(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6347871
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】切断装置および小袋連続体処理装置
(51)【国際特許分類】
B26D 1/08 20060101AFI20180618BHJP
B65B 61/06 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
B26D1/08
B65B61/06
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-118974(P2017-118974)
(22)【出願日】2017年6月16日
【審査請求日】2018年1月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390000538
【氏名又は名称】株式会社旭金属
(73)【特許権者】
【識別番号】500263116
【氏名又は名称】日本工業刃物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼元 盛親
(72)【発明者】
【氏名】青木 康哲
【審査官】
貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3072964(JP,U)
【文献】
特開平3−10788(JP,A)
【文献】
特開2006−142424(JP,A)
【文献】
特開2011−136387(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0308965(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/08
B65B 61/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の小袋が連なるように形成された小袋連続体を切断する切断装置において、
直線形状、凹型曲線形状または凸型曲線形状の刃先を有する第1刃部と、
前記第1刃部との間で前記小袋連続体を剪断するときに最初に前記小袋連続体と接する複数の山部、および前記山部の間の谷部が形成された刃先形状を有する第2刃部と、
を備えることを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記第2刃部の刃先には、前記山部と前記谷部とが周期的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記第2刃部は、前記各山部の先端が仮想直線上に並ぶ形状を有しており、
前記第1刃部と前記第2刃部との間を通過するように前記小袋連続体を送り出す送出部と、
前記送出部によって送り出された前記小袋連続体の切断面と前記仮想直線とが平行になるように前記第2刃部を固定する固定部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記第2刃部における前記山部と前記谷部とのピッチが0.1mm以上かつ0.5mm以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の切断装置。
【請求項5】
前記第2刃部は、前記小袋連続体を剪断するときに前記第1刃部と対向する第1面と、前記第1面と隣接し、かつ前記小袋連続体を剪断するときに前記小袋連続体と対向する第2面とを有し、
前記第1面は平面であり、
前記第2面には前記山部および前記谷部と連続する筋状の凸部および凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項6】
前記第1面内において、前記谷部と、当該谷部の両側に隣接する山部とがなす角の角度は、60°以上かつ120°以下であることを特徴とする請求項5に記載の切断装置。
【請求項7】
前記小袋連続体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送された小袋連続体を切断する、請求項1から6のいずれか1項に記載の切断装置と、
前記切断装置によって切断されることにより切り分けられた1つもしくは複数の小袋を供給する供給装置、前記切断装置によって所定の長さに切断される小袋連続体を折りたたむ折りたたみ装置、または前記切断装置によって所定の長さに切断される小袋連続体を巻き取る巻き取り装置と、
を備えることを特徴とする小袋連続体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば粉末または液体等の封入された小袋が連結部を介して交互に形成された小袋連続体における連結部を切断する切断装置、および当該切断装置を備える小袋連続体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
麺類等の食品においては、麺と、粉末スープあるいは液体スープが封入された小袋と、を容器等に収納し、これを包装した状態で市販している。
【0003】
また、このような小袋を容器等に供給するために、小袋自動投入機(小袋供給装置)が使用される。一般に、この小袋自動投入機は、内容物が入った収納部(小袋)と、その収納部の回りを密閉する密封部(連結部)とが交互に形成された連続状の小袋(小袋連続体)を、密封部の中央で切断して一袋毎に所望の容器等に供給する。
