【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年5月22日〜24日、パシフィコ横浜 展示ホールで開催された、自動車技術展 ひととくるまのテクノロジー展 2013にて公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記排気浄化装置は、排気管が曲がりくねっているため、排気管内で排気ガスの編流が発生する。このため、直線状の排気管に比べてSCR触媒入口での排気ガスの流速分布が悪化してしまう。また、添加剤と排気ガスが十分に混合されないため、発生するアンモニアの濃度分布に差ができてしまう。このように、SCR触媒入口における排気ガスの流速分布と添加剤の濃度分布に差が生じることによって、SCR触媒の還元効率が低下するとともに、SCR触媒の劣化が局所的に進むおそれがあるという課題を備えている。
【0006】
そこで、本発明は、装置全体をコンパクトにしつつ、SCR触媒入口における排気ガスの流速分布と添加剤の濃度分布を均一化することができる排気浄化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、直線状管部14の下流側に、チャンバ部16の上流側が湾曲管部15を介して連通され、該チャンバ部16内に、触媒6が配設される排気浄化装置1であって、前記直線状管部14に撹拌手段5が配置され、
前記攪拌手段(5)の上流側には、添加物を噴射するインジェクタ(4)が配置され、前記撹拌手段5は、排気ガスの流れ方向に沿って配置された板状であり、排気ガスを整流する整流部51と、前記整流部51を通過した排気ガスを旋回流に変える旋回部53と、前記整流部51と一体で板状に形成され、前記整流部51から前記直線状管部14の内壁面14aに向かって延在して、当該内壁面14aに当接する支持部52と、を有し、前記旋回部53と前記直線状管部14の内壁面14aと
の間には、全周に亘って隙間14cが形成され、排気ガスは、前記旋回部53による旋回流と、前記隙間14cを通過して、前記直線状管部14の内壁面14aに沿って前記旋回流の外周を直進的に通過する気流と、に分かれて前記直線状管部14を通過することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、撹拌手段5を直線状管部14に設置したことによって、湾曲管部15で排気ガスの流れる方向が反転する際に、湾曲管部15内で流れが乱れ、触媒6入口における流速分布を改善することができる。また、インジェクタ4から噴射される添加剤が、撹拌手段5によって発生する流れによって撹拌され、触媒6入口における添加剤濃度分布を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の排気浄化装置1は、車両(図示せず)の動力源となるディーゼルエンジン(内燃機関)101の排気系に設置されている。
【0015】
本実施形態の排気浄化装置1は、酸化触媒2、PM(粒子状物質)フィルタ3、インジェクタ(噴射ノズル)4、ミキサ(撹拌手段)5、SCR触媒(選択還元形触媒)6、ASC触媒(アンモニアスリップ防止触媒)7を備えている。
【0016】
ディーゼルエンジン101には、インタークーラ102付きターボチャージャ103が設置され、ターボチャージャ103のタービン出口104に排気浄化装置1が設置されている。つまり、タービン出口104には、連通管部11を通じて、第1チャンバ部12が連通し、この第1チャンバ部12内には、酸化触媒2とPMフィルタ3が配置されている。そして、第1チャンバ部12の出口部には、排気ガスの流れる方向を反転する180度の第1エルボ部13が連通し、この第1エルボ部13の出口部には、直線状の直線状管部(排気管)14が連通している。ここで、第1エルボ部13の出口部内には、インジェクタ4が配置されるとともに、直線状管部14の入口側には、ミキサ5が配置されている。直線状管部14の出口部には、排気ガスの流れる方向を再度反転する180度の第2エルボ部(湾曲管部)15が連通し、この第2エルボ部15の出口部には、第2チャンバ部16が連通している。ここで、第2チャンバ部16内には、SCR触媒6とASC触媒7が、配置されている。そして、第2チャンバ部16の出口部には、排気ガスの流れる方向を再度反転する180度の第3エルボ部17が連通し、この第3エルボ部17の出口部には、外気に通じる連通管部18が連通している。
【0017】
ディーゼルエンジン101から排出される排気ガスには、一酸化炭素(CO)、炭化水素化合物(HC)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)が含まれている。そして、排気ガス中のCOとHCが、排気ガスが酸化触媒2を通過する際に化合して、二酸化炭素(CO
2)と水(H
2O)が生成される。また、排気ガス中のPMは、PMフィルタ3で捕集される。そして、PMが捕集された排気ガスには、インジェクタ4によって尿素水タンク4aから供給される尿素水(添加物)が噴射される。ここで、噴射された尿素水中の尿素は、排気ガスの熱によって加水分解され、アンモニア(NH
3)が生成される。そして、このNH
3とNOxが、SCR触媒6を通過する際に化合して、窒素(N
2)とH
2Oが生成される。また、排気ガス中に残ったNH
3は、ASC触媒7を通過する際に、排気ガス中の酸素(O
