【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第40回国際福祉機器展H.C.R.2013 期日:平成25年9月18日〜平成25年9月20日 会場:東京ビッグサイト東展示ホール
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車体フレームの前方を回動中心とする回動式背受を備え、該車体フレームの側部に備えたブレーキ機構を作用させて前記車輪のロックをかけた時のみ、前記回動式背受の回動を可能とした請求項1もしくは請求項2に記載の歩行補助車。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明における歩行補助車1について、
図1から
図12を参照して説明する。
本発明における歩行補助車1は、主として車輪2,2,・・・を取着した車体フレーム3と、該車体フレーム3には回動式背受4と、ブレーキ機構5、昇降機構6が具備され、該昇降機構6に取着された座部7から主に構成される。
なお、本実施例では外観向上や利用者Mなどの身体や衣服の構成部品との挟みこみを防止するためを理由にカバーを取着しているが、構成部品を説明しやすくするために一部カバーを図示せずに説明することがある。
【0012】
まず、車体フレーム3について説明する。
平面視において略コ字状に形成されたメインフレーム3aに、正面視において該メインフレーム3aの略中央に側面視において略L字状に形成されたセンターフレーム3bを、両端にサイドフレーム3c,3cをそれぞれ固着している。そして、該サイドフレーム3c,3cにツナギプレート3d,3dとツナギフレーム3e,3eを固着し、該ツナギプレート3d,3dに後輪2a,2aを軸着し、該ツナギフレーム3e,3eに固着したボス3f,3fに前輪2b,2bを取着している。
なお、該センターフレーム3bの一端に正面視において略U字状に屈曲した昇降ツナギプレート3gが固着され、後述する昇降機構6が取着される。
【0013】
また、利用者Mの右下肢が不自由な場合は図示するように、足受取付ボス3hを前記ツナギフレーム3eに固着し、該足受取付ボス3hに足受部材3iを着脱可能に取着することで右足を置いた状態でリハビリすることができる。
なお、本実施例では右下肢が不自由な場合を想定しているが、左下肢が不自由な場合も同様にすることができる。これは、どちらか一方の下肢が不自由な場合にリハビリを行う意欲が減退することで、健常な下肢の衰えを防止することにも繋がる。
そして、利用者Mのリハビリが進み、どちらか一方の下肢も自由に動かすことができるようになれば、該足受部材3iを取り外すことも可能であり、リハビリの回復状態に合わせた構成に変更することができる。
なお、ツナギフレーム3e,3e左右両側に足受取付ボス3h,3hを固着し、足受部材3i,3iを左右両側に取着することで、利用者Mが両足を該足受部材3i,3iに乗せることで、介助者が回動式背受4などを把持しながら介助走行することもできる。
【0014】
このように構成した車体フレーム3は、センターフレーム3bとサイドフレーム3c,3cとの間及び車体フレーム3の前方に空間を設けることができ、使用者Mの座部7への移乗をスムーズに行えるものとなっている。
また、利用者Mの歩行訓練時に下肢前方が広く開いているのでリハビリの障害とならないので、リハビリを効果的に行うことができる。
さらに、本実施例のように平面視においてツナギフレーム3e,3eを略ヘ字状にすることでより下肢前方をより広くすることができ、より効果的なリハビリができるものとなっている。
【0015】
次に、この車体フレーム3には、回動式背受4と、ブレーキ機構5と、昇降機構6を介して座部7が具備されている。
【0016】
まず、回動式背受4について説明する。
この回動式背受4は平面視において略コ字状のパイプなどの単一部材を屈曲させるなどして形成された回動フレーム4aの一端に回動ボス4bを、他端近傍には、図示しないが正面視においてコ字状フレームを固着し、該コ字状フレームを覆うようにクッション性のあるカバーを取着している。また、該回動フレーム4aには該回動フレーム4aを操作する回動ハンドル4e、開閉ストッパー4fが固着されている。該回動ボス4bには回動プレート4c,4cが固着され、該回動プレート4c,4c間にはローラー4dを軸着している。
このように構成された回動式背受4を、前記メインフレーム3aの前方に固着したフロントプレート3jに設けられた回動軸3kに回動可能に軸着している。そして、取付部材は図示しないが、前記メインフレーム3aの上にクッション性のある肘掛32を取着している。なお、本実施例では肘掛32の形状をメインフレーム3aと同等なコ字状にしているが利用者Mの身体状況に合わせたものであれば良い。
