【文献】
REGISTRY(STN)[online],2011年,CAS 登録番号:1329409-30-4; 1327026-18-5; 1326652-72-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シグマ受容体介在疾患または状態が、疼痛、下痢、リポタンパク質障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、肥満、片頭痛、関節炎、高血圧、不整脈、潰瘍、緑内障、学習障害、記憶障害および注意欠陥、認知障害、神経変性疾患、脱髄疾患、薬物・化学物質中毒、遅発性ジスキネジア、脳卒中、てんかん、ストレス、がん、精神病状態、炎症性疾患および自己免疫疾患から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
【背景技術】
【0002】
新規の治療薬の探索は、タンパク質構造および標的疾患と関連する他の生体分子の更なる理解によって、近年非常に促進されてきた。このタンパク質の1つの重要な部類は、シグマ(σ)受容体であり、これは、中枢神経系(CNS)の細胞表面受容体であり、オピオイドの不快な、幻覚誘発性の心臓刺激効果に関連する場合がある。シグマ受容体の生物学および機能の研究から、精神病、ならびにジストニアおよび遅発性ジスキネジアなどの運動障害、ならびにハンチントン舞踏病またはトゥレット症候群と関連する運動障害、ならびにパーキンソン病の治療において、シグマ受容体リガンドが有用であり得る証拠が提示されてきた(Walker、J.M.ら、Pharmacological Reviews、1990、42、355)。既知のシグマ受容体リガンドであるリムカゾールは、精神病の治療における効果を臨床的に示すとの報告がある(Snyder,S.H.、Largent,B.L.、J.Neuropsychiatry、1989、1、7)。シグマ結合部位は、SKF−10047、(+)−シクラゾシン、および(+)−ペンタゾシンなどのある種のオピエートベンゾモルファンの右旋性異性体に対して、さらにまた、ハロペリドールなどの一部の睡眠薬(narcoleptics)に対しても、優先的な親和性を有する。
【0003】
本出願にて使用するような「シグマ受容体(類)」は、よく知られており、以下の引用を使用して定義される:この結合部位は、オピオイド、NMDA、ドーパミン作動性、およびその他の既知の神経伝達物質系統もしくはホルモン受容体系統と異なる、典型的なタンパク質を表す(G.Ronsisvalleら、Pure Appl.Chem.73、1499−1509(2001))。
【0004】
シグマ受容体には少なくとも2つのサブタイプがあり、このサブタイプの薬理活性薬物の立体選択的異性体によって識別され得る。SKF−10047は、シグマ1(σ−1)部位に対してナノモルの親和性を有し、シグマ(σ−2)部位に対してマイクロモルの親和性を有する。ハロペリドールは、両方のサブタイプに対して同様の親和性を有する。
【0005】
シグマ−1受容体は、非オピオイド(non−opiaceous)型の受容体であり、多数の哺乳類成体組織(例えば、中枢神経系、卵巣、精巣、胎盤、副腎、脾臓、肝臓、腎臓、胃腸管)において、ならびにその最も初期段階からの胚発生において発現し、明らかに多数の生理的機能に関係している。種々の医薬に対する、例えば、SKF−10047、(+)−ペンタゾシン、ハロペリドールおよびリムカゾールは中でも、鎮痛活性、不安緩解活性、抗うつ活性、抗健忘活性、抗精神病活性および神経保護的活性を有する既知のリガンドに対するその高い親和性が、記載されてきた。シグマ−1受容体は、鎮痛、不安、中毒、健忘症、うつ病、統合失調症、ストレス、神経保護、精神病および気分障害に関連する方法において、シグマ−1受容体が果たし得る生理的役割を鑑みて、薬理学で大きな関心を引いている[Kaiserら(1991)、Neurotransmissions、7(1)、1−5]、[Walker,J.M.ら、Pharmacological Reviews、1990、42、355]、[Bowen W.D.(2000)、Pharmaceutica Acta Helvetiae、74、211−218]および[Hayashi,T.ら、Drugs of the Future、2009、34(2)、137]。
【0006】
シグマ−2受容体はまた、多くの哺乳類成体組織(例えば、神経系、免疫系、内分泌系、肝臓、腎臓)で発現する。シグマ−2受容体は、細胞増殖の調節においてまたは細胞発生において重要な役割を果たす場合がある、新規なアポトーシス経路の構成要素であり得る。この経路は、細胞内膜と結合し、小胞体およびミトコンドリアなどの、カルシウムを貯蔵する細胞小器官内に位置し、また、これらの細胞小器官からカルシウムを放出する能力を有する、シグマ−2受容体からなるようである。カルシウムシグナルを、正常細胞に対するシグナル伝達経路で、および/またはアポトーシスの誘導において、使用することができる。
【0007】
シグマ−2受容体リガンド、特に作動薬を、アポトーシスを誘導する用量で、または他の抗腫瘍薬と組み合わせて低毒性量(sub−toxic doses)で、抗腫瘍薬として使用し、薬物への耐性に拮抗し、それによって、より低用量で抗腫瘍薬を使用することを可能にし、その副作用を大幅に減少させることができる。
【0008】
更に、シグマ−2受容体リガンド、特に拮抗薬は、ハロペリドールなどの典型的な抗精神病薬を用いた精神病の慢性的治療によって患者に現れた、遅発性ジスキネジアを弱める効果を改善する医薬として有用であり得る。 シグマ−2受容体はまた、ある種の変性疾患に影響を及ぼすようであり、これらの受容体を阻害することは有用であり得る。
【0009】
内因性シグマリガンドは知られていないが、プロゲステロンがそれらの1つであることが示唆されている。考えられるシグマ部位介在薬物効果としては、グルタミン酸受容体機能、神経伝達物質応答、神経保護、行動、および認知の調節が挙げられる(Quirion,R.ら、Trends Pharmacol.Sci.、1992、13:85−86)。多くの研究は、シグマ結合部位(受容体)がシグナル伝達カスケードの原形質膜成分であることを暗示してきた。選択的シグマリガンドであることが報告されている薬物は、抗精神病薬として評価されてきた(Hanner,M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.、1996、93:8072−8077)。CNS、免疫系および内分泌系におけるシグマ受容体の存在は、シグマ受容体がこれらの3つの系を結びつける役割を果たし得るという可能性を示唆してきた。
【0010】
シグマ受容体の作動薬または拮抗薬の潜在的治療用途を考慮して、有効なリガンドの発見に多大な努力が向けられてきた。異なるシグマ受容体リガンドが報告されている。
【0011】
例えば、WO2007098961A1号は、シグマ受容体に対して薬理活性を有する4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン誘導体について記載する。
【0012】
シグマ受容体上で薬理活性を有するスピロ[ベンゾピラン]誘導体およびスピロ[ベンゾフラン]誘導体は、WO2007121976A1号に開示されている。
【0013】
シクロアルキル環と縮合するピラゾール基を有するピラゾール誘導体がまた、シグマリガンドとしてWO2006021463A1号に報告されている。
【0014】
WO2008055932A1号およびWO2008055933A1号は、それぞれ、シグマ受容体に対して活性を有する1,2,4−トリアゾール化合物および1,2,3−トリアゾール化合物を取り扱う。
【0015】
WO2009071657A1号もまた、シグマ受容体に対して活性を有する三環式トリアゾール化合物を報告する。
【0016】
