特許第6347890号(P6347890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6347890
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/02 20060101AFI20180618BHJP
   C08K 9/00 20060101ALI20180618BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20180618BHJP
   C08K 5/3435 20060101ALI20180618BHJP
   C08K 5/57 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   C08L71/02
   C08K9/00
   C08K3/26
   C08K5/3435
   C08K5/57
【請求項の数】3
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-253811(P2017-253811)
(22)【出願日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2017-60968(P2017-60968)
(32)【優先日】2017年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305044143
【氏名又は名称】積水フーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】村山 之彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 加津司
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/065076(WO,A1)
【文献】 特開2000−086998(JP,A)
【文献】 特開2017−082114(JP,A)
【文献】 特開2016−210839(JP,A)
【文献】 特開2016−199738(JP,A)
【文献】 特開2015−074776(JP,A)
【文献】 特開2008−266602(JP,A)
【文献】 特開2006−213810(JP,A)
【文献】 特開2005−076014(JP,A)
【文献】 特開2015−110720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が8000〜30000である加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)と、
数平均分子量が3000〜6000である加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)と、
表面処理された炭酸カルシウム(C)と、
表面処理されていない重質炭酸カルシウム(D)と、
シラノール縮合触媒(E)とを含有し、
上記表面処理された炭酸カルシウム(C)は、表面処理された重質炭酸カルシウムを含むことを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
ヒンダードアミンを更に含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
シラノール縮合触媒(E)がオクチル錫化合物を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床基盤上に敷設された床下地材上に床仕上げ材を接着するための硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の建築物では、コンクリート製床スラブなどの床基盤上に脚部材を介して床下地材が敷設され、この床下地材に接着剤を介して床仕上げ材が接着された床構造が採用されている。
【0003】
特に、マンションや病院の屋内通路の床仕上げ材には、ポリ塩化ビニルシートなどのビニル系の床仕上げ材が使用されているが、主に溶剤系接着剤が用いられており、リフォームなどで、床仕上げ材の貼り替えを行うと、溶剤臭により、居住者に不快な思いをさせる。場合によっては、シックハウス症候群を発疹するなどの問題点がある。
【0004】
用いられる接着剤としては、ウレタン溶剤系接着剤や水系接着剤が用いられている。しかしながら、ウレタン溶剤系接着剤は溶剤臭が強く、水系接着剤は耐水性に劣り、耐久性に問題があった。
【0005】
このような溶剤臭を防止するために、変性シリコーン系接着剤を用いて接着することが知られている(特許文献1)。
【0006】
しかしながら、変性シリコーン系接着剤の硬化物は柔軟であるため、雰囲気の温度変化に伴って床仕上げ材に収縮を生じた場合に、互いに隣接する床仕上げ材間に隙間が発生する、所謂、「目隙」を生じるという問題がある。
【0007】
一方、床仕上げ材に傷が付いてしまった場合などは、傷が付いた床仕上げ材を床下地材から剥がして、新しい床仕上げ材を床下地材に接着し、床仕上げ材を張り替えることにより、床仕上げ材の改修が行われている。更には、既設の床仕上げ材の上に更に、新しい床仕上げ材を貼ることが行われている。
【0008】
しかしながら、このような施工を行うときに、接着剤の粘性が高いとうまく施工できない、不具合があった。又、近年、施工者の熟練度不足に起因して冬季の施工性の改善要求があり、接着剤の低粘性化が望まれている。
【0009】
又、既設の床仕上げ材の上に更に、新しい床仕上げ材を貼る場合、新しく形成される床面が既存の床面に比して出来るだけ高くならないように、新しい床仕上げ材は、床下地材上に直接、敷設される床仕上げ材に比して厚みが薄く形成されている。
【0010】
従って、新しい床仕上げ材は、雰囲気の温度変化に伴って収縮をより生じやすくなっており、上述した目隙がより生じやすくなっている。
【0011】
更に、新しい床仕上げ材の既存の床仕上げ材上への敷設は、新しい床仕上げ材の裏面又は既存の床仕上げ材上に接着剤をビード状(直条)に所定間隔ごとに塗工した上で、新しい床仕上げ材が既存の床仕上げ材上に配設することによって行われる。
【0012】
この時、接着剤の粘度が高いと、新しい床仕上げ材と既存の床仕上げ材との間において、接着剤が流動せず、新しい床仕上げ材が部分的に接着剤によって支持された状態となる。上述のように、新しい床仕上げ材は、厚みが薄いために容易に変形しやすく、新しく施工された床面に凹凸が生じ、外観が損なわれるという問題を有する。
【0013】
