(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の現像剤搬送手段による前記軸方向に現像剤を搬送する搬送力と、前記第二の現像剤搬送手段による前記軸方向に現像剤を搬送する搬送力と、に差があることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】攪拌搬送部材が有する複数の現像剤搬送手段を説明する模式図である。
【
図3】シート部材の搬送面に形成された開口部の一例である。
【
図4】シート部材の搬送面に形成された開口部の他の一例である。
【
図5】トナーボトルから現像剤容器へトナーが補給された初期の状態を示す模式図である。
【
図6】トナーボトルから現像剤容器へトナーが補給された初期の状態を示す模式図である。
【
図7】トナーボトルから供給されたトナーが、攪拌搬送部材の第一の現像剤搬送手段と第二の現像剤搬送手段とによって搬送される状態を示す模式図である。
【
図8】シート部材の搬送面に形成された切り込み部の説明図である。
【
図9】本発明に係る第2実施形態を説明する模式図である。
【
図10】トナー補給口が、攪拌搬送部材の回転軸の軸方向中央に位置していない場合を説明する模式図である。
【
図11】本発明に係る第3実施形態を説明する模式図である。
【
図12】本発明に係る第4実施形態を説明する模式図である。
【
図13】本発明に係る第4実施形態を説明する模式図である。
【
図14】本発明に係る第4実施形態のさらに他の例を説明する模式図である。
【
図15】本発明に係る第4実施形態のさらに他の例を説明する模式図である。
【
図16】本発明に係る第5実施形態を説明する模式図である。
【
図17】本発明に係る第5実施形態のトナー補給口が低い位置に設けられた場合を説明する模式図である。
【
図18】本発明に係る第5実施形態のトナー補給口が高い位置に設けられた場合を説明する模式図である。
【
図19】本発明に係る第5実施形態を説明する模式図である。
【
図20】本発明に係る第5実施形態を説明する模式図である。
【
図21】本発明に係る第5実施形態を説明する模式図である。
【
図22】トナー補給口の高さとトナーボトルから現像剤容器へのトナー送り量との関係を示すグラフである。
【
図23】トナー補給口の高さとトナー剤面高さとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る現像装置1の概略図である。
【0013】
現像装置1は、電子写真方式等を採用した複写機やプリンタ、あるいはファクシミリ等の画像形成装置に使用される現像装置である。現像剤収容部としての現像剤容器2は、不図示の像担持体である感光ドラム表面に形成された静電潜像を可視化するための磁石が内包された現像剤担持体としての現像ローラ3を有する。また、現像装置1は、現像剤としてのトナー8を帯電させるとともに現像ローラ3の表面に形成されたトナー層を規制する現像ブレード4と、現像ローラ3にトナー8を供給するトナー搬送部材5と、を有している。さらに、現像剤収容部内の現像剤を攪拌搬送する部材として、現像剤容器2には、トナー搬送部材5へトナー8を攪拌しつつ供給・搬送する攪拌搬送部材6を備えている。
これにより、静電潜像を現像する現像剤を搬送する現像剤搬送装置が設けられている。
【0014】
トナーボトル7は、現像剤容器2に対して着脱可能な現像剤補給部であり、その現像剤補給部内には磁性一成分トナー8が収容され、現像剤容器2へのトナー8の補給が行われる開口であるトナー補給口9
が存在する。また、トナーボトル7は、その内部で回転可能な攪拌部材10を有する。攪拌部材10は、トナーボトル7のトナー8を、トナー補給口9を介して現像剤容器2へ供給する。供給されたトナー8は、攪拌搬送部材6におけるトナー補給口9に対向する対向領域11へ案内される。
【0015】
図2は、攪拌搬送部材6が有する複数の現像剤搬送手段を説明する模式図であり、現像剤容器2にトナーボトル7をトナー補給口9と攪拌搬送部材の対向領域11とが対向可能となるように取り付けた構成の内部を、上部から見た模式図である。
