【実施例】
【0029】
以下、本明細書で使用する略号は、以下の略称であり、測定条件は以下である。
グリーンラスト懸濁液中の全鉄換算濃度、ケイ素、Crの含有量(mg/L)は、ICP定量分析で測定した。ORPは、酸化還元電位値(mv)であり、Ag/AgCl電極基準、本明細書では測定される液を苛性ソーダでpH10.5に調整して測定する。COD (mg/L):化学的酸素要求量、試料水中の被酸化性物質量を一定の条件下で酸化剤により酸化し、その際使用した酸化剤の量から酸化に必要な酸素量を求めて換算したものであり、単位は mg/Lを使用する。被酸化物質には、各種の有機物と亜硝酸塩、硫化物などの無機物があるが、おもな被酸化物は有機物である。酸性高温過マンガン酸法(COD
Mn)で測定されている。TOC (mg/L)は、全有機炭素量、試料水中に含まれる有機物態炭素を二酸化炭素に酸化させる。そして、その二酸化炭素量を測定することによってTOCを求める。燃焼酸化方式で測定される。DOは、溶存酸素を表し水に溶解している酸素濃度を意味し、1Lの水に何mgの酸素が含まれているかで表す(mg/L)、ウインクラー法で測定する。SVは、活性汚泥沈降率を表し、特に断らない限りSV30は、30分間で懸濁液から沈降する容積比で表す。澱物の沈降率は懸濁液から固形分が沈降した容積比で表す。
【0030】
[1.還元触媒体の製造]
以下の実施例(1−1)〜(1−3)でグリーンラスト懸濁液の製造のために還元触媒体を製造して用いた。還元触媒体の成分を表3〜6に示す。Meは金属を表し、%は質量%を示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
[実施例1:グリーンラスト懸濁液の製造]
(実施例1−1)
水槽に10Lの水を入れて、表3に示すK−1の成分を1kg混合攪拌した材料(以下還元触媒体という)を筒長状のパンチングステンレスの内側にろ過布に入れて水中に固定没水させ水を攪拌して酸化還元反応(一次電池方式)を利用してpH値を3.0〜4.0の範囲に希硫酸にて調節して、40時間攪拌後、硫酸第一鉄(FeSO
4・7H
2O)を1200g加える。添加時のORPは400mv以下に下がっていた。さらに攪拌を続けて40時間後、苛性ソーダを使用してpH値を10.5に調整して還元試験を行ないORPが−700〜−800mv範囲になることを確認して攪拌およびpH調整を終了して、グリーンラストの生成を、淡青透明色または淡緑透明色で確認した。槽内のグリーンラスト懸濁液を移送ポンプを使用してろ過フィルターでろ過を行なって任意の容器に保管した。
還元触媒体K−1を攪拌中の水の測定値を以下の表7に示す。
【0036】
【表7】
【0037】
(実施例1−2)
用いた還元触媒体をK−2とした以外は実施例1−1と同様に、混合攪拌した還元触媒体を水中に固定没水させ水を攪拌した。還元触媒体K−2を攪拌中の水の測定値を以下の表8に示す。
【0038】
【表8】
槽内のpH値を希硫酸添加を定量ポンプで制御してpH3.5に制御した。さらに攪拌を続けて酸化還元電位値が還元反応で400mv以下になるまで酸化還元反応を継続した。
実施例1−1と同様にしてグリーンラストを製造した。
製造工程における還元触媒体K−2の酸化還元電位の測定結果を表9に示す。
【0039】
【表9】
【0040】
得られたグリーンラストをNaOHによりpH10.5mvとしたときのORPは−706mvであり、得られたグリーンラスト懸濁液の全鉄換算濃度(すべての鉄を金属鉄に換算した鉄量、IPC計量)は36400mg/Lであった。[Fe
2+/全鉄]質量比は、0.90−0.99であった。
【0041】
(実施例1−3)
還元触媒体K−2,900gと後に記載する実施例2−1のアルミニウム含有被処理水の処理で得られたアルミニウムフェライト100gを混合した還元触媒体(黒鉛54%、フェライト鉄36%、アルミニウムフェライト10%)を水中に没水して攪拌装置を稼働させた。槽内のpH値を希硫酸添加の定量ポンプで制御してpH3.5に制御した。さらに攪拌を続けて酸化還元電位値が還元反応で400mv以下になるまで酸化還元反応を継続した。反応完了した試料を採取して全鉄含有量を計量し、試料をpH10.5に調整して酸化還元電位値(ORP)を計測した。
アルミニウム金属(M)フェライト含有還元触媒体を用いてグリーンラスト懸濁液を得た。結果を表10に示す。
【0042】
【表10】
【0043】
(実施例1−4)
水槽(反応槽)に9Lの精製水を入れ、予めケイ酸ソーダ50gを1Lの精製水に溶解した液を投入して攪拌を行い、分離膜筒容器の内袋に還元触媒体K−3を1kg配合混合した。還元触媒体K−3を水中に没水して攪拌装置を稼働させた以外は実施例1−1と同様にグリーンラスト懸濁液を得た。ケイ酸ソーダ50gを添加することで還元触媒体のガルバニックセル反応時間が短縮された。
【0044】
[実施例2:被処理水の処理方法]
