(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347850
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】薬物を含有したナノ粒子が結合された二重目的PAT/超音波造影剤およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 49/22 20060101AFI20180618BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20180618BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20180618BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20180618BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20180618BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20180618BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
A61K49/22
A61K45/00
A61K47/42
A61K47/22
A61K9/14
A61K31/337
A61P35/00
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-557079(P2016-557079)
(86)(22)【出願日】2014年10月13日
(65)【公表番号】特表2017-511804(P2017-511804A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】KR2014009549
(87)【国際公開番号】WO2015141917
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2016年9月8日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0032057
(32)【優先日】2014年3月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516270991
【氏名又は名称】アイエムジーティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒュン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ムン ヒュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジン ホ
【審査官】
菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−507399(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/053042(WO,A1)
【文献】
特開2012−149034(JP,A)
【文献】
International Journal of Nanomedicine, 2012, Vol. 7, p.2911-2919
【文献】
Journal of the American Chemical Society, 2012, Vol.134, p.16464-16467
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 49/22
A61K 9/14
A61K 31/337
A61K 45/00
A61K 47/22
A61K 47/42
A61P 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のものを含む癌の診断及び治療を同時に目的とする二重目的(dual−purpose)PAT(Photoacoustic tomography)/超音波(ultrasound)造影剤:
(a)内部にガスおよびポルフィリン(porphyrin)を含むマイクロバブル、および
(b)前記マイクロバブルの表面に結合された抗癌剤を含有する直径10〜500nmのナノ粒子であって、アルブミンを含み、自己会合体(self−aggregates)を形成するナノ粒子。
【請求項2】
前記ナノ粒子は直径が100−300nmであることを特徴とする、請求項1に記載の造影剤。
【請求項3】
前記アルブミンはヒト血清アルブミンまたはその断片であることを特徴とする、請求項1に記載の造影剤。
【請求項4】
前記薬物は、ドセタキセル(Docetaxel)、シスプラチン(cis−platin)、カンプトセシン(camptothecin)、パクリタキセル(paclitaxel)、タモキシフェン(Tamoxifen)、アナステロゾール(Anasterozole)、グリーベック(Gleevec)、5−フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(Floxuridine)、ロイプロリド(Leuprolide)、フルタミド(Flutamide)、ドキソルビシン(Doxorubicin)、ビンクリスチン(Vincristine)、ゲムシタビン(Gemcitabine)、ストレプトゾシン(Streptozocin)、カルボプラチン(Carboplatin)、トポテカン(Topotecan)、ベロテカン(Belotecan)、イリノテカン(Irinotecan)、ビノレルビン(Vinorelbine)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea)、バルルビシン(Valrubicin)、レチノイン酸(retinoic acid)系、メトトレキサート(Methotrexate)、メクロレタミン(Mechlorethamine)、クロラムブシル(Chlorambucil)、ブスルファン(Busulfan)、ドキシフルリジン(Doxifluridine)、ビンブラスチン(Vinblastin)、マイトマイシン(Mitomycin)、プレドニゾン(Prednisone)、ミトキサントロン(Mitoxantron)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メクロレタミン(mechlorethamine)、デキサメタゾン(dexamethasone)、プレドニゾロン(prednisolone)、およびコルチコステロイド(corticosteroid)を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の造影剤。
【請求項5】
前記マイクロバブルはポルフィリンを含み、ガス充填されたマイクロスフェア(microspheres)、ガス充填されたリポソームまたはガスフォーミングエマルション(gas−forming emulsions)であることを特徴とする、請求項1に記載の造影剤。
【請求項6】
前記ナノ粒子は、チオール基(thiol)、アミン基(amine)ビオチン(biotin)−アビジン(avidin)によってマイクロバブルに結合されることを特徴とする、請求項1に記載の造影剤。
【請求項7】
