(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変換量算出手段は、前記代表色と前記指定色とを、それぞれ、色相(H)、彩度(S)、明度(V)の3つの指標から成るHSV値に変換した後、該HSV値を用いて前記変換量の算出を行うことを特徴とする請求項1記載の画面パーツ生成装置。
前記変換量算出手段によって算出される前記変換量は、前記代表色の色相(H)を前記指定色の色相(H)に変換する為の変換量、前記代表色の彩度(S)を前記指定色の彩度(S)に変換する為の変換量、前記代表色の明度(V)を前記指定色の明度(V)に変換する為の変換量であることを特徴とする請求項2記載の画面パーツ生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本例の画像パーツ生成装置10の機能ブロック図である。
画像パーツ生成装置10は、プログラマブル表示器の操作表示画面の作成に用いられる各種アイテムに係わる画像(パーツ画像)を、任意に作成させる装置である。各種パーツ画像は、各アイテムに応じて、様々な形状、デザインの画像が作成されるものであり、更に形状・デザインが同一で色違いのパーツ画像が複数作成される場合もある。
【0017】
本例の画像パーツ生成装置10は、この様な形状・デザインが同一で色違いのパーツ画像の作成作業負担を、軽減させることができる。その為に、開発者等が、予め任意の形状・デザインのアイテム画像を作成して、これを基準画像として登録しておく。
【0018】
この基準画像の色は、開発者等が任意に決めた色であってよいが、上述したことから、デザイン等が色に影響する場合がある。例えば、3Dデザイン等の影響により、光が当たる部分が明るい色表現となったり、影となる部分が“くすんだ”色などの色表現となる場合がある。例えば一例として、任意の形状・デザインのアイテム画像に関して、普通の赤色の部分と、“くすんだ”赤色の部分と、明るい赤色の部分とを有するパーツ画像があり得る。尚、この様なものを、赤色系のパーツ画像と呼ぶものとする。勿論、赤色系に限らず、青色系、黄色系、紫色系など、様々な色系のパーツ画像があり得る。
【0019】
画像パーツ生成装置10は、任意の形状・デザインのパーツ画像に関して、任意の色系の基準画像などを予め用意しておくことで、色違いの(他の色系の)パーツ画像を容易に生成できるものである。
【0020】
画像パーツ生成装置10は、ユーザが任意の色を指定すると、基準画像に基づいて、この基準画像のデザイン等を指定色に反映させるようにして当該指定色に応じたパーツ画像を生成する。この様にして、基準画像とは色違いのパーツ画像を、自動的に生成できる。つまり、ユーザは任意の色を指定する作業を行えばよく、作業負担が軽減される。
【0021】
画像パーツ生成装置10は、例えば、作画エディタ装置に、備えられる。但し、この例に限らない。作画エディタ装置は、上述したように、プログラマブル表示器の操作表示画面などを、ユーザに任意に作成させる機能を有するコンピュータ装置等である。
【0022】
図示の画像パーツ生成装置10は、基準画像記憶部11、マスク画像記憶部12、任意色指定部13、画像データ作成処理部14の各種機能部を有する。尚、図示のように、画像データ作成処理部14は、代表色決定部21、変換量算出部22、変換部23、マスク処理部24等から成るものであるが、これらについては後述するものとし、ここでは、これらを纏めた画像データ作成処理部14としての処理機能について説明するものとする。
【0023】
本手法では、任意のアイテムに係わるパーツ画像を、予め、最低1種類作成して記憶しておく。これを基準画像と呼ぶものとする。基準画像は、上記任意のアイテムに係わる任意の形状・デザイン・色のパーツ画像である。基準画像は、予め開発者等が任意に作成して上記基準画像記憶部11に格納しておく。上記任意のアイテムに係わるパーツ画像を、更にもう一種類、予め作成しておくようにしてもよく、これを色差分検出用画像と呼ぶものとする。色差分検出用画像は、予めマスク画像記憶部12に格納しておく。
【0024】
これら基準画像、色差分検出用画像の具体例を
図2(a)に示しており、後に説明する。色差分検出用画像は、例えば、形状・デザインは基準画像と同じであるが、色違いの画像である。但し、全てにおいて色違いとは限らず、基準画像と同色である部分を有するものであってもよい。尚、色差分検出用画像は、必須ではなく、基準画像だけであってもよいが、本説明で用いる一例(
図1、