以下の被処理水の処理方法では、金属等含有処理水中の金属をグリーンラスト懸濁液を用いて除去し、得られた澱物から金属フェライトを得た。金属フェライトは本発明の還元触媒体の原料として用いることができる。
以下の記載で添加するグリーンラストの記載は、被処理水1Lに対して、グリーンラスト懸濁液(各mg中の水を除いた全鉄量換算分だけを添加する表記としています。例えば、下記表に示すように、添加するグリーンラスト懸濁液(以下、グリーンラストをGRとし、グリーンラスト懸濁液をGRDということがある)が全鉄換算濃度で36400mg/L(36400ppm)である場合の被処理水1Lに対してグリーンラスト懸濁液500mg中の全鉄換算量を加える場合は、結果として得られる処理水中の全鉄換算濃度は36400×0.5=18200(mg/L)です。
【0045】
【表11】
【0046】
(実施例2−1)アルミニウム含有被処理水の処理
1000mLの精製水に金属アルミニウム(試薬)を100mg/L濃度で添加してマグネットスターラで350rpmにて攪拌混合を30分間行い、被処理水1Lに対して、グリーンラスト懸濁液が全鉄換算濃度で36400mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液を下記表12に示す量で(GRD 750 mg相当全鉄換算分、またはGRD,1000mg相当全鉄換算分)添加し、苛性ソーダ(NaOH)にてpHを11.0±0.5に調整して攪拌1時間行い沈降分離し、その後1時間毎に沈降分離澱物中の固形分の沈降率SV60を測定し表13に示す。グリーンラスト懸濁液添加後1時間後の沈降分離水中ではアルミニウムは検出限界未満であり、このグリーンラスト濃度で十分被処理水中のアルミニウム有害物の除去ができることが確認できた。
表14に、24〜72時間経過後の被処理水のpH、ORPを示す。アルミニウムを含む沈殿物が表14に示すpH値で、順調に形成されていることが分かる。沈降した澱物をそのまま24〜72時間放置した澱物試料を塩酸にてpH1.5に調整して48〜72時間経過後、アルミニウムの再溶出の有無を計測した結果を表15に示す。アルミニウムの再溶出は検出されず、処理水中のアルミニウムはグリーンラスト懸濁液によって除去されたことが分かった。
【0047】
【表12】
【0048】
【表13】
【0049】
【表14】
【0050】
【表15】
【0051】
なお、添加後の処理液中のグリーンラスト濃度27300(mg/l)の場合に得られたアルミニウムフェライトの粒径分布を表16に示す。粒子径範囲 0.02〜2000000μm 、分散媒名 water 、分散媒屈折率 1.330、粒子屈折率 2860、の条件で測定した。得られたアルミニウムフェライトは、本発明の還元触媒体に用いることができた。
【0052】
【表16】
【0053】
(実施例2−2)イットリウム含有被処理水の処理
金属イットリウム(試薬)を1000mLの精製水に100mg/Lの濃度で添加して被処理水とし、被処理水1Lに対して、グリーンラスト懸濁液が全鉄換算濃度で36500mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液を下記表17に示す量で(GRD,1500mg相当全鉄換算分)添加した以外は実施例2−1と同様にイットリウム含有被処理水を処理して、苛性ソーダ(NaOH)にてpHを11.0±0.5に調整して攪拌1時間行い沈降分離、その後1時間毎に沈降分離澱物中の固形分の沈降率SV60を測定し表18に示す。グリーンラスト懸濁液添加後1時間後の沈降分離水中ではイットリウムは検出限界未満であり、十分被処理水中のイットリウム有害物の除去ができることが確認できた。
表19に、24〜72時間経過後の被処理水のpH、ORPを示す。被処理水のpH、ORPは表19に示す通りであり、沈殿物が順調に形成されていることが分かる。沈降した澱物をそのまま24〜72時間放置した澱物試料を塩酸にてpH1.5に調整して48〜72時間経過後、イットリウムの再溶出の有無を計測した結果を表20に示す。イットリウムの再溶出は検出されず、処理水中のイットリウムはグリーンラスト懸濁液によって沈澱・除去されたことが分かった。
【0054】
【表17】
【0055】
【表18】
【0056】
【表19】
【0057】
【表20】
【0058】
なお、添加後の処理液中のグリーンラスト濃度54750mg/Lの場合に得られたイットリウムフェライトの粒径分布を表21に示す。粒子径範囲 0.02〜2000000μm 、分散媒名 water 、分散媒屈折率 1.330、粒子屈折率 2860、の条件で測定した。得られたイットリウムフェライトは、本発明の還元触媒体に用いることができる。
【0059】
【表21】
【0060】
(実施例2−3)スズ含有被処理水の処理
