(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347513
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】天然ウォラストナイトセラミックス多孔体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 38/00 20060101AFI20180618BHJP
C04B 35/22 20060101ALI20180618BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20180618BHJP
B01J 20/02 20060101ALI20180618BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
C04B38/00 304Z
C04B35/22
B01D39/20 D
B01J20/02 A
B01J20/30
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-168088(P2014-168088)
(22)【出願日】2014年8月21日
(65)【公開番号】特開2016-44084(P2016-44084A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】509164164
【氏名又は名称】地方独立行政法人山口県産業技術センター
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】細谷 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】三國 彰
【審査官】
山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−128979(JP,A)
【文献】
特開平03−012373(JP,A)
【文献】
特開昭48−018306(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/083695(WO,A1)
【文献】
特開2002−193684(JP,A)
【文献】
特開昭60−021856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00
C04B 38/00
B01D 39/00−41/04
B01J 20/00
F16L 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ウォラストナイト粉体にバインダーとしての水ガラスを添加混合して成形した後、その成形体を700〜1,100℃で焼成して、嵩密度0.96〜1.66cm3、気孔率40.5〜66.9%、吸水率24.4〜69.5%の多孔性の焼結体を製造することを特徴とする天然ウォラストナイトセラミックス多孔体の製造方法。
【請求項2】
多孔性の焼結体の用途が、フィルター、保水材又は吸着材のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然に産出するウォラストナイト鉱石を粉砕・分級して得られたウォラストナイト粉体を主原料とするセラミックス多孔
体の製造方
法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス多孔体は環境対策を中心とした材料として実用化されており、フィルター、保水材、吸着材、触媒担体、断熱材、吸音材など様々な用途で使用されている。
【0003】
セラミックス多孔体の用途は気孔率や細孔径の大きさによって様々であり、原料となるセラミックス粉体の性状によってセラミックス多孔体の物性も異なってくる。
【0004】
従来、セラミックス粉体として主に使用される原料はアルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、コージェライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素などのファインセラミックス粉体であり、これらの原料を用いたセラミックス多孔体の製造方法及び細孔径の制御に関する様々な技術が開発されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【0005】
しかし、上記のようなファインセラミックス粉体は、高純度に精製された天然原料や化学的なプロセスによって合成された物が多く、粉体原料が高価であることからセラミックス多孔体の用途も高機能かつ高付加価値なものに限定される傾向がある。
例えば、アルミナの工業的製造法であるバイヤー法では原鉱石であるボーキサイトを水酸化ナトリウムで溶解して加熱処理をするなど様々な精製過程を経ており、製造コストの増加だけではなく廃液処理や排熱などが環境に与える影響なども懸念される。
【0006】
これに対して、石炭火力発電所等から副産物として排出されるフライアッシュやクリンカアッシュを用いたセラミックス多孔体の作製技術なども開発されている(例えば、特許文献3及び4を参照)。
【0007】
