(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。各実施の形態は、本発明を具現化する為の一例を示したものであり、これに限定されるものではない。
【0014】
なお、本発明における非接触電力伝送は、送電コイルと受電コイルとの間の作用を介して送電装置から受電装置へ電力を伝送する。作用としては、磁界共鳴あるいは電磁誘導を用いても同様の効果が得られるが、磁界共鳴を利用した方が遠くまで電力を伝送することができるので好ましい。以下では、磁界共鳴型を例にとって説明する。
【0015】
また、受電装置に搭載されている蓄電装置はリチウムイオン電池等の二次電池とした。ただし、蓄電装置は二次電池に限るものではなく、例えば、スーパーキャパシタであってもよい。
【0016】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1における磁界共鳴型の非接触電力伝送システムの構成を示す模式断面図である。
【0017】
水を入れた水槽1の天井部に電力を伝送するための共振容量が接続された送電コイル2を配置し、水槽1内に受電体としての魚型ロボット3が存在する。魚型ロボット3は、送電コイル2から電力の供給を受けて、尾ひれ等を機械的に動かすことにより水槽1の中を遊泳する。なお、送電コイル2は水槽1の天井部ではなく、水槽1内へ配置することも可能であり、この場合、送電コイル2は、水に接してもよいし、接しなくてもよい。
【0018】
送電コイル2には交流電源(例えば、AC100V)の電力を送電可能な高周波電力に変換する高周波電力ドライバーを含む送電回路4が接続されている。図示は省略するが、送電コイル2には共振容量が接続されて、送電コイル2と共振容量とで送電共振器を構成している。
【0019】
魚型ロボット3には、
図2A若しくは
図2Bに示したように、少なくとも受電コイル5と、検波回路(整流回路ともいう)8と、充電回路17と、二次電池11が搭載されている。受電コイル5には図示しない共振容量が接続されて、受電コイル5と共振容量とで受電共振器を構成している。なお、
図2A及び
図2Bについては、後で詳細に説明する。
【0020】
送電コイル2や受電コイル5に接続される共振容量としては、回路素子として可変コンデンサ(バリコンあるいはトリマコンデンサなど)あるいは固定コンデンサを接続してもよいし、浮遊容量を利用した構成としてもよい。
【0021】
送電コイル2から送電された高周波電力は、非接触で受電コイル5により受電される。非接触の電力伝送の手段としては、磁界共鳴型を用いるので、送電共振器と受電共振器が所定の共振周波数で共鳴することにより、非接触で送電コイル2から受電コイル5へ電力が非接触で伝送される。
【0022】
受電された高周波電力は、
図2Aに示す検波回路8によって所定の直流電圧に変換された後、充電回路17を経て二次電池11に充電される。以下では、この充電動作を「充電モードA」と呼ぶ。
【0023】
次に、二次電池11の放電動作について説明する。二次電池11に蓄えられた電力は負荷12へ給電される。魚型ロボット3の負荷12としては、例えば、魚型ロボット3の尾ひれ等を駆動する為の電磁コイルに給電する駆動回路を含む移動機構系である。電磁コイルはドーナツ形状であって、尾ひれの端についており、左右に固定されている磁石に引き寄せられることにより尾ひれが左右に振られる構造となっている。以下では、この放電動作を「放電モードB」と呼ぶ。
【0024】
ところで、送電コイル2近辺の磁界強度は強いが、送電コイル2から離れるに従って磁界強度が弱くなってしまう。すなわち、送電コイル2近辺に受電コイル5が存在する場合には非接触の電力伝送が可能であるが、受電コイル5が送電コイル2から離れるに従って電力伝送が難しくなる。
図1に示した水槽1でいうと、魚型ロボット3に搭載された二次電池11の充電に必要な電力が得られる充電可能領域6と、二次電池11の充電に必要な電力が得られない充電不能領域7とに分かれる。
【0025】
この二つの領域は、送電コイル2や受電コイル5の特性(例えば各コイルの形状やQ値など)、あるいは送電コイル2と受電コイル5との結合状態によって決まる。本発明では、送電コイル2から受電コイル5への電力伝送により検波回路8で得られる検波電圧が、予め設定した電圧V1以上が得られる領域を充電可能領域6と定義している。V1の値としては、魚型ロボット3に搭載されている二次電池11の最大電池電圧よりも高い電圧レベルであることが好ましい。二次電池11にリチウムイオン電池を用いる場合には、最大電池電圧は約4.2V程度であるので、例えば、V1=5Vとするのが好ましい。
【0026】
実施の形態1では、魚型ロボット3が充電可能領域6に位置する場合と充電不能領域7に位置する場合とで魚型ロボット3に搭載されている二次電池11に対する充電/放電を切り替える。すなわち、魚型ロボット3が充電可能領域6に存在する場合は充電モードAで動作し、魚型ロボット3が充電不能領域7に存在する場合は放電モードBで動作する。
【0027】
以下、
図1を用いて、充電モードAと放電モードBについて詳細に説明する。
