(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347856
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】圧力センサ、及び、圧力センサを製造する方法
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20180618BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
G01L9/00 309
H01L29/84 F
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-574342(P2016-574342)
(86)(22)【出願日】2015年2月2日
(65)【公表番号】特表2017-510817(P2017-510817A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】EP2015052054
(87)【国際公開番号】WO2015135691
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2016年9月13日
(31)【優先権主張番号】102014204664.5
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ワルテル ダヴェス
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル バデヤ
【審査官】
濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−075982(JP,A)
【文献】
特開平08−162646(JP,A)
【文献】
特開2005−144571(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/163783(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102006007729(DE,A1)
【文献】
特開平04−305131(JP,A)
【文献】
特開平04−087376(JP,A)
【文献】
特開平04−317378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサ(100)を製造する方法(400)であって、
前記圧力センサ(100)のための基板(102)を準備するステップ(402)と、
変化された基板(102)を得るべく、前記圧力センサ(100)のキャビティ(106)のために設けられた前記基板(102)の部分領域において、前記基板(102)を変化させるステップ(404)と、
前記変化された基板(102)の領域において、前記基板(102)の表面上にヘテロ構造体(108)を堆積させるステップ(406)と、
前記ヘテロ構造体(108)と前記基板(102)との間にキャビティ(106)を形成すべく、前記変化された基板(102)を除去するステップ(408)と、
前記圧力センサ(100)のトランジスタ構造体(104)を得るべく、前記ヘテロ構造体(108)を少なくとも1つのソースコンタクト(110)、ドレインコンタクト(112)、及びゲートコンタクト(114)にコンタクトさせるステップ(410)と、
を有し、
前記ヘテロ構造体(108)は、前記キャビティ(106)内の第1圧力と、前記ヘテロ構造体(108)の、前記キャビティとは反対側に加わる第2圧力との間の圧力比に応じた位置をとるように構成されており、
前記トランジスタ構造体(104)は、前記位置の変化に応じた前記ヘテロ構造体(108)の導電性の変化を表す電気信号を供給するように構成されている、
ことを特徴とする方法(400)。
【請求項2】
前記変化された基板(102)上に前記ヘテロ構造体(108)のための支持層を成長させるステップを有する、
請求項1記載の方法(400)。
【請求項3】
前記トランジスタ構造体(104)に電気的に接続される電気回路を前記基板(102)内に設けるステップを有する、
請求項1又は2記載の方法(400)。
【請求項4】
差圧センサ(100)を作り出すために、前記基板(102)を打ち抜くことによって前記キャビティ(106)を開孔するステップを有する、
