特許第6347767号(P6347767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347767
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/08 20060101AFI20180618BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20180618BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20180618BHJP
   B41J 13/00 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   B65H7/08
   B41J29/38 Z
   B41J3/36 Z
   B41J13/00
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-140477(P2015-140477)
(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公開番号】特開2017-19648(P2017-19648A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨 賢悟
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−018736(JP,U)
【文献】 特開平04−282273(JP,A)
【文献】 特開平04−277151(JP,A)
【文献】 特開平05−229697(JP,A)
【文献】 特開平11−157705(JP,A)
【文献】 特開2005−194016(JP,A)
【文献】 特開2004−175553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00− 7/20
B41J 13/00−13/32
B41J 29/00−29/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置に予め設けられており、媒体を検知する複数のセンサと、
媒体に印字を行う印字部と、
前記複数のセンサの中から前記媒体の斜行判定に用いるための複数の特定のセンサを選択する選択部と、
前記特定のセンサから取得される情報に基づいて、前記媒体が斜行しているか否か判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記特定のセンサから取得される情報を用いて前記媒体が前記特定のセンサによって検知されているか否か判定し、前記媒体が前記特定のセンサのいずれかによって検知されなくなってから前記特定のセンサの全てで前記媒体が検知されなくなるまでの間にカウントされた所定の値が閾値以上である場合に前記媒体が斜行していると判定し、所定の値が閾値未満である場合に前記媒体が斜行していないと判定する印刷装置。
【請求項2】
前記特定のセンサは、前記印刷装置の挿入口近辺に設置され、
前記判定部は、前記特定のセンサ全てにおいて前記挿入口から前記媒体が挿入されたことが検知された場合に、前記媒体の搬送を開始させる、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記媒体が前記特定のセンサのいずれかによって検知されなくなってから前記特定のセンサ全てで前記媒体が検知されなくなるまでの間に経過した時間を前記所定の値としてカウントするカウント部をさらに備え、
前記判定部は、前記時間が閾値以上である場合に前記媒体が斜行していると判定し、前記時間が閾値未満である場合に前記媒体が斜行していないと判定する、請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記媒体が前記特定のセンサのいずれかによって検知されなくなってから前記特定のセンサ全てで前記媒体が検知されなくなるまでの間の搬送モータのステップ数を前記所定の値としてカウントするカウント部をさらに備え、
前記判定部は、前記ステップ数が閾値以上である場合に前記媒体が斜行していると判定し、前記ステップ数が閾値未満である場合に前記媒体が斜行していないと判定する、請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記媒体の搬送を制御する搬送制御部をさらに備え、
