(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347725
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】電気機器収納用箱
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20180618BHJP
H02B 1/20 20060101ALI20180618BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
H02B1/40 D
H02B1/20 D
H02B1/20 H
H05K7/06 C
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-228148(P2014-228148)
(22)【出願日】2014年11月10日
(65)【公開番号】特開2016-93056(P2016-93056A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 孝美
(72)【発明者】
【氏名】出原 侑昌
【審査官】
太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−263674(JP,A)
【文献】
特開2004−64869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40− 1/44
H01H 69/00−69/01
H01H 71/00−83/22
H02B 1/00− 1/38
H02B 1/46− 7/08
H05K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電バーが差し込まれる凹状端子部を形成した電気機器を収納する電気機器収納用箱であって、複数の前記導電バーを固定する固定部と、
前記導電バーの一側部から該電気機器を挿入する際、該導電バーの他側部と当接する当接部を、該筺体に備えることを特徴とする電気機器収納用箱。
【請求項2】
前記導電バーは、前記筺体の底面と平行面への投影上で、略90°の角度を有するL字形状部分を有し、その一端部に電源線と接続する電源線接続部を有することを特徴とする請求項1記載の電気機器収納用箱。
【請求項3】
前記導電バーはプラグイン挿入部と電源線接続部を備え、該プラグイン挿入部を積層し、該電源線接続部を前記筺体の底面と平行面への投影上で、各々ずらして配置したことを特徴とする請求項2記載の電気機器収納用箱。
【請求項4】
前記導電バーを、前記筐体内でその壁面に沿って配置したことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の電気機器収納用箱。
【請求項5】
前記電気機器が、複数の凹状端子部を有する電気機器であって、その各極が差し込まれる各導電バーが、同一形状を有することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の電気機器収納用箱。
【請求項6】
前記筐体の壁面を、前記当接部としたことを特徴とする請求項4記載の電気機器収納用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器収納用箱内にブレーカや計測機器・通信機器等の電気機器を収納する際、その配線作業の手間を省く手段として、これらの電気機器に凹状端子部を形成するとともに、筺体内に導電バーを固定配置し、この凹状端子部に前記の導電バーを差し込んで接続(プラグイン接続)する技術が広く採用されている。
【0003】
上記の従来技術では、凹状端子部に導電バーを差し込む際に導電バーが動かないように、導電バーの両側を、バーホルダ等の固定部材を用いて、筐体内に固定配置している(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかし、上記の従来技術では、筺体内に、この固定部材の占有スペースを導電バーの両側に不可避的に確保せざるを得ず、筺体のコンパクト化の妨げになっているという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−187982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記の問題を解決し、この導電バーに電気機器の凹状端子部を差し込んで接続する構造を有する電気機器収納用箱において、導電バーの両側を支持することなく筐体内に固定し、筐体をコンパクト化できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記課題を解決するための手段として、導電バーが差し込まれる凹状端子部を形成した電気機器を収納する電気機器収納用箱において、複数の前記導電バーを支持する固定部と、前記導電バーの一側部から該電気機器を挿入する際、該導電バーの他側部と当接する当接部を、該筺体に備えるという構成を採用した。