【0016】
攪拌搬送部材6は、現像ローラ3の回転軸方向と同じ方向に沿って延在する回転軸12と、その回転軸12に対して直交する方向の辺と回転軸12の軸方向の辺とを有する搬送面13を備えた
シート状の部材であるシート部材14とを有している。シート部材14は、回転軸12に取り付けられて、現像剤収容部である現像剤容器2の内部を、回転軸12を中心に回転可能に設けられている。また、シート部材14は、回転半径方向における回転中心から回転端までの間に、回転軸12の軸方向に現像剤であるトナー8を搬送する現像剤搬送手段を複数有している。
【0017】
現像剤容器2には、攪拌搬送部材6の回転軸12より下方に、トナー補給口9からトナー搬送部材5へ搬送されるトナー8が貯留されている。また、シート部材14の搬送面13には、回転軸12の回りをトナー補給口9から現像剤容器2の内部下方を経てトナー搬送部材5の方向へ回転することで、回転軸12の軸方向に沿ってトナーを搬送移動させる複数の現像剤搬送手段を備えている。ここでは、現像剤搬送手段は、
シート部材14の搬送面13に回転軸12の軸方向に沿って延在する、第一の現像剤搬送手段15と
、第一の現像剤搬送手段15とは回転軸12との距離が異なる位置に形成された、第二の現像剤搬送手段16とから構成されている。そして、第一の現像剤搬送手段15は、第二の現像剤搬送手段16よりも回転軸12の回転半径方向における
距離が異なる位置で回転端の側に併設して配置されている。
【0018】
ここで、第一の現像剤搬送手段15によるトナー8の搬送方向と第二の現像剤搬送手段16によるトナー8の搬送方向とは回転軸12の軸方向に関して互いに逆方向となるように構成されている。このような搬送方向が互いに逆方向である現像剤搬送手段15、16は、攪拌搬送部材6の回転に伴って、搬送面13の面にそれぞれのトナー搬送経路を形成する。搬送面13の面に沿って第一の現像剤搬送手段15で回転軸12の軸方向の一方端側へ搬送されたトナー8は、そこで第二の現像剤搬送手段16によって、反対側の端部側へ向かって循環するように搬送される。
【0019】
これにより、
現像剤搬送方向を回転軸として回転するシート部材14によって、現像剤容器2の端部でのトナー8の滞留を防止して、より均一化されるようにトナー8を攪拌することができる。
【0020】
第一の現像剤搬送手段15と第二の現像剤搬送手段16とは、シート部材14の現像剤搬送面13に、以下に述べるような所定形状の開口部17がそれぞれ列状に複数配置されている。
【0021】
開口部17は、軸方向に沿ったトナー搬送方向に直交する向きの開口の大きさ(開口幅)が大きくなるような形状を有している。搬送面13が回転軸12の軸回りを回動すると、搬送面13に押し動かされるトナー8が搬送面13の表側から裏側(回転方向の前方から後方)へ向けて開口部17を抜ける際に、開口部17の開口幅の小さい方から大きい方へ移動する。このトナー8の移動によって、所定の方向へのトナー搬送が生じる。これは、回転する搬送面13に対するトナー8からの圧力が小さくなる方向へ、すなわち、開口幅が大きくなる方向へ、トナー8が搬送面13に押されて移動することで上述のような所定方向へのトナー搬送が行われることによる。
【0022】
図3は、現像剤搬送手段としてのシート部材14の搬送面13に形成された開口部17の一例である。
【0023】
開口部17は、搬送面13が受けるトナー8の圧力が小さくなるように開口幅が大きくなるような、トナー8を搬送する方向とは逆方向に三角形の頂点が向いている形状
の孔である。したがって、第一の現像剤搬送手段15の複数の開口部17の三角形の頂点の向きと、第二の現像剤搬送手段16の複数の開口部17の三角形の頂点の向きとは、互いに逆の関係になっている。
【0024】
図4は、シート部材14の搬送面13に形成された開口部17の他の一例である。
【0025】
