(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(発明の実施の形態1)
以下、図面を参照して本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメントについて説明する。
【0012】
本実施の形態1に係るアタッチメントは、超音波検査装置の超音波探触子(超音波プローブ)に装着されるものである。アタッチメントは、少なくとも音響整合部と媒体供給部とを備え、プローブが人体などの被検体上を走査するときに、音響整合部はプローブと被検体との間に位置して、プローブと被検体との間の音響整合、音響結合を確保し、媒体供給部は音響整合部と被検体との間に媒体を供給して、プローブと被検体との間の湿潤性、潤滑性を確保する。これにより、超音波検査を良好に行えるようにする。
【0013】
図1は、本実施の形態1に係るアタッチメント10の外観を示す図である。被検体と対向する側の面を上にしたときの外観を示している。アタッチメント10は、本体部11と、本体部11の被検体と対向する側の面の略中央部分においてその一部が露出している音響整合部12と、当該面の音響整合部12周辺でその一部が露出している媒体供給部13とを備えている。
【0014】
本体部11は、音響整合部12及び媒体供給部13をプローブ上に固定するためのもので、ABS樹脂などで構成される。また、本体部11は、硬質な紙素材などで構成されても良く、これにより、使用後に潰して小さくすることができ、また、焼却しても有毒ガスが出難くなることから、医療廃棄物の問題を軽減することができる。
【0015】
音響整合部12は、プローブと被検体との間の音響インピーダンスの差に起因する音響的な不整合を軽減し、また、プローブと被検体との間の音響結合を確保するためのものであり、高分子ゲルなどで構成される。媒体供給部13は、媒体を保持し、また、媒体を被検体と音響整合部12との間に供給するためのもので、不織布素材などで構成される。媒体は、音響整合部12の表面を湿潤に保ち、音響整合部12と被検体との間を潤滑にするためのものである。
【0016】
図2は、本実施の形態1に係るアタッチメント10及びプローブ20の外観を示す図である。アタッチメント10及びプローブ20をそれぞれ横から見たときの外観を示している。アタッチメント10は、本体部11の被検体と対向する側とは反対側、すなわち、プローブ20側に開口部14を有しており、開口部14からプローブ20が差し込まれて、プローブ20にアタッチメント10が装着され、固定される。
【0017】
本実施の形態1に係る超音波検査装置はプローブ20とプローブ20が接続される画像処理部(図示せず)とを備えるもので、医療用、工業用などの用途を問わない。プローブ20はその先端に超音波を発振し、その反射波を受信する送受信部21を有するもので、プローブ20自体は従来からのもので良い。また、プローブ20が接続される画像処理部は、プローブ20からの信号を処理して被検体の内部状態を表す超音波画像を生成して表示するもので、画像処理部自体も従来からのもので良く、本明細書においては図示及び更なる説明を省略する。
【0018】
図3は、本実施の形態1に係るアタッチメント10をプローブ20に装着したときの概略構成を示す断面図である。アタッチメント10の被検体と対向する側の面を下にして横から見たときの概略構成を示している。
アタッチメント10の本体部11は音響整合部12及び媒体供給部13を収納しており、本体部11の被検体と対向する面の開口部15から音響整合部12及び媒体供給部13の一部が突出して露出している。アタッチメント10の本体部11の開口部14からはプローブ20が差し込まれて、アタッチメント10がプローブ20に装着されている。このとき、音響整合部12はプローブ20の送受信部21上(図面では下)に来るように配置される。
【0019】
図4は、本実施の形態1に係るプローブ20が被検体30上を走査して被検体30を超音波検査する様子を示す概略断面図である。また、
図5は、本実施の形態1に係るプローブ20が被検体30を超音波検査する手順を示すフローチャートである。
まず、超音波検査を開始すると、アタッチメント10を装着したプローブ20が被検体30に押し当てられる(ステップS10)。そして、プローブ20が被検体30上を
図4の左から右へと走査する(ステップS20)。
【0020】