図2等)では、各アイテム毎に、上記2種類のパーツ画像すなわち基準画像、色差分検出用画像を、予め記憶しておくものとする。
【0025】
そして、画像データ作成処理部14が、各アイテム毎に、これら2種類のパーツ画像に基づいて、これら2種類のパーツ画像の色系以外の他の色系のパーツ画像を、作成する。画像データ作成処理部14は、任意色指定部13によって任意に指定された色に応じたパーツ画像を、自動的に作成する。画像データ作成処理部14は,この指定色と上記基準画像とに基づいて、当該指定色の色系であって基準画像のデザイン等を反映させた各色を有するパーツ画像を生成する。これは、例えば、明るい部分や影となる部分を反映させた各色を有するパーツ画像を生成する。
【0026】
上記基準画像、色差分検出用画像の一例を
図2(a)に示す。
図2(a)には、アイテム種別がボタンであり形状が図示のような四角形であるアイテムに係わる基準画像と色差分検出用画像を示す。図上、左側が基準画像、右側が色差分検出用画像である。
【0027】
図示のボタンの形状を更に詳しく説明するならば、枠と、この枠内のボタン本体部分とから構成される。枠は、両方とも同じ色(例えば銀色)であり、ボタン本体部分が両者で色系が異なる。ここでは、ボタン本体部分が、基準画像が紫色系であり、マスク用画像が青色系であるものとする。
【0028】
この例では、画像データ作成処理部14は、このボタン本体部分が、紫色系、青色系以外の任意の色系となるパーツ画像を、生成することになる。本例では、任意色指定部13による指定色に応じたパーツ画像を、生成する。
【0029】
任意色指定部13は、ユーザに任意の所望の色を指定させる。
画像データ作成処理部14は、任意色指定部13で指定された色に応じた新たなパーツ画像を、上記2種類のパーツ画像すなわち基準画像と色差分検出用画像に基づいて生成する。但し、この例に限らず、例えば色差分検出用画像や後述するマスク用画像等は、必ずしも必要なものではない。すなわち、基準画像のみに基づいて、指定色に応じた新たなパーツ画像を生成する構成であってもよい。これについては、後に説明するものとし、ここでは色差分検出用画像や後述するマスク用画像等も用いる例について説明する。
【0030】
ここで、上述したように、単純に任意色指定部13で指定された色のパーツ画像を、生成すれば良いわけではない。
図2(a)に示すように、例えば基準画像におけるボタン本体部分の色は、上記のように紫色系である。紫色系とは、全てが単純な紫ではなく、ボタン本体部分の上側は、光沢等を表現している為に明るい紫となっており、ボタン本体部分の下側は、影等を表現している為に“くすんだ”紫色となっている。これは、基準画像だけでなく色差分検出用画像についても同様である。例えば、上記青色系の場合、基本的には青色であり、これ以外に、明るい青色の部分と、“くすんだ”青色の部分とが存在することになる。
【0031】
これより、任意色指定部13で指定された色が仮に黄色であった場合には、この指定色に応じて生成されるパーツ画像は、形状・デザインが上記基準画像と同じである黄色系のパーツ画像となる。つまり、上記ボタン本体部分の色が、基本的には黄色であるが、その上側は光沢等を表現する明るい黄色となり、その下側が影等を表現する“くすんだ”黄色となるパーツ画像が、画像データ作成処理部14によって生成されることになる。
【0032】
この様な新パーツ画像の生成処理については、詳しくは後述するが、例えば基準画像に対して後述する変換処理を実行することで、新パーツ画像を生成する。その際、色差分検出用画像を用いて基準画像の一部をマスクすることで、マスクされない部分のみを変換処理対象とするようにしてもよい。詳しくは後述する。
【0033】
尚、画像パーツ生成装置10は、特に図示しないが、例えばCPU/MPU等の演算プロセッサ、メモリ等の記憶部などを有している。そして、不図示の記憶部には予め所定のアプリケーションプログラムが記憶されている。上記不図示の演算プロセッサが、このアプリケーションプログラムを実行することで、たとえば上記任意色指定部13、画像データ作成処理部14(代表色決定部21、変換量算出部22、変換部23、マスク処理部24)などの各種機能が実現される。また、上記不図示の記憶部の記憶領域の一部が、基準画像記憶部11やマスク画像記憶部12等となると見做しても構わない。
【0034】
図3に、画像データ作成処理部14の処理フローチャート図を示す。
図3において、例えばユーザによって任意のアイテムが指定されると、このアイテムに対応する上記基準画像と色差分検出用画像とを読み込む(ステップS11,S12)。
