【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、各独立請求項のそれぞれの対象によって解決される。有利な実施形態は、各従属請求項のそれぞれの対象である。
【0007】
1つの態様によれば、車両を動作させる方法であって、
・第1時点に、第1目標軌跡を求め、当該第1目標軌跡に基づいて前記車両の
現行軌跡を制御する、方法において、
・前記第1時点よりも時間的に後の第2時点に、前記車両の
現行軌跡を、引き続き前記第1目標軌跡に基づいて制御可能であるか否かをチェックし、
・そうである場合には、前記車両の
現行軌跡を、引き続き前記第1目標軌跡に基づいて制御し、
・そうでない場合には、第2目標軌跡を求め、当該第2目標軌跡に基づいて前記車両の
現行軌跡を制御する、方法が提供される。
【0008】
別の1つの態様によれば、処理装置上で実行された場合、又は、コンピュータ読み出し可能なデータ担体に保存されている場合に、車両を動作させる方法を実施するプログラムコード手段を備える、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0009】
別の1つの態様によれば、車両を動作させる方法を実施するように構成された処理装置を含む、車両用の運転者支援システムが提供される。
【0010】
別の1つの態様によれば、運転者支援システムを含む車両が提供される。
【0011】
本発明はつまり、当初に計算した、即ち特に前回のサイクルで計算した第1目標軌跡が、引き続き、即ち現在のサイクルにおいて、車両の
現行軌跡を制御するために使用可能であるか否かをチェックするという着想を特に含む。そうである場合には、車両の
現行軌跡が、引き続き第1目標軌跡に基づいて制御される。そうでない場合には、第2目標軌跡が求められ、当該第2目標軌跡に基づいて、車両の
現行軌跡が制御される。
【0012】
従来技術では、第2時点には常に第2目標軌跡が計算されていた。第1目標軌跡は、廃棄されていたのである。本発明によれば、チェック結果に応じて、引き続き第1目標軌跡を、車両の
現行軌跡を制御するための基礎として使用するので、計算時間及び計算コストを有利にも削減することが可能となる。このことは、実時間応用の場合に特に有利である。
【0013】
1つの実施形態では、前記第1目標軌跡のうち、前記第2時点において前記
現行軌跡の制御のために既に使用済みの部分を除いた前記第1目標軌跡に相当する、残留目標軌跡を求め、前記第2時点に、走行路を求め、前記残留目標軌跡が、前記走行路の完全に内側に存在するかどうかをチェックし、そうである場合には、前記残留目標軌跡に基づいて前記車両の
現行軌跡を制御し、そうでない場合には、前記第2目標軌跡に基づいて前記車両の
現行軌跡を制御することができる。
【0014】
このことはつまり、これから実際に走行すべき区間(残留目標軌跡)だけが考慮されるということを特に意味している。既に走行済みの区間(既に制御のために使用された部分)はこれ以上考慮されない。走行路は、基本的に走行可能な平面を規定するものであり、この平面の内側において車両がガイドされる。走行路の外側には、通常は静止した障害物が存在しているか、さもなければ、走行路の外側を車両が走行すべき場合であれば、乗り心地の損失を覚悟しなければならない。しかしながら、残留目標軌跡が走行路の内側に存在する限り、上記の欠点を回避することができる。特に、障害物との衝突を回避することができる。特に有利には、乗り心地の損失を阻止することができる。
【0015】
さらには、例えばセンサの脆弱性に起因した走行路のノイズによって引き起こされる又は生じる、走行特性に対する影響、即ち制御に対する影響は、第2時点に常に第2目標軌跡が計算されていた従来技術に比べてより小さくなる。なぜなら、1つの実施形態によれば、走行路は、少なくとも1つのセンサ(例:ビデオセンサ、レーザセンサ、超音波センサ、レーダセンサ、ライダーセンサ)によって検出される、車両周囲の少なくとも1つのパラメータに基づいて求められるからである。このようなセンサはノイズを有する可能性があり、従って、これによって間接的に、走行路のノイズも引き起こされるおそれがある。制御のために引き続き第1目標軌跡が使用可能であるためには、残留目標軌跡が走行路の内側に存在していなければならないという条件によって、ノイズの影響が低減されるか、又はそれどころか回避されさえする。
【0016】
1つの実施形態によれば、第1時点には、第1走行路を求めることができる。第1走行路は、1つの実施形態によれば、前述した走行路と同じようにして求めることができる。第1目標軌跡は、第1走行路の完全に内側に配置されるように求められる。このことはつまり、第1時点に、第1走行路が求められ、この場合に、当該第1走行路の内側にある第1目標軌跡が求められるということを特に意味している。より良好に区別するために、第1走行路を含む実施形態では、第2時点に求められる走行路を、別の走行路と呼ぶことができる。
【0017】
さらなる1つの実施形態によれば、前記残留目標軌跡を、前記第2時点における又は前記第2時点後における前記車両の位置と結合することができる。特に、残留目標軌跡は、第2時点における又は第2時点後における車両の走行方向と結合される。
【0018】