前記マイクロバブルと前記ナノ粒子の結合はナノ粒子と前記マイクロバブル表面におけるアミド結合(amide bond)であることを特徴とする、請求項1に記載の造影剤。
【請求項8】
前記マイクロバブルの直径は0.1−10μmであることを特徴とする、請求項1に記載の造影剤。
【請求項9】
次のステップを含む癌の診断及び治療を同時に目的とする二重目的(dual−purpose)PAT(Photoacoustic tomography)/超音波(ultrasound)造影剤の製造方法:
(a)ポルフィリンを含むマイクロバブルと、抗癌剤を含有する直径10〜500nmのナノ粒子であって、アルブミンを含み、自己会合体(self−aggregates)を形成するナノ粒子とを各々製造するステップ、および
(b)前記ナノ粒子と前記マイクロバブルを所定の比率で水に混合して反応させるステップ。
【請求項10】
前記マイクロバブルを製造するステップは、乳化剤、ポルフィリン−脂質、脂質、NHSを備える脂質を有機溶媒と混合して脂質薄膜を形成するステップ、および
前記脂質薄膜を水に入れて水和させ、それにガスを注入および高圧に維持しつつ超音波処理するステップ
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の造影剤の製造方法。
【請求項11】
前記脂質薄膜を形成するステップは、乳化剤:ポルフィリン−脂質:脂質:NHSを備える脂質のモル比を5−10:15−30:60−75:15−30の範囲で添加することを特徴とする、請求項10に記載の造影剤の製造方法。
【請求項12】
前記薬物を含有するナノ粒子を製造するステップは、
アルブミンを水に溶かした後、それに薬物を注入して混合物を製造するステップ、および
前記混合物のpHを7−9に調節した後にアルコール類を滴下するステップ
を含み、
前記ステップによって前記アルブミンが自己会合体(self−aggregates)を形成することを特徴とする、請求項9に記載の造影剤の製造方法。
【請求項13】
前記反応ステップは、前記マイクロバブル表面に存在するNHSが水に加水分解され、マイクロバブル表面に残存するカルボキシル基と前記ナノ粒子に存在するアミン基がアミド結合するステップであることを特徴とする、請求項9に記載の造影剤の製造方法。
【請求項14】
前記ナノ粒子と前記マイクロバブルの混合比率は1:0.5−2の結合官能基のモル比であることを特徴とする、請求項9に記載の造影剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物を含有したナノ粒子が結合された二重目的(dual−purpose)PAT(Photoacoustic tomography)/超音波(ultrasound)造影剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的なターゲットの正確なイメージングは、生物学的な現象を理解したり様々な疾患の誤りのない診断を行ったりするための重要な手段となっているため、現在の単一イメージング方式(single imaging modality)は好適ではない。よって、多方式イメージングが重要な手段として浮び上がっており、臨床においても標準方法となっている。二重および三重方式を組み合わせることによって、単一イメージング方式の多くの短所が克服できる。例えば、癌の早期診断のために、高敏感度の機能的イメージングをするPET(positron emission tomography)と明確な解剖情報を提供できるCT(computed tomography)を同時に使う技法が提案された。互いに異なる方式のイメージング技術を組み合わせることができ、例えば、MR(magnetic resonance)/光学、およびPAT/超音波(ultrasound)の組み合わせが可能である。
【0003】
超音波映像装置は、リアルタイムで診断が可能であるために迅速な結果を導き出すことができる最も優れた長所を有しており、MRI、CTとは異なり、構造が簡単で、且つ、安価である。超音波造影剤を投与した後に超音波を加えれば、超音波が造影剤内の微小気泡によって反射され、内部臓器の映像をより鮮明に見せる。このような超音波造影剤は、1968年、GramiakとShahが血管内に微小気泡(microbubble)を注入した後に超音波信号が増強するのを発見したことに基づいて発展した。今まで知られた造影剤としては、米国特許第4,276,885号のゼラチン外皮で囲んだ小型気泡、米国特許第4,265,251号の多糖類の固体の周辺部の壁を有する小型気体、ヨーロッパ特許公報第52575号の固体結晶相化合物の微粒子(例えば、ガラクトース)を用いた小型気泡、ヨーロッパ特許公開第0122624号の脂肪酸を用いた小型気泡、および大韓民国特許第1989−2989号の脂肪酸および界面活性剤を用いて製造した小型気泡などがある。
【0004】
光音響映像技術(Photoacoustic tomography、PAT)は超音波イメージングの高い分解能と光イメージングの高い対照比を結合する方式であって、生体組織のイメージングに好適な映像化技術である。この技術は、拡張性が非常に良いため、胸中の数センチメートルにある腫瘍を映像化するのに用いられることもできる。すなわち、レーザを生体組織に照射すれば、レーザの短い電磁気パルスが、生体組織に吸収されることによって組織内で初期超音波の発生源として作用する組織部位で音響圧力が発生し、このように形成された超音波は、生体組織の表面に到達し、それを映像化するのがPAT映像である。光音響映像技術は、レーザ光で細胞に刺激を与えて細胞が超音波を放出するようにし、該超音波を検出して3D映像を作る原理でもある。光学映像法と超音波映像法を結合した光音響映像技術は、非侵襲性、安価、携帯性、優れた明暗対照比および優れた空間分解能を全て備えているため、次世代の高分解能医療映像技術として多くの関心を集めている。現在、この技術は根本的に光を照らして照射する方式であるため、身体の映像化深さに制限があるという点で、今後のさらに多くの発展の可能性がある。しかし、現在の映像化深さによっても他の技術を補完することができるため、多くの活用が期待される。すなわち、上述した光音響映像技術は、PET、CT、MRまたは超音波などと結合して診断の結果をより正確に導き出すことができるという長所がある。特に超音波診断の場合、光音響映像技術と同様に超音波を用いてイメージを実現するという点で、上述した光音響映像技術と超音波診断を共に利用する場合より正確な診断を可能にすると予想される。上述した光音響映像技術および超音波診断に同時に使用できる造影剤の開発は必須であるといえ、ここで、同一の造影剤の使用によって診断イメージの品質が落ちてはいけない。
【0005】
一方、医療技術および治療技術の発達に伴い、現在の診断と治療を同時に行うためのセラグノシス(theragnosis)技術の開発が活発に研究されている。このような側面でPAT、CT、MRまたは超音波造影剤を担体で薬物を伝達することによって診断と治療を同時に行うことができる造影剤の開発が試みられている。しかし、一般的にPAT、CT、MRまたは超音波診断のために用いられる造影剤の構造は、薬物を入れる空間が非常に狭くて十分な薬物を積載するのが難しく、治療の効果を飛躍的に上昇させ難いという問題がある