金属スズ(試薬)を1000mlの精製水に100mg/lの濃度で添加して被処理水とし、被処理水1Lに対して、グリーンラスト懸濁液が全鉄換算濃度で34600mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液を下記表22に示す量で(GRD 1000 mg相当全鉄換算分、または1500 mg相当全鉄換算分)添加した以外は実施例2−1と同様にスズ含有被処理水を処理して、苛性ソーダ(NaOH)にてpHを11.0±0.5に調整して攪拌1時間行い沈降分離、その後1時間毎に沈降分離澱物中の固形分の沈降率SV60を測定し表23に示す。グリーンラスト懸濁液添加後1時間後の沈降分離水中ではスズは検出限界未満であり、十分被処理水中のスズ有害物の除去ができることが確認できた。
表24に、24〜72時間経過後の被処理水のpH、ORP値を示す。被処理水のpH、ORPは表24に示す通りであり、沈殿物が順調に形成されていることが分かる。沈降した澱物をそのまま24〜72時間放置した澱物試料を塩酸にてpH1.5に調整して48〜72時間経過後、スズの再溶出の有無を計測した結果を表25に示す。スズの再溶出は検出されず、処理水中のスズはグリーンラスト懸濁液によって除去されたことが分かった。
【0061】
【表22】
【0062】
【表23】
【0063】
【表24】
【0064】
【表25】
【0065】
なお、添加後の処理液中のグリーンラスト全鉄換算濃度34600mg/Lの場合に得られたスズフェライトの粒径分布を表26に示す。粒子径範囲 0.02〜2000000μm 、分散媒名 water 、分散媒屈折率 1.330、粒子屈折率 2860、の条件で測定した。得られたスズフェライトは、本発明の還元触媒体に用いることができる。
【0066】
【表26】
【0067】
(実施例2−4)クロム含有被処理水の処理
金属クロム(試薬)を1000mLの精製水に100mg/Lの濃度に添加して被処理水とし、被処理水1Lに対して、グリーンラスト懸濁液が全鉄換算濃度で34600mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液を下記表27に示す量で(GRD 250 mg相当全鉄換算分、または300 mg相当全鉄換算分)添加した以外は実施例2−1と同様にクロム含有被処理水を処理して、苛性ソーダ(NaOH)にてpHを11.0±0.5に調整して攪拌1時間行い沈降分離、その後1時間毎に沈降分離澱物中の固形分の沈降率SV60を測定し表28に示す。グリーンラスト懸濁液添加後1時間後の沈降分離水中ではスズは検出限界未満であり、十分被処理水中のクロム有害物の除去ができることが確認できた。
表29に、24〜72時間経過後の被処理水のpH、ORPを示す。被処理水のpH、ORPは表29に示す通りであり、沈殿物が順調に形成されていることが分かる。沈降した澱物をそのまま24〜72時間放置した澱物試料を塩酸にてpH1.5に調整して48〜72時間経過後、クロムの再溶出の有無を計測した結果を表30に示す。クロムの再溶出は検出されず、処理水中のクロムはグリーンラスト懸濁液によって除去されたことが分かった。
【0068】
【表27】
【0069】
【表28】
【0070】
【表29】
【0071】
【表30】
【0072】
なお、添加後の処理液中のグリーンラスト全鉄換算濃度9100mg/Lの場合に得られたクロムフェライトの粒径分布を表31に示す。粒子径範囲 0.02〜2000000μm 、分散媒名 water 、分散媒屈折率 1.330、粒子屈折率 2860、の条件で測定した。得られたクロムフェライトは、本発明の還元触媒体に用いることができる。
【0073】
【表31】
【0074】
(実施例2−5)亜鉛含有被処理水の処理
金属亜鉛(試薬)を1000mLの精製水に100mg/Lの濃度に添加して被処理水とし、被処理水1Lに対して、グリーンラスト懸濁液が全鉄換算濃度で36400mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液を下記表32に示す量で(GRD 800 mg相当全鉄換算分、または1000 mg相当全鉄換算分)添加した以外は実施例2−1と同様にクロム含有被処理水を処理して、苛性ソーダ(NaOH)にてpHを11.0±0.5に調整して攪拌1時間行い沈降分離し、その後1時間毎に沈降分離澱物中の固形分の沈降率SV60を測定し結果を表33に示す。グリーンラスト懸濁液添加後1時間後の沈降分離水中では亜鉛は検出限界未満であり、十分被処理水中の亜鉛有害物の除去ができることが確認できた。
表34に、24〜72時間経過後の被処理水のpH、ORPを示す。被処理水のpH、ORPは表34に示す通りであり、沈殿物が順調に形成されていることが分かる。沈降した澱物をそのまま24〜72時間放置した澱物試料を塩酸にてpH1.5に調整して48〜72時間経過後、亜鉛の再溶出の有無を計測した結果を表35に示す。亜鉛の再溶出は検出されず、処理水中の亜鉛はグリーンラスト懸濁液によって除去されたことが分かった。
【0075】
【表32】
【0076】
【表33】