(1)充電モードA
魚型ロボット3に搭載された二次電池11の容量が下限の所定値以下になった場合、魚型ロボット3は充電モードAとなる。充電モードAにおいては、魚型ロボット3の尾ひれ等を駆動する為の電磁コイルに給電する駆動回路を含む移動機構系への給電が停止し、魚型ロボット3は浮力により水槽1の上部に浮かんでいくように設計されている。したがって、魚型ロボット3はいずれ充電可能領域6に位置することになり、魚型ロボット3が充電可能領域6に到達すると、魚型ロボットに内蔵された二次電池11に充電が開始される。充電可能領域6では磁界強度が強いので、送電コイル2からの受電コイル5に非接触で電力の伝送を行うことができる。
【0028】
魚型ロボット3に搭載された二次電池11は保護回路が付いている。保護回路は常に二次電池11の電圧レベルを監視しており、電圧レベルが上限の所定値に到達した時に充電を完了する。あるいは、充電を開始してからの任意の時間になった時、魚型ロボット3の外部からの無線通信等により充電を停止する命令があった時などに、充電を完了してもよい。
【0029】
充電モードAによる充電の完了後は放電モードBへ移行する。放電モードBに移行すると、二次電池11に蓄えられた電力は、魚型ロボット3の尾ひれ等を駆動する為の電磁コイルに給電する駆動回路を含む移動機構系に供給され、魚型ロボット3が動き始める。次に放電モードBについて説明する。
(2)放電モードB
魚型ロボット3に内蔵されている二次電池11の充電が完了し放電モードBに移行すると、魚型ロボット3の二次電池11は尾ひれ等を駆動する電磁コイルに電力を供給し、魚型ロボット3は充電可能領域6から充電不能領域7に移動するように設計されている。やがて、魚型ロボット3は充電不能領域7に到達するが、魚型ロボット3に内蔵された二次電池から魚型ロボット3の尾ひれ等を駆動する為の電磁コイルに給電する駆動回路を含む移動機構系に電力が供給され続けるので、魚型ロボット3は充電不能領域7に位置している場合でも、自由に遊泳することができる。
【0030】
放電モードBの時は、魚型ロボット3の進行方向が水槽1の床側に所定の角度で下向きになるように魚型ロボット3の浮力バランスが調整されている。このような、魚型ロボット3の浮力バランスは、例えば、魚型ロボット3の前側に適当な重りをセットすることにより実現できる(浮上タイプ)。
【0031】
放電モードBの時であって二次電池からの放電を停止している状態では、魚型ロボットの進行方向が水槽1の床側に下向きになったままで送電コイル2に向かって水中を浮上する。放電モードBの時であって二次電池から電磁コイルに電力が供給され、魚型ロボット3が移動している時には、
図1の放電モードBに示すように、水槽1の底に向かって大きな角度を持って下向き方向に移動する。
この放電モードBの時には、魚型ロボット3が本物の魚のように見せるために、いくつかのパターンで魚型ロボット3が泳ぐように設計されている。例えば、3秒間放電することにより水槽1の底に向かって移動し、次に2秒間放電を停止することにより天井方向へ浮上し、また3秒間放電することにより水槽1の底に向かって移動し、さらに2秒間放電を停止することにより天井方向へ浮上することを繰り返し行う。
【0032】
以上の、放電モードBが継続している間も、魚型ロボット3に搭載された二次電池の電圧レベルを受電側制御回路13が監視しており、この受電側制御回路13が魚型ロボット3に内蔵された二次電池の電圧レベルが下限の所定値にったことを検出すると、受電側制御回路13は、魚型ロボット3を放電モードBから充電モードAに移行させる。充電モードAの時は、二次電池から魚型ロボット3の尾ひれ等を駆動する為の電磁コイルに給電する駆動回路を含む移動機構系への給電が停止される。充電モードAへの移行は、放電を開始してからの任意の時間になった時、魚型ロボット3の外部からの無線通信等により放電を停止する命令があった時でもよい。魚型ロボット3が充電不能領域7に存在する時に、放電モードBから充電モードAに移行すると、魚型ロボット3は、魚型ロボット3の進行方向が水槽1の床側に下向きになったままで送電コイル2に向かって充電可能領域6に入るまで水中を浮上する。そして、充電可能領域6に入ると二次電池11への充電が開始される。
【0033】
以上が、実施の形態1における充電モードAと放電モードBの説明である。
【0034】
魚型ロボット3が充電可能領域6に入ってからの充電開始のタイミングとしては、後で詳細に説明するが、魚型ロボット3に内蔵された受電側制御回路13が検波回路8における検波電圧が前記所定の電圧V1を超えたことを検知して充電を開始してもよいし、魚型ロボット3の水槽1に対する位置をセンサーで検知して、充電可能領域6に受電コイル5が入ったことを確認した後に充電を開始してもよい。例えば、魚型ロボット3に圧力センサーや水深センサーを搭載することにより、魚型ロボット3の水深位置を知ることができる。
【0035】
