(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の気力輸送装置のように、主輸送管から副輸送管へと分岐をする分岐装置では、分岐方向の副輸送管へ粉粒体を輸送する際に、粉粒体の一部が主輸送管へ誤流入するオーバーランが生じやすい。特許文献1に記載の気力輸送装置では、分岐装置におけるオーバーランを抑制するために、搬送方向に気流を発生させる気力源とは別に、搬送方向とは逆向きに気力を導入する補助気力手段を有する(段落0012)。そして、所定のタイミングで補助気力手段を動作させる(段落0029)。
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1の気力輸送装置では、補助気力手段を有するために装置が大型化する。また、補助気力手段の複雑な動作を制御する必要がある。気力輸送装置を大型化することなくオーバーランを抑制するためには、分岐装置の外部に備えられた手段によってオーバーランを抑制するのではなく、分岐装置自体にオーバーランを抑制する機能が必要となる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、分岐装置におけるオーバーランが生じるのを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、粉粒体を輸送する気力輸送装置に用いられる分岐装置であって、一端に前記粉粒体が流入する流入口を有し、他端に供給口を有する、流入経路と、一端に前記粉粒体が排出される第1排出口を有し、他端に第1導入口を有する、第1排出経路と、一端に前記粉粒体が排出される第2排出口を有し、他端に第2導入口を有する、第2排出経路と、前記供給口と、前記第1導入口と、前記第2導入口とに接続する、分岐空間と、を有し、
前記流入経路、前記第1排出経路および前記第2排出経路は、前記分岐空間から上方に延び、前記流入経路または前記分岐空間は、失速流路を有し、前記失速流路における前記粉粒体の輸送方向に垂直な断面の断面積は、前記流入口の断面積よりも大きい。
【0008】
本願の第2発明は、第1発明の分岐装置であって、前記流入経路が前記失速流路を有する。
【0009】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の分岐装置であって、前記流入経路、前記分岐空間、前記第1排出経路、または、前記第2排出経路が、前記粉粒体の流路を形成する壁面から突出する、通過阻害手段をさらに有する。
【0010】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれかの分岐装置であって、前記分岐空間を構成する壁面の少なくとも一部は、凹面である。
【0011】
本願の第5発明は、第4発明の分岐装置であって、前記第1導入口と、前記第2導入口とは、前記凹面に面する。
【0012】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれかの分岐装置であって、前記第1排出経路の前記第1導入口付近における輸送方向と、前記第2排出経路の前記第2導入口付近における輸送方向とは、ともに、上向きである。
【0013】
本願の第7発明は、第1発明から第6発明までのいずれかの分岐装置であって、前記流入経路の前記供給口付近における輸送方向と、前記第1排出経路の前記第1導入口付近における輸送方向とがなす角度は、直角より大きく、前記流入経路の前記供給口付近における輸送方向と、前記第2排出経路の前記第2導入口付近における輸送方向とがなす角度は、直角より大きい。
【0014】
本願の第8発明は、第7発明の分岐装置であって、前記流入経路の前記供給口付近における輸送方向は、下向きであり、前記第1排出経路の前記第1導入口付近における輸送方向と、前記第2排出経路の前記第2導入口付近における輸送方向とは、ともに、上向きである。
【0015】
本願の第9発明は、粉粒体を輸送する気力輸送装置であって、第1発明から第8発明までのいずれかの分岐装置と、粉粒体の供給源と、分岐輸送先と、前記分岐輸送先よりも下流側に配置された、最下流輸送先と、前記供給源と、前記最下流輸送先とを繋ぐ、主輸送管と、を有し、前記分岐装置は、前記主輸送管に介挿され、前記流入口は、前記主輸送管の上流側に接続され、前記第1排出口は、前記主輸送管の下流側に接続され、前記第2排出口は、前記分岐輸送先に接続される。
【発明の効果】
【0016】