【0077】
【表34】
【0078】
【表35】
【0079】
なお、添加後の処理液中のグリーンラスト全鉄換算濃度29120mg/Lの場合に得られた亜鉛フェライトの粒径分布を表36に示す。粒子径範囲 0.02〜2000000μm 、分散媒名 water 、分散媒屈折率 1.330、粒子屈折率 2860、の条件で測定した。得られた亜鉛フェライトは、本発明の還元触媒体に用いることができる。
【0080】
【表36】
【0081】
(実施例2−6)銅含有被処理水の処理
金属銅(試薬)を1000mLの精製水に100mg/Lの濃度になるように添加して被処理水とし、被処理水1Lに対して、グリーンラスト懸濁液が全鉄換算濃度で36500mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液を下記表37に示す量で(GRD 1000 mg相当全鉄換算分、または1250 mg相当全鉄換算分)添加した以外は実施例2−1と同様に銅含有被処理水を処理して、苛性ソーダ(NaOH)にてpHを11.0±0.5に調整して攪拌1時間行い沈降分離、その後1時間毎に沈降分離澱物中の固形分の沈降率SV60を測定し表38に示す。グリーンラスト懸濁液添加後1時間後の沈降分離水中では銅は検出限界未満であり、このグリーンラストの濃度で十分被処理水中の銅有害物の除去ができることが確認できた。
表39に、24〜72時間経過後の被処理水のpH、ORPを示す。被処理水のpH、ORP値は表39に示す通りであり、沈殿物が順調に形成されていることが分かる。沈降した澱物をそのまま24〜72時間放置した澱物試料を塩酸にてpH1.5に調整して48〜72時間経過後、銅の再溶出の有無を計測した結果を表40に示す。銅の再溶出は検出されず、処理水中の銅はグリーンラスト懸濁液によって除去されたことが分かった。
【0082】
【表37】
【0083】
【表38】
【0084】
【表39】
【0085】
【表40】
【0086】
なお、添加後の処理液中のグリーンラスト全鉄換算濃度36500mg/Lの場合に得られた銅フェライトの粒径分布を表41に示す。粒子径範囲 0.02〜2000000μm 、分散媒名 water 、分散媒屈折率 1.330、粒子屈折率 2860、の条件で測定した。得られた銅フェライトは、本発明の還元触媒体に用いることができる。
【0087】
【表41】
【0088】
[実施例3:グリーンラストの安定性の評価]
(実施例3−1)グリーンラストの安定性評価
実施例1−4に記載の方法で製造したグリーンラスト懸濁液をビーカーに10000ml入れ含有鉄量(2価 ⇔ 3価)変化の追跡、液性、外観等の室温での経過変化を追跡した。結果を表34に記載する。測定は室温で行い、表中の還元ORPとは、試料を苛性ソーダでpH値を10.5に調整した状態の酸化還元電位値を計測した値である。底部の白色はピペットの動作にて消滅した。白色沈降がどのくらいの日数で確認できるか追跡中である。
【0089】
【表42】
【0090】
(実施例3−2)グリーンラストの安定性評価
実施例1−3で製造したグリーンラスト懸濁液を苛性ソーダでpH5.4に調整して含有鉄量(2価⇔3価)変化の追跡、液性、外観等の室温での経過変化を追跡した。結果を表35に記載する。測定は室温で行い、表中の還元ORPとは、試料を苛性ソーダでpH値を10.5に調整した状態の酸化還元電位値を計測した値です。グリーンラストの沈降が90日間で固液分離が始まり、210日以降では安定に維持するには攪拌装置が必要と思われます。堆積物はグリーンラスト懸濁物で、成分は未確認です。
【0091】
【表43】
【0092】
[実施例4:二酸化ケイ素の沈降分離(オキシアニオンの除去)]
2000mlのビーカーに太陽光発電等に使用される二酸化ケイ素(SiO
2)を含有した水洗排水試料を被処理水として用いた。特許第5194223号の実施例1で製造した化学処理剤Yと触媒としてグリーンラスト懸濁液を使用して酸性酸化処理(フェントン)を行った。
使用した被処理水試料の水質を表44に示す。
【0093】
【表44】
【0094】
(実験方法)
<フェントン(酸性酸化)処理>
マグネットスターラにて350rpmで攪拌を行い、希硫酸(24%)でpH4.0に調整して全鉄換算濃度で32000mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液を5000 mg相当全鉄換算分添加して液中の酸化還元電位計(ORP)の示す値がORP +500mvを維持するように化学処理剤Yの定量ポンプをOn/Off制御して添加した。 pH計の示す値がpH4.0を維持するように希硫酸定量ポンプをOn/Off制御した。後に記載する表48の混合液(C)を10質量%にうすめた10%濃度品、約4200mgが、ORP値のOn/Off制御で添加された。希硫酸(24%濃度品)、約67mgがpH値によるOn/Off制御で添加された。
【0095】
【表45】