【0035】
そして、まず、基準画像と色差分検出用画像とを比較して、両者で色が同じである部分を検出してこの部分をマスクする。つまり、上記2種類の画像で同色である部分は、処理対象から除外し、それ以外の部分を処理対象とする(ステップS13)。これは、例えば、同じ座標のピクセル(画素)同士を比較して、色が同一であるか否かを判定し、同一である画素はマスクするものである。そして、マスクされない部分を、“処理対象画像”とする。
【0036】
上記ステップS13の処理は、上記
図2に示す例の場合、まず、基準画像と色差分検出用画像とを比較して、両者で色が同じである部分を検出してこの部分を
図2(b)に示すようにマスク用画像として抜き出す。この例では、図示の枠部分が、マスク用画像として抜き出されることになる。そして、このマスク用画像によって基準画像をマスクする処理を行うことで、この例では枠部分がマスクされることになり、これによって実質的に
図2(c)に示す部分(この例では上記ボタン本体部分)が“処理対象画像”となる。
【0037】
尚、この例に限らず、例えば上記マスク用画像(
図2(b)の例では枠部分)を、予め生成しておき、これを上記色差分検出用画像の代わりに上記マスク画像記憶部に予め記憶しておく形態であっても構わない。
【0038】
上述したステップS13の処理以降は、任意色指定部13で指定された色(指定色)と、上記“処理対象画像”とを用いて処理実行することになる。
すなわち、まず、“処理対象画像”において代表となる色を判別して“代表色”とする(ステップS14)。この処理は、例えば、“処理対象画像”の全ピクセル(画素)の色を判別して、最も多い色を“代表色”とする。換言すれば、処理対象画像において最も面積が大きい色を“代表色”とする。
【0039】
上記
図2(a)の例では、ボタン本体部分の色は、概略的には、普通の紫色、明るい紫色、“くすんだ”紫色から成り、ボタン本体部分の色として最も多い色は、普通の紫色となる。よって、普通の紫色が“代表色”となる。
【0040】
続いて、この代表色を、RGB値からHSV値に変換する(ステップS15)。また、指定色も、RGB値からHSV値に変換する(ステップS16)。よく知られているように、一般的に、色はRGB値によって表される場合が多い。上記基準画像や色差分検出用画像も、RGB値によって各ピクセルの色を表している。ステップS15の処理では、これを、HSV値に変換する。このRGB−HSV変換処理自体は、既存技術であり、ここでは特に詳細には説明しないものとする。
【0041】
ここで、HSV値について、
図4を参照して説明する。
HSVカラーモデルは、色を、“色相(H)”、“彩度(S)”、“明度(V)”の3つの指標で数値化したものであり、
図4(a)に示す円錐型HSVモデルや、
図4(b)に示す円筒型HSVモデル等が知られている。
【0042】
“色相(H)”は、色合いを示す指標であり、
図4(a)、(b)に示すように、円における0°〜360°の角度を用いて数値化するものである。例えば、0°(360°)が赤色であり、120°が緑色であり、240°が青色である。
【0043】
“彩度(S)”は、色の鮮やかさを示す指標であり、0.0〜1.0(0%〜100%)で数値化される。数値が大きい程、純色に近くなり、数値が小さいほど白、黒、灰色に近くなる。
【0044】
“明度(V)”は、色の明るさを示す指標であり、0.0〜1.0(0%〜100%)で数値化される。
例えば上述した普通の紫色と明るい紫色と“くすんだ”紫色とでは、“色相(H)”はほぼ同じであるが、“彩度(S)”や“明度(V)”が異なることになる。この様な関係の色群を、紫色系と呼ぶものとする。これを利用して、“彩度(S)”や“明度(V)”は基準画像のままとし、“色相(H)”だけを変更する処理が、後述するステップS19等の処理である。詳しくは後述する。
【0045】
本手法は、任意の色系の基準画像から、指定色の色系のパーツ画像を生成するものと言える。これは上記具体例の場合、紫色系の基準画像から、黄色系のパーツ画像を生成するものと言える。
【0046】
図3の説明に戻る。
上記ステップS15、S16によって得たHSV値を用いて、代表色から指定色への変更値(オフセット値)を求める(ステップS17)。つまり、代表色を指定色に変換させる為の変換量を算出する。
【0047】
この変更値は、本例では、“色相(H)”に関しては代表色と指定色との差分を求め、“彩度(S)”と“明度(V)”に関しては代表色と指定色との比率を求める。すなわち、以下の各式により各変更値(オフセット値)を算出する。