本願の第1発明から第9発明によれば、流入口から流入した粉粒体が、失速流路において、失速する。これにより、第1排出経路と第2排出経路とに分岐するための分岐空間において、粉粒体の輸送速度が遅くなる。したがって、目的とする排出経路でない方の排出経路に粉粒体が誤流入するのが抑制される。
【0017】
特に、本願の第2発明によれば、粉粒体が分岐空間に流入する前に失速する。これにより、粉粒体が目的としない排出経路に誤流入するのがより抑制される。
【0018】
特に、本願の第3発明によれば、通過阻害手段によって、粉粒体の流速をより遅くできる。これにより、粉粒体が目的としない排出経路に誤流入するのがさらに抑制される。
【0019】
特に、本願の第4発明によれば、万が一、粉粒体が目的でない排出経路にオーバーランしてしまった場合に、オーバーランした粉粒体が分岐空間に戻りやすい。
【0020】
特に、本願の第5発明によれば、流入経路から分岐空間へと供給された粉粒体が、一旦凹面へと集まろうとする。第1導入口と第2導入口とが凹面に面することにより、分岐空間に供給された粉粒体が第1導入口または第2導入口に分岐しやすい。
【0021】
特に、本願の第6発明によれば、分岐空間から排出経路への輸送方向が上向きであるため、粉粒体が排出経路へ流入するためには、重力に逆らう必要がある。これにより、粉粒体が目的としない排出経路に誤流入するのがより抑制される。
【0022】
特に、本願の第7発明によれば、分岐空間において、粉粒体の輸送方向が90度より大きく曲がる。これにより、粉粒体が目的としない排出経路に誤流入するのがより抑制される。
【0023】
特に、本願の第8発明によれば、分岐空間において、粉粒体の輸送方向が180度近く曲がる。その上、分岐空間から排出経路への輸送方向が上向きであるため、粉粒体が排出経路へ流入するためには、重力に逆らう必要がある。これにより、粉粒体が目的としない排出経路に誤流入するのがさらに抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
<1.第1実施形態>
<1−1.気力輸送装置の構成>
まず、本実施形態の気力輸送装置1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る気力輸送装置1の概略図である。この気力輸送装置1は、例えば、樹脂ペレットなどの粉粒体を、気力を用いて、成形機等の複数の輸送先に輸送する装置である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の気力輸送装置1は、粉粒体供給部11、4個のフィーダホッパ12、主輸送管13、3個の分岐装置14、3本の分岐管15、排気管16、および、吸引ブロワ17を有する。
【0028】
なお、4個のフィーダホッパ12を、上流側から順に第1フィーダホッパ121、第2フィーダホッパ122、第3フィーダホッパ123、および、第4フィーダホッパ124とする。3個の分岐装置14を、上流側から順に第1分岐装置141、第2分岐装置142、および、第3分岐装置143とする。また、3本の分岐管15を、上流側から順に第1分岐管151、第2分岐管152、および、第3分岐管153とする。
【0029】
粉粒体供給部11は、貯留ホッパ111、スクリューフィーダ112、および、シュータ113を有する。貯留ホッパ111には、輸送対象である粉粒体が貯留される。スクリューフィーダ112は、貯留ホッパ111からシュータ113へと、所望の分量の粉粒体を供給する。
【0030】
複数のフィーダホッパ12は、複数の輸送先のそれぞれに輸送する粉粒体を一時的に貯留するためのホッパである。フィーダホッパ12は、下方に配置されたサービスホッパ19へ粉粒体を供給する開口91と、開口91を開閉するシャッタ92を有する。シャッタ92が閉鎖されると、フィーダホッパ12とサービスホッパ19とは、連通が遮断される。また、フィーダホッパ12は、それぞれ、排気管16へ排出される気体から粉粒体および微粉を除去するためのフィルタ93を有する。本実施形態では、フィルタ93は、フィーダホッパ12の上方に備えられている。
【0031】
主輸送管13は、上流側の端部が、粉粒体供給部11のシュータ113の下端部と接続される。また、主輸送管13は、下流側の端部が、複数のフィーダホッパ12のうち、最も下流側の第4フィーダホッパ124(最下流輸送先)の内部と接続される。また、本実施形態では、主輸送管13には、3つの分岐装置14が介挿されている。主輸送管13内に上流側から下流側へ向かう気流が発生すると、粉粒体供給部11から供給された粉粒体が、上流側から下流側へと輸送される。