請求項1から3のいずれか1項記載の方法(400)。
【請求項5】
前記コンタクトさせるステップ(410)において、前記ヘテロ構造体(108)と前記ゲートコンタクト(114)との間に絶縁層(300)を配置する、
請求項1から4のいずれか1項記載の方法(400)。
【請求項6】
前記変化させるステップ(404)において、前記変化された基板(102)は、陽極酸化によって形成される、
請求項1から5のいずれか1項記載の方法(400)。
【請求項7】
前記基板(102)は、前記陽極酸化によって多孔質になる、
請求項6記載の方法(400)。
【請求項8】
前記堆積させるステップ(406)において、前記ヘテロ構造体(108)を形成するために、それぞれ異なる大きさのバンドギャップを有する少なくとも2つの半導体材料の層(202,204)を互いに上下に堆積させる、
請求項1から7のいずれか1項記載の方法(400)。
【請求項9】
前記少なくとも2つの半導体材料の層(202,204)の間に電子ガスが形成可能であり、
前記ソースコンタクト(110)及び前記ドレインコンタクト(112)を、前記電子ガスに電気的に接続されるように形成する、
請求項8記載の方法(400)。
【請求項10】
前記ヘテロ構造体(108)を所定の厚さまで薄くするステップを有する、請求項1から9のいずれか1項記載の方法(400)。
【請求項11】
前記薄くすることを、化学機械研磨を用いて実施する、
請求項10項記載の方法(400)。
【請求項12】
前記除去するステップ(408)において、前記変化された基板(102)を熱処理によって溶解させる、
請求項1から11のいずれか1項記載の方法(400)。
【請求項13】
前記キャビティ(106)を、既知の前記第1圧力が形成されるように閉鎖する、
請求項1から12のいずれか1項記載の方法(400)。
【請求項14】
圧力センサ(100)であって、
基板(102)であって、当該基板(102)内に設けられたキャビティ(106)を有する、基板(102)と、
前記キャビティ(106)を覆うように配置されているトランジスタ構造体(104)と、を備え、
前記トランジスタ構造体(104)は、柔軟なヘテロ構造体(108)と、該ヘテロ構造体(108)に導電的に接続された少なくとも1つのソースコンタクト(110)、ドレインコンタクト(112)、及びゲートコンタクト(114)とを有し、
前記ヘテロ構造体(108)は、前記キャビティ(106)内の第1圧力と、前記ヘテロ構造体(108)の、前記キャビティとは反対側に加わる第2圧力との間の圧力比に応じた位置をとるように構成されており、
前記トランジスタ構造体(104)は、前記位置の変化に応じた前記ヘテロ構造体(108)の導電性の変化を表す電気信号を供給するように構成されている、
ことを特徴とする圧力センサ(100)。
【請求項15】
前記ヘテロ構造体(108)は、それぞれ異なる大きさのバンドギャップを有する少なくとも2つの半導体材料の層(202,204)から構成されており、
前記少なくとも2つの半導体材料(202,204)の間に電子ガスが形成されており、
前記ソースコンタクト(110)及び前記ドレインコンタクト(112)は、前記電子ガスに電気的に接続されている、
請求項14記載の圧力センサ(100)。
【請求項16】
前記キャビティ(106)は閉鎖されており、
前記キャビティ(106)内の前記第1圧力は、既知である、
請求項14又は15記載の圧力センサ(100)。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか1項記載の方法の全てのステップを実行及び/又は実施するように構成された装置。
【請求項18】
請求項1から13のいずれか1項記載の方法の全てのステップを制御及び実行するように構成されたコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラムが保存された、機械読み出し可能なメモリ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、圧力センサ、及び、圧力センサを製造する方法に関する。
【0002】
圧力センサのためには、2つの圧力を互いに分離する感圧膜が必要である。この膜は、膜の両側における圧力差に応じて変位する。膜の変位は、電気信号に変換される。
【0003】
