(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面と下面との間を貫通する空洞部を有する基板上に、前記空洞部の上面側を閉塞すると共に、被検出雰囲気に晒される薄膜部が形成され、当該薄膜部に、自身の温度変化により抵抗値が変化する発熱抵抗体を備えた検出素子と、
前記検出素子が配置される絶縁性の台座と、を備える被検出ガスを検出するためのガス検出器であって、
前記検出素子から離間した状態で当該検出素子の少なくとも上面を覆うように前記台座に取り付けられた金属製の保護キャップを備え、
前記台座は、前記検出素子が表面に実装される底部と、前記底部の外周から立設し前記検出素子を取り囲む堤部と、を有し、前記保護キャップは、前記堤部の上端面に取付けられ、
前記検出素子の上面から前記保護キャップの前記検出素子に対向する面までの最短距離は0.5mm以上である、ことを特徴とするガス検出器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検出素子は、自身の温度変化により抵抗値が変化する発熱抵抗体(ガス検出部)を備えており、発熱抵抗体は予め設定された目標温度に対応する抵抗値となるように通電制御さされている。通電により生じる発熱抵抗体の熱は被検出ガスに伝導するが、被検出ガスの熱伝導率は被検出ガスに含まれる可燃性ガス濃度によって変化する。被検出ガスの熱伝導率が変化した場合、一定温度に制御される発熱抵抗体の端子間電圧が変化するため、その変化量に基づいて被検出ガス濃度を検出することができる。
【0005】
ここで、ガス検出器の構造によっては、ガス検出器の起動時において、発熱抵抗体から発生した熱の多くが被検出ガスとは異なる部材(例えば、遮断用蓋部)に伝わる場合がある。これにより、被検出ガスの濃度検出の精度が低下する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、上面と下面との間を貫通する空洞部を有する基板上に、前記空洞部の上面側を閉塞すると共に、被検出雰囲気に晒される薄膜部が形成され、当該薄膜部に、自身の温度変化により抵抗値が変化する発熱抵抗体を備えた検出素子と、前記検出素子が配置される絶縁性の台座と、を備える被検出ガスを検出するためのガス検出器が提供できる。このガス検出器は、前記検出素子から離間した状態で当該検出素子の少なくとも上面を覆うように前記台座に取り付けられた金属製の保護キャップを備え、
前記台座は、前記検出素子が表面に実装される底部と、前記底部の外周から立設し前記検出素子を取り囲む堤部と、を有し、前記保護キャップは、前記堤部の上端面に取付けられ、前記検出素子の上面から前記保護キャップの前記検出素子に対向する面までの最短距離は0.5mm以上であることを特徴とする。この形態のガス検出器によれば、最短距離が0.5mm以上であるため、発熱抵抗体から保護キャップに熱伝導によって移動する熱量を低減できる。これにより、ガス検出器を用いた被検出ガスの濃度検出の精度を向上できる。
【0008】
(2)上記形態のガス検出器において、前記最短距離は、0.6mm以上であっても良い。この形態のガス検出器によれば、ガス検出器を用いた被検出ガスの濃度検出の精度をさらに向上できる。
【0009】
(3)上記形態のガス検出器において、前記保護キャップは、前記台座の上端面に取り付けられる取付部と、前記取付部から突出し、前記検出素子に対向する面を含む突出部と、を有していても良い。この形態のガス検出器によれば、取付部によって、上面に垂直な方向における台座に対する保護キャップの位置決めを容易に行うことができる。ここで、台座には検出素子が配置されていることから、検出素子に対する位置決めも容易に行うことができる。よって、離間距離が0.5mm以上となるように精度良く保護キャップを配置できる。
【0010】
(4)上記形態のガス検出器において、前記保護キャップは、前記被検出ガスを前記保護キャップ内に導入するための通気部を有し、前記通気部は、前記薄膜部の直上を除く位置に形成されていても良い。この形態のガス検出器によれば、通気部から異物が保護キャップの内側に侵入した場合でも、侵入した異物が薄膜部に当たる可能性を低減できる。これにより、薄膜部に形成された発熱抵抗体が破損する可能性を低減できる。また、薄膜部に異物が付着し、発熱抵抗体で生じた熱が異物に熱伝導することを抑制できる。これにより、ガス検出器を用いた被検出ガスの濃度検出の精度をさらに向上できる。
【0011】
(5)上記形態のガス検出器において、前記検出素子の上面に垂直な方向における、前記検出素子の上面から前記台座の上端面までの距離は、前記検出素子の上面に垂直な方向における、前記検出素子の厚さの3倍未満であっても良い。この形態のガス検出器によれば、検出素子の上面に垂直な方向について台座を小型化できる。
【0012】
(6)上記形態のガス検出器において、前記台座は、前記検出素子が表面に実装される底部と、該底部の外周から立設し、前記検出素子を取り囲む堤部と、を有していても良い。この形態のガス検出器によれば、検出素子の上面に垂直な方向について台座をさらに小型化できる。