<グリーンラスト懸濁液を用いた沈降処理>
その後、別の場所で製造した全鉄換算濃度で36400mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液を2000mg相当全鉄換算分添加して、苛性ソーダ(48%)でpH調整してpH10.5にして沈降分離を行い、澱物をフェライト化してケイ素フェライト鉄(磁性フェライト鉄)を得て利用する目的で実験を行った。
【0096】
【表46】
(実験経過)
実験経過を表47に示す。
【0097】
【表47】
【0098】
用いた化学処理剤Y製造時の各成分の配合量を以下の表48に示す。
【表48】
【0099】
表44に示す被処理水は有機物を含み、酸性酸化処理のスタートにより二酸化ケイ素の酸素が離れ溶存酸素量が増えていくが、8時間経過で沈降分離が始まると溶存酸素量は下がりケイ素が沈澱除去されることが表47に示す実験経過で理解できる。
(沈降澱物のフェライト処理)
上記実験で得られた処理液を静止状態で12時間放置後、澱物の下部より80%が黒色でその表面が赤褐色で残りは水で分離された状態であった。その試料の水中にネオジム磁石(表面磁束密度(T)0.42 吸着力(N)25.48 径10mm)を入れたところ沈殿澱物は全て吸着した。沈殿澱物はフェライト化され磁気分離、ろ過分離することができた。ケイ素含有量は、金属ケイ素(Si)として、ICP定量分析で計量した。
【0100】
[実施例5:二酸化ケイ素(試薬)を還元条件でオキシアニオン分解してグリーンラスト懸濁液でケイ素フェライトを製造する方法]
(使用した試料・試薬類)
二酸化ケイ素(SiO
2) 試薬 5g、グリーンラスト懸濁液(全鉄濃度32000mg/l・pH10.5測定したORP、−720mv) 苛性ソーダ(48%) 2.8ml(グリーンラスト懸濁液のpH調製4.0→10.5に用いた)
【0101】
【表49】
(実験方法)
500mlビーカーにグリーンラスト懸濁液を500ml入れて攪拌を行い、苛性ソーダを添加してpH値を10.5にして二酸化ケイ素(粉)5gを計量してビーカーに直接緩やかに添加した。実験経過を表50に示す。
【0102】
【表50】
【0103】
表50の結果から、被処理水は試薬のケイ素を含み有機物を含まないのでグリーンラスト懸濁液により二酸化ケイ素の酸素が離れ溶存酸素量が上昇するが、12時間経過で沈降が始まりケイ素を含むグリーンラスト澱物の沈殿により上澄の溶存酸素量が下がっていき上澄分離水中のケイ素量は0.01mg/L以下に減少したことが示されている。
二酸化ケイ素のオキシアニオンが放出されることによりグリーンラストの酸化が進行してフェライト生成が進行していることが分かる。
【0104】
沈降澱物にネオジム磁石(表面磁束密度(T)0.42 吸着力(N)25.48 径10mm)を入れたところ沈降澱物は全て吸着した。ケイ素含有量(Si)はICP定量分析で計量した。
沈降澱物はフェライト化され磁気分離、ろ過分離することができケイ素フェライト鉄(磁性鉄粉)として容易に製造できマイクロミクロン単位の絶縁被膜形成の技術向上を図ることができリアクトル、モーターなどの省エネ、小型、軽量化に寄与できる。
【0105】
[実施例6:グリーンラスト製造におけるケイ素フェライトの使用]
グリーンラストの極性のプラス、マイナス差、酸化還元電位が陰極(マイナス)側に深い値を得る目的でケイ素フェライトを使用する実験を行った。
【0106】
(実施例6−1)ケイ酸ソーダを用いるグリーンラストの製造
(酸化還元反応)
水槽(反応槽)に9Lの精製水を入れ、予めケイ酸ソーダ(Na
2SiO
3)50gを1Lの精製水に溶解した液を反応槽(10L)に投入して攪拌を行い、分離膜筒容器の内袋に配合混合した還元触媒体である、黒鉛500gとフェライト鉄(Fe
3O
4)400gを水中に没水して攪拌装置を稼働させた。槽内pH計の値を希硫酸の定量ポンプで制御してpH3.5以下を維持して12時間酸化還元反応(レドックス)を行った。
還元触媒体およびケイ酸ソーダを攪拌中の水の測定値を以下の表51に示す。
【0107】
【表51】
【0108】
上記で得られた金属腐食反応液を、2000mLの容器3個に分配して、それぞれに還元触媒体、黒鉛100gおよびフェライト鉄80gを分離膜筒容器の内袋に入れ容器3個にそれぞれ投入しマグネットスターラで、容器中の水を攪拌し還元反応を続けた。12時間後、硫酸第一鉄 (FeSO
4・7H
2O)を所定量(240g 、480g 及び720g)それぞれ投入し、ORPが400mv以下を示すまで反応を継続してグリーンラストの生成を、淡青透明色または淡緑透明色で確認した。反応完了した懸濁液を採取して全鉄含有量を計量し、反応液をpH10.5に調整して酸化還元電位値(ORP)を計測した。
【0109】
【表52】
【0110】
表52の結果から、2時間後にORPがほぼ400 mv以下になることが分かる。各容器の反応液の試料を採取して得られたグリーンラスト懸濁液の全鉄換算濃度、ORPを測定し表53に示す。