【0032】
本実施形態では、主輸送管13のうち、シュータ113と第1分岐装置141の間の部分を第1輸送管131とする。また、第1分岐装置141と第2分岐装置142との間の部分を第2輸送管132、第2分岐装置142と第3分岐装置143との間の部分を第3輸送管133とする。そして、第3分岐装置143と第4フィーダホッパ124との間の部分を第4輸送管134とする。
【0033】
分岐装置14は、流入口31、第1排出口41、および第2排出口51を有する。流入口31は、上流側の主輸送管13と接続される。第1排出口41は、下流側の主輸送管13と接続される。また、第2排出口51は、分岐管15と接続される。これにより、分岐装置14は、上流側の主輸送管13から流入口31へと供給された粉粒体を、第1排出口41から下流側の主輸送管13へ、または、第2排出口51から分岐管15へ、排出する。なお、分岐装置14の詳細な構成については、後述する。
【0034】
分岐管15は、一端が分岐装置14の第2排出口51と接続され、他端がフィーダホッパ12(分岐輸送先である第1フィーダホッパ121〜第3フィーダホッパ123)の内部と接続される。これにより、分岐装置14の第2排出口51から排出された粉粒体が、分岐管15の内部を通過して、フィーダホッパ12の内部へと供給される。
【0035】
本実施形態では、3つの分岐管15を、上流側から順に第1分岐管151、第2分岐管152、および第3分岐管153とする。第1分岐管151は、第1分岐装置141と第1フィーダホッパ121とを接続する。第2分岐管152は、第2分岐装置142と第2フィーダホッパ122とを接続する。そして、第3分岐管153は、第3分岐装置143と第3フィーダホッパ123とを接続する。
【0036】
排気管16は、第1排気管161、第2排気管162、第3排気管163、第4排気管164、および、主排気管160を有する。第1排気管161〜第4排気管164は、上流側の端部が、それぞれ第1フィーダホッパ121〜第4フィーダホッパ124の内部の空間と、フィルタ93を介して接続される。また、第1排気管161〜第4排気管164は、下流側の端部が、それぞれ主排気管160と接続される。
【0037】
第1排気管161〜第4排気管164には、それぞれ、第1開閉バルブ961〜第4開閉バルブ964が介挿されている。第1開閉バルブ961〜第4開閉バルブ964がそれぞれ開放されると、第1フィーダホッパ121〜第4フィーダホッパ124と主排気管160とが連通する。一方、第1開閉バルブ961〜第4開閉バルブ964がそれぞれ閉鎖されると、第1フィーダホッパ121〜第4フィーダホッパ124との主排気管160とは、遮断される。
【0038】
主排気管160は、上流側の端部が第1排気管161の下流側端部と接続される。また、主排気管160は、下流側の端部が、粉塵除去部165を介して吸引ブロワ17に接続される。粉塵除去部165は、気体中に含まれる粉塵を除去するフィルタを有する。主排気管160内に各フィーダホッパ12から吸引ブロワ17へと向かう気流が発生すると、粉塵除去部165において、主排気管160内を流れる気流に含まれる粉塵が除去される。なお、粉塵除去部165は、フィルタ以外の粉塵除去手段であってもよい。
【0039】
吸引ブロワ17は、排気管16内の気体を吸引する、気力装置である。吸引ブロワ17は、主排気管160の下流側の端部と接続される。吸引ブロワ17が駆動すると、吸引ブロワ17は、主排気管160の中の気体を、外部へと排出する。
【0040】
<1−2.気力輸送装置の動作>
次に、気力輸送装置1の動作について説明する。ここでは、粉粒体を、第1フィーダホッパ121、第2フィーダホッパ122、第3フィーダホッパ123、および第4フィーダホッパ124の順に供給する場合を例に、気力輸送装置1の動作を説明する。
【0041】
まず、気力輸送装置1は、第1開閉バルブ961を開放し、かつ、第2開閉バルブ962〜第4開閉バルブ964を閉鎖する。このとき、各フィーダホッパ12の下部に設けられたシャッタ92は閉鎖され、気力輸送装置1の内部が気密状態とされる。そして、吸引ブロワ17を駆動させる。そうすると、シュータ113から第1輸送管131、第1分岐装置141、第1分岐管151、第1フィーダホッパ121、第1排気管161、および主排気管160を順に流れ、吸引ブロワ17へと向かう気流が発生する。
【0042】