シート部材14の搬送面13に形成された開口部17の形状は、現像剤容器2の内部での攪拌搬送部材6の回転によって上述のようなトナー8の移動を生じさせる形状であれば良く、ここでは開口部17の形状が台形である例を説明する。この開口部17は、トナー8を搬送させたい方向に関して、開口の大きさ(開口幅)が大きくなるように台形形状を搬送面13に配置する。すなわち、トナー8を搬送させたい方向に、台形の上底から下底が位置するように、台形形状の開口部17が、
図2の2つの現像剤搬送手段15、16の三角形の開口部17それぞれに代わって設けられ、同様のトナー8の攪拌搬送効果を奏している。
【0026】
図5と
図6とは、トナーボトル7から現像剤容器2へトナー8が補給された初期の状態を示す模式図である。
【0027】
トナーボトル7のトナー補給口9から搬送面13の対向領域11にトナー8が補給される初期の状態では、攪拌搬送部材6が回転することにより、シート部材14の搬送面13の回転半径方向の回転端側でトナー8をトナー搬送部材5側へ供給すべく搬送する。その際に、第一の現像剤搬送手段15により、攪拌搬送部材6の回転軸12の軸方向に沿った方向にもトナー8を搬送する。ここで、攪拌搬送部材6の回転軸12の軸方向は、現像剤容器2の長手方向に沿った方向でもある。また、現像剤容器2の長手方向は、現像ローラ3の回転軸方向に沿った方向でもある。
【0028】
図7は、トナーボトル7から供給されたトナー8が、シート部材14の搬送面13と、その搬送面13に形成された第一の現像剤搬送手段15と第二の現像剤搬送手段16とによって搬送される状態を示す模式図である。
【0029】
トナー補給口9から対向領域11へトナー8が補給され、対向領域11のある領域のトナー量が増加すると、現像剤容器2の内部で回転する攪拌搬送部材6によって、対向領域11のトナー8は、トナー搬送部材5側へ搬送される。それとともに、第一の現像剤搬送手段15と第二の現像剤搬送手段16とによって、現像剤容器2の長手方向に沿ってそれぞれの現像剤搬送手段15、16の搬送方向にも移動する。この2つの現像剤搬送手段15、16によるトナー8の移動・搬送により、現像剤容器2の内部のトナー8は十分に攪拌され、現像剤容器2の長手方向に沿った均一状態は、これまでの現像剤容器の状態と比較して、より均一化されることが確認できた。
【0030】
次に、シート部材14の搬送面13に形成された、トナー8を回転軸12の軸方向に沿った搬送を実現するための構成の他の例を説明する。
【0031】
図8(a)から(d)は、シート部材14の搬送面13に形成された切込み部18の説明図である。
【0032】
2つの現像剤搬送手段15、16には、トナー8を搬送させたい方向に向かって攪拌搬送部材6が回転軸12を中心とする回転方向の後方に撓んで開口が形成されるような切込み部18が形成されている(
図8(a))。切込み部18は、攪拌搬送部材6の回転に伴ってシート部材14の搬送面13が受けるトナー8からの圧力により、切り込みの無い方から切込み部18の撓み片先端側へトナー8が移動するような形状である。トナー8からの圧力が搬送面13に加わった際に、切込み部18に開口が形成される方向へトナー8が移動することで、トナー8をそれぞれの所定の方向へ搬送するものである。
【0033】
切込み部18に形成される開口は、コ字形状、三角形状、あるいは台形形状でも良い(
図8(b)、(c)、(d))。コ字形状の切り込みの場合は、切り込みの無い側から対向する切り込みされた辺側へトナー8からの圧力で撓む。このようにして、トナー8が撓んだ
舌片状の切込み部18へ移動することにより、トナー8の搬送ができる。
【0034】
三角形状の切り込みの場合は、トナー8からの圧力で撓み易いように、三角形の底辺側から頂点側へ切り込みを形成し、その方向にトナー8を搬送する。
【0035】
台形形状の切り込みの場合は、同様の理由で下底側から上底側へ切り込みを形成し、その方向にトナー8を搬送する。台形形状は、三角形状の場合よりも辺の数が多いので、トナー搬送方向に直交する向きの開口の大きさ(開口幅)を容易に調整できるので、トナー搬送量の調整を容易に行える。
【0036】
