的に行えるとともに、雄継手部材の変形を防止してセグメント間の高い締結力を得ることができる。
【0014】
また、本発明において、前記雄側係合鉤部は、その端部が前記雄鉤元部のセグメント厚み方向両面又は片面に固定され、前記補強係合部は、前記雄側係合鉤部のスライド移動手前且つ前記雄鉤元部と平行に配置されていることにより、回転モーメントを抑制し、雄側係合部材の変形を防止し、高い締結力を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るセグメントの継手構造を使用したセグメントの一例を示す平面図である。
【
図2】
図1中の本発明に係るセグメントの継手構造部分を示す横断面図である。
【
図4】(a)は雄継手部材部分を示す平面図、(b)は同B−B線矢視図である。
【
図5】(a)は雌継手部材部分を示す縦断面図、(b)は同C−C線断面図である。
【
図6】本発明に係るセグメントの継手構造の他の実施例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係るセグメントの継手構造の実施の態様を
図1〜
図5に示す実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1はコンクリートにより円弧版状に形成されたセグメントであって、複数のセグメント1,1をセグメント周方向で互いに対向する接合端面2a,2bを互いに突き合わせて連結することにより円環状のセグメント1,1リングが組み立てられるようになっている。
【0017】
尚、本実施例では、組み立てられるセグメントリングを基準として、その周方向をセグメント周方向、セグメントリングの軸方向をセグメント幅方向、セグメントリングの径方向をセグメント厚み方向とし、また、後述する両セグメントのスライド移動における雄継手部材の移動を適宜基準にして説明する。
【0018】
この各セグメント1,1間を接合する継手構造は、一方のセグメント1の接合端面2aからセグメント周方向に向けて突出した雄継手部材3と、他方側のセグメント1の接合端面2bに開口した凹部4内に配置された雌継手部材5とを備え、両セグメント1,1がセグメント幅方向でずれた状態で雄継手部材3を凹部4内に挿入して両接合端面2a,2bを互いに突き合わせ、その状態で両セグメント1,1をセグメント幅方向に相対的にスライド移動させて雄継手部材3と雌継手部材5とを互いに係合させ、それによりセグメント1,1を接合するようになっている。
【0019】
雄継手部材3は、
図4に示すように、セグメント1の周方向接合端面2aの一方より突出した雄鉤元部6と、雄鉤元部6の先端部よりセグメント幅方向のスライド移動側に向けて延出した雄側係合鉤部7とを備え、雄鉤元部6と雄側係合鉤部7とがL字フック状を成している。
【0020】
雄鉤元部6は、角棒状に形成され、一端側がセグメント1の周方向端部に埋設され、他端側が一方の接合端面2aよりセグメント周方向に突出している。尚、図中符号8はセグメント1内に埋設された鉄筋8であって、この鉄筋8は、接合強度等を考慮した上で必要に応じて雄鉤元部6に溶接等によって連結するようになっている。
【0021】
雄側係合鉤部7は、セグメント幅方向に一定の長さを有する角棒状に形成され、雄鉤元部6の先端に一体に支持されて片持ち梁状を成している。
【0022】
この雄側係合鉤部7は、そのセグメント周方向の先端側外面部にセグメント幅方向に傾斜したテーパ部7aが形成され、雄側係合鉤部7のセグメント周方向幅がスライド方向奥側に進むにつれて狭くなっている。
【0023】
雌継手部材5は、
図5に示すように、凹部4内に固定される外殻部10と、外殻部10の接合端面2b側に固定された係合基部11と、係合基部11の周方向内側に配置された弾性係合体12と、弾性係合体12のスライド移動手前側に並んで係合基部11に固定された補強係合部13とを備え、係合基部11、弾性係合体12及び補強係合部13が外殻部10内に収容されている。
【0024】
凹部4は、セグメント1の一方の接合端面2bに開口し、且つ、セグメント幅方向に長い長穴状に形成され、この凹部4のセグメント幅方向奥側、即ち、スライド移動奥側に片寄せて雌継手部材5の外殻部10が埋め込まれている。
【0025】
外殻部10は、セグメント厚み方向に距離を置いて対向した一対の側壁部14a,14aが円弧部14bにより連結され、セグメント幅方向の両端及びセグメント周方向の接合端面2b側が開口した断面U字函状を成す外殻部本体14と、外殻部本体14のセグメント幅方向スライド奥側の開口を閉鎖する端板15とを備えている。
【0026】
係合基部11は、鋼板等によって矩形板状に形成され、外殻部本体14のセグメント周方向の接合端面2b側開口内縁に溶接等によって固定され、外殻部本体14の接合端面2b側開口を閉鎖している。
【0027】
弾性係合体12は、係合基部11の周方向内側面に固定されたゴム等からなる弾性体16と、弾性体16の周方向内側に重ね合わせ配置に固定された係合本体17とを備え、係合本体17の表面を押圧することで、弾性体16がセグメント周方向に圧縮するように弾性変形するようになっている。
【0028】
係合本体17は、鋼板等をもって平板状に形成され、その端部には、スライド移動方向手前側に向けて傾斜したテーパ状の差し込み案内部17aが形成されている。
【0029】
補強係合部13は、剛性を有する鋼板等により矩形板状に形成され、外殻部本体14の側壁部14a,14a及び係合基部11の内側面に溶接等によって固定され、弾性係合体12のスライド移動方向手前側にそれと並んで配置され、補強係合部13と端板15との間に弾性係合体12が収容されている。