【0013】
(7)また、本発明の一形態によれば、上記形態のガス検出器を配線基板に実装し、前記被検出ガスを導入するガス導入口を備えるハウジング内に前記配線基板を収容してなるガス検出システムが提供できる。この形態のガス検出システムによれば、発熱抵抗体から保護キャップに熱伝導によって移動する熱量を低減できる。これにより、ガス検出システムの被検出ガスの濃度検出の精度を向上できる。
【0014】
(8)上記ガス検出システムにおいて、前記ガス導入口には、前記被検出ガスを通過させる複数のガス流通部を備える金属部材が配置され、前記検出素子は、前記金属部材の下方に配置されており、前記保護キャップは、前記配線基板の接地配線に電気的に接続されているものとしてもよい。このガス検出システムによれば、静電気が配線基板の接地配線を介して放電されるので、静電気によって検出素子の内部配線が断線してしまう可能性を低減することが可能である。
【0015】
(9)上記ガス検出システムにおいて、前記台座は、前記配線基板の接地配線に電気的に接続された接地用電極パッドを備え、前記保護キャップは、前記接地用電極パッドに電気的に接続されているものとしてもよい。このガス検出システムによれば、余分や部品を追加する必要が無く、最小限のスペースで保護キャップを接地することができる。
【0016】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、ガス検出器、ガス検出システム、ガス検出器の製造方法、ガス検出器又はガス検出システムを装備した車両等の態様で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.第1実施形態:
A−1.ガス検出器の構成:
図1は、本発明の第1実施形態としてのガス検出器10の上面図である。
図2は、
図1の2F−2F断面図である。
図3は、
図1の3F−3F断面図である。
図4は、ガス検出器10が備える検出素子20の上面図である。
図5は、
図4の5F−5F断面図である。
図1は、理解の容易のために、保護キャップ50で覆われた部分(例えば発熱抵抗体21)も図示している。なお、
図2、
図3、
図5の紙面上側を、ガス検出器10の上側とし、紙面下側をガス検出器10の下側とする。
図1〜
図5を用いて、ガス検出器10の構成について説明する。
【0019】
図1に示すガス検出器10は、被検出ガスへの熱伝導を利用して被検出ガスの濃度を検出する熱伝導式ガス検出器である。このガス検出器10は、例えば、エネルギー源として水素ガスを利用した燃料電池を搭載するシステム(例えば、燃料電池自動車や、家庭用燃料電池システム)に配置され、可燃性ガスである水素ガスを検出する。これにより、システム内における水素ガスの漏れを検出できる。
【0020】
図2及び
図3に示すように、ガス検出器10は、検出素子20と、検出素子20が配置された素子台座40と、検出素子20を覆うように素子台座40に取り付けられた保護キャップ50とを備える。
【0021】
図4及び
図5に示すように、検出素子20は、上面20fa側から見た場合に外形が略矩形状である。検出素子20は、シリコン(Si)製の基板34と、基板34上に配置された絶縁層32と、絶縁層32内に埋め込まれた発熱抵抗体21と、絶縁層32内に埋め込まれた測温抵抗体36と、第1〜第4の電極22〜25とを備える。
【0022】
図5に示すように、基板34は板状であり、絶縁層32が配置された第1面34faと、第1面34faとは反対側の第2面34fbとを有する。第2面34fbは、上面20faとは反対側の検出素子20の裏面(下面)20fbを形成する。上面20fa側から検出素子20を見た場合に、基板34は、中央部分に第1面34faから第2面34fbにまで至る貫通孔としての空洞部30(開口部30)を備える。
【0023】
絶縁層32は、二酸化ケイ素(SiO
2)や窒化珪素(Si
3N
4)などの絶縁性材料によって形成される。また、絶縁層32は、単一の材料によって形成しても良いし、異なる材料によって形成された層を複数積層することで形成しても良い。
【0024】
発熱抵抗体21は、被検出ガスの温度(詳細には、可燃性ガスへの気体熱伝導)に伴う自身の温度変化により抵抗値が変化する抵抗体である。発熱抵抗体21は、温度抵抗係数が大きい導電性材料で形成される。第1実施形態では、発熱抵抗体21は白金(Pt)で形成されている。
図4に示すように、発熱抵抗体21は、渦巻き状に形成されている。
【0025】
可燃性ガスとしての水素ガスを検出する場合、水素ガスへの熱伝導によって発熱抵抗体21から奪われる熱量の大きさは、水素ガス濃度に応じた大きさとなる。このことから、発熱抵抗体21における抵抗値の変化に基づいて、水素ガス濃度を検出することが可能となる。
【0026】