US3317524A号は、抗炎症剤として、中枢神経系抑制剤として、鎮痛薬としておよび抗けいれん薬として有用な、置換1,2,3,4−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドールおよびその調製における中間体を開示している。
【0017】
この背景にもかかわらず、シグマ受容体に対する薬理活性を有し、好ましくは効果的かつ選択的であり、潜在的に良好な「drugability」特性、即ち、投与、分布、代謝および排泄に関連した良好な製薬特性を有する、更なる化合物を発見する必要が依然としてある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の文脈においては、以下の用語は、以下で詳述される意味を有する。
【0028】
「アルキル」は、不飽和を含まない、単結合によって分子の残部に結合している直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルキル基は、1個〜約12個、1個〜約8個、または1個〜約6個の炭素原子を有し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルなどである。シクロアルキルにより置換される場合、これは、シクロプロピルメチルなどの「シクロアルキルアルキル」ラジカルに相当する。アリールにより置換される場合、これは、ベンジル、ベンズヒドリルまたはフェネチルなどの「アリールアルキル」ラジカルに相当する。ヘテロシクリルにより置換される場合、これは、「ヘテロシクリル」ラジカルに相当する。
【0029】
「アルケニル」は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1つの不飽和を含有し、単結合によって分子の残部に結合している直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルケニルラジカルは、2個〜約12個、2個〜約8個または2個〜約6個の炭素原子を有する。特定の実施形態では、アルケニル基は、ビニル、1−メチル−エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、またはブテニルである。
【0030】
「アルキニル」は、少なくとも2個炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有し、単結合によって分子の残部に結合している直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルキニルラジカルは、2個〜約12個、2個〜約8個または2個〜約6個の炭素原子を有する。特定の実施形態では、アルキニル基は、エチニル、プロピニル(例えば、1−プロピニル、2−プロピニル)、またはブチニル(例えば、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル)である。
【0031】
「シクロアルキル」は、脂環式炭化水素を指す。典型的なシクロアルキルラジカルは、1つ〜4つの別々の環および/または縮合環、および3個〜約18個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子を含有し、シクロプロピル、シクロヘキシルまたはアダマンチルなどである。特定の実施形態では、シクロアルキルラジカルは、3個〜約6個の炭素原子を有する。
【0032】
「アリール」は、単環および複素環ラジカルを意味し、別々のおよび/または縮合アリール基を含む、複素環ラジカルを含む。典型的なアリール基は、1つ〜3つの別々の環および/または縮合環、および6個〜約18個の炭素環原子、好ましくは、6個〜約14個の炭素環原子を含有し、フェニル、ナフチル、ビフェニル、インデニル、フェナントリル(fenanthryl)またはアントラシルラジカルなどである。
【0033】
「ヘテロシクリル」は、1つ〜3つの別々の環および/または縮合環ならびに3個〜約18個の環原子を含有する複素環式芳香族基および複素脂環式基を含む。複素環式芳香族基および複素脂環式基は、5個〜約10個の環原子を含有することが好ましい。本発明の化合物中の好適な複素環式芳香族基は、N、OまたはS原子から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含有し、このような複素環式芳香族基としては、例えば、8−クマリニルを含むクマリニル、8−キノリルを含むキノリル、イソキノリル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリミジニル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ピリダジニル、トリアジニル、シンノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニルおよびフロピリジニルが挙げられる。本発明の化合物中の好適な複素脂環式基は、N、OまたはS原子から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含有し、このような複素脂環式基としては、例えば、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、アゼピニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプチル、3H−インドリル、およびキノリジニルが挙げられる。
【0034】
上記の基は、OR’、=O、SR’、SOR’、SO
2R’、OSO
2R’、OSO
3R’、NO
2、NHR’、N(R’)
2、=N−R’、N(R’)COR’、N(COR’)
2、N(R’)SO
2R’、N(R’)C(=NR’)N(R’)R’、N
3、CN、ハロゲン、COR’、COOR’、OCOR’、OCOOR’、OCONHR’、OCON(R’)
2、CONHR’、CON(R’)
2、CON(R’)OR’、CON(R’)SO
2R’、PO(OR’)
2、PO(OR’)R’、PO(OR’)(N(R’)R’)、C
1〜C
12アルキル、C
3〜C
10シクロアルキル、C
2〜C
12アルケニル、C
2〜C
12アルキニル、アリールおよび複素環基などの1つ以上の好適な基によって、1つ以上の選択可能な位置で置換されていてもよく、式中、R’基のそれぞれは、独立して、水素、OH、NO
2、NH
2、SH、CN、ハロゲン、COH、COアルキル、COOH、C
1〜C
12アルキル、C
3〜C
10シクロアルキル、C
2〜C
12アルケニル、C
2〜C
12アルキニル、アリールおよび複素環基からなる群から選択される。このような基がそれ自体置換される場合、置換基を、前述のリストから選択することができる。
【0035】
「ハロゲン」、「ハロ」または「hal」は、臭素、塩素、ヨウ素またはフッ素を指す。
【0036】
用語「塩」は、本発明に従って使用される化合物の任意の形態として理解されなければならず、前記化合物は、イオン性形態であるか、または荷電して対イオン(カチオンまたはアニオン)と結合するか、または溶液中にある。また、この定義は、四級アンモニウム塩、ならびに他の分子およびイオンを有する分子の錯体、特に、イオン相互作用を介して形成された錯体を含む。この定義は、特に、生理学的に許容される塩を含むが、この用語は、「薬学的に許容される塩」または「薬学的に許容される塩」の等価物として理解されなければならない。
【0037】
用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の文脈において、特にヒトおよび/または哺乳類に、治療のための適切な方法で使用される、適用されるまたは使用される場合、生理学的に容認される(通常、これは、特に対イオンの結果として有毒でないことを意味する)任意の塩を意味する。これらの生理学的に許容される塩は、カチオンまたは塩基によって形成されてもよく、本発明の文脈においては、本発明で使用される少なくとも一種の化合物により形成された塩であり、通常、酸(脱プロトン化されている)であると理解され、特にヒトおよび/または哺乳類に使用する場合、アニオン、および少なくとも一種の生理的に容認される、好ましくは無機のカチオンなどである。アルカリ金属およびアルカリ土類金属を有する塩、アンモニウムカチオン(NH