前記搬送制御部は、前記判定部によって前記媒体が斜行していると判定された場合に、エラーとして前記媒体の搬送を停止させる、請求項1からのいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通帳プリンタなどの印刷装置において通帳の斜行検知のために検知用のセンサを備えて斜行の検知が行われていた。
しかしながら、上記の方法では、センサの個数が増えてしまうため、装置のコストが増大してしまう可能性があった。このような問題は、通帳プリンタに限らず、印字対象の媒体を搬送する印刷装置全般に共通する問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−214617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、コストの増大を抑えつつ、媒体の斜行を検知することができる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の印刷装置は、複数のセンサと、印字部と、選択部と、判定部とを持つ。複数のセンサは、自装置に予め設けられており、媒体を検知する。印字部は、媒体に印字を行う。選択部は、前記複数のセンサの中から前記媒体の斜行判定に用いるための複数の特定のセンサを選択する。判定部は、前記特定のセンサから取得される情報に基づいて、前記媒体が斜行しているか否か判定する。さらに、判定部は、前記判定部は、前記特定のセンサから取得される情報を用いて前記媒体が前記特定のセンサによって検知されているか否か判定し、前記媒体が前記特定のセンサのいずれかによって検知されなくなってから前記特定のセンサの全てで前記媒体が検知されなくなるまでの間にカウントされた所定の値が閾値以上である場合に前記媒体が斜行していると判定し、所定の値が閾値未満である場合に前記媒体が斜行していないと判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の印刷装置1の構成図。
図2】第1の実施形態における制御装置30の機能構成を示すブロック図。
図3】第1の実施形態における斜行検知処理を説明するための図。
図4】第1の実施形態における斜行検知処理を説明するための図。
図5】第1の実施形態における斜行検知処理を説明するための図。
図6】第1の実施形態における斜行検知処理を説明するための図。
図7】第1の実施形態における制御装置30の斜行検知処理の流れを示すフローチャート。
図8】第2の実施形態における制御装置30aの機能構成を示すブロック図。
図9】第2の実施形態における斜行検知処理を説明するための図。
図10】第2の実施形態における斜行検知処理を説明するための図。
図11】第2の実施形態における斜行検知処理を説明するための図。
図12】第2の実施形態における斜行検知処理を説明するための図。
図13】第2の実施形態における制御装置30aの斜行検知処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の印刷装置を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の印刷装置1の構成図である。印刷装置1は、所定の画像又は文字を媒体に印字し、画像又は文字が印字された媒体を出力する。印刷装置1は、例えば通帳プリンタ、ラベルプリンタなどである。印刷装置1が通帳プリンタである場合、媒体は通帳である。
印刷装置1は、挿入口2、用紙装填部3、サーマル印字部4、第一搬送路5a及び第二搬送路5bを備える。以下の説明では、挿入口2が位置する方向を前方と記載し、用紙装填部3が位置する方向を後方と記載する。
【0008】
挿入口2は、印刷装置1の前面に一部を露出して設けられる。挿入口2は、通帳(媒体)の出入口及びステートメントの出口である。用紙装填部3は、印刷装置1の後部に設けられる。用紙装填部3には、サーマル用紙6を設置するための空間が設けられる。用紙装填部3には、サーマル用紙6を装着するための軸が設けられてもよい。サーマル用紙6は、印刷装置1によって印字される用紙である。サーマル用紙6は、ロール状に形成されている。サーマル用紙6は、サーマル印字部4を経由して第一搬送路5aへ搬送される。
サーマル印字部4は、サーマル用紙6の表面に対して印字する。サーマル印字部4についてより詳細に説明する。サーマル印字部4は、第一サーマルヘッド17、第二サーマルヘッド18、第一プラテンローラ20、第二プラテンローラ21及び切断部22を備える。
【0009】