以上の実施形態では、2つの現像剤搬送手段15、16に形成された開口部17、切込み部18は、それぞれ実質的に同一の大きさのものとして、それぞれの搬送力を同程度となるように設定した。しかしながら、開口部17の形状の辺等の各部位の寸法、あるいは切込み部18の切り込み方向とその形状の各部位の寸法を適宜選択することにより、トナー8の搬送力を任意に設定することができる。
【0037】
(第2実施形態)
図9は、本発明に係る第2実施形態を説明する模式図である。
【0038】
ここでは、第一の現像剤搬送手段15と第二の現像剤搬送手段16とのそれぞれは、トナー補給口9に対向する、シート部材14の搬送面13の対向領域11を境にして、現像剤を搬送する方向が逆になる構成としている。
【0039】
第一の現像剤搬送手段15は、現像剤を回転軸12の軸方向の端部からトナー補給口9に対向する対向領域11に向かう方向に搬送し、第二の現像剤搬送手段16は、現像剤を対向領域11から軸方向の端部に向かう方向に搬送する。
【0040】
トナーボトル7から対向領域11に補給された新しいトナー8は、対向領域11から攪拌搬送部材6の回転軸12の軸方向の両端側へ搬送された後、対向領域11へ戻って来るように、第一の現像剤搬送手段15と第二の現像剤搬送手段16とが設けられている。
【0041】
攪拌搬送部材6のシート部材14の搬送面13には、トナー補給口9に対向する対向領域11を境にして、第一の現像剤搬送手段15が、トナー8を回転軸12の軸方向の両端側へ搬送する形状の開口部17や切込み部18が形成されている。さらに、第一の現像剤搬送手段15の回転軸12側(回転中心側)の搬送面13には、第二の現像剤搬送手段16が、第一の現像剤搬送手段により端部へ搬送されたトナー8を対向領域11へ戻すように搬送する形状の開口部17や切込み部18が形成されている。
【0042】
この構成により、循環経路が半分に変更されるので第二の現像剤搬送手段16によってトナー補給口9から供給されたトナー8を短時間で回転軸12の軸方向両端側へ搬送するとともに、第一の現像剤搬送手段15によって短時間でトナー8を回転軸12の軸方向中央側へ搬送することができる。そのため、現像剤容器2の内部のトナー8を攪拌する時間を短縮することができ、さらに、現像剤容器2の端部にトナー8を滞留させることなく現像剤容器2の内部全体に広げるように搬送できる。特に、シート部材14の回転端側にあるトナー8を滞留させることなく現像剤容器2の内部全体に拡散して移動させることができて、現像剤容器2の内部にあるトナー8をより均一化することができる。
【0043】
また、
図10に示すように、トナー補給口9が、装置全体の配置の関係で攪拌搬送部材6の回転軸12の軸方向中央付近に位置していない場合であっても、本実施態様の構成を適用することができる。上述した2つの現像剤搬送手段15、16の構成を、トナー補給口9に対向する対向領域11を上述した境とするように搬送面13に形成することで、それぞれの現像剤搬送手段15、16の有する同様の効果を得ることができる。
【0044】
(第3実施形態)
図11は、本発明に係る第3実施形態を説明する模式図である。
【0045】
ここでは、第一の現像剤搬送手段15による回転軸12の軸方向へのトナー搬送力と、第二の現像剤搬送手段16による回転軸12の軸方向へのトナー搬送力と、に差を生じさせている。より具体的には、シート部材14の回転による現像ローラ3へのトナー搬送力は、第二の現像剤搬送手段16が配置されている搬送面13の領域よりも、第一の現像剤搬送手段15が配置されている搬送面13の領域のほうが大きいものである。
【0046】
なお、攪拌搬送部材6は、第1実施形態及び第2実施形態における種々の形態の2つの現像剤搬送手段15、16であっても、本実施形態に適用できる。例えば、開口部17や切込み部18の形状として、所定のトナー搬送方向と開口幅の関係を満たす形状であるならば、
図3に示した形状の他、
図4及び
図8に示した形状のものであっても良い。また、2つの現像剤搬送手段15、16における開口部17や切込み部18の配置として、
図2、
図9及び
図10に示したものであっても良い。
【0047】