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、超音波診断および光音響映像診断に同時に使用することができ、且つ、ナノメディシンとの結合により診断と治療を同時に行うことができる診断および治療用の造影剤を開発するために研究を進めた。その結果、超音波診断に通常使用するリポソーム形態のマイクロバブルにポルフィリンを含み、前記マイクロバブルに薬物を含有するナノ粒子を結合する場合に超音波診断および光音響映像診断に同時に使用できるとともに、光音響映像の正確度を顕著に増加できるという事実を発見して本発明を完成するに至った。
【0007】
よって、本発明の目的は、超音波診断および光音響映像診断に同時に使用できる造影剤を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、前記造影剤の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的および利点は、下記の発明の詳細な説明、請求範囲および図面によってさらに明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、超音波診断および光音響映像診断用の造影剤を提供する。
【0011】
本発明者らは、超音波診断および光音響映像診断に同時に使用することができ、且つ、ナノメディシンとの結合により診断と治療を同時に行うことができる診断および治療用の造影剤を開発するために研究を進めた。その結果、超音波診断に通常使用するリポソーム形態のマイクロバブルにポルフィリンを含み、前記マイクロバブルに薬物を含有するナノ粒子を結合する場合に超音波診断および光音響映像診断に同時に使用できるとともに、光音響映像の正確度を顕著に増加できるという事実を確認した。
【0012】
本発明の一様態によれば、本発明は、次のものを含む二重目的(dual−purpose)PAT(Photoacoustic tomography)/超音波(ultrasound)造影剤を提供する:(a)内部にガスおよびポルフィリン(porphyrin)を含むマイクロバブル、および(b)前記マイクロバブルの表面に結合された薬物を含有するナノ粒子。
【0013】
本明細書で用いられる用語「二重目的(dual−purpose)」は、本発明の物質である造影剤が診断および治療に同時に使用できることは勿論、超音波診断および光音響映像診断に同時に使用できることを意味する。
【0014】
本明細書で用いられる用語「ポルフィリン」は、血色素のヘモグロビン、葉緑素のクロロフィルおよびその関連物質の母核となる物質であって、下記化学式1の化合物またはそれと同一/類似する機能を行う物質を意味する。
【化1】
【0015】
本明細書で用いられる用語「癌」とは形質転換された細胞の抑制されない増殖と無秩序な成長結果として引き起こされる複合的な疾患をいい、本発明では固形癌を意味する。固形癌とは、血液癌を除いた、全ての塊からなる癌を意味する。固形癌の種類としては、肝臓癌(Hepatoma)、脳腫瘍(Brain Tumor)、低悪性度星状細胞腫(Low−grade astrocytoma)、高悪性度星状細胞腫(High−grade astrocytoma)、下垂体腺腫(Pituitary adenoma)、髄膜腫(Meningioma)、中枢神経系リンパ腫(CNS lymphoma)、乏突起膠腫(Oligodendroglioma)、頭蓋咽頭腫(Craniopharyngioma)、上衣細胞腫(Ependymoma)、脳幹部腫瘍(Brain stem tumor)、頭頸部腫瘍(Head & Neck Tumor)、喉頭癌(Larygeal cancer)、口腔咽頭癌(Oropgaryngeal cancer)、鼻腔/副鼻腔癌(Nasal cavity/PNS tumor)、鼻咽頭腫瘍(Nasopharyngeal tumor)、唾液腺腫瘍(Salivary gland tumor)、下咽頭癌(Hypopharyngeal cancer)、甲状腺癌(thyroid cancer)、口腔腫瘍(Oral cavity tumor)、胸部腫瘍(Chest Tumor)、小細胞肺癌(Small cell lung cancer)、非小細胞肺癌(NSCLC)、胸腺腫(Thymoma)、縦隔腫瘍(Mediastinal tumor)、食道癌(Esophageal cancer)、乳癌(Breast cancer)、男性乳癌(Male breast cancer)、腹部腫瘍(Abdomen−pelvis Tumor)、胃癌(Stomach cancer)、胆嚢癌(Gall bladder cancer)、胆道癌(Billiary tract tumor)、膵臓癌(pancreatic cancer)、小腸癌(Small intestinal tumor)、大腸癌(Large intestinal tumor)、肛門癌(Anal cancer)、膀胱癌(Bladder cancer)、腎癌(Renal cell carcinoma)、前立腺癌(Prostatic cancer)、子宮頸癌(Cervix cancer)、子宮内膜癌(Endometrial cancer)、卵巣癌(Ovarian cancer)、子宮肉腫(Uterine sarcoma)、および皮膚癌(Skin Cancer)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明の好ましい様態によれば、本発明の前記薬物は、有機系難溶性薬物であってもよい。
【0017】
前記「有機系」とは分子内炭素を含む物質に対して意味するものとして理解することができ、前記「難溶性」とは薬理学的な活性製剤が水性溶液(例えば、水、生理食塩水、注射可能なデキストロース溶液など)中に溶解されないことを意味する。
【0018】
前記「難溶性」の意味を溶解度を基準により詳細に説明すれば次の通りである。USP/NFにおいては、一般的に、1グラムの薬物を特定の温度で(例えば、1gのアスピリンを300mlのH
2O、5mlのエタノール中に25℃で)溶解させるのに必要な溶媒の容積として溶解度を表現する。他の参考文献においては、文献[参照:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.,Easton、PA、latest edition]に提示された、下記表1に与えられたもののような、より主観的な用語を用いて溶解度を記述することができる。
【0019】
【表1】
【0020】
よって、本発明の用語「難溶性」は、水を溶媒として用いる場合、前記表1の下位の4個の溶解度の範疇、すなわち、「不充分な可溶性」、「低い可溶性」、「非常に低い可溶性」および「事実上に不溶性または不溶性」に属する薬理学的な活性製剤を含むことができる。
【0021】
前記難溶性物質には薬剤学的な活性製剤、診断製剤、栄養製剤などが含まれることができ、薬理学的な活性製剤として難溶性物質は「Therapeutic Category and Biological Activity Index」 of The Merck Index(12th Ed’n、1996)に列挙された化合物が含まれることができる。
【0022】