第一サーマルヘッド17及び第二サーマルヘッド18は、所定の間隔で配置される。第一サーマルヘッド17には、第一プラテンローラ20が対向して配置される。第二サーマルヘッド18には、第二プラテンローラ21が対向して配置される。第一サーマルヘッド17は、第一プラテンローラ20によって第一サーマルヘッド17に押しつけられているサーマル用紙6に対して印字する。第二サーマルヘッド18は、第二プラテンローラ21によって第二サーマルヘッド18に押しつけられているサーマル用紙6に対して印字する。第一プラテンローラ20及び第二プラテンローラ21は、それぞれ回転することによってサーマル用紙6を前方に搬送する。第一プラテンローラ20から第二プラテンローラ21の間には、サーマル搬送路24が形成される。
【0010】
切断部22は、サーマル用紙6を切断する。例えば、切断部22は、ロータリーカッター23を備える。例えば、切断部22は、サーマル用紙6のうち印字された部分の後端部分から所定の距離だけ後方(印字されていない部分へ向かう方向)に離れた部分を切断する。切断部22による切断によって、サーマル用紙6は、印字された部分と、印字されていない部分とに分断される。印字されたサーマル用紙6は、第一搬送路5aによって下流(前方)に搬送される。
【0011】
第一搬送路5aには、第一フィードローラ対14及び第二フィードローラ対15が設けられる。第一フィードローラ対14及び第二フィードローラ対15は、それぞれ回転することによって、サーマル用紙6を下流に搬送する。第一フィードローラ対14及び第二フィードローラ対15の間には、弛み形成部9が形成される。第一フィードローラ対14及び第二フィードローラ対15の回転量のずれによって、弛み形成部9においてサーマル用紙6に弛みが生じる。弛み形成部9によって、通帳とサーマル用紙6との搬送速度の差が吸収される。
【0012】
第二搬送路5bには、印字部8と、複数個の搬送ローラ対11(11a〜11e)と、出入用ローラ対12と、第二検知センサ13とが設けられる。第二搬送路5bは第一搬送路5aよりも前方に配置される。第二搬送路5bは、第一搬送路5aに接続される。第二搬送路5bでは、第一搬送路5aから搬送されてきたサーマル用紙6がさらに下流に搬送される。また、第二搬送路5bでは、挿入口2から挿入された媒体が上流方向(後方)又は下流方向に搬送される。
【0013】
印字部8は、第二搬送路5bの途中に設けられる。印字部8は、ドットヘッド8aを備える。印字部8は、ドットヘッド8aを制御することによって、通帳に対して文字を印字する。複数の搬送ローラ対11及び出入用ローラ対12は、それぞれ所定の間隔で配置される。複数の搬送ローラ対11及び出入用ローラ対12は、それぞれ回転することによって媒体を上流方向又は下流方向に搬送に搬送する。
【0014】
第二検知センサ13は、第二搬送路5bの下流(例えば出入用ローラ対12付近)に設けられる。第二検知センサ13は、挿入口2から流入する媒体を検知する。第一搬送路5aと第二搬送路5bとの境界付近には、第一検知センサ16が設けられる。第一検知センサ16は、第一搬送路5aから搬送されて第二搬送路5bに流入するサーマル用紙6を検知する。また、第一検知センサ16は、第二搬送路5bから搬送されて第一搬送路5aに流入する媒体を検知する。第一検知センサ16及び第二検知センサ13は、それぞれ複数設けられる。また、第一検知センサ16及び第二検知センサ13は、印刷装置1に予め設けられる既存のセンサである。例えば、第一検知センサ16は、サーマル用紙検知用のセンサである。例えば、第二検知センサ13は、通帳検知用のセンサである。
【0015】
印刷装置1は、制御装置30を備える。制御装置30は、印刷装置1全体の動作を制御する。例えば、制御装置30は、各種ローラの回転及びサーマル印字部4及び印字部8の印字を制御する。また、制御装置30は、媒体の斜行を検知する。
以下、複数の実施形態(第1の実施形態及び第2の実施形態)を例にして、制御装置30の具体的構成について説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態における制御装置30の機能構成を示すブロック図である。制御装置30は、取得部31、判定部32、カウント部33及び制御部34を備える。
取得部31は、複数のセンサから情報を取得する。例えば、取得部31は、第一検知センサ16及び第二検知センサ13から、媒体が検知されたことを示す情報(以下、「検知情報」という。)を取得する。なお、取得部31は、印刷装置1に予め設置されている他のセンサから情報を取得してもよい。他のセンサとしては、例えばアライメント用のセンサがある。
【0017】