【0004】
このような小袋自動投入機の切断方法に関する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−153437号公報(1989年6月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
小袋連続体の切断に用いられるカッターとしては、例えば2つの刃部がかみ合うことで、切断部が直線状であるように小袋連続体を切断するものが挙げられる。このようなカッターにおいて、2つの刃部は、一般に直線状の形状を有する。しかし、小袋の包材が滑りやすい材質である場合、または薄い場合には、包材が2つの刃部の間に入り込み、カットミスが発生する虞がある。
【0007】
本発明の一態様は、カットミスの虞が低減される切断装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る切断装置は、多数の小袋が連なるように形成された小袋連続体を切断する切断装置において、直線形状、凹型曲線形状または凸型曲線形状の刃先を有する第1刃部と、前記第1刃部との間で前記小袋連続体を剪断するときに最初に前記小袋連続体と接する複数の山部、および前記山部の間の谷部が形成された刃先形状を有する第2刃部と、を備える。
【0009】
上記の構成によれば、切断装置により小袋連続体を切断するときには、第2刃部において、最初は山部だけが小袋連続体と接するため、第2刃部から小袋連続体に加わる圧力が大きくなる。このため、小袋連続体が第2刃部に対して移動しにくくなり、当該移動(逃げ)に起因する小袋連続体のカットミスが抑制される。
【0010】
また、本発明の一態様に係る切断装置は、上記の構成に加えて、前記第2刃部の刃先には、前記山部と前記谷部とが周期的に形成されていてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、山部および谷部が所定の間隔で配されるため、小袋連続体110の切断時に、一様な切断部を形成することができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る切断装置は、上記の構成に加えて、前記第2刃部は、前記各山部の先端が仮想直線上に並ぶ形状を有しており、前記第1刃部と前記第2刃部との間を通過するように前記小袋連続体を送り出す送出部と、前記送出部によって送り出された前記小袋連続体の切断面と前記仮想直線とが平行になるように前記第2刃部を固定する固定部と、を備えていてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、各山部の先端が同時に小袋連続体に接するため、小袋連続体に加わる圧力が均等になる。したがって、小袋連続体110の切断時に、一様な切断部を形成することができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る切断装置は、上記の構成に加えて、前記第2刃部における前記山部と前記谷部とのピッチが0.1mm以上かつ0.5mm以下であってもよい。
【0015】
上記の構成によれば、小袋連続体を適切に切断することができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る切断装置は、上記の構成に加えて、前記第2刃部は、前記小袋連続体を剪断するときに前記第1刃部と対向する第1面と、前記第1面と隣接し、かつ前記小袋連続体を剪断するときに前記小袋連続体と対向する第2面とを有し、前記第1面は平面であり、前記第2面には前記山部および前記谷部と連続する筋状の凸部および凹部が形成されていてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、小袋連続体の切断部を直線状にすることができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る切断装置は、上記の構成に加えて、前記第1面内において、前記谷部と、当該谷部の両側に隣接する山部とがなす角の角度は、60°以上かつ120°以下であってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、小袋連続体を適切に切断することができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る小袋連続体処理装置は、前記小袋連続体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送された小袋連続体を切断する、上記のいずれかの構成の切断装置と、前記切断装置によって切断されることにより切り分けられた1つもしくは複数の小袋を供給する供給装置、前記切断装置によって所定の長さに切断される小袋連続体を折りたたむ折りたたみ装置、または前記切断装置によって所定の長さに切断される小袋連続体を巻き取る巻き取り装置と、を備える。
【0021】
上記構成によれば、小袋連続体処理装置における小袋のカットミスの虞を低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様に係る切断装置によれば、カットミスの虞が低減される切断装置等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】(a)は、第1刃部の上面図であり、(b)は、第2刃部の上面図であり、(c)は、(b)の刃先部分の拡大図であり、(d)は、第2刃部の側面図である。