ただし、圧力センサーや水深センサーを用いなくても充電開始のタイミングは生成可能である。例えば、魚型ロボット3の浮上が開始して充電モードAとなった時点を基準として、一定時間が経過してから充電を開始すればよい。先に述べたように、充電モードAでは、二次電池から魚型ロボット3の尾ひれ等を駆動する為の電磁コイルに給電する駆動回路を含む移動機構系への給電が停止し、魚型ロボット3は浮力により水槽1の上部に浮かんでいくように設計されている。
【0036】
そこで、魚型ロボット3が浮上することにより充電可能領域6に到達するための最長時間を予め求めておき、充電モードAに移行してからその最長時間よりも長い時間が経過してから充電を開始する。魚型ロボット3が充電可能領域6に到達するまでの時間を十分見込んでいるので、充電の開始時には魚型ロボット3が充電可能領域6に位置することになり、水槽1に設けられた送電コイル2からの魚型ロボット3に内蔵された受電コイル5に非接触で電力の伝送を行うことができる。
【0037】
次に、受電装置としての魚型ロボット3が1個の場合における充電モードAと放電モードBの切り換え手段について、
図2A、
図2B及び
図3を用いて詳しく説明する。
【0038】
図2A及び
図2Bは、魚型ロボット3に内蔵された回路ブロック図であって、
図2Aは充電モードAの場合の動作を示し、
図2Bは放電モードBの場合の動作を示す。スイッチ9とスイッチ10のオン/オフが受電側制御回路13によりコントロールされて、受電コイル5が受電した電力を二次電池11に充電する充電モードAと、二次電池11の電力を負荷12に供給する放電モードBを切り替える。なお、スイッチ9とスイッチ10はリレーのような機械的接点を持つものでも構わないが、小型化の観点から半導体スイッチ、特にFETスイッチを用いることが好ましい。
【0039】
図3は、
図2Aと
図2Bの回路ブロック動作時におけるタイミングチャートを示す。
図3は、二次電池11の電圧レベルが下限の所定値C2にある魚型ロボット3が充電可能領域6に位置する状態を基準に充電モードAと放電モードBの切り替えのタイミングを示している。
【0040】
図3の上から、二次電池11の電圧レベル、二次電池11の充電/放電状態、検波回路8と二次電池11の間にあるスイッチ9のオン/オフ状態、二次電池11と負荷12との間にあるスイッチ10のオン/オフ状態を示している。
【0041】
時刻t1の時、二次電池の電圧レベルが下限の所定値C2である。そして、
図2Aに示したように、魚型ロボット3に内蔵された受電側制御回路13が検波回路8における検波電圧が前記所定の電圧V1を超えたことを検知して魚型ロボット3は充電可能領域6に位置しているものと認識する。そこで、受電側制御回路13は魚型ロボット3を充電モードAとする。充電モードAでは、受電側制御回路13はスイッチ9をオン、スイッチ10をオフとする。
【0042】
図2Aに示したように、充電モードAでスイッチ9がオン、スイッチ10がオフとなると、充電可能領域6に存在する魚型ロボット3に対して送電コイル2から受電コイル5に非接触で電力伝送を行い、検波回路8とスイッチ9を介して二次電池11に充電できるようになる。この時、スイッチ9がオンの状態では、検波回路8の検波電圧がV1以上であるので、スイッチ9に示した矢印の方向に電流が流れ、検波回路8から充電回路17を経て二次電池11が充電される。また、充電回路17には、ダイオードなどを用いた二次電池11からの電力の逆流を防止するための回路が備わっている。
【0043】
図3に示したように、二次電池11への充電が開始されると、二次電池11の電圧レベルが時間と共に上昇していく。
図2に示した受電側制御回路13は、この二次電池11の電圧レベルを常時監視している、そして、二次電池11の電圧レベルが、上限の所定値C1になった時、
図3の時刻t2の時に受電側制御回路13は二次電池11への充電を停止し、充電モードAが終了し放電モードBへ移行する。
【0044】
時刻t2に放電モードBに移行すると、
図2Bに示したように、スイッチ9がオフ、スイッチ10がオンとなる。これにより、スイッチ10を介して二次電池11から負荷12(魚型ロボット3の尾ひれ等を駆動する為の電磁コイルに給電する駆動回路を含む移動機構系)への電力の供給が開始される。魚型ロボット3は
図1に示した充電可能領域6から充電不能領域7に向けて移動を開始する。
【0045】
図3に示したように、放電モードBでは、二次電池11から負荷12への電力の供給により二次電池11の電圧レベルが時間と共に低下していく。そして、二次電池11の電圧レベルが、下限の所定値C2になった時、
図3の時刻t3の時に受電側制御回路13は二次電池11から負荷12への電力の供給を停止し、放電モードBが終了し充電モードAへ移行する。
【0046】
充電モードAへ移行すると、魚型ロボット3は浮上し、魚型ロボット3に内蔵された二次電池11の充電に必要な電力が得られる充電可能領域6へ移動する。ここで、放電モードBから充電モードAに切り替わるときに魚型ロボット3が水槽の底近くにいる場合には、充電モードAに切り替わっても、魚型ロボット3が充電可能領域6に到達するまでの間は充電が開始されない。そのため、充電モードAに切り替わって充電が開始されるまでは二次電池11の電圧レベルがC2のままであるが、充電若しくは放電の時間に比べて短い時間であるので、簡単のため