【0030】
この補強係合部13は、互いに接合される一方のセグメント1の接合端面2bからのセグメント周方向長さL2が雄継手部材3の雄側係合鉤部7のセグメント1の接合端面2aからの距離L1よりも若干短くなるよう形成されている。
【0031】
このように構成されたセグメントの継手構造によりセグメント周方向で隣り合うセグメント1,1間を接合するには、まず、両セグメント1,1がセグメント幅方向でずれた状態で凹部4内に雄継手部材3を挿入し、セグメント周方向で互いに隣り合うセグメント1,1の接合端面2a,2b同士を突合せ配置とする。
【0032】
次に、両セグメント1,1をセグメント幅方向で相対的にスライド移動させると、雄側係合鉤部7が係合基部11に支持された弾性係合体12の周方向内側に差し込まれ、雄側係合鉤部7と弾性係合体12とが係合し、弾性係合体12が係合基部11に支持されて雄側係合鉤部7をセグメント周方向に付勢し、両セグメント1,1がその接合端面2a,2bが互いに突き合わされて連結される。
【0033】
その際、雄側係合鉤部7が係合基部11に支持された弾性係合体12に付勢されているので、
図2、
図3に示すように、両セグメント1,1の接合端面2a,2bが互いに突き合わされつつ、雄側係合鉤部7と補強係合部13とが非接触で互いに反力を受けない状態にあり、弾性係合体12の付勢力により両セグメント1,1間に十分な締結力が作用する一方で弾性係合体12に抗する若干の余裕dがあり、所望の位置まで効率良くスライド移動させることができる。
【0034】
このように構成されたセグメントの継手構造では、雄側係合鉤部7が弾性変形可能な弾性係合体12と係合することで、両セグメント1,1を相対スライド移動させて雌雄両継手部材3,5を係合させる際の挿入抵抗を軽減し、効率良く両セグメント1,1の締結作業を行うことができる。
【0035】
一方、このセグメントの継手構造では、セグメント周方向に一定以上の引張力、即ち、弾性係合体12の押圧力を上回る大きな力が作用した場合、それに伴い雄側係合鉤部7が弾性係合体12に抗して移動し、その根元側部分が補強係合部13に当接し、雄側係合鉤部7には、係合基部11に支持された弾性係合体12の付勢力に加え、補強係合部13からの反力が作用する。
【0036】
よって、通常時では、係合基部11に支持された弾性係合体12の押圧力(バネ圧)によって両セグメント1,1間の締結力が得られ、セグメント周方向に両セグメント1,1を離反させる一定以上の引張力が作用した際には、雄側係合鉤部7が補強係合部13に当接し当該引張力に対抗できる。
【0037】
また、このように構成されたセグメントの継手構造では、補強係合部13を弾性係合体12のセグメント幅方向スライド手前側に配置したことにより、セグメント1,1間に弾性係合体12のバネ圧より大きな引張力が作用すると、雄側係合鉤部7の根元部分が補強係合部13に当接し、それによって引張力の作用点が補強係合部13側に移行し、引張力の作用点と雄側係合鉤部7の基端部との距離が短くなるようになっている。
【0038】
よって、引張力の作用点と雄側係合鉤部7の基端部との距離が短くなる分、雄側係合鉤部7の曲げ耐力が向上し、両セグメント1,1間に周方向の大きな引張力が生じても雄継手部材の変形を防止し、高い締結力を維持できるようになっている。
【0039】
尚、雄継手部材20の態様は、上述の実施例に限定されず、例えば、
図6、
図7に示す実施例に示すようなものであってもよい。尚、上述の実施例と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
この雄継手部材20は、接合される一方のセグメント1の接合端面2aより突出した表面をセグメント厚み方向に向けた板状の雄鉤元部21と、雄鉤元部21のセグメント厚み方向両面に基端部が固定された一対の雄側係合鉤部22,22とを備えている。
【0041】
この雄継手部材20に対する雌継手部材23では、一対の補強係合部24,24を互いにセグメント厚み方向に距離を置いて係合基部11の手前側縁部に固定し、接合時において両補強係合部24,24間に雄鉤元部21が挿入され、雄側係合鉤部22,22のスライド移動手前且つ雄鉤元部21と平行に配置されるようにしている。
【0042】
尚、この雌継手部材23では、円弧バネ状の弾性係合体25を使用し、各雄側係合鉤部22,22が弾性係合体25の膨出側に差し込まれて係合するようになっている。
【0043】
このように構成されたセグメントの継手構造は、補強係合部24,24が雄鉤元部21とセグメント厚み方向で重なり、補強係合部24,24からの反力による回転モーメントが作用しないので、その分、高い引張耐力を確保することができるようになっている。
【0044】
また、上述の実施例では、弾性係合体をゴム等からなる弾性体と、鋼材からなる係合本体とをもって構成した例について説明したが、弾性係合体の態様はこれに限定されず、例えば、円弧バネ状に形成されたもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 セグメント
2a,2b 接合端面
3 雄継手部材
4 凹部
5 雌継手部材
6 雄鉤元部
7 雄側係合鉤部
8 鉄筋
10 係合基部
11 弾性係合体
12 補強係合部
13 外殻部
14 外殻部本体
15 端板
16 弾性体
17 係合本体
20 雄継手部材
21 雄鉤元部
22 雄側係合鉤部
23 雌継手部材
24 補強係合部