又、近年、床暖房が普及しており、床仕上げ材が使用中に加熱されるため、従来の変性シリコーン系接着剤では接着性が不十分であるという問題も生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−38457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、床基盤上に敷設された床下地材上に床仕上げ材を接着するための硬化性組成物であって、溶剤系接着剤のような溶剤臭を発せず、塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができ、更に、厚みの薄い床仕上げ材であっても敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面(既存の床仕上げ材又は床下地材)上に敷設一体化させることができる硬化性組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の硬化性組成物は、
数平均分子量が8000〜30000である加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)と、
数平均分子量が3000〜6000である加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)と、
表面処理された炭酸カルシウム(C)と、
表面処理されていない重質炭酸カルシウム(D)と、
シラノール縮合触媒(E)とを含有する
【0017】
[ポリオキシアルキレン系重合体(A)]
架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)は、主鎖が、一般式:−(R−O)n−(式中、Rは炭素数が1〜14のアルキレン基を表し、nは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
【0018】
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の主鎖骨格としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体などが挙げられ、ポリオキシプロピレンが好ましい。
【0019】
架橋性シリル基としては、例えば、ケイ素原子と結合した加水分解性基を有するケイ素含有基又はシラノール基のように湿気又は架橋剤の存在下、必要に応じて触媒などを使用することによって縮合反応を生じる基をいう。
【0020】
架橋性シリル基としては、例えば、ジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジメチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメチルエトキシシリル基などのアルコキシシリル基、トリクロロシリル基などのハロゲンが結合したシリル基が挙げられ、ジメトキシシリル基が好ましい。
【0021】
ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、ウレタン結合を含有していないことが好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)がウレタン結合を有していると、得られる硬化性組成物の粘度が冬場などの低温時に上昇して、塗工性や貯蔵安定性が低下する虞れがある。
【0022】
ポリオキシアルキレン鎖の両末端にウレタン結合を介することなく架橋性シリル基を有しているポリオキシアルキレン系重合体(A)は、例えば、末端に水酸基などの官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させ、次いで、得られた反応生成物に加水分解性基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化することによって製造することができる。
【0023】
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量は、8000〜30000であり、9000〜20000が好ましく、9500〜15000がより好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量が30000以下であると、硬化性組成物の塗工時の粘度が低くなり、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。又、ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量が8000以上であると、硬化性組成物の硬化物の接着強度が向上する。
【0024】
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下が特に好ましい。分子量分布が1.6以下であるポリオキシアルキレン系重合体(A)によれば、硬化性組成物の塗工時における粘度が低くなり、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。更に、硬化性組成物の硬化物の接着強度が向上する。
【0025】
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量及び重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、ポリオキシアルキレン系重合体6〜7mgを採取し、採取したポリオキシアルキレン系重合体を試験管に供給した上で、試験管に0.05質量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を含むo−DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えてポリオキシアルキレン系重合体の濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
【0026】
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転速度25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてポリオキシアルキレン系重合体をBHTを含むo−DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を測定することができる。
【0027】
ポリオキシアルキレン系重合体における数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC-8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR-H(20)HT×3本
TSKguardcolumn-HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
【0028】