その後、気力輸送装置1は、スクリューフィーダ112の駆動を開始する。すなわち、貯留ホッパ111からシュータ113内への粉粒体の供給が開始される。そうすると、貯留ホッパ111からシュータ113へと供給された粉粒体は、吸引ブロワ17により発生した気流により、シュータ113から第1輸送管131、第1分岐装置141、第1分岐管151を介して第1フィーダホッパ121へと輸送され、第1フィーダホッパ121の下方へと貯留される。一方、第1フィーダホッパ121の上方から、フィルタ93により粉塵が除去された第1フィーダホッパ121内の気体が第1排気管161へ排出される。当該気体は、第1排気管161および主排気管160を介して、吸引ブロワ17から外部へと排出される。
【0043】
次に、気力輸送装置1は、第1開閉バルブ961を閉鎖し、かつ、第2開閉バルブ962を開放する。これにより、気力輸送装置1内の気流の流れが変化し、シュータ113から第1輸送管131、第1分岐装置141、第2輸送管132、第2分岐装置142、第2分岐管152、第2フィーダホッパ122、第2排気管162、および、主排気管160を順に流れ、吸引ブロワ17へと向かう気流が発生する。
【0044】
したがって、貯留ホッパ111からシュータ113へと供給された粉粒体は、この気流により、シュータ113から第1輸送管131、第1分岐装置141、第2輸送管132、第2分岐装置142、および第2分岐管152を介して第2フィーダホッパ122へと輸送され、第2フィーダホッパ122の下方へと貯留される。一方、第2フィーダホッパ122の上方から、フィルタ93により粉塵が除去された第2フィーダホッパ122内の気体が第2排気管162へ排出される。当該気体は、第2排気管162および主排気管160を介して、吸引ブロワ17から外部へと排出される。
【0045】
続いて、気力輸送装置1は、第2開閉バルブ962を閉鎖し、かつ、第3開閉バルブ963を開放する。これにより、気力輸送装置1内の気流の流れが変化し、シュータ113から第1輸送管131、第1分岐装置141、第2輸送管132、第2分岐装置142、第3輸送管133、第3分岐装置142、第3分岐管153、第3フィーダホッパ123、第3排気管163、および、主排気管160を順に流れ、吸引ブロワ17へと向かう気流が発生する。
【0046】
このため、貯留ホッパ111からシュータ113へと供給された粉粒体は、この気流により、シュータ113から第1輸送管131、第1分岐装置141、第2輸送管132、第2分岐装置142、第3輸送管133、第3分岐装置143、および第3分岐管153を介して第3フィーダホッパ123へと輸送され、第3フィーダホッパ123の下方へと貯留される。一方、第3フィーダホッパ123の上方から、フィルタ93により粉塵が除去された第3フィーダホッパ123内の気体が第3排気管163へ排出される。当該気体は、第3排気管163および主排気管160を介して、吸引ブロワ17から外部へと排出される。
【0047】
その後、気力輸送装置1は、第3開閉バルブ963を閉鎖し、かつ、第4開閉バルブ964を開放する。これにより、気力輸送装置1内の気流の流れが変化し、シュータ113から第1輸送管131、第1分岐装置141、第2輸送管132、第2分岐装置142、第3輸送管133、第3分岐装置142、第4輸送管134、第4フィーダホッパ124、第4排気管164、および、主排気管160を順に流れ、吸引ブロワ17へと向かう気流が発生する。
【0048】
したがって、貯留ホッパ111からシュータ113へと供給された粉粒体は、この気流により、シュータ113から第1輸送管131、第1分岐装置141、第2輸送管132、第2分岐装置142、第3輸送管133、第3分岐装置143、および第4輸送管134を介して第4フィーダホッパ124へと輸送され、第4フィーダホッパ124の下方へと貯留される。一方、第4フィーダホッパ124の上方から、フィルタ93により粉塵が除去された第4フィーダホッパ124内の気体が第4排気管164へ排出される。当該気体は、第4排気管164および主排気管160を介して、吸引ブロワ17から外部へと排出される。
【0049】
各フィーダホッパ12への粉粒体の供給が終了すると、スクリューフィーダ112および吸引ブロワ17の駆動を停止する。そして、各フィーダホッパ12のシャッタ92を開放することにより、フィーダホッパ12内に貯留された粉粒体が、サービスホッパ19へと供給される。
【0050】
