(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347614
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】封緘体フラップ検査装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/02 20060101AFI20180618BHJP
【FI】
B65B51/02 H
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-18218(P2014-18218)
(22)【出願日】2014年2月3日
(65)【公開番号】特開2015-145264(P2015-145264A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2017年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097560
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 寛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】笠井 信
(72)【発明者】
【氏名】冨山 雅人
【審査官】
田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−126166(JP,A)
【文献】
特開2008−184206(JP,A)
【文献】
特開2013−079102(JP,A)
【文献】
特開2009−107671(JP,A)
【文献】
特開2001−121888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/02
B65B 57/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封緘物が挿入された封緘体のフラップを糊付けした際の当該フラップの接着状態を検査する封緘体フラップ検査装置であって、
前記封緘体の糊付けしたフラップ側を上面に所定列の搬送ベルト上で搬送し、当該封緘体の厚みに応じて当該搬送ベルトの懸架形態が変化自在なベルト搬送部と、
前記ベルト搬送部上で搬送される前記封緘体の前記上面位置を規制する上面規制部と、
前記搬送ベルトを前記封緘体の下面側より押し上げ、当該封緘体の厚みに応じて上下自在な所定数の搬送ベルト用押え部と、
前記搬送ベルト上で上面規制部により規制された封緘体のフラップ接着状態を照射した光の遮断状態で検査するフラップ検査手段と、
を有することを特徴とする封緘体フラップ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒などの封緘体におけるフラップによる封緘の接着状態を検査する封緘体フラップ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷機の高機能化に伴い多数のものに対する個別内容の印刷が可能となって、封緘物を封入して封緘する封緘体の作製が自動化されている。このような自動化では封緘物を封入した後に封緘体のフラップを折り込み接着して封緘した際に、確実に封緘されているか否かを順次搬送させながら検査されるが、封入物によっては封緘体の厚みも異なることから、封緘体の厚みに応じて搬送機構の厚み調整をその都度行う必要があり、このような調整を不要とすることが望まれる。
【0003】
従来、封緘体のフラップ検査を行う技術が種々知られている。例えば、特許文献1では、封書搬送手段で内容物を封筒に封入封緘して封書を搬送し、封書のフラップと係合する係合部材を備えた封緘不良検査手段を封書の搬送方向と同方向に回転させ、搬送される封書のうち未封緘状態の封書のフラップと係合部材とを係合させることで未封緘を検査、検出する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、封筒の封緘部(フラップ)を回転ドラムで円弧状に屈曲させて糊付け不良のフラップを浮き上がらせ、これをセンサで高さ検知して糊付けの良否を判定する構成が開示されている。さらに、特許文献3では、搬送されてくる封筒を載置台上に取り込み、当該封筒の糊付けされたフラップにエアー22を吹付け、そのフラップの糊付けされていない部位を強制的に捲り上げ、その捲れ上がりをCCDカメラで撮像しフラップ部分全体の糊付け状態の良否を判定し、検査後にベルトコンベアで送出させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−126446号公報
【特許文献2】特許第4573735号公報
【特許文献3】特開2004−053302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の封緘検査装置では、封書の厚みが異なる封書に対してはその都度係合部材を備える封緘不良検査手段の位置調整が必要であり、また、特許文献2の糊付け検査方法においても封筒の厚みに応じてその都度回転ドラムの位置調整が必要であり、また、特許文献3の糊付け検査装置においても封筒の載置台上への取り込みやベルトコンベアによる搬送を封筒の厚みに応じてその都度位置調整が必要であるという問題がある。また、特許文献3の検査装置にあっては、封筒の厚みに応じたエアの吹付位置の調整やカメラのピント調整も併せて必要であり、作業者にとって各位置調整で長時間を要して好ましくない。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、封緘体の異なる厚みに対しても搬送機構等の調整を不要として作業効率の向上を図る封緘体フラップ検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、封緘物が挿入された封緘体のフラップを糊付けした際の当該フラップの接着状態を検査する封緘体フラップ検査装置であって、前記封緘体の糊付けしたフラップ側を上面に所定列の搬送ベルト上で搬送し、当該封緘体の厚み