・「色相(H)のオフセット値」=「指定色の色相(H)」−「代表色の色相(H)」
・「彩度(S)のオフセット値」=「指定色の彩度(S)」÷「代表色の彩度(S)」
・「明度(V)のオフセット値」=「指定色の明度(V)」÷「代表色の明度(V)」
但し、この例に限らない。上記変更値の算出処理は、例えば、“色相(H)”、“彩度(S)”、“明度(V)”の全てにおいて、代表色と指定色との差分を求めるようにしてもよい。但し、この方法よりも上記「“彩度(S)”と“明度(V)”に関しては比率を求める」方法の方が、より良い結果が得られることが、本出願人により実験等によって確認されている。
【0048】
続いて、上記“処理対象画像”(例えば、ボタン本体部分など)に関して、上記代表色以外の他の色についても、全て、RGB値からHSV値に変換する(ステップS18)。上記一例では代表色である“普通の紫色”については既にHSV値を求めてあるので、他の色である「明るい紫色」、「“くすんだ”紫色」についても、それぞれ、そのRGB値をHSV値に変換する。
【0049】
そして、上記“処理対象画像”の全ての色に関して、それぞれ、上記HSV値に対して上記変更値(オフセット値)を用いて、色変換を行う(ステップS19)。
上記色変換処理は、上記“処理対象画像”の各色を順次、変換対象色として、以下の式によって色変換を行う。
【0050】
・「変換後の色相(H)」=「変換対象色の色相(H)」+「色相(H)のオフセット値」
・「変換後の彩度(S)」=「変換対象色の彩度(S)」×「彩度(S)のオフセット値」
・「変換後の明度(V)」=「変換対象色の明度(V)」×「明度(V)のオフセット値」
上記一例では、「普通の紫色」、「明るい紫色」、「“くすんだ”紫色」のそれぞれに関して、上記「変換後の色相(H)」及び「変換後の彩度(S)」及び「変換後の明度(V)」を求める。
【0051】
そして、この変換後のHSV値を、上記“処理対象画像”の各ピクセル(画素)に反映させる(ステップS19)。例えば、「“くすんだ”紫色」の画素の色は、「“くすんだ”紫色」に関して求められた上記「変換後の色相(H)」及び「変換後の彩度(S)」及び「変換後の明度(V)」に変更する。
【0052】
最後に、全ての画素について上記変換後のHSV値をRGB値に変換する(ステップS20)。これによって、基準画像と同じ形状・デザインであって指定色に応じた色系の新たなパーツ画像が、自動的に生成される。上記一例では、ステップS19の処理により、「普通の紫色」は「普通の黄色」に色変換され、「明るい紫色」は「明るい黄色」に色変換され、「“くすんだ”紫色」は「“くすんだ”黄色」に色変換されることになる。そして、ステップS20の処理により、「普通の紫色」である画素は全て「普通の黄色」に色変換され、「明るい紫色」である画素は全て「明るい黄色」に色変換され、「くすんだ紫色」である画素は全て「くすんだ黄色」に色変換されることになる。これによって、上記新たなパーツ画像が生成されることになる。
【0053】
尚、上記ステップS18,S19の処理は、上記“処理対象画像”の全てのピクセル(画素)に対して、その色を上記変更値(オフセット値)を用いて色変換する処理としても構わない。
【0054】
また、尚、H値はラジアン値なので、上記ステップS19の変換処理において、上記「変換後の色相(H)」が最大値(360°)を越えた場合には360°を引くことで範囲内に収める。尚、範囲内とは、0°〜360°の間である。
【0055】
つまり、「変換後の色相(H)」
>360である場合には、
「変換後の色相(H)」(修正値)=「変換後の色相(H)」−360
とする。
【0056】
同様に、上記「変換後の色相(H)」が最小値(0°)を下回った場合つまり負の値となった場合には、360°を加算することで範囲内に収める。
つまり、「変換後の色相(H)」<0である場合には、
「変換後の色相(H)」(修正値)=「変換後の色相(H)」+360
とする。
【0057】
図5に、
図2の例に応じた上記変換処理のイメージを示す。
図5において、左側には基準画像を示し、右側には変換画像すなわち指定色に応じたパーツ画像を示す。上記の通り、一例としては、基準画像は紫色系となっており、変換画像は黄色系となる。基準画像において光が当たっている部分は、変換画像においても光が当たっているような色彩となる。つまり、上記「明るい黄色」となる。同様に、基準画像において影となっている部分は、変換画像においても影となっているような色彩となる。つまり、上記「くすんだ黄色」となる。