4+)で形成されたものが特に好ましい。好ましい塩は、モノナトリウムまたはジナトリウム、モノカリウムまたはジカリウム、マグネシウムまたはカルシウムで形成される。また、これらの生理学的に許容される塩は、アニオンまたは酸によって形成されてもよく、本発明の文脈においては、特にヒトおよび/または哺乳類に使用する場合、カチオンおよび少なくとも一種の生理学的に容認できるアニオンなどの、本発明で使用される少なくとも一種の化合物(これは通常、例えば窒素中でプロトン化されている)により形成された塩と理解されている。この定義は、具体的には、本発明の文脈において、特にヒトおよび/または哺乳類に使用する場合、生理学的に容認できる酸により形成された塩、即ち、生理学的に容認できる有機酸または無機酸を有する特定の活性化合物の塩を含む。この種類の塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸またはクエン酸で形成される。
【0038】
本発明に従う用語「溶媒和物」は、本発明に従う化合物の任意の形態を意味するものであり、前記化合物が非共有結合によって別の分子(通常、極性溶媒)と結合し、特に、水和物と、例えばメタノレートのようなアルコール化合物とを含むものとして理解されなければならない。好ましい溶媒和物は、水和物である。
【0039】
式(I)の化合物のプロドラッグである任意の化合物もまた、本発明の範囲内である。用語「プロドラッグ」は、最も広義に使用され、本発明の化合物へインビボ変換されるこれらの誘導体を包含する。プロドラッグの例としては、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、および生加水分解性ホスフェート類似体などの生加水分解性部分を含む式(I)の化合物の誘導体および代謝産物が挙げられるが、これらに限定されない。カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルであることが好ましい。カルボン酸エステルは、分子上に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することによって、都合よく形成される。プロドラッグは、典型的には、Burger著「Medicinal Chemistry and Drug Discovery」6th ed、(Donald J. Abraham、2001、Wiley)および「Design and Applications of Prodrugs」(H.Bundgaard、1985、Harwood Academic Publishers)によって記載されたものなどの、周知の方法を使用して調製することができる。
【0040】
本明細書で参照される任意の化合物は、このような特定の化合物ならびに特定の変動または形態を表すことを意図している。特に、本明細書で参照される化合物は、不斉中心を有してもよい。したがって、異なるエナンチオマー形態またはジアステレオマー形態で存在する。したがって、本明細書で参照される任意の所与の化合物は、ラセミ化合物のいずれか、一種以上のエナンチオマー形態、一種以上のジアステレオマー形態、およびこれらの混合物を表すことを意図している。同様に、二重結合についての立体異性または幾何学的異性もまた可能であり、したがって、場合により、分子は、(E)−異性体または(Z)−異性体(トランス異性体およびシス異性体)として存在することができるであろう。分子が幾つかの二重結合を含有する場合、それぞれの二重結合は、それ自体の立体異性を有するであろうし、この立体異性が分子のその他の二重結合の立体異性と同一か、または異なる場合もあるであろう。更に、本明細書で参照される化合物は、アトロプ異性体として存在してもよい。本明細書で参照される化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何学的異性体およびアトロプ異性体ならびにこれらの混合物を含む全ての立体異性体は、本発明の範囲と考えられる。
【0041】
更に、本明細書で参照される任意の化合物は、互変異性体として存在してもよい。具体的には、用語「互変異性体」は、平衡状態で存在し、1つの異性体から別の異性体に速やかに変換される化合物の2つ以上の構造異性体の1つを指す。一般的な互変異性の対は、エナミン−イミン、アミド−イミド酸、ケト−エノール、ラクタム−ラクチムなどである。
【0042】
特に指示しない限り、本発明の化合物はまた、同位体標識形、即ち、1つ以上の同位体濃縮原子の存在だけが異なる化合物を含むように意図されている。例えば、重水素もしくは三重水素による少なくとも1つの水素原子の置換、または
13Cもしくは
14C濃縮炭素による少なくとも1つの炭素の置換、または
15N濃縮窒素による少なくとも1つの窒素の置換を除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0043】
化合物式(I)またはその塩または溶媒和物は、薬学的に許容されるか、実質的に純粋な形態であることが好ましい。薬学的に許容される形態とは、とりわけ、希釈剤および担体などの通常の医薬品添加物を除き薬学的に許容される水準の純度を有し、通常の投与量で有毒であるとみなされる材料を含まないことを意味する。原薬のための純度水準は、好ましくは50%超、より好ましくは70%超、最も好ましくは90%超であることが好ましい。好ましい実施形態では、それは、式(I)の化合物の、またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの95%超である。
【0044】
当業者は、どの物質が「脱離基」の定義に該当するかを容易に同定することができる。本発明の目的上、用語「脱離基」は、一般に是認されている意味を有する:March,J.著「Advanced Organic Chemistry: Reactions、 Mechanism and Structure」、5th Ed.、Wiley−Interscience、の275ページに、脱離基は、反応において開裂した分子の一部として定義されている。したがって、好適な脱離基は、ある種の反応条件下で開裂する傾向がある分子のフラグメントである。それらは、反応の始めから分子中に存在しても、その場生成されてもよい。本明細書で開示される方法に関して、好適な脱離基は、一般に既知であり、参考図書、例えば、March,J.「Advanced Organic Chemistry: Reactions、 Mechanism and Structure」、5th Ed.、 Wiley−Interscienceの484〜488ページに見出され得る。特定の脱離基の例としては、ハロゲン、メチルスルホニル、p−トルエンスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、p−ニトロフェニル、 トリフルオロ酢酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用する場合、用語「治療する」、「治療すること」および「治療」は、疾患または状態の開始後の、それらの根絶、除去、回復、緩和、修飾、または制御を含む。
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「予防」、「予防すること」、「予防的」、「予防する」および「予防」とは、疾患または状態の開始前に、それらの開始もしくは発現を回避する、最小限に抑えるまたは困難にする、治療学上の能力を指す。
【0047】
したがって、「治療すること」もしくは「治療」および/または「予防すること」もしくは「予防」は、全体として、被験者を悩ませる状態と関連する症状の少なくとも抑制または改善を意味し、ここで、抑制および改善は広義で使用され、パラメータ、例えば治療されている状態と関連した症状、の大きさの少なくとも減少を指す。そのようなものであるから、本発明の方法はまた、状態を完全に阻害する、例えば、発生を予防する、または被験者が状態をもはや経験しないように、停止、例えば終了する状況を含む。