2)と化合してN
2とH
2Oに無毒化されて外気に放出される。
【0018】
次に、ミキサ5の構成について説明する。本実施形態のミキサ5は、
図2〜
図5に示すように、排気ガスの流れを整える整流部51と、直線状管部14内にミキサ5を保持する支持部52と、排気ガスの流れを旋回流に変える旋回部53とを備えている。
【0019】
整流部51は、平板状部材からなる6枚の整流片51aで構成され、排気ガスの流れ方向となる、直線状管部14の中心軸Oの軸方向に沿って、整流片51aの各板面が配置される。そして、各整流片51aは、直線状管部14の中心軸Oから径方向外側に沿って配置されるとともに、周方向に対して等角度間隔に配置される。また、整流片51aの径方向寸法51Lは、直線状管部14の半径rよりも小さく設定されている。
【0020】
支持部52は、各整流片51aの径方向外側端から径方向外側に沿って板状に延設されつつ、板面が直線状管部14の内壁面14aに沿って折曲げられることで形成される。そして、支持部52の板面が内壁面14aに当接することで、ミキサ5は直線状管部14内に保持される。
【0021】
旋回部53は、各整流片51aの下流側端に延設され、中心軸Oの軸方向に対して所定の角度に傾けて形成される。また、旋回部53は、扇形状を備え、扇の要部分が直線状管部14の中心軸Oに対応しつつ、扇の円弧縁53bが内壁面14aに面するように形成される。そして、旋回部53は、
図3に示すように、断面視で、扇の直線縁53aが隣接する整流片51aに接するように扇形状、および中心軸Oの軸方向に対する傾き角度が設定されている。
【0022】
つまり、本実施形態のミキサ5は、整流片51a、支持部52、旋回部53を備えた板状部材からなる単位構成材5aを6枚備えている。これら単位構成材5aは、直線状管部14の中心軸Oを挟んで対向する整流部51同士が、連結部54によって連結され、連結された2枚の単位構成材5aは、1枚の複合構成材5bを構成する。つまり、本実施形態のミキサ5は、
図5に示すように、3枚の複合構成材5bによって構成されている。各複合構成材5bは、連結部54によって、2枚の単位構成材5aが、中心軸Oを対称軸とする線対称に連結されている。なお、各複合構成材5bの連結部54は、整流部51の上流側、中央側、下流側をそれぞれ連結しており、ミキサ5に組上げる際に、これら連結部54が干渉しないように、複合構成材5bが組まれる。
【0023】
上記構成によって、ミキサ5を直線状管部14内に設置した際に、整流片51aの径方向外側端部と直線状管部14の内壁面14aとの間、および旋回部53の円弧縁53bと直線状管部14の内壁面14aとの間のそれぞれに、周方向に対して径方向寸法が一定に設定された隙間14b,14cが形成される。
【0024】
そして、ミキサ5が直線状管部14内に設置されることによって、排気ガスが直線状管部14内を流れる際に、直線状管部14内には、
図2に示すように、直進流路21と旋回流路22が形成される。
【0025】
直進流路21は、ミキサ5と直線状管部14の内壁面14aとの間の隙間によって、直線状管部14内の内壁面14a近傍に筒状に形成される。つまり、直進流路21は、整流部51と内壁面14aとの間に形成される隙間14bと、旋回部53と内壁面14aとの間に形成される隙間14cを流れる排気ガスによって、隙間14b,14cの下流側に形成される。そして、直進流路21には、排気ガスが直線状管部14の中心軸Oの軸方向に沿って流れる。
【0026】
旋回流路22は、直進流路21の筒内側に形成される。つまり、旋回流路22は、直線状管部14の旋回部53下流側に形成される。そして、旋回流路22には、排気ガスが直線状管部14の中心軸Oの軸方向に対して旋回しつつ流れる。
【0027】
図6、
図7は、直線状管部14と第2エルボ部15を排気ガスが流れる様子を示しており、矢印の向きが流れの方向、矢印の長さが流れの速さを表している。ミキサを設置しない場合には、
図6に示すように、直線状管部14の下方では流速が遅く、上方で流速が早くなる。このため、第2エルボ部15では、流速の速い上方の流れが、そのままSCR触媒6に流れ込み、SCR触媒6入口の各部における流速には、大きな差が生じている。
【0028】
これに対して、ミキサ5を直線状管部14に設置した場合には、
図7に示すように、内壁面14a周辺に形成される直進流路21の流速が速く、旋回流路22の流速が遅くなる。このため、第2エルボ部15で排気ガスの流れる方向が反転する際に、第2エルボ部15内で流れが乱れ、SCR触媒6入口における流速分布が改善されている。
【0029】
図8、
図9は、SCR触媒6入口におけるアンモニア濃度を示す等濃度線図で、図中に線の数が多いほど濃度差が大きいことを表している。ミキサ5を設置しない場合には、
図8に示すように、インジェクタ4から噴射された尿素水が撹拌されないまま直線状管部14内を流れるため、アンモニアの濃い部分と薄い部分が生じている。
【0030】
これに対して、ミキサ5を直線状管部14に設置した場合には、
図9に示すように、インジェクタ4から噴射された尿素水が、ミキサ5によって撹拌され、SCR触媒6入口におけるアンモニア濃度分布が改善されている。
【0031】