【
図2】実施形態1に係る小袋供給装置の概略を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図3】実施形態1に係るカッターの構成を示す図であって、(a)は(b)のA−A線矢視断面図、(b)は底面図、(c)は(a)の、第2刃部20近傍の部分拡大図である。
【
図4】第1刃部と第2刃部とを組み合わせた状態を示す図であって、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【
図5】(a)は、1つの谷部の形成前の第2刃部の側面図であり、(b)は、1つの谷部の形成中の第2刃部の側面図であり、(c)は、複数の谷部を連続して形成する途中の第2刃部の底面図である。
【
図6】(a)は、比較例のカッターが備える第1刃部の上面図であり、(b)は、比較例のカッターが備える第2刃部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る小袋供給装置100(小袋連続体処理装置)の概略を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。小袋供給装置100は、例えば麺類等の食品において、粉末スープまたは液体スープ等が封入された小袋を所定の位置に供給するための装置である。なお、見やすさを考慮して、
図2の(b)においては小袋連続体110を省略している。
【0026】
図2に示すように、小袋供給装置100には、小袋連続体110を搬送するガイドローラ101a・101b・101c(搬送装置)が設けられている。具体的には、ガイドローラ101aは、小袋供給装置100の上部側において水平な一方向に延びるローラ支持部材102aの先端に取り付けられている。一方、ガイドローラ101bは、小袋供給装置100の上部側略中央位置において上方に延びるローラ支持部材102bの上端に取り付けられている。また、ガイドローラ101cは、小袋供給装置100の上部側に取り付けられている。
【0027】
ガイドローラ101cの下側には、小袋連続体110の振れを抑制するための振れ止めガイド103が設けられている。振れ止めガイド103の下側には、小袋連続体110をカッター105まで案内するためのフィードローラ104が設けられており、このフィードローラ104の下側には、カッター105(切断装置)が設けられている。カッター105は、フィードローラ104を通過した小袋連続体110を一袋ずつ切断する。すなわち、カッター105は、多数の小袋が連なるように形成された小袋連続体110を直線状に剪断する切断装置である。
【0028】
カッター105の下側には、切断された各小袋を所定の位置に投入するためのシュート(不図示、供給装置)が設けられている。また、小袋供給装置100の上部側においてローラ支持部材102aの逆側には、小袋供給装置100の運転操作、設定操作および調整のための操作パネル106が設けられている。
【0029】
(カッター105の構成)
図3は、本実施形態に係るカッター105の構成を示す図であって、(a)は(b)のA−A矢視断面図、(b)は底面図、(c)は(a)の、第2刃部20近傍の部分拡大図である。
図3の(a)〜(c)に示すように、カッター105は、第1刃部10と、第2刃部20と、送出部30と、駆動機構40と、固定部50とを備える。カッター105は、小袋連続体110を、切断部が直線状になるように切断する切断装置である。
【0030】
第1刃部10は、駆動機構40に設置され、第2刃部20に対して往復運動を行う。駆動機構40は、例えばサーボモーターと、当該サーボモーターの回転軸の回転運動を往復運動に変換する変換機構とで構成されていてよい。一方、第2刃部20は、固定部50に固定されている。また、送出部30は、第1刃部10と第2刃部20との間を通過するように、フィードローラ104からの送られてきた小袋連続体110を送り出す。なお、本実施形態とは逆に、第1刃部10が固定部50に固定されるとともに、第2刃部20が駆動機構40に設置されて第1刃部10に対して往復運動を行ってもよい。または、第1刃部10および第2刃部20がそれぞれ往復運動を行ってもよい。
【0031】
(第1刃部10および第2刃部20の形状)
図1の(a)は、第1刃部10の上面図である。
図1の(b)は、第2刃部20の上面図である。
図1の(c)は、
図1の(b)の刃先部分の拡大図である。
図1の(d)は、第2刃部20の側面図である。
【0032】
図1の(a)に示すように、第1刃部10は、直線形状の刃先10aを有する。ただし、第1刃部10は、凹型曲線形状または凸型曲線形状の刃先を有していてもよい。
【0033】
図1の(b)〜(d)に示すように、第2刃部20は、複数の山部20a、および山部20aの間の谷部20bが形成された刃先形状を有する。換言すれば、第2刃部20は、微細なピッチの波状の刃先形状を有する。山部20aは、第1刃部10との間で小袋連続体110を剪断するときに最初に小袋連続体110と接する。
【0034】
また、第2刃部20は、小袋連続体110を剪断するときに第1刃部10と対向する第1面21と、第1面21と隣接し、かつ小袋連続体110と対向する第2面22とを有する。第1面21は平面である。一方、第2面22には、山部20aおよび谷部20bと連続する複数の凸部22aおよび凹部22bが筋状に形成されている。