このように、この気力輸送装置1では、各フィーダホッパ12に接続される各排気管161〜164に備えられた開閉バルブ961〜964を開閉することにより、目的とするフィーダホッパ12に粉粒体を供給することができる。
【0051】
<1−3.分岐装置の構成>
上述の気力輸送装置1において、目的とするフィーダホッパ12へ確実に粉粒体を供給するためには、分岐装置14において、2つの排出先となる主輸送管13と分岐管15のうち、目的とする排出先のみに粉粒体を排出できることが必要である。
【0052】
分岐装置14の構造について、
図2および
図3を参照しつつ、以下に説明する。
図2は、分岐装置14の縦断面図である。
図3は、分岐装置14の横断面図である。
図2に示すように、分岐装置14は、本体部2、流入管3、第1排出管4、および第2排出管5を有する。
【0053】
本体部2は、円筒部21、底部22、および蓋部23を有する。円筒部21は、上下に延びる円筒状の部位である。底部22は、下方に向けて突出する半球状の部位である。そのため、底部22は、その内面が凹面221となっている。また、底部22は、円筒部21の下方の開口を覆う。蓋部23は、円筒部21の上方の開口を覆う。
【0054】
流入管3は、略水平に延びる円管である。流入管3の一端である流入口31は、上流側の主輸送管13と接続される。流入管3の他端である接続口32は、円筒部21の側面に接続される。これにより、流入管3の内部空間と、円筒部21の内部空間とは、接続口32を介して連通する。
【0055】
第1排出管4は、略水平に延びる円管である。第1排出管4の一端である第1排出口41は、下流側の主輸送管13と接続される。第1排出管4は、円筒部21の側壁を貫通する。そして、第1排出管4の他端である突出口42は、円筒部21の内部に配置される。第1排出管4の内部空間と、円筒部21の内部空間とは、突出口42を介して連通する。
【0056】
第2排出管5は、上下に延びる円管である。第2排出管5の上方側の端部である第2排出口51は、分岐管15と接続される。第2排出管5は、蓋部23を上下に貫通する。そして、第2排出管5の下方側の端部である第2導入口52は、底部22の内部空間に配置される。
【0057】
本体部2は、円筒部21の内部空間を2つの空間に仕切る仕切板24を有する。
図2に示すように、仕切板24は、蓋部23付近から円筒部21の下端部付近まで上下に延びる。また、仕切板24は、第2排出管5の外周面から円筒部21の内周面付近まで径方向に延びる。これにより、円筒部21の内部空間を、接続口32と接続する第1空間211と、突出口42と接続する第2空間212とに仕切る。
【0058】
本実施形態では、仕切板24は、第2排出管5の外周面に固定されている。なお、仕切板24は、円筒部21の内周面に固定されていてもよいし、第2排出管5の外周面と円筒部21の内周面との両方に固定されていてもよい。なお、本実施形態では、仕切板24と円筒部21の内周面との間には、粉粒体が通過しない僅かな隙間が介在する。このように、第1空間211と第2空間212とは、仕切板24によって連通が完全に遮断されていなくてもよい。
【0059】
このような構成を有することにより、分岐装置14は、上流側の主輸送管13から供給された粉粒体が流入する流入経路30と、下流側の主輸送管13へと粉粒体を排出する第1排出経路40と、分岐管15へと粉粒体を排出する第2排出経路50と、流入経路30、第1排出経路40、および第2排出経路50を中継する分岐空間20とを有する。
【0060】
図2に示すように、流入経路30は、流入管3内の空間と、第1空間211とからなる。第1空間211における、粉粒体の輸送方向は下向きである。第1空間211における粉粒体の輸送方向に垂直な断面の断面積、すなわち、第1空間211の略水平断面の断面積は、流入口31における流入経路30の断面積よりも大きい。
【0061】
これにより、第1空間211における粉粒体の輸送速度は、流入口31における粉粒体の輸送速度よりも遅くなる。すなわち、第1空間211は、粉粒体の輸送速度を一時的に低下させる失速流路となっている。また、第1空間211の下端部が、流入経路30から分岐空間20へと粉粒体を供給する供給口33となっている。
【0062】
第1排出経路40は、第2空間212と、第1排出管4内の空間とからなる。ここで、本体部2は、第2空間212の下端部付近に、邪魔板25を有する。邪魔板25は、
図2に示すように、円筒部21の下端部付近の内周面から、内側に向かって略水平に拡がる。邪魔板25は、分岐空間20から第1排出経路にかけての粉粒体の流路を形成する壁面である円筒部21の内周面から突出する、通過阻害手段である。