【0048】
本発明の発明者らは、上で定義するような一般式(I)を有するピラジノ[1,2−a]インドール化合物が、予想外にも、良好から優秀の範囲のシグマ受容体に対する親和性を示すことを観察した。したがって、これらの化合物は、シグマ受容体に関連した障害または疾患の予防および/または治療のための医薬において、薬理活性物質として特に適している。
【0049】
詳細には、シグマ−1受容体リガンドとして作用する、上で定義するような一般式(I)を有するピラジノ[1,2−a]インドール化合物が好ましい。
【0050】
より詳細には、シグマ−1受容体拮抗薬リガンドとして作用する、上で定義するような一般式(I)を有するピラジノ[1,2−a]インドール化合物が好ましい。
【0051】
特定の実施形態では、R
1は、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換ヘテロシクリル、および置換または非置換ヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される、ベンゼン部分の1つ以上の任意のかつ独立した置換基を表す。
【0052】
より特定的な実施形態では、R
1は、置換または非置換アルキルおよびハロゲンからなる群から選択される、ベンゼン部分の1つ以上の任意のかつ独立した置換基を表す。
【0053】
R
1は、置換または非置換C
1〜C
6アルキルおよびハロゲンからなる群から選択される、ベンゼン部分の1つ以上の任意のかつ独立した置換基を表すことが好ましい。より好ましくは、R
1は、独立して、メチルおよびフッ素から選択される、ベンゼン部分の1つ以上の任意のかつ独立した置換基を表す。
【0054】
特定の実施形態によれば、一般式(I)の化合物中のR
1は、ベンゼン部分の1つ〜3つ(1つ、2つまたは3つ)の置換基を表す。更に、ピラジノ[1,2−a]インドール環の8位で置換された化合物が、特に好適であることが見出された。
【0055】
明確にするために、ピラジノ[1,2−a]インドール環の原子の通常の番号付けを、下に示す。
【化2】
【0056】
特定の実施形態では、mは、0、1および2から選択され、および/またはnは、0、1および2から選択される。より特定的な実施形態では、mは0および1から選択され、および/またはnは0および1から選択される。mとnの合計が0、1または2である一般式(I)の化合物が好ましい。
【0057】
特定の実施形態では、R
2およびR
3は、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換ヘテロシクリル、および置換または非置換ヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される。
【0058】
別の特定の実施形態では、R
2およびR
3は、独立して、水素、置換または非置換アルキルおよび置換または非置換シクロアルキルからなる群から選択されるか、または、R
2およびR
3は、一緒になって、置換または非置換シクロアルキル、または置換または非置換ヘテロシクリルを形成する。
【0059】
より特定的な実施形態では、独立して、R
2およびR
3は、水素および置換または非置換アルキルからなる群から選択されるか、または、R
2およびR
3は、一緒になって、置換または非置換シクロアルキルを形成する。
【0060】
R
2およびR
3は、独立して、水素および置換または非置換C
1〜C
6アルキルからなる群から選択されるか、または、R
2およびR
3は、一緒になって、置換または非置換C
3〜C
6シクロアルキルを形成することが好ましい。より好ましくは、R
2およびR
3は、独立して、水素、メチルおよびエチルからなる群から選択されるか、または、R
2およびR
3は、一緒になって、シクロプロピルまたはシクロペンチルを形成する。
【0061】
本発明の特定の実施形態では、R
2およびR
3は、独立して置換または非置換ベンジルではない。
【0062】
特定の実施形態では、R
4およびR
5は、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換ヘテロシクリル、および置換または非置換ヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される。
【0063】
別の特定の実施形態では、R
4およびR
5は、独立して、水素、置換または非置換アルキル、および置換または非置換シクロアルキルからなる群から選択されるか、または、R
4およびR
5は、架橋窒素原子と共に、置換または非置換ヘテロシクリルを形成する。
【0064】
別の特定の実施形態では、R
4およびR
5は、架橋窒素原子と共に、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換ヘテロシクリル、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル、またはハロゲンによって場合により置換されていてもよいヘテロシクリル基を形成する。
【0065】
より特定的な実施形態では、R
4およびR
5は、独立して、水素および置換または非置換C
1〜C
6アルキルからなる群から選択されるか、または、R
4およびR
5は、架橋窒素原子と共に、置換または非置換5〜10員ヘテロシクリル、好ましくは、置換または非置換5、6もしくは7員ヘテロシクリルを形成する。前記置換または非置換5、6もしくは7員ヘテロシクリルは、非芳香族(ヘテロ脂環基)であることが好ましい。
【0066】
本発明の特定の実施形態では、R
4およびR
5により架橋窒素原子と共に形成されたヘテロシクリルは、フタルイミジルでない。
【0067】
R
4およびR
5は、独立して、水素および置換または非置換メチルまたはエチルからなる群から選択されるか、または、R
4およびR
5は、架橋窒素原子と共に、置換または非置換アゼパニル、ジアゼパニル、オキサゼパニル(oxazepanyl)、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロ ピロリルまたはモルホリニルを形成することが好ましい。R
4およびR
5により架橋窒素原子と共に形成された特定のヘテロシクリルラジカルは、4−メチルピペラジン−1−イル、3,5−ジメチルピペラジン−1−イル、4−アセチルピペラジン−1−イル、4−シクロヘキシルピペラジン−1−イル、(4−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ピペラジン−1−イル、1,4’−ビピペリジン−1’−イル、4−メチル−1.4−ジアゼパン−1−イル、4−エチルピペラジン−1−イル、アゼパン−1−イル、ピペリジン−1−イル、4−ベンジルピペリジン−1−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、9−メチル−3,9−ジアザスピロ[5,5]ウンデカン−3−イル、5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロリルおよびモルホリニルである。
【0068】
本発明のある種の変形では、R
4およびR
5は、独立して水素でないか、またはR
4およびR
5は、同時に水素でない。
【0069】
特定の実施形態では、R
6は、水素および置換または非置換C
1〜C
6アルキルなどの置換または非置換アルキルからなる群から選択される。R
6は、水素およびメチルからなる群から選択されることが好ましい。
【0070】
更なる実施形態では、R
6は、置換または非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロシクリルでない。
【0071】