また、発熱抵抗体21は、絶縁層32のうち、空洞部30と接する部分である薄膜部27に配置されている。すなわち、発熱抵抗体21の真下には空洞部30が位置する。このように、薄膜部27に発熱抵抗体21を配置することで、発熱抵抗体21が周囲から断熱される。すなわち、発熱抵抗体21から基板34へと熱伝導する熱の容量を低減できる。これにより、発熱抵抗体21を短時間で昇温、又は、降温できるため、発熱抵抗体21の消費電力を低減できる。また、薄膜部27は被検出ガスを含む被検出雰囲気(被検出ガスを含む流体)に晒される部分である。
【0027】
図4に示すように、発熱抵抗体21の一端側(図中左側)は、絶縁層32の内部に配置された発熱抵抗体21と一体に形成された配線21aに接続されている。また、発熱抵抗体21の他端側(図中右側)は、絶縁層32の内部に配置された発熱抵抗体21と一体に形成された配線21bに接続されている。
【0028】
測温抵抗体36は、検出素子20上に存在する被検出ガスを含む流体(雰囲気ガス)の温度を検出するための部材である。
図4に示すように、測温抵抗体36は、発熱抵抗体21の周囲の一部を取り囲むように、発熱抵抗体21の外側に配置されている。測温抵抗体36は、発熱抵抗体21と同様に絶縁層32の内部に形成されている。測温抵抗体36は、抵抗値が温度に比例して変化する導電性材料によって形成されている。第1実施形態では、測温抵抗体36は白金を用いて形成されている。第1実施形態の測温抵抗体36は、温度の上昇に伴って抵抗値が増大する。なお、測温抵抗体36は、符号36で示す領域中に細い白金パターンが形成されることで構成されているが図示は省略する。
【0029】
図4に示すように、第1〜第4の電極22〜25は、上面20faの一辺に沿って、上面20fa上に配置されている。第1〜第4の電極22〜25は、例えば、アルミニウム(Al)又は金(Au)で形成されている。第1の電極22は、配線21aを介して発熱抵抗体21と電気的に接続されている。第2の電極23は、配線21bを介して発熱抵抗体21と電気的に接続されている。第3の電極24は、配線36aを介して測温抵抗体36と電気的に接続されている。第4の電極25は、配線36bを介して測温抵抗体36と電気的に接続されている。第1の電極22と第2の電極23と発熱抵抗体21とは、後述するプリント配線基板が備えるガス検出回路の一部を構成する。詳細には、ガス検出回路は、発熱抵抗体21と、3つの固定抵抗とによって構成されるホイートストーンブリッジを含む。発熱抵抗体21の温度は一定となるようにガス検出回路によって制御される。第1の電極22は被検出ガスの濃度を表す電圧値を出力し、第2の電極23と第4の電極25は接地されている。また、第3の電極24と第4の電極25と測温抵抗体36とは、プリント配線基板が備える温度測定回路の一部を構成する。詳細には、温度測定回路は、測温抵抗体36と、3つの固定抵抗とによって構成されるホイートストーンブリッジを含む。第3の電極24は雰囲気ガスの温度を表す電圧値を出力し、第4の電極25は接地されている。
【0030】
図2及び
図3に示すように、絶縁性の素子台座40は略直方体形状で形成されている。素子台座40は検出素子20を収容するための凹部47が形成されている。素子台座40は、4つのアルミナ製の第1〜第4のセラミック絶縁層41〜44をこの順に積層することで形成された多層基板である。第1〜第4のセラミック絶縁層41〜44は略直方体形状であり、それぞれ約0.4mmの厚さを有する。
【0031】
第2のセラミック絶縁層42上には検出素子20が配置される。具体的には、検出素子20はエポキシ樹脂等の接着剤によって第2のセラミック絶縁層42に対し固定されている。第1実施形態では、第2のセラミック絶縁層42の上面が特許請求の範囲における「台座の底部」に対応する。
【0032】
図2及び
図3に示すように、第2のセラミック絶縁層42には、基板34の空洞部30とガス検出器10の外部とを連通させるための連通溝46が形成されている。詳細には、空洞部30と外部とは素子台座40と検出素子20との隙間を通って連通する。連通溝46は直線状に延び、空洞部30の真下に形成されている。素子台座40が連通溝46を有することで、空洞部30が密閉されることを防止できる。これにより、接着剤の塗布量が多くなり空洞部30が接着剤によって充填される可能性を低減できる。また、空洞部30の圧力変化を抑制できるので薄膜部27が破損する可能性を低減できる。
【0033】
第3のセラミック絶縁層43は、第2のセラミック絶縁層42上に配置されている。第3のセラミック絶縁層43には凹部47を構成する略直方体形状の第1の貫通孔47aが形成されている。この第1の貫通孔47a内には、第3のセラミック絶縁層43と同じ厚みを有する検出素子20が配置されている。
【0034】
第3のセラミック絶縁層43上には検出素子20の第1〜第4の電極22〜25に対応する第1〜第4の電極パッド72〜75(
