(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1種以上の栄養物、金属または塩は、鉄、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ホウ素、コバルト、クロム、マンガン、モリブデン、ナトリウム、ニッケル、セレン、亜鉛、塩化物、リン、硫化物、窒素、タングステンおよびビタミンBからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
前記少なくとも1種の生成物は、エタノール、ブタノール、プロパノール、プロピオネート、2,3−ブタンジオール、酢酸、酪酸およびプロピオン酸からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記浄化モジュールは、嫌気性消化モジュール、好気性消化モジュール、および濾過モジュールからなる群から選択されるバイオマス除去モジュールである、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
エタノールは、世界中において、急速に主要な水素に富む液体輸送用燃料となっている。2002年のエタノールの世界消費量は、108億ガロンと推定された。燃料エタノール産業の世界市場はまた、欧州、日本、米国、およびいくつかの発展途上国における関心の増加により、将来急成長すると予測されている。
【0003】
例えば、米国において、エタノールは、E10、すなわちガソリン中10%エタノール混合物を生成するために使用される。E10ブレンドにおいて、エタノール成分は、酸素化剤として作用して、燃焼の効率を改善し、空気汚染物質の生成を低減する。ブラジルにおいては、エタノールは、ガソリン中にブレンドされる酸素化剤、またはそれ自体純粋な燃料の両方として、輸送用燃料需要の約30%を満たしている。また、欧州において、温室効果ガス(GHG)放出の影響に関する環境問題が、欧州連合(EU)が加盟国にバイオマス由来エタノール等の持続可能な輸送用燃料の消費に関する義務的目標を設定している要因となっている。
【0004】
燃料エタノールの大部分は、農作物由来炭水化物、例えばサトウキビから抽出されたスクロース、または穀類作物から抽出されたデンプンを主要炭素源として使用する、従来の酵母ベース発酵プロセスにより生成される。しかしながら、これらの炭水化物供給原料は、その人間の食料または動物飼料としての価値に影響される一方で、エタノール生成のためのデンプンまたはスクロース生成農作物の栽培は、全ての地理において経済的に持続可能ではない。したがって、より低コストおよび/またはより豊富な炭素資源を燃料エタノールに変換する技術を開発することが、関心の対象となっている。
【0005】
COは、石炭または石油および石油由来生成物等の有機材料の不完全燃焼の、主要な遊離高エネルギー副生成物である。例えば、オーストラリアにおける鉄鋼産業は、年間500,000トンを超えるCOを生成および大気中に放出していることが報告されている。
【0006】
触媒プロセスを使用して、主にCOならびに/またはCOおよび水素(H
2)からなるガスを、様々な燃料および化学物質に変換することができることが、長い間認識されている。しかしながら、微生物を使用してこれらのガスを燃料および化学物質に変換することもできる。これらの生物学的プロセスは、一般に化学反応よりも遅いが、より高い特異性、より高い収率、より低いエネルギーコストおよび被毒に対するより高い抵抗性を含む、触媒プロセスに勝るいくつかの利点を有する。
【0007】
その唯一の炭素源としてCOで成長する微生物の能力は、1903年に初めて発見された。これは後に、独立栄養成長のアセチル補酵素A(アセチルCoA)生化学的経路(Woods−Ljungdahl経路および一酸化炭素デヒドロゲナーゼ/アセチルCoAシンターゼ(CODH/ACS)経路としても知られる)を使用する微生物の特性であると決定付けられた。カルボキシド栄養性、光合成、メタン生成および酢酸生成生物を含む多数の嫌気生成物が、COを各種最終生成物、すなわちCO
2、H
2、メタン、n−ブタノール、アセテートおよびエタノールに代謝することが示されている。唯一の炭素源としてCOを使用しながら、そのような生物は全て、これらの最終生成物の少なくとも2つを生成する。
【0008】
嫌気性細菌、例えばクロストリジウム属の細菌は、CoA生化学的経路を介して、CO、CO
2およびH
2からエタノールを生成することが示されている。例えば、ガスからエタノールを生成するクロストリジウム・ルジュングダーリイの様々な株が、国際公開第WO00/68407号、欧州特許第117309号、米国特許第5,173,429号、米国特許第5,593,886号および米国特許第6,368,819号、国際公開第WO98/00558号および国際公開第WO02/08438号に記載されている。細菌クロストリジウム・オートエタノゲナム種もまた、ガスからエタノールを生成することが知られている(Aribini et al,Archives of Microbiology 161,pp 345−351(1994))。
【0009】
しかしながら、ガスの発酵による微生物によるエタノール生成は、常にアセテートおよび/または酢酸の同時生成と関連している。利用可能な炭素の一部は、エタノールではなくアセテート/酢酸に変換されるため、そのような発酵プロセスを使用したエタノールの生成は、決して望ましくないものとなり得る。また、アセテート/酢酸副生成物がいくつかの他の目的に使用され得ない限り、廃棄物処理問題を引き起こす可能性がある。アセテート/酢酸は、微生物によりメタンに変換され、したがって温室効果ガス放出に寄与する可能性を有する。
【0010】
発酵に使用されるバイオリアクター内で細菌または微生物を培養するために使用される液体栄養培地のパラメータを制御することの重要性は、当該技術分野において認識されている。参照により本明細書に組み込まれる2007年7月18日出願のニュージーランド特許第556615号は、特に、そのような液体栄養培地のpHおよび酸化還元電位の操作を説明している。例えば、嫌気性酢酸生成細菌の培養において、培養物のpHを約5.7超に上昇させながら、培養物の酸化還元電位を低レベル(−400mV以下)に維持することにより、細菌は、発酵の副生成物として生成されたアセテートを、より低いpH条件下よりもはるかに速い速度でエタノールに変換する。ニュージーランド特許第556615号は、さらに、細菌が行っている主要な役割(すなわち、成長、アセテートおよびガス状CO含有基質からのエタノール生成、またはガス含有基質からのエタノール生成)に依存して、異なるpHレベルおよび酸化還元電位を使用して条件を最適化することができることを認識している。
【0011】
米国特許第7,078,201号および国際公開第WO02/08438号はまた、発酵が行われる液体栄養培地の条件(例えば、pHおよび酸化還元電位)を変化させることにより、エタノールを生成するための発酵プロセスを改善することを説明している。
【0012】
液体栄養培地のpHは、1種以上のpH調整剤または緩衝剤を培地に添加することにより調整され得る。例えば、NaOH等の塩基および硫酸等の酸を使用して、必要に応じてpHを上昇または低下させることができる。酸化還元電位は、1種以上の還元剤(例えばメチルビオロゲン)または酸化剤を添加することにより調整され得る。代替として、培地のpHは、微生物にガスが「過剰供給」されるように、過剰量のガス状基質を発酵に提供することにより調整され得る。
【0013】
当業者には明らかなように、同様のプロセスを使用してブタノール等の他のアルコールを生成することができる。
【0014】
発酵反応を生じさせるために使用される源に関わらず、供給に途絶があると問題が生じ得る。より具体的には、そのような中断は、反応において使用される微生物の効率に悪影響をもたらす可能性があり、いくつかの場合においてはその効率に有害となり得る。例えば、酸/アルコールを生成するために、産業廃棄ガスストリーム中のCOガスが発酵反応において使用される場合、ストリームが生成されない時間が存在し得る。そのような時間の間、反応において使用される微生物は休眠に入る可能性がある。ストリームが再び利用可能となった時、微生物が所望の反応の実行において完全に生産的となる前に、遅延が生じる可能性がある。
【0015】
エタノールは、加熱により発酵ブロスのストリームから容易に除去され得るが、このプロセスから生じる酢酸および2,3−ブタンジオール等の他の代謝産物は、除去がより困難であり、プロセスに戻される液体がまだこれらを含有する場合、それが低い濃度であっても問題を引き起こす可能性がある。
【0016】
本発明の目的は、上記の欠点の克服に少なくとも部分的に役立つシステムおよび/もしくはプロセスを提供すること、または、少なくとも公衆に有用な選択肢を提供することである。
【発明の概要】
【0017】
本発明の第1の態様において、COを含む基質の微生物発酵のための方法であって、
a.1種以上の微生物の培養物を含むバイオリアクターにおいて、COを含むガス状基質を発酵させて、1種以上の生成物を含む発酵ブロスを生成することと、
b.ブロスの少なくとも一部を、ブリードストリームを介してバイオリアクターから通すことと、
c.透過物ストリームの少なくとも一部を、バイオリアクターから通すことと、
d.ブリードストリームおよび/または透過物ストリームから1種以上の生成物の少なくとも一部を除去して、生成物枯渇ストリームを提供することと、
e.生成物枯渇ストリームを浄化モジュールに通すことであって、バイオマス、タンパク質、有機成分、または無機成分からなる群から選択される、生成物枯渇ストリームの1つ以上の成分の少なくとも一部が、生成物枯渇ストリームから除去されて、処理されたストリームを提供する、通すことと、
f.処理されたストリームの少なくとも一部を、バイオリアクターに通すことと、を含む方法が提供される。
【0018】
一実施形態において、1種以上の生成物は、アルコールまたは酸である。一実施形態において、アルコールは、エタノール、ブタノール、プロパノール、プロピオネートおよび2,3−ブタンジオールからなる群から選択される。一実施形態において、酸は、酢酸、酪酸およびプロピオン酸からなる群から選択される。
【0019】
一実施形態において、1種以上の生成物は、エタノール、2,3−ブタンジオールおよびアセテートである。
【0020】
一実施形態において、ステップ(a)の1種以上の微生物は、カルボキシド栄養性酢酸生成細菌である。一実施形態において、1種以上の微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・ルジュングダーリイ、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・カルボキシジボランスおよびクロストリジウム・コスカティからなる群から選択される。
【0021】
一実施形態において、浄化モジュールは、バイオマス除去モジュール、アルコール回収モジュール、フィルタモジュール、酸除去モジュール、有機物除去モジュール、滅菌モジュールまたは無機物除去モジュールの1つ以上を含む。
【0022】
一実施形態において、アルコール回収モジュールは、蒸留モジュールである。
【0023】
一実施形態において、バイオマス除去モジュールは、嫌気性消化モジュール、好気性消化モジュール、または濾過モジュールである。
【0024】
一実施形態において、フィルタモジュールは、ナノ濾過モジュールまたは逆浸透モジュールである。
【0025】
一実施形態において、有機物除去モジュールは、活性炭モジュールである。
【0026】
一実施形態において、無機物除去モジュールは、イオン交換モジュールである。
【0027】
一実施形態において、酸除去モジュールは、電気透析または活性炭モジュールである。
【0028】
一実施形態において、滅菌モジュールは、紫外線滅菌モジュールまたは逆浸透モジュールである。
a.本発明の第2の態様において、COを含む基質の微生物発酵のための方法であって、
a.1種以上の微生物の培養物を含むバイオリアクターにおいて、COを含むガス状基質を発酵させて、1種以上の生成物を含む発酵ブロスを生成することと、
b.ブロスの少なくとも一部を、ブリードストリームを介してバイオリアクターから通すことと、
c.透過物ストリームの少なくとも一部を、バイオリアクターから通すことと、
d.ブリードストリームおよび/または透過物ストリームから1種以上のアルコールの少なくとも一部を除去して、生成物枯渇ストリームを提供することと、
e.生成物枯渇ストリームを嫌気性消化段階に通すことであって、有機成分およびバイオマスからなる群から選択される1種以上の成分の少なくとも一部が、生成物枯渇ストリームから除去されて、処理されたストリームおよびガス状副生成物を提供する、通すことと、
f.処理されたストリームの少なくとも一部を、バイオリアクターに通すことと、
g.ステップ(e)のガス状副生成物の少なくとも一部を、微生物発酵の1つ以上のステップのための熱、エネルギーまたは炭素源として使用することとを含む方法が提供される。
【0029】