付加的な好ましい実施形態では、異なる置換基について前述した選好が組み合わせられる。本発明はまた、上記の式(I)の好ましい置換のこのような組合せに関する。
【0072】
式(I)に該当する本発明の特定の個々の化合物は、以下に記載される化合物を含む:
[1] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[2] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[3] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン、
[4] 2−(アゼパン−1−イル)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)エタノン塩酸塩、
[5] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(ピペリジン−1−イル)エタノン塩酸塩、
[6] 2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)エタノン塩酸塩、
[7] 2−(アゼパン−1−イル)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[8] 2−(アゼパン−1−イル)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オンマレイン酸塩、
[9] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(ピペリジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[10] 2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[11] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタン−1−オン、
[12] 2−(アゼパン−1−イル)−1−(8−フルオロ−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)エタノン、
[13] 2−(アゼパン−1−イル)−1−(8−メチル−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[14] 1−(10−メチル−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(ピペリジン−1−イル)エタノン、
[15] 2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)−1−(10−メチル−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)エタノン、
[16] 1−(8−フルオロ−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−4−(ピペリジン−1−イル)ブタン−1−オン、
[17] 3−(アゼパン−1−イル)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[18] (R)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[19] (S)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[20] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−4−(ピペリジン−1−イル)ブタン−1−オン、
[21] 4−(アゼパン−1−イル)−1−(8−フルオロ−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)ブタン−1−オン、
[22] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン、
[23] 1−(8−フルオロ−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン、
[24] 2−(4−シクロヘキシルピペラジン−1−イル)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[25] 2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−(3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[26] 1−(8−フルオロ−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[27] 2−(4−シクロヘキシルピペラジン−1−イル)−1−(8−フルオロ−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[28] 1−(8−フルオロ−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)プロパン−1−オン、
[29] 2−(4−エチルピペラジン−1−イル)−1−(8−フルオロ−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[30] 2−(2−(ジエチルアミノ)エチルアミノ)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[31] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(1,4−オキサゼパン−4−イル)プロパン−1−オン、
[32] (R)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−((S)−3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[33] (S)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−((R)−3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[34] (S)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−((S)−3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[35] (R)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−((R)−3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[36] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[37] 2−(1,4’−ビピペリジン−1’−イル)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[38] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン、
[39] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)ブタン−1−オン、
[40] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(2−(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)プロパン−1−オン、