この場合には有利にも、車両が、場合によっては第2時点において第1目標軌跡上に存在しない位置を有するという状況が考慮される。このような状況は例えば、外部影響、例えば横風、及び/又は位置検出時のノイズに起因する。理想的なケースでは、車両は、第2時点には第1目標軌跡上に配置されている、又は位置している。位置検出時のノイズは、例えばセンサノイズに起因して引き起こされる可能性がある。即ち、上述した結合によって特に有利には、残留目標軌跡が継ぎ目なしに又は継続的に、つまり連続的に、車両の目下の
現行軌跡、つまり結合した時点に存在する
現行軌跡に移行する。これによって有利には、車両動作の制御時における突然のジャンプが回避される。なぜなら、車両が目標軌跡から逸脱した位置に存在する場合には、通常、第1目標軌跡へと到達させるために突然の走行操作が実施されてしまうからである。
【0019】
1つの実施形態では、前記走行路は、予め定められた長さを有し、前記第1目標軌跡は、解析関数を用いて記述され、これによって前記残留目標軌跡を、前記解析関数に基づいて前記走行路の長手方向端部まで延長させ、延長された前記残留目標軌跡が、前記走行路の完全に内側に存在するか否かをチェックし、そうである場合には、延長された前記残留目標軌跡に基づいて前記車両の
現行軌跡を制御し、そうでない場合には、前記第2目標軌跡に基づいて前記車両の
現行軌跡を制御することができる。
【0020】
一般的に、車両の目下の位置に結合されている走行路が、車両動作に起因して相応にずれてしまったために、当初に計算された第1目標軌跡が、水平線とも呼ぶことができる長手方向端部まで達しないということも起こり得る。というのは、第1目標軌跡を計算した時点にはこの走行路はまだ存在していなかったので、後々に、即ち第2時点で初めて計算されることとなるこの走行路の水平線に到達するように第1目標軌跡を求めることは不可能であったからである。しかしながら第1目標軌跡は、解析関数によって記述可能であるので、残留目標軌跡を長手方向端部まで、又は走行路の水平線まで簡単に延長させることが可能である。このようにして有利にも、延長された残留目標位置が走行路の内側に存在する場合に、この延長された残留目標軌跡に基づいて車両の
現行軌跡を制御することが可能となる。そうでない場合には、第2目標軌跡が求められ、当該第2目標軌跡に基づいて、車両の
現行軌跡が制御される。
【0021】
本発明における水平線とは、例えば、センサの検出距離(即ちセンサ技術的にセンサがどの程度の範囲まで周囲を検出できるか)、又はセンサ(若しくはセンサ機器)の視界であると理解することができる。水平線とは特に、対応する走行路を求めた時点に車両から測定された、車両の長手方向に関して、状況分析から妥当な長さであると理解することができる。従って、この妥当な長さは、特にセンサの検出距離よりも短くてもよい。これは特に、状況分析(即ち目下に存在する状況の分析)の結果、延長された残留目標軌跡を計算するための基礎として、センサの検出距離よりも短い長さ(妥当な長さ)のみを使用すべきであると判明した場合である。即ち残留目標軌跡は、この妥当な長さと同じ長さになるまで延長される。
【0022】
1つの実施形態では、前記
現行軌跡の制御は、車両動作の長手方向の制御、及び/又は、車両動作の横方向の制御を含むことができる。
【0023】
別の1つの実施形態では、前記車両の前を走行する別の車両が存在する場合であって、且つ、前記車両と前記別の車両との間の目標間隔に合わせて
現行間隔を制御するために、前記車両動作の長手方向の制御を行う場合には、前記
現行間隔と前記目標間隔との差が、予め定められた差の閾値よりも小さければ、特に差の閾値以下であれば、前記
現行軌跡を引き続き制御するために前記第1目標軌跡を使用することが可能である。このことはつまり、
現行間隔と目標間隔との差が差の閾値より小さい限り、好ましくは差の閾値以下である限り、引き続き第1目標軌跡に基づいて
現行軌跡が計算されるということを特に意味している。
【0024】
本発明における走行路は、特に走行タスクを形成する。横方向の制御のための走行路の水平線は、特にx方向(走行方向)における走行タスクにとって妥当な長さである。長手方向のガイドの場合には、走行路の水平線は、特に走行タスクの1つ又は複数の位置目標にいつまでに到達すべきかを示す時間である。走行路は、好ましくは横方向のガイドのための境界線と、特定の平面を禁止する通過点と、時間にわたる通過点の動きの予測とを含む、又は有する。走行路は、例えばこの空間(自由空間)における目標位置及び目標方向に対する目標の定義を有する自由空間の記述である。
【0025】
ここでも有利には、長手方向の制御の場合に、計算時間及び計算コストを削減することができる。これによって間隔測定時のノイズ、例えば間隔測定センサの脆弱性に基づくノイズによって不快な長手方向の制御が引き起こされることがなくなる。
【0026】
1つの実施形態によれば、前記運転者支援システムを、渋滞走行支援システムとして構成することができる。
【0027】
本発明における渋滞走行支援システムは、渋滞又は交通遅延が存在する場合に運転者の車両操縦を支援するものである。特に渋滞走行支援システムは、高度に自動化することができ、即ち渋滞及び交通遅延中における運転者の介入をなくすことができる。
【0028】
本発明におけるガイドは、特に長手方向のガイド及び/又は横方向のガイドを含む。
【0029】
運転者支援システムに関する特徴及び機能は、方法の各実施形態と同様である、又は、方法に関する特徴及び機能は、運転者支援システムと同様である。
【0030】
本発明は、以下、好ましい実施例に基づいてより詳細に説明される。