このとき、音響整合部12は、被検体30の表面と媒体16などを介して接触し、被検体30の表面に基づいて変形する(ステップS30)。そして、音響整合部12の変形により、媒体供給部13は音響整合部12から加圧され、または、押圧されて(ステップS40)、保持している媒体16を少しずつ染み出す(ステップS50)。そして、染み出した媒体16が音響整合部12の表面付近を選択的に湿潤状態及び潤滑状態に保ち、被検体との摩擦を軽減する(ステップS60)。そして、プローブ20が被検体30へ超音波を発振し、被検体30からの超音波の反射波を受信して(ステップS70)、画像処理部(図示せず)が超音波画像を生成する(ステップS80)。
【0021】
なお、媒体供給部13は被検体30の表面よりも、むしろ、変形した音響整合部12から加圧される。このため、プローブ20が被検体30の表面に強く押し当てられた状態で走査しても、媒体供給部13に加わる力は限定的であり、媒体供給部13から染み出す媒体16の量は多くなることはない。そして、媒体供給部13は、音響整合部12と被検体30の表面との間に媒体16を安定的に供給することができる。
【0022】
図6は、本実施の形態1に係るアタッチメント10の組み立て方法を説明するための図である。被検体と対向する側の面を上にした状態を示している。アタッチメント10は、本体部11、音響整合部12、媒体供給部13などを組み立てて構成する。
本体部11は、前述したABS樹脂などで構成され、被検体に対向する面に開口部15を、また、被検体に対向する面とは反対の面、すなわち、プローブ20が差し込まれる側の面に開口部14をそれぞれ有している。
【0023】
音響整合部12は、前述した高分子ゲル、より好ましくは水酸基などの親水基により親水性を有するハイドロゲルなどから構成され、凸形状またはフランジ形状を有する。音響整合部12の凸形状は、シート状の高分子ゲルから両サイドを削いで形成しても良いし、シート状の高分子ゲルの上に凸形状の凸部に相当する高分子ゲルを溶着または接着して形成しても良いし、もちろん、高分子ゲルの成型加工により形成しても良い。
【0024】
音響整合部12に高分子ゲルのような柔らかい素材を用いると、被検体表面がプローブ20により圧迫されて変形することがなく、被検体の表面近傍の構造についての自然で鮮明な超音波画像を得ることができる。
また、親水性の音響整合部12と、水を含む媒体とを用いることで、ごく少量の媒体で音響整合部12の表面及びその周辺を湿潤状態に保つことができる。また、供給した媒体がごく少量なので、プローブ20が通過した後の被検体表面では媒体が直ぐに蒸発し、被検者に与える不快感も少ない。ゼリー物質を用いたときのような拭き取り作業は不要である。
【0025】
媒体供給部13は、媒体を含み、保持し、滲出することができるような、前述した不織布素材などで構成され、ロの字形状、コの字形状などの形状を有する。素材は、シートマスクで用いるようなパルプ、レーヨン、ポリエステルなどの繊維であっても良い。媒体供給部13にスポンジを用いても良い。
【0026】
媒体供給部13は、ロの字形状、コの字形状などを有して、音響整合部12の凸部の側面、すなわち、被検体と対向する側の面と交わる面の、少なくとも一部、好ましくは、対向する2つの側面を囲うことができる。媒体供給部13がコの字形状を有するときは、二つを組み合わせて用いても良い。
【0027】
アタッチメント10は、本体部11の開口部14から、媒体供給部13、音響整合部12をこの順で、少なくとも音響整合部12の凸部が本体部11の開口部15から突出するように本体部11に押し込んで組み立てる。このとき、媒体供給部13の一部も本体部11の開口部15から突出するようにすると良い。音響整合部12と媒体供給部13とは隣接、すなわち、直接接するようにしても良いし、薄膜などを介して隣り合うようにしても良い。要は、音響整合部12が走査により変形したときに、音響整合部12により加圧されて、媒体供給部13が媒体を滲出できるように組み立てる。音響整合部12を凸形状とすることにより、音響整合部12の凸形状の肩の部分が本体部11の開口部15に引っ掛かり、本体部11内の音響整合部12及び媒体供給部13の位置が安定する。
【0028】
図7は、本実施の形態1に係る音響整合部の他の形状例を示す図である。音響整合部17の凸部は被検体と対向する側の面が矩形ではなくR処理されて略楕円形になっており、更に凸部の上角部が面取りされている。音響整合部17は、このような形状を有することにより、被検体の表面上を滑らかに走査することができる。また、音響整合部17は、プローブ20の音響レンズ形状に合致するような形状をしていても良い。