【0111】
【表53】
【0112】
(実施例6−2)ケイ素酸ソーダを用いるケイ素フェライトの沈殿生成
フェライト鉄生成目的で各試料に苛性ソーダを添加してpH値を10.5に調整して攪拌を停止して沈降分離を行った。各反応容器の硫酸第一鉄添加量別沈降率の結果を表54に示す。上分離液中のケイ素含有量はICP定量分析で測定した。澱物中にケイ素が取り込まれ上分離液中からはケイ素が除去されることが分かる。
【0113】
【表54】
【0114】
液中の澱物からフェライトを取りだすために、ネオジム磁石(表面磁束密度(T)0.42 吸着力 (N)25.48 径10mm)を用いた。沈殿澱物は硫酸第一鉄 (FeSO
4・7H
2O)投入(240g 、480g および720g) 容器のそれぞれで全て吸着した。磁気吸着した沈殿澱物は常温で乾燥させフェライト粒子分布解析を行った。
得られたグリーンラスト(ケイ酸ソーダ含有)磁気吸着磁性鉄粉の粒径分布を、粒子径範囲0.02〜2000000μm、分散媒名water、分散媒屈折率1.330、粒子屈折率 2860、超音波強度 50%の条件で測定した。得られたケイ素フェライトの粒径分布を表55に示す。
【0115】
【表55】
【0116】
(実施例6−3)ケイ素フェライトを用いるグリーンラストの製造
(酸化還元反応)
水槽(反応槽)に10Lの精製水を入れて攪拌を行い、分離膜筒容器(以下還元触媒体とする)の内袋に配合混合した黒鉛500gとフェライト鉄(Fe
3O
4)400gと実施例6−1の方法で生成させたケイ素フェライト50g(Si-Fe
3O
4)を水中に没水して還元触媒体として用いて攪拌装置を稼働させ、槽内pH計の値を希硫酸の定量ポンプで制御してpH3.5以下を維持して12時間酸化還元反応(レドックス)を行った。硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)をそれぞれ(240g 480g 720g)投入を行いORP値が400mv以下を示すまで継続する。反応完了した試料を採取して全鉄含有量の計量、試料をpH10.5に調整して酸化還元電位値(ORP)を計測した。
還元触媒体およびケイ素フェライトを攪拌中の水の測定値を以下の表に示す。
比較のために表51に示す実施例6−1の測定結果を並べて記載する。実験結果より、フェライト鉄のpH値の酸性度の相違によりケイ素フェライトを用いた場合は、得られるグリーンラストの鉄含有量が高く、ケイ素含有量が大幅に少ない結果であった。また、還元試験結果のORPよりケイ酸ソーダを用いたグリーンラストの製造よりもケイ素フェライトを用いたグリーンラストの製造液は極性のプラス・マイナス差が大きく、酸化還元電位値が陰性(マイナス)側に深い値が得られた。ケイ素フェライトを用いた場合のグリーンラストの生成反応は1.5〜7時間であり、非常に速く、1000kgタンクでは、2時間反応させ苛性ソーダでpH10.5にすることで陰性度(−700mv)が得られた。反応槽のスケールや用いるケイ素フェライト量、その他の還元触媒体の成分で反応時間は変動する。
表56に、ケイ酸ソーダ50gを用いた実施例6−1の結果と、ケイ素フェライト50gを還元触媒体として使用した場合に製造されるグリーンラスト懸濁液(酸性)を比較した結果を示す。
【0117】
【表56】
図中の酸溶出量の記載は、ケイ素フェライト試料澱物 (pH10.5)を塩酸でpH2.0に調整した状態でケイ素含有量と全鉄含有量とを測定した意味である。その後下記の再溶出試験を24時間放置後行った。
【0118】
表56のケイ素フェライトを用いた実験で得られたケイ素フェライト試料澱物(pH10.5)を塩酸でpH2.0調整した状態で24時間放置してICP定量分析で再溶出試験を行った。その結果、ケイ素 0.01mg/L以下であった。ケイ素フェライトから溶出するケイ素はほとんどないことが確認できた。
【0119】
得られた金属腐食反応液を、2000mLの容器3個に分配して、硫酸第一鉄 (FeSO
4・7H
2O)を所定量(240g 、480g 及び720g)それぞれ投入し、ORPが400mv以下を示すまで反応を継続した。
【0120】
【表57】
【0121】
グリーンラストの生成を、淡青透明色または淡緑透明色で確認した。表57では12時間の経過を示したが、グリーンラストの生成は3時間後に完了している。反応完了した懸濁液を採取して全鉄含有量を計量し、pH10.5における反応液の酸化還元電位値(ORP)を計測し表58に示す。
【0122】
【表58】
【0123】
実験結果よりケイ素フェライトを還元触媒体に混入して用いたグリーンラスト懸濁液の全鉄含有量はケイ酸ソーダを用いる方法と同様に得られた。一方、還元試験結果では、極性のプラス・マイナス差が大きく、酸化還元電位値が陰性(マイナス)側に深い値が得られた。ケイ素フェライトを用いて得られたグリーンラスト懸濁液を使用して以下の繰返し処理実験(実施例7〜9)を行った。