米国特許第6647796号明細書は、窒化半導体マイクロ圧力センサと、マイクロ圧力センサの製造方法とを開示している。
【0004】
本発明の概要
このような背景を基にして、本明細書で提案するアプローチによれば、各独立請求項に記載された、圧力センサを製造する方法、圧力センサ、さらには本方法を使用する装置、最後に、対応するコンピュータプログラム製品が提供される。有利な実施形態は、各従属請求項と以下の説明から明らかとなる。
【0005】
チャンバ又は中空空間を製造するために、凹部内にプレースホルダを配置することができる。プレースホルダは、凹部を閉鎖する際に、閉鎖を行う層を支持するために使用される。凹部が閉鎖されると、プレースホルダを除去して中空空間を形成することができる。特にプレースホルダの材料は、第1状態においては第2状態よりも多くの容積を押しやることができる。プレースホルダを除去するために、材料を第1状態から第2状態へと移行させることができる。体積の消失によってチャンバの容積が形成される。
【0006】
有利には、プレースホルダによって簡単な手段で低コストに凹部を閉鎖することができる。その結果として形成された圧力センサは、高い感度を有することができる。なぜなら、本明細書で提案するアプローチによって、高品質の感圧膜を製造することが可能であるからである。
【0007】
圧力センサを製造する方法であって、前記圧力センサのための基板を準備するステップと、変化された基板を得るべく、前記圧力センサのキャビティのために設けられた前記基板の部分領域において、前記基板を変化させるステップと、前記変化された基板の領域において、前記基板の表面上にヘテロ構造体を堆積させるステップと、前記ヘテロ構造体と前記基板(102)との間にキャビティを形成すべく、前記変化された基板を除去するステップと、前記圧力センサ(100)のトランジスタ構造体(104)を得るべく、前記ヘテロ構造体を少なくともそれぞれ1つのソースコンタクト、ドレインコンタクト、及びゲートコンタクトにコンタクトさせるステップと
を有する方法が提案される。
【0008】
さらには、基板とトランジスタ構造体とを備える圧力センサであって、前記基板は、当該基板内に設けられたキャビティを有し、前記トランジスタ構造体は、前記キャビティを覆うように配置されており、前記トランジスタ構造体は、柔軟なヘテロ構造体と、該ヘテロ構造体に導電的に接続されたそれぞれ少なくとも1つのソースコンタクト、ドレインコンタクト、及びゲートコンタクトとを有し、前記ヘテロ構造体は、前記キャビティ内の第1圧力と、前記ヘテロ構造体の、前記キャビティとは反対側に加わる第2圧力との間の圧力比に応じた位置をとるように構成されており、前記トランジスタ構造体は、前記位置に応じて電気信号を供給するように構成されている、圧力センサが提案される。
【0009】
別の1つの実施形態では、ゲートコンタクトを用いることなくソースコンタクトとドレインコンタクトを用いて専ら抵抗によって2次元電子ガスが読み出される。
【0010】
圧力センサとは、媒体中の圧力を検出するためのセンサであると理解することができる。この場合の圧力は、静圧又は動圧とすることができる。圧力を検出するために、膜の変位が検出される。変位は、膜の曲げ弾性率と、膜に加わる力とに依存している。曲げ弾性率は、膜の厚さと、膜の材料特性値とに依存している。膜に加わる力は、膜の第1側に加わる第1圧力と膜の第2側に加わる第2圧力との間の圧力差と、膜の面積とに依存している。圧力センサが絶対圧力センサである場合には、膜の第1側に加わる圧力は既知の圧力であり、この既知の圧力と、膜の他方の側に加わる圧力とが比較される。既知の圧力と未知の圧力との間の圧力差により、結果的に膜に圧力が加わる。このために圧力センサは、膜に隣接して、既知の圧力が存在するチャンバ又はキャビティを有する。圧力センサが差圧センサである場合には、膜に加わる圧力は両側とも未知であるが、2つの圧力の間の圧力差により、結果的に膜に圧力が加わる。基板は、圧力センサのための出発材料とすることができる。基板は、半導体基板とすることができる。基板は、特にシリコンとすることができる。変化時には、基板の構造を変化させることができる。膜は、少なくとも1つのヘテロ構造体を有することができる。ヘテロ構造体は、それぞれ異なる少なくとも2つの層材料から構成することができる。ソースコンタクト、ドレインコンタクト、及びゲートコンタクトは、ヘテロ構造体に直接的又は間接的にコンタクトしている導電性端子とすることができる。ソースコンタクト、ドレインコンタクト、及びゲートコンタクトは、トランジスタ構造体へのヘテロ構造体を形成する。