に応じて当該搬送ベルトの懸架形態が変化自在なベルト搬送部と、前記ベルト搬送部上で搬送される前記封緘体の前記上面位置を規制する上面規制部と、前記搬送ベルトを前記封緘体の下面側より押し上げ、当該封緘体の厚みに応じて上下自在な所定数の搬送ベルト用押え部と、前記搬送ベルト上で上面規制部により規制された封緘体のフラップ接着状態を照射した光の遮断状態で検査するフラップ検査手段と、を有する構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、封緘体の厚み
に応じて搬送ベルトの懸架形態が変化自在なベルト搬送部で、封緘体の糊付けしたフラップ側を上面に搬送する所定列の搬送ベルトを、封緘体の厚みに応じて上下自在な所定数の搬送ベルト用押え部で封緘体の下面側より押し上げるものであり、上面規制部でベルト搬送部上で搬送される封緘体の上面位置を規制してフラップ検査手段で封緘体のフラップ接着状態を照射した光の遮断状態で検査する構成とすることにより、封緘体のフラップの位置を上下変化させずに当該封緘体の厚みを搬送ベルトの懸架形態の変化で吸収させることから、封緘体の異なる厚みに対しても搬送機構等の調整を不要として作業効率の向上を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る封緘体フラップ検査装置の概略構成図である。
【
図2】
図1のベルト搬送部及びフラップ検査手段の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に本発明に係る封緘体フラップ検査装置の概略構成図を示すと共に、
図2に
図1のベルト搬送部及びフラップ検査手段の説明図を示す。
図1(A)において、封緘体フラップ検査装置11における封緘体の搬入される入口側に封緘体供給部12が配置され、当該封緘体供給部12と当該装置11との間に透明置台13が設けられ、当該透明置台13の下方に撮像手段としてCCDカメラなどの撮像カメラ14が設けられる。
【0012】
封緘体供給部12は、封緘物が挿入されてフラップを折り曲げて糊付けした封緘体の当該フラップ側を上面にし、当該フラップを搬送方向の一端側に位置させた状態で搬送ベルト12Aにより供給する。このような封緘体は図示しないが下面に宛名が視認可能になっており、当該宛名部分が透明置台13上に位置したときに撮像カメラ14で宛名を撮像して宛名確認等が行われる。このようにすることで、封緘体の厚みが異なった場合であっても撮像カメラ14のピント調整を一度行うことで厚み毎に行う必要がなくなるものである。
【0013】
また、封緘体フラップ検査装置11における封緘体の排出される出口側にスタッカ15が配置される。スタッカ15は、スタッカ搬送ベルト15Aを備えて封緘体フラップ検査装置11より送り出された封緘体を順次受け取るものである。
【0014】
封緘体フラップ検査装置11は、ベルト懸架入口ローラ21、ベルト懸架出口ローラ22及びテンションローラ23に搬送ベルト(例えば丸ベルト)24が懸架される。テンションローラ23は、上下動自在であり、封緘体の厚み応じて当該搬送ベルト24の懸架形態を変化自在とする(懸架形態については
図3で説明する)。
【0015】
搬送ベルト24における封緘体搬送位置には、当該搬送ベルト24を封緘体の下面側より押し上げ、当該封緘体の厚みに応じて上下自在な搬送ベルト用押え部である搬送ベルト用コロ25〜27が設けられる。搬送用コロ25〜27のうち、搬送用コロ25を例に説明すると、
図1(B)に示すように、回転シャフト25Bにアーム25Aの一端が固定され、当該アーム25Aの他端の両側にフリー状態で2つの搬送ベルト用コロ25,25が取り付けられる。
【0016】
回転シャフト25Bは、その両端が装置筐体側板41A,41Bに回転自在に取り付けられ、そのうち例えば装置筐体側板41Aを貫いた一端側にバネ受けアーム
42の一端部が取り付けられ、他端部にバネ43が取り付けられる。すなわち、バネ43により搬送ベルト用コロ25は搬送ベルト24を上方に押し上げようとする力が常に作用する。
【0017】
そこで、搬送ベルト24上で封緘体が搬送されると、その厚みで搬送用コロ25は回転シャフト25Bと共に下方に押し下げられる。このときバネ43は伸びることとなり、その収縮しようとする力が搬送ベルト24を封緘体に押し付ける用に働くものである。
【0018】
このような構造は搬送ベルト用コロ26,27においても同様であるが、搬送ベルト用コロ25のアーム25Aの長さを、搬送ベルト用コロ26,27のアーム26A,27Aより長く設定している。このことは、搬送用コロ25が搬送ベルト用コロ26,27より弱い力で下方に押し下げられることを意味し、特に封緘体搬入口に配置させることで搬入時の封緘体に与えるダメージを軽減させるものである。
【0019】