一実施形態において、1種以上の生成物は、アルコールまたは酸である。一実施形態において、アルコールは、エタノール、ブタノール、プロパノール、プロピオネートおよび2,3−ブタンジオールからなる群から選択される。一実施形態において、酸は、酢酸、酪酸およびプロピオン酸からなる群から選択される。一実施形態において、1種以上の生成物は、エタノールおよび酢酸である。一実施形態において、1種以上の生成物は、エタノール、2,3−ブタンジオールおよび酢酸である。
【0030】
一実施形態において、ステップ(a)の1種以上の微生物は、カルボキシド栄養性酢酸生成細菌である。一実施形態において、1種以上の微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・ルジュングダーリイ、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・カルボキシジボランスおよびクロストリジウム・コスカティからなる群から選択される。
【0031】
一実施形態において、ステップ(d)の除去された1種以上の生成物は回収される。
【0032】
本発明の一実施形態において、処理されたストリームは、バイオリアクターに通される前に1種以上の任意選択の浄化ステップに通される。1種以上の任意選択の浄化ステップは、バイオマス除去モジュール、アルコール回収モジュール、フィルタモジュール、または酸除去モジュール、有機物除去モジュール、滅菌モジュール、無機物除去モジュール(すなわちイオン交換モジュール)を含む。1つ以上の任意選択の浄化ステップは、浄化されたストリームを生成し、処理された枯渇ストリームの1種以上の成分の少なくとも一部が除去される。処理されたストリームの1種以上の成分は、生成物、有機成分および無機成分を含むが、これらに限定されない。
【0033】
一実施形態において、浄化されたストリームまたは処理されたストリームがバイオリアクターに通される前に、浄化されたストリームまたは処理されたストリームに1種以上の栄養物、金属または塩が添加される。
【0034】
本発明の一実施形態において、処理されたストリームおよび/または浄化されたストリームがバイオリアクターに通される前に、処理されたストリームおよび/または浄化されたストリームに金属が添加される。ある特定の実施形態において、1種以上の金属は、鉄、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ホウ素、コバルト、クロム、マンガン、モリブデン、ナトリウム、ニッケル、セレン、亜鉛、塩化物、リン、硫化物、窒素およびタングステンからなる群から選択される。代替の実施形態において、処理されたストリームおよび/または浄化されたストリームがバイオリアクターに再び通された後に、発酵ブロスに1種以上の金属が添加される。
【0035】
本発明の一実施形態において、処理されたストリームおよび/または浄化されたストリームがバイオリアクターに戻される前に、処理されたストリームおよび/または浄化されたストリームに1種以上のビタミンBが添加される。1種以上のビタミンBは、チアミン(B1)、リボフラビン(B2)、ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)、ピリドキシン(B6)、葉酸(B9)、シアノコバラミン(B12)を含む群から選択される。本発明の一実施形態において、新鮮な培地が、処理されたストリームおよび/または浄化されたストリームとブレンドされる。
【0036】
一実施形態において、1種以上の生成物成分がバイオリアクター内に蓄積されるのが防止されるように、処理されたストリームの1種以上の生成物成分の少なくとも一部が、1つ以上の浄化ステップ中に除去される。一実施形態において、1種以上の生成物成分は、アルコールまたは酸である。
【0037】
一実施形態において、処理されたストリームおよび/または浄化ストリームは、10g/L未満、または8g/L未満、または6g/L未満、または4g/L未満、または2g/L未満の酸濃度を有する。
【0038】
一実施形態において、1種以上の無機成分がバイオリアクター内に蓄積されるのが防止されるように、処理されたストリームの1種以上の無機成分の少なくとも一部が、1つ以上の浄化ステップ中に除去される。
【0039】
一実施形態において、1種以上の有機成分がバイオリアクター内に蓄積されるのが防止されるように、処理されたストリームの1種以上の有機成分の少なくとも一部が、1つ以上の浄化ステップ中に除去される。
【0040】
一実施形態において、ステップ(e)のガス状副生成物は、メタンおよび/または二酸化炭素である。
【0041】
一実施形態において、嫌気性消化により生成されたメタンは、微生物発酵の1つ以上のステップのための熱、エネルギーまたは炭素源として使用される。一実施形態において、メタンは改質されて一酸化炭素を生成し、これは基質としての使用のためにバイオリアクターに通される。一実施形態において、メタンは、発電のためにガスタービンに通される。一実施形態において、メタンは、蒸留プロセスの直接的または間接的加熱のために蒸気ボイラーに通される。
a.第1の態様の実施形態は、本発明の第2の態様と類似している。
【0042】
本発明の第3の態様によれば、COを含む基質の微生物発酵を改善するための方法であって、
a.1種以上の酢酸生成微生物の培養物を含む第1のバイオリアクターにおいて、COを含む基質を発酵させて、1種以上のアルコールおよび任意選択でアセテートを含む発酵ブロスを生成することと、
b.ブロスの少なくとも一部を、ブリードストリームを介して第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクターに通すことと、
c.透過物ストリームの少なくとも一部を、第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクターに通すことと、
d.1種以上の酢酸生成微生物の培養物を含む第2のバイオリアクターにおいて、COを含む基質を発酵させて、1種以上のアルコールおよび任意選択でアセテートを含む発酵ブロスを生成することと、
e.ブロスの少なくとも一部を、ブリードストリームを介して第2のバイオリアクターから除去することと、
f.透過物ストリームの少なくとも一部を、第2のバイオリアクターから除去することと、
g.ブリードストリームおよび透過物ストリームを組み合わせて、組み合わされたストリームを生成することと、
h.組み合わされたストリームを処理して、1種または複数種の生成物の少なくとも一部を除去し、生成物枯渇ストリームを生成することと、
i.生成物枯渇ストリームを処理して、バイオマスおよびタンパク質の少なくとも一部を除去することと、
j.ステップ(i)の処理されたストリームを、ステップ(a)の1次バイオリアクターに通すことと、を含む方法が提供される。
【0043】
本発明の具体的実施形態において、第1のバイオリアクターから出るブリードストリームおよび/または透過物の一部は、生成物抽出、廃棄、またはリサイクルのために収集される。
【0044】
一実施形態において、処理された透過物は、1種以上の酸の少なくとも一部を除去するために処理され、処理された透過物内の酸濃度が低減される。本発明の一実施形態において、1種以上の酸は、酢酸および/または乳酸を含む。具体的実施形態において、実質的にアセテートを含まない透過物が第1のバイオリアクターに通されるように、処理された透過物中の酢酸の実質的に全てが除去される。
【0045】
本発明の具体的実施形態において、第1のバイオリアクターから出るブリードストリームの一部は、生成物抽出、廃棄、またはリサイクルのために収集される。
【0046】
具体的実施形態において、微生物バイオマスは、第2のバイオリアクターを連続または反連続モードで操作することにより、第2のバイオリアクター内に維持され、第2のバイオリアクターには細胞保持手段が提供される。具体的実施形態において、細胞保持手段は、1つ以上のクロスフロー膜である。別の実施形態において、細胞保持手段は、1つ以上の中空繊維膜である。
【0047】
第1および第2の態様の実施形態は、本発明の第3の態様と類似している。
【0048】
本発明の第4の態様において、CO2およびH2を含む基質の微生物発酵のための方法であって、
a.1種以上の微生物の培養物を含むバイオリアクターにおいて、CO2およびH2を含むガス状基質を発酵させて、1種以上の酸を含む発酵ブロスを生成することと、
b.ブロスの少なくとも一部を、ブリードストリームを介してバイオリアクターから通すことと、
c.透過物ストリームの少なくとも一部を、バイオリアクターから通すことと、
d.ブリードストリームおよび/または透過物ストリームから1種以上の酸の少なくとも一部を除去して、酸枯渇ストリームを提供することと、
e.アセテート枯渇ストリームを浄化モジュールに通すことであって、バイオマス、タンパク質、有機成分、または無機成分からなる群から選択される、酸枯渇ストリームの1つ以上の成分の少なくとも一部が、生成物枯渇ストリームから除去されて、処理されたストリームを提供する、通すことと、
f.処理されたストリームの少なくとも一部を、バイオリアクターに通すことと、を含む方法が提供される。
【0049】
一実施形態において、1種以上の酸は、酢酸、酪酸、プロピオン酸からなる群から選択される。一実施形態において、酸は、酢酸である。
【0050】
一実施形態において、1種以上の微生物は、ムーレラ種またはアセトバクテリウム種からなる群から選択される。一実施形態において、1種以上の微生物は、アセトバクテリウム・ウッディである。
【0051】
一実施形態において、浄化モジュールは、バイオマス除去モジュール、アルコール回収モジュール、フィルタモジュール、酸除去モジュール、有機物除去モジュール、滅菌モジュールまたは無機物除去モジュールの1つ以上を含む。
【0052】
一実施形態において、浄化モジュールは、バイオマス除去モジュール、アルコール回収モジュール、フィルタモジュール、酸除去モジュール、有機物除去モジュール、滅菌モジュールまたは無機物除去モジュールの1つ以上を含む。
【0053】
一実施形態において、アルコール回収モジュールは、蒸留モジュールである。
【0054】
一実施形態において、バイオマス除去モジュールは、嫌気性消化モジュール、好気性消化モジュール、または濾過モジュールである。
【0055】
一実施形態において、フィルタモジュールは、ナノ濾過モジュールまたは逆浸透モジュールである。
【0056】
一実施形態において、有機物除去モジュールは、活性炭モジュールである。
【0057】
一実施形態において、無機物除去モジュールは、イオン交換モジュールである。
【0058】
一実施形態において、酸除去モジュールは、電気透析モジュールまたは活性炭モジュールである。
【0059】
一実施形態において、バイオリアクターは、二段反応器システムである。
【0060】
第1、第2および第3の態様の実施形態は、本発明の第4の態様と類似している。
【0061】
上記態様のいずれかの一実施形態において、方法は、ブリードストリームおよび透過物ストリームを2回以上リサイクルすることをさらに含む。ある特定の実施形態において、ブリードストリームおよび透過物ストリームは、システムを通して連続的に処理およびリサイクルされる。ある特定の実施形態において、必要に応じて追加の培地がシステムに添加される。
【0062】
本発明は、上記において幅広く定義された通りであるが、それらに限定されず、以下の説明によりその例が示される実施形態もまた含む。
【発明を実施するための形態】
【0065】
定義
別段に指定されない限り、以下の用語は、本明細書全体で使用される場合、以下のように定義される。
【0066】
希釈率−バイオリアクター内のブロスの置換率である。希釈率は、1日当たりの栄養培地で置換されるブロスのバイオリアクター体積の数で測定される。
【0067】
発酵ブロスまたはブロス−バイオリアクター内に見られる成分(ブロス培養物および栄養培地を含む)の混合物である。
【0068】
栄養培地−微生物培養物の成長に適切な栄養物および他の成分を含有する、発酵ブロスに添加される溶液である。
【0069】
一酸化炭素を含む基質および同様の用語は、一酸化炭素が、例えば成長および/または発酵のために細菌の1つ以上の株に利用可能である、任意の基材を含むように理解されるべきである。
【0070】
ブリードストリーム−分離器に通されない、バイオリアクターから除去される発酵ブロスの一部である。
【0071】
透過物ストリーム−分離器に通されるが分離器により保持されない、ブロスの実質的に可溶性の構成成分である。透過物は、典型的には、可溶性の発酵生成物、副生成物および栄養溶液を含有する。
【0072】
生成物枯渇ストリーム−1種以上の発酵生成物の少なくとも一部を除去するために処理された、ブリードストリームおよび/または透過物ストリームの一部である。
【0073】
処理されたストリーム−1種以上の成分の少なくとも一部を除去するために処理された、生成物枯渇ストリームの一部である。1種以上の成分は、バイオマス、タンパク質および有機成分を含むが、これらに限定されない。
【0074】
浄化されたストリーム−バイオマス、有機成分、無機成分および発酵生成物を含むがこれらに限定されない1種以上の成分の少なくとも一部を除去するために、1つ以上のさらなる処理段階に供された、処理されたストリームの一部である。
【0075】
ブロス培養物−発酵ブロス中に存在する微生物培養物である。
【0076】
ブロス培養物密度−発酵ブロス中の微生物細胞の密度である。
【0077】
