特許第6347502号(P6347502)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347502
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】二重床構造及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20180618BHJP
   E04F 15/18 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   E04F15/00 101J
   E04F15/18 601J
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-145065(P2013-145065)
(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公開番号】特開2015-17415(P2015-17415A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年6月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597007282
【氏名又は名称】住友林業ホームテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501195625
【氏名又は名称】住友林業クレスト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591173833
【氏名又は名称】淡路技建株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】守時 秀明
(72)【発明者】
【氏名】西谷 伸介
(72)【発明者】
【氏名】大澤 康人
(72)【発明者】
【氏名】多賀 由祐
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 紀之
(72)【発明者】
【氏名】梯 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】大蘆 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】岸 直樹
【審査官】 波多江 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−001915(JP,A)
【文献】 実開平04−116537(JP,U)
【文献】 特開2002−106152(JP,A)
【文献】 特開2000−080791(JP,A)
【文献】 特開2012−137240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00
E04F 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造床から離間させた状態で該構造床の上方に歩行床を敷設してなる二重床構造において、
前記構造床の上面に載置され防振ゴムで形成された脚本体、該脚本体の頂部から延びる高さ調整ボルト、及び該高さ調整ボルトを介して前記脚本体に被せるように連結される受け部材を有し、前記受け部材を、前記脚本体に連結された状態において該脚本体を取り囲むように形成された円筒状周壁部とその一端を塞ぐように該円筒状周壁部に一体形成され前記高さ調整ボルトを螺合するボルト孔が形成された天板部とで構成するとともに、前記円筒状周壁部の他端近傍であってその外周面に円環状突起を延設した二重床用支持脚と、
中央近傍に形成された嵌合用開口にその開口縁部が前記円環状突起で受けられるように前記二重床用支持脚の受け部材が嵌め込まれた木質系材料からなる台座と、
互いに対向する長手側縁部の間に離間スペースが形成されるとともに該離間スペースに前記嵌合用開口から突出する前記受け部材の頭部近傍が位置決めされるように前記歩行床の最下層として前記台座の上に載置された下地パネルと、
該下地パネルの上に前記離間スペースを跨ぐように敷設された補剛パネルとを備えてなり、
前記円筒状周壁部を、その高さが前記台座の厚みよりも大きくなるように構成したことを特徴とする二重床構造。
【請求項2】
前記天板部と前記円筒状周壁部とが取り合う箇所であって前記ボルト孔から前記円環状突起に向かう方向に沿って溝状のリブを形成した請求項1記載の二重床構造。
【請求項3】