【0011】
本方法は、前記変化された基板上に前記ヘテロ構造体のための支持層を成長させるステップを有することができる。支持層は、半導体材料から形成することができる。支持層は、基板と同じ材料から形成することができる。支持層は、基板の構成要素とすることができる。支持層によって、膜の曲げ剛性に影響を与えることができる。比較的厚い膜は、比較的大きい力に耐久することができる。比較的薄い膜は、比較的高い感度を有することができる。支持層は、キャビティの密閉性を改善することができる。
【0012】
本方法は、前記トランジスタ構造体に電気的に接続される電気回路を前記基板内に設けるステップを有することができる。回路は、マイクロ電子回路とすることができる。回路は、半導体技術の製造工程を使用して形成することができる。回路は、トランジスタ構造体に対して短い間隔を置いて配置することができる。短い間隔により、回路は、非常に小さな振幅を有する圧力信号を使用することができる。
【0013】
本方法は、差圧センサを得るために、前記基板を打ち抜くことによって前記キャビティを開孔するステップを有することができる。膜とは反対の側において基板を打ち抜くことができる。この場合には圧力センサを、第1容積と第2容積との間に配置することができ、第1容積内の第1圧力と、第2容積内の第2圧力との間の差圧が検出される。
【0014】
前記コンタクトさせるステップにおいて、前記ヘテロ構造体と前記ゲートコンタクトとの間に絶縁層を配置することができる。絶縁層によって、ゲート電極の電界を使用してヘテロ構造体の導電性に影響を与えることができる。
【0015】
絶縁層によって、ヘテロ構造体とゲート電極との間の電流の流れが中断される。
【0016】
前記変化させるステップにおいて、前記変化された基板は、陽極酸化によって形成され、前記基板は、前記陽極酸化によって特に多孔質になる。陽極酸化では、電気エネルギを使用して基板を変化させることができる。多孔質の基板は、基板よりも小さい密閉性を有することができる。
【0017】
前記堆積させるステップにおいて、前記ヘテロ構造体を形成するために、それぞれ異なる大きさのバンドギャップを有する少なくとも2つの半導体材料を互いに上下に堆積させることができる。バンドギャップの大きさがそれぞれ異なることにより、2つの半導体材料の間に電子ガスを発生させることができる。電子ガス中では、電子は、層の平面の方向に小さい抵抗で移動することができる。層の平面を横断する方向には、電子は、大きい抵抗で移動することができる。電子ガスによって、特に高い感度を有する圧力センサを製造することができる。半導体ヘテロ構造体は、III−V属の元素からなる2つの化合物半導体のシーケンスから形成することができる。ヘテロ構造体は、例えばGaN/AlGaNのシーケンスによって形成することができる。
【0018】
前記ヘテロ構造体を所定の厚さまで薄くするステップを有し、特に前記薄くすることを、化学機械研磨を用いて実施する、本明細書で提案するアプローチのある実施形態も有利である。この場合には、次いで、予めパターニングしておいた基板に、基準条件のもとで、例えば規定された圧力のもとで結合することによって、支持層を備えるキャビティと、絶対圧力センサとを形成することができる。本明細書で提案するアプローチのこのような実施形態は、特に簡単且つ低コストな製造が可能となるという利点を提供する。
【0019】
前記除去するステップにおいて、前記変化された基板を熱処理によって溶解させることができる。熱処理によって、変化した基板を溶融させることができる。変化された基板の材料は、溶融時にできるだけ小さい表面積を有することができる。この場合、変化された基板の体積は、収縮することができる。この収縮によってキャビティを形成することができる。キャビティの内部には、近似的に真空を形成することができる。
【0020】
本明細書で提案するアプローチはさらに、本明細書で提案する方法の態様のステップを、対応するデバイスにおいて実行又は実施するように構成された装置に関する。このような装置の形態の本発明の実施態様によっても、本発明の基礎となる課題を迅速且つ効果的に解決することができる。
【0021】