図1)が配置されている。第1〜第4の電極パッド72〜75は、例えば、Al又はAuで形成されている。第1〜第4の電極22〜25と対応する第1〜第4の電極パッド72〜5とは、第1〜第4のボンディングワイヤ82〜85によって電気的に接続されている。第1〜第4の電極パッド72〜75は、それぞれ図示しない内部配線を介して素子台座40の裏面40fb(
図2)まで引き回されている。これにより、第1〜第4の電極パッド72〜75は、半田付けなどによって被検出ガスの濃度を検出するための回路を備えるプリント配線基板に電気的に接続される。
【0035】
図2及び
図3に示すように、第4のセラミック絶縁層44には凹部47を構成する略直方体形状の第2の貫通孔47bが形成されている。第4のセラミック絶縁層44の上面は、素子台座40の上端面40faを形成する。ここで、
図3に示すように、上面20faに垂直な方向(
図3の上下方向)における上面20faから素子台座40の上端面40faまでの距離Tb(素子−台座間距離Tb)は、上面20faに垂直な方向における検出素子20の長さ(寸法)Ta(すなわち、検出素子20の厚みTa)の3倍未満であることが好ましい。こうすることで、検出素子20の上面20faに垂直な方向について素子台座40を小型化できる。第1実施形態のガス検出器10は、TbとTaは共に約0.4mmであり、同一である。なお、第1実施形態では、第3のセラミック絶縁層43と第4のセラミック絶縁層44が、特許請求の範囲における「堤部」に対応する。
【0036】
図2及び
図3に示すように、保護キャップ50は素子台座40の表面を構成する上端面40faにエポキシ樹脂等の接着剤等によって取り付けられている。保護キャップ50は、金属によって形成されている。保護キャップ50に用いられる金属としては、素子台座40と線膨張係数が近い金属(例えば、コバールや42アロイ)を用いることが好ましい。これにより、素子台座40及び保護キャップ50の加熱と冷却とが繰り返し実行された場合でも、両部材40,50の線膨張係数の差に起因して接着部が破損する可能性を低減できる。
【0037】
保護キャップ50は、上側に凸を形成する凸形状である。保護キャップ50は、周縁部分にある枠状の取付部52と、取付部52から上方向(上端面40faから離れる方向)に突出した突出部53とを備える。突出部53は、取付部52から垂直上方に延びる立設部54と、立設部54に接続され上面20faに平行な矩形板状の上面部56とを備える。取付部52は、上端面40faに対応した形状である。取付部52は、上端面40faに取り付けられている。また、取付部52は、上端面40faと面接触している。ここで、「面接触」とは、直接に接触している場合と、接着剤などを介して接触している場合とを含む。立設部54は、上面20faと上面部56(詳細には、上面部56のうち上面20faと対向する裏面)との距離(上面20faに垂直な方向における距離)を調整するための部分である。上面部56は、上面20faの上方に配置されている。なお、上面20faに垂直な方向とは、
図2及び
図3における紙面の上下方向である。
【0038】
保護キャップ50の上面部56には、被検出ガスを含む雰囲気ガスを保護キャップ50の内側に導入するための6つの通気孔61(
図1)が形成されている。なお、
図1では、図示の便宜上、保護キャップ50の上面部56を透視した状態を描いている。各通気孔61は、薄膜部27(発熱抵抗体21が埋め込まれている絶縁層32の中央部分)の直上には配置されていない。すなわち、ガス検出器10を上面20fa側から見た場合に、各通気孔61は薄膜部27とは重ならない位置に形成されている。こうすることで、雰囲気ガス中などに異物(例えば、埃や、配管の欠片)が混入している場合に、異物が通気孔61を介して保護キャップ50の内側に侵入した場合でも、侵入した異物が薄膜部27に当たる可能性を低減できる。これにより、薄膜部27に形成された発熱抵抗体21が破損する可能性を低減できる。また、薄膜部27に異物が付着し、発熱抵抗体21で生じた熱が異物に熱伝導することを抑制できる。これにより、ガス検出器10を用いた被検出ガスの濃度検出の精度をさらに向上できる。
【0039】
ここで、
図2に示すように検出素子20の上面20faから、保護キャップ50のうち検出素子20の直上に位置する直上部分56p(詳細には、直上部分56pのうち上面20faと向かい合う面)までの上面20faに垂直な方向における最短距離である離間距離Tは0.5mm以上である。こうすることで、発熱抵抗体21から保護キャップ50に移動する熱量を低減できる。これにより、ガス検出器10を用いた被検出ガスの濃度検出の精度を向上できる。
【0040】
A−2.ガス検出器のガス検出方法:
第1実施形態のガス検出器10は、第1〜第4の電極22〜25(
図1)に電気的に接続されるプリント配線基板を備える。このプリント配線基板は、被検出ガスの濃度を検出するための回路(ガス検出回路及び温度測定回路)を備える。被検出ガスの濃度の検出方法は公知の技術(例えば、特許第5102172号公報)を用いている。すなわち、測温抵抗体36が抵抗の一部を構成する温度測定回路から出力される温度情報と、発熱抵抗体21が抵抗の一部を構成するガス検出回路から出力される濃度情報(発熱抵抗体21の電極22,23間の電圧値)との関係に基づき保護キャップ50内に導入された被検出ガスの濃度を検出する。