前記補剛パネルの上に無垢材からなる仕上げ材を前記歩行床の最上層として敷設し、又は前記補剛パネルの上に床暖房パネルを敷設するとともに該床暖房パネルの上に無垢材又は複合フローリングからなる仕上げ材を前記歩行床の最上層として敷設した請求項1又は請求項2記載の二重床構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の二重床用支持脚を前記構造床の上に立設するとともに前記受け部材が前記嵌合用開口に嵌り込んだ状態となるようにかつ前記円環状突起で前記嵌合用開口の開口縁部を受ける状態となるように前記台座を前記二重床用支持脚に取り付け、前記下地パネルのうち、互いに対向する長手側縁部の間に離間スペースが形成されかつ該離間スペースに前記嵌合用開口から突出する前記受け部材の頭部近傍が位置決めされるように該下地パネルを前記台座の上に載置し、前記下地パネルの上面からセルフタッピングスクリューをねじ込むとともに該セルフタッピングスクリューを前記台座にさらにねじ込むことで、前記下地パネルを前記台座に固定し、前記離間スペースを跨ぐようにして前記下地パネルの上に前記補剛パネルを敷設することを特徴とする二重床構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として住宅に採用される二重床構造及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションに代表される集合住宅では、カーペット敷きよりも衛生面に優れたフローリング仕上げが一般的となって久しいが、フローリング仕上げでは、上階で生じた床衝撃音に対する下階への遮音対策が重要となり、建築指針では、軽量衝撃源でL−45、重量衝撃源でL−50の遮音性能が推奨されている(「建築物の遮音性能基準と設計指針」、日本建築学会)。
【0003】
最近では、居住快適性に対するニーズとも相俟って、ますます高い遮音性能が要求されるようになっており、厚さ200mmを越える鉄筋コンクリートスラブ(以下、RCスラブ)の上に歩行床を敷設してなる二重床が標準的になりつつある。
【0004】
RCスラブ上に歩行床を構築するにあたっては、RCスラブの上に平面2方向に所定ピッチで支持脚を配置した上、該支持脚にパーティクルボード等の下地パネルを載せ、次いで、該下地パネルにフローリング等の仕上げパネルを順次敷設して歩行床を構成するのが一般的であるが、建物側で階高を大きくとれない場合、RCスラブ上方の二重床空間をできるだけ低く抑えて天井高を確保する必要が生じる。
【0005】
上述の要請に応えるべく、低床化が可能な二重床構造が提案されており(特許文献1)、同文献記載の二重床構造によれば、防振ゴムと該防振ゴムから延びる支持ボルトが螺合される支持プレートとで支持脚を構成するとともに、支持プレートを、支持ボルトが螺合される中央領域がそれを取り囲む周辺領域よりも突出するように形成してあるため、隣り合う下地パネルの隙間に支持脚を配置した上、支持プレートの周辺領域に下地パネルを載せるようにすれば、下地パネルの配置高さを下げることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−1915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上述の二重床構造では、下地パネル同士の取合い箇所に支持脚を配置するためのスペースを確保する必要があるが、仕上げ材に過度なせん断力や曲げモーメントが生じて損傷したり、良好な歩行感が損なわれたりといった事態を回避するためには、下地パネル同士の隙間を12mm程度以下に収めなければならない。さりとて、その対処として長手側縁部に切欠きを形成するのは、切欠き加工に時間と手間がかかりすぎる。
【0008】
そこで、特許文献1記載の二重床構造では、下地パネルの縦横比を1:1あるいは1:1.5といった正方形若しくはそれに近い比率にした上、その隅部を三角状に切り欠く構成が採用されている。
【0009】
このようにすれば、三角形状の各切欠き空間が下地パネルの取合い箇所で一体化されてより広いスペースとなるため、支持脚を十分に設置することができるとともに、長手側縁部同士は、従前通り、12mm程度以下の隙間に収めることができる。
【0010】
しかしながら、かかる二重床構造では、広く流通している2×6尺サイズの汎用パネルを用いることができないため、下地パネルの調達にコストがかかるという問題や、隅部の切欠きで足りるとは言え、下地パネルに切欠き加工を施す必要があることには代わりはなく、その時間や手間が負担になるという問題を生じる。
【0011】