【0063】
また、
図3に示すように、邪魔板25の内縁と第2排出管5の外周面との間には、粉粒体が十分通過できる広さの隙間が介在する。当該隙間が、分岐空間20と第2空間212とを連通する第1導入口43となっている。
【0064】
第2排出経路50は、第2排出管5内の空間である。分岐空間20と第2排出管5内の空間とを連通する第2導入口52は、前述の通り、第2排出管5の下方側の端部である。
【0065】
分岐空間20は、凹面221と、供給口33と、第1導入口43および邪魔板25と、第2導入口52とにより囲まれた空間である。すなわち、分岐空間20を構成する壁面の少なくとも一部は、凹面221である。そのため、供給口33から供給された粉粒体が凹面221に集まりやすい。また、供給口33、第1導入口43、および第2導入口52が、凹面221に面している。これにより、万が一、粉粒体が目的でない排出経路にオーバーランしてしまった場合に、オーバーランした粉粒体を分岐空間に戻し、当該粉粒体を、分岐空間20から目的とする排出経路へ吸引することができる。
【0066】
<1−4.分岐装置における粉粒体の動き>
続いて、分岐装置14における粉粒体の動きについて説明する。
【0067】
まず、上流側の主輸送管13から分岐管15へと粉粒体を輸送する場合について説明する。この場合、当該分岐管15と接続されるフィーダホッパ12へ粉粒体が供給される。供給目的とするフィーダホッパ12の内部の気体を、吸引ブロワ17が吸引することにより、分岐装置14内に、流入口31から、流入経路30、分岐空間20、および第2排出経路50を順に介して第2排出口51へと向かう気流が発生する。同時に、シュータ113から上流側の主輸送管13へと供給された粉粒体が、流入口31から分岐装置14内へと供給される。
【0068】
上流側の主輸送管13から流入口31へと供給された粉粒体は、流入経路30を、流入管3内の空間、第1空間211の順に輸送される。そして、失速流路である第1空間211において、粉粒体の輸送速度が低下する。その後、輸送速度が低下した粉粒体は、分岐空間20へと流入する。このように、粉粒体を失速させることで、第1排出経路40への粉粒体の誤流入が抑制される。
【0069】
分岐空間20へと流入した粉粒体には、重力により凹面221の中心に集まろうとする力と、慣性により凹面221に沿って第1排出経路40へ向かおうとする力と、吸引ブロワ17により発生した気流により第2排出経路50へ向かおうとする力とが、働く。
【0070】
分岐空間20において、粉粒体のうち比較的輸送速度が遅いものは、重力により凹面221の中央付近に集まろうとする。ここで、
図2に示すように、第2導入口52は、凹面221の中央に面している。また、第2導入口52は第1導入口43よりも下方に配置されているため、第2導入口52は、第1導入口43よりも凹面221の中央に近い。これにより、凹面221の中央付近に向かう粉粒体が、効率よく第2導入口52から第2排出経路50へと向かう。
【0071】
一方、分岐空間20において、粉粒体のうち特に輸送速度の速いものは、凹面221へ当たり、凹面221に沿って進む。凹面221に沿って進む粉粒体の一部は邪魔板25と衝突する。すなわち、粉粒体のうち特に輸送速度の速いものが邪魔板25に衝突しやすい。その結果、粉粒体が第1排出経路40にオーバーランするのが効率よく抑制される。
【0072】
また、万が一、粉粒体が第1導入口43から第1排出経路40へとオーバーランした場合であっても、オーバーランした粉粒体は第2空間212を鉛直上向きに向かうため、重力により下方へと落ちやすい。したがって、第2空間212へとオーバーランした粉粒体が第1排出管4内へと誤流入するのが抑制されている。その上、第1排出管4の突出口42が円筒部21の内面よりも内側に突出して配置されている。これにより、第2空間212へとオーバーランした粉粒体が第1排出管4内へと誤流入するのがより抑制される。
【0073】
次に、上流側の主輸送管13から下流側の主輸送管13へと粉粒体を輸送する場合について説明する。供給目的とするフィーダホッパ12の内部の気体を、吸引ブロワ17が吸引することにより、分岐装置14内に、流入口31から、流入経路30、分岐空間20、および第1排出経路40を順に介して第1排出口41へと向かう気流が発生する。同時に、シュータ113から上流側の主輸送管13へと供給された粉粒体が、流入口31から分岐装置14内へと供給される。
【0074】