本発明の好ましい様態によれば、本発明の前記薬物は、有機系難溶性薬物のうちの抗癌剤であってもよく、例えば、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール、アクロニシン、アドゼレシン、アラノシン、アルデスロイキン、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アモナフィド、アムプリゲン、アムサクリン、アンドロゲン、アングイジン、アフィジコリングリシナート、アサレイ、アスパラギナーゼ、5−アザシチジン、アザチオプリン、カルメットゲラン桿菌(BCG)、ベイカーズアンチフォル、ベータ−2−デオキシチオグアノシン、ビサントレンHCL、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、BWA 773U82、BW 502U83/HCl、BW 7U85メシレート、セラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、クロロキノキサリン−スルフォナミド、クロロゾトシン、クロモマイシンA3、シスプラチン、クラドリビン、コルチコステロイド、コリネバクテリウムパヴム、CPT−11、クリスナトール、シクロシチジン、シクロフォスファミド、シタラビン、シテムベナ、ダビスマレアート、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、デアザウリジン、デクスラゾキサン、ジアンヒドロガラクチトール、ジアジコン、ジブロモダルシトール、ジデムニンB、ジエチルジチオカルバメート、ジグリコアルデヒド、ジヒドロ−5−アザシチジン、ドキソルビシン、エキノマイシン、エダトレキセート、エデルホシン、エフロミチン、エリオット溶液、エルサミトルシン、エピルビシン、エソルビシン、リン酸エストラムスチン、エストロゲン、エタニダゾール、エチオホス、エトポシド、ファドラゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、酢酸フラボン、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、5−フルオロウラシル、Fluosol(登録商標)、フルタミド、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、酢酸ゴセレリン、ヘプスルファム、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ホモハリントニン、硫酸ヒドラジン、4−ヒドロキシアンドロステンジオン、ヒドロジウレア、イダルビシンHCl、イフォスファミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン−1アルファおよびベータ、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、4−イポメアノール、イプロプラチン、イソトレチノイン、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レバミソール、リポソーマルダウノルビシン、リポソーム封入ドキソルビシン、ロマスチン、ロニダミン、マイタンシン、塩酸メクロレタミン、メルファラン、メノガリル、メルバロン、6−メルカプトプリン、メスナ、カルメットゲラン桿菌メタノール抽出残渣、メソトレキセート、N−メチルホルムアミド、ミフェプリストン、ミトグアゾン、マイトマイシン−C、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、単球/マクロファージコロニー刺激因子、ナビロン、ナフォキシジン、ネオカルジノスタチン、酢酸オクトレオチド、オルマプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パラ、ペントスタチン、ピペラジンジオン、ピポブロマン、ピラルビシン、ピリトレキシム、塩酸ピロキサントロン、PIXY−321、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロゲスチン、ピラゾフリン、ラゾキサン、サルグラモスチム、セムスチン、スピロゲルマニウム、スピロムスチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、スラミンナトリウム、タモキシフェン、タキソテール、テガフール、テニポシド、テレフタルアミジン、テロキシロン、チオグアニン、チオテパ、チミジン注射剤、チアゾフリン、トポテカン、トレミフェン、トレチノイン、塩酸トリフルオペラジン、トリフルリジン、トリメトレキセート、腫瘍壊死因子、ウラシルマスタード、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンゾリジン、Yoshi 864、ゾルビシン、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0023】
本発明の好ましい様態によれば、本発明の前記ナノ粒子はアルブミンを含み、自己会合体(self−aggregates)を形成することができる。
【0024】
前記ナノ粒子としては凝集性のあるタンパク質を用いることができ、好ましくは、血液内で長期間循環しつつも凝集構造が維持されて薬物を安定的に伝達することができ、癌標的性のある公知されたアルブミンを用いることができる。
【0025】
本明細書で用いられる用語「自己会合体(self−aggregates)」は、外部の力によって会合されず、物質が含んでいる固有の分子間の引力または斥力によって会合体を形成する物質を意味する。
【0026】
本発明の好ましい態様によれば、本発明において、ナノ粒子のサイズは重要である。なぜなら、癌組織によって形成された粗い血管組織を通して数十〜数百ナノメートル大きさのナノ粒子が癌組織の周囲に蓄積し、また、癌組織周辺の自らの役割をすることのできないリンパ管により浸透したナノ伝達体は排出されず、長期間癌組織に滞留することができ、このような現象はEPR(enhanced permeability and retention)効果といわれ、一般的に直径200nm未満の粒子が最も良い効率を示すためである。
【0027】
よって、本発明のナノ粒子のサイズは、好ましくは10−500nmであってもよく、より好ましくは50−400nmであってもよく、最も好ましくは100−300nmであってもよい。
【0028】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の前記ナノ粒子はリンカーまたはマイクロバブル表面の活性化した官能基によって前記マイクロバブルに結合されることができる。前記官能基としてはチオール基(thiol)、アミン基(amine)であり、リンカーとしては前記官能基を含む化合物であってもよい。
【0029】
より具体的には、前記マイクロバブルと前記ナノ粒子はこれらの間にアミド結合(amide bond)することができる。前記結合は、マイクロバブル中のカルボキシル基と前記アルブミンに複数含まれたアミン基との間で発生するアミド結合として形成されることができる。
【0030】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の前記マイクロバブルは、好ましくは、ガス充填されたマイクロスフェア(microspheres)、ガス充填されたリポソームまたはガスフォーミングエマルション(gas−forming emulsions)であってもよく、最も好ましくは、ガス充填されたリポソームであってもよい。
【0031】