加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体(A)は、市販されているものを用いることができる。ポリオキシアルキレン系重合体(A)としては、加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体(A)であれば、特に限定なく用いる。硬化前は液状物質であり、硬化後に良好なゴム弾性を形成することから、主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり、主鎖骨格の末端に加水分解性シリル基としてジメトキシシリル基を有し且つウレタン結合を有していないポリオキシプロピレン系重合体を用いることが好ましい。主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり、主鎖骨格の末端に加水分解性シリル基としてジメトキシシリル基を有し且つウレタン結合を有していないポリオキシプロピレン系重合体としては、株式会社カネカ製 製品名サイリル EST280、EST250、及びEST400 旭硝子社製 エクセスター3430、エクセスター6250などが挙げられる。
【0029】
硬化性組成物中において、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体の総量(加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及び(B)の総量)中、50〜95質量%が好ましく、55〜85質量%がより好ましく、60〜75質量%が特に好ましい。加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)の含有量が50質量%以上であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)の含有量が95質量%以下であると、硬化性組成物の塗工時における粘度が低くなり、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。
【0030】
加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及び加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)を総称して「加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体」ということがある。
【0031】
[ポリオキシアルキレン系重合体(B)]
架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)は、主鎖が、一般式:−(R−O)n−(式中、Rは炭素数が1〜14のアルキレン基を表し、nは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
【0032】
ポリオキシアルキレン系重合体(B)の主鎖骨格としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体などが挙げられ、ポリオキシプロピレンが好ましい。
【0033】
架橋性シリル基は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)と同様であるので、その説明を省略する。
【0034】
加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)は、ウレタン結合を含有していないことが好ましい。加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)がウレタン結合を有していると、得られる硬化性組成物の粘度が冬場などの低温時に上昇して、塗工性や貯蔵安定性が低下する虞れがある。
【0035】
ポリオキシアルキレン鎖の両末端にウレタン結合を介することなく架橋性シリル基を有しているポリオキシアルキレン系重合体(B)は、例えば、末端に水酸基などの官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させ、次いで、得られた反応生成物に加水分解性基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化することによって製造することができる。
【0036】
ポリオキシアルキレン系重合体(B)の数平均分子量は、3000〜6000であり、3500〜5500が好ましく、4000〜5000がより好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(B)の数平均分子量が6000以下であると、硬化性組成物の塗工時の粘度が低くなり、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。又、ポリオキシアルキレン系重合体(B)の数平均分子量が3000以上であると、硬化性組成物の硬化物の接着強度が向上する。
【0037】
ポリオキシアルキレン系重合体(B)の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、1.6以下が好ましく、1.3以下がより好ましい。分子量分布が1.6以下であるポリオキシアルキレン系重合体(B)によれば、硬化性組成物の塗工時における粘度が低くなり、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。更に、硬化性組成物の硬化物の接着強度が向上する。
【0038】
加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体(B)は、市販されているものを用いることができる。加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体(B)としては、特に限定なく用いることができる。硬化前は液状物質であり、硬化後に良好なゴム弾性を形成することから、主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり、主鎖骨格の末端に加水分解性シリル基としてジメトキシシリル基を有し且つウレタン結合を有していないポリオキシプロピレン系重合体を用いることが好ましい。主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり、主鎖骨格の末端に加水分解性シリル基としてジメトキシシリル基を有し且つウレタン結合を有していないポリオキシプロピレン系重合体としては、株式会社カネカ製 製品名サイリル SAX015などが挙げられる。
【0039】