判定部32は、特定のセンサから取得された検知情報に基づいて、第1条件、第2条件及び第3条件が満たされたか否か判定する。特定のセンサとは、条件が満たされたか否かの判定に用いられる検知情報を送信するセンサである。特定のセンサは、ユーザによって選択されてもよいし、予め選択されていてもよいし、その他の方法で選択されてもよい。特定のセンサは、印刷装置1に予め設けられている既存のセンサであればどのようなセンサであってもよい。判定部32は、選択された特定のセンサの識別情報を記憶する。そして、判定部32は、取得された検知情報の送信元の識別情報と、記憶している識別情報とが一致するか否か判定する。送信元の識別情報と、記憶している識別情報とが一致する場合、判定部32は検知情報の送信元のセンサを特定のセンサと判定する。一方、送信元の識別情報と、記憶している識別情報とが一致しない場合、判定部32は検知情報の送信元のセンサを特定のセンサではないと判定する。このような処理によって、判定部32は、特定のセンサと特定のセンサではないセンサとを判定する。
【0018】
なお、特定のセンサとしては、2つ以上のセンサが選択される。例えば、特定のセンサとして、複数の第一検知センサ16が選択されてもよいし、複数の第二検知センサ13が選択されてもよい。また、第一検知センサ16と第二検知センサ13の組み合わせが特定のセンサとして選択されてもよいし、その他のセンサの組み合わせが特定のセンサとして選択されてもよい。第1の実施形態では、2つの第二検知センサ13が特定のセンサと選択された場合の制御装置30の処理について説明する。
【0019】
第1条件の具体例として、特定のセンサ全てから検知情報が取得されたことが挙げられる。第2条件の具体例として、特定のセンサのうち一部の特定のセンサから検知情報が取得されなくなったことが挙げられる。第3条件の具体例として、特定のセンサ全てから検知情報が取得されなくなったことが挙げられる。
【0020】
また、判定部32は、第3条件が満たされるまでの間にカウント部33によってカウントされた所定の値が、所定の閾値以上であるか否か判定する。所定の値が所定の閾値以上である場合、判定部32は媒体が斜行していると判定する。一方、所定の値が所定の閾値未満である場合、判定部32は媒体が斜行していないと判定する。
カウント部33は、媒体の搬送が開始されてから第2条件が満たされた場合に所定の値のカウントを開始する。カウント部33は、第2条件が満たされてから第3条件が満たされるまでの間、カウンタの値をインクリメントする。
【0021】
制御部34は、搬送制御部341及び印字制御部342を備える。搬送制御部341は、各ローラを制御して媒体の搬送を制御する。例えば、搬送制御部341は、第1条件が満たされた場合に媒体の搬送を開始する。また、例えば、搬送制御部341は、判定部32によって媒体が斜行していると判定された場合にエラーとして媒体を挿入口2から出力させる。印字制御部342は、印字部8を制御して媒体に印字を実行させる。
【0022】
次に、図3から図6を用いて、制御装置30による斜行検知処理について具体的に説明する。図3から図6は、第1の実施形態における斜行検知処理を説明するための図である。また、図3から図6において、第二検知センサ13は特定のセンサを表す。また、図3から図6において、矢印4が指し示す方向は、媒体40の搬送方向である。
【0023】
図3では、媒体40が特定のセンサ全てで検知された状態が示されている。媒体40が、図3に示される状態である場合、特定のセンサは検知情報を制御装置30に送信する。取得部31は、特定のセンサからの検知情報を取得する。そして、判定部32は、取得された検知情報から送信元を判定し、第1条件が満たされたか否か判定する。図3では、判定部32は、第1条件が満たされたと判定する。この場合、搬送制御部341は、媒体40の搬送を開始する。
【0024】
図4では、媒体40が一部の特定のセンサで検知されなくなった状態が示されている。媒体40が、図4に示される状態である場合、特定のセンサのうち媒体40を検知している一部のセンサは検知情報を制御装置30に送信する。取得部31は、一部の特定のセンサからの検知情報を取得する。そして、判定部32は、取得された検知情報から送信元を判定し、第2条件が満たされたか否か判定する。図4では、判定部32は、第2条件が満たされたと判定する。この場合、カウント部33は、所定の値のカウントを開始する。
【0025】