加えて、支持プレートに載せた下地パネルを該支持プレートに固定するためには、下地パネルの上面からセルフタッピングスクリューをねじ込んで支持プレートのネジ孔に螺合する必要があるところ、下地パネルが載せられた状態でしかもその上に作業員が乗った状態では、支持脚の水平位置を微調整することができず、場合によっては、セルフタッピングスクリューのねじ込みを何度もやり直さねばなければならないなど、支持プレートへの下地パネルの固定作業に時間を要するという問題も生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、低床化が可能で経済性にも優れなおかつ下地パネルの固定が容易な二重床構造及びその施工方法を提供することを目的とする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る二重床構造は請求項1に記載したように、構造床から離間させた状態で該構造床の上方に歩行床を敷設してなる二重床構造において、
前記構造床の上面に載置され防振ゴムで形成された脚本体、該脚本体の頂部から延びる高さ調整ボルト、及び該高さ調整ボルトを介して前記脚本体に被せるように連結される受け部材を有し、前記受け部材を、前記脚本体に連結された状態において該脚本体を取り囲むように形成された円筒状周壁部とその一端を塞ぐように該円筒状周壁部に一体形成され前記高さ調整ボルトを螺合するボルト孔が形成された天板部とで構成するとともに、前記円筒状周壁部の他端近傍であってその外周面に円環状突起を延設した二重床用支持脚と、
中央近傍に形成された嵌合用開口にその開口縁部が前記円環状突起で受けられるように前記二重床用支持脚の受け部材が嵌め込まれた木質系材料からなる台座と、
互いに対向する長手側縁部の間に離間スペースが形成されるとともに該離間スペースに前記嵌合用開口から突出する前記受け部材の頭部近傍が位置決めされるように前記歩行床の最下層として前記台座の上に載置された下地パネルと、
該下地パネルの上に前記離間スペースを跨ぐように敷設された補剛パネルとを備えてなり、
前記円筒状周壁部を、その高さが前記台座の厚みよりも大きくなるように構成したものである。
【0014】
また、本発明に係る二重床構造は、前記天板部と前記円筒状周壁部とが取り合う箇所であって前記ボルト孔から前記円環状突起に向かう方向に沿って溝状のリブを形成したものである。
また、本発明に係る二重床構造は、前記補剛パネルの上に無垢材からなる仕上げ材を前記歩行床の最上層として敷設し、又は前記補剛パネルの上に床暖房パネルを敷設するとともに該床暖房パネルの上に無垢材又は複合フローリングからなる仕上げ材を前記歩行床の最上層として敷設したものである。
また、本発明に係る二重床構造の施工方法は請求項4に記載したように、請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の二重床用支持脚を前記構造床の上に立設するとともに前記受け部材が前記嵌合用開口に嵌り込んだ状態となるようにかつ前記円環状突起で前記嵌合用開口の開口縁部を受ける状態となるように前記台座を前記二重床用支持脚に取り付け、前記下地パネルのうち、互いに対向する長手側縁部の間に離間スペースが形成されかつ該離間スペースに前記嵌合用開口から突出する前記受け部材の頭部近傍が位置決めされるように該下地パネルを前記台座の上に載置し、前記下地パネルの上面からセルフタッピングスクリューをねじ込むとともに該セルフタッピングスクリューを前記台座にさらにねじ込むことで、前記下地パネルを前記台座に固定し、前記離間スペースを跨ぐようにして前記下地パネルの上に前記補剛パネルを敷設するものである。
【0015】
本発明に係る二重床構造においては、二重床用支持脚を、その受け部材が木質系材料からなる台座の中央近傍に形成された嵌合用開口に嵌め込まれるとともに該受け部材の円環状突起で嵌合用開口の開口縁部を受ける状態となるように構造床に立設し、歩行床のうち、最下層を構成する下地パネルを、互いに対向するそれらの長手側縁部の間に離間スペースが形成され該離間スペースに嵌合用開口から突出する受け部材の頭部近傍が位置決めされるように台座の上に載置し、該下地パネルの上に補剛パネルを上述した離間スペースを跨ぐように敷設してある。
【0016】
このようにすると、下地パネル同士を離間させることでそれらの間に形成される離間スペースを二重床用支持脚の設置スペースとすることが可能となり、従来のように下地パネルに切欠き加工を施す必要がなくなるとともに、下地パネルのサイズや形状についても制限がなくなるので、汎用パネルを使用することも可能となる。
【0017】
加えて、下地パネルを台座に固定する際には、下地パネルの上面からねじ込んだセルフタッピングスクリューを木質系材料からなる台座にさらにねじ込むことができるため、下地パネルを二重床用支持脚に固定する際の作業性が大幅に改善される。
【0018】