上流側の主輸送管13から流入口31へと供給された粉粒体は、流入経路30を、流入管3内の空間、第1空間211の順に輸送される。そして、失速流路である第1空間211において、粉粒体の輸送速度が低下する。その後、輸送速度が低下した粉粒体は、分岐空間20へと流入する。
【0075】
分岐空間20へと流入した粉粒体には、重力により凹面221の中心に集まろうとする力と、慣性により凹面221に沿って第1排出経路40へ向かおうとする力と、吸引ブロワ17により発生した気流により第1排出経路40へ向かおうとする力とが、働く。
【0076】
分岐空間20において、粉粒体のうち比較的輸送速度が遅いものは、重力により凹面221の中央付近に集まろうとする。そして、凹面221の中央付近に向かう粉粒体は、吸引ブロワ17により発生した気流により、第1導入口43から第1排出経路40へと向かう。
【0077】
一方、分岐空間20において、粉粒体のうち特に輸送速度の速いものは、凹面221へ当たり、凹面221に沿って進む。凹面221に沿って進む粉粒体の一部は邪魔板25と衝突する。すなわち、粉粒体のうち特に輸送速度の速いものが邪魔板25に衝突しやすい。邪魔板25に衝突して失速した粉粒体は、重力により凹面221の中心に集まろうとする。そして、当該粉粒体は、吸引ブロワ17により発生した気流により、第1導入口43から第1排出経路40へと向かう。
【0078】
このように、本実施形態では、供給口33が凹面221に面していることにより、流入経路30から分岐空間20へと供給された粉粒体が、凹面221の中心へと向かいやすい。そして、第1導入口43と第2導入口52とが、凹面221に面していることにより、分岐空間20に供給された粉粒体が、第1導入口43と第2導入口52とに分岐しやすい。すなわち、粉粒体が目的としない排出経路に誤流入するのが、抑制される。
【0079】
また、本実施形態では、第1排出経路40の第1導入口43付近における輸送方向と、第2排出経路50の第2導入口52付近における輸送方向とは、ともに、上向きである。これにより、粉粒体が各排出経路へ流入するためには、重力に逆らう必要がある。したがって、粉粒体が目的としない排出経路に誤流入するのが、より抑制される。
【0080】
さらに、流入経路30の供給口33付近における輸送方向は、下向きである。その結果、分岐空間20において、流入経路30から第1排出経路40または第2排出経路50へは、粉粒体の輸送方向が180度近く曲がる。このように、分岐空間20において、流入経路30からいずれの排出経路へと向かう場合にも、粉粒体の輸送方向が90度より大きく曲がることにより、粉粒体が目的としない排出経路に誤流入するのが、さらに抑制される。
【0081】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0082】
図4は、一変形例に係る分岐装置14Aの縦断面図である。
図4の例では、第2排出管5Aの下方側の端部である第2導入口52Aが、略水平ではなく、斜めに設けられている。また、第2導入口52Aは、分岐空間20A内の、供給口33Aとは逆の方向へ向かって開口している。これにより、第2導入口52Aの供給口33A側の端部は、逆側の端部よりも下方に位置する。したがって、供給口33Aから分岐空間20Aへと供給された粉粒体は、第2導入口52Aの供給口33A側の端部に衝突し、失速しやすくなる。その結果、分岐空間20A内における粉粒体の輸送速度が遅くなり、第1導入口43Aと第2導入口52Aとに分岐しやすい。
【0083】
一方、第2導入口52Aが斜めに設けられることにより、第2排出管5Aの管径を大きくすることなく、第2導入口52Aを大きくできる。これにより、吸引ブロワにより、分岐装置14A内に、流入口31Aから分岐空間20Aを介して第2排出口41Aへと向かう気流が発生した場合に、分岐空間20A内に供給された粉粒体が、第2排出管5A内へ向かいやすい。
【0084】
図5は、他の変形例に係る分岐装置14Bの横断面図である。上記の実施形態では、仕切板によって仕切られた第1空間と第2空間とが、略同一体積であったが、本発明はこの限りではない。
【0085】
図5の例では、仕切板24Bは、円筒部21B内の空間を、第1空間211Bと第2空間212Bとに仕切る。また、第1空間211Bは、第2空間212Bよりも大きい。これにより、円筒部21Bの径を大きくすることなく、失速流路である第1空間211Bの断面積を大きくとれる。したがって、分岐装置14Bの体格を大きくすることなく、粉粒体を確実に分岐させることができる。