図2では省略して記載している。
【0047】
以上の動作を繰り返すことにより、魚型ロボット3の動作が継続される。なお、二次電池11が通常動作する電圧範囲の中心の値である50%程度の電圧を挟んで上限の所定値C1と下限の所定値C2を設定すれば、二次電池11のサイクル特性向上が見込めるので好ましい。
【0048】
以上では、魚型ロボット3の浮力を調整して、随時、魚型ロボットの進行方向が水槽1の床側に角度を持って下向きになるようにし、放電していない停止状態では、魚型ロボットの進行方向が水槽1の床側に下向きになったままで送電コイル2に向かって水中を浮上させた(以下、浮上タイプという)。
【0049】
一方、魚型ロボット3の浮力の大きさを最適化して、随時、魚型ロボットの進行方向が水槽1の床側に角度を持って上向きになるようにし、放電していない停止状態では、魚型ロボット3の進行方向が水槽1の床側に上向きになったままで送電コイル2に向かって水中を沈下させることもできる(以下、沈下タイプという)。また、魚型ロボット3の尾ひれ等を駆動する為の電磁コイルに給電する駆動回路を含む移動機構系への給電をオン/オフを制御することにより魚型ロボット3が移動している時には、水槽1の天井に向かって大きな角度を持って上向き方向のみに移動するようにしてもよい。
【0050】
ただし、このような沈下タイプの魚型ロボット3を用いる場合には、送電コイル2は水槽1の床側に配置する。即ち、充電可能領域6は水槽1の床側に存在することになる。水槽1内にサンゴなどを配置する場合には、サンゴなどが充電可能領域6に配置されることになり、魚型ロボット3がサンゴなどにより充電可能領域6に辿り着けない可能性がある。そのため、浮上タイプの魚型ロボット3を用い、充電可能領域6を水槽1の天井部に設ける方が好ましい。
【0051】
浮上タイプの魚型ロボット3に搭載する受電コイル5は背中側に、沈下タイプの魚型ロボット3に搭載する受電コイル5は腹側に設けると、電力伝送効率を上げることができる。実施の形態1では、磁界共鳴型を用いているが、代わりに電磁誘導型を用いる場合はこのような受電コイル5の配置が好ましい。
【0052】
以上は、魚型ロボット3が水槽1に1個存在する場合を例に説明したが、複数の魚型ロボットを水槽に入れる場合も考えられる。ただし、複数の魚型ロボットを用いた場合に、全ての魚型ロボットで二次電池における上限の所定値C1と下限の所定値C2を同じに設定していると、全ての魚型ロボットが同時に充電モードとなり、魚型ロボットが一匹も水槽内を泳いでいない状態が生じる場合がある。
【0053】
例えば、長時間にわたって停電した時や、動作が必要でない為に長時間にわたって送電回路の電源をオフした場合には、最終的に全ての魚型ロボットが充電モードAとなり、その結果、すべての魚型ロボットが充電可能領域6に移動することになる。しかし、送電回路がオフのため、魚型ロボットが充電可能領域6に到達しても送電コイル2から受電コイル5への電力伝送は行われない。その後、送電回路がオンになると、送電コイル2から受電コイル5へ電力伝送が行われ、各魚型ロボットに搭載した二次電池に充電が開始される。そして、ほぼ同じ時間にすべての魚型ロボットが上限の所定値C1に達し充電を完了し、その後、放電モードに移行して一斉に動き出す。さらに、すべての魚型ロボットがほぼ同じ時間に下限の所定値C2に達して充電モードに移行し、充電可能領域6に移動する。
【0054】
以上のように、全ての魚型ロボットで二次電池における上限の所定値C1と下限の所定値C2を同じに設定していると、魚型ロボットが一匹も水槽内を泳いでいない状態が生じることがある。そこで、実施の形態1において複数の魚型ロボットを水槽内に配置する場合は、上限の所定値C1を魚型ロボット毎で変えている。例えば3個の魚型ロボットを用いた場合、上限の所定値C1を、それぞれC1a<C1b<C1cと大きさを変えて設定しておく。
【0055】
まず、上限の所定値C1aの魚型ロボットが充電を完了し放電モードに移行して動き出す。その後、上限の所定値C1bの魚型ロボットが充電を完了し放電モードに移行して動き出す。そして最後に上限の所定値C1cの魚型ロボットが充電を完了し放電モードに移行して動き出す。これにより、実施の形態1において複数の魚型ロボットを水槽内に配置する場合に、魚型ロボットが一匹も水槽内を泳いでいない状態が生じることがなくなるので好ましい。
【0056】
なお、上限の所定値C1に替え、下限の所定値C2を魚型ロボット毎で変えておいても、放電モードの終了する時間を変えることができ、同様の効果が得られる。
【0057】
以上では、二次電池の電圧レベルに基づいて充電モードと放電モードの切り替えを行ったが、二次電池の残量計を設けて、二次電池の残量に基づいて前記切り替えを行うこともできる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、複数の魚型ロボットが水槽内に存在する場合は、上限の所定値C1若しくは下限の所定値C2を魚型ロボット毎で変えておくことにより、魚型ロボットが一匹も水槽内を泳いでいない状態が発生することを防止した。