上記のような搬送ベルト24,24、搬送ベルト用コロ25〜27(ベルト懸架入口ローラ21、ベルト懸架出口ローラ22及びテンションローラ23を含む)は、
図2(A)に示すように複数列で構成される。そして、ベルト懸架入口ローラ21に対応して入口押えコロ28が設けられ、ベルト懸架出口ローラ22に対応して出口押えコロ29が設けられる。これらの要素でベルト搬送部が構成される。
【0020】
また、搬送ベルト24の封緘体搬送位置上にフラップ検査部30が配置される。このフラップ検査部30の筐体部分に、ベルト搬送部(各搬送ベルト24)上で搬送される封緘体の上面位置を規制する上面規制部を構成する押え可動ブロック31及び押えローラ32が設けられる。
【0021】
上記押え可動ブロック31が搬送されてくる封緘体上面のフラップを下方に押し付け、上記押えローラ32がフリー回転若しくは固定の形態で当該フラップの上面位置を規制する役割をなす。すなわち、搬送されてくる封緘体のフラップは、搬送ベルト24により上方方向に力が加えられ、上面位置規制部の押え可動ブロック31及び押えローラ32部分との間で挾持された状態となる。
【0022】
フラップ検査部30は、
図1(A)及び
図2(B)に示すように、上記上面位置規制部の押え可動ブロック31及び押えローラ32との間に、検出部33及びエア吹付口34が設けられる。検出部33(33A)は、発光部及び受光部を備え、例えば他方の装置筐体側板41Bに設けられた反射部33Bと一対で構成される光学センサである。なお、検出部33Bとし、反射部33Aとしてもよい。また、エア吹付口34は図示しないエア噴射手段と連通し、当該エア吹付口34より封緘体フラップの接着部分(接着端辺)にエア34Aを吹き付けるものである。当該光学センサとエア吹き付け機構によりフラップ検査手段を構成する。
【0023】
すなわち、フラップの接着部分にエア34Aを吹き付けたときに、検出部33Aより照射されるレーザ光33Cが反射部33Bで反射して受光するときにはフラップは接着状態と判断される。また、エア34Aの吹き付けでフラップの一部が持ち上がると検出部33Aからのレーザ光33Cが遮られ、反射部33Bで反射しないことから受光することができずに接着不良と判断されるものである。
【0024】
そこで、
図3に
図1の封緘体搬送の説明図を示すと共に、
図4に
図1のフラップ検査の説明図を示す。
図3(A)において、封緘体供給部12の搬送ベルト12Aより、封緘物が挿入されてフラップ51Aが糊付けされた封緘体51がそのフラップ側を上面とし、当該フラップを搬送方向の一端側に位置させた状態で搬送され、下面の宛名部分が透明置台13に位置したときに搬送状態で撮像カメラ14により撮像され、宛名が視認状態か否かの判断及び宛名マッチングの判定等が行われる。
【0025】
そして、
図3(B)に示すように、封緘体51が、ベルト懸架入口ローラ21及び入口押えコロ28より搬入され、押え可動ブロック31及び押えローラ32で上面位置が規制され、搬送用コロ25〜27に順次達した時点で、当該封緘体51の厚みに応じて順次搬送用コロ25〜27が下方に押し下げられる。これと共に、搬送ベルト24のテンションを維持するためにテンションローラ23が下方に移動する。なお、封緘体51の厚みによって、搬送ベルト24の弾性変形で周長の変化を吸収できる場合には、当該テンションローラ23を固定配置してもよい。
【0026】
すなわち、封緘体51が位置されることで搬送用コロ25〜27及びテンションローラ23により当該搬送ベルト24の懸架形態が変化されることになる。このことは封緘体51の厚みが小さくとも、また厚くとも同様の作用となるものである。
【0027】
続いて、
図4(A)、(B)に示すように、搬送される封緘体51の検出部33A及びエア吹付口34の位置で、検出部33Aよりレーザ光33Cが照射され、フラップ51Aの接着部分(接着端辺)に対してエア吹付口34よりエア34Aが吹き付けられる。
【0028】
そして、フラップ51Aの接着部分にエア34Aを吹き付けたときに、検出部33Aより照射されるレーザ光33Cを反射部33Bの反射で受光するときにはフラップは接着状態と判断される。また、
図4(B)に示すように、エア34Aの吹き付けでフラップ51Aの一部が持ち上がることで検出部33Aからのレーザ光33Cが遮られて反射部33Bで反射せずに受光することができなかった場合には接着不良と判断されるものである。
【0029】
このように、封緘体51のフラップ51Aの位置を上下変化させずに当該封緘体51の厚みを搬送ベルト24の懸架形態の変化で吸収させることから、封緘体51の異なる厚みに対しても搬送機構等の調整を不要として作業効率の向上を図ることができるものである。また、封緘体51の宛名視認部分を下面として搬送させることでマッチング等のための撮像のピント調整をも不要とすることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の封緘体フラップ検査装置は、封筒などの封緘体内に封緘物を封入する装置の製造及び使用する産業に使用可能である。
【符号の説明】
【0031】
11 封緘体フラップ検査装置
12 封緘体供給部
13 透明置台
14 撮像カメラ
21 ベルト懸架入口ローラ
22 ベルト懸架出口ローラ
23 テンションローラ
24 搬送ベルト
25〜27 搬送ベルト用コロ
30 フラップ検査部
31 押え可動ブロック
32 押えローラ
33 検出部
34 エア吹付口
51 封緘体
51A フラップ