【0086】
図6は、他の変形例に係る分岐装置14Cの縦断面図である。
図6の例では、邪魔板25Cは、円筒部21Cの下端部付近の内周面から、斜め下向きに拡がる。すなわち、邪魔板25Cは、内側に向かうにつれ、下方へ向かう。
【0087】
これにより、第2排出口51Cへ粉粒体を供給する場合に、第1排出経路40Cへとオーバーランしてしまった粉粒体が邪魔板25Cの上面に載った場合に、分岐空間20Cへと戻りやすい。したがって、分岐装置14Cは、邪魔板25Cの上面が傾斜していることにより、粉粒体を、より確実に分岐させることができる。
【0088】
図7は、他の変形例に係る分岐装置14Dの縦断面図である。上記の実施形態では、第1排出流路が、第1排出管の内部の空間と、本体部の内部空間の一部とから構成されていたが、本発明はこれに限られない。
図7の例では、第1排出経路は、第1排出管4Dの内部の空間のみからなる。
【0089】
図7に示すように、第1排出管4Dの一端は、第1排出口41Dである。第1排出管4Dの他端は、第1導入口43Dである。また、第1導入口43Dは、底部22Dの内部空間内に、下方に向かって配置される。これにより、第1排出管4Dおよび第2排出管5Dを除く、円筒部21Dの内部空間全体が、失速流路となっている。すなわち、分岐装置14Dの体格を大きくすることなく、失速流路の断面積を大きく取れる。したがって、分岐装置14Dの体格を大きくすることなく、粉粒体を確実に分岐させることができる。
【0090】
図8は、他の変形例に係る分岐装置14Eの横断面図である。上記の実施形態の分岐装置では、流入口から供給された粉粒体を、第1排出口および第2排出口の2つの排出口のいずれかに分岐したが、本発明はこれに限られない。本発明の分岐装置は、流入口から供給された粉粒体を、3つ以上の排出口に分岐させてもよい。
【0091】
図8の例では、分岐装置14Eは、第1排出管4Eと、第2排出管5Eと、第3排出管6Eとを有する。第3排出管6Eは、第2排出管5Eと同様に、上下に延びる円管である。そして、第3排出管6Eは、第2排出管5Eと並んで配置される。第3排出管6Eの上方側の端部である第3排出口(図示せず)は、第2排出管5Eが接続される分岐管とは異なる分岐管と接続される。これにより、流入口31Eから分岐装置14E内へ供給された粉粒体を、3つの排出口へと分岐できる。
【0092】
図9は、他の変形例に係る分岐装置14Fの横断面図である。
図9の例では、仕切板24Fは、円筒部21F内の空間を、第1空間211F、第2空間212F、および第3空間213Fの3つの空間に仕切る。
【0093】
第1排出管4Fは、上記の実施形態の第1排出管と同様に、略水平に延びる円管である。第1排出管4Fの一端である第1排出口41Fは、下流側の主輸送管と接続される。また、第1排出管4Fの他端は、第2空間212Fに配置される。そして、第1排出経路は、第2空間212Fと、第1排出管4F内の空間とからなる。
【0094】
第2排出管5Fは、略水平に延びる円管である。第2排出管5Fの一端である第2排出口51Fは、分岐管と接続される。第2排出管5Fの他端は、第3空間213Fに配置される。そして、第2排出経路は、第3空間213Fと、第2排出管5F内の空間とからなる。
【0095】
上記の実施形態の分岐装置では、第1排出経路と第2排出経路とが異なる構成を有していたが、本発明はこれに限られない。
図9の例のように、第2排出経路が、第1排出経路と同様の構成を有していてもよい。
【0096】
また、上記の実施形態では、流入流路の一部分に、失速流路である第1空間が設けられていた。しかしながら、失速流路は、流入流路および分岐空間の少なくとも一部分に設けられていればよい。
【0097】
また、上記の実施形態では、分岐空間から第1排出経路にかけての粉粒体の流路に、通過阻害手段としての邪魔板が設けられていた。しかしながら、邪魔板は、流入流路、分岐空間、第1排出経路、および第2排出経路の少なくとも一部に設けられていればよい。また、通過阻害手段は、上記の邪魔板とは異なる形状であってもよい。
【0098】
また、上記の実施形態では、気力輸送装置の輸送先が4つであったが、本発明はこれに限られない。気力輸送装置の輸送先が2つや3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0099】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。