【0058】
また、この例において、仮に指定色が「くすんだ黄色」であった場合には、「普通の紫色」である画素は全て「くすんだ黄色」に変換され、「くすんだ紫色」である画素は全て「更にくすんだ黄色」に変換され、「明るい紫色」である画素は全て例えば「普通の黄色」に変換されることになる。このように、本手法では、元画像(基準画像)のデザイン性を維持しつつ、任意の指定色に応じたパーツを自動生成することができる。デザイン性とは、例えば光が当たっている部分や影の部分等があることであるが、この例に限らない。
【0059】
例えば上記一例のように、「普通の紫色」を「普通の黄色」に変換する為の変換値(色相(H)=−240°)を算出して、他の同色系(ここでは紫色系)の部分すなわち「くすんだ紫色」の部分や「明るい紫色」も、同じ変換値で色相のみを変更する。これによって、「普通の紫色」の部分と、光沢や影を表現している部分との、相対的な彩度、明度の差を残しつつ黄色系に変えることができる。つまり、元々のデザインによる光が当たっている感じや色がくすんでいる感じを残しつつ、黄色系のパーツ画像を自動生成することができる。つまり、自然な色調変更を実現できる。換言すれば、元画像とは異なる色系のパーツ画像を、元画像のデザインによる色の明るさ/鮮やかさをそのまま維持する形で生成することができる。
【0060】
また、画像全体の明暗を変えたり、鮮やかさを変える場合も、同様に、全てのピクセルのS値やV値を、同じ変換値により変更することで、各ピクセル間の相対的なH,S,V値の差を残しつつ色調変更を行うことで、新たなパーツ画像を生成することができる。
【0061】
尚、上述した例に限らず、例えば以下に説明する変形例であっても構わない。
変形例では、上記色差分検出用画像は用いない。代わりに、上記“処理対象画像”を、予め生成しておき記憶しておく。尚、処理対象画像の作成方法は、上記ステップS11〜S13の処理であって構わない。つまり、この例では、上記ステップS11〜S13の処理を逐一実行するのではなく、予め実行しておき、処理結果を記憶しておくものと見做してもよい。更に、予め上記マスク用画像(例えば枠部分)を作成して保存しておく。
【0062】
そして、上記ステップS11、S12、S13の処理の代わりに、当該予め記憶してある“処理対象画像”を読み出す処理を実行する。更に、ステップS20の処理を実行後に、生成したツール画像に対して上記マスク用画像(上記一例では枠の画像)を合成する処理を行うことで、ツール画像を完成させる。
【0063】
以上が変形例の処理例であるが、この例に限らず、他の変形例があっても構わない。
また、上記一例ではRGB値をHSV値に変換して処理実行したが、この例に限らない。例えば、RGB値をHLS値に変換して処理実行するようにしてもよい。
【0064】
また、上述したように、RGB値からHSV値への変換処理、HSV値からRGB値への変換処理は、既存技術であるが、以下、簡単に説明しておく。
例えば、Microsoft Foundation Class (MFC)の場合、以下の2つの関数が用意されている。
【0065】
CDrawingManager::RGBtoHSV (色をRGB表現からHSV表現に変換)
CDrawingManager::HSVtoRGB (色をHSV表現からRGB表現に変換)
よって、これらの関数を用いれば、RGB値からHSV値への変換処理、HSV値からRGB値への変換処理を、実現できる。
【0066】
また、RGB値からHSV値への変換式を、以下に示す。
Imax=Max(R,G,B)
Imin=Min(R,G,B) とした場合、
・R=Imaxのとき、
H=60×(G−B)/(Imax−Imin)
・G=Imaxのとき、
H=60×(B−R)/(Imax−Imin)+120
・B=Imaxのとき、
H=60×(R−G)/(Imax−Imin)+240
S=(Imax−Imin)/Imax
V=Imax
また、HSV値からRGB値への変換式を、以下に示す。
【0067】
h=floor(H/60)・・・floor()は、()内の算出値の小数点以下の切捨て処理
P=V×(1−S)
Q=V×(1−S×(H/60−h))
T=V×(1−S×(1−H/60+h))
として、hの値に応じて下記のように決定する。
・h=0のとき
R=V, G=T, B=P
・h=1のとき
R=Q, G=V, B=P
・h=2のとき
R=P, G=V, B=T
・h=3のとき
R=P, G=Q, B=V