分離器−バイオリアクターから発酵ブロスを受容し、ブロスをフィルタに通して保持液および透過物を生成するように構成されるモジュールである。フィルタは、膜、例えばクロスフロー膜または中空繊維膜であってもよい。
【0078】
一酸化炭素を含むガス状基質および同様の用語は、一酸化炭素を含有する任意のガスを含む。ガス状基質は、典型的には、相当な割合のCO、好ましくは少なくとも約5体積%から約100体積%のCOを含有する。
【0079】
酸−本明細書において使用される場合、この用語は、本明細書に記載のような発酵ブロス中に存在するカルボン酸および関連するカルボン酸陰イオンの両方、例えば遊離酢酸およびアセテートの混合物を含む。発酵ブロス中のカルボキシレートに対する分子酸の比は、系のpHに依存する。「アセテート」という用語は、本明細書において説明され得るような発酵ブロス中に存在する酢酸塩単独、ならびに分子または遊離酢酸および酢酸塩の混合物の両方、例えば、酢酸塩および遊離酢酸の混合物を含む。発酵ブロス中のアセテートに対する分子酢酸の比は、系のpHに依存する。
【0080】
バイオリアクターまたは発酵槽は、1つ以上の容器および/または塔もしくは配管構成からなる発酵デバイスを含み、これは、連続撹拌層型反応器(CSTR)、固定化細胞反応器(ICR)、トリクルベッド反応器(TBR)、移動床生物膜反応器(MBBR)、バブルカラム、ガスリフト発酵槽、膜反応器、例えば中空繊維膜バイオリアクター(HFMBR)、静的ミキサー、または気液接触に好適な他の容器もしくは他のデバイスを含む。
【0081】
第2の、または2次バイオリアクター−本明細書において使用される場合、これらの用語は、第1および/または第2のバイオリアクターと直列または並列で接続され得る任意の数のさらなるバイオリアクターを包含することを意図する。これらのさらなるバイオリアクターの任意の1つ以上はまた、さらなる分離器に接続されてもよい。
【0082】
発酵すること、発酵プロセスまたは発酵反応、および同様の用語は、本明細書において使用される場合、プロセスの成長段階および生成物生合成段階を包含することを意図する。本明細書においてさらに説明されるように、いくつかの実施形態において、バイオリアクターは、第1の成長反応器および第2の発酵反応器を備えてもよい。したがって、発酵反応への金属または組成物の添加は、これらの反応器のいずれかまたは両方への添加を含むことが理解されるべきである。
【0083】
生成物は、本明細書において使用される場合、微生物発酵により生成される物質を包含することを意図する。生成物は、アルコール、酸または他の化学物質を含み得る。生成物はまた、微生物発酵プロセスにより生成されたガスを含み得る。
【0084】
有機成分−主に炭素骨格ならびに炭素構造を取り囲む水素、窒素および/または酸素からなる、発酵ブロス中に含有される分子である。発酵物中の有機化合物の例は、バイオマス、エタノール、2,3−ブタンジオールおよび酢酸を含むが、これらに限定されない。
【0085】
無機成分−生物起源ではない、ブロス中に含有される非炭素構造分子である。発酵ブロス中の無機化合物の例は、マグネシウム、カリウム、カルシウムおよび鉄化合物を含む金属および塩を含み得るが、これらに限定されない。
【0086】
以下の説明は、本発明の具体的実施形態、すなわち主要基質としてCOを使用したエタノールおよび/またはアセテートの生成に充填を置いているが、本発明は、本発明が関連する技術分野の当業者に知られるように、代替のアルコールおよび/または酸の生成、ならびに代替の基質の使用にも適用され得ることを理解されたい。例えば、一酸化炭素および水素を含有するガス状基質が使用されてもよい。さらに、本発明は、酢酸、酪酸、プロピオン酸、ブチレート、プロピオネート、カプロエート、エタノール、プロパノール、ブタンジオールおよびブタノールを生成するための発酵に適用され得る。方法はまた、水素の生成に使用され得る。例として、これらの生成物は、ムーレラ、クロストリジウム、ルミノコッカス、アセトバクテリウム、ユウバクテリウム、ブチリバクテリウム、オキソバクター、メタノサルキナおよびデスルホトマクルム属の微生物を使用した発酵により生成され得る。
【0087】
本発明によれば、バイオリアクター内でのCO含有基質の発酵により、アルコール(複数種可)を含む生成物を生成する方法が提供される。発酵中に生成された生成物は、発酵ブロス中に存在し、ブロス培養物に毒性となる、またはその生成効率を阻害する可能性がある。これらの問題を回避するために、典型的にはブロスの一部が定期的にバイオリアクターから除去され、副生成物濃度が低減されるが、これはまた、ブロス培養物の一部が除去および廃棄される結果をもたらす。このブロス培養物の枯渇は、生成物収率に影響し得る。
【0088】
成長(細胞分裂)によりブロス培養物を補充する必要性はまた、希釈率がブロス培養物の成長速度により制限されることを意味し、希釈率が高過ぎると、ブロス培養物密度が過度に低く低下し、生成物収率がより少なくなる。ブロスの連続的またはバッチ除去には、集団を補充するためにブロス培養物の成長が優先される必要がある。最適な成長条件は、最適な生成物形成条件とは異なり得るため、ブロスの除去は、有用な生成物を生成する培養物の能力を阻害し得る。さらに、ブロスの連続的除去および新鮮な培地の補充は、培地中に必要とされる水および栄養物の高い使用量を必要とする。
【0089】
本発明によれば、ブロスおよび透過物がバイオリアクターシステムを通してリサイクルされ得るように、バイオリアクターから出る使用されたブロスおよび透過物を処理する方法が提供される。
【0090】
発酵システムから出るブリードストリームおよび透過物は、ブロス培養物に毒性となり得る、またはその生成効率を阻害し得る生成物を含有する。ブロスおよび透過物を直接バイオリアクターにリサイクルすることに関連する問題を克服するために、発酵システムから出るブリードストリームおよび透過物ストリームは、発酵に対し阻害効果を有し得る生成物を除去するためのいくつかの処理ステップに供される。さらに、処理された透過物は、発酵プロセス中に失われた栄養物、金属および/またはビタミンの添加を必要とし得る。
【0091】
本発明の処理システムは、典型的には、バイオマス除去モジュール、アルコール回収モジュール、フィルタモジュール、または酸除去モジュール、有機物除去モジュール、滅菌モジュール、無機物除去モジュール(すなわち、イオン交換モジュール)を含む群から選択される少なくとも1つの処理モジュールを含む。
【0092】
バイオマス除去モジュール
バイオマスは、任意の既知の手段により、バイオリアクターから出るブリードストリームから除去され得る。発酵ブロスからバイオマスを除去するための典型的な方法は、消化法、凝集および沈降を含むが、これらに限定されない。本発明のある特定の実施形態において、バイオマスの除去は必要ではない。
【0093】
本発明のある特定の態様において、バイオマス除去モジュールは、嫌気性消化ステップを含む。一実施形態において、嫌気性消化ステップは、バイオマスおよびタンパク質を消費し、CO2およびメタンを含むガス状基質を生成する。ある特定の実施形態において、嫌気性消化により生成されたメタンは、本発明の方法の1つ以上のステップにおいて使用される。一実施形態において、メタンは、COを含む基質を提供するために既知の方法を使用して改質される。CO含有基質は、次いでバイオリアクターに通され、1種以上の生成物の発酵のための基質として利用される。別の実施形態において、メタンは、蒸留プロセスの直接的または間接的加熱のために蒸気ボイラーに通される。一実施形態において、メタンは、発電のためにガスタービンに通される。
【0094】
アルコール除去モジュール
アルコール(エタノール)は、様々なプロセスにより、発酵ブロス、ブリードストリームまたは透過物ストリームから除去され得る。沸点および揮発性の違いに基づくアルコールの除去のための技術は、充填蒸留、蒸気ストリッピングおよび部分凝縮分離を含むが、これらに限定されない。アルコールはまた、圧力スイング蒸留およびパーベーパレーションにより除去され得る。圧力スイング蒸留およびパーベーパレーションは、分圧の違いに基づく分離をもたらす圧力変化環境内で動作する。アルコールを除去するための他の方法は、擬似移動床(SMB)、パーストラクションおよび液液抽出を含む。これらの方法は、エタノールに対する高い分子親和性の特性を示す固相および/または有機溶媒を利用して、ブロスまたはブリードからエタノール成分を除去する。
【0095】
フィルタモジュール
汚染物質もしくは不要な生成物をブロスストリームから濾過するために、またはバイオマス除去モジュールもしくはアルコール除去モジュールにより捕捉されない任意のバイオマスもしくはアルコールを捕捉するために、濾過モジュールが提供されてもよい。本発明のある特定の実施形態において、フィルタモジュールは、必要とされなくてもよい。濾過モジュールは、逆浸透ステップまたはナノ濾過ステップ等の1つ以上の濾過ステップを含み得る。濾過モジュールは、1種以上の有機成分、1種以上の無機成分、バイオマス成分、およびタンパク質成分を含む、バイオリアクターに戻されるストリームの1種以上の不要な成分の除去を目的としてもよい。
【0096】
酸除去モジュール
本発明のある特定の実施形態によれば、発酵ブロスが処理された透過物ストリームとしてバイオリアクターに再びリサイクルされる前に、バイオリアクターから出る発酵ブロス中の酢酸の少なくとも一部が除去される。酢酸は、任意の既知の手段により発酵ブロスから除去され得る。酢酸を除去するための1つのそのような方法は、好気性消化によるものである。好気性消化は、蒸留された透過物および廃棄物が反応器内で組み合わされ、酢酸、エタノールおよび2,3−ブタンジオールまたは他の有機成分をバイオマスおよびCO2に代謝することができる、酵母および/または細菌の混合物で植菌されるプロセスである。このプロセスはまた、副生成物として熱を生成する。酵母および細菌は、遠心分離または濾過等の方法により、ブロスから除去される。得られた「処理された透過物」は、次いで1次バイオリアクターに戻される。
【0097】
代替の方法は、生成されるCO2およびバイオマスに加えてメタンが大量に生成される、嫌気性消化を含む。
【0098】
有機物除去モジュール
バイオリアクターにリサイクルする前に、発酵ブロスの有機含有物を低減することが望ましくなり得る。そのような有機含有物は、エタノール、2,3−ブタンジオール、ブタノール、イソプロパノール、2,3−ブタンジオン、アセトインを含み得る。1つのそのような方法は、嫌気性消化である。別の方法は、好気性消化である。別の方法は、ナノ濾過である。別の方法は、逆浸透である。除去は、発酵に対する阻害、および/または気液物質移動に対する任意の悪影響を防止するために必要である。
【0099】
本発明によれば、バイオリアクター内でのCO含有基質の発酵により、アルコール(複数種可)を含む生成物を生成する方法が提供される。
【0100】
図1に示される本発明の一実施形態によれば、バイオリアクターを備える発酵システムが提供される。本発明の方法によれば、液体栄養培地は、入り口105を介してバイオリアクター101に連続的または反連続的に提供され得る。分離器108は、第1の出力導管107を介してバイオリアクターからブロス103の少なくとも一部を受容し、微生物細胞(保持液)を発酵ブロスの残り(透過物)から実質的に分離するように構成される分離器108に通すように構成される。保持液の少なくとも一部は、ブロス培養物密度が最適レベルに維持されることを確実とする第1の返送導管109を介して、第1のバイオリアクターに戻される。分離器108は、透過物送達導管110を介して、バイオリアクター102から透過物ストリームの少なくとも一部を通すように構成される。実質的に細胞を含まない透過物は、生成物抽出のために透過物除去導管110を介して除去され、リサイクルまたは廃棄される。生成物抽出のためにバイオリアクターから直接ブロスを除去し、リサイクルまたは廃棄するために、ブリードストリーム出力106が提供される。
【0101】
一実施形態において、バイオリアクター101は、微生物生成物の生成および連続植菌材料の成長を促進するように構成される。この実施形態において、ブリードストリームは、ブリード出力106を通してバイオリアクターから通される。バイオリアクターから出るブリードストリームおよび透過物ストリームは組み合わされ、組み合わされたストリームは、導管111を介して生成物回収手段112に通される。1種以上の発酵生成物の少なくとも一部は、透過物および/またはブリードストリームから除去される。ある特定の実施形態において、生成物回収手段は、蒸留手段である。生成物枯渇ストリームは、生成物枯渇ストリームの1種または複数種の成分の除去のために、導管113を介して処理モジュール114に通される。処理モジュール114は、嫌気性消化手段、好気性消化手段または濾過手段の1つ以上を含み得る。ある特定の実施形態において、バイオマスおよび/またはタンパク質の少なくとも一部が、処理モジュールにより除去される。処理モジュール114から出る処理されたストリームは、バイオリアクター101に通される。
【0102】
ある特定の実施形態において、処理された透過物がバイオリアクター101に通される前に、追加の栄養物、金属およびビタミンBが処理されたストリームに添加される。他の実施形態において、処理されたストリームがバイオリアクターに通された後に、追加の栄養物、金属およびビタミンBがバイオリアクターに添加される。