【0058】
実施の形態2では、複数の魚型ロボットが水槽内に存在している場合において、送電側と受電側で通信を行うことにより、送電側から充電可能領域6に存在させる魚型ロボットの数を制御する。なお、以下の説明では浮上タイプの魚型ロボットを例に説明する。
【0059】
複数個の魚型ロボットを何ら制御しないで水槽内で泳がすと、充電可能領域6に存在する魚型ロボットの数が時間に応じて大きく異なってくる場合がある。一方、充電対象が複数近接すると、充電対象間で相互インダクタンスが無視できなくなり、その結果、送受電系の共振周波数が異なってくる。このような場合においても効率よく非接触電力伝送を行うためには、送電装置における送電パワーや全体の共振周波数を適宜調整する必要がある。
【0060】
このような課題を解決するため、実施の形態2では、各魚型ロボットのモードを管理し、必要に応じて各魚型ロボットのモードを切り替える。これにより、所定数の魚型ロボットを充電可能領域6に存在させることができるとともに、魚型ロボットが一匹も水槽内を泳いでいない状態が発生することを防止できる。
【0061】
図4は、実施の形態2における非接触電力伝送システムの構成を示す模式断面図である。
図1に示した実施の形態1と同様に電力を伝送するための送電コイル2を水槽1の天井部に配置したが、水槽1内に受電体としての3個の浮上タイプの魚型ロボット31、32、33が存在し、魚型ロボット31、32、33が送電側制御回路14と通信をする点で実施の形態1と異なる。魚型ロボット31、32、33と送電側制御回路16の通信手段としては、例えば、ZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)を用いることができる。あるいは、赤外線や音波や光などで通信を行ってもよい。
【0062】
図4において、充電モードCでは魚型ロボット31が充電モードに入って充電可能領域6内で魚型ロボット31に内蔵された二次電池に充電を行い、その他の魚型ロボット32と魚型ロボット33は放電モードで充電不能領域7に存在している。
【0063】
すなわち、実施の形態2では、電可能領域6に存在する魚型ロボイットの個数を1個に制御する場合について説明する。
【0064】
また、放電モードDは、魚型ロボット31に内蔵された二次電池11から移動機構に電力を供給することで、魚型ロボット31が充電可能領域6から充電不能領域7に移動し、替わりに魚型ロボット32が充電モードに入って充電可能領域6内で魚型ロボット32に内蔵された二次電池に充電をしている様子を示している。
【0065】
実施の形態2においては、充電モードと放電モードに加え、浮上モードを設けて、各魚型ロボットの二次電池における充電/放電状態を制御する。浮上モードは、放電モードから充電モードへ移行する時に、魚型ロボットが充電可能領域6に向かって浮上している状態をいう。浮上モードの時には魚型ロボットに内蔵された二次電池への充電は行われない。
【0066】
図5A及び
図5B及び
図5Cは、実施の形態2における水槽1に設けられた送電側回路ブロック40と魚型ロボットに内蔵された受電側回路ブロック41を示す図である。魚型ロボット31〜33は、それぞれ同じ受電側回路ブロック41を搭載している。
図5Aは充電モードCの場合の動作を示し、
図5Bは放電モードDの場合の動作を示し、
図5Cは浮上モードEの場合の動作を示す。
【0067】
図6は、送電側制御回路14が各魚型ロボットにおける
図5A及び
図5B及び
図5Cに示した各モードを制御し、充電可能領域6に存在する魚型ロボイットの個数を1個に制御した場合のタイミングチャートである。
【0068】
以下、
図4〜
図6を用いて実施の形態2を詳細に説明する。
【0069】
まず、魚型ロボット31は充電可能領域6に存在し充電モードの状態であるとする。魚型ロボット32と33は充電不能領域7に存在し放電モードの状態にあるとする。
【0070】
すなわち、
図4の充電モードCのように、魚型ロボット31のみが充電可能領域6に存在して魚型ロボット31に内蔵された二次電池11に充電を行う状態とする。魚型ロボット32と33は充電不能領域7に存在し、内蔵された二次電池11から移動機構に電力が供給されている状態にある。
図5Aのように、充電モードCにおいて魚型ロボット31の二次電池11が充電されている状態では、魚型ロボット31の受電側制御回路13の指令によりスイッチ9がオンに、スイッチ10はオフとなっている。
【0071】
そして、充電により魚型ロボット31の二次電池11の電池電圧レベルが上昇していき、最終的に二次電池11の電圧レベルが上限の所定値C1に到達すると同時に魚型ロボット31の受電側制御回路13は二次電池11への充電を停止する為に、
図5Bのように、魚型ロボット31の受電側制御回路13はスイッチ9をオフ、スイッチ10をオンにし、更に充電モード終了信号を送電側制御回路14に送信する。これにより魚型ロボット31は充電モードCが終了し放電モードDへ移行する。魚型ロボット31において充電モードCが終了し放電モードDへ移行するのは、