[41] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−メチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[42] 4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−(3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)ブタン−1−オン、
[43] 4−(ジメチルアミノ)−1−(3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)ブタン−1−オン、
[44] 2−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−(3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[45] (R)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン、
[46] (S)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン、
[47] (R)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−メチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[48] (S)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−メチル−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[49] (S)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン、
[50] (R)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン、
[51] (R)−2−(4−シクロヘキシルピペラジン−1−イル)−1−((S)−3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[52] (S)−2−(4−シクロヘキシルピペラジン−1−イル)−1−((R)−3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[53] (S)−2−(4−シクロヘキシルピペラジン−1−イル)−1−((S)−3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[54] (R)−2−(4−シクロヘキシルピペラジン−1−イル)−1−((R)−3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[55] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−モルホリノエタノン塩酸塩、
[56] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノン塩酸塩、
[57] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(ジメチルアミノ)プロパン−1−オン、
[58] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(ジメチルアミノ)プロパン−1−オンマレイン酸塩、
[59] 2−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[60] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−((3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン、
[61] (3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)(1−(ピペリジン−1−イル)シクロプロピル)メタノン、
[62] (8−フルオロ−3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)(1−(ピペリジン−1−イル)シクロプロピル)メタノン、
[63] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(9−メチル−3,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−3−イル)プロパン−1−オン、
[64] (3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)(1−(4−メチルピペラジン−1−イル)シクロペンチル)メタノン、
[65] (1−(4−メチルピペラジン−1−イル)シクロペンチル)(3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)メタノン、
[66] 2−(ピペラジン−1−イル)−1−(3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[67] 2−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−1−(3,4,10,10a−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン、
[68] 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−((3aR,6aS)−5−メチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)ブタン−1−オン、
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【0073】
一般式(I)の化合物は、利用可能な合成法によって得ることができる。例えば、これを、以下の基本手順に従って調製することができる。
【0074】
(方法A)
上で定義するような一般式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物の合成のための方法であって、方法は、一般式(II)の化合物と
【化3】
(式中、m、n、
----、R
1、R
2、R
3およびR
6は、一般式(I)における意味を有し、Xは、適切な脱離基である)、
一般式(III)の化合物と
【化4】
(式中、R
4およびR
5は、一般式(I)における意味を有する)、
の間の反応を含む。
【0075】
そして、一般式(II)の化合物を、一般式(IV)の化合物と
【化5】
(式中、
----、R
1およびR
6は、一般式(I)における意味を有する)、
一般式(V)の化合物と
【化6】
(式中、m、n、R
2およびR
3は、一般式(I)における意味を有し、XおよびYは、独立した適切な脱離基を表す)、
の間の反応によって調製してもよい。
【0076】
上記の反応を、適切な塩基および有機溶媒の存在下で実施することができる。塩基の例としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩および硫酸塩などの無機塩基、ならびにモノ(C
1〜C
5アルキル)アミン、ジ(C
1〜C
5アルキル)アミンなどのような有機塩基が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒の例としては、本発明に関係する技術分野において従来から使用される有機溶媒、好ましくは不活性有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的には、本発明で使用する有機溶媒の例は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、メタノール、エタノール、プロパノールなどのC
1〜C