硬化性組成物中において、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体の総量(加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及び(B)の総量)中、5〜50質量%が好ましく、15〜45質量%がより好ましく、25〜40質量%が特に好ましい。加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)の含有量が5質量%以上であると、硬化性組成物の塗工時における粘度が低くなり、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)の含有量が50質量%以下であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。
【0040】
[炭酸カルシウム(C)及び重質炭酸カルシウム(D)]
硬化性組成物は、上述した加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、表面処理された炭酸カルシウム(C)と、表面処理されていない重質炭酸カルシウム(D)とを組み合わせて用いることにより、強固な接着力を有する硬化物層を形成することができる。この硬化物層は、柔軟になり過ぎず、適度な機械的強度と、適度なゴム弾性及び伸び性とを付与することができる。従って、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。
【0041】
炭酸カルシウムとしては、特に限定されず、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、コロライド炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどが挙げられる。表面処理された炭酸カルシウムとしては、表面処理された重質炭酸カルシウム、及び、表面処理された沈降性炭酸カルシウムが好ましい。
【0042】
表面処理された炭酸カルシウムの平均粒子径は、0.05〜5μmが好ましく、0.06〜4μmがより好ましく、0.065〜3μmが特に好ましく、0.07〜2μmが最も好ましい。平均粒子径が0.05μm以上であると、厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができ好ましい。平均粒子径が5μm以下であると、塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し好ましい。
【0043】
重質炭酸カルシウムは、例えば、天然のチョーク(白亜)、大理石、石灰石などの天然の炭酸カルシウムを微粉状に粉砕することにより得ることができる。
【0044】
表面処理された重質炭酸カルシウムの平均粒子径は0.5〜5μmが好ましく、0.5〜4μmがより好ましい。平均粒子径が0.5μm以上であると、塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し好ましい。平均粒子径が5μm以下であると、硬化性組成物の硬化物の皮膜強度が向上しゴム弾性が向上し好ましい。
【0045】
表面処理されていない重質炭酸カルシウムの平均粒子径は0.5〜5μmが好ましく、0.5〜4μmがより好ましい。平均粒子径が0.5μm以上であると、塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し好ましい。平均粒子径が5μm以下であると、硬化性組成物の硬化物の皮膜強度が向上しゴム弾性が向上し好ましい。
【0046】
なお、炭酸カルシウムの平均粒子径は、炭酸カルシウム1g当たりの比表面積値を用いて下記式に基づいて算出された値をいう。なお、炭酸カルシウム1g当たりの比表面積値は、島津製作所から商品名「SS−100型」にて市販されている粉体比表面積測定装置を用いることができる。
炭酸カルシウムの平均粒子径(μm)
=6×10000/(比重×比表面積)
【0047】
沈降性炭酸カルシウムは、例えば、石灰石を原料として用い、化学的反応を経て製造することができる。
【0048】
表面処理された沈降性炭酸カルシウムの平均粒子径は0.01〜0.3μmが好ましく、0.08〜0.25μmがより好ましく、0.09〜0.23μmが特に好ましく、0.12〜0.2μmが最も好ましい。平均粒子径が0.01μm以上であると、表面処理された沈降性炭酸カルシウムの分散性が向上し、硬化性組成物の硬化物の皮膜強度が向上しゴム弾性が向上して好ましい。平均粒子径が0.3μm以下であると、塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し好ましい。
【0049】
表面処理された沈降性炭酸カルシウムのBET比表面積は、8〜25m2/gが好ましく、9〜18m2/gがより好ましく、10〜15m2/gが特に好ましく、11〜13m2/gが最も好ましい。表面処理された沈降性炭酸カルシウムのBET比表面積が上記範囲内であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。更に、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。又、硬化性組成物の貯蔵安定性を向上させることができる。なお、表面処理された沈降性炭酸カルシウムのBET比表面積は、JIS Z8830に準拠して測定された値をいう。具体的には、沈降性炭酸カルシウムのBET比表面積は、ユアサアイオニクス社から商品名「NOVA2000」にて市販されているBET比表面積計を用いて1点法にて測定することができる。
【0050】
硬化性組成物において、炭酸カルシウムとして、表面処理された炭酸カルシウムと、表面処理されていない重質炭酸カルシウムとを併用することにより、塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。更に、硬化性組成物にチキソ性を付与することができる。
【0051】
炭酸カルシウムの表面処理としては、特に限定されないが、脂肪酸、脂肪酸エステル又は脂肪酸金属塩などによる表面処理(疎水処理)が好ましい。炭酸カルシウムを脂肪酸、脂肪酸エステル又は脂肪酸金属塩などにより表面処理することにより、炭酸カルシウムの凝集を抑制することができ、その結果、硬化性組成物の塗工時の粘度を低下させることができる。更に、硬化性組成物にチキソトロピー性を付与することができる。
【0052】
脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アライン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、オブッシル酸、カルロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、モリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレビン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメクエン酸、ソルビン酸、リノール酸などが挙げられ、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸が好ましい。