しかし、フライアッシュやクリンカアッシュからは環境基準値(0.01 mg/L)を超えるヒ素の溶出が課題であり、原料の性状が火力発電所によって大きく異なるためセラミックス多孔体の品質が安定しないなどの問題点がある(例えば、比較例1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−159536
【特許文献2】特開2002−68854
【特許文献3】特開2012−131702
【特許文献4】特開平11−60328
【特許文献5】特開2012−200670
【特許文献6】特開2004−256355
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】島田欣二、小牧高志、川崎淳子、福重安雄、窯業協会誌79[7]251−258(1971)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
天然ウォラストナイトはアメリカ、インド、メキシコ、フィンランド、中国などで天然に産出される安価な鉱物であり、アメリカ地質調査所によれば全世界の埋蔵量は9000万トンを超えると推定されている。また、白色度や純度も高いことからウォラストナイト鉱石を粉砕・分級したウォラストナイト粉体は特に高度な精製や化学処理を必要としないまま利用することが可能である。
さらに、天然ウォラストナイトに含まれる主な不純物は鉄、アルミニウム、マンガン、カリウム、ナトリウムなどであり、環境基準項目に該当するカドミウム、鉛、クロム、ヒ素、セレンなどは含まれていないことから環境対策に向けた材料としても最適であると考えられる。(表7を参照)
【0011】
この天然ウォラストナイト粉体は異方性を有する繊維状の粒子であり、その繊維長やアスペクト比に応じた様々な粒度分布を示す粉体原料が入手可能であるにも関わらず、その主な用途は樹脂や塗料のフィラー等であり、セラミックス原料としても主原料として使用されることがほとんどない。(例えば、特許文献5及び6を参照)
【0012】
これは、1970年頃にアメリカやフィンランドで埋蔵量の大きいウォラストナイトの鉱床が発見されるまで、工業的規模のウォラストナイトの鉱床が極めて少なかったことから窯業原料として広く利用されなかった経緯がある。(例えば、非特許文献1を参照)
さらに、天然ウォラストナイト粉体が異方性を有する繊維状の粒子であることから緻密なセラミックス成形体を作製することが難しく、セラミックスの主原料としては注目されてこなかったことが考えられる。(
図1を参照)
図1は、セラミックス粉体の粒子形状が成形体内部の空隙に与える影響を説明する概要図であり、図[a]は球状粒子のファインセラミックス粉体で製造した焼結体の組織説明図、図[b]は繊維状粒子の天然ウォラストナイト粉体で製造した焼結体の組織説明図である。球状粒子のファインセラミックス粉体は焼成時に緻密化しやすいが、繊維状の天然ウォラストナイト粉体は焼成時に緻密化しにくく多孔質となることが解る。
【0013】
換言すれば、天然ウォラストナイト粉体を用いて作製した成形体は内部に多くの気孔を有するセラミックス多孔体であることが予想され、セラミックスの内部に気孔を作るための造孔材などを使用することなくウォラストナイト多孔体を作製できることが期待できる。
【0014】
また、ウォラストナイト粉体が焼結によって緻密化しにくい特性を利用することで、焼成時における変形や反りの少ないセラミックス多孔体を作製することも可能となる。
【0015】
さらに、このウォラストナイト多孔体の細孔径を制御することができれば、従来のセラミックス多孔体と同様にセラミックスフィルターや触媒担体などへの展開が期待され、原料を安価で大量に入手できることからセラミックス多孔体の用途拡大にも繋がる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では天然に産出する天然ウォラストナイト鉱石を粉砕・分級した天然ウォラストナイト粉体を成形後に焼成することによって、変形や反りの少ない天然ウォラストナイトセラミックス多孔体を作製することができる。
すなわち本発明は以下の構成からなるものである。
[1]天然ウォラストナイト粉体に
バインダーとしての水ガラスを添加混合して成形した後、その成形体を700〜1,100℃で焼成して、嵩密度0.96〜1.66cm3、気孔率40.5〜66.9%、吸水率24.4〜69.5%の多孔性の焼結体を製造することを特徴とする天然ウォラストナイトセラミックス多孔体
の製造方法。
[2]
多孔性の焼結体の用途が、フィルター、保水材又は吸着材のいずれかであることを特徴とする前記[1]に記載の方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明
は、自然界で多量に存在する天然ウォラストナイト鉱石を粉砕・分級したウォラストナイト粉体
にバインダーとしての水ガラスを添加・混合して成形した後、その成形体を700〜1,100℃で焼成して、嵩密度0.96〜1.66cm3、気孔率40.5〜66.9%、吸水率24.4〜69.5%の多孔性の焼結体である天然ウォラストナイトセラミックス多孔体を
製造する方法であって、