図6のタイミングチャートの時刻t2の時点である。そして、魚型ロボット31は充電不能領域7に向けて移動を開始する。
【0072】
次に、時刻t2で魚型ロボット31の充電モードが終了したことを受け、送電側制御回路14は魚型ロボット32に放電モード終了信号を送信する。
図6に示したように、時刻t2で送電側制御回路14から放電モード終了信号を受信した魚型ロボット32の受電側制御回路13は、魚型ロボット32の二次電池11の放電を終了させ、魚型ロボット32を浮上モードEに移行させる為に、
図5Cのように、魚型ロボット32の受電側制御回路13はスイッチ9をオフ、スイッチ10をオフにする。
【0073】
魚型ロボット32は浮上を開始し、やがて充電可能領域6に達する。魚型ロボット31と33は充電不能領域7に存在し、内蔵された二次電池11から移動機構系に電力が供給されている状態にある。魚型ロボット32の受電側制御回路13が検波回路8における検波電圧が前記所定の電圧V1を超えたことを検知して、魚型ロボット32の受電側制御回路13は魚型ロボット32が充電可能領域6に位置しているものと認識する。魚型ロボット32の受電側制御回路13は、魚型ロボット32を浮上モードEから充電モードCに移行させる。充電モードCでは、
図5Aに示したように、スイッチ9がオンすることにより二次電池11への充電が始まる。魚型ロボット32が浮上モードEから充電モードCへ移行するのは、
図6のタイミングチャートの時刻t3の時点である。
【0074】
充電モードCの魚型ロボット32は充電可能領域6に存在して魚型ロボット32に内蔵された二次電池11に充電を行う。そして、充電により魚型ロボット32搭載の二次電池11の電池電圧レベルが上昇していき、最終的に二次電池11の電圧レベルが上限の所定値C1に到達すると同時に魚型ロボット32の受電側制御回路13は二次電池11への充電を停止する為に、
図5Bのように、魚型ロボット32の受電側制御回路13はスイッチ9をオフ、スイッチ10をオンにし、更に充電モード終了信号を送電側制御回路14に送信する。これにより魚型ロボット32は充電モードCが終了し放電モードDへ移行する。魚型ロボット32の充電モードCが終了し放電モードDへ移行するのは、
図6のタイミングチャートの時刻t4の時点である。
【0075】
さらに、時刻t4で魚型ロボット32の充電モードが終了したことを受け、送電側制御回路14は魚型ロボット33に放電モード終了信号を送信する。
図6に示したように、時刻t4で送電側制御回路14から放電モード終了信号を受信した魚型ロボット33の受電側制御回路13は、魚型ロボット33の二次電池11の放電を終了させ、魚型ロボット33を浮上モードEに移行させる為に、
図5Cのように、魚型ロボット33の受電側制御回路13はスイッチ9をオフ、スイッチ10をオフにする。
【0076】
魚型ロボット33は浮上を開始し、やがて充電可能領域6に達する。魚型ロボット32と33は充電不能領域7に存在し、内蔵された二次電池11から移動機構系に電力が供給されている状態にある。魚型ロボット33の受電側制御回路13が検波回路8における検波電圧が前記所定の電圧V1を超えたことを検知して、魚型ロボット33の受電側制御回路13は魚型ロボット33が充電可能領域6に位置しているものと認識する。魚型ロボット33の受電側制御回路13は、魚型ロボット33を浮上モードEから充電モードCに移行させる。充電モードCでは、
図5Aに示したように、スイッチ9がオンすることにより二次電池11への充電が始まる。魚型ロボット33が浮上モードEから充電モードCへ移行するのは、
図6のタイミングチャートの時刻t5の時点である。
【0077】
充電モードCの魚型ロボット33は充電可能領域6に存在して魚型ロボット33に内蔵された二次電池11に充電を行う。そして、充電により魚型ロボット33搭載の二次電池11の電池電圧レベルが上昇していき、最終的に二次電池11の電圧レベルが上限の所定値C1に到達すると同時に魚型ロボット33の受電側制御回路13は二次電池11への充電を停止する為に、
図5Bのように、魚型ロボット33の受電側制御回路13はスイッチ9をオフ、スイッチ10をオンにし、充電モード終了信号を送電側制御回路14に送信する。これにより魚型ロボット33は充電モードCが終了し放電モードDへ移行する。魚型ロボット33の充電モードCが終了し放電モードDへ移行するのは、
図6のタイミングチャートの時刻t6の時点である。
【0078】
そして、時刻t6で魚型ロボット33の充電モードが終了したことを受け、送電側制御回路14は魚型ロボット31に放電モード終了信号を送信する。
図6に示したように、時刻t6で送電側制御回路14から放電モード終了信号を受信した魚型ロボット31の受電側制御回路13は、魚型ロボット31の二次電池11の放電を終了させ、魚型ロボット31を浮上モードEに移行させる為に、
図5Cのように、魚型ロボット31の受電側制御回路13はスイッチ9をオフ、スイッチ10をオフにする。
【0079】