本実施形態の第一の現像剤搬送手段15の開口部17又は切込み部18の大きさは、第二の現像剤搬送手段16の開口部17又は切込み部18よりも小さくしている。この構成により、第一の現像剤搬送手段15による回転軸12の軸方向へのトナー搬送力を、第二の現像剤搬送手段16の軸方向へのトナー搬送力よりも小さくしている。つまり、第一の現像剤搬送手段15の開口部17又は切込み部18を通って搬送面13の表側から裏側に抜けるトナー8の量を、第二の現像剤搬送手段16のそれより小さくしている。
【0048】
この構成により、現像剤容器2の内部のトナー8を十分に攪拌しつつ、トナー8の回転軸12と直交する方向であるトナー搬送部材5及び現像ローラ3の方向への搬送力を、攪拌搬送部材6のシート部材14の回転軸12に近い側よりも回転半径方向の回転端側の方で大きくすることができる。そのため、現像ローラ3へのトナー8の供給を容易に行えるとともに安定して行うことができる。
【0049】
(第4実施形態)
図12及び
図13は、本発明に係る第4実施形態を説明する模式図である。
【0050】
ここでは、現像剤搬送手段15、16による回転軸の軸方向への現像剤搬送力を、搬送面13において、軸方向の端部付近で、軸方向中央部から端部に向かう搬送力が端部から中央部に向かう搬送力よりも小さい構成としている。
【0051】
なお、端部付近を除いて攪拌搬送部材6は、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態における種々の形態の2つの現像剤搬送手段15、16と同様のものを適用できる。
【0052】
これらの種々の形態に加えて、さらに本実施形態では、2つの現像剤搬送手段15、16の回転軸12の軸方向端部でのトナー搬送量を、両現像剤搬送手段間で異ならせる構成が適用されている。これは、開口部17や切込み部18の大きさを大きくするとトナー搬送量が多くなるあるいは逆に小さくすると少なくなることを用いて得られる効果である。
【0053】
図12の構成では、攪拌搬送部材6の回転軸12の軸方向端部にある第一の現像剤搬送手段15の開口部17を、第二の現像剤搬送手段16の開口部17より小さくしている。この構成により、端部領域での2つの現像剤搬送手段15、16のそれぞれの搬送方向でのトナー搬送量に差を設けることができる。そして、軸方向端部にある現像剤容器2の内部壁にトナー8を押し付ける力を小さくすることができ、壁近傍でのトナー8の滞留量を抑えることができる。
【0054】
また、
図13の構成では、攪拌搬送部材6の回転軸12の軸方向端部にある第一の現像剤搬送手段15の開口部17を、第二の現像剤搬送手段16の開口部17より大きくしている。この構成により、端部領域での2つの現像剤搬送手段15、16のそれぞれの搬送方向でのトナー搬送量に差を設けることができる。そして、軸方向端部から中央部側(現像剤容器2の中央側)へ搬送するトナー8の量を多くすることができ、現像剤容器2の内壁近傍でのトナー8の滞留量を抑えることができる。
【0055】
さらに、
図12の構成と
図13の構成を組み合わせることにより、より効果を大きくすることができる。すなわち、第二の現像剤搬送手段16の軸方向端部にある開口部17を第一の現像剤搬送手段15の端部以外の開口部17より小さくし、第一の現像剤搬送手段15の軸方向端部にある開口部17を第二の現像剤搬送手段16の端部以外の開口部17より大きくする。この構成により、トナー8を内壁に押し付ける力を抑えつつ、トナー8を中央部へ戻す量を多くすることができるので、現像剤容器2の内壁近傍でのトナー8の滞留量をより抑え、トナー8を十分に攪拌することができる。
【0056】
図14及び
図15は、本実施形態のさらに他の例を説明する模式図である。
【0057】
図14に示すように、攪拌搬送部材6の回転軸12の軸方向端部において、第二の現像剤搬送手段16の開口部17同士の配置間隔は、第一の現像剤搬送手段15の開口部17同士の配置間隔よりも大きく形成されている。配置間隔が大きくなると、そこでのトナー搬送量を小さくすることができる。
【0058】
また、
図15に示すように、第二の現像剤搬送手段16の端部に、第二の現像剤搬送手段16による搬送方向とは逆方向にトナー8を搬送する構成を設けている。