図2に示される本発明の一実施形態によれば、バイオリアクターを備える発酵システムが提供される。本発明の方法によれば、液体栄養培地は、入り口205を介してバイオリアクター201に連続的または反連続的に提供され得る。分離器208は、第1の出力導管207を介してバイオリアクターからブロス203の少なくとも一部を受容し、微生物細胞(保持液)を発酵ブロスの残り(透過物)から実質的に分離するように構成される分離器208に通すように構成される。保持液の少なくとも一部は、ブロス培養物密度が最適レベルに維持されることを確実とする第1の返送導管209を介して、第1のバイオリアクターに戻される。分離器208は、透過物送達導管210を介して、バイオリアクター202から透過物ストリームの少なくとも一部を通すように構成される。実質的に細胞を含まない透過物は、生成物抽出のために透過物除去導管210を介して除去され、リサイクルまたは廃棄される。生成物抽出のためにバイオリアクターから直接ブロスを除去し、リサイクルまたは廃棄するために、ブリードストリーム出力206が提供される。
【0103】
一実施形態において、バイオリアクター201は、微生物生成物の生成および連続植菌材料の成長を促進するように構成される。この実施形態において、ブリードストリームは、ブリード出力206を通してバイオリアクターから通される。バイオリアクターから出るブリードストリームおよび透過物ストリームは組み合わされ、組み合わされたストリームは、導管211を介して生成物回収手段212に通される。1種以上の発酵生成物の少なくとも一部は、透過物および/またはブリードストリームから除去される。ある特定の実施形態において、生成物回収手段は、蒸留手段である。生成物枯渇ストリームは、嫌気性消化モジュール214に通される。ある特定の実施形態において、バイオマスおよび/またはタンパク質の少なくとも一部が、嫌気性消化モジュールにより除去される。ある特定の実施形態において、メタンおよび一酸化炭素を含むガス状ストリームが、嫌気性消化プロセスの副生成物として生成される。ある特定の実施形態において、ガス状ストリームが捕捉され、炭素、エネルギーまたは熱源として使用される。ガス状ストリーム中のメタンは、バイオリアクターに再び通される一酸化炭素基質を提供するために改質される。代替として、メタンは、発電のためにガスタービンに通される。代替として、メタンは、蒸留プロセスの直接的または間接的加熱のためにスティールボイラーに通される。
【0104】
図3は、本発明の一実施形態による二段反応器システムを示す。
図2を参照すると、第1の分離器308を介して第2のバイオリアクター302に連結された第1のバイオリアクター301を備える発酵システムが提供される。本発明の方法によれば、液体栄養培地は、入り口305を介してバイオリアクター301に連続的または反連続的に提供され得る。第1の分離器308は、第1の出力導管307を介して第1のバイオリアクターからブロス303の少なくとも一部を受容し、微生物細胞の一部(保持液)を発酵ブロスの残り(透過物)から分離するように構成される分離器308に通すように構成される。保持液の少なくとも一部は、ブロス培養物密度が最適レベルに維持されることを確実とする第1の返送導管309を介して、第1のバイオリアクターに戻される。分離器308は、第2の発酵ブロス321への添加のために、透過物の少なくとも一部を、透過物送達導管310を介して第2のバイオリアクター302の少なくとも一部に通すように構成される。
【0105】
この実施形態において、第1のバイオリアクター301は、微生物生成物の生成およびブリードストリーム出力306を通して2次バイオリアクター302内に直接通される連続植菌材料の成長を促進するように構成される。発酵中、ブロス培養物密度は、導管325および327ならびに第2の分離器326を介して、微生物細胞の少なくとも一部を保持液としてリサイクルすることにより維持される。実質的に細胞を含まない透過物は、生成物抽出のために透過物除去導管328を介して除去され、リサイクルまたは廃棄される。生成物抽出のために第2のバイオリアクターから直接ブリードストリームを除去し、リサイクルまたは廃棄するために、第2のブリードストリーム出力324が提供される。
【0106】
本発明の一実施形態によれば、第2のバイオリアクター302から出る透過物および第2のブリードストリームは組み合わされ、組み合わされたストリームが提供される。次いで、組み合わされたストリームは、
図1および2において提供される説明に従って処理される。本発明によれば、1つ以上の2次バイオリアクターが提供され、アルコールおよび任意選択で酸を含む透過物の少なくとも一部は、分離器を介して第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクター内に通される。発酵生成物およびより望ましくない副生成物を含有する透過物を第2のバイオリアクターに通すことにより、および保持液を第1のバイオリアクター内に保持することにより、ブロス培養物密度が維持され得、ブロス培養物成長が必要に応じて優先され得る。
【0107】
本発明の具体的実施形態によれば、第2の(またはさらなる)分離器が、ブロスの少なくとも一部を受容し、微生物細胞(保持液)を発酵ブロスの残り(透過物)から分離するように構成される。分離器は、ブロス培養物を補充および維持するために、保持液の少なくとも一部を再びブロスに通すように構成される。具体的実施形態において、透過物の少なくとも一部がシステムから除去されて、さらなるシステムに通される、または生成物が既知の方法に従って抽出され得るようにする。
【0108】
具体的実施形態において、第1のバイオリアクターからのブロスの一部は、直接第2のバイオリアクターに通される。この部分は、本明細書において第1のブリードストリーム6と呼ばれる。第2のバイオリアクターに通される透過物に対するブリードストリームの比の調整を使用して、第1および/または第2のバイオリアクター内の培養物密度を制御することができる。さらなる実施形態において、第2のバイオリアクターからのブロスの一部は、システムから除去されて、さらなるシステムに通される、または生成物が既知の方法に従って抽出され得るようにする。第2のバイオリアクターから除去される透過物に対するブリードストリームの比を使用して、第2のバイオリアクター内の培養物密度を制御することができる。培養物密度の調整によって、微生物成長、生成物収率、または他の望ましい動作形態のためにバイオリアクターを最適化することができる。
【0109】
具体的実施形態において、2次バイオリアクターの少なくとも1つから出る透過物およびブリードストリームが収集される。組み合わされたストリームは、次いで、バイオマスおよびタンパク質ならびに他の汚染物質を除去するために処理される。組み合わされたストリームは、次いで、1種以上のアルコール(複数種可)および任意選択の酸(複数種可)の回収のために、蒸留チャンバに通される。アルコール枯渇ストリームは濾過および/または消化され、出て行く処理された透過物は、次いで1次バイオリアクター内に通される。ある特定の実施形態において、処理された透過物は、1つ以上のストリームに分割されてもよく、また、1次バイオリアクターおよび2次バイオリアクターの1つ以上に通されてもよい。
【0110】
具体的実施形態において、処理された透過物が1つ以上のバイオリアクターに通される前に、処理された透過物ストリームに追加の栄養物、金属およびまたはビタミンが提供される。ある特定の実施形態において、処理された透過物がバイオリアクターに通された後に、栄養物、金属およびまたはビタミンが前記バイオリアクターに添加される。
【0111】
具体的実施形態において、1つ以上のバイオリアクターに通される処理された透過物は、5g/L未満のアセテート、もしくは4g/L未満のアセテート、もしくは3g/L未満、もしくは2g/l未満のアセテート、もしくは1g/L未満のアセテートの濃度のアセテートを含有するか、または実質的にアセテートを含有しない。
【0112】
既知のシステムにおいて、より高いCO含有基質スループット率がバイオリアクターにおいて使用される場合、より高い相対アルコール生成が達成され得るが、ブロス培養物の成長およびアセテートの生成が低減され、これは培養物の健全性に悪影響を与える。これは、成長の喪失に起因するブロス培養物中の微生物細胞集団の崩壊をもたらし得る。本発明者らは、ブロス培養物密度を増加させることが、CO含有基質のより高いスループット率を使用することを可能にし、生成物収率の増加をもたらすことを示した。
【0113】
本発明によれば、方法は、最適な微生物成長のために、第1のバイオリアクター内で、発酵ブロス中のCOを含む基質を発酵させること、次いで、分離器を介して、発酵ブロスの少なくとも一部を、最適なアルコール生成のために構成された第2のバイオリアクターに通すことを含む。具体的実施形態において、2次バイオリアクター内でのアルコール生成の速度は、実質的に第1のバイオリアクター内での速度以上である。
【0114】
具体的実施形態において、第1のバイオリアクターは、連続植菌材料バイオリアクターとして機能するように構成され、滅菌条件は、微生物成長および任意選択でアルコール生成を実質的に促進する。微生物成長に最適な条件は、30g/L(発酵ブロス)未満、または25g/L未満、または20g/L未満、または15g/L未満、または10g/L未満の低アルコール条件で生じると考えられる。そのようなアルコールのレベルを維持するために、発酵は、典型的には連続的に操作され、微生物成長に必要な1種以上の必須栄養物、例えば窒素、リン、カリウム、硫黄、ビタミンBおよび微量金属を含有する栄養培地は、連続的または半連続的に第1のバイオリアクターに供給される。本発明によれば、ブロスの一部は、分離器に除去され、保持液またはその一部は、第1のバイオリアクターにリサイクルされる。代替として、またはそれに加えて、ブロスは、ブリードストリームとしてバイオリアクターから除去され、第2のバイオリアクターに通されてもよい。一方または両方の経路を介したブロスの除去により、最適な成長速度を維持することができる。さらなる実施形態において、第1のバイオリアクターに入る栄養培地の希釈率は、最適な微生物成長を促進するように調整され得る。
【0115】
本発明の具体的実施形態において、2次バイオリアクターの動作条件は、アルコール生成のために構成される。したがって、1つ以上の2次バイオリアクターにおいて、アルコール生成速度は、少なくとも約70g/L/d(発酵ブロス)、少なくとも約100g/L/d、少なくとも約150g/L/d、少なくとも約180g/L/d、少なくとも約200g/L/d、少なくとも約230g/L/dである。しかしながら、特定の実施形態において、両方のバイオリアクター(または全てのバイオリアクター)にわたる全体的なアルコール生成速度は、第1のバイオリアクターにおける生成速度と実質的に同じである。
【0116】
アルコールが2次バイオリアクター(複数可)内に蓄積するに従い、比アルコール生成速度(微生物細胞の単位質量当たりのアルコール生成の体積速度)は、微生物細胞の代謝が減少するため減少する。微生物培養物は、より遅い速度でではあるが、2次バイオリアクター内で成長し続ける。本発明によれば、第2のバイオリアクターからのブロスの一部は、微生物細胞を含む保持液を提供する分離器に通される。保持液は、2次バイオリアクターにリサイクルされ、したがって、ブロス培養物密度を、実質的に第1のバイオリアクター内でのアルコール生成の体積速度以上のアルコール生成の体積速度を達成するのに十分なレベルとなるように、増加または維持する。
【0117】
具体的実施形態において、定常状態での発酵中、発酵ブロスは、分離器を介して第1のバイオリアクターから連続的に提供され、アルコール濃度が増加したブリードストリームおよびブロスは、2次バイオリアクター(複数可)内で実質的に一定の体積が維持されるように、2次バイオリアクター(複数可)から連続的に除去される。
【0118】
第1のバイオリアクターおよび2次バイオリアクター(複数可)のサイズおよび数は、それぞれの発酵を最適化するように選択され得る。しかしながら、一実施形態において、1つの第1のバイオリアクターおよび複数のより小さい2次バイオリアクターが提供される。別の実施形態において、複数の第1のバイオリアクターおよび複数の同様のサイズの2次バイオリアクターが提供される。
【0119】
具体的実施形態において、2次バイオリアクター(複数可)は、連続的、半連続的、流加培養またはバッチ様式で動作するように構成される。
【0120】
さらなる実施形態において、方法は、第1または第2の透過物および第1または第2のブリードストリームの少なくとも一部を、第1または第2のバイオリアクターにリサイクルすることを含む。
【0121】
上記態様のいずれかの具体的実施形態において、方法は、第1または第2の分離器から第1または第2のバイオリアクターへのリサイクルの前またはその間の、第1または第2の透過物ならびに第1および第2のブリードストリームの少なくとも一部の処理をさらに含む。例えば、処理は、透過物およびブロスストリームから毒性および/または阻害生成物を含む汚染物質を除去することからなってもよい。透過物およびブリードストリームから除去される成分は、バイオマス、タンパク質、1種以上のアルコール、および1種以上の酸、1種以上の無機成分を含み得る。処理は、バイオリアクターに戻される前に栄養培地を補充するために透過物および/またはブリードストリームに添加される追加の成分または栄養物(ビタミンB等)の補充をさらに含んでもよい。また、透過物および/またはブリードストリームのpHは、バイオリアクター内のブロスのpHを変更または維持するために、バイオリアクターに戻される前に調整されてもよい。