【0053】
脂肪酸としては、長鎖脂肪酸が好ましく、炭素数が8〜25である長鎖脂肪酸がより好ましく、炭素数が10〜20である長鎖脂肪酸が特に好ましく、ステアリン酸及びラウリン酸がより好ましい。
【0054】
脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ラウリル、パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸ラウリルなどが挙げられる。
【0055】
脂肪酸エステルとしては、長鎖脂肪酸エステルが好ましく、炭素数が8〜25である長鎖脂肪酸のエステルがより好ましく、炭素数が10〜20である長鎖脂肪酸のエステルが特に好ましく、ステアリン酸エステル及びラウリン酸エステルが最も好ましい。
【0056】
脂肪酸金属塩としては、例えば、上記脂肪酸のナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられ、ラウリン酸のカリウム塩、ミリスチン酸のカリウム塩、パルミチン酸のカリウム塩、ステアリン酸のカリウム塩及びオレイン酸のカリウム塩、ラウリン酸のナトリウム塩、ミリスチン酸のナトリウム塩、パルミチン酸のナトリウム塩、ステアリン酸のナトリウム塩及びオレイン酸のナトリウム塩が好ましく、ラウリン酸のナトリウム塩、ミリスチン酸のナトリウム塩、パルミチン酸のナトリウム塩、ステアリン酸のナトリウム塩及びオレイン酸のナトリウム塩がより好ましい。
【0057】
又、脂肪酸金属塩で処理された沈降性炭酸カルシウムを含有している硬化性組成物は、この硬化性組成物を硬化して得られる硬化物のゴム弾性に優れている。沈降性炭酸カルシウムを脂肪酸金属塩で処理する方法としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液などのアルカリ金属水溶液中に沈降性炭酸カルシウムを浸漬させる方法などが挙げられる。
【0058】
硬化性組成物中において、表面処理された炭酸カルシウムの含有量は、加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体の総量[ポリオキシアルキレン系重合体(A)及びポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量]100質量部に対して0.5〜500質量部が好ましく、0.5〜350質量部が好ましく、0.5〜140質量部が好ましく、0.5〜40質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましく、15〜40質量部が特に好ましく、18〜35質量部が特に好ましい。表面処理された炭酸カルシウムの含有量が0.5質量部以上であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。表面処理された炭酸カルシウムの含有量が500質量部以下であると、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。更に、硬化性組成物の貯蔵安定性に優れている。
【0059】
硬化性組成物中において、表面処理された重質炭酸カルシウムの含有量は、加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体の総量[ポリオキシアルキレン系重合体(A)及びポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量]100質量部に対して30〜500質量部が好ましく、50〜350質量部が好ましく、50〜140質量部が特に好ましい。表面処理された重質炭酸カルシウムの含有量が30質量部以上であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。表面処理された重質炭酸カルシウムの含有量が500質量部以下であると、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。
【0060】
硬化性組成物中において、表面処理された沈降性炭酸カルシウムの含有量は、加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体の総量[ポリオキシアルキレン系重合体(A)及びポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量]100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましく、15〜40が特に好ましく、18〜35質量部が特に好ましい。表面処理された沈降性炭酸カルシウムの含有量が0.5質量部以上であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。表面処理された沈降性炭酸カルシウムの含有量が60質量部以下であると、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。更に、硬化性組成物の貯蔵安定性を向上させることができる。
【0061】
硬化性組成物中において、表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量は、加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して10〜300質量部が好ましく、10〜250質量部が好ましく、50〜230質量部が好ましく、70〜220質量部が好ましく、90〜210質量部が特に好ましく、160〜205質量部が最も好ましい。表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量が10質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物の皮膜強度が向上しゴム弾性が向上して好ましい。表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量が300質量部以下であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。更に、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。
【0062】