【0041】
例えば、被検出ガスとして水素ガスの濃度を検出する場合、水素ガスへの熱伝導によって発熱抵抗体21から奪われる熱量の大きさは、水素ガス濃度に応じた大きさとなる。このことから、一定温度に制御される発熱抵抗体21の端子間電圧の変化に基づいて水素ガス濃度を検出できる。ここで、発熱抵抗体の端子間電圧は、被検出ガスの温度の影響を受けるため、測温抵抗体36の抵抗値に基づき検出される温度を用いて、発熱抵抗体21の端子間電圧に基づき検出した水素ガスの濃度を補正する。
【0042】
A−3.試験結果:
次に、
図6及び
図7を用いて、第1実施形態のガス検出器10及び比較例のガス検出器を用いて行った性能評価試験について述べる。各サンプルNo.1〜No.7は、上面20faと直上部分56pとの離間距離T(
図2)が異なる。サンプルNo.1は、比較例のガス検出器であり、離間距離Tが0.4mmである。サンプルNo.1に用いる保護キャップの形状は、第1実施形態における保護キャップ50(
図2)の形状(凸形状)とは異なり平板状である。サンプルNo.2〜No.7は、第1実施形態のガス検出器10であり、離間距離Tがそれぞれ0.5mm,0.6mm,0.9mm,1.4mm,1.9mm,2.4mmである。
【0043】
各サンプルNo.1〜No.7を雰囲気ガスを流通させるための管内に設置し、以下の測定条件下で水素ガス濃度を検出した。
<測定条件>
(1)保護キャップ50内に流通させる雰囲気ガス:空気(相対湿度は0%)
(2)被検出ガス:水素ガス
(3)雰囲気ガス温度:25℃
(4)雰囲気ガス流量:5L/min
(5)管内圧力:大気圧
【0044】
図6は、性能評価試験の結果を表すグラフである。
図6の横軸は、各サンプルNo.1〜No.7について起動時からの経過時間を表し、縦軸は各サンプルNo.1〜No.7の水素ガス濃度出力値(H
2%)を表す。水素ガス濃度出力値(H
2%)は、それぞれのサンプルNo.1〜No.7について、起動時から60秒後の水素ガス濃度出力値Vaと現時点における水素ガス濃度出力値Vnとの差であり、具体的には以下の式に基づき算出される。
水素ガス濃度出力値(H
2%)=Vn−Va (1)
【0045】
図7は、
図6のグラフの評価結果である。評価方法は、水素ガス濃度出力差が±0.025%以内に収束する時間(収束時間)が、各サンプルNo.1〜No.7の起動後から3秒以内であれば判定結果を「OK」とし、3秒以上であれば評価結果を「NG」とした。
図7に示すように、離間距離Tが0.5mm以上のサンプルNo.2〜No.7は、収束時間が3.0秒以下である。すなわち、ガス検出器10の起動時および起動直後において、水素ガスの濃度を表す出力値の変動が不安定になること(オーバーシュートの発生)を抑制できる。これにより、ガス検出器10を用いた被検出ガスの濃度検出の制度を向上できる。また、離間距離Tは、0.6mm以上が好ましい。こうすることで、収束時間を大幅に短縮できる。なお、ガス検出器10の小型化及びコスト低減の観点から、離間距離Tは10mm以下であることが好ましく、5.0mm以下であることが更に好ましく、3.0mm以下であることがより一層好ましい。
【0046】
B.第2〜第4実施形態:
上記第1実施形態の保護キャップ50(
図2及び
図3)は、角張った凸形状であったが離間距離Tが0.5mm以上であれば保護キャップ50の形状は上記第1実施形態に限定されるものではない。また、上記第1実施形態の保護キャップ50は素子台座40の上端面40faに取り付けられていたが、素子台座40の他の部分に取り付けられていても良い。以下に、保護キャップの形状についての変形例としての実施形態、及び、保護キャップの取付位置についての変形例としての実施形態について説明する。
【0047】
図8は、第2実施形態の保護キャップ50aを説明するための図である。
図9は、第3実施形態の保護キャップ50bを説明するための図である。
図10は、第4実施形態の保護キャップ50cを説明するための図である。
図8〜
図10はそれぞれ、上記第1実施形態の
図2に相当する図である。上記第1実施形態のガス検出器10と、第2及び第3実施形態のガス検出器10a,10bとの異なる点は、保護キャップ50a,50b及びその取付位置である。また上記第1実施形態のガス検出器10と、第4実施形態のガス検出器10cとの異なる点は、保護キャップ50cの形状である。その他の構成(例えば、検出素子20)については、上記第1実施形態と第2〜第4実施形態とで同一であるため、同一の構成については同一の符号を付すと共に説明を省略する。
【0048】