【0017】
形状については一実施例を図示しているが、利用者Mの身体状況に合わせて左回動式にしたものに限らず右回動式で利用できるようにしたので良い。
このように構成することで、回動式背受4を該回動フレーム4aの前方に配設したハンドル4eを利用者Mもしくは介助者が把持し、平面視において時計回りに操作することで、前記回動軸3kを回動中心として該回動式背受4が開き、後方より利用者が座部7へ移乗することができるようになっている。
なお、該回動式背受4を戻す場合には開く動作と逆の操作をすれば良い。
【0018】
前記車体フレーム3の該フロントプレート3j上には、一端をプレート3mで塞いだボス部材3lを固着している。そして、該ボス部材3lにはスプリングなどの弾性体3nと、該弾性体3nの一端に当接して該ローラー4dが転動する面31oを備えた摺動軸3oを挿通している。
このように、構成することで、スプリングなどの該弾性体3nを利用して、該摺動軸3oの該面31oを介して該ローラー4dを転動させるようにしたことにより、該弾性体3nの反発力が働き、利用者Mが少ない力で回動式背受4を開閉させることを可能としている。
また、
図5及び
図6で示すように、利用者Mが座部6に移乗する際に必要以上に開くのを防止するため、ストッパー4gを前記回動プレート4c,4c間に固着し、前記メインフレーム3aに干渉して止まるようにしている。これは、利用者Mの操作負担の軽減だけでなく、必要以上に回動フレーム4aが広がることで、周囲に置かれている物などと干渉し不意に傷付けのを防止する効果もある。
【0019】
上述した通り、本実施例では該回動フレーム4aをパイプなどの単一部材で構成しているので、複数の部品を組み合わせたリンク機構よりも部品同士のガタつきが少なく、より安定して利用者Mを保持することができるものとなっている。
つまり、利用者Mが歩行補助車1に着座したときの乗り心地を快適にすることができ、コストも安価に提供することができる。
【0020】
次に、ブレーキ機構5について説明する。
まず、
図7及び
図8に示すように前記車体フレーム3の前記サイドフレーム3cに、規制プレート5bを固着したブレーキハンドル5aを回動可能に軸着し、該規制プレート5bには摺動部材5cを取着している。そして、該摺動部材5cと摺接する摺動受部材5dを取着したプレート5eを一端に、他端には飛び出し量を調整可能にした調整部材5gを螺嵌したロッド5fを、前記サイドフレーム3cに固着したボス3p,3pに挿通している。(本実施例では該調整部材5gはボルトを使用している。)
そして、該調整部材5gと当接する面51hと前記後車輪2aと当接する面52hを有するブレーキ部材5hを該ツナギプレート3dに回動可能に軸着している。該プレート5eにはワイヤー5iを取着している。該ワイヤー5iは前記車体フレーム3の前記メインフレーム3aに穿設した孔31aに挿通した後、
図9及び
図10で示すように、孔32a及び前記サイドフレーム3cに穿設した孔31c,32cに挿通させて前記ツナギプレート3dに軸着したブレーキ連動部材5jの面51jに取着されている。
【0021】
このようにブレーキ機構5を構成することで、前記ブレーキハンドル5aを
図8に示すように左側面視において反時計周りに回動操作することで、該摺動部材5cが該摺動受部材5dを摺動することで、該ロッド5f(該調整部材5g)が該ブレーキ部材5hを押圧することにより、該ブレーキ部材5hが左側面視において反時計回りに回動し、車輪2(前記後車輪2a)と面52hが係止して該車輪2(前記後車輪2a)がロックされる。
同時に、プレート5eが右側面視において下方へ引かれワイヤー5iが作用し、
図10で示すように、反対側の車輪2(後車輪2a)を該ブレーキ連動部材5jが右側面視において反時計回りに回動して面52jが車輪2(後車輪2a)と係止し、ロックするようになっている。
なお、引張りバネなどの弾性体5k,5kを、前記ブレーキ部材5hと前記ツナギプレート3dと、前記ブレーキ連動部材5jと前記ツナギプレート3dにそれぞれ係止することで、前記ブレーキハンドル5aを操作しない限りは、車輪2,2と前記面52h及び前記面52jが接触しないようにしている。
【0022】
続いて、前記回動式背受4と前記ブレーキ機構5の関係について説明する。
まず、回動式背受4が閉まっている場合について説明する。
この時は、