【0035】
山部20aおよび谷部20bは、周期的に形成されている。このため、小袋連続体110の切断時に、山部20aにより圧力が加わる箇所が等間隔になり、一様な切断部を形成得ることができる。ただし、山部20aおよび谷部20bは、必ずしも周期的に形成されている必要はない。山部20aおよび谷部20bが周期的に形成されていなくとも、第2刃部20により小袋連続体110を直線状に切断することは可能である。
【0036】
本実施形態の第2刃部20は、各山部20aの先端が仮想直線L上に並ぶ形状を有している。固定部50は、フィードローラ104によって送り出された小袋連続体110の切断面と仮想直線Lとが平行になるように第2刃部20を固定する。ここで、「切断面」とは、小袋連続体110の、切断されるときに第1刃部10または第2刃部20と接触する面である。このため、各山部20aの先端が同時に小袋連続体110に接するため、小袋連続体110に加わる圧力が均等になる。したがって、小袋連続体110の切断時に、一様な切断部を形成することができる。
【0037】
一方、第1刃部10は、刃先10aが小袋連続体110の切断面に対して4°傾斜するように形成されている。ただし、小袋連続体110の切断面に対する刃先10aの傾斜は4°に限定されず、例えば1°以上かつ10°以下であることが好ましく、2°以上かつ6°以下であることがより好ましい。
【0038】
本実施形態では、第2刃部20における山部20aと谷部20bとのピッチは0.2mmである。ただし、上記ピッチは0.2mmに限らず、例えば0.1mm以上かつ0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上かつ0.4mm以下であることがより好ましい。
【0039】
また、本実施形態では、第1面21内における、1つの谷部20bと、当該谷部20bの両側に隣接する山部20aとがなす角の角度は、90°である。ただし、上記角度は90°に限らず、例えば60°以上かつ120°以下であることが好ましく、75°以上かつ105°以下であることがより好ましい。
【0040】
また、本実施形態では、第1面21と第2面22とがなす角の角度は70°である。ただし、上記角度は70°に限らず、例えば30°以上かつ80°以下であることが好ましく、60°以上かつ75°以下であることがより好ましい。
【0041】
第2刃部20がこのような形状を有することで、小袋連続体110を適切に切断することができる。
【0042】
以上のように、第2刃部20は、複数の山部20aおよび谷部20bが形成された刃先形状を有する。このため、カッター105により小袋連続体110を切断するときには、第2刃部20において、最初は山部20aだけが小袋連続体110と接するため、第2刃部20から小袋連続体110に加わる圧力が大きくなる。このため、山部20aと小袋連続体110との間の摩擦が大きくなり、または山部20aが小袋連続体110に食い込むことで、小袋連続体110の移動(逃げ)、および当該移動に起因する小袋連続体110のカットミスが抑制される。
【0043】
なお、
図1の(c)に示す例では、山部20aおよび谷部20bは、小袋連続体110の切断面に垂直な面に対して、左右対称な形状を有する。しかし、本発明の一態様において、山部20aおよび谷部20bは、左右非対称な形状を有していてもよい。すなわち、(i)1つの山部20aの先端と、当該山部20aに隣接する一方の谷部20bとの距離と、(ii)上記先端と、他方の谷部20bとの距離と、が等しくなくてもよい。
【0044】
図4は、第1刃部10と第2刃部20とを組み合わせた状態を示す図であって、(a)は上面図、(b)は側面図である。カッター105においては、
図4の(a)および(b)に示すように、第1刃部10の刃先10aと、山部20aおよび谷部20bを有する第2刃部20の刃先とが接するように、第1刃部および第2刃部が組み合わせられる。この状態で、第1刃部10を第2刃部20に対して移動させることで、小袋供給装置100を切断する。
【0045】
(第2刃部20の製造方法)
第2刃部20は、例えば刃先が直線形状である刃部に対して、谷部20bおよび凹部22bを形成することで製造される。このとき、谷部20bの間が山部20aとなり、凹部22bの間が凸部22aとなる。第2刃部20の製造方法の例について、以下に説明する。なお、以下の説明では簡単のため、谷部20bが形成される前の、刃先が直線形状である刃部についても第2刃部20と称する。
【0046】
図5の(a)は、1つの谷部20bの形成前の第2刃部20の側面図である。
図5の(b)は、1つの谷部20bの形成中の第2刃部20の側面図である。
図5の(c)は、複数の谷部20bを連続して形成する途中の第2刃部20の底面図である。
図5の(a)〜(c)には、谷部20bなどの形成に用いられる砥石200も併せて示されている。
【0047】
第2刃部20の製造には、例えばCNC(Computer Numerical Control)研削盤(不図示)を用いることができる。砥石200としては、例えば90°のV溝を形成するための、円型のCBN(Cubic Boron Nitride)砥石を用いることができる。
【0048】
第2刃部20の製造に当たっては、