【0008】
請求項2記載の発明のように、前記導電バーは、前記筺体の底面と平行面への投影上で、略90°の角度を有するL字形状部分を有し、その一端部に電源線と接続する電源線接続部を有するものであることが好ましい。
【0009】
また、請求項3記載の発明のように、前記導電バーはプラグイン挿入部と電源線接続部を備え、該プラグイン挿入部を積層し、該電源線接続部をずらして配置することが好ましい。
【0010】
また、請求項4記載の発明のように、前記導電バーは、前記筐体内でその壁面に沿って配置することが好ましく、請求項6記載の発明のように、前記筐体の壁面を、前記当接部として使用することが更に好ましい。
【0011】
また、請求項5記載の発明のように、前記電気機器が、複数の凹状端子部を有する電気機器の場合には、その各極が差し込まれる各導電バーが、同一形状を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、導電バーが差し込まれる凹状端子部を形成した電気機器を収納する電気機器収納用箱において、複数の前記導電バーを支持する固定部と、前記導電バーの一側部から該電気機器を挿入する際、該導電バーの他側部と当接する当接部を、該筺体に備える、という構成を採用しているため、従来技術のように、導電バーの両側にバーホルダ等の固定部材を使用することなく、導電バーを筐体内に固定配置することで筺体のコンパクト化を図ることができる。
【0013】
請求項2記載の発明のように、前記導電バーが、前記筺体の底面と平行面への投影上で、略90°の角度を有するL字形状部分を有し、その一端部に電源線と接続する電源線接続部を有することを特徴とする構成を採用することにより、導電バーを筐体内に省スペースで配置することができる。
【0014】
請求項3記載の発明のように、前記導電バーはプラグイン挿入部と電源線接続部を備え、該プラグイン挿入部を積層し、該電源線接続部を前記筺体の底面と平行面への投影上で、各々ずらして配置することにより、省スペース化を実現するとともに、電源線接続部に電源線をネジ固定する際の作業性を向上させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明のように、導電バーを、筐体内でその壁面に沿って配置する構成とすると、導電バーと壁面が近接配置され、導電バーと壁面間に余剰なスペースを生むことなく、筺体内を有効に活用することができる。
【0016】
請求項5記載の発明のように、前記電気機器が、複数の凹状端子部を有する電気機器の場合には、その各極が差し込まれる各導電バーが、同一形状を有する構成を採用することにより、電気機器収納用箱の製造コストを抑制することができる。
【0017】
請求項6記載の発明のように、筐体の壁面を、当接部として使用する構成を採用する場合には、当接部を新たに成形する必要がなくなるため、電気機器収納用箱の製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(実施形態1)電気機器を収納していない状態における筐体の全体斜視図である。
【
図2】(実施形態1)電気機器を収納した状態における筐体の全体斜視図である。
【
図3】(実施形態1)導電バーの他の形状を説明する垂直断面図である。
【
図4】(実施形態2)電気機器を収納していない状態における筐体の上面図である。
【
図5】(実施形態3)電気機器を収納していない状態における筐体の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
【0020】
(実施形態1)
本実施形態の電気機器収納用箱は、
図1に示すように、筺体1内の壁面5に沿って、2極分の導電バー2が固定配置されている。また、筐体1の底面の一方側には電気機器3をスライドさせて取付けるための機器取付孔18を設け、他方側には端子部及び配線孔17を設けるものとした。端子部としては、後述する導電バー2の電源線接続部12と図示しない電源線とを接続し、導電バーを固定する固定部である入線用端子台10、及びアース端子部19を設けるものとした。入線用端子部15とアース端子部16との間に形成された配線孔17は、図示しない電源線の入線及び出線に使用されるものである。
【0021】
図2に示すように、この筺体1内に収納される電気機器3には、この導電バー2にプラグイン接続される凹状端子部4が形成されている。電気機器3を筐体1内に収納する作業は、この凹状端子部4に導電バー2を差し込むだけの簡単な作業で完了することができる。本発明において、電気機器3の種類は特に限定されず、ブレーカ、避雷器、通信装置、計測装置など任意の電気機器を収納する電気機器収納用箱に適用することができる。