図5では、媒体40が特定のセンサ全てで検知されなくなった状態が示されている。媒体40が、図5に示される状態である場合、取得部31は特定のセンサからの検知情報を取得できない。そのため、判定部32は、第3条件が満たされたと判定する。この場合、カウント部33は、所定の値のカウントを終了する。図5に示されるXが、所定の値に相当する。そして、判定部32は、所定の値Xが所定の閾値以上であるか否か判定する。図5では、所定の値Xが所定の閾値以上である場合を例としている。そのため、判定部32は、媒体40が斜行していると判定する。
【0026】
図6では、媒体40が特定のセンサ全てで検知されなくなった状態が示されている。媒体40が、図6に示される状態である場合、取得部31は特定のセンサからの検知情報を取得できない。そのため、判定部32は、第3条件が満たされたと判定する。この場合、カウント部33は、所定の値のカウントを終了する。そして、判定部32は、所定の値が所定の閾値以上であるか否か判定する。図6では、所定の値が所定の閾値未満である場合を例としている。そのため、判定部32は、媒体40が斜行していないと判定する。上述した処理によって、制御装置30は媒体40の斜行を検知する。以上で、制御装置30による斜行検知処理についての説明を終了する。
【0027】
図7は、第1の実施形態における制御装置30の斜行検知処理の流れを示すフローチャートである。
カウント部33は、所定の値Xに0を代入する(ACT101)。この処理によって、カウント部33の値が初期化される。判定部32は、第1条件が満たされたか否か判定する(ACT102)。具体的には、判定部32は、特定のセンサ全てから検知情報が取得されたか否か判定する。判定部32は、特定のセンサ全てから検知情報が取得された場合に第1条件が満たされたと判定する。判定部32は、特定のセンサ全て又は一部の特定のセンサから検知情報が取得されなかった場合に第1条件が満たされていないと判定する。第1条件が満たされていない場合(ACT102:NO)、判定部32は第1条件が満たされるまでACT102の処理を繰り返し実行する。
【0028】
一方、第1条件が満たされた場合(ACT102:YES)、搬送制御部341は各ローラを制御して媒体の搬送を開始する(ACT103)。次に、判定部32は、第2条件が満たされたか否か判定する(ACT104)。具体的には、判定部32は、一部の特定のセンサから検知情報が取得されなくなったか否か判定する。判定部32は、一部の特定のセンサから検知情報が取得されなくなった場合に第2条件が満たされたと判定する。判定部32は、特定のセンサ全てから検知情報が取得された又は特定のセンサ全てから検知情報が取得されなくなった場合に第2条件が満たされていないと判定する。第2条件が満たされた場合(ACT104:YES)、カウント部33は所定の値Xを1だけインクリメントする(ACT105)。
【0029】
判定部32は、第3条件が満たされたか否か判定する(ACT106)。具体的には、判定部32は、特定のセンサ全てから検知情報が取得されなくなったか否か判定する。判定部32は、特定のセンサ全てから検知情報が取得されなくなった場合に第3条件が満たされたと判定する。判定部32は、特定のセンサ全てから検知情報が取得された又は一部の特定のセンサから検知情報が取得された場合に第3条件が満たされていないと判定する。第3条件が満たされていない場合(ACT106:NO)、制御装置30はACT104以降の処理を繰り返し実行する。
【0030】
一方、第3条件が満たされた場合(ACT106:YES)、カウント部33は所定の値Xのカウントを終了する。カウント部33は、所定の値Xを判定部32に出力する。判定部32は、所定の値Xが所定の閾値以上であるか否か判定する(ACT107)。所定の値Xが所定の閾値未満である場合(ACT107:NO)、判定部32は媒体が斜行していないと判定する。この場合、印字制御部342は印字部8を制御して媒体に印字を実行させる(ACT108)。その後、制御装置30は、処理を終了する。
【0031】
一方、所定の値Xが所定の閾値以上である場合(ACT107:YES)、判定部32は媒体が斜行していると判定する(ACT109)。この場合、搬送制御部341は、各ローラを制御して媒体の搬送制御を実行する(ACT110)。例えば、搬送制御部341は、エラーとして媒体を挿入口2から出力させる。その後、制御装置30は、処理を終了する。
また、ACT104の処理において、第2条件が満たされていない場合(ACT104:NO)、判定部32は第3条件が満たされたか否か判定する(ACT106)。
【0032】
以上のように構成された印刷装置1によれば、コストの増大を抑えつつ、媒体の斜行を検知することができる。以下、この効果について詳細に説明する。