図15の構成では、第二の現像剤搬送手段16の端部の開口部17を他の第二の現像剤搬送手段16の開口部17とは逆向きとし、第一の現像剤搬送手段15の開口部17と同じ向きに形成している。逆向きに開口部17を形成することで、そこでのトナー搬送量を小さくすることができる。
【0059】
これらの構成によっても搬送面13の軸方向端部領域での2つの現像剤搬送手段15、16のそれぞれの搬送方向におけるトナー搬送量に差を設けることができる。そして、
図12及び
図13の構成と同様に、第二の現像剤搬送手段16による端部側へのトナー搬送量よりも、第一の現像剤搬送手段15による中央部側へのトナー搬送量を多くすることができる。そのため、
図12及び
図13の構成で得られる効果と同様の効果である、現像剤容器2の内部の端部でのトナー8の滞留を避けて、トナー8を十分に攪拌することができる。
【0060】
図12から
図15で示した開口部17は、所定のトナー搬送方向と開口幅の関係を満たす形状であるならば、
図3に示した形状の他、
図4及び
図8に示した形状のものであっても良い。また、2つの現像剤搬送手段15、16における開口部17や切込み部18の配置に基づくトナー循環経路として、
図2、
図9及び
図10に示したものであっても良い。
【0061】
また、本実施形態に第3実施形態の2つの現像剤搬送手段15、16の構成を組み合わせることで、第3実施形態の現像剤容器2の内部の端部におけるトナー8の滞留を避けることもできる。
【0062】
なお、上述した各実施態様では、攪拌搬送部材6が備えるシート部材14は1枚であるが、回転軸12の回転方向に重ならないように回転軸の周囲に複数のシート部材14を配置してもよい。
【0063】
また、上述した各実施態様で得られる効果としてあるトナー8の十分な攪拌状態は、従来例の構成の装置と比較して、画像形成したシート上の画像における軸方向中央部と端部とでの反射濃度変化が小さいことで均一な撹拌による濃度ムラの防止も確認された。
【0064】
(第5実施形態)
図16は、本発明に係る第5実施形態を説明する模式図である。
【0065】
ここでは、攪拌搬送部材6による攪拌効率の向上のため、補給手段としてトナー補給口9を所定の高さに設け、現像剤収容部である現像剤容器2内に収容されるトナー8の剤面高さ19が所定の高さになるよう調整している。
【0066】
上述の第1実施形態乃至第4実施形態において、
図17に示す様に、シート部材14が略鉛直方向にある時に現像剤容器2内のトナー8の剤面高さ19が第二の現像剤搬送手段16よりも重力方向下方にある場合、回転軸12方向へのトナー8の搬送については、攪拌搬送部材6の第二の現像剤搬送手段16の搬送力が得られず、第一の現像剤搬送手段15により長手方向奥側にのみ搬送されるため、現像剤容器2内のトナー8の攪拌効率が低下するおそれがある。
【0067】
他方、
図18に示す様に、シート部材14が略鉛直方向にある時に現像剤容器2内のトナー剤面高さ19が攪拌搬送部材6の回転軸12の近傍より上方に位置する場合、現像剤容器2内のトナー密度が高くなり、現像ローラ3近傍にトナー8が押しこめられ、トナーの凝集度が上がり、現像ローラ3に対する均一なトナー層規制ができなくなるおそれがある。
【0068】
したがって、現像剤容器2内のトナー8の剤面高さ19を、シート部材14が略鉛直方向にある時に第二の現像剤搬送手段16の重力方向上端近傍以上であって、かつ、攪拌搬送部材6の回転軸12の近傍以下(以下、最適位置という。)とすることにより、上記問題の発生を防止することができ、攪拌搬送部材6による攪拌効率を向上させることができる。なお、シート部材14が略鉛直方向にある時とは、シート部材14が水平面より下向きにあり、かつ、略鉛直方向にある時をいう。
【0069】
そのために本実施形態では、トナー補給口9の下端の高さが、シート部材14が略鉛直方向にある時に第二の現像剤搬送手段16の重力方向上端近傍以上であり、かつ、攪拌搬送部材6の回転軸12の近傍以下の高さとなるようにトナー補給口9が設けられている。これにより、現像剤容器2内のトナー8の剤面高さ19を最適位置とすることができる。