天然ウォラストナイトが有する低熱膨張性の特徴を失うことなくセラミックス多孔体を製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】セラミックス粉体の粒子形状が成形体内部の空隙に与える影響を説明する概要図であり、図[a]は球状粒子のファインセラミックス粉体で製造した焼結体の組織説明図、図[b]は繊維状粒子の天然ウォラストナイト粉体で製造した焼結体の組織説明図である。球状粒子のファインセラミックス粉体は焼成時に緻密化しやすいが、繊維状の天然ウォラストナイト粉体は焼成時に緻密化しにくく多孔質となることが解る。
【
図2】実施例1
〜実施例15、参考例16〜33、実施例34〜42、参考例43〜48で使用した4種類のウォラストナイト粉体の粒度分布を示すグラフ図である。
【
図3】実施例12、36、37、40におけるウォラストナイト多孔体の細孔分布を示すグラフ図である。原料となるウォラストナイト粉体の粒度分布を変えることで細孔径を制御できることが解る。
【
図4】実施例40〜42におけるウォラストナイト多孔体の細孔分布を示すグラフ図である。同一のウォラストナイト粉体(WO−4)を用いても成形体の密度を変えることで細孔径を制御できることが解る。
【
図5】X線回折法で測定した天然ウォラストナイト粉体および天然ウォラストナイト多孔体のX線回折図である。原料となる天然ウォラストナイト粉体(WO−1)はβ型であることがわかる。また、実施例6の配合でWO−1と水ガラスを混合して成形後に1000℃で焼成したウォラストナイト多孔体はβ型を維持しているのに対し、
参考例18の配合でWO−1にPVAを混合して成形後に1200℃で焼成したウォラストナイト多孔体はα型に相転移を起こしていることが確認される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ウォラストナイトにはα型ウォラストナイトとβ型ウォラストナイトが存在することが知られており、天然ウォラストナイトはβ型である。
ここで、α型とβ型の熱膨張係数はそれぞれ12×10−6/℃および6.5×10−6/℃でありβ型の方が低熱膨張性に優れているという特徴を有する。
しかし、β型ウォラストナイトは1125℃以上でα型へ相転移を起こすため、焼成温度が相転移温度を超える場合には天然ウォラストナイト多孔体の低熱膨張性も失われることが考えられる。
そのため、天然ウォラストナイト粉体にバインダーや焼結助剤を添加・混合して成形体を製造し、その成形体をウォラストナイトが相転移を起こす温度(1125℃)より低い温度で焼成し、高温で焼成した場合と同等に焼結性を高めることができれば、β型の構造を維持した状態で天然ウォラストナイト多孔体を製造できることになる。
実際、実施例6と参考例18を比較すると、いずれも曲げ強度は16〜20MPaで同程度の焼結性が確認されているにも関わらず、実施例6ではβ型ウォラストナイト、参考例18ではα型ウォラストナイトとなっている。(図5を参照)
【0020】
本発明で使用される天然ウォラストナイトとしては、アメリカ、インド、メキシコ、フィンランド、中国などで天然に多量に産出するセラミックス原料として安価なもので、白色度や純度も高いものであって、粉砕・分級するだけで特に高度な精製や化学処理を必要としない。
この天然ウォラストナイト粉体は異方性を有する繊維状の粒子であり、その繊維長やアスペクト比に応じた様々な粒子サイズの粉体原料が入手可能である。
次に、ウォラストナイト粉体を成形するために、バインダー
として水ガラスを添加使用することが好ましい。
その他、粘結剤あるいは焼結助剤を添加使用すること
もでき、例え
ばPVA、水溶性セルロース、パラフィン系やエステル系のワックス、ステアリン酸塩等の脂肪酸塩、アルギン酸塩等の樹脂系粘結剤等を添加混合することができる。
特に水ガラスは常温においては粘結剤として成形性を高め、高温においては焼結剤として作用するため好ましいものである。
水ガラスとしては、珪酸ナトリウム系、珪酸カリウム系、珪酸リチウム系等が挙げられるが、経済性、焼結性、熱膨張係数適合性等の観点から珪酸ナトリウム系や珪酸リチウム系のものが好ましい。また、粘結剤として成形性をさらに高めるためにPVA等の有機バインダーを水ガラスと併用することで、水ガラスの使用量を減らせることから低アルカリの焼結剤として作用することができる。
その他、PVA等の有機バインダーと焼結助剤としての四ホウ酸リチウム(LBO)、ガラスフリット粉末、石灰系の粉末、マグネシア系の粉末などを混合して使用することも
できる。
なお、天然ウォラストナイトを1200℃で焼成すると、白色から茶色に変化する。
β型からα型への相転移に伴い、含有される微量の鉄分が外観に影響を与えたものと推測される。
そして、1125℃以上で焼成する場合、成形体の形状によっては焼結時におけるウォラストナイト多孔体の変形やヒビ割れ等が生じる可能性がある。これは、繊維状のβ型ウォラストナイトから球状に近いα型へ粒子形状(あるいは結晶構造)が変化することに由来する。
さらに、後記実施例37〜42に示されるようにアスペクト比の大きい天然ウォラストナイト粉体(β型ウォラストナイト)を用いることで、軽量(かさ密度:1.1〜1.3 g/cm
3)で高気孔率(気孔率:55〜64%)のウォラストナイト多孔体を作製することができる。
一方、α型ウォラストナイトの場合は、粒子の形状が球形に近くなるためこのような軽量かつ高気孔率のウォラストナイト多孔体を作製することが困難となる。