硬化性組成物中に、表面処理された重質炭酸カルシウムと、表面処理されていない重質炭酸カルシウムとを含有している場合、硬化性組成物中において、表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量は、加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して10〜300質量部が好ましく、10〜150質量部がより好ましく、90〜130質量部が好ましい。表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量が10質量部以上であると、硬化性組成物に優れたチキソ性を付与することができる。表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量が300質量部以下であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。更に、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。
【0063】
硬化性組成物中に、表面処理された沈降性炭酸カルシウムと、表面処理されていない重質炭酸カルシウムとを含有している場合、硬化性組成物中において、表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量は、加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して10〜300質量部が好ましく、10〜250質量部が好ましく、50〜230質量部が好ましく、70〜220質量部がより好ましく、90〜210質量部が特に好ましく、160〜205質量部が最も好ましい。表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量が10質量部以上であると、硬化性組成物に優れたチキソ性を付与することができる。表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量が300質量部以下であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。更に、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。
【0064】
硬化性組成物中において、表面処理された炭酸カルシウムの含有量と、表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量との比(表面処理された炭酸カルシウムの含有量/表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量)は、0.03〜2が好ましく、0.07〜1.3が好ましく、0.08〜1.2が好ましく、0.09〜0.7がより好ましく、0.095〜0.5が特に好ましく、0.096〜0.3が最も好ましい。表面処理された炭酸カルシウムの含有量と、表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量との比が上記範囲内であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。更に、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。
【0065】
硬化性組成物中に、表面処理された重質炭酸カルシウムと、表面処理されていない重質炭酸カルシウムとを含有している場合、硬化性組成物中において、表面処理された重質炭酸カルシウムの含有量と、表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量との比(表面処理された重質炭酸カルシウムの含有量/表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量)は、0.7〜2が好ましく、0.8〜1.3がより好ましく、0.9〜1.2が特に好ましい。表面処理された重質炭酸カルシウムの含有量と、表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量との比が上記範囲内であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。更に、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。
【0066】
硬化性組成物中に、表面処理された沈降性炭酸カルシウムと、表面処理されていない重質炭酸カルシウムとを含有している場合、硬化性組成物中において、表面処理された沈降性炭酸カルシウムの含有量と、表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量との比(表面処理された沈降性炭酸カルシウムの含有量/表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量)は、0.03〜2が好ましく、0.07〜1.3が好ましく、0.08〜1.2が好ましく、0.09〜0.7がより好ましく、0.095〜0.5が特に好ましく、0.096〜0.3が最も好ましい。表面処理された沈降性炭酸カルシウムの含有量と、表面処理されていない重質炭酸カルシウムの含有量との比が上記範囲内であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。更に、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。
【0067】
[ヒンダードアミン]
ヒンダードアミンは、通常、光安定剤として用いられるが、本発明の硬化性組成物においては、硬化性組成物の硬化物に耐熱性を付与するために用いられる。
【0068】
硬化性組成物は、床仕上げ材を床下地材又は既設の床仕上げ材(総称して「施工面」ということがある)上に敷設一体化させるために用いられ、床仕上げ材の敷設後において、硬化性組成物の硬化物に光が照射されることはない。
【0069】
発明者が鋭意検討した結果、ヒンダードアミンが光安定剤としての作用以外に硬化性組成物に耐熱性を付与する作用を有していることを見出した。即ち、ヒンダードアミンを硬化性組成物中に含有させることによって、硬化性組成物の塗工時の粘度を向上させることなく且つ硬化性組成物の硬化物の優れた接着性を阻害することなく、硬化性組成物に耐熱性を付与することを見出したものである。
【0070】
ヒンダードアミンとしては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重縮合物、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物とN,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンとの1対1の反応生成物などが挙げられ、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物とN,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンとの1対1の反応生成物、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]が好ましい。