図7に示すように、回動式背受4の開閉ストッパー4fより、ブレーキ機構5の規制プレート5bが外側に配置されるようになっており、該回動式背受4を開く方向に規制がかかり、操作をしても開くことができないようになっている。
次に、回動式背受4を開く操作、もしくは、閉じる操作をする場合について説明する。
この時は、
図8に示すように、ブレーキハンドル5aを操作することにより前記規制プレート5bが右側面視において反時計回りに回動し、前記開閉ストッパー4fの外側に障害物が無い状態となる。よって、回動式背受4を開く操作、もしくは閉じる操作ができるようになっている。
次に、回動式背受4が開いた状態で、ブレーキハンドル5aを元に戻そうとする場合について説明する。
この時は、
図6もしくは
図8に示すように、前記背受フレーム4aが開いているときは該ブレーキハンドル5aを時計回りに戻そうとしても、戻らないようにロックプレート3qがストッパーの役目を果たすようになっている。該ロックプレート3qは前記サイドフレーム5cに固着されたプレート3rに回動可能に軸着され、図示しないが該プレート3rと該ロックプレート3qの間にスプリングなどの弾性体が配設されており、前記規制プレート5bが時計回りに戻ろうとするのを規制するようになっている。
このように構成することで、ブレーキ機構5が作用して車輪2がロックされた時のみ回動式背受4が開き、利用者Mがベッド等から座部7へ移乗することができるものとなっている。利用者Mが座部7からベッド等へ移乗する時も同様である。
また、回動式背受4が開いた状態で不意にブレーキハンドル5aに何らかの力が加わっても車輪2のロックは簡単には解除されないものとなっており、利用者Mの安全な移乗ができるものとすることができる。
【0023】
次に、昇降機構6と座部7について説明する。
まず、座部7について説明する。
この座部7は、使用者Mが跨いだ状態で座ることで、体重の大部分が支持できるようにしたものであり、幅を狭くして構成している。この座部7の幅は例えば10〜20cm程度で良い。
それは、この座部7の幅が狭すぎると長時間の着座や歩行訓練に適さず、広すぎると歩行訓練が困難になるためである。
なお、形状については一実施例を図示しているが、図示したものに限らず、例えば瓢箪のような形状など、歩行訓練し易いように幅が狭いものであれば良く、特別に限定する必要は無い。
【0024】
続いて、昇降機構6について説明する。
前記座部7に座部フレーム7aを止着している。そして、該座部フレーム7aの一端にブラケット7bを固着している。そして、
図11及び
図12に示すように側面視において、前記昇降ツナギプレート3gと、該ブラケット7bに、第一リンク6aと第二リンク6bを平行に離間して軸承することで四節リンクを構成している。
これにより、該四節リンクが平行リンク機構をなす状態では前記座部7が、水平状態を維持したまま昇降することができる。また、それぞれのリンクの長さを変えることで、前記座部7が低い位置では略水平な状態とし、上昇した位置では前傾するように作用する四節リンクとすることもできる。
このようなリンク機構を用いると前記座部7が低い状態では安定して腰掛けられ、高い位置では歩行し易い姿勢がとれるという効果がある。
【0025】
そして、前記四節リンクよりも上方に位置するように、前記車体フレーム3の前記昇降ツナギプレート3gとブラケット7cとの間に付勢手段6cを軸承している。
この付勢手段6cは、伸長方向に付勢するよう構成されるとともに、ロック機構を備えており、任意の長さで保持できるように構成されたものである。この付勢手段6cの一例として、ロック機構付きガススプリングを用いることができる。
なお、この付勢手段6cは前述の機能を有するものであれば良く、例えば油圧シリンダーやアクチュエーターなども使用できる。
【0026】
このように構成した昇降機構6は、第一リンク6aを支点とし、座部7にかかる使用者Mの重心位置を作用点とし、付勢手段6cの上端を力点として作用する第二種てことなるように配置して構成している。そのため、付勢手段6cの付勢力が小さくても、作用点(使用者の重心)が支点側に近づくことによって大きな力として作用するようになっている。
【0027】
なお、
図11及び
図12に示すように、前記車体フレーム3の前記センターフレーム3bの前方に固着したプレート3s,3s間に回動自在となるように取り付けた昇降ハンドル6dを把持し、左側面視において反時計回りに回動操作することにより、該昇降ハンドル6dに一端を取着し、前記センターフレーム3bに穿設した孔31b,32bに挿通してロック解除手段6eに他端を取着したワイヤー6fを介して該ロック解除手段6eを作用させ、付勢手段6cのロックを解除することで座部7を昇降することができる。