【0122】
一酸化炭素発酵
本発明のある特定の実施形態は、1つ以上の産業プロセスにより生成されたガスストリームを使用するように構成される。そのようなプロセスは、製鉄プロセス、具体的には高CO含量または所定レベル(すなわち5%)を超えるCO含量を有するガスストリームを生成するプロセスを含む。そのような実施形態によれば、1つ以上のバイオリアクター内で酸および/またはアルコール、具体的にはエタノールまたはブタノールを生成するために、好ましくは酢酸生成細菌が使用される。当業者には、本開示を考慮して、本発明が、内燃機関を有する車両のガスストリームを含む様々な産業または廃棄ガスストリームに適用され得ることが認識される。また、当業者には、本開示を考慮して、本発明が、同じまたは異なる微生物を使用するものを含む他の発酵反応に適用され得ることが認識される。したがって、本発明の範囲は、説明された具体的実施形態および/または用途に限定されないことが意図され、その代わりより広い意味で理解されたいが、例えば、ガスストリームの源は制限的ではなく、それ以外に、少なくともその成分が発酵反応に供給するために使用可能である。本発明は、全体的炭素捕捉ならびに/またはCOを含むガス状基質からのエタノールおよび他のアルコールの生成を改善するための、特定の利用可能性を有する。ガス状基質からのエタノールおよび他のアルコールの生成のためのプロセスは既知である。例示的プロセスは、例えば、国際公開第WO2007/117157号、国際公開第WO2008/115080号、国際公開第WO2009/022925号、国際公開第WO2009/064200号、米国特許第6,340,581号、米国特許第6,136,577号、米国特許第5,593,886号、米国特許第5,807,722号および米国特許第5,821,111号に記載されるものを含み、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
いくつかの嫌気性細菌は、COからn−ブタノールおよびブタノールを含むアルコールならびに酢酸への発酵を行うことができることが知られており、本発明のプロセスにおける使用に好適である。本発明における使用に好適なそのような細菌の例は、クロストリジウム属の細菌、例えば、国際公開第WO00/68407号、欧州特許第117309号、米国特許第5,173,429号、米国特許第5,593,886号、および米国特許第6,368,819号、国際公開第WO98/00558号および国際公開第WO02/08438号に記載のものを含む、クロストリジウム・ルジュングダーリイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス(Liou et al.,International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 33:pp 2085−2091)、クロストリジウム・ラグスダレイ(国際公開第WO/2008/028055号)、ならびにクロストリジウム・オートエタノゲナム(Abrini et al,Archives of Microbiology 161:pp 345−351)の株を含む。他の好適な細菌は、ムーレラ種HUC22−1(Sakai et al,Biotechnology Letters 29:pp 1607−1612)を含むムーレラ属の細菌、およびカルボキシドテルムス属の細菌(Svetlichny,V.A.,Sokolova,T.G.et al(1991),Systematic and Applied Microbiology 14:254−260)を含む。さらなる例は、ムーレラ・サーモアセチカ、ムーレラ・サーモオートトロフィカ、ルミノコッカス・プロダクタス、アセトバクテリウム・ウッディ、ユウバクテリウム・リモスム、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、オキソバクター・フェニジイ、メタノサルキナ・バーケリ、メタノサルキナ・アセチボランス、デスルホトマクルム・クズネツォビイ(Simpa et.al.Critical Reviews in Biotechnology,2006 Vol.26.Pp41−65)を含む。さらに、当業者に理解されるように、他の酢酸生成嫌気性細菌が本明細書に適用されてもよいことを理解されたい。また、本発明は、2種以上の細菌の混合培養物に適用されてもよいことが理解される。
【0124】
本発明における使用に好適な1つの例示的微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナムである。一実施形態において、クロストリジウム・オートエタノゲナムは、識別寄託番号19630としてGerman Resource Centre for Biological Material(DSMZ)に寄託されている株の識別特性を有するクロストリジウム・オートエタノゲナムである。別の実施形態において、クロストリジウム・オートエタノゲナムは、DSMZ寄託番号DSMZ10061またはDSMZ23693の識別特性を有する。この細菌の実験室株は、LZ1561として知られる。
【0125】
本発明の方法において使用される細菌の培養は、嫌気性細菌を使用した基質の培養および発酵のための、当該技術分野において知られた任意の数のプロセスを使用して行うことができる。例示的技術は、以下の「実施例」の項に記載されている。さらなる例として、以下の文献に概説される、ガス状基質を発酵に使用したそれらのプロセスを利用することができる:(i)K.T.Klasson,et al.(1991).Bioreactors for synthesis gas fermentations resources.Conservation and Recycling,5;145−165;(ii)K.T.Klasson,et al.(1991).Bioreactor design for synthesis gas fermentations.Fuel.70.605−614;(iii)K.T.Klasson,et al.(1992).Bioconversion of synthesis gas into liquid or gaseous fuels.Enzyme and Microbial Technology.14;602−608;(iv)J.L.Vega,et al.(1989).Study of Gaseous Substrate Fermentation:Carbon Monoxide Conversion to Acetate.2.Continuous Culture.Biotech.Bioeng.34.6.785−793;(v)J.L.Vega,et al.(1989).Study of gaseous substrate fermentations:Carbon monoxide conversion to acetate.1.Batch culture.Biotechnology and Bioengineering.34.6.774−784;(vi)J.L.Vega,et al.(1990).Design of Bioreactors for Coal Synthesis Gas Fermentations.Resources,Conservation and Recycling.3.149−160;これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
発酵は、1つ以上の連続撹拌槽型反応器(CSTR)、固定化細胞反応器(複数可)、ガスリフト反応器(複数可)、バブルカラム反応器(複数可)(BCR)、膜反応器(複数可)、例えば中空繊維膜バイオリアクター(HFMBR)、またはトリクルベッド反応器(複数可)(TBR)等の、任意の好適なバイオリアクター内で行うことができる。また、本発明のいくつかの実施形態において、バイオリアクター(複数可)は、微生物が培養される第1の成長反応器と、成長反応器からの発酵ブロスが供給されて発酵生成物(例えば、エタノールおよびアセテート)のほとんどが生成される第2の発酵反応器とを備えてもよい。具体的実施形態において、第2のバイオリアクターは、第1のバイオリアクターとは異なる。
【0127】
本発明の様々な実施形態によれば、発酵反応のための炭素源は、COを含有するガス状基質である。基質は、産業プロセスの副生成物として得られた、または等の別の源から、例えば自動車排気ガスから得られたCO含有廃棄ガスであってもよい。ある特定の実施形態において、産業プロセスは、鉄系金属製品製造、例えば製鋼所、非鉄系製品製造、石油精製プロセス、石炭ガス化、電力発電、カーボンブラック生成、アンモニア生成、メタノール生成およびコークス製造からなる群から選択される。これらの実施形態において、CO含有基質は、任意の好都合な方法を使用して、大気中に放出される前に産業プロセスから捕捉され得る。CO含有基質の組成に依存して、発酵に導入する前に、粉塵粒子等の任意の不要な不純物を除去するためにそれを処理することもまた望ましくなり得る。例えば、ガス状基質は、既知の方法を使用して濾過または洗浄され得る。
【0128】
代替として、CO含有基質は、バイオマスのガス化から供給されてもよい。ガス化のプロセスは、空気または酸素の制限された供給下でのバイオマスの部分燃焼を含む。得られるガスは、典型的には、主にCOおよびH
2を含み、最少量のCO
2、メタン、エチレンおよびエタンを含む。例えば、サトウキビからの砂糖またはトウモロコシもしくは穀類からのデンプン等の食品、あるいは林業により生成された非食品バイオマス廃棄物の抽出および処理の間に得られるバイオマス副生成物は、本発明における使用に好適なCO含有ガスを生成するためにガス化され得る。
【0129】
CO含有基質は、典型的には、主要な割合のCO、例えば少なくとも約20体積%〜約100体積%のCO、43体積%〜95体積%のCO、60体積%〜90体積%のCO、および70体積%〜90体積%のCOを含有する。具体的実施形態において、基質は、25体積%、または30体積%、または35体積%、または40体積%、または45体積%、または50体積%のCOを含む。特にH
2およびCO
2もまた存在する場合、より低い濃度、例えば6%のCOを有する基質もまた適切となり得る。
【0130】
基質が任意の水素を含有する必要はないが、H
2の存在は、本発明の方法による生成物形成に悪影響を与えるべきではない。具体的実施形態において、水素の存在は、アルコール生成の全体的効率の改善をもたらす。例えば、具体的実施形態において、基質は、約2:1、または1:1、または1:2のH
2:CO比を有してもよい。別の実施形態において、基質ストリームは、2%〜13%のH
2の濃度を有してもよい。他の実施形態において、基質ストリームは、低濃度、例えば5%未満、もしくは4%未満、もしくは3%未満、もしくは2%未満、もしくは1%未満のH
2を含み、または、実質的に水素を含まない。基質はまた、いくらかのCO
2、例えば約1体積%〜約80体積%のCO
2、または1体積%〜約30体積%のCO
2等を含有してもよい。具体的実施形態において、基質ストリームは、CO2を含み、COを含まないか、または最少量のCOを含む。
【0131】
典型的には、一酸化炭素は、ガス状態で発酵反応に添加される。しかしながら、本発明の方法は、この状態での基質の添加に限定されない。例えば、一酸化炭素は、液体で提供されてもよい。例えば、液体は、一酸化炭素含有ガスで飽和されてもよく、その液体がバイオリアクターに添加されてもよい。これは、標準的方法を使用して達成され得る。例として、微生物分散物生成器(Hensirisak et.al.Scale−up of microbubble dispersion generator for aerobic fermentation;Applied Biochemistry and Biotechnology Volume 101,Number 3/October,2002)を、この目的のために使用することができる。
【0132】
細菌の成長およびCOからアルコールへの発酵が生じるためには、CO含有基質ガスに加えて、好適な液体栄養培地がバイオリアクターに供給されることが必要であることが理解される。栄養培地は、使用される微生物の成長を可能とするのに十分なビタミンおよびミネラルを含有する。唯一の炭素源としてCOを使用したエタノールの発酵に好適な嫌気性培地は、当該技術分野において知られている。例えば、好適な培地は、上述の米国特許第5,173,429号および米国特許第5,593,886号、ならびに国際公開第WO02/08438号、国際公開第WO2007/117157号、国際公開第WO2008/115080号、国際公開第WO2009/022925号、国際公開第WO2009/058028号、国際公開第WO2009/064200号、国際公開第WO2009/064201号、および国際公開第WO2009/113878号に記載されている。本発明は、微生物の成長および/または発酵プロセスにおけるアルコール生成を補助する上で増加した効率を有する新規な培地を提供する。この培地は、以下でより詳細に説明される。