【0029】
図8は、本実施の形態1に係る媒体供給部の他の形状例を示す図である。媒体供給部18はこのようにシート状に2つに分かれており、それぞれのシートの一方の端部は巻かれている。そして、シートの巻かれた部分が音響整合部12の凸形状の肩のところに来るようにして媒体供給部18及び音響整合部12は本体部11に押し込まれる。この場合には、媒体供給部18の巻かれた部分が本体部11の開口部15より突出するようにすることが好ましい。
【0030】
図9〜11は、本実施の形態1に係るアタッチメント10の他の組み立て方法を説明するための図である。被検体と対向する側の面を上にした状態を示している。
図9〜11の上図は各組み立て工程における外観を示している。
図9、10の下図は各組み立て工程における、被検体と対向する側の面の短辺と平行な方向での断面を示し、
図11の下図は組み立て工程における、被検体と対向する側の面の長辺と平行な方向での断面を示している。
【0031】
アタッチメント10は、本体部11、音響整合部12、媒体供給部19などを組み立てて構成する。シート状の媒体供給部19はその一端に媒体供給部19と同じ素材または別の素材などから構成される棒状の芯部19aを有している
まず、
図9に示すように、媒体によってあらかじめ湿らせた状態にした媒体供給部19の芯部19aを有していない他端の方を、開口部15から本体部11の内部へと差し込む。これを2枚の媒体供給部19について行う。このとき、差し込まれた媒体供給部19は湿らせた状態にあるために本体部11の内壁に貼り付く。
【0032】
つぎに、
図10に示すように、音響整合部12を開口部14から本体部11の内部へと差し込み、音響整合部12の凸部が開口部15から突出するようにする。このとき、媒体供給部19は、本体部11と音響整合部12とにより挟まれた状態になる。また、2枚の媒体供給部19それぞれを芯部19aを芯にして巻き付ける。
最後に、
図11に示すように、巻き付けた媒体供給部19をそれぞれ本体部11と音響整合部12との隙間から差し込んで、本体部11の内部に収容し、アタッチメント10を完成させる。
【0033】
図12は、本実施の形態1に係る本体部の他の形状例を示す図である。被検体と対向する側の面を上にしたときの外観を示している。本体部11の開口部15には本体部11の内側から外側にまで達する複数の筋状の切り込み部11aが形成されている。切り込み部11aは媒体の細い流路になるもので、媒体が細管現象により本体部11の内側から外側まで滲出しやすくするものである。
【0034】
なお、本体部11は、2つ以上に分割可能に構成されても良い。また、本体部11がプローブ20から外れにくくするために、本体部11にプローブ20と嵌め合せるための手段またはプローブ20に引掛けるための爪のような手段を設けても良い。また、本体部11は、内部にスポンジやゴムのような変形可能な物質などから構成する固定部を備えて、プローブ20に装着されたときに、がたつかないように、安定するように、また、プローブ形状に左右されることなく、どのようなプローブ20にも装着できるようにしても良い。
【0035】
また、音響整合部12は高分子ゲル以外で構成されても良く、例えば、超音波の透過性が良く、超音波の減衰が少なく、形状が保たれる物質などから構成されても良い。また、音響整合部12として水包(水袋)を用いても良い。
また、音響整合部12の表面に更に薄膜などを設けて、媒体供給部が当該薄膜と被検体との間に媒体を供給するようにしても良い。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、超音波探触子20の送受信部21上に配置され、超音波探触子20が被検体30表面上を走査するときに当該表面に基づいて変形する音響整合部12と、音響整合部12の近傍に設けられ、当該変形に基づいて被検体30と音響整合部12との間に媒体16を供給する媒体供給部13と、音響整合部12及び媒体供給部13を超音波探触子20に固定する本体部11とを備えるものである。
【0037】
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、本体部11が音響整合部12及び媒体供給部13を収納し、また、被検体30と対向する側の面に開口部15を有し、音響整合部12及び媒体供給部13の一部が開口部15より突出していることが好ましい。