【0124】
(実施例7)ケイ素フェライトを用いて製造した全鉄濃度35400mg/Lのグリーンラスト懸濁液による6価クロム含有排水の処理
(実施例7−1)(後の繰返し処理の第1回目の処理に該当する)
メッキ工場のクロム洗浄廃水ラインより採水した被処理水を、処理工程、 原水→グリーンラスト懸濁液添加攪拌→pH調整→沈降分離を行なった。
処理条件は、バッチ処理 容量2.0L、pH調整は、ビーカーに装着したpH電極の指示値と苛性ソーダの定量注入ポンプを用いてon/off制御で行った。設定pH 10.5であり、使用製剤は、pH調整 苛性ソーダ試薬(48%)、全鉄濃度35400mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液を用いて、表59に記載するように被処理水1Lに対してGRD500mg、またはGRD750mg中の全鉄換算量を添加した。攪拌時間15分、沈降時間25分 (工場滞留時間より算定)で被処理水を処理した。
原水の条件と添加したグリーンラスト懸濁液の濃度による処理後の水質の測定結果を表59に示す。
【0125】
【表59】
【0126】
GRDの添加濃度と得られる被処理水中の全鉄換算濃度の関係を表60に示す。6価クロム量はICP質量分析法(JIS K0102 65.2.5)で測定した。
【表60】
【0127】
被処理水の沈降澱物のpH、ORPを、計量条件を同様として、計量した。結果を表61に示す。表59に示す処理水と表61に示す澱物とは、ORP値で同様の測定値がえられていることが分かる。表59、表61の結果は、還元能力(電気陰制度)が維持されていることを示している。
【表61】
【0128】
ケイ素フェライトを用いて製造したグリーンラスト懸濁液による6価クロム含有排水の繰返し処理(実施例7−1に続く、第2回目以降の繰返し処理)
(実施例7−2−1) グリーンラスト懸濁液(被処理水1Lに対してGRD500mg中の全鉄換算量を添加)して活性澱物を繰返し使用した。
実施例7(下記の工程1:第1回目の処理)で得られた澱物をろ過吸入装置(ろ紙5C)を使用して汚泥を分離(下記の工程2、3)して、分離した澱物を原水である被処理水中に入れて(工程4:第2回目の処理終了)凝析分離を行った。この繰返しを第3回目、第4回目、第5回目、第6回繰り返した。水質計量は沈降分離後実施した。結果を表62に示す。原水と、1回目(実施例7)の処理結果も比較のため記載する。6回繰り返し使用でクロム溶出有り。5回目に黒色澱物40%程度、6回目沈殿物は、褐色部が50%占有していた。GRD500mg添加の繰り返し使用は5回が限度であった。
なお、繰返し処理は次の工程を繰返す。1)処理槽中の被処理水に実施例7−1と同様のグリーンラストをGRP500ppm添加し(実施例7−2−1の添加後の濃度は17700mg/L)、pHを調製しで攪拌する工程1、2)工程1で得られる処理水から澱物と処理水とを分離する工程2、3)分離した澱物から汚泥を除去する工程3、4)汚泥を除去された澱物を、原水である被処理水中に一部または全部を添加し(この実施例の場合全部)、pHを調製しで攪拌する工程4、5)工程4で得られる処理水から澱物を分離する工程5、6)工程5の次に工程3,4,を1回または複数回繰り返した後に、処理水の総量と澱物とを得る工程6、を有する活性澱物を繰返し使用する被処理水の処理方法である。
【0129】
【表62】
【0130】
(実施例7−2−2) グリーンラスト懸濁液(被処理水1Lに対してGRD750mg中の全鉄換算量を添加)の繰返し汚水処理方法
実施例7−1−1と同様の条件で、ただし、グリーンラスト懸濁液は、被処理水1Lに対してGRD750mg中の全鉄換算量を添加して、繰返し回数は8回行った。他の条件は実施例8−2と同様である。結果を表63に示す。8回繰り返し使用でクロム溶出有り。7回目に黒色澱物30%程度、8回目褐色部が35%占有していた。GRD750mg添加の繰り返し使用は7回が限度であった。
【0131】
【表63】
【0132】
(実施例8) ケイ素フェライトを用いて製造した全鉄濃度64500mg/Lのグリーンラスト懸濁液による6価クロム含有排水の処理および続く活性澱物を繰返し使用する被処理水の処理方法
全鉄濃度64500mg/Lのグリーンラスト懸濁液を、(実施例8−2−1)、(実施例8−2−2)の条件で添加してそれぞれ活性澱物を繰返し使用した。
実施例7と同様に、ただし、全鉄濃度64500mg/Lのグリーンラスト懸濁液)を用いた以外は実施例7と同様の条件で排水処理を行なった。
(実施例8−2−1) 全鉄濃度64500mg/Lのグリーンラスト懸濁液(被処理水1Lに対してGRD500mg中の全鉄換算量を添加)の繰返し汚水処理
実施例7と同様に、ただし、全鉄濃度64500mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液(以下GRDと記載)を用いて、表14に記載する被処理水1Lに対してGRD500mg中の全鉄換算量を添加し、その他の条件は変えずに、実施例7と同様に被処理水を処理した。