【0133】
発酵は、望ましくは、所望の発酵(例えば、微生物成長および/またはエタノール生成)が生じるための適切な条件下で行われるべきである。考慮されるべき反応条件は、圧力、温度、ガス流量、液体流量、培地pH、培地酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽型反応器を使用する場合)、植菌材料レベル、液相中のCOが制限的とならないことを確実とするための最大ガス基質濃度、および生成物阻害を回避するための最高生成物濃度を含む。好適な条件は、国際公開第WO02/08438号、国際公開第WO07/117157号、国際公開第WO08/115080号、および国際公開第WO2009/022925号に記載されている。
【0134】
最適な反応条件は、使用される特定の微生物に一部依存する。しかしながら、一般に、発酵が周囲圧力よりも高い圧力で行われることが好ましい。増加した圧力で操作することにより、気相から液相へのCO移動速度の大きな増加が可能となり、COは、エタノールの生成のための炭素源として微生物に取り込まれ得る。一方で、これは、バイオリアクターが大気圧よりも高い圧力で維持された場合、保持時間(バイオリアクター内の液体体積を入力ガス流量で除したものと定義される)が低減され得ることを意味する。
【0135】
また、所与のCOからエタノールへの変換速度は、一部基質保持時間の関数であり、一方で所望の保持時間の達成は、バイオリアクターの必要容積に影響するため、加圧システムの使用は、必要とされるバイオリアクターの容積を、および結果として発酵機器の資本コストを大きく低減することができる。米国特許第5,593,886号に示される例によれば、反応器容積は、反応器操作圧力の増加に線形比例して低減され得、すなわち、10気圧の圧力で操作されるバイオリアクターは、1気圧の圧力で操作されるものの容積のわずか10分の1であればよい。
【0136】
高い圧力でガスからエタノールへの発酵を行うことの利点はまた、他の場所でも説明されている。例えば、国際公開第WO02/08438号は、それぞれ150g/l/日および369g/l/日のエタノール生産性をもたらす、30psigおよび75psigの圧力で行われたガスからエタノールへの発酵を説明している。しかしながら、同様の培地および大気圧での入力ガス組成を使用して行われた例示的発酵は、1日当たり、1リットル当たり10倍から20倍少ないエタノールを生成することが判明した。
【0137】
CO含有ガス状基質の導入の速度は、液相中のCOの濃度が制限的とならないことを確実とするような速度である。これは、CO制限条件の結果、アセテート生成が増加し、エタノール生成が減少する可能性があるためである。
【0138】
生成物回収
発酵反応の生成物は、既知の方法を使用して回収され得る。例示的な方法は、国際公開第WO07/117157号、国際公開第WO08/115080号、米国特許第6,340,581号、米国特許第6,136,577号、米国特許第5,593,886号、米国特許第5,807,722号、および米国特許第5,821,111号に記載のものを含む。しかしながら、簡潔に説明すると、例示のみを目的として、エタノールは、分別蒸留または蒸発、および抽出発酵等の方法により、発酵ブロスから回収され得る。
【0139】
発酵ブロスからのエタノールの蒸留は、エタノールおよび水の共沸混合物(すなわち、95%エタノールおよび5%水)を生成する。その後、同じく当該技術分野において周知である分子篩エタノール脱水技術を使用することにより、無水エタノールを得ることができる。
【0140】
抽出発酵手順は、希薄発酵ブロスからエタノールを回収するための、発酵生物に対する低い毒性リスクを示す水混和性溶媒の使用を含む。例えば、オレイルアルコールは、この種の抽出プロセスにおいて使用され得る溶媒である。オレイルアルコールは、発酵槽内に連続的に導入され、その後この溶媒は、発酵槽の上部での層の形成を増大させ、これは、連続的に抽出され、遠心分離を通して供給される。次いで、水および細胞は、容易にオレイルアルコールから分離され、発酵槽に戻されるが、エタノールが投入された溶媒は、フラッシュ蒸発ユニット内に供給される。エタノールのほとんどは蒸発および濃縮されるが、オレイルアルコールは不揮発性であり、発酵において再利用するために回収される。
【0141】
発酵反応において副生成物として生成されるアセテートもまた、当該技術分野において知られている方法を使用して、発酵ブロスから回収され得る。
【0142】
例えば、活性炭フィルタを含む吸着システムが使用され得る。この場合、まず、好適な分離ユニットを使用して、微生物細胞が発酵ブロスから除去されることが好ましい。生成物回収のための細胞不含発酵ブロスを生成する多くの濾過ベースの方法が、当該技術分野において知られている。透過物を含有する細胞不含エタノール−およびアセテート−は、次いで、アセテートを吸着させるために活性炭を含有するカラムに通される。塩(酢酸塩)形態よりも酸形態(酢酸)のアセテートは、活性炭によってより容易に吸着される。したがって、発酵ブロスが活性炭カラムに通される前に、アセテートの大部分を酢酸形態に変換するために、発酵ブロスのpHが約3未満まで低減されることが好ましい。
【0143】
活性炭に吸着された酢酸は、当該技術分野において知られた方法を使用した溶出により回収され得る。例えば、エタノールを使用して、結合したアセテートを溶出することができる。ある特定の実施形態において、発酵プロセスにより生成されたエタノール自体を使用して、酢酸を溶出することができる。エタノールの沸点は78.8℃であり、酢酸の沸点は107℃であるため、エタノールおよびアセテートは、蒸留等の揮発性に基づく方法を使用して互いから容易に分離され得る。
【0144】
発酵ブロスからアセテートを回収するための他の方法もまた、当該技術分野において知られており、本発明のプロセスにおいて使用され得る。例えば、米国特許第6,368,819号および米国特許第6,753,170号は、発酵ブロスからの酢酸の抽出に使用され得る溶媒および共溶媒系を説明している。エタノールの抽出発酵に関して説明されたオレイルアルコールベースの系の例と同様に、米国特許第6,368,819号および米国特許第6,753,170号に記載の系は、酢酸生成物を抽出するために、発酵された微生物の存在下または非存在下で発酵ブロスと混合され得る非水混和性溶媒/共溶媒を説明している。次いで、酢酸生成物を含有する溶媒/共溶媒は、蒸留によりブロスから分離される。次いで、第2の蒸留ステップを使用して、溶媒/共溶媒系から酢酸を精製することができる。
【0145】
発酵反応の生成物(例えばエタノールおよびアセテート)は、発酵バイオリアクターからブロスの一部を連続的に除去し、ブロスから(好都合には濾過により)微生物細胞を分離し、同時または逐次的にブロスから1種以上の生成物を回収することにより、発酵ブロスから回収され得る。エタノールの場合、蒸留により好都合に回収することができ、またアセテートは、上述の方法を使用した活性炭上への吸着により回収することができる。分離された微生物細胞は、好ましくは、発酵バイオリアクターに戻される。エタノールおよびアセテートが除去された後に残った細胞不含透過物もまた、発酵バイオリアクターに戻されてもよい。細胞不含透過物がバイオリアクターに戻される前に、栄養培地を補充するために追加の栄養物(ビタミンB等)が細胞不含透過物に添加されてもよい。また、活性炭への酢酸の吸着を高めるためにブロスのpHが上述のように調整された場合、pHは、バイオリアクターに戻される前に、発酵バイオリアクター内のブロスのpHと同様のpHに再調整されるべきである。
【0146】
二酸化炭素および水素基質を利用した発酵
本発明は、CO
2およびH
2含有産業燃焼排ガス等のガス状基質からのアセテートおよびエタノールの生成を補助することへの具体的な適用可能性を有する。1つのそのような種類のガスストリームは、典型的には50〜60%のCO
2、20〜30%のH
2、5〜15%のCO、および5〜15%のCH
4を含有する、水素製造プラントからの排ガスである。CO
2およびH
2に富む排ガスをもたらす別の産業プロセスは、アンモニア製造である。同様のストリームが、任意の炭素系原料、例えば石油、石炭およびバイオマスの処理から生成される。本発明はまた、代替のアルコールを生成する反応にも適用可能である。
【0147】
ガス状基質からのエタノールおよび他のアルコールの生成のためのプロセスは既知である。例示的プロセスは、例えば、国際公開第WO2007/117157号、国際公開第WO2008/115080号、米国特許第6,340,581号、米国特許第6,136,577号、米国特許第5,593,886号、米国特許第5,807,722号および米国特許第5,821,111号に記載されるものを含み、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0148】
いくつかの嫌気性細菌は、CO
2およびH
2からエタノールを含むアルコールおよび酢酸への発酵を行うことができることが知られており、本発明のプロセスにおける使用に好適である。アセトゲンは、Wood−Ljungdahl経路により、H
2、CO
2およびCO等のガス状基質を、酢酸、エタノールおよび他の発酵生成物に変換する能力を有する。本発明における使用に好適なそのような細菌の例は、アセトバクテリウム属の細菌、例えばアセトバクテリウム・ウッディの株((Demler,M.,Weuster−Botz,“Reaction Engineering Analysis of Hydrogenotrophic Production of Acetic Acid by Acetobacterum Woodii”,Biotechnology and Bioengineering,Vol.108,No.2,February 2011)を含む。
【0149】
アセトバクテリウム・ウッディは、CO
2およびH
2を含むガス状基質の発酵によりアセテートを生成することが示されている。Buschhornらは、リン酸制限を用いたグルコース発酵においてエタノールを生成するA ウッディの能力を実証した。
【0150】
他の好適な細菌は、ムーレラ種HUC22−1(Sakai et al,Biotechnology Letters 29:pp 1607−1612)を含むムーレラ属の細菌、およびカルボキシドテルムス属の細菌(Svetlichny,V.A.,Sokolova,T.G.et al(1991),Systematic and Applied Microbiology 14:254−260)を含む。さらなる例は、ムーレラ・サーモアセチカ、ムーレラ・サーモオートトロフィカ、ルミノコッカス・プロダクタス、アセトバクテリウム・ウッディ、ユウバクテリウム・リモスム、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、オキソバクター・フェニジイ、メタノサルキナ・バーケリ、メタノサルキナ・アセチボランス、デスルホトマクルム・クズネツォビイ(Simpa et.al.Critical Reviews in Biotechnology,2006 Vol.26.Pp41−65)を含む。さらに、当業者に理解されるように、他の酢酸生成嫌気性細菌が本明細書に適用されてもよいことを理解されたい。また、本発明は、2種以上の細菌の混合培養物に適用されてもよいことが理解される。
【0151】
本発明における使用に好適な1つの例示的な微生物は、識別寄託番号DSM1030としてGerman Resource Centre for Biological Material(DSMZ)に寄託されている株の識別特性を有する、アセトバクテリウム・ウッディである。
【0152】
本発明の方法において使用される細菌の培養は、嫌気性細菌を使用した基質の培養および発酵のための、当該技術分野において知られた任意の数のプロセスを使用して行うことができる。例示的技術は、以下の「実施例」の項に記載されている。さらなる例として、以下の文献に概説される、ガス状基質を発酵に使用したそれらのプロセスを利用することができる:M.Demler and D.Weuster−Botz(2010).Reaction Engineering Analysis of Hydrogenotrophic Production of Acetic Acid by Acetobacterium woodii.Biotechnology and Bioengineering 2010;D.R.Martin,A.Misra and H.L.Drake(1985).Dissimilation of Carbon Monoxide to Acetic Acid by Glucose−Limited Cultures of Clostridium thermoaceticum.Applied and Environmental Microbiology,Vol 49,No.6,pages 1412−1417。典型的には、発酵は、連続撹拌槽型反応器(CTSR)、バブルカラム反応器(BCR)またはトリクルベッド反応器(TBR)等の任意の好適なバイオリアクター内で行われる。また、本発明のいくつかの実施形態において、バイオリアクターは、微生物が培養される第1の成長反応器と、成長反応器からの発酵ブロスが供給されて発酵生成物(エタノールおよびアセテート)のほとんどが生成される第2の発酵反応器とを備えてもよい。