図8に示すように、第2実施形態の保護キャップ50aは、上側に凸を形成する凸形状であり、上面部56aが曲面である。上面部56aは取付部52aに接続されている。取付部52aは、素子台座40の側面40saに沿った形状である。取付部52aは、素子台座40の側面40saに接着剤などによって取り付けられている。検出素子20の上面20faから保護キャップ50aの直上部分56paまでの離間距離Tは、0.5mm以上である。なお、第2実施形態のように、上面部56aが平面でなく、曲面や、凹凸を有する面である場合には、離間距離Tは、検出素子20の上面20faと保護キャップ50aの直上部分56paとの間の最短距離として定義される。
【0049】
図9に示すように、第3実施形態の保護キャップ50bは、底面が開放された直方体形状であり、その上面部56bは平坦である。但し、上面部56bは,素子台座40の上面よりも上方に突出している。立設部54は素子台座40に取り付けられる部分(
図2に示す取付部52)も兼ねている。立設部54は、第2実施形態と同様に素子台座40の側面40saに接着剤などによって取り付けられている。検出素子20の上面20faから保護キャップ50の直上部分56pまでの離間距離Tは、0.5mm以上である。
【0050】
図10に示すように、第4実施形態の保護キャップ50cは、上側に凸を形成する凸形状であり、上面部56cが曲面である。上面部56cは取付部52cに接続されている。取付部52cは、上記第1実施形態の取付部52(
図2)と同一の形状であり、素子台座40の上端面40faに接着剤などによって取り付けられている。検出素子20の上面20faから保護キャップ50cの直上部分56pcまでの離間距離Tは、0.5mm以上である。
【0051】
上記の第2〜第4実施形態の保護キャップ50a〜50cを用いたガス検出器10a〜10cは、離間距離Tが0.5mm以上であることから、上記第1実施形態と同様に、発熱抵抗体21から保護キャップ50a〜50cに熱伝導によって移動する熱量を低減できる。これにより、ガス検出器10a〜10cを用いた被検出ガスの濃度検出の精度を向上できる。
【0052】
C.第5実施形態:
図11は、第5実施形態のガス検出器10dを説明するための図である。
図11は、上記第1実施形態の
図2に相当する図である。上記第1実施形態のガス検出器10と、第5実施形態のガス検出器10dとの異なる点は、素子台座40dの構成である。その他の構成(例えば、保護キャップ50)については、上記第1実施形態と第5実施形態とで同一であるため、同一の構成については同一の符号を付すと共に説明を省略する。
【0053】
素子台座40dは、第1のセラミック絶縁層41と第2のセラミック絶縁層42とを備え、第3と第4のセラミック絶縁層43,44(
図2)を備えていない。すなわち、素子台座40dは、検出素子20を配置できる構成であれば良い。第5実施形態においても、検出素子20の上面20faから保護キャップ50の直上部分56pまでの離間距離Tは、0.5mm以上である。このようにしても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。なお、第5実施形態では、上記第1実施形態において第3のセラミック絶縁層43上に設けていた電極パッド72〜75を、第2のセラミック絶縁層42上に設けることが好ましい。
【0054】
D.第6実施形態:
図12は、第6実施形態としてのガス検出システム90を説明するための図である。上記第1〜第5実施形態のガス検出器10〜10dは、
図12に示すようなガス検出システム90に適用することができる。ガス検出システム90は、被検出ガスへの熱伝導を利用して被検出ガスの濃度を検出する熱伝導式ガス検出器を備えるガス検出システムである。ガス検出システム90は、ガス検出器10が実装された配線基板93をハウジング92内に収容している。ハウジング92は、非導電性の樹脂で形成されている。ハウジング92を「収容ケース92」とも呼び、配線基板93を「回路基板93」とも呼ぶ。配線基板93上には、検出素子20を駆動制御するための電子部品(温度測定回路やガス検出回路を含む)がハンダ付けにより実装される。但し、これらの電子部品の全部又は一部は、
図12のガス検出システム90の外部に実装してもよい。ガス検出システム90のハウジング92は、被検出ガスをハウジング92内に導入するガス導入部94を備える。ガス導入部94を「ガス導入口94」とも呼ぶ。ガス導入口94には、被検出ガスを通過させる複数のガス流通部を有する金属部材95(「金属製網部材95」とも呼ぶ)が設けられている。本実施形態では、金属部材95は、金属メッシュである。この金属部材95は、検出素子20の発熱抵抗体21が高温になって可燃性の被検出ガスが発火した場合にも、その火炎がガス検出システム90の外部に出るのを防止する機能(フレームアレスタ機能)を目的として設置された部材である。この目的を達成するために、金属部材95は、ガス導入口94を覆っていること(すなわち、ガス導入口94の全域に亘って設けられていること)が好ましい。金属部材95は、板状であるとともに外部に露出しており、検出素子20は、板状の金属部材95の主面の下方に配置されていている。