前記リポソームは、リン脂質を含む両親媒性化合物によって形成される。このような両親媒性化合物は、典型的な水性媒質と本質的な水不溶性の有機溶媒との間の界面に配列され、乳化された溶媒の微小滴を安定化する。前記両親媒性化合物は、水性媒質と反応できる親水性極の頭部(例えば、極性またはイオン性基)、および、例えば有機溶媒と反応できる疏水性の有機の尾部(例えば、炭化水素鎖)を有した分子を備えた化合物を含む。両親媒性化合物は、非混和性である2種類の液体(例えば、水とオイル)の混合物、液体と気体の混合物(例えば、水中に気体マイクロバブル)または液体と不溶性粒子の混合物(例えば、水中に金属ナノ粒子)のように、他の方法では通常混合できない物質の混合物を安定化させる化合物である。特に、本発明においては、リン脂質薄膜に非活性気体と水を注入した後に超音波処理して内部に非活性気体が充填されたリポソームを形成する。
【0032】
両親媒性リン脂質化合物は、少なくとも1つのリン酸塩グループを含有し、少なくとも1つの、好ましくは、2つの親油性の長鎖の炭化水素基を含有する。
【0033】
前記両親媒性リン脂質としては公知された化合物を用いることができ、その例としては、ジフィタノイルホスファチジルコリン(Diphytanoylphosphatidylcholine)、DPPC(1,2−dipalmitoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、DHPC(1,2−diheptanoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、DHPE(1,2−dihexanoyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine)、DMPC(1,2−dimyristoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、DIODPC(1,2−DiODodecyl−sn−Glycero−3−Phosphocholine)、DMPS(dimyristoyl phophatidylserine)、DLPC(dimyristoyl phosphatidylglycerol、dilauryl phosphatidycholine)、DMPE(1,2−dimyristoyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine)、DMPG(1,2−dimyristoyl−sn−glycero−3−[phospho−rac−(1−glycerol)])、LysoPC(1−myristoyl−2−hydroxy−sn−glycero−3−phosphocholine)、Lyso PE(1−oleoyl−2−hydroxy−sn−glycero−3−phosphoethanolamine)、DDPC(1,2−didecanoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、DEPA−NA(1,2−dierucoyl−sn−glycero−3−phosphate(sodium salt))、DEPC(1,2−erucoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、DEPE(1,2−dierucoyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine)、DLOPC(1,2−linoleoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、DLPA−NA(1,2−dilauroyl−sn−glycero−3−phosphate(sodium salt))、DLPE(1,2−dilauroyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine)、DLPS−NA(1,2−dilauroyl−sn−glycero−3−phosphoserine(sodium salt))、DMPA−NA(1,2−dimyristoyl−sn−glycero−3−phosphate(sodium salt))、DMPS−NA(1,2−dimyristoyl−sn−glycero−3−phosphoserine(sodium salt))、DOPA−NA(1,2−dioleoyl−sn−glycero−3−phosphate(sodium salt))、DOPC(1,2−oleoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、DOPE(1,2−dioleoyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine)、DOPS−NA(1,2−dioleoyl−sn−glycero−3−phosphoserine(sodium salt))、DPPA−NA(1,2−dipalmitoyl−sn−glycero−3−phosphate(sodium salt))、DPPE(1,2−dipalmitoyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine)、DPPS−NA(1,2−dipalmitoyl−sn−glycero−3−phosphoserine(sodium salt))、DSPA−NA(1,2−distearoyl−sn−glycero−3−phosphate(sodium salt))、DSPC(1,2−distearoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、DSPE(1,2−diostearpyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine)、MSPC(1−myristoyl、2−stearoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、PMPC(1−palmitoyl、2−myristoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、POPC(1−palmitoyl、2−oleoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、POPE(1−palmitoyl−2−oleoyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine)、PSPC(1−palmitoyl、2−stearoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、SMPC(1−stearoyl、2−myristoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)、SOPC(1−stearoyl,2−palmitoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)およびSPPC(1−stearoyl、2−palmitoyl−sn−glycero−3−phosphocholine)を含むことができる。
【0034】
また、前記両親媒性リン脂質化合物は、変形されたリン脂質化合物を用いることができる。変形されたリン脂質の例としては、特にポリエチレングリコール(PEG)が添加された変形されたリン脂質の例としては、ポリエチレングリコール(PEG)と共に変形されたホスファチジルエタノールアミン(DMPE−PEG)またはホスホエタノールアミン(DSPE−PEG)などが挙げられる。