【0022】
電気機器3は、この導電バー2の一側部6から挿入される。電気機器3の挿入時、導電バー2に対しても、その挿入方向に力が加わるが、本実施形態では、導電バー2の他側部7と当接する当接部8を、筺体1に備えているため、この当接部8でその力を受けることができ、この力に起因する導電バー2の回転を防止することができる。
また、このような構成を採用することにより、従来技術のように、導電バー2の両側にバーホルダ等の固定部材を使用することなく、導電バー2を筐体内に固定配置することで、筺体1のコンパクト化を図ることができる。
【0023】
また、本実施形態では、電気機器3を引き抜く際の導電バー2の回転防止の為に、導電バー2を端子の片側に形成した当接壁15に当接させている。当接壁15により電気機器3の引抜時の力を受けることで、導電バー2の回転を防止することができる。
【0024】
本実施形態では、当接部8として、筐体1の壁面5に凸状部分を形成している。その他の実施形態として、筐体1の壁面5に凸状部分を設けず、フラットな状態のまま当接部8として利用したり、壁面5に薄板状の当接部材を重ねて当接部8とすることもできる。
【0025】
図2及び
図3のように、導電バー2は、筐体1内でその壁面5に沿って配置することにより、導電バー2と壁面5間に余剰なスペースを生むことなく、筺体1内を有効に活用することができる。また、それぞれの導電バー2は、同一の略L字形状(筺体の底面と平行面への投影上で、略90°の角度を有するL字形状)を有し、長辺部分を、電気機器3の凹状端子部4とプラグイン接続されるプラグイン挿入部9として使用し、短辺部分を、配線孔17から入線した電源線を接続する電源線接続部12として使用している。また、導電バー2の略L字角部には、導電バー2を入線用端子台10に固定するためのバー固定ネジ16を設けるものとした。本実施形態では、各極の接続位置に段差を設けた入線用端子台10を使用し、2極分の導電バー2のプラグイン挿入部9部分が上下に積層するように配置されているが、前記のように、それぞれの導電バー2を同一の略L字形状に形成しているため、導電バー2を筐体内に省スペースで配置することができるとともに、電源線接続部12を、筺体の底面と平行面への投影上で、各々ずらして配置することができ、電源線接続部12において容易に電源線を接続することができるものとなる。なお、固定部は筐体と一体に成型されてもよいし、別体の端子台を筐体に固定するものであってもよいものとする。
【0026】
なお、導電バー2の形状は、上記構造に限定されず、例えば、
図3に示すように、略L字に配置されたプラグイン挿入部9と電源線接続部12との高さに段差が形成されるように、プラグイン挿入部9と電源線接続部12の接合部分に段差部13を形成した構造として、段差のない入線用端子台10との組み合わせで使用することもできる。段差のない入線用端子台10とすることで、電源線接続部12のネジを締付けるためのドライバーを容易に端子ネジにアクセスすることができる。また、何れの形態においても各導電バー2のプラグイン挿入部9の電源線接続部12の反対側に延びる端部を同一位置で揃えたものとしてもよい。そうすれば、電気機器3を、電気機器3の各極の端子部の配置に関係なく導電バー2に接続することができる。
【0027】
(実施形態2)
本実施形態では、
図4に示すように、略L字形状を有する導電バー2のプラグイン挿入部9部分を、筺体1の側壁面14と当接する長さとして、当接部8として、筺体1の側壁面14に、このプラグイン挿入部9の先端部分が係止される凹状部分を形成している。
【0028】
本実施形態によれば、
図4の紙面の上方向および下方向の双方から、プラグイン挿入部9に電気機器3を挿入することができ、電気機器3の挿入時および引抜時に、其々、導電バー2に対して加わる力を、一つの当接部8で受けることができる。
【0029】
(実施形態3)
本実施形態では、
図5に示すように、当接部8として、入線用端子台10に、略L字形状を有する導電バー2のうち略L字の内角部分と当接する箇所を形成している。本実施形態は、入線用端子台10の配置位置に制限があり、上記実施形態1や2のような配置を採用できない場合等に有効な手段となる。
【符号の説明】
【0030】
1 筺体
2 導電バー
3 電気機器
4 凹状端子部
5 壁面
6 一側部
7 他側部
8 当接部
9 プラグイン挿入部
10 入線用端子台(固定部)
12 電源線接続部
13 段差部
14 側壁面
15 当接壁
16 バー固定ネジ
17 配線孔
18 機器取付孔
19 アース端子部