本明細書における装置とは、センサ信号を処理し、該センサ信号に基づいて制御信号及び/又はデータ信号を出力する電気機器であると理解することができる。本装置は、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって構成可能なインターフェースを有することができる。ハードウェアによって構成する場合には、インターフェースは、例えば本装置の種々の機能を含むいわゆるシステムASICの一部とすることができる。しかしながらこのインターフェースを、専用の集積回路とすること、又は、少なくとも部分的にディスクレート部品から構成することも可能である。ソフトウェアによって構成する場合には、インターフェースは、例えばマイクロコントローラ上に他のソフトウェアモジュールに隣接して設けられたソフトウェアモジュールとすることができる。
【0022】
プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムであって、前記プログラムコードは、半導体メモリ、ハードディスクメモリ、又は光メモリのような、機械読み出し可能な担体若しくは記憶媒体上に保存することができ、当該プログラム製品又はプログラムがコンピュータ上又は装置上で実行された場合に、上述した実施形態の1つに基づいて本方法のステップを実施、実行、及び/又は制御するために使用される、コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムも有利である。
【0023】
本明細書で提案するアプローチを、以下、添付図面に基づいて例示的に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明のある実施例に基づく圧力センサを示す図である。
【
図2】本発明のある実施例に基づく支持層を備える圧力センサを示す図である。
【
図3】本発明のある実施例に基づく絶縁層を備える圧力センサを示す図である。
【
図4】本発明のある実施例に基づく圧力センサを製造する方法のフローチャートである。
【0025】
本発明の有利な実施例に関する以下の説明では、複数の異なる図面に図示された類似の機能を有する要素に対して同じ又は類似の参照符号が使用され、このような要素に関する説明の繰り返しは省略される。
【0026】
図1は、本発明のある実施例に基づく圧力センサ100を図示している。圧力センサ100は、基板102及びトランジスタ構造体104を有する。基板102内にはキャビティ106が設けられている。トランジスタ構造体104は、キャビティ106を覆うように配置されている。トランジスタ構造体104は、キャビティ106を閉鎖している。トランジスタ構造体104は、柔軟なヘテロ構造体108と、少なくとも1つのソースコンタクト110又はソース電極110と、少なくとも1つのドレインコンタクト112又はドレイン電極112と、少なくとも1つのゲートコンタクト114又はゲート電極114とを有する。ヘテロ構造体108は、キャビティ106を流体密に閉鎖する柔軟な膜として構成されている。ソースコンタクト110は、ヘテロ構造体108の第1側に導電的に接続されている。ドレインコンタクト112は、ヘテロ構造体108の第1側とは反対側にある第2側に導電的に接続されている。ゲートコンタクト114は、ヘテロ構造体108の、キャビティとは反対側に配置されている。ヘテロ構造体108は、キャビティ106内の第1圧力と、ヘテロ構造体108の前記反対側に加わる第2圧力との間の圧力比に応じた位置をとるように構成されている。トランジスタ構造体104は、前記位置に応じて電気信号を供給するように構成されている。
【0027】
キャビティ106は、圧力センサ100の製造中に、基板102の材料の変換によって変化された基板を形成し、その後、この変化された基板を除去することによって製造された。変化された基板を除去する前に、基板102及び変化された基板の表面上には、ヘテロ構造体108が堆積された。ヘテロ構造体108が少なくとも部分的に形成された後、変化された基板が除去された。
【0028】
ある実施例では、基板102の材料はシリコンからなり、陽極酸化によって変化されて多孔質となった。この多孔質の材料は、基板102の元々の材料よりも耐熱性が低くなっている。この多孔質の材料は、ヘテロ構造体108が形成される熱処理中に溶解し、表面積ができるだけ小さくなるように収縮した。キャビティ106は、中空空間として残留している。ヘテロ構造体108と基板102とは流体密であるので、キャビティ106の内部には近似的に真空が形成されている。