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、音響整合部12が凸部を有する凸形状を有し、当該凸部が開口部15より突出していることが好ましい。
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、媒体供給部13がロの字形状またはコの字形状を有し、前述の凸部の側面の少なくとも一部を囲うことが好ましい。
【0038】
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、開口部15が本体部11の内側から外側に至り媒体16の流路となる切り込み部11aを有することが好ましい。
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、本体部11が分割可能に構成されていることが好ましい。
【0039】
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、本体部11が、超音波探触子20と本体部11との間に配置され、超音波探触子20と本体部11とを固定するための変形可能な固定部を備えることが好ましい。
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、音響整合部12は親水性を有し、媒体16は水を含む液体であることが好ましい。
【0040】
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、音響整合部12は高分子ゲルを含むことが好ましい。
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、音響整合部12は水包であることが好ましい。
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、媒体16は水またはヒアルロン酸であることが好ましい。
【0041】
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、媒体供給部13が、音響整合部12の変形により加圧されて媒体16を供給することが好ましい。
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、媒体供給部13は、音響整合部12に接して設けれ、音響整合部12の変形により音響整合部12から直接加圧されることが好ましい。
また、本実施の形態1に係る超音波探触子用アタッチメント10は、媒体供給部13は不織布素材を有することが好ましい。
【0042】
また、本実施の形態1に係る超音波検査装置は、超音波探触子用アタッチメント10と、超音波探触子20とを備えることが好ましい。
また、本実施の形態1に係る超音波検査方法は、音響整合部12及び媒体供給部13を超音波探触子20上に固定し、超音波探触子20が被検体30の表面上を走査するときに被検体30の表面に基づいて音響整合部12が変形し、音響整合部12の変形に基づいて被検体30と音響整合部12との間に媒体供給部13が媒体16を供給し、超音波探触子30が被検体30に超音波を発振して被検体30からの超音波の反射波を受信するものである。
【0043】
(発明の実施の形態2)
以下、図面を参照して本実施の形態2に係る超音波探触子用アタッチメントについて説明する。
本実施の形態2に係るアタッチメントは、実施の形態1に係るアタッチメントの構成に加えて、媒体供給部を能動的に加圧するための手段を設けて供給増強部とし、より多くの媒体を供給するものである。
【0044】
図13は、本実施の形態2に係るアタッチメント50の外観を示す図である。被検体と対向する側の面を上にしたときの外観を示している。アタッチメント50が、本体部51と、本体部51の被検体と対向する側の面の略中央部分においてその一部が露出している音響整合部12と、当該面の音響整合部12周辺でその一部が露出している媒体供給部13とを備えている点は、実施の形態1に係るアタッチメント10と同様である。アタッチメント50は、本体部51の側面、すなわち、被検体と対向する側の面と交わる面にヒンジ53を介して供給増強部となる押圧板52が設けられている点に更なる特徴を有している。
【0045】