以上のことから、ミキサ5を直線状管部14に設置したことによって、第2エルボ部15で排気ガスの流れる方向が反転する際に、第2エルボ部15内で流れが乱れ、SCR触媒6入口における流速分布を改善することができる。また、インジェクタ4から噴射される尿素水が、ミキサ5によって発生する流れによって撹拌され、SCR触媒6入口における添加剤濃度分布を改善することができる。
【0032】
つまり、直線状管部14内で、旋回流は、直進流にぶつかりつつ、旋回を続けるため、アンモニアは内壁面14aに付着せずに排気ガス中に撹拌される。これによって、アンモニアが均一に分布するとともに、直線状管部14の内壁に付着、堆積する尿素が減少し、排気系部品における腐食の発生を抑制することができる。また、隙間14b,14cの径方向寸法を周方向に対して一定に設定することによって、形成される直進流路が安定し、内壁に付着、堆積する尿素をさらに減らすことができる。そして、噴射された尿素水が内壁に付着しないことから、噴射後、時間差なくアンモニアに加水分解されるため、アンモニア濃度を高い精度で制御することができる。これによって、インジェクタ4が必要十分な量の尿素水を噴射することになるため、尿素水の浪費が改善される。
【0033】
板状の整流部51を排気ガスの流れ方向に沿って配置することによって、排気ガスの流れを妨げることなく、流れを整えることができ、下流側に形成される旋回流を安定させることができるとともに、整流部51を平板状部材で構成することによって、製造コストを増大させることなく排気ガスを整流することができる。
【0034】
そして、整流部51の下流側に旋回部53を設けることによって、整流された後に旋回するため、整った旋回流が発生し、排気ガスの撹拌を促進させることができる。また、複数の旋回部53が直線状管部14内に等角度間隔で配置されることによって、下流側に形成される旋回流を安定させることができる。
【0035】
流れ方向に面して形成された板状の支持部52の板面が、内壁面14aに当接することで、排気ガスの流れを妨げることなく、ミキサ5を直線状管部14内に保持することができる。
【0036】
複合構成材5bの各連結部54が、整流部51の上流側、中央側、下流側にずれていることで、ミキサ5を組立てる際の誤組付けを防止することができる。
【0037】
なお、本実施形態の整流部51は、平板状に形成されているが、ミキサ5を第1エルボ部13の出口部に配置する等の場合には、第1エルボ部13の曲率に合わせて湾曲させる構成としても良い。
【0038】
次に、ミキサ5の第1の別態様について、図面を用いて説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0039】
上記実施形態のミキサ5が、6枚の単位構成材5aで構成されているのに対して、本別態様のミキサ5Aは、
図10に示すように、4枚の単位構成材5aで構成されている点が上記実施形態と異なる。各単位構成材5aは、上記実施形態と同様に、整流部51、支持部52、旋回部53で構成され、連結部によって2枚一組の複合構成材に形成されている。
【0040】
また、本態様のミキサ5Aも、上記実施形態と同様に、断面視で、扇の直線縁53aが隣接する整流片51aに接するように設定されている。ところが、本態様のミキサ5Aは、4枚の単位構成材5aで構成されるため、隣接する単位構成材5aとの角度間隔が、上記実施形態よりも広くなる。そこで、断面視で、扇の直線縁53aが隣接する整流片51aに接するように、扇形状、および中心軸Oの軸方向に対する傾き角度が設定されている。
【0041】
以上のことから、本態様のミキサ5Aは、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。また、単位構成材5aの枚数が少ないことから、排気ガスの流量が小さく、排気管の管径が小さくなる、排気量が比較的小さいディーゼルエンジン101の排気浄化装置として好適である。
【0042】
次に、ミキサ5の第2の別態様について、図面を用いて説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0043】
本態様のミキサ5Bは、5枚の複合構成材で構成されている。上記実施形態のミキサ5では、複合構成材5bが、2枚の単位構成材5aを連結部54で連結することで構成されているのに対して、本別態様のミキサ5Bでは、
図11、
図12に示すように、整流片55a(整流部55)と旋回部56で構成される単位構成材が整流片55b(整流部55)に連結されることで、複合構成材が構成されている。つまり、組立てられた状態のミキサ5Bは、旋回部56が延設された整流片55aと旋回部56を有しない整流片55bが、周方向に対して交互に配置される。なお、整流片55aの軸方向寸法55Laは、整流片55bの軸方向寸法55Lbよりも長くなるように設定されている。
【0044】
また、旋回部56の円弧縁には、切欠57によって段差が形成されている。この切欠57を設けることで、直線状管部14の内壁面14aとミキサ5Bとの間に隙間が形成され、この隙間を排気ガスが流れることによって、直進流路が形成される。
【0045】
なお、切欠57を整流片55aとの境界部分に設けることで、上記実施形態と同様に、内壁面14aとミキサとの間に環状の隙間と、隙間の下流側に筒状の直進流路を形成することができる。
【0046】
以上のことから、本態様のミキサ5Aは、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。