印刷装置1は、自装置に予め設けられている既存のセンサ(第一検知センサ16、第二検知センサ13)から取得される検知情報を用いて媒体の斜行を検知する。したがって、新たに斜行検知用のセンサを取り付ける必要がない。そのため、コストの増大を抑えつつ、媒体の斜行を検知することが可能になる。
【0033】
また、印刷装置1は、媒体が斜行していると判定された場合に、エラーとして媒体を出力する。したがって、媒体が斜行している状態で印字が行われてしまうことが無い。そのため、媒体に無駄な印字がなされてしまうことを低減することができる。さらに、無駄な印字によるインクの消費を抑えることが可能になる。
【0034】
以下、第1の実施形態における制御装置30の変形例について説明する。
カウント部33は、ACT105の処理において、所定の値としてカウンタの値をカウントする構成を示したが、これに限定される必要はない。例えば、カウント部33は、第2条件が満たされてから第3条件が満たされるまでの間の時間を所定の値としてカウントしてもよい。このように構成される場合、判定部32は、ACT107の処理において、カウントされた時間と、閾値とに基づいて、時間が閾値以上であるか否か判定してもよい。そして、カウントされた時間が閾値以上である場合、判定部32は媒体が斜行していると判定する。一方、カウントされた時間が閾値未満である場合、判定部32は媒体が斜行していないと判定する。
【0035】
また、カウント部33は、第2条件が満たされてから第3条件が満たされるまでの間の搬送モータのステップ数を所定の値としてカウントしてもよい。この場合、判定部32は、ACT107の処理において、カウントされたステップ数と、閾値とに基づいて、ステップ数が閾値以上であるか否か判定してもよい。そして、カウントされたステップ数が閾値以上である場合、判定部32は媒体が斜行していると判定する。一方、カウントされたステップ数が閾値未満である場合、判定部32は媒体が斜行していないと判定する。
【0036】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、2つの第一検知センサ16が特定のセンサと選択された場合の制御装置30aの斜行検知処理について説明する。
図8は、第2の実施形態における制御装置30aの機能構成を示すブロック図である。
制御装置30aは、取得部31、判定部32a、カウント部33a及び制御部34を備える。制御装置30aは、判定部32及びカウント部33に代えて判定部32a及びカウント部33aを備える点で制御装置30と構成が異なる。制御装置30aは、他の構成については制御装置30と同様である。そのため、制御装置30a全体の説明は省略し、判定部32a及びカウント部33aについて説明する。
【0037】
判定部32aは、特定のセンサから取得された検知情報に基づいて、第4条件及び第5条件が満たされたか否か判定する。第4条件の具体例として、特定のセンサのうちの一部の特定のセンサから検知情報が取得されたことが挙げられる。第5条件の具体例として、特定のセンサ全てから検知情報が取得されたことが挙げられる。
【0038】
また、判定部32aは、第5条件が満たされるまでの間にカウント部33aによってカウントされた所定の値が、所定の閾値以上であるか否か判定する。所定の値が所定の閾値以上である場合、判定部32aは媒体が斜行していると判定する。一方、所定の値が所定の閾値未満である場合、判定部32aは媒体が斜行していないと判定する。
【0039】
カウント部33aは、媒体の搬送が開始されてから第4条件が満たされた場合に所定の値のカウントを開始する。カウント部33aは、第4条件が満たされてから第5条件が満たされるまでの間、カウンタの値をインクリメントする。
【0040】
次に、図9図12を用いて、制御装置30aによる斜行検知処理について具体的に説明する。図9図12は、第2の実施形態における斜行検知処理を説明するための図である。また、図9図12において、矢印4が指し示す方向は、媒体40の搬送方向である。
図9では、媒体40が特定のセンサの手前まで搬送されている状態が示されている。この場合、媒体40は、特定のセンサのいずれからも検知されない。媒体40が、図9に示される状態である場合、搬送制御部341は媒体を搬送方向に搬送させる。
【0041】
図10では、媒体40が一部の特定のセンサで検知された状態が示されている。媒体40が、図10に示される状態である場合、特定のセンサのうち媒体40を検知している一部のセンサは検知情報を制御装置30aに送信する。取得部31は、一部の特定のセンサからの検知情報を取得する。そして、判定部32aは、取得された検知情報から送信元を判定し、第4条件が満たされたか否か判定する。図10では、判定部32aは、第4条件が満たされたと判定する。この場合、カウント部33aは、所定の値のカウントを開始する。