【0035】
本発明の好ましい態様によれば、本発明に用いられる両親媒性リン脂質化合物は、アミド結合を形成するためのNHS(N−hydroxy succinimide)を含むことができる。
【0036】
本発明においては前記両親媒性化合物の他に付加的な両親媒性物質をさらに含むことができ、その例としては、リソリピッド、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ステアレート、ポリオキシエチレン脂肪アルコールなどが挙げられる。
【0037】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の前記リポソームの内部に充填されるガスは公知の気体を制限されることなく用いることができ、その例としては、二酸化炭素、ヘリウム、窒素、アルゴン、六フッ化硫黄、ペルフルオロ化気体を用いることができる。前記気体はフッ素ガスが含まれたフッ化物が好ましく、その例としては、ペルフルオロプロパン(C3F8)、六フッ化硫黄(SF6)、ペルフルオロペンタン(perfluoropentane)、デカフルオロブタン(decafluorobutane)およびペルフルオロヘキサン(perfluorohexane)が挙げられる。
【0038】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の前記マイクロバブルは直径が好ましくは0.1−20μmであってもよく、最も好ましくは1−10μmであってもよい。
【0039】
本発明の造影剤は、非経口で投与することができ、非経口投与の場合には静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔内投与、経皮投与などによって投与することができる。
【0040】
本発明の造影剤の好適な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病状、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度および反応感応性のような要因によって多様に処方できる。一方、本発明の造影剤の投与量は、好ましくは0.001−100mg/kg(体重)であってもよい。
【0041】
本発明のまた他の態様によれば、本発明は、次のステップを含む二重目的(dual−purpose)PAT(Photoacoustic tomography)/超音波(ultrasound)造影剤の製造方法を提供する:(a)ポルフィリンを含むマイクロバブルと薬物を含有するナノ粒子を各々製造するステップ、および(b)前記ナノ粒子と前記マイクロバブルを所定比率で水に混合して反応させるステップ。
【0042】
前記マイクロバブルを製造する方法は、乳化剤、ポルフィリン−脂質、脂質、NHSを備える脂質を有機溶媒と混合して脂質薄膜を形成するステップ、前記脂質薄膜を水に入れて水和させ、それにガスを注入および高圧に維持しつつ超音波処理するステップを含むことができる。
【0043】
前記脂質薄膜を形成するステップは、乳化剤:ポルフィリン−脂質:脂質:NHSを備える脂質のモル比を5−10:15−30:60−75:15−30の範囲で混合することができる。
【0044】
前記脂質薄膜を水に入れて水和させ、ガスを充電する方法は公知の方法を使用することができ、例えば、脂質薄膜が入っている容器に水、グリコール、グリセリン混合液を入れて55−60℃の温度を維持しつつ溶かし、それにガスを200kPaで入れて超音波処理することができ、または超音波とmechanical agitation方法を併用して使用することができる。
【0045】
薬物を含有するナノ粒子を製造するステップは、アルブミンを水に溶かした後、それに薬物を注入して混合物を製造するステップ、および前記混合物のpHを7−10、好ましくはpH8.0−8.5に調節した後にアルコール類を滴下するステップを含み、前記ステップによって前記アルブミンが自己会合体(self−aggregates)を形成することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明の特徴および利点を要約すれば次の通りである。
【0047】
本発明は、次のものを含む二重目的(dual−purpose)PAT(Photoacoustic tomography)/超音波(ultrasound)造影剤を提供する:(a)内部にガスおよびポルフィリン(porphyrin)を含むマイクロバブル、および(b)前記マイクロバブルの表面に結合された薬物を含有するナノ粒子。
【0048】
本発明の造影剤は、超音波診断および光音響映像診断に同時に使用できるとともに、光音響映像の正確度を顕著に増加できるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】抗癌剤(パクリタキセル:PTX)を含有するhuman serum albuminナノ粒子(PTX−NPs)がporphyrin microbubbles(porphyrin−MBs)に結合されたことを意味するデータを示す。
【
図2】porphyrin−MBs−NPsの結合有無をUV−vis spectroscopyで分析した結果を示す。
【
図3】本発明で開発されたporphyrin−MBs−NPsとporphyrin MBsのultrasoundおよびphotoacoustic映像を検証した結果を示す。
【
図4】下図はphotoacousticの信号がporphysomeと比較してporphyrin MBs−NPsにおいて信号が増幅されたというデータを示す。
【
図5】本実験は、acoustic信号を検出する時に用いられるトランスデューサの周波数帯域に応じて信号が検出される強さを分析した実験結果を示す。
【
図6】製作されたagentをMDA−MB−231細胞における浸透効果を分析したデータを示す。
【
図7】細胞における坑癌効果を時間に応じて分析したデータを示す。
【
図8】疾病動物モデルにおいて癌組織をphotoacoustic映像をしたデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨に従い、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないということは本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって明らかである。
【実施例】
【0051】
本明細書の全体において、特定物質の濃度を示すために用いられる「%」は、別途の言及がない場合、固体/固体は(重量/重量)%、固体/液体は(重量/体積)%、そして液体/液体は(体積/体積)%である。
【0052】
<製造例>
製造例1:ポルフィリンを含有する脂質の製造