【0153】
CO
2およびH
2を含有する構造
好ましくは、発酵のための炭素源は、水素と組み合わせて二酸化炭素を含むガス状基質であってもよい。同様に、ガス状基質は、産業プロセスの副生成物として得られた、またはいくつかの他の源から得られたCO
2およびH
2含有廃棄ガスであってもよい。世界中のCO
2放出の最大の源は、発電所、産業施設および他の源における石炭、石油およびガス等の化石燃料の燃焼からのものである。
【0154】
ガス状基質は、産業プロセスの副生成物として得られた、またはいくつかの他の源から、例えば自動車排気ガスから得られたCO
2およびH
2含有廃棄ガスであってもよい。ある特定の実施形態において、産業プロセスは、水素製造、アンモニア製造、燃料の燃焼、石炭のガス化、ならびに石灰およびセメントの製造からなる群から選択される。ガス状基質は、1種以上のガス状基質をブレンドして、ブレンドされたストリームを提供した結果であってもよい。当業者には、H
2に富む、またはCO
2に富むガスストリームが、H
2およびCO
2の両方に富む廃棄ガスストリームよりも豊富であることが理解される。当業者には、CO
2およびH
2の所望の成分の1つを含む1つ以上のガスストリームをブレンドすることが、本発明の範囲内に含まれることが理解される。
【0155】
水素に富むガスストリームは、炭化水素の蒸気改質、特に天然ガスの蒸気改質を含む様々なプロセスにより生成される。石炭または炭化水素の部分酸化もまた、水素に富むガスの源である。水素に富むガスの他の源は、水の電気分解、塩素を生成するために使用される電解槽からの副生成物、ならびに様々な精製および化学ストリームからのものを含む。
【0156】
典型的に二酸化炭素に富むガスストリームは、天然ガスまたは石油等の炭化水素の燃焼からの排気ガスを含む。二酸化炭素はまた、アンモニア、石灰またはリン酸塩の生成から、および天然二酸化炭素泉からの副生成物として生成される。
【0157】
ストリームのブレンド
以前に述べたように、効率、酸および/もしくはアルコール生成、ならびに/または発酵反応の全体的炭素捕捉を改善するために、産業廃棄ストリームを1つ以上のさらなるストリームとブレンドすることが望ましくなり得る。
【0158】
したがって、産業ストリームが高いCO
2含量を有するが、最少量のH
2を含む、または全く含まない場合、ブレンドされた基質ストリームを発酵槽に提供する前に、H
2を含む1種または複数種のストリームを、CO
2を含む廃棄物ストリームとブレンドすることが望ましくなり得る。発酵の全体的効率、アルコール生産性および/または全体的炭素捕捉は、ブレンドされたストリーム中のCO
2およびH
2の化学量論に依存する。しかしながら、具体的実施形態において、ブレンドされたストリームは、少なくとも1:2、少なくとも1:4、または少なくとも1:6、または少なくとも1:8、または少なくとも1:10のモル比で、CO
2およびH
2を実質的に含み得る。
【0159】
ストリームのブレンドはまた、特にCO
2およびまたはH
2を含む廃棄物ストリームが本質的に断続的である場合、さらなる利点を有し得る。例えば、CO
2およびまたはH
2を含む断続的廃棄物ストリームは、CO
2およびまたはH
2を含む実質的に連続的なストリームとブレンドされて、発酵槽に提供されてもよい。本発明の具体的実施形態において、実質的に連続的なストリームの組成および流量は、実質的に連続的な組成および流量の基質ストリームの発酵槽への供給を維持するために、断続的ストリームに従い変動され得る。
【0160】
所望の組成を達成するために2つ以上のストリームをブレンドすることは、全てのストリームの流量を変化させることを含んでもよく、または、ストリームの1つ以上が一定に維持されてもよく、一方で他のストリーム(複数可)は、基質ストリームを所望の組成まで「調節」または最適化するために変化される。連続的に処理されるストリームの場合、さらなる処理(例えば緩衝)はほとんど、または全く必要でなくてもよく、ストリームは、発酵槽に直接提供され得る。しかしながら、1つ以上がすぐに利用可能である場合、ならびに/またはストリームが連続的に利用可能であるが、可変速度で使用および/もしくは生成される場合、ストリームの緩衝貯蔵部を提供することが必要となり得る。
【0161】
当業者には、ブレンドする前に、ストリームの組成および流量を監視することが必要となることが理解される。ブレンドされたストリームの組成の制御は、標的または所望の組成を達成するために構成成分ストリームの割合を変化させることにより達成され得る。例えば、ベース負荷ガスストリームは、主にCO
2であってもよく、指定のH
2:CO
2比を達成するために、高濃度のH
2を含む2次ガスストリームがブレンドされてもよい。ブレンドされたストリームの組成および流量は、当該技術分野において知られた任意の手段により監視され得る。ブレンドされたストリームの流量は、ブレンド操作とは独立して制御され得るが、個々の構成成分ストリームが引き出され得る速度は、制限内に制御されなければならない。例えば、断続的に生成され、緩衝貯蔵部から連続的に引き出されるストリームは、緩衝貯蔵容量が枯渇せず、かつ容量いっぱいまで充填されないような速度で引き出されなければならない。
【0162】
ブレンドの時点で、個々の構成成分ガスは、混合チャンバに進入するが、これは典型的には小型容器またはパイプの一部である。そのような場合、容器またはパイプには、乱流および個々の成分の迅速な均質化を促進するように構成されたバッフル等の静的混合デバイスが提供されてもよい。
【0163】
バイオリアクターへの実質的に連続的な基質ストリームの提供を維持するために、ブレンドされたストリームの緩衝貯蔵部もまた必要に応じて提供されてもよい。
【0164】
必要な、または所望のブレンドを達成するために、構成成分ストリームの組成および流量を監視し、ストリームのブレンドを適切な割合に制御するように構成されたプロセッサが、任意選択でシステム内に組み込まれてもよい。例えば、アルコール生産性および/または全体的炭素捕捉の効率を最適化するために、特定の成分が必要に応じて、または利用可能性に応じて提供されてもよい。
【0165】
本発明のある特定の実施形態において、システムは、少なくとも2つのストリームの流量および組成を連続的に監視し、それらを合わせて最適な組成の単一のブレンドされた基質ストリームを、および最適化された基質ストリームを発酵槽に通すための手段を生成するように構成される。
【0166】
非制限的な例として、本発明の具体的実施形態は、CO
2の源としての石灰またはセメント生成からの二酸化炭素ガスの利用を含む。典型的には、そのようなストリームは、H
2をほとんど、または全く含有せず、したがって、より望ましいCO
2:H
2比を達成するために、CO
2を含むストリームを、H
2を含むストリームと合わせることが望ましくなり得る。H
2は、しばしば、製鋼所において、コークス炉内で大量に生成される。したがって、H
2を含むコークス炉からの廃棄物ストリームがCO
2を含む石灰窯廃棄物ストリームとブレンドされて、所望の組成が達成され得る。
【0167】
ブレンドされてCO
2/H
2基質ストリームを形成し得るCO
2および/またはH
2の他の源は、アンモニアおよび尿素合成を含む。
【0168】
ガス状基質はまた、いくつかの他の源から、例えば自動車排気ガスから得られたCO
2およびH
2含有廃棄ガスであってもよい。これらの実施形態において、CO
2およびH
2含有ガスは、任意の好都合な方法を使用して、大気中に放出される前に産業プロセスから捕捉され得る。ガス状CO
2およびH
2含有基質の組成に依存して、発酵に導入する前に、粉塵粒子等の任意の不要な不純物を除去するためにそれを処理することもまた望ましくなり得る。例えば、ガス状基質は、既知の方法を使用して濾過または洗浄され得る。
【0169】
CO
2およびH
2含有基質はまた、炭水化物またはガスが発酵されてエタノール等の生成物を形成する発酵プロセスから供給されてもよい。例えば、クロストリジウム属の微生物による、COを含むガス状基質の嫌気性発酵は、エタノールを含む生成物の生成をもたらす。CO
2、および任意選択で水素は、発酵反応の副生成物である。
【0170】
本発明のいくつかの実施形態において、CO
2を含む基質は、炭素含有廃棄物、例えば産業廃棄ガスから、または他の廃棄物のガス化から得られる。したがって、本発明の方法は、環境中に別様に排出される炭素を捕捉するための効果的なプロセスを表す。ある特定の実施形態において、方法は、酸および/またはアルコール等の有用な生成物への変換によりCO
2を捕捉するための改善されたプロセスを提供する。
【0171】
CO
2およびH
2含有基質は、典型的には、主要な割合のH
2、例えば少なくとも約30体積%のH
2、または少なくとも40体積%のH
2、または少なくとも50体積%のH
2、または少なくとも60体積%のH
2、または少なくとも70体積%のH
2、または少なくとも80体積%のH
2、または少なくとも85体積%のH
2を含有する。
【0172】
ガス状基質は、典型的には、少なくとも約10体積%のCO
2、または少なくとも15体積%のCO
2、または少なくとも20体積%のCO
2、または少なくとも25体積%のCO
2、または少なくとも30体積%のCO
2、または少なくとも40体積%のCO
2を含有する。
【0173】
他のガス状成分からCO
2を分離するための方法は、周知である。分離技術は、燃焼後、燃焼前およびオキシ燃料の3つの一般的なカテゴリーに分類され得る。燃焼後技術は、溶媒を使用して燃焼後の燃焼排ガスからCO
2を吸収する。燃焼前技術は、炭化水素ガス化および水性シフト反応等の周知のプロセスを使用して、供給燃料からCO
2を分離し、残りの水素ガスを燃料として使用する。オキシ燃料プラントは、燃焼チャンバ内で空気を純粋な酸素と置き換える。純粋な酸素で燃焼した場合、炭化水素はほぼ純粋なCO
2のストリームおよび蒸気を放出し、CO
2の最終分離を容易化する。
【0174】
当業者には、CO
2およびH
2を含む基質を生成するために、炭化水素ストリームがいくつかのプロセスに通されてもよいことが理解される。例えば、本発明の一態様によれば、炭化水素ストリーム(CH
4)は、蒸気メタン改質器に通されて、少なくともCOおよびH
2を含むガスストリームを生成し、このガスストリームは次いで水性ガスシフト反応に供されて、CO、CO
2およびH
2を含む基質を生成する。基質は、ガスの少なくとも一部を分離するために、圧力スイング吸着器(PSA)に通されてもよい。ガスストリームの異なる成分の分離を可能とするために、2つ以上のPSA段階が使用されてもよいことが理解される。
【0175】
当業者に理解されるように、基質のCO
2成分およびガス蒸気のH
2成分は、別個の源から得られてもよい。CO
2成分は、典型的に二酸化炭素に富む産業廃棄ガスストリームから得ることができ、代替源からの水素をCO
2とブレンドして、所望の組成を有するCO
2およびH
2基質を生成することができる。各産業廃棄ガスの所望の成分を分離するために、既知の分離技術を使用することができ、所望の成分を互いにブレンドして、CO
2およびH
2を含む基質を形成することができる。
【0176】
典型的には、二酸化炭素は、ガス状態で発酵反応に添加される。しかしながら、本発明の方法は、この状態での二酸化炭素の添加に限定されない。二酸化炭素は、水に容易に溶解可能である。室温において、CO
2の溶解度は、水100ml当たり約90cm
3のCO
2である。二酸化炭素は、水溶液中に多くの形態で存在する。水溶液に添加されると、CO
2は溶解する。
【化1】
次いで、溶解したCO
2と炭酸水素塩との間の平衡が確立される。
【化2】
次いで、炭酸水素塩が解離する。
【化3】
【0177】
水溶液中に存在する様々な形態の二酸化炭素の量は、溶液のpHを含む因子、ならびに圧力および温度条件に依存する。溶液中の他のイオンの存在もまた、溶液中に存在する異なる形態の二酸化炭素の量に影響し得る。
【0178】
当業者には、二酸化炭素が水溶液の形態で発酵槽に提供され得ることが理解される。また、当業者には、ガスおよび水溶液の形態の両方でCO
2を発酵反応に提供することが可能であることが理解される。
【0179】
反応化学量論
嫌気性細胞は、アセチル−CoA生化学的経路を介して、CO、CO
2およびH
2からエタノールおよび酢酸を生成することが示されている。
【0180】
アセトバクテリウム・ウッディを含む嫌気性細菌による、H
2およびCO
2を含む基質からのアセテートの形成のための化学量論は、以下の通りである(Balch et al.,1977)。
4H
2+2CO
2 −> CH
3COOH+2H
20
【0181】
細菌の成長ならびにCO
2およびH
2から酸および/またはアルコールへの発酵が生じるためには、CO
2およびH
2含有基質ガスに加えて、好適な液体栄養培地がバイオリアクターに供給される必要がある。栄養培地は、使用される微生物の成長を可能とするのに十分なビタミンおよびミネラルを含有する。唯一の炭素源としてCO