【0028】
続いて、歩行補助車1の使用方法について説明する。
まず、歩行補助車1をベッド等の近傍に配置する。
そして、ベッドからの移乗時には、ベッドの昇降機構を操作して歩行補助車1の座部7と略同一高さとなるようにベッドの高さを合わせる。
そして、利用者Mもしくは介助者がブレーキハンドル5aを操作することで車輪2がロックされる。
そして、利用者Mもしくは介助者が回動ハンドル4eを操作して回動式背受4を開く。
然る後、ベッドで利用者Mが端座位をとり、該歩行補助車1に馬乗りするように前方へいざりながら乗り移る。
このとき、前述した通り回動式背受4が開いたときには必ず後車輪2a,2aのロックがかかった状態となるので、不意に歩行補助車1が動き出してベッドと座部7の隙間が空くことで利用者Mがベッドから転落することを防止できる。
また、利用者Mが座部7へ乗り移った後は回動式背受4で利用者Mの背を保持する状態でないと、ブレーキハンドル5aを操作して車輪2のロックを解除することが出来ないため、利用者Mが不安定な状態でリハビリを開始できないものとなっており、より安全に配慮されたものとなっている。
さらに、平面視において回動式背受4を開いた時には、車体フレーム3が略E字状になるように構成しているので座部7の左右両側部から後方側には開放した空間が形成されており、使用者Mが足をぶつけることなく、安全に移乗することができる。
【0029】
次に、この歩行補助車1を利用して歩行訓練する場合には、座部7を上昇させて使用する。
この昇降操作は、利用者Mが座部7に着座した状態では、ある程度下肢で自身の体重を支えているため、座部7にかかる荷重は下肢の荷重を除く体重の約7割程度となる。この時、付勢手段6cの付勢力を利用者Mの体重の約7割程度と同等としておくと、付勢力と荷重が略つりあった状態となるため、付勢手段6cのロックを解除してもほとんど上下しない状態となる。
この状態から、利用者Mが上体を前傾すると、元の重心位置よりも前方に重心が移動する。すると、てこの原理により、荷重に対して付勢手段6cの付勢力が勝り、前記ロック解除手段6eによって付勢手段6cのロックを解除することで座部7を容易に上昇することができる。
この時、座部7が上昇しない場合でも、車体フレーム3の肘掛32など上面を把持して立ち上がるようにしたり、下肢に力を入れ腰を浮かすようにして、力を入れることで座部7にかかる荷重を減らし、座部7を容易に上昇することができる。
すなわち、利用者Mの体重よりも小さな付勢力の付勢手段6cであっても大きな付勢力として作用するように昇降機構6を構成することで、付勢手段6cをコンパクトなものとすることができる。
【0030】
逆に、座部7を下降させる場合には、上述した場合とは逆に利用者Mが上体を後傾すると、重心が後方に移動して、付勢力よりも大きな荷重がかかるように作用するので、徐々に下降することができる。
【0031】
また、この歩行補助車1には、トイレで利用者Mが立つことなくズボンなどを脱げるように、座部7の後部下面に掛止体71を止着している。該掛止体71は
図2などで示すように鉤状にしたものである。
この掛止体71に利用者Mが自身のズボンの後方上部を引っ掛けることで、利用者Mがトイレの便座へ座部7から後方にいざる動作をする時に併せて徐々にズボンが座部7に残ることで、利用者Mが立つことなくズボンを脱げるものである。
そして、排泄後には上述した手順と逆の動作、つまり、前方にいざりながらズボンを引き上げるように移動することで、ズボンをはくことができる。
すなわち、この掛止体71を利用することで、利用者Mは腰を浮かす必要が無いため、転倒を気にする心配がなく安全にズボンを着脱し、排泄することができる。
【0032】
このように、本願発明における歩行補助車1では、ベッド等からの座部7への移乗時に確実に車輪2がロックされるため転落の心配がなく安全に座部7へ移乗できるものとなっている。
また、認知症を患うなど、歩行補助車1の操作手順を忘れてしまいがちな利用者を受け持つ介助者側の視点に立つと、移乗時の転落を危惧しなくても良いので介助者の精神的な負担を軽減することもできる。
さらに、車体フレーム3の構成も下肢周辺に構成部品が無く自由に下肢を動かせるため従来の歩行器に比べ、よりリハビリの効果を高めるものとなっている。
したがって、本願発明にかかる歩行補助車1は、従来では転倒の心配があり積極的にリハビリを行えなかった利用者、介助者双方の精神面の不安を取り除き、早期リハビリを促進することで、より効果的なものとなっている。