6一級アルコール、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物などである。これらの反応を、−30℃から使用する溶媒の還流温度の間の温度で都合よく実施することができる。ハロゲンは、これらの反応に特に適した脱離基である。
【0077】
一般式(III)、(IV)および(V)の化合物は市販されているが、既知の方法もしくはそれを変更した方法に従って市販の製品から合成することができる。
【0078】
(方法B)
上で定義するような一般式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物の合成のための方法であって、方法は、一般式(IV)の化合物と
【化7】
(式中、
----、R
1およびR
6は、一般式(I)における意味を有する)、
一般式(VI)の化合物と
【化8】
(式中、m、n、R
2、R
3、R
4およびR
5は一般式(I)における意味を有し、Yは適切な脱離基である)
の間の反応を含む。
【0079】
アミド化を、異なる経路により実施することができる。例えば、ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中において、DMAPまたはHOBTなどの有機塩基の触媒量の存在下で、1,1−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または1−エチル3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)などのカルボジイミドによるカルボン酸の活性化によって、アミド化を達成してもよい。アミド化を、同様に、ジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒およびジイソプロピルエチルアミンもしくはトリエチルアミンなどの有機塩基の存在下で、塩化アシルを使用することによって達成することができる。Rが、p−ニトロフェニルまたはトリフルオロ酢酸エチルなどの、容易に解離することのできる脱離基である場合、本反応をまた、エステル(Y=OR)から出発して、触媒塩基性条件を使用して、実施することができる。
【0080】
一般式(IV)および(VI)の化合物は市販されているが、既知の方法もしくはそれを変更した方法に従って市販の製品から合成することができる。
【0081】
(方法C)
上で定義するような一般式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物の合成のための方法であって、方法は、一般式(VII)の化合物と
【化9】
(式中、
----、R
1およびR
6は、一般式(I)における意味を有し、
R
10およびR
11は、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルキルアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換ヘテロシクリル、および置換または非置換ヘテロシクリルアルキルからなる群から選択される)、
一般式(III)の化合物と
【化10】
(式中、R
4およびR
5は、一般式(I)における意味を有する)、
の間の反応を含む。
【0082】
上記の方法は、一般式(I)の化合物を得るために有効であり、式中、nまたはmは、0(ゼロ)であり、少なくとも1つのR
10またはR
11が水素である。
【0083】
そして、一般式(VII)の化合物を、一般式(IV)の化合物と
【化11】
(式中、
----、R
1およびR
6は、一般式(I)における意味を有する)、
一般式(VIII)の化合物と
【化12】
(式中、R
10およびR
11は、一般式(VII)における意味を有し、Xは、適切な脱離基である)、
の間の反応によって調製してもよい。
【0084】
上記の反応を、適切な塩基および有機溶媒の存在下で実施することができる。塩基の例としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩および硫酸塩などの無機塩基、ならびにモノ(C
1〜C
5アルキル)アミン、ジ(C
1〜C
5アルキル)アミンなどのような有機塩基が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒の例としては、本発明に関係する技術分野において従来から使用される有機溶媒、好ましくは不活性有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的には、本発明で使用する有機溶媒の例は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、メタノール、エタノール、プロパノールなどのC
1〜C
6一級アルコール、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物などである。反応を、−30℃から使用する溶媒の還流温度の間の温度で、都合よく実施することができる。ハロゲンは、本反応に特に適した脱離基である。
【0085】
一般式(IV)および(VIII)の化合物は市販されているが、既知の方法もしくはそれを変更した方法に従って市販の製品から合成することができる。
【0086】
一般式(I)の化合物の調製のための一般の合成経路を、以下のスキームに示す。
【化13】
【0087】
本発明の別の目的はまた、上で定義するような一般式(I)の化合物の少なくとも一種、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物、及び少なくとも一種の薬学的に許容される賦形剤を含んでなる、医薬または医薬組成物を提供することである。
【0088】
用語「賦形剤」は、活性成分以外の医薬化合物の成分を指す(欧州医薬品庁(EMA)から得られた定義)。この賦形剤は、「担体、補助剤および/またはビヒクル」を含むことが好ましい。担体は、物質が組み込まれる形態であり、送達および薬の有効性を改善する。薬物担体は、徐放性技術などの薬物送達システムで使用され、インビボ薬物作用を持続させ、薬物代謝を減少させ、薬物毒性を減少させる。担体はまた、設計で使用され、薬理作用の標的部位に対する薬物送達の有効性を増加させる(米国国立医学図書館、 国立衛生研究所)。補助剤は、予測可能な方法で活性成分の作用に影響を及ぼす、製剤処方に加えられる物質である。ビヒクルは、賦形剤または物質であり、好ましくは治療効果なしで、媒体として使用され、医薬の投与のための量を増す(Stedman’s Medical Spellchecker 2006 Lippincott Williams & Wilkins)。このような医薬担体、補助剤またはビヒクルは、水、ならびにピーナッツ油、大豆油、鉱油、胡麻油などのような、石油、動物、植物または合成由来のものを含む油などの、滅菌済みの液体である場合があり、賦形剤、崩壊剤(disgregant)、湿潤剤、または希釈剤を含む。適切な医薬担体は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martin著に記載されている。これらの賦形剤および使用される量の選択は、医薬組成物の適用の形態に依存する。
【0089】
本発明に従う医薬組成物を適合させ、任意の投与経路によって、経口であろうと非経口であろうと、例えば肺に、鼻に、直腸におよび/もしくは静注で、投与することができる。したがって、本発明に従う製剤は、局所適用または全身適用に、特に真皮、皮下、筋肉内、関節内、腹膜内、肺、頬側、舌下腺、経鼻、経皮、膣、経口または非経口適用に適していてもよい。直腸適用の好ましい形態は、坐薬を用いることである。
【0090】
経口適用のための好適な調製は、錠剤、丸薬、チューインガム、カプセル剤、顆粒、ドロップまたはシロップである。非経口適用のための適切な調製は、溶液、懸濁液、再調製可能な(reconstitutable)乾燥調製、またはスプレーである。
【0091】
本発明の医薬組成物を、溶存形態の堆積物としてまたはパッチで調製して、経皮適用してもよい。皮膚塗布は、軟膏剤、ジェル、クリーム、ローション剤、懸濁液またはエマルションを含む。