【0029】
圧力センサ100は、キャビティ106の内部の圧力と、ヘテロ構造体108の反対側に加わる圧力との間の差を表す電気信号を供給するように構成されている。ヘテロ構造体の両側における圧力差に基づいて結果的に生じた力が、ヘテロ構造体108に作用する。この力は、ヘテロ構造体108又は膜を屈曲させる。この屈曲によって、ヘテロ構造体108の導電性が変化する。電気信号は、変化した導電性を表している。
【0030】
ある実施例では、圧力センサ100は電気回路を有する。回路は、製造中に基板102内に埋め込まれた。回路を、半導体技術の相応の方法によって基板の表側又は裏側に取り付けてもよい。電気回路は、トランジスタ構造体104に電気的に接続されている。回路は、トランジスタ構造体104の電気信号を処理又は増幅するように構成されている。
【0031】
ある実施例では、圧力センサ100は、開放されたキャビティを有する。基板102は、膜に向かって打ち抜かれている。キャビティへの開放によって、圧力センサ100は、差圧センサとして構成されている。
【0032】
特別なある実施形態において、
図1は、本明細書で提案するアプローチに基づくGaN・HEMT圧力センサ100を図示している。圧力センサ100は、感圧部分として、支持基板を有さないIII/V・ヘテロ構造体108を有する。ヘテロ構造体108は、トランジスタ104の構成要素である。
【0033】
図2は、本発明のある実施例に基づく支持層200を備える圧力センサ100を図示している。この圧力センサ100は、
図1の圧力センサにほぼ対応する。これに加えて、圧力センサ100は、ヘテロ構造体108とキャビティ106との間に支持層200を有する。支持層200は、ヘテロ構造体108に固定的に接続されている。従って、支持層200は、キャビティ106を閉鎖する膜の一体的な構成要素である。支持層200は、圧力センサ100の製造時に基板102及び変化された基板の表面上に成長された。従って、支持層200は、基板102の一部でもある。すなわち支持層200は、変化された基板を含んでいる。さらなる製造プロセス中において、変化された基板が溶解し、キャビティ106が形成される。支持層200は、ヘテロ構造体108の堆積を促進し、例えばエピタキシャルに成長されたシリコンからなる。支持層200の厚さは、主としてヘテロ構造体108の曲げ強度を決定する。支持層200とヘテロ構造体108とからなる膜が厚くなればなるほど、この膜の曲げ剛性は高くなる。圧力差が同じ場合には、膜の曲げ剛性が高くなればなるほど膜の変位は小さくなる。換言すると、圧力センサ100の感度は、膜が薄くなればなるほど高くなる。
【0034】
別のある実施形態では、ヘテロ構造体108は、別個のプロセスで支持層200又は支持基板上に成長される。支持層200又は支持基板は、必要に応じて例えばCMP(chemical mechanical polishing 化学機械研磨)によって所要の厚さにされる。例えば、予めパターニングしておいた基板102をダイレクトボンディング法によって結合することにより、
図2に基づく支持層200を備えるキャビティ106が形成される。この実施形態は、大量の個数を製造可能であるという大きな利点を提供する。
【0035】
堆積させるステップでは、ヘテロ構造体を形成するために、それぞれ異なる大きさのバンドギャップを有する2つの半導体層を互いに上下に堆積させることができる。
【0036】
この実施例では、ヘテロ構造体108は、それぞれ異なる半導体材料の2つの層202,204から構成されている。少なくとも2つの半導体材料は、それぞれ異なる大きさのバンドギャップを有する。層202と204の間には2次元電子ガスが形成されており、この2次元電子ガスは、層202,204の延在方向において高い導電性を有する。層202及び204の成長プロセスを促進するために、追加的な移行層又はバッファ層を使用してもよい。適切な移行層を選択することによって、支持層200上に層202及び204をヘテロエピタキシャルに成長させることが可能となる。
【0037】
層202,204は、基板102又は支持層200の表面上に全面的に堆積された。ソースコンタクト110及びドレインコンタクト112は、堆積され熱処理が用いられることにより、ヘテロ構造体に沿った電子ガスに電気的に接続される。
【0038】