porphyrin microbubbleのsubunitであるporphyrin−lipidsms lysophosphatidylcholineとpyropheophorbideのacylation反応により製造された。先ず、100nmolの1−palmitoyl−2−hydroxyl−sn−glycero−3−phosphocholine、50nmolのpyropheophorbide、50nmolの1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide、25nmolの4−(dimethylamino)pyridine、50μLのN,N−diisopropylethylamineを10mLのanhydrous dichloromethaneに溶かした後、常温で遮光した状態で、アルゴン環境で48時間反応させた。その後、全てのsolventを蒸発させ、残った残余物をthin layer chromatography(20×20cm pre−coated silica gel plate with fluorescent indicator、1.5mm thickness)で精製し、この時、thin layer chromatographyのretardation factor(Rf)が0.4を主要バンドにして抽出することによって精製した。精製方法は、diol modified silicaを用いてクロマトグラフィをした後、2%と5%のメタノールが含まれたジクロロメタンで不純物を除去し、8%のメタノールが含まれたジクロロメタンで精製した。精製されたpyropheophrobide−lipidは1μmolの濃度で分取し、窒素ガスを流すことによってドライさせ、アルゴン環境で−20℃で保管した。抽出されたporpyrin−lipid純度はhigh performance liquid chromatographyとmass spectrometry(条件:Phenomenex Jupiter C4 column、0.4mL/min flow from 25% to 95% acetonitrile followed by hold 0.1% trifluoroacetic acid、compound eluted at 32min、observed mass:1013.1)で分析した。
【0053】
製造例2:ポルフィリンを含むマイクロバブルの製造
脂質としては1,2−disteraoyl−sn−glycero−3−phosphocholine(DSPC)、DSPE−PEG2000−NHS(1,2−dioleoyl−sn−glycero−3−phosphoethanolamine−n−[poly(ethyleneglycol)]2000−N−hydroxysuccinimide)、ポルフィリンを含有する脂質(porphyrin−lipid)、乳化剤としてはPolyoxyethylene 40 stearate(POE40s)を50:15:15:1のmolar ratioで混合してクロロホルムに溶かした後、ロータリーエバポレータを用いてクロロホルムを完全に蒸発させて脂質薄膜を形成した。その次に、蒸留水、プロピレングリコール、グリセリンを8:1:1で混合した後、それを脂質薄膜に添加した。温度を55−60℃に維持しつつ脂質を溶かした。SF6またはC3F8ガスを混合液が入った容器に入れて200kPaで充填した後、sonicationおよびmechanical agitationによってマイクロバブル(porphyrin−MBs)を製作した。
【0054】
製造例3:ナノ粒子の製造(HSA−NPs)
Human Serum Albumin(HSA)−40mgを1mLの蒸留水に溶かした後、パクリタキセル(5mg/mL)−100−200μLをHSAが溶けられたバイアルに混合した。KOHまたはNaOHを用いて混合液のpHを8.0−8.5に滴定した後、エタノール3−6mLを1mL/minの速度で前記混合液に滴定した。HSAが凝集して混合液が混濁する時、架橋剤の8%−グルタルアルデヒドを入れて反応させた。その次に、エタノールを完全に蒸発させた後、残った溶液を12000rpm、4℃、10minの条件で遠心分離させた。沈んだpelletを除いた残りのaliquotを除去し、また、粒子化されていないHSAおよびパクリタキセルを除去した後に蒸留水で洗浄した。3000rpm、4℃、5minの条件で遠心分離してマイクロレベルの大きさの粒子を除去して、100−200nm大きさのパクリタキセルが積載されたHSAナノ粒子(HSA−NPs)を抽出した。
【0055】
製造例4:マイクロバブルとナノ粒子の結合
HSAナノ粒子とポルフィリンを含むマイクロバブルを1:0.5−2の結合官能基のモル比で常温で2時間混合してアミド結合でナノ粒子をマイクロバブルに結合した。結合されていないHSAナノ粒子は遠心分離で除去し、実施例1の造影剤(porphyrin−MBs−NPs)を完成した。参考に、マイクロバブルの製作過程中に失われたNHSを補充させるために、事前にEDCとNHSを十分に追加して反応させ、遠心分離機で残余EDC、NHSを洗浄すれば、さらに結合効率を高めることができる。
【0056】
比較例1
前記製造例の方法により製造したポルフィリンを含むマイクロバブル(porphyrin−MBs)を比較例1として用いた(ナノ粒子がマイクロバブルに結合されていない)。
【0057】
<実験例>
<実験方法>
実験方法1:超音波の撮影
超音波映像は、製作された0.5mg/mLのporphyrin MBs、porphyrin MBs−NPsを1/50倍希釈させ、アガロースゲルで製作したphantomに入れた後、2−5MHzのトランスデューサを用いて商用化された超音波診断機器で映像を得た。この時に用いられた診断モードはharmonic modeであって、超音波造影剤からの成分を検出し、放出された超音波の強さは0.1メカニカルインデックスのモードである。
【0058】
実験方法2:Photoacoustic映像の撮影
Photoacoustic映像は、超音波映像実験と同一の濃度のporphyrin MBs、porphyrin MBs−NPsをチューブに入れ、700nmの波長のレーザを照射することによってデータを取得した後、matlabプログラムを用いて映像を復元した。
【0059】
実験方法3:細胞における坑癌効果の分析方法
96well plateに細胞を約20000個seedingした後、パクリタキセルを基準に同一量の400nMを添加した後、超音波を造影したグループとそうでないグループに分け、各々、何の処理もしていないcontrol、PTX−NPsが結合していないfree−MBs、400nMのPTXが含まれたナノ粒子(PTX−NPs)、400nMのPTXが含まれたPTX−NPsが結合されているナノ粒子を用いて、各々に対して時間に応じた細胞死滅効果を検証した。細胞死滅程度はMTT assayを用いて定量的に分析した。
【0060】
実験方法4:癌細胞における浸透効果の分析方法
MDA−MB−231細胞をxenograftしたBalb/C nude mouseを用いて前記photoacoustic映像実験と同一の条件で行った。先ず、injectionする前のtumorを映像にし、それにporphyrin MBsをtail vein injectionによって0.5mg/mLのporphyrin MBsを200μL注入した後に映像を取得した。
【0061】
実験例1:マイクロバブルとナノ粒子の結合状態の確認
図1は、抗癌剤(パクリタキセル:PTX)を含有しているhuman serum albuminナノ粒子(PTX−NPs)がporphyrin microbubbles(porphyrin−MBs)に結合されたことを意味するデータである。