また、細孔径の制御については、天然ウォラストナイト粉体を成形後に1125℃以上の温度で焼成した場合、β型からα型への相転移が生じるため細孔径の制御が困難になる。
【実施例】
【0021】
〔実施例1〜15〕
図2のWO−1に示すような粒度分布を有する天然ウォラストナイト粉体と水ガラス水溶液(珪酸ナトリウム系水ガラス1号を水で希釈、ボーメ度:30〜40 Be)を表1に記載の重量割合で混合してプレス成形機で10〜80kgf/cm
2で加圧成形して、80mm×40mm×15mmの板状体に成形した後、700〜1100℃の温度範囲で焼成することで板状のウォラストナイト多孔体を作製した。いずれの焼結体も外観に反りやひび割れ等は観測されなかった。
表1は、実施例1〜15における原料配合とウォラストナイト多孔体の基本物性を示す表である。
【0022】
【表1】
【0023】
〔
参考例16〜33〕
図2のWO−1に示すような粒度分布を有する天然ウォラストナイト粉体とポリビニルアルコール水溶液を表2に記載の重量割合で混合してプレス成形機で10〜80kgf/cm
2で加圧成形して、80mm×40mm×15mmの板状体に成形した後、1000〜1200℃の温度範囲で焼成することでウォラストナイト多孔体を作製した。いずれの焼結体も外観に反りやひび割れ等は観測されなかった。
表2は、
参考例16〜33における原料配合とウォラストナイト多孔体の基本物性を示す表である。
【0024】
【表2】
【0025】
〔実施例34〜36〕
図2のWO−2に示すような粒度分布を有する天然ウォラストナイト粉体と水ガラス水溶液(珪酸ナトリウム系水ガラス1号を水で希釈、ボーメ度:30〜40 Be)を表3に記載の重量割合で混合してプレス成形機で10〜80kgf/cm
2で加圧成形して、80mm×40mm×15mmの板状体に成形した後、1100℃で焼成することでウォラストナイト多孔体を作製した。いずれの焼結体も外観に反りやひび割れ等は観測されなかった。
表3は、実施例34〜36における原料配合とウォラストナイト多孔体の基本物性を示す表である。
【0026】
【表3】
【0027】
〔実施例37〜39〕
図2のWO−3に示すような粒度分布を有する天然ウォラストナイト粉体と水ガラス水溶液(珪酸ナトリウム系水ガラス1号を水で希釈、ボーメ度:30〜40 Be)を表4に記載の重量割合で混合してプレス成形機で10〜80kgf/cm
2で加圧成形して、80mm×40mm×15mmの板状体に成形した後、1100℃で焼成することでウォラストナイト多孔体を作製した。いずれの焼結体も外観に反りやひび割れ等は観測されなかった。
表4は、実施例37〜39における原料配合とウォラストナイト多孔体の基本物性を示す表である。
【0028】
【表4】
【0029】
〔実施例40〜42〕
図2のWO−4が示すような粒度分布を有する天然ウォラストナイト粉体と水ガラス水溶液(珪酸ナトリウム系水ガラス1号を水で希釈、ボーメ度:30〜40 Be)を表5に記載の重量割合で混合してプレス成形機で10〜80kgf/cm
2で加圧成形して、80mm×40mm×15mmの板状体に成形した後、1100℃で焼成することでウォラストナイト多孔体を作製した。いずれの焼結体も外観に反りやひび割れ等は観測されなかった。
表5は、実施例40〜42における原料配合とウォラストナイト多孔体の基本物性を示す表である。
【0030】
【表5】
【0031】
〔
参考例43〜48〕
図2のWO−1が示すような粒度分布を有する天然ウォラストナイト粉体と四ホウ酸リチウムとポリビニルアルコール水溶液の混合物を表6に記載の重量割合で混合してプレス成形機で10〜80kgf/cm
2で加圧成形して、80mm×40mm ×15mmの板状体に成形した後、700〜800℃の温度範囲で焼成することでウォラストナイト多孔体を作製した。いずれの焼結体も外観に反りやひび割れ等は観測されなかった。
表6は、
参考例43〜48における原料配合とウォラストナイト多孔体の基本物性を示す表である。
【0032】
【表6】
【0033】
表7は天然ウォラストナイト粉体に含まれる微量成分の分析例である。天然ウォラストナイト粉体0.05gを1%硝酸水溶液25mLに溶解し、ICP発光分析法で鉄、マンガン、カドミウム、鉛、クロム、ヒ素、セレンについて分析を行った。天然ウォラストナイト粉体には環境基準項目に該当するカドミウム、鉛、クロム、ヒ素、セレンは検出されないことが解る。
【0034】
【表7】
【0035】
〔比較例1〕
フライアッシュ粉体を85重量%と水ガラス水溶液(珪酸ナトリウム系水ガラス1号を水で希釈、ボーメ度:30〜40 Be)を15重量%混合してプレス成形機で10〜80kgf/cm
2で加圧成形して、80mm×40mm×15mmの板状体に成形した後、1100℃で焼成を行った。このセラミックス多孔体の気孔率は30%以下で緻密化しており、反りや収縮によるひび割れなどが生じていた。
【0036】
〔比較例2〕
フライアッシュ粉体を68重量%と高炉スラグ12重量%を混合した粉体に水ガラス水溶液(珪酸ナトリウム系水ガラス1号を水で希釈、ボーメ度:30〜40 Be)を15重量%混合してプレス成形機で10〜80kgf/cm
2で加圧成形して、80mm×40mm×15mmの板状体に成形した後、1100℃で焼成を行った。このセラミックス多孔体の気孔率は40%以上であったが、焼結体には大きな亀裂や反りが発生していた。