すなわち、検出素子20は、金属部材95の下方又は直下に配置されている。ここで、「金属部材95の下方に配置されている」とは、配線基板93の表面に垂直な方向を上下方向とし、金属部材95から配線基板93に向かう方向を下方向としたときに、金属部材95を下方向に投影した領域に存在することを意味する。従って、「下方」とは、必ずしも鉛直下方であることを意味していない。検出素子20を金属部材95の下方に配置した理由は、被検出ガスがガス導入口94から導入されたときに、直ちに検出素子20に到達するので、ガス検出の応答性が高くなるからである。なお、金属部材95は、被検出ガスを通過させる複数のガス流通部を有する部材であれば良く、金属メッシュの他に例えば金属多孔体などを金属部材95として採用することができる。金属部材95の下方には、撥水フィルタ96がガス導入口94を覆うように設けられている。この撥水フィルタ96は、ガス導入口94から水が浸入することを防止するための部材である。ハウジング92の端部には、ハウジング92の一端から外側に向かうコネクタ部97が設けられている。このコネクタ部97は、外部回路との電気的接続用の部材である。コネクタ部97の内部には、複数のコネクタピン98が設けられている。配線基板93には、複数のコネクタピン98を接続するための複数のスルーホール93tが形成されている。個々のコネクタピン98は、スルーホール93tを貫通した状態で、配線基板93上にハンダ付けにより固定される。
【0055】
このガス検出システム90は、例えば、エネルギー源としての水素ガスを利用した燃料電池を搭載するシステム(例えば、燃料電池自動車や、家庭用燃料電池システム)に配置され、可燃性ガスである水素ガスを検出する。これにより、システム内における水素ガスの漏れを検出できる。このようなガス検出システム90によれば、上述した通り、被検出ガスの濃度検出の精度を向上したガス検出器10を備えているため、被検出ガスの濃度検出の精度を向上できる。
【0056】
E.第7実施形態:
図13は、第7実施形態におけるガス検出器10eの上面図であり、第1実施形態の
図1に対応する図である。
図1との違いは、素子台座40の上端面に保護キャップ50を接地するための接地用電極パッド100が設けられている点だけであり、他の構成は第1実施形態と同じである。また、このガス検出器10eは、
図12に示したガス検出システム90を構成する部品として使用される。以下で詳述するように、第7実施形態では、保護キャップ50を接地することによって、静電気により検出素子20の内部配線が断線してしまう可能性を低減している。
【0057】
接地用電極パッド100は、第3のセラミック絶縁層43上の第2の電極パッド73と電気的に接続されている。第1実施形態で説明したように、第2の電極パッド73は検出素子20の第2の電極23と接続されており、第2の電極23は接地されている。具体的には、第2の電極23は、素子台座40の底面に設けられた電極パッドを介して配線基板93(
図12)の表面に設けられた接地配線に接続されている。
図13において、接地用電極パッド100が接地されたものとして描かれているのは、このような接続状態を意味している。
【0058】
図14は、素子台座40の底面、すなわち、第1のセラミック絶縁層41の底面を示している。第1のセラミック絶縁層41の底面には、4つの電極パッド112〜115が形成されている。これらの電極パッド112〜115は、検出素子20の電極22〜25にそれぞれ接続されているとともに、配線基板93(
図12)の表面に設けられた配線パターンに接続されている。なお、第2の電極パッド113と第4の電極パッド115は、配線基板93上の接地配線に接続されている。このように、第7実施形態では、検出素子20の金属製の保護キャップ50が、接地用の電極部材100,73,23,113を介して、配線基板93上の接地配線に電気的に接続されている。
【0059】
第7実施形態のガス検出システムについて、静電気により検出素子20に断線が発生しないか否かを調べるために、以下に説明する静電気放電イミュニティ試験を実施した。
<静電気放電イミュニティ試験>
(1)試験規格
ISO 10605 Ed2.0:2008の規格に従って静電気放電イミュニティ試験を実施した。
(2)試験条件
・出力電圧:±25Kv(気中放電)
・電流波形の立ち上がり時間:0.7〜1.0ns
・充電コンデンサ容量:330pF
・放電抵抗:2kΩ
・試験回数:両極性で3回
・試験周期:1秒
・環境温度:25±10℃、環境湿度:20〜60%RH、
・ガス検出システムへの電源供給:有り
・静電気放電位置:ガス導入口94の金属部材95(
図12)近傍
(3)判定条件
静電気放電後にガス検出システムが故障するか否かにより判断する。
(4)試験結果
第7実施形態のガス検出器10eを用いたガス検出システム(保護キャップ50を接地したシステム)では、何も異常は確認されなかった。一方、保護キャップ50を接地していない比較例としてのガス検出システムでは、検出素子20の内部配線に断線が発生した。