図1を参照すれば、porphyrin−MBs−NPsにPTX−NPsが結合される以前と以後の大きさ変化を示すデータであり、1.1±1.2μmの大きさ分布を示すporphyrin−MBsに190.1±52.6nmの大きさを示すPTX−NPsが結合された結果、1.6±2.5μmの大きさ分布を示し、ピークが移動することを見ることができる。
図2は、porphyrin−MBs−NPsの結合有無をUV−vis spectroscopyで分析した結果であり、左側のデータは、porphyrin−MBsとporphyrin−MBs−NPsを測定したものである。Porphyrin−MBsの場合は、700nmの波長を示すporphyrinのピークだけが検出されたが、PTX−NPsが結合された場合は、227nmの波長のPTX−NPsが共に検出され、治療のための抗癌剤が含まれたナノ粒子(PTX−NPs)が結合されていることが分かる。
図2の右側のデータは、抗癌剤(パクリタキセル)のナノ粒子の内部に積載有無を検証したデータであり、pureなパクリタキセルのuv absorption peak(227nm)がPTX−NPsから検出され、ナノ粒子への積載が効果的に行われたことが分かる。
【0062】
実験例2:超音波およびPAT映像の検証
図3は、本発明で開発されたporphyrin−MBs−NPsとporphyrin MBsのultrasoundおよびphotoacoustic映像を検証した結果であり、PTX−NPsが結合によって映像の効果が減少しないことを発見した。
図3の左側のultrasound映像は、アガロースで製作されたphantomに1/50倍(concentration of porphysrin MBs−NPs and porphysome:10μg/mL)に希釈されたそれぞれのagentを2−5MHzのトランスデューサを用いて、映像を商用化された超音波診断機器を用いてultrasound映像を検出し、この時に用いられた診断モードはharmonic modeであり、porphyrin MBs−NPsから出るharmonic成分を検出した結果である。
図3の右側のphotoacoustic映像は、tubeに1/50倍(concentration of porphysrin MBs−NPs and porphysome:10μg/mL)に希釈されたそれぞれのagentを注入した後、700nmのレーザを用いて映像を検出した。ultrasoundとphotoacoustic映像に、対照群としてphosphate buffer saline(PBS)を用いて、agentなしでは映像が検出されないことを確認した。
【0063】
実験例3:photoacoustic信号の増幅状態の確認
図4は、photoacousticの信号がporphysomeと比較してporphyrin MBs−NPsにおいて信号が増幅されたというデータである。各々、1/10、1/20、1/50、1/100倍(concentration of original solutions:0.5mg/mL)に希釈して映像を検出した時にporphyrin MBsの信号がマイクロバブルの形態になることによって増加したことを示し、1/50倍に希釈した時の映像において明確なintensityの差が現れる。前記実験方法2のPhotoacoustic映像を撮影する時と同様な方法により映像を取得した後、matlabプログラムを用いて映像のintensityを検出した。
【0064】
実験例4:周波数帯域に応じた信号強さの分析
図5は、acoustic信号を検出する時に用いられるトランスデューサの周波数帯域に応じて信号が検出される強さを分析した実験であり、左側のグラフは、porphyrin MBsとporphysomeを比較したデータである。低い周波数においてporphyrin MBsの信号のintensityは、porphysomeの信号と比較した時に5−12Mhzのトランスデューサでは約100倍増加し、2−5MHzのトランスデューサでは約60倍増加した。本実験は、前記実験方法2のphotoacoustic映像実験と同様に1/50倍に希釈されたporphysome、porphyrin MBsおよびfreeMBs(porphyrinが含まれていないmicrobubble)を用いてそれぞれの周波数帯域を有するトランスデューサを用いて信号を検出した。得られた信号をmatlab programを用いてそれぞれの得られたintensityを検証した。
【0065】
実験例5:造影剤の細胞浸透効果の分析
図6は、製作されたagentをMDA−MB−231細胞における浸透効果を分析したデータであり、PTX−NPsにはFITCが結合されたbovine serum albuminを用いて粒子を製造してgreen colorの蛍光を検出し、microbubbleには親油性蛍光物質であるDiI−c18(red)を積載して蛍光を検出した。ここで、ultrasoundを造影したグループと比較してultrasoundを加えることによって、ultrasoundとmicrobubbleの共鳴に応じたcavitation効果により細胞内への浸透効果が増加した。細胞イメージ撮影はconfocal microscopyを用いてイメージ化した。
【0066】
実験例6:坑癌効果の分析
図7は、細胞における坑癌効果を時間に応じて分析したデータであり、何の処理もしていないcontrolを対照群に、free porphyrin MBs、PTX−NPs、porphyrin MBs−NPs(PTX−NPs−MBs)をultrasound(US)を造影したグループと造影していないグループにして進行をした。72時間後、PTXが含まれたグループであるPTX−NPsとPTX−NPs−MBsは60%以上の坑癌効果を示し、特にUSを造影したグループ(US+)はmicrobubbleが含まれたPTX−NPs−MBsグループにおいてmicrobubbleとultrasoundとのcavitation効果によって坑癌効果が増加したことを示した(前記実験方法3参照)。
【0067】
本実験の結果は下記の通りである。
(6h:control;100.00±11.11%、97.15±12.43%(US+)、free−microbubble;109.40±12.28%、94.64±15.11%(US+)、PTX−NPs;98.51±9.69%、93.31±7.16%(US+)、PTX−NPs−MBs;96.90±8.93%、92.32±7.16%(US+)
【0068】
24h control;100±9.99%、97.81±10.08%(US+)、free−microbubble;116.51±19.82%、101.80±3.56(US+)、PTX−NPs;85.04±8.60%、83.80±6.83%(US+)、PTX−NPs−MBs;80.99±2.35%、75.70±1.64%(US+)、
【0069】
72h:control;100.00±16.66%、80.70±2.75%(US+)、free−microbubble;62.89±3.12%、92.10±6.04%(US+)、PTX−NPs;38.27±7.86%、34.57±2.96%(US+)、PTX−NPs−MBs;41.42±12.24%、26.69±0.69%(US+)
【0070】
実験例7:癌細胞における浸透効果の分析
図8は、疾病動物モデルにおいて癌組織をphotoacoustic映像をしたデータを示す。注入する以前と以後のporphyrin MBs−NPsが血管に沿って循環することにより、血管においてphotoacoustic intensityが増加することを確認した。