図14は、本実施の形態2に係るアタッチメント50をプローブ20に装着したときの概略構成を示す断面図である。押圧板52はヒンジ53を介して本体部51に接続されている。プローブ20が被検体30上を走査し、音響整合部12が変形し、媒体供給部13が加圧されて媒体を供給する点は、実施の形態1のときと同様である。
本実施の形態2に係るアタッチメント50は、走査を連続して行うときなどに、オペレータが指などで押圧板52を内側に押して媒体供給部13を押圧し、媒体供給部13からより多くの媒体を供給するものである。
【0046】
特に、音響整合部12に高分子ゲルを用いる場合は、長時間走査を行っていると、どうしても高分子ゲルの表面が乾燥して、湿潤性または潤滑性がなくなり、また、超音波が伝搬しにくくなることがある。そこで、押圧板52を用いて媒体供給部13からの媒体を強制的に供給して、高分子ゲルの表面を確実に湿潤に保ち、プローブと被検体との間を確実に潤滑にすることができるようになる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態2に係る超音波探触子用アタッチメント50は、媒体供給部13からの媒体16の供給を増強する供給増強部52を更に備えることが好ましい。
【0048】
(発明の実施の形態3)
以下、図面を参照して本実施の形態3に係る超音波探触子(超音波プローブ)について説明する。
本実施の形態3に係るプローブは、実施の形態1に係るアタッチメント10とプローブ20とを一体化したもので、音響整合部12を用いる代わりに、音響レンズを高分子ゲルなどから構成して用いるようにし、当該音響レンズ及び媒体供給部をプローブ内に収納したものである。
【0049】
図15は、本実施の形態3に係るプローブ60の外観を示す図である。プローブ60の被検体と対向する面には音響レンズ部61及び媒体供給部62が露出している。音響レンズ部61は押圧により変形可能な高分子ゲルなどから構成され、媒体供給部62は媒体を滲出可能な不織布素材などから構成される。
【0050】
図16は、本実施の形態3に係るプローブ60の概略構成を示す断面図である。プローブ60の被検体30と対向する面を下にして横から見たときの概略構成を示している。プローブ60では、被検体30と対向する面の一部を構成し、屈曲を利用して超音波を収束させる音響レンズ部61と、超音波を送受信する超音波振動子63と、超音波振動子63から後方へ放射される超音波を反射、減衰及び吸収する背面材64とが、この順番で被検体30と対向する面からプローブ60内部へと配置されている。また、音響レンズ部61の近傍には、やはり被検体30と対向する面の一部を構成し、媒体を供給する媒体供給部62が配置されている。
【0051】
音響レンズ部61は超音波整合層としての機能を併せて有していても良く、その場合は音響インピーダンスが厚み方向に順次変化するようにする。もちろん、音響レンズ部61にレンズ機能だけを持たせて、音響レンズ部61と超音波振動子63との間に別途、超音波整合層を設けることも可能である。
【0052】
プローブ60が被検体30表面上を走査したときの、音響レンズ部61及び媒体供給部62の動作は、実施の形態1に係る音響整合部12及び媒体供給部13の動作と略同様である。音響レンズ部61は被検体30の表面と接触して変形し、媒体供給部62を加圧または押圧する。そして、媒体供給部62が媒体を滲出し、被検体30の表面と音響レンズ部61との間に媒体を供給する。これにより、音響レンズ部61の表面を湿潤に保ち、超音波振動子63と被検体30との間を潤滑にして、超音波検査を良好に行えるようにすることができる。
なお、本実施の形態3に係るプローブ60においても、音響レンズ部61の表面に更に薄膜を設けて、被検体30の表面と当該薄膜との間に媒体を供給するようにすることもできる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態3に係る超音波探触子60は、自探触子60が被検体表面上を走査するときに被検体30の表面に基づいて変形する音響レンズ部61と、音響レンズ部61の近傍に設けられ、音響レンズ部61の変形に基づいて自探触子60と被検体30との間に媒体を供給する媒体供給部62とを備えるものである。
【0054】
また、本実施の形態3に係る超音波探触子60は、音響レンズ部61及び媒体供給部62が自探触子60の表面の一部となるように自探触子60に設けられ、媒体供給部62は音響レンズ部61と被検体30との間に媒体を供給することが好ましい。
また、本実施の形態3に係る超音波検査装置は前述の超音波探触子60を備えることが好ましい。