グリーンラスト懸濁液の濃度および9回繰返し処理の結果を表64に示す。
表64に結果を示すように、9回繰り返し使用でクロム溶出有り。9回目に黒色澱物25%程度、8回目褐色部が20%占有していた。GRD500mg添加の繰り返し使用は8回が限度であった。
【0133】
【表64-1】
【表64-2】
【0134】
(実施例8−2−2)全鉄濃度64500mg/Lのグリーンラスト懸濁液(被処理水1Lに対してGRD750mg中の全鉄換算量を添加)の繰返し汚水処理方法
実施例7−1−1と同様の条件で、ただし、全鉄濃度64500mg/Lのグリーンラスト懸濁液を、被処理水1Lに対してGRD750mg中の全鉄換算量を添加して、繰返し回数は11回行った。他の条件は実施例8−1−1と同様である。結果を表65に示す。表65に結果を示すように、11回繰り返し使用でクロム溶出有り。10回目に黒色澱物30%程度、10回目褐色部が20%占有していた。GRD750 mg添加の繰り返し使用は10回が限度であった。
【0135】
【表65-1】
【表65-2】
【0136】
(実施例9)ケイ素フェライトを用いて製造した全鉄濃度96900mg/Lのグリーンラスト懸濁液による6価クロム含有排水の処理および続く繰返し処理
全鉄濃度96900mg/Lのグリーンラスト懸濁液を、(実施例9−2−1)、(実施例9−2−2)の条件で添加してそれぞれ繰返し排水処理を行なった。
(実施例9−2−1)
実施例7と同様に、ただし、全鉄濃度96900mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液(以下GRDと記載)を用いて、表16に記載する被処理水1Lに対してGRD500mg中の全鉄換算量を添加し、その他の条件は変えずに、実施例7と同様に被処理水を処理した。
グリーンラスト懸濁液の濃度および11回繰返し処理の結果を表66に示す。結果は(実施例8−2−2)の、全鉄濃度64500mg/Lのグリーンラスト懸濁液を、被処理水1Lに対してGRD750mg中の全鉄換算量を添加して、繰返し回数は11回行った場合と結果はほぼ同様であった。GR懸濁液の繰り返し使用が可能な回数は、添加するGR懸濁液の濃度によるのではなく、添加後の被処理水中の全鉄換算濃度が高ければそれだけ使用回数を多くすることができることが分かった。 10回繰り返し使用でクロム溶出有り。10回目に黒色澱物30%程度、10回目褐色部が20%占有していた。GRD500mg添加の繰り返し使用は10回が限度であった。
【0137】
【表66-1】
【表66-2】
【0138】
(実施例9−2−2)
実施例7と同様に、ただし、全鉄濃度96900mg/Lであり、[Fe
2+/全鉄]質量比0.5−0.7であるグリーンラスト懸濁液(以下GRDと記載)を用いて、表67に記載する被処理水1Lに対してGRD7500mg中の全鉄換算量を添加し、その他の条件は変えずに、実施例7と同様に被処理水を処理した。
グリーンラスト懸濁液の濃度および13回繰返し9処理の結果を表67に示す。13回繰り返し使用でクロム溶出有り。12回目に黒色澱物25%程度、11回目褐色部が25%占有していた。GRD750mg添加の繰り返し使用は12回が限度であった。
【0139】
【表67-1】
【表67-2】
【0140】
<実施例7〜9のまとめ>
2Lの反応槽を用いた、実施例7〜9の繰返し処理の結果を表68に示す。また、Cr
6+除去処理量(1回の処理で19.4mg/Lの除去)と使用したグリーンラスト懸濁液の添加後の全鉄換算濃度との関係を下記表69に示す。実施例7〜9のクロム含有排水の処理実験の結果から、添加するグリーンラスト懸濁液は、全鉄換算濃度が高いほど含有金属の除去効率が高く、COD除去効率も高いことが示された。
【0141】
【表68】
【0142】
【表69】
【0143】
グリーンラストの製造時にケイ素フェライトを用いると被処理水の酸化還元電位値を陰性(マイナス)側に深くする効果を確認した。
ケイ素はフェライト体にすることにより流出が回避され、繰返し使用が可能になった。繰返し使用できる回数は、グリーンラスト懸濁液の全鉄含有量に依るが5〜12回繰り返し使用が可能であった。
ケイ素は還元触媒体中に存在すると得られるグリーンラストの処理速度が上がり優れたグリーンラストが得られるが、ケイ素をフェライト体として還元触媒体中に有すると、さらに被処理水から得られる澱物を繰返し処理することができる。繰返し使用時にはCrの再溶出がなく、繰返し使用すると被処理水中のCrが繰返し除去できるので、排水処理能力に優れる。
グリーンラストの製造時に液中の酸化還元電位値が向上し反応時間が1/2以下に短縮された。
グリーンラスト懸濁液を使用した処理液の酸化還元電位値が陰性(マイナス)側に深い値(ORP、−700〜−900mv)が達成できた。