【0071】
硬化性組成物中におけるヒンダードアミンの含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。ヒンダードアミンの含有量が0.01質量部以上であると、硬化性組成物に優れた耐熱性を付与することができる。ヒンダードアミンの含有量が20質量部以下であると、硬化性組成物の接着強度が向上する。
【0072】
[シラノール縮合触媒(E)]
硬化性組成物は、シラノール縮合触媒(E)を含有していることが好ましい。シラノール縮合触媒とは、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体が含有する加水分解性シリル基が加水分解することなどにより形成されたシラノール基同士の脱水縮合反応を促進させるための触媒である。なお、シラノール基とは、ケイ素原子に直接結合しているヒドロキシ基(≡Si−OH)を意味する。
【0073】
シラノール縮合触媒(E)としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジオクチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジオクチル錫ジラウレート、ビス(ジブチル錫ビストリエトキシシリケート)オキサイド、及びジブチル錫オキシビスエトキシシリケートなどの有機錫系化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、及びテトライソプロポキシチタネートなどの有機チタン系化合物;1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカー5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカー5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナー5−エンなどのシクロアミジン系化合物;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエートなどが挙げられる。又、他の酸性触媒や塩基性触媒もシラノール縮合触媒として用いることができる。これらのシラノール縮合触媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0074】
なかでも、シラノール縮合触媒としては、通常の厚みの床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができるので、有機錫系化合物が好ましく、オクチル錫化合物がより好ましく、ジオクチル錫ビス(トリエトキシシリケート)が特に好ましい。
【0075】
硬化性組成物中におけるシラノール縮合触媒の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。硬化性組成物中におけるシラノール縮合触媒の含有量が0.1質量部以上であると、硬化性組成物の硬化性が向上する。硬化性組成物中におけるシラノール縮合触媒の含有量が5質量部以下であると、硬化性組成物の貯蔵安定性や取扱性が向上する。
【0076】
[中空状充填材]
硬化性組成物は中空状充填材を含む。中空状充填材によれば、これを含む硬化性組成物を硬化させてなる硬化物層に適度な機械的強度及び適度なゴム弾性を付与することが可能となり、上記硬化物層を用いてなる床構造における目隙の発生を低減できる。
【0077】
中空状充填材としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーン、シラスバルーン、及びフライアッシュバルーンなどの中空状無機系充填剤、ポリフッ化ビニリデン、又はポリフッ化ビニリデン共重合体などの合成樹脂からなる中空状有機系充填剤などが挙げられる。これらの中空状充填材は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0078】
中空状充填材としては、中空状無機系充填剤が好ましく、ガラスバルーン、シラスバルーン、及びフライアッシュバルーンがより好ましく、シラスバルーン及びフライアッシュバルーンが特に好ましい。
【0079】
ガラスバルーンは、ガラス製の中空球状を有する充填材であり、「ガラス中空充填材」とも呼ばれる。このようなガラスバルーンは、例えば、住友スリーエム社製グラスバブルズSシリーズ及びKシリーズにより市販されている。
【0080】
シラスバルーンは、火山灰(シラス)を約1000℃で瞬間加熱して作られた発泡体であり、例えば、大建工業株式会社製からVSライトシリーズとして市販されている。
【0081】
フライアッシュバルーンは、石炭火力発電所などにおける煙道ガスに含まれている灰からなる中空球状を有する充填剤であり、シリカ及びアルミナを主成分として含んでいる。このようなフライアッシュバルーンは、例えば、日本フィライト株式会社製からFilliteシリーズとして市販されている。
【0082】
なお、中空状充填剤の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式の粒度分析測定装置を用いて測定した値とする。例えば、中空状充填剤をその濃度が10質量%となるようにメタノールに投入した後、超音波ホモジナイザーを用いて1kwの出力で超音波を10分間照射して懸濁液を得、この懸濁液についてレーザー回折・散乱式の粒度分析測定装置(例えば、島津製作所製 SACD−2100)により中空状充填剤の体積粒度分布を測定し、この体積粒度分布の累積50%の値を中空状充填剤の平均粒子径として算出することができる。
【0083】
中空状充填剤の真密度は、0.1〜1.0g/cm3が好ましく、0.15〜0.8g/cm3がより好ましい。密度が上記範囲内である中空状充填剤によれば、これを含む硬化性組成物を硬化させてなる硬化物層により適度な機械的強度及び適度なゴム弾性を付与し、上記硬化物層を用いてなる床構造における目隙の発生を低減できる。
【0084】
なお、中空状充填剤の真密度は、例えば、密度測定器(例えば、島津製作所製 アキピックII1340)を用い、気体置換法により測定することができる。
【0085】
硬化性組成物中における中空状充填材の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。硬化性組成物中における中空状充填材の含有量が1質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物に適度な機械的強度及びゴム弾性を付与し、上記硬化物層を用いてなる床構造における目隙の発生を低減できる。硬化性組成物中における中空状充填材の含有量が30質量部以下であると、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ厚みの薄い床仕上げ材の敷設においても床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができる。