・h=4のとき
R=T, G=P, B=V
・h=5のとき
R=V, G=P, B=Q
ここで、上述した説明では、画像データ作成処理部14の処理として一纏めで説明したが、
図1に示すように、画像データ作成処理部14は、代表色決定部21、変換量算出部22、変換部23、マスク処理部24などの各種機能部から成るものである。これより、以下、これら各種処理機能部21〜24を用いて、上記画像パーツ生成装置10の処理を説明する。
【0068】
まず、上記基準画像記憶部11は、任意のアイテムに係わる任意の形状・デザインの任意の色系のパーツ画像である基準画像を予め記憶する。これは、一例としては、例えば、任意の形状・デザインであって紫色系のパーツ画像を、基準画像として予め記憶する。この場合、当該紫色系とは、例えば、普通の紫色、明るい紫色、“くすんだ”(暗い)紫色等から成るものである。
【0069】
任意色指定部13は、上記の通り、ユーザに任意の色を指定させる。
代表色決定部21は、上記基準画像の色系から代表色を決定する。上記一例では、普通の紫色、明るい紫色、“くすんだ”(暗い)紫色の3色の中から代表色を決定することになる。決定方法は、例えば、面積が最も大きい色すなわち画素数が最も多い色を、代表色とするが、この例に限らない。
【0070】
変換量算出部22は、この代表色を上記任意色指定部13による指定色に変換させる為の変換量(変換値)を算出する。
これは、例えば、何れもRGB値である上記代表色と指定色とを、それぞれ、色相(H)、彩度(S)、明度(V)の3つの指標から成るHSV値に変換した後、該HSV値を用いて上記変換量の算出を行うものである。この例では、変換量算出部22によって算出される上記変換量は、代表色の色相(H)を指定色の色相(H)に変換する為の変換量、代表色の彩度(S)を指定色の彩度(S)に変換する為の変換量、代表色の明度(V)を指定色の明度(V)に変換する為の変換量等となる。但し、この例に限らない。
【0071】
変換量の算出は、上記一例では、色相(H)に関しては代表色と指定色との差分を求めるが、この例に限らない。同様に、上記一例では、彩度(S)と明度(V)に関しては、代表色と指定色との比を求めるが、この例に限らない。
【0072】
変換部23は、上記基準画像の各色を、上記変換量算出部22で算出された変換量(変換値)を用いて、変換する。例えば上記一例では、普通の紫色、明るい紫色、“くすんだ”(暗い)紫色の各色を、上記変換量(変換値)を用いて、変換する。これによって、上記任意のアイテムに関して上記基準画像の色系以外の色系のパーツ画像が生成されることになる。つまり、基準画像と形状・デザインは同一であるが色違いのパーツ画像が、生成されることになる。特に、基準画像の形状・デザインに応じた光沢や影となる部分が、生成されるパーツ画像にも反映されるようにすることができる。
【0073】
尚、上記のことから、一例としては、上記基準画像の色系の各色は、色相(H)は略同様であるが、前記彩度(S)と明度(V)は異なるものと見做すこともできる。上記一例では、「普通の紫色」と「明るい紫色」と「“くすんだ”(暗い)紫色」とでは、色相(H)は略同様(紫色)であるが、彩度(S)と明度(V)は異なることは明らかである。
【0074】
そして、これより、一例としては、変換部23によって生成される上記パーツ画像は、指定色に係わる色系の各色から成るものであって、これら各色は指定色と色相(H)は同じであるが、彩度(S)と明度(V)は異なるものとなる。
【0075】
また、上記の通り必須ではないが、マスク画像記憶部12とマスク処理部24を、更に有するものであってもよい。マスク画像記憶部12には、予め上記基準画像に関連する画像である関連画像が記憶されている。この関連画像は、例えば上記
図2(a)に示す色差分検出用であってもよいし、
図2(b)に示すマスク用画像であってもよい。後者の場合、予めステップS13の処理を行ってマスク用画像を生成して、これを記憶しておけばよい。尚、これより、マスク画像記憶部12は、関連画像記憶部と呼んでも構わない。
【0076】
マスク処理部24は、上記関連画像を用いて、基準画像の一部をマスクする。例えば
図2(b)に示すマスク用画像(枠部分)をマスクする。これより、代表色決定部21と変換量算出部22と変換部23は、マスクされた部分以外を処理対象して、上述した各種処理を実行する。上記一例では、
図2(c)に示す処理対象画像に対して、上述した各種処理を実行する。勿論、上記指定色に応じたパーツ画像が生成されたら、最後にマスクを解除する。