魚型ロボット31は浮上を開始し、やがて充電可能領域6に達する。魚型ロボット31の受電側制御回路13が検波回路8における検波電圧が前記所定の電圧V1を超えたことを検知して、魚型ロボット31が充電可能領域6に位置しているものと認識する。魚型ロボット31の受電側制御回路13は、魚型ロボット31を浮上モードEから充電モードCに移行させる。充電モードCでは、
図5Aに示したように、スイッチ9がオンすることにより二次電池11への充電が始まる。魚型ロボット31が浮上モードEから充電モードCへ移行するのは、
図6のタイミングチャートの時刻t7の時点である。
【0080】
充電モードCの魚型ロボット31は充電可能領域6に存在して魚型ロボット31に内蔵された二次電池11に充電を行う。以後、魚型ロボット31〜33について順次充電が繰り返される。
【0081】
以上のとおり、送電側制御回路14と魚型ロボット31〜33に搭載された受電側制御回路13の間で通信を行い、送電側制御回路14が魚型ロボット31〜33のモードを制御することによって、充電可能領域6に存在する魚型ロボットの個数を1個に制御した。
【0082】
なお、実施の形態2では、送受電装置間の通信制御による1周期T2を、送受電装置間の通信制御をせずに下限の所定値C2により放電モードを終了する1周期T1(充電モードA+放電モードB)よりも短くしている。そうすれば、魚型ロボット33が充電モードの時に魚型ロボット31が充電モードに入ることはない。従って、充電可能領域6に存在する魚型ロボイットの個数を1個に制御できる。
【0083】
実施の形態2では充電可能領域6で充電を行う魚型ロボットを1個にしたが、もちろん複数個を同時に充電することも可能である。このように、魚型ロボットごとに充電/放電のモードを制御することにより、単位時間当たりの充電可能領域内6に存在する魚型ロボットの数を同じにすることができる。これにより、予め定められた数の魚型ロボットの充電が可能となり、送電装置における送電パワーや全体の共振周波数を調整する必要がなくなるので好ましい。
【0084】
また、場合によっては、充電可能領域6に魚型ロボットが1個も存在しない時間を設け、その時間帯は送電を停止し、充電可能領域6に魚型ロボットが来たことを検知してから送電を開始するようにしてもよい。この場合には、省エネの効果が大きい。
【0085】
なお、魚型ロボットが充電可能領域6に存在していることについては、例えば、
図5A〜
図5Cに示したように、送電側制御回路14と受電側制御回路13との通信により充電可能領域6に充電中の魚型ロボットが存在するかどうかを検知すればよい。あるいは魚型ロボットに位置センサーを搭載して充電可能領域6に受電コイル5が入った情報に基づいて充電可能領域6に充電中の魚型ロボットが存在するかどうかを検知しても良いし、魚型ロボット3に圧力センサーや水深センサーを搭載して検知しても良い。
【0086】
それぞれの各魚型ロボットに関する情報(電池容量、共振電圧。受電電圧、受電電流、受電パワーなど)を送電側制御回路で管理し、この情報に基づいてそれぞれの受電装置に搭載している二次電池の充電モードと放電モードを制御するようにしてもよい。
<実施の形態3>
一般的に、浮上タイプでは水槽の底部で泳ぐことが多くなり、沈下タイプでは水槽の天井部で泳ぐことが多くなる。すなわち、魚型ロボットが浮上タイプ、沈下タイプのいずれであっても、魚型ロボットが遊泳する範囲は、水槽の一部に限られてしまう場合がある。
【0087】
この問題を対策するために、実施の形態3では、放電モードBの時に魚型ロボットが泳ぐ領域を予め規定して、所定の場所で所定の魚型ロボットが泳ぐようにした。実施の形態3の手法を用いれば、水槽内で泳ぐ魚型ロボットの遊泳範囲を魚型ロボット個別に自由に設定できるので、複数の魚型ロボットを水槽に配置した場合でも、魚型ロボットが遊泳する範囲が水槽の一部に限られてしまうという問題を解決できる。
【0088】
以下、実施の形態3について詳しく説明する。
図7は、実施の形態3における非接触電力伝送システムの構成を示す模式断面図である。
図1に示した実施の形態1と同様に電力を伝送するための送電コイル2を水槽1の天井部に配置した。送電コイル2付近に充電可能領域6が存在し、送電コイル2から離れた領域に充電不能領域7が存在する点も同様である。ただし、実施の形態3では、所定遊泳領域15が存在する点で実施の形態1と相違する。放電モードBをさらに複数のモードに分割し、魚型ロボットを、所定遊泳領域15で遊泳するように制御する。
【0089】
図8A〜
図8Dは、実施の形態3の魚型ロボット34に内蔵された回路ブロック図である。
図8Aは充電モードAの場合の動作を示し、
図8Bは放電モードB(α)の場合の動作を示し、
図8Cは放電モードB(β)の場合の動作を示し、
図8Dは放電モードB(γ)の場合の動作を示す。実施の形態3における、回路ブロック図は、実施の形態1で示した
図2A及び
図2Bの回路に、水深センサー16が加わった構成になっている。
【0090】
図9は
図8A〜
図8Dの動作時におけるタイミングチャートを示したものである。
【0091】
以下、
図7〜
図9を用いて実施の形態3を詳細に説明する。
【0092】
まず、
図7の充電モードAは、魚型ロボット34が充電可能領域6に存在して魚型ロボット34に内蔵された二次電池11に充電を行っている状態を示す。