一方、歩行床の上載荷重は、補剛パネルを介して下地パネルに伝達されるため、下地パネル同士が離間していても、仕上げ材に過度なせん断力や曲げモーメントが生じたり、良好な歩行感が損なわれたりといった事態は起こり得ないし、受け部材を台座の嵌合用開口に嵌め込んだとき、該嵌合用開口の開口縁部を受け部材の円環状突起で受けるようにしたので、歩行床の上載荷重を構造床に確実に伝達させることも可能となる。
【0019】
構造床は、主としてRCスラブその他コンクリート系スラブが想定されるが、歩行床の上載荷重を柱や壁に伝達するものである限り、コンクリート系スラブに限定されるものではなく、例えば木質系梁の上に床板が架け渡されてなるものも包摂される。
【0020】
台座は、木質系材料で構成されるものであって、例えば正方形の板材の中央に円形の嵌合用開口を形成して構成することができるため、工場製作するほか、二重床を構築する建築現場でそのつど製作することも可能である。
【0021】
歩行床のうち、最下層である下地パネル及びその上に積層される補剛パネルの上方をどのように構成するかは任意であるが、下層に補剛パネルが敷設されることから、収縮性のパネルや床暖房パネルであっても使用が可能であり、例えば、補剛パネルの上に無垢材からなる仕上げ材を歩行床の最上層として敷設し、又は補剛パネルの上に床暖房パネルを敷設するとともに該床暖房パネルの上に無垢材又は複合フローリングからなる仕上げ材を歩行床の最上層として敷設した構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態で用いる二重床用支持脚1の組立斜視図。
図2】同じく二重床用支持脚1の組立断面図。
図3】本実施形態に係る二重床構造34を示した図であり、(a)は詳細平面図、(b)はA−A線に沿う鉛直詳細断面図。
図4】下地パネル30を2×6尺サイズの汎用パネルで構成した場合における二重床構造の施工手順図。
図5】下地パネル30を台座20に固定する様子を示した施工手順図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る二重床構造及びその施工方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施形態で用いる二重床用支持脚1を示した組立斜視図、図2は同じく組立断面図である。これらの図でわかるように、本実施形態で用いる二重床用支持脚1は、構造床としてのRCスラブ2の上面に載置される脚本体3と、該脚本体の頂部から延びる高さ調整ボルト4と、該高さ調整ボルトを介して脚本体3に被せるように該脚本体に連結される受け部材5とを備える。
【0025】
脚本体3は防振ゴムで形成してあり、歩行床に作用する衝撃による音や振動を減衰させるようになっている。
【0026】
受け部材5は、脚本体3に連結された状態において該脚本体を取り囲むように形成された円筒状周壁部6と、その一端を塞ぐように該円筒状周壁部に一体形成された天板部8とで構成してあるとともに、該天板部には、高さ調整ボルト4が螺合されるボルト孔7を形成してあり、該ボルト孔に高さ調整ボルト4を螺合した状態で高さ調整ボルト4をその材軸回りに回すことにより、受け部材5の保持高さを調整することができるようになっている。
【0027】
一方、円筒状周壁部6の他端近傍であってその外周面には円環状突起9を延設してあり、平面形が正方形をなし木質系材料で構成されてなる台座20の中央近傍に形成された円形の嵌合用開口21に受け部材5を嵌め込んだとき、該嵌合用開口の開口縁部を円環状突起9で受けることができるようになっている。
【0028】
このように、円環状突起9は、台座20の設置高さ、ひいてはその上に載置される後述の歩行床(図示せず)の設置高さを決定付けるものであるため、受け部材5を構成するにあたっては、円環状突起9の上面位置、換言すれば円筒状周壁部6の高さが、低床化の程度に応じた寸法となるように適宜構成する。
【0029】
なお、天板部8と円筒状周壁部6とが取り合う箇所には、円環状突起9に鉛直荷重が作用したとき、天板部8が面外変形することなく、該鉛直荷重を高さ調整ボルト4を介して脚本体3に確実に伝達させることができるよう、図1でよくわかるように溝状のリブ10を90゜ごとに計4本形成してある。なお、図2については、図面の便宜上、リブ10を省略した。
【0030】