図5の(a)に示すように、谷部20bが形成される前の第2刃部20を、第2面22が砥石200と対向するようにCNC研削盤に設置する。そして、第2面22の直上において砥石200の表面が第2面22に対して略平行になるように、砥石200の位置を決定する。換言すれば、第2面22の直上における、水平面に対する砥石200の表面の角度A2が、水平面に対する第2面22の角度A1と略一致するように、砥石200の位置を決定する。
【0049】
この状態で、
図5の(b)に示すように、砥石200を回転させながら下降させて第2刃部20を研削し、その後上昇させることで、1つの谷部20b、および当該谷部20bと連続する凹部22bが形成される。このとき、砥石200の回転方向は、第2面22において第1面21へ向かう方向とする。
【0050】
その後、
図5の(c)に示すように、砥石200または第2刃部20を山部20aと谷部20bとの1ピッチ分(本実施形態では0.2mm)だけ第2刃部20の刃先に平行に移動させ、再度砥石200を下降させ、上昇させる。これにより、次の谷部20bおよび凹部22bが第2刃部20に形成される。この移動、下降および上昇を、谷部20bを形成する範囲全体にわたって繰り返すことで、刃先に複数の山部20aおよび谷部20bが所定のピッチで形成された第2刃部20が製造される。
【0051】
なお、上述した第2刃部20の製造方法は一例であり、別の方法により第2刃部20が製造されてもよい。例えば、CNC研削盤以外の装置、または90°のV溝を形成するための円型のCBN砥石以外の砥石を使用して第2刃部20を製造してもよい。
【0052】
(他のカッターとの比較)
本発明のカッター105を、従来公知のカッターを比較例として比較する。比較例のカッターは、複数の山部、および前記山部の間の谷部が形成された刃先形状をそれぞれが有する第1刃部80および第2刃部90を備える。
【0053】
図6の(a)は、比較例のカッターが備える第1刃部80の上面図である。
図6の(b)は、比較例のカッターが備える第2刃部90の底面図である。
図6の(b)に示すように、第2刃部90は、第2刃部20と同様、刃先90aに複数の山部および谷部が形成されている。一方で、第2刃部90は、山部および谷部と連続する筋状の凸部および凹部が、小袋連続体110と対向する面(不図示)ではなく、小袋連続体110の切断時に第1刃部80と対向する面90bに形成されている点で第2刃部20と相違する。
【0054】
また、第1刃部80の刃先80aには、第2刃部90の山部および谷部と対応する谷部および山部が形成されている。さらに、第1刃部80の、小袋連続体110の切断時に第2刃部90と対向する面80bには、当該谷部および山部と連続する筋状の凹部および凸部が形成されている。
【0055】
小袋連続体110の切断時には、第2刃部90を表裏逆転させた状態で、第1刃部80の刃先80aと第2刃部90の刃先90aとが接するように、第1刃部80を第2刃部90に対して移動させる。このとき、(i)第1刃部80の凹部と第2刃部90の凸部と、および(ii)第1刃部80の凸部と第2刃部90の凹部と、がそれぞれ嵌り合う。
【0056】
第1刃部80および第2刃部90において、1つの山部と、当該山部の両側の谷部とがなす角は90°である。また、山部と谷部とのピッチは1mmである。
【0057】
このような比較例のカッターは、小袋連続体110の切断時に折れ線状の切断部を形成することを目的とするものである。したがって、当該カッターによっては切断部が直線状になるように小袋連続体110を切断できないことは言うまでもない。
【0058】
また、第2刃部20との比較のため、山部と谷部とのピッチを1.0mmとした以外は第2刃部20と同様である刃部を作製し、当該刃部と第1刃部10とを組み合わせたカッターを用いて小袋連続体110を切断する実験を行った。しかし、上記ピッチを1.0mmとした刃部を第2刃部20の代わりに使用した場合、切断した小袋の破片が谷部に残り、切断部が直線状になるように小袋連続体110を切断することはできなかった。
【0059】
(変形例)
上述した実施形態では、カッター105は、小袋を供給するシュートを備える小袋供給装置100において用いられるものであった。しかし、カッター105は、小袋供給装置100以外の小袋連続体処理装置に用いられてもよい。カッター105は、例えば当該カッター105によって所定の長さに切断される小袋連続体110を折りたたむ折りたたみ装置を備える小袋連続体処理装置に用いられてもよい。また、カッター105は、当該カッター105によって所定の長さに切断される小袋連続体110を巻き取る巻き取り装置を備える小袋連続体処理装置に用いられてもよい。また、カッター105は、必ずしも小袋連続体110を一袋ずつ切断する必要はなく、複数の小袋が連なった状態に切断してもよい。
【0060】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10 第1刃部
20 第2刃部
20a 山部
20b 谷部
21 第1面
22 第2面
22a 凸部
22b 凹部
30 送出部
50 固定部
100 小袋供給装置
105 カッター(切断装置)
L 仮想直線
【要約】
【課題】カットミスの虞が低減される切断装置を実現する。
【解決手段】カッターは、直線形状、凹型曲線形状または凸型曲線形状の刃先(10a)を有する第1刃部(10)と、第1刃部との間で小袋連続体を剪断するときに最初に小袋連続体と接する複数の山部(20a)、および山部の間の谷部(20b)が形成された刃先形状を有する第2刃部(20)と、を備える。
【選択図】
図1