HEMTトランジスタ104(High-Electron-Mobility Transistor 高電子移動度トランジスタ)は、電界効果トランジスタの特別な1つの形態であり、高電子移動度を有する導電性チャネルを特徴としている。HEMTトランジスタ104の構造は、それぞれ異なる大きさのバンドギャップを有する複数の異なる半導体材料の層202,204からなり、これらの層202,204が、1つのヘテロ構造体108を構成している。このためには、周期律表のIII/V族の元素からなる化合物半導体が問題となる。例えば、材料系GaN/AlGaNを使用することができる。これら2つの材料を互いに上下に堆積させる場合には、これらの材料の界面においてGaNの両側に、導電性チャネルとして使用可能な二次元電子ガス(2DEG)が形成される。なぜなら、この中での電子移動度は、典型的には2000cm
2/Vsと非常に高いからである。電子ガスが発生する原因は、GaN層202及びAlGaN層204における自発分極と、AlGaN層における機械的なストレスに起因した圧電分極との重ね合わせである。上記の材料系は、高電子移動度のおかげでパワーエレクトロニクス用途に特に適しており、さらには電子ガスの特性によって、高感度の圧力センサ100の製造も可能となる。
【0039】
例えばGaN/AlGaNをベースにした絶対圧力センサ100を実現するために、この絶対圧力センサ100は、基準圧力を有する規定されたキャビティ106と、対応する膜108とを有する。
【0040】
本明細書で提案するアプローチによれば、膜108の製造時に湿式又は乾式のエッチングプロセスを省略することができる。さらには、それぞれ異なるようにドーピングされた複数のGaN層からなる複雑なシーケンスを省略することができるという利点が得られる。本明細書で提案するアプローチによれば、より低コストで技術的に円熟した簡単なGaN/AlGaNヘテロ構造体108を使用することが可能となる。
【0041】
III/Vヘテロ構造体108をベースにした絶対圧力センサ100が提案される。製造は、多孔質シリコンによる膜108の製造方法に基づいており、これによって、マイクロ波技術からなるGaN/AlGaNヘテロ構造体108又はパワーエレクトロニクスの標準構造を使用することが可能となる。
【0042】
換言すると、
図2は、III/Vヘテロ構造体108に基づく本発明のある実施例に基づく圧力センサ100の断面図を示す。ヘテロ構造体108は、2つのオーミックコンタクト110,112と、トランジスタ構造体104へのHEMTゲート114とによって構成されている。ヘテロ構造体108の第1層202は、GaN又は窒化ガリウムからなる。ヘテロ構造体108の第2層204は、AlGaN又は窒化アルミニウムガリウムからなる。基板102は、シリコン(111)からなる。
【0043】
図3は、本発明のある実施例に基づく絶縁層300を備える圧力センサ100を図示している。この圧力センサ100は、
図2の圧力センサにほぼ相当する。これに加えて、ヘテロ構造体108とゲート電極114又はゲートコンタクト114との間に絶縁層300が配置されている。絶縁層300は、ゲート電極114をヘテロ構造体108から電気的に絶縁させる。
【0044】
換言すると、
図3は、III/Vヘテロ構造体108に基づく本発明のある実施例に基づく圧力センサ100の断面図を示す。ヘテロ構造体108は、2つのオーミックコンタクト110,112と、絶縁体300を備える、トランジスタ構造体104へのMISFETゲート114とによって構成されている。ヘテロ構造体108の第1層202は、GaN又は窒化ガリウムからなる。ヘテロ構造体108の第2層204は、AlGaN又は窒化アルミニウムガリウムからなる。基板102は、シリコン(111)からなる。
【0045】
図4は、本発明のある実施例に基づく圧力センサを製造する方法400のフローチャートを示す。方法400は、準備するステップ402と、変化させるステップ404と、堆積させるステップ406と、除去するステップ408と、コンタクトさせるステップ410とを有する。準備させるステップ402において、圧力センサのための基板が準備される。変化させるステップ404において、前記圧力センサのキャビティのために予定された前記基板の部分領域において、前記基板を変化させて、変化された基板が形成される。堆積させるステップ406において、前記変化された基板の領域において、前記基板の表面上にヘテロ構造体が堆積される。除去するステップ408において、前記変化された基板を除去して、前記ヘテロ構造体と前記基板との間にキャビティが形成される。コンタクトさせるステップ410において、前記ヘテロ構造体に少なくともそれぞれ1つのソースコンタクト、ドレインコンタクト、及びゲートコンタクトが設けられ、前記圧力センサのトランジスタ構造体が形成される。