【0092】
本発明の別の態様は、シグマ受容体介在疾患または状態の治療および/または予防のための方法であり、方法は、上で定義するような式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物の治療上有効量をこのような治療または予防を必要とする被験者に投与することを含む。
【0093】
一般に、本発明で使用する化合物の有効な投与量は、選択した化合物の相対的有効性、治療されている障害の重症度、または年齢、体重または投与様式に依存するであろう。しかし、活性化合物は、通常、1日1回以上、例えば、毎日1回、2回、3回または4回、典型的な1日総投与量で、0.1〜500mg/kg/日の範囲内で投与されるであろう。
【0094】
本発明は一般論として記載され、図として示される以下の実施例を参照することでより容易に理解されるであろうが、これは、本発明を限定することを意図するものではない。
【0095】
実施例:
(方法A)
実施例1:
(1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン)
(1.1. 2−クロロ−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オンの合成)
【化14】
塩化メチレン(20mL)中1,2,3,4−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール(200mg、1.16mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(300mg、2.3mmol)を添加し、続いて2−クロロプロパノイルクロリド(162mg、1.28mmol)を0℃で滴加した。反応物を1時間撹拌し、水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。結合した有機層を、水および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次に、蒸発乾固し、オレンジ色の油として粗生成物を得た(283mg、93%収率)。
【0096】
(1.2. 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オンの合成)
【化15】
無水アセトニトリル(20mL)中の2−クロロ−1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)プロパン−1−オン(170mg、0.65mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(167mg、1.3mmol)を添加し、続いてメチルピペラジン(130mg、1.3mmol)を滴加した。反応物を、12時間還流下で攪拌した。冷却および蒸発乾固後、水を添加し、混合物をジクロロメタンで抽出した。結合した有機層を水、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次に蒸発乾固し、茶色の油として粗生成物を得た(100mg、47%収率)。
【0097】
(方法B)
実施例2:
(1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−2−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン)
【化16】
無水THF(18mL)中の2−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン酸二臭化水素酸塩(308mg、0.89mmol)懸濁液へ、ジイソプロピルエチルアミン(225mg、1.74mmol)を添加し、混合物を10分間攪拌した。得られた白色の懸濁液に、1,2,3,4−テトラヒドロ−ピラジノ[1,2−a]インドール(150mg、0.87mmol)と2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタンアミニウム(HATU)(519mg、1.36mmol)とを添加し、混合物を6時間55〜65℃で、および室温で一晩、撹拌した。粗生成物を濃縮し、水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。結合した有機層を、水および塩水で逐次的に洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次に蒸発乾固し、粗生成物を得て、シリカゲル上でクロマトグラフ処理して、標題化合物を得た(155mg、52%収率)。
【0098】
(方法C)
実施例3:
(1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン)
(3.1. 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)ブタ−2−エン−1−オンの合成)
【化17】
塩化メチレン(20mL)中の1,2,3,4−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドール(2g、11.6mmol)の混合物に、ナトリウム炭酸水素塩(1.95g、22.3mmol)を添加し、続いて塩化クロトノイル(1.82g、17.4mmol)を0℃で滴加した。反応物を室温で2時間撹拌し、水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。結合した有機層を、水および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次に蒸発乾固し、油として粗生成物を得た(1.11g、40%収率)。
【0099】
(3.2. 1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブタン−1−オンの合成)
【化18】
N−メチルピペラジン(3mL)に、1−(3,4−ジヒドロピラジノ[1,2−a]インドール−2(1H)−イル)ブタ−2−エン−1−オン(112mg、0.6mmol)を添加し、溶液を室温で一晩撹拌した。反応物を、4日間にわたって完了までTLCでモニタリングして撹拌し、水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。結合した有機層を、水および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次に蒸発乾固し、固体として粗生成物を得た(56mg、35%収率)。
【0100】
式(I)の特定の化合物を、下記の第1表に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【0101】
(生物活性)
(薬理学的研究)
(ヒトシグマ1受容体放射性リガンドアッセイ)
ヒトシグマ1受容体に対するシグマ1受容体リガンドの結合特性を調査するために、トランスフェクションしたHEK−293膜と[
3H](+)−ペンタゾシン(パーキンエルマー、NET−1056)を、放射性リガンドとして使用した。膜懸濁液7μg、[
3H](+)−ペンタゾシン5nMを用いて、緩衝剤またはハロペリドール10μMのいずれかの非存在または存在下で、それぞれ全結合および非特異的結合のために、アッセイを実施した。結合用緩衝液は、pH8でトリスHCl50mMを含有していた。プレートを120分間、37℃で保温した。保温期間後、反応混合物を、マルチスクリーンHTS FCプレート(ミリポア)へ移し、ろ過し、プレートを、氷冷したトリスHCL(pH7.4)10mMで3回洗浄した。フィルターを乾燥させ、約40%の効率で、MicroBetaシンチレーションカウンター(パーキンエルマー)において、エコシンチ液体シンチレーションカクテルを使用して、計数した。
【0102】
得られた結果の一部を、下記の第2表に示す:
【表28】