2を使用したアセテートおよび/またはエタノールの発酵に好適な嫌気性培地は、当該技術分野において知られている。例えば、好適な培地は、米国特許第5,807,722号および米国特許第6,340,581号に記載されている。本発明は、微生物の成長および/または発酵プロセスにおけるアルコール生成を補助する上で増加した効率を有する新規な培地を提供する。この培地は、以下でより詳細に説明される。
【0182】
発酵は、望ましくは、CO
2およびH
2からアセテートおよび/またはエタノールへの発酵が生じるための適切な条件下で行われるべきである。考慮されるべき反応条件は、圧力、温度、ガス流量、液体流量、培地pH、培地酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽型反応器を使用する場合)、植菌材料レベル、液相中のCO
2が制限的とならないことを確実とするための最大ガス基質濃度、および生成物阻害を回避するための最高生成物濃度を含む。好適な条件は、国際公開第WO02/08438号、国際公開第WO07/117157号および国際公開第WO08/115080号に記載されている。
【0183】
最適な反応条件は、使用される特定の微生物に一部依存する。しかしながら、一般に、発酵が周囲圧力よりも高い圧力で行われることが好ましい。増加した圧力で操作することにより、気相から液相へのCO
2移動速度の大きな増加が可能となり、CO
2は、エタノールの生成のための炭素源として微生物に取り込まれ得る。一方で、これは、バイオリアクターが大気圧よりも高い圧力で維持された場合、保持時間(バイオリアクター内の液体体積を入力ガス流量で除したものと定義される)が低減され得ることを意味する。
【0184】
また、CO
2およびH
2含有ガス状基質の導入速度が、液相中のCO
2およびH
2の濃度が制限的とならないことを確実とするような速度であることが望ましい。これは、CO
2およびH
2制限条件の結果、エタノール生成物が培養物により消費される可能性があるためである。
【0185】
細菌の最も速い成長、およびアセテートの最高生成速度のための最適温度は、様々な異なる温度点において発酵槽を稼動させることにより決定された。発酵槽は、最初に30℃で稼動され、複数の異なる温度まで温度が上昇された。驚くべきことに、細菌の最も速い成長のための最適温度は、少なくとも32℃、または少なくとも33℃、または少なくとも34℃、または少なくとも35℃、または少なくとも36℃であることが判明した。
実施例
廃棄物リサイクル特許のための方法および材料
培地:
【表1】
【0186】
バイオリアクター内での発酵:
2リットルの反応器に、上記の表に指定される全ての金属、リン酸、ビタミンB溶液)、および3g/Lの酢酸アンモニウムを含有する1.5Lの培地を充填した。次いで、培地を「実際の製鉄所ガス」(約50%のCO、20%のCO
2、28%のN
2および2%のH
2)を使用して脱気した。0.5MのNa
2Sまたは0.12Mの(NH
4)
2SO
3(pH6.0)を0.2mL/hの速度で添加して、植菌前の培地に硫黄を供給した。ORP(AgCl
2)を、約2g/Lのバイオマスを用いた連続稼動種培養器からの200mLの培養物による植菌の前に、0.2MのCr
2+でさらに−200mVに調節した。ヘッドスペース内のpH、ORP、ガス取り込みおよびH
2Sを、次の数時間注意深く監視し、確実に始動を成功させた。
【0187】
培養物へのガスの最適な送達を管理することによりpHを制御し、さらに5MのNH
4OHでの(5.0における)自動pH制御により補助した。最初の24時間の間、培養物はバッチ発酵であり、次いで2と3の間の希釈率を達成する速度で送達すると同時に、Na
2Sまたは(NH
4)
2SO
3、残りの金属および消泡剤を適切な速度で送達することにより、連続モードに切り替えられた。
【0188】
連続発酵システムは、細胞リサイクルを含んでもよく、または含まなくてもよい。0.1μmの細孔サイズを有する中空繊維膜カートリッジが、細胞リサイクルに使用される。反応器が2段または3段発酵槽システムに結合される場合、細胞リサイクルから生じる透過物および廃棄物は、下流側の発酵槽内に直接移送される。したがって、透過物と廃棄物との間の比は、ダイヤルイン流量に基づく推定のままである。
【0189】
サンプリングおよび分析手順:
培養物の試料を1日4回採取し、分光光度計を使用して光学密度(600nmでの吸光度)を測定した。同じ試料から、アリコートをHPLC(Agilent)分析に供して、エタノール、酢酸、2,3−ブタンジオール、乳酸、およびリン酸を定量した。流入および流出ガスストリームのガス組成は、マイクロGC(Varian)上で1時間毎に分析して、異なるガスを定量し、ガス(CO)消費を監視した。
【0190】
実施例1−2段反応器システムにおける透過物のリサイクル
透過物は、中空繊維膜を通して連続的に発酵ブロスを循環させ、培地流入速度の約50%の速度で濾液を除去することにより得られる。両方の発酵槽において細胞がリサイクルされる2段発酵槽システムの反応器2からの透過物であって、反応器1からの廃棄物および透過物の両方が反応器2に供給される透過物が収集された。透過物は蒸留され、フィルタを通して濾過された。蒸留プロセスの間、エタノールおよび溶解したタンパク質が除去され、一方酢酸および2,3−ブタンジオールは透過物中に残留した。LS03ビタミンB溶液を添加し(20mL/L塩、新鮮な培地の調製のために行ったのと同様に金属を添加した。この蒸留された透過物は、次いで、2段発酵槽システムの反応器1内に再び供給された。最初は、反応器性能に明確な変化は観察されなかった。蒸留された透過物の供給が開始された後、酢酸の生成速度の低下が観察された。実験は、240時間続いた。両方の発酵槽内の細菌の生存能力は、実験のいかなる段階においても影響されなかった。9日目において、ガスの取り込みは、両方の発酵槽において低下し始めた。通常通り、水素取り込みが初めに/最も明らかに影響された。10日目において、「第2ラウンドの透過物」がバイオリアクターに供給された。第2ラウンドの透過物は、反応器が上述の蒸留された透過物に対して稼動している間収集された。
【0191】
発酵槽1および2における代謝物濃度は、それぞれ
図4および
図8に示される。酢酸およびエタノール生成速度は、それぞれ
図5および
図9に示されている。発酵槽1および2におけるガス取り込みは、それぞれ
図6および
図10に示される。
図7および
図11は、それぞれ、第1および第2発酵槽における細胞生存能力を示す。
【0192】
実施例2−2段反応器システムにおける廃棄物および透過物のリサイクル(100%リサイクル)
この実験において、2段反応器システムの反応器2からの透過物および廃棄物(1/1の比)を、100%培地リサイクル実験のために収集した。廃棄物を75℃に加熱し、次いで一晩沈殿させて、バイオマス/タンパク質を除去した。その後、沈殿した廃棄物および透過物を蒸留してエタノールを除去した。この実験において、硫黄源としてのNa
2Sは、Na
2Sを濃縮H
3PO
4中に滴下し、最終的にH
2Sがガス流入と共に発酵槽内に運ばれることによって置換された。これにより、廃棄物中のナトリウム負荷が低減され、処理された廃棄物が発酵槽内に再び戻される際の潜在的問題としての過剰のナトリウムが排除される。
【0193】
図12に示されるように、発酵槽1におけるエタノール生成速度は、リサイクルされた培地の供給後に初めは増加し、次いで安定化する。酢酸の生成はすぐに低減し、次いで負の割合で安定化する(培地は7g/Lの酢酸を含有していた−7g/Lの酢酸を供給していたものの、濃度は5g/L未満に低下する)。
【0194】
バイオマスは、おそらくは希釈率の増加により実験中に失われる。バイオマスは、リサイクルされた透過物の供給から3日後に7.5g/Lの初期密度から5.2g/Lに降下する(
図14)。希釈率は、これらの3日間の間増加した。透過物ポンプの速度は、それに伴って調節されていなくてもよい。これは、おそらくは、
図12に示されるようなガス取り込みの減少を説明する。最初に水素取り込みが徐々に減少し、これが臨界値を超えると、CO取り込みも同様に急速に低下し始める。この時点で、実験を停止し、再び通常の培地を供給した。
【0195】
読者が必要以上の実験を行うことなく本発明を実践することができるようにするために、本明細書においてある特定の好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明した。当業者には、本発明が、具体的に記載されるもの以外に変形および修正されてもよいことが理解される。また、本発明は、全てのそのような変形および修正を含むことを理解されたい。さらに、表題、項目名等は、読者による本明細書の理解を高めるために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。上記または下記で引用される全ての出願、特許および出版物の全開示は、存在する場合、参照により本明細書に組み込まれる。
【0196】
本明細書における任意の先行技術への言及は、先行技術が世界の任意の国における努力傾注分野での共通した一般的知識の一部を形成することの承認、またはいかなる形態の示唆でもなく、またそのようなものとして解釈されるべきではない。
【0197】
文脈により異なる意味が求められない限り、本明細書および続く任意の請求項全体にわたって、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」等の用語は、排他的ではなく包含的な意味で、すなわち、「〜を含むがそれらに限定されない」という意味で解釈されたい。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
COを含む基質の微生物発酵における炭素捕捉を改善するための方法であって、
h.1種以上の微生物の培養物を含むバイオリアクターにおいて、COを含むガス状基質を発酵させて、1種以上の生成物を含む発酵ブロスを生成することと、
i.前記発酵ブロスの少なくとも一部を、ブリードストリームを介して前記バイオリアクターから通すことと、
j.透過物ストリームの少なくとも一部を、前記バイオリアクターから通すことと、
k.前記ブリードストリームおよび/または透過物ストリームから前記1種以上の生成物の少なくとも一部を除去して、生成物枯渇ストリームを提供することと、
l.前記生成物枯渇ストリームを浄化モジュールに通すことであって、バイオマス、タンパク質、有機成分、または無機成分からなる群から選択される、前記生成物枯渇ストリームの1つ以上の成分の少なくとも一部が、前記生成物枯渇ストリームから除去されて、処理されたストリームを提供する、通すことと、
m.前記処理されたストリームの少なくとも一部を、前記バイオリアクターに通すことと
を含む方法。
[2]
前記1種以上の生成物は、アルコールまたは酸である、[1]に記載の方法。
[3]
前記1種以上の生成物は、エタノール、酢酸または2,3−ブタンジオールからなる群から選択される、[1]または[2]に記載の方法。
[4]
ステップ(d)において除去される前記1種以上の生成物の少なくとも一部は、蒸留プロセスにより除去される、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
前記浄化モジュールは、嫌気性消化モジュールを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
前記浄化モジュールは、バイオマス除去モジュール、有機成分除去モジュール、無機成分除去モジュール、酸除去モジュールまたは滅菌モジュールの少なくとも1つを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]
前記嫌気性消化モジュールは、メタンおよび二酸化炭素を含むガス状基質を生成する、[5]に記載の方法。
[8]
前記嫌気性消化により生成された前記メタンは、炭素、熱またはエネルギー源として使用される、[7]に記載の方法。
[9]
前記メタンは、COを生成するメタンの改質、浸透および/またはブリードストリームから1種以上の生成物を除去するための蒸留プロセスの直接的もしくは間接的加熱、ガスタービンを使用した発電からなる群から選択されるプロセスにおいて使用される、[7]または[8]に記載の方法。
[10]
前記ブリードストリームおよび/または透過物ストリームの1種以上の成分は、前記ストリームが前記バイオリアクターに再び通される前に還元される、[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11]
処理されたストリームまたは浄化されたストリームが前記バイオリアクターに再び通される前に、液体栄養培地の1種以上の成分が前記処理または浄化されたストリームに添加される、[1]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12]
前記バイオリアクターは、二段反応器システムである、[11]に記載の方法。
[13]
前記発酵は、連続発酵である、[1]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[14]
ブリードストリームおよび/または透過物の捕捉および処理は、連続プロセスである、[1]〜[13]に記載の方法。
[15]
前記微生物は、A.ウッディであり、前記ガス状基質は、CO2およびH2であり、前記1種以上の生成物は、酢酸である、[1]〜[14]のいずれかに記載の方法。