【0046】
堆積させるステップ406では、成長させるステップを実施することができる。当該ステップでは、前記変化された基板上及び/又は基板の表面上に前記ヘテロ構造体のための支持層が成長される。
【0047】
GaN/AlGaNの下側のキャビティは、本明細書で説明した方法400によって実現することができる。このために<111>基板が使用される。この基板内の(1つ又は複数の)キャビティを形成すべき領域に、陽極酸化によって多孔質シリコンが生成される。
【0048】
上に、MOCVD成長によってHEMT構造体が製造される。このために、低温のAlNシード層又は窒化アルミニウムシード層が、400℃〜800℃において例えば約10nm〜1000nmで被着される。これに引き続き、1000℃より高い温度においてin−situアニーリング又はテンパリングが行われ、この際に、多孔質Siが溶解する。かつて多孔質シリコンが生成されていた場所に、キャビティが発生する。シード層上には、GaN/AlGaNヘテロ構造体が、従来のMOCVD温度である1000℃〜1200℃において成長される。
【0049】
その後、装置間分離によって、例えば注入又はメサエッチングによってHEMT素子が製造される。ゲート端子は、ショットキーコンタクト又はMISコンタクトによって製造される。HEMT構造体は、オーミックコンタクト、メタライジング、及びパッシベーションによって補完される。
【0050】
これに代えて、MOCVDエピタキシの前に、薄くて特に小さい1〜数μmのSiエピタキシを実施してもよい。
【0051】
本センサが差圧センサとして使用可能となるように、裏側からトレンチを形成することができる。この場合には、プロセスステップを簡単にするために基板を薄化することができる。
【0052】
別のある実施形態では、圧力センサのすぐ近傍に電気回路が実現され、これによって例えば信号処理又は信号増幅のような追加的な機能をモノリシックに集積させることができる。
【0053】
本明細書で提案する圧力センサの圧力範囲は、成長されるGaN/AlGaN層又はSiエピタキシャル層を適切に選択することによって調整することができる。GaN/AlGaN HEMTの非常に良好な電気的特性により、圧力センサは高い感度を有することとなる。
【0054】
多孔質シリコンをキャビティのためのプレースホルダとして使用することにより、プロセス制御が簡単になる。
【0055】
このようにして製造された圧力センサは、過酷な環境条件に対して高い耐性を有する。GaN/AlGaN層の高い化学的不活性度により、本センサは、例えば高温又は腐食性雰囲気のような過酷な環境条件においても動作可能となる。このことは、特に自動車用途にとって有利である。
【0056】
製造プロセスの品質は、SEM、FIB、TEM、XPSのような公知の方法によって検査することができる。これによって、アクティブなヘテロ構造体層とキャビティとを良好に認識することができる。
【0057】
本明細書で提案するアプローチに基づくセンサは、例えば絶対圧力センサ及び/又は差圧センサとして、家電用エレクトロニクス及び自動車用エレクトロニクスの分野で使用することができる。特に本センサは、例えば燃焼室用の圧力センサのような高い感度と高い頑強性とが同時に要求される用途において使用することができる。
【0058】
説明され図面に図示された実施例は、単なる一例として選択されたものである。複数の異なる実施例を、完全に又は個々の特徴に関して互いに組み合わせることが可能である。あるある実施例を別の実施例の特徴によって補完することも可能である。
【0059】
さらには、本明細書で提示した各方法ステップを繰り返し実施すること、並びに記載した順序とは異なる順序で実施することが可能である。
【0060】
ある1つの実施例が、第1特徴と第2特徴との間に“及び/又は”の接続詞を含んでいる場合には、当該実施例の1つの実施形態が第1特徴と第2特徴の双方を有し、当該実施例の別の1つの実施形態が第1特徴のみ又は第2特徴のみを有するということを読み取るべきである。