図8Aのように、充電モードAでは、受電側制御回路13がスイッチ9をオンに、スイッチ10をオフとする。受電側制御回路13は、この二次電池11の電圧レベルを常時監視している。そして、二次電池11の電圧レベルが、上限の所定値C1になった時、すなわち、
図9の時刻t2の時に受電側制御回路13は二次電池11への充電を停止し、充電モードAが終了し放電モードB(α)へ移行する。
【0093】
図8Bのように、魚型ロボット34が放電モードB(α)に移行すると、スイッチ9がオフ、スイッチ10がオンとなる。これにより、スイッチ10を介して二次電池11から負荷12への電力の供給が開始される。ここでの負荷12は、尾ひれ等を駆動する為の電磁コイルに給電する駆動回路を含む移動機構系に相当する。
【0094】
図7の放電モードB(α)に示したように、魚型ロボット3は充電可能領域6から充電不能領域7へ移動を開始する。
【0095】
図7の放電モードB(α)D2に示したように、放電モードB(α)で魚型ロボット34の移動が継続するに従って、魚型ロボット34の水深は深くなっていき、魚型ロボット34はやがて水深D2に達する。
図9に示したように、魚型ロボット34は時刻t3で水深D2に達する。この時、
図8Cのように、魚型ロボット34に搭載された水深センサー16が、魚型ロボット34の水深がD2であることを検出し、その情報を受電側制御回路13に伝送する。
【0096】
時刻t3において、魚型ロボット34の水深がD2である情報を受け取った受電側制御回路13は、
図7の放電モードB(β)に示したように、魚型ロボット34を放電モードB(β)に移行させ、魚型ロボット3は浮上し始める。具体的には、
図8Cに示したように、受電側制御回路13はスイッチ9とスイッチ10を共にオフとする。この場合、二次電池11から負荷12への電力の供給が停止されるので、推進力を失い、その結果、魚型ロボット34は浮上し始める。
【0097】
放電モードB(β)で魚型ロボット3の移動が継続するに従って、魚型ロボット34の水深は浅くなっていき、
図7の放電モードB(β)D1に示したように、魚型ロボット34はやがて水深D1に達する。
図9に示したように、魚型ロボット34は時刻t4で水深D1に達する。この時、魚型ロボット34に搭載された水深センサー15が、魚型ロボット34の水深がD1であることを検出し、その情報を受電側制御回路13に伝送する。
【0098】
時刻t4において、魚型ロボット34の水深がD1である情報を受け取った受電側制御回路13は、
図7の放電モードB(γ)に示したように、魚型ロボット34を放電モードB(γ)に移行させ、魚型ロボット34は沈下し始める。具体的には、
図8Dに示したように、受電側制御回路13はスイッチ9をオフとし、スイッチ10をオンとする。この場合、スイッチ10を介して二次電池11から負荷12への電力の供給が開始されるので、推進力を獲得し、その結果、魚型ロボット34は沈下し始める。
【0099】
放電モードB(γ)で魚型ロボット34の移動が継続するに従って、魚型ロボット34の水深は深くなっていき、魚型ロボット34はやがて時刻t5で水深D2に達する。この時、魚型ロボット3に搭載された水深センサー16が、魚型ロボット34の水深がD2であることを検出し、その情報を受電側制御回路13に伝送する。
【0100】
時刻t5において、魚型ロボット34の水深がD2である情報を受け取った受電側制御回路13は、魚型ロボット34を放電モードB(β)に移行させる。
【0101】
以後は、
図9に示したように、放電モードB(β)と放電モードB(γ)の繰り返しで、魚型ロボット34は、水深がD1からD2の所定遊泳領域15に位置するように制御される。
【0102】
そして、魚型ロボット34に内蔵された二次電池11の放電が進み、やがて二次電池11の電圧レベルが所定の下限値C2になると、受電側制御回路13は、魚型ロボット34を充電モードAに移行させる。
図9に示したタイミングチャートでは、時刻tnで充電モードAに移行することになる。充電モードAでは、二次電池11の放電が停止し、魚型ロボット34は浮上していく。そして、魚型ロボット34が充電可能領域6に入ることにより充電が開始される。
【0103】
なお、ここでは魚型ロボットは1個の場合を示すが、複数個存在していても同様な方法で各魚型ロボットを制御できる。魚型ロボットごとに異なった所定遊泳領域を設定しておけば、複数の魚型ロボットを水槽に配置した場合でも、魚型ロボットが遊泳する範囲が水槽の一部に限られてしまうという問題を解決できる。
【0104】
例えば3個の魚型ロボットを用いた場合は、1つ目の魚型ロボットを底付近で泳がせ、2つ目の魚型ロボットを天井側で泳がせ、3つ目の魚型ロボットをその間の中央部で泳がすことができる。魚型ロボットの水深は、圧力センサーやジャイロなどを用いてもよい。
【0105】
このように本発明によれば、水槽などの中に二次電池を搭載した移動可能な魚型ロボットを配置し、魚型ロボットへの電力伝送において充電および放電状態を制御することにより、魚型ロボットの移動制御が可能となる。