【0060】
この試験により、保護キャップ50を接地すれば、保護キャップ50が接地されていない場合に比べて、静電気によって検出素子20の内部配線が断線してしまう可能性を低減できることが実験的に確かめられた。なお、静電気放電イミュニティ試験の試験対象とした第7実施形態のガス検出システムと、比較例のガス検出システムは、いずれも
図12で説明したように、ガス導入口94を覆う金属部材95が設けられており、金属部材95の下方に検出素子20が配置された構成を有している。このような構成では、ガス導入口94の近傍において放電された静電気が金属部材95に到達しやすく、更に、金属部材95から検出素子20に到達しやすい傾向にある。ガス検出システムは、静電気がガス検出システムに放電された場合でも、故障することなく精度良くガス濃度を検出することが望ましい。しかしながら、上述のように、ガス検出システム90のガス導入口94の下方に検出素子20を配置した構成を採用した場合には、ガス導入口94付近で放電された静電気が検出素子20に到達して、検出素子20の内部配線(例えば抵抗体21,36のいずれか)が断線してしまい、ガス検出システム90に故障が発生する可能性があった。第7実施形態のガス検出システムでは、このような条件下でも、静電気によって検出素子20の内部配線が断線してしまう可能性を低減できるという格別の効果を有する。
【0061】
なお、接着剤を用いて保護キャップ50を素子台座40上に固定する場合には、保護キャップ50と接地用電極パッド100との電気的接続を確実にするために、導電性の接着剤を用いることが好ましい。一方、非導電性の接着剤を用いる場合には、接地用電極パッド100の上に接着剤を塗布せずに、素子台座40の上面のうちで接地用電極パッド100が存在しない部分のみに接着剤を塗布することが好ましい。この場合には、保護キャップ50と接地用電極パッド100との間に或る程度の接触抵抗が発生する可能性がある。但し、この場合にも、保護キャップ50と配線基板93上の接地配線との間の電気抵抗が、発熱抵抗体21の抵抗値と測温抵抗体36の抵抗値のうちのより小さい方の抵抗値の1/10以下であれば、上述したような静電気による検出素子20の内部配線の断線の可能性を十分に低減することが可能である。本明細書において、「保護キャップ50が接地されている」或いは「保護キャップ50が接地配線に電気的に接続されている」とは、保護キャップ50と配線基板93の接地配線との間の電気抵抗がこの程度に小さい状態であることを意味する。このような接続状態を実現できるのであれば、非導電性の接着剤を、接地用電極パッド100の部分を含む素子台座40の上面の全体に塗布しても良い。但し、保護キャップ50と配線基板93の接地配線との間が短絡していると見なせる接続状態(両者の間の電気抵抗が10Ω未満の状態)であることが好ましい。
【0062】
F.第8実施形態:
図15は、第8実施形態におけるガス検出システムの一部を示す説明図である。ここでは、第1実施形態で説明したガス検出器10が、ガス検出システム90(
図12)の配線基板93上に固定された状態を示している。ガス検出システムの他の部分は図示が省略されているが、
図12と同様の構成を有している。ガス検出器10自身の構成は第1実施形態と同じであり、
図15の断面は、
図3で説明したものに対応している。
【0063】
第8実施形態では、金属製の保護キャップ50が、素子台座40の側面に沿って塗布された導電性ペースト120によって、配線基板93上の接地配線93gに電気的に接続されている点に特徴がある。この構成によっても、保護キャップ50を接地することができ、この結果、静電気によって検出素子20の内部配線が断線してしまう可能性を低減することが可能である。この例からも理解できるように、保護キャップ50は、何らかの経路を介して接地されていることが好ましい。但し、
図13に示した第7実施形態の構成では、接地用電極パッド100を素子台座40上に設ければ良く、接地用の部材を過度に追加する必要が無いので、最小限の部材及びスペースで保護キャップ50を接地することができる点で好ましい。
【0064】
G.変形例:
・変形例1:
上記第1実施形態では、保護キャップ50には、被検出ガスを含む雰囲気ガスを内側に導入するための通気孔61が形成されていたが、通気孔61に限らず、雰囲気ガスを内側に導入するための通気部であれば良い。例えば、保護キャップ50の一部を切り欠いて形成した開口を通気部として用いても良いし、保護キャップ50の一部を金属製の網を用いて形成し、その網を通気部として用いても良い。
【0065】
・変形例2:
上記第1実施形態では、素子台座40は、セラミック製の素子台座であったが、これに限られず、素子台座40は絶縁性を有する部材からなればよい。例えば、耐熱性を有する樹脂製の素子台座を用いてもよい。
【0066】
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。