【0042】
図11では、媒体40が特定のセンサ全てで検知された状態が示されている。媒体40が、図11に示される状態である場合、特定のセンサは検知情報を制御装置30aに送信する。取得部31は、特定のセンサからの検知情報を取得する。そして、判定部32aは、取得された検知情報から送信元を判定し、第5条件が満たされたか否か判定する。図11では、判定部32aは、第5条件が満たされたと判定する。この場合、カウント部33aは、所定の値のカウントを終了する。図11に示されるXが、所定の値に相当する。そして、判定部32aは、所定の値Xが所定の閾値以上であるか否か判定する。図11では、所定の値Xが所定の閾値以上である場合を例としている。そのため、判定部32aは、媒体40が斜行していると判定する。
【0043】
図12では、媒体40が特定のセンサ全てで検知された状態が示されている。媒体40が、図12に示される状態である場合、特定のセンサは検知情報を制御装置30aに送信する。取得部31は、特定のセンサからの検知情報を取得する。そして、判定部32aは、取得された検知情報から送信元を判定し、第5条件が満たされたか否か判定する。図12では、判定部32aは、第5条件が満たされたと判定する。この場合、カウント部33aは、所定の値のカウントを終了する。そして、判定部32aは、所定の値が所定の閾値以上であるか否か判定する。図12では、所定の値が所定の閾値未満である場合を例としている。そのため、判定部32aは、媒体40が斜行していないと判定する。上述した処理によって、制御装置30aは媒体40の斜行を検知する。以上で、制御装置30aによる斜行検知処理についての説明を終了する。
【0044】
図13は、第2の実施形態における制御装置30aの斜行検知処理の流れを示すフローチャートである。なお、図7と同様の処理については、図13において図7と同様の符号を付して説明を省略する。また、図13の処理は、印刷装置1に媒体が挿入されて搬送された際に開始される。
【0045】
判定部32aは、第4条件が満たされたか否か判定する(ACT201)。具体的には、判定部32aは、一部の特定のセンサから検知情報が取得されたか否か判定する。判定部32aは、一部の特定のセンサから検知情報が取得された場合に第4条件が満たされたと判定する。判定部32aは、特定のセンサ全てから検知情報が取得されなかった又は特定のセンサ全てから検知情報が取得された場合に第4条件が満たされていないと判定する。第4条件が満たされていない場合(ACT201:NO)、判定部32aは第4条件が満たされるまでACT20の処理を繰り返し実行する。
【0046】
一方、第4条件が満たされた場合(ACT201:YES)、制御装置30aはACT105の処理を実行する。その後、判定部32aは、第5条件が満たされたか否か判定する(ACT202)。具体的には、判定部32aは、特定のセンサ全てから検知情報が取得されたか否か判定する。判定部32aは、特定のセンサ全てから検知情報が取得された場合に第5条件が満たされたと判定する。判定部32aは、特定のセンサ全て又は一部の特定のセンサから検知情報が取得されなかった場合に第5条件が満たされていないと判定する。第5条件が満たされていない場合(ACT202:NO)、制御装置30aはACT105以降の処理を繰り返し実行する。
一方、第5条件が満たされた場合(ACT202:YES)、カウント部33aは所定の値Xのカウントを終了する。その後、制御装置30aは、ACT107以降の処理を実行する。
【0047】
以上のように構成された印刷装置1によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
以下、第2の実施形態における制御装置30aの変形例について説明する。
カウント部33aは、ACT105の処理において、所定の値としてカウンタの値をカウントする構成を示したが、これに限定される必要はない。例えば、カウント部33aは、第4条件が満たされてから第5条件が満たされるまでの間の時間を所定の値としてカウントしてもよい。このように構成される場合、判定部32aは、ACT107の処理において、カウントされた時間と、閾値とに基づいて、時間が閾値以上であるか否か判定してもよい。そして、カウントされた時間が閾値以上である場合、判定部32aは媒体が斜行していると判定する。一方、カウントされた時間が閾値未満である場合、判定部32aは媒体が斜行していないと判定する。