【0070】
以下、トナー補給口9の高さと、現像剤容器2内のトナー8の剤面高さ19との関係について説明する。
図19に示す様に、トナーボトル7内の攪拌部材10によるトナー搬送力をF、重力によるトナー8への圧力をG、トナーボトル7からの現像剤容器2への排出量をfとする。
【0071】
そして、
図20で示す様にトナー補給口9が低い位置に設けられるとき、トナーボトル7内の攪拌部材10の搬送力をF1、トナーボトル7内の重力によるトナーへの圧力をG1、トナーボトル7から現像剤容器2への排出をf1とすると、補給口付近では重力によるトナー8への圧力G1が大きくなり、これが攪拌部材10のトナー搬送力F1を打消す力として作用し、トナーボトル7から現像剤容器2への排出f1は小さくなる。
【0072】
他方、
図21で示す様にトナー補給口9が高い位置に設けられるとき、攪拌部材10によるトナー搬送力をF2、トナーボトル7内のトナー8に掛かる重力をG2、トナーボトル7から現像剤容器2への排出をf2とすると、補給口付近ではトナー8に掛かる重力G2が小さく攪拌部材10のトナー搬送力F2を打消すだけの力がないので、トナーボトル7から現像剤容器2への排出f2は非常に大きくなる。
【0073】
したがって、トナー補給口9の高さによって、G1>G2、F1≒F2、f1<f2の関係が成り立つ。このため、トナー補給口9の高さとトナーボトル7から現像剤容器2へのトナー8の送り量との関係は、例えば
図22に示す様な略比例関係となる。また、トナー補給口9の高さと現像剤容器2内のトナー8の剤面高さ19との関係は、例えば
図23に示す様な略比例関係となる。
【0074】
したがって、この関係に照らして補給口の高さを調節することで現像剤容器2内のトナー8の剤面高さ19を調整することができる。すなわち、トナー補給口9の下端の高さが、シート部材14が略鉛直方向にある時に第二の現像剤搬送手段16の重力方向上端近傍以上であり、かつ、攪拌搬送部材6の回転軸12の近傍以下の高さとなるようにトナー補給口9が設けられることにより、現像剤容器2内のトナー8の剤面高さ19を最適位置とすることができる。
【0075】
なお、トナー補給口9の下端の高さとして、第二の現像剤搬送手段16の重力方向上端近傍の高さとは、シート部材14が略鉛直方向にある時において、第二の現像剤搬送手段16の重力方向上端から重力方向下方へ開口部17の重力方向の長さ全体の10%程度下の高さにトナー補給口9の下端が設けられる場合が含まれる。これは第二の現像剤搬送手段16の上端位置そのものでなく、それよりも多少下の位置であって前記長さ全体の10%程度下でも同様の効果が得られるからである。
【0076】
また、トナー補給口9の下端の高さとして、攪拌搬送部材6の回転軸12の近傍以下の高さとは、回転軸12の高さから重力方向上方へ、搬送面13の重力方向の長さ全体の10%程度上の高さにトナー補給口9の下端が設けられる場合が含まれる。これも上位と同様であり、回転軸12の高さ位置そのものでなく、それよりも多少上の位置であって、前記長さ全体の10%程度上でも同様の効果が得られるからである。
【0077】
なお、本実施例においては、補給手段としてトナー補給口9の下端の高さ位置により現像剤容器2内のトナー8の剤面高さ19を最適位置内に調整することとしたが、現像装置内に設けられる検知手段であるトナーセンサ、例えば透磁率センサにより現像剤容器2内のトナー8の剤面高さ19を検知して、その検知結果に基づいて剤面高さ19を最適位置内に調整する構成としてもよい。
【0078】
例えば、透磁率センサである磁気ブリッジセンサは、検知ヘッドの前に磁性体が有る場合と無い場合で、異なった出力が得られる。そして、現像剤容器2内にトナー8が最大充填されている時には最も高い出力電圧を示し、トナー残量が空の時には最も低い出力電圧を示す。したがって、トナー8の残量に応じた出力電圧を基に所定のトナー残量を得られるように制御を行うことにより、現像剤容器2内のトナー8の剤面高さ19を最適位置とすることができる。