図3は、本実施形態に係る二重床構造34を示した図である。二重床構造34は、RCスラブ2から離間させた状態で該RCスラブの上方に歩行床33を敷設してなるものであって、RCスラブ2に立設された二重床用支持脚1と、嵌合用開口21の開口縁部を円環状突起9で受けることができるように該嵌合用開口に受け部材5が嵌め込まれた台座20と、互いに対向する長手側縁部の間に離間スペース35が形成されるとともに該離間スペースに嵌合用開口21から突出する受け部材5の頭部近傍が位置決めされるように該台座の上に載置された下地パネル30と、離間スペース35を跨ぐように該下地パネルの上に敷設された補剛パネル31と、該補剛パネルの上に積層された仕上げ材32とで構成してあり、下地パネル30、補剛パネル31及び仕上げ材32は、上述した歩行床33を構成する。
【0031】
図4は、パーティクルボードで構成された2×6尺サイズの汎用パネルを下地パネル30に用いた場合の二重床構造の施工手順を示した全体平面図である。かかる二重床構造を施工するには、同図(a)に示すように、まず、二重床用支持脚1をRCスラブ2の上に列状に複数立設する。
【0032】
次に、二重床用支持脚1の受け部材5が台座20に形成された嵌合用開口21に嵌り込んだ状態となるように該台座を二重床用支持脚1に取り付ける。
【0033】
台座20は、例えば大きさが120mm×120mm程度、厚みが15mm程度の板材を切り出し、その中央に嵌合用開口21となる円形開口を内径50mm程度の大きさで加工して構成することができるものであり、現地で製作することが可能である。
【0034】
台座20は、二重床用支持脚1に先付けした状態で設置してもよいし、二重床用支持脚1を列状に複数配置した後で設置してもよい。
【0035】
次に、2×6尺サイズ、すなわち600×1820mmの汎用パネルで構成された下地パネル30を敷設するが、その敷設にあたっては、図3で説明したように、下地パネル30のうち、互いに対向する長手側縁部の間に離間スペース35が形成され、かつ該離間スペースに嵌合用開口21から突出する受け部材5の頭部近傍が位置決めされるように、台座20の上に下地パネル30を載置する。
【0036】
離間スペース35の幅は、例えば50mm程度に設定すればよい。
【0037】
次に、図5に示すように、下地パネル30の上面からセルフタッピングスクリュー51をねじ込むとともに、該セルフタッピングスクリューを台座20にさらにねじ込むことで、下地パネル30を台座20に固定する。
【0038】
次に、図4(b)に示すように、補剛パネル31を、離間スペース35を跨ぐようにして下地パネル30の上に敷設する。
【0039】
補剛パネル31は、例えば910mm×1820mm程度のいわゆる捨張り合板を用いることができる。
【0040】
補剛パネル31を敷設したならば、その上に仕上げ材32を敷設する。
【0041】
仕上げ材32は、例えば無垢材で構成することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る二重床構造によれば、下地パネル30,30同士を離間させることで、それらの間に形成される離間スペース35を二重床用支持脚1の設置スペースとすることが可能となり、従来のように下地パネルに切欠き加工を施す必要がなくなるとともに、下地パネルのサイズや形状についても制限がなくなるので、汎用パネルを使用することも可能となる。
【0043】
加えて、下地パネル30を台座20に固定する際には、下地パネル30の上面からねじ込んだセルフタッピングスクリュー51を木質系材料からなる台座20にさらにねじ込むことができるため、下地パネル30を二重床用支持脚1に固定する際の作業性が大幅に改善される。
【0044】
一方、歩行床33の上載荷重は、補剛パネル31を介して下地パネル30に伝達されるため、下地パネル30,30同士が離間していても、仕上げ材32に過度なせん断力や曲げモーメントが生じたり、良好な歩行感が損なわれたりといった事態は起こり得ないし、受け部材5を台座20の嵌合用開口21に嵌め込んで該嵌合用開口の開口縁部を受け部材5の円環状突起9で受けるようにしたので、歩行床33の上載荷重をRCスラブ2に確実に伝達させることも可能となる。
【0045】
本実施形態では、現地製作された台座を用いることを想定して、二重床用支持脚の構成要素に台座が含まれないものとしたが、台座を二重床用支持脚の構成要素の一つとすることももちろん可能である。
【0046】
また、本実施形態では、無垢材からなる仕上げ材32を歩行床33の最上層としたが、これに代えて、床暖房パネルと該床暖房パネルの上に敷設される無垢材又は複合フローリングからなる仕上げ材とで歩行床の最上層を構成するようにしてもかまわない。
【符号の説明】
【0047】
1 二重床用支持脚
2 RCスラブ(構造床)
3 脚本体
4 高さ調整ボルト
5 受け部材
6 円筒状周壁部
7 ボルト孔
8 天板部
9 円環状突起
20 台座
21 嵌合用開口
30 下地パネル
31 補剛パネル
32 仕上げ材
33 歩行床
34 二重床構造
35 離間スペース
図1
図2
図3
図4
図5