【0049】
また、カウント部33aは、第4条件が満たされてから第5条件が満たされるまでの間の搬送モータのステップ数を所定の値としてカウントしてもよい。この場合、判定部32aは、ACT107の処理において、カウントされたステップ数と、閾値とに基づいて、ステップ数が閾値以上であるか否か判定してもよい。そして、カウントされたステップ数が閾値以上である場合、判定部32aは媒体が斜行していると判定する。一方、カウントされたステップ数が閾値未満である場合、判定部32aは媒体が斜行していないと判定する。
【0050】
以下、各実施形態(第1の実施形態及び第2の実施形態)に共通の変形例について説明する。
搬送制御部341は、媒体が斜行していると判定された場合にエラーとして媒体の搬送を停止させるように構成されてもよい。このように構成されることによって、媒体が斜行していることが検知されてからそのままの状態で搬送されてしまうことを低減させることができる。
各実施形態では、特定のセンサが媒体の搬送方向に垂直に横並びの構成(例えば、図3及び図9参照)を示したが、これに限定される必要はない。例えば、特定のセンサは、媒体の搬送方向に垂直に横並びでなくてもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、印刷装置1は、複数のセンサ(第二検知センサ13)と、印字部8と、判定部32とを持つ。複数のセンサは、自装置に予め設けられており、媒体を検知する。印字部8は、媒体に印字を行う。判定部32は、センサから取得される情報に基づいて、媒体が斜行しているか否か判定する。さらに、判定部32は、センサから取得される情報から媒体がセンサによって検知されているか否か判定する。そして、判定部32は、センサの全てで媒体が検知されなくなるまでの間にカウントされた所定の値が閾値以上である場合に媒体が斜行していると判定する。判定部32は、所定の値が閾値未満である場合に媒体が斜行していないと判定する。印刷装置1は、このような構成を持つことにより、コストの増大を抑えつつ、媒体の斜行を検知することができる。
【0051】
上述した実施形態における印刷装置1の一部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。そして、上述したプログラムを記録した記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステムや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、可搬媒体や記憶装置等のことをいう。可搬媒体は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等である。また、記憶装置は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等である。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するものである。通信回線は、インターネット等のネットワークや電話回線等である。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、サーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリであってもよい。揮発性メモリは、一定時間プログラムを保持しているものである。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。また上記プログラムは、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
1…印刷装置,2…挿入口,3…用紙装填部,4…サーマル印字部,5a…第一搬送路,5b…第二搬送路,6…サーマル用紙,8…印字部,8a…ドットヘッド,9…弛み形成部,11(11a〜11e)…搬送ローラ対,12…出入用ローラ対,13…第二検知センサ,14…第一フィードローラ対,15…第二フィードローラ対,16…第一検知センサ,17…第一サーマルヘッド,18…第二サーマルヘッド,20…第一プラテンローラ,21…第二プラテンローラ,22…切断部,23…ロータリーカッター,24…サーマル搬送路,30…制御装置,31…取得部,32…判定部,33…カウント部,34…制御部,341…搬送制御部,342…印字制御部,40…媒体
図1
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図13