【0086】
[アミノシランカップリング剤]
硬化性組成物は、アミノシランカップリング剤を含有していることが好ましい。アミノシランカップリング剤を硬化性組成物が含んでいると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。
【0087】
アミノシランカップリング剤とは、一分子中にアルコキシ基が結合した珪素原子と、窒素原子を含有する官能基とを含む化合物を意味する。アミノシランカップリング剤として、具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
【0088】
硬化性組成物中におけるアミノシランカップリング剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、2〜6質量部が特に好ましい。アミノシランカップリング剤の含有量が0.1質量部以上であると、通常の床仕上げ材は勿論のこと、厚みの薄い床仕上げ材であっても、床仕上げ材の敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる。アミノシランカップリング剤の含有量が20質量部以下であると、硬化性組成物の接着強度が向上する。
【0089】
[エポキシシランカップリング剤]
硬化性組成物は、エポキシシランカップリング剤をさらに含んでいることが好ましい。エポキシシランカップリング剤を含む硬化性組成物を硬化させてなる硬化物層によれば、上記硬化物層を用いてなる床構造において目隙が発生することを低減できる。
【0090】
エポキシシランカップリング剤とは、一分子中にアルコキシ基が結合した珪素原子と、エポキシ基を含有する官能基とを含む化合物を意味する。エポキシシランカップリング剤として、具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、及び2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのエポキシシランカップリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0091】
[脱水剤]
硬化性組成物は、脱水剤をさらに含んでいることが好ましい。脱水剤によれば、硬化性組成物を保存している際に、空気中などに含まれている水分によって硬化性組成物が硬化することを抑制することができる。
【0092】
脱水剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物;並びにオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、及びオルト酢酸エチルなどのエステル化合物などを挙げることができる。これらの脱水剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、ビニルトリメトキシシランが好ましい。
【0093】
硬化性組成物中における脱水剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましく、1〜5質量部が特に好ましい。硬化性組成物中における脱水剤の含有量が0.5質量部以上であると、硬化性組成物の貯蔵安定性が向上する。硬化性組成物中における脱水剤の含有量が20質量部以下であると、硬化性組成物の貯蔵安定性や取扱性が向上する。
【0094】
[他の添加剤]
硬化性組成物は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、顔料、染料、沈降防止剤、及び溶剤など他の添加剤を含んでいてもよい。なかでも、酸化防止剤が好ましく挙げられる。
【0095】
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。硬化性組成物中における酸化防止剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.3〜10質量部がより好ましい。
【0096】
[硬化性組成物の製造]
硬化性組成物の製造は、加水分解性シリル基を含有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及び(B)、表面処理された炭酸カルシウム(C)及び表面処理されていない炭酸カルシウム(D)、シラノール縮合触媒(E)並びに必要に応じて他の添加剤を混合する方法により行うことができる。混合は減圧下で行うことが好ましい。
【0097】
[床構造]
硬化性組成物が用いられた床構造の模式断面図の一例を図1に示す。図1に示す床構造は、床基盤1上にスペーサー2を介して敷設された床下地材30と、この床下地材30上に硬化性組成物が硬化されてなる硬化物層10を介して接着一体化された床仕上げ材20とを有する。
【0098】
このような床構造は、例えば、土間コンクリートやコンクリート製床スラブなどの床基盤1上にスペーサー2を介して床下地材30を敷設し、この床下地材30の上に、硬化性組成物を塗工した後、床仕上げ材20を敷設し、これらを所定時間放置して硬化性組成物を空気中の湿気や、床仕上げ材及び床下地材に含まれている湿気によって硬化させることにより硬化物層10を得ると共に、この硬化物層10によって床下地材30と床仕上げ材20とを接着一体化させて施工される。
【0099】
又、上記では、床基盤1と床下地材30とを非接触状態に保つために、床基盤1上にスペーサー2を介して床下地材30が敷設されているが、床基盤1上にスペーサー2を介さずに床下地材30が直接敷設されていてもよい。
【0100】
床仕上げ材を構成する部材としては、例えば、合板及びミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF:Medium Density Fiberboard)などの木質系材料、タイル、塩化ビニルシート、及び石材などが挙げられ、木質系材料が好ましい。
【0101】
床下地材を構成する部材としては、例えば、合板、パーチクルボード、木根太、石膏ボード、スレート板、及びコンクリート板などが挙げられる。
【0102】
上記硬化性組成物は、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有している。従って、硬化性組成物の塗工にあたって、熟練者でなくとも硬化性組成物を床下地材上に容易に且つ均一に塗工することができる。そして、硬化性組成物は、床仕上げ材と床下地材との間において円滑に流動して均一に広がり、床下地材と床仕上げ材との間に硬化性組成物が均一に介在した状態となる。従って、床仕上げ材を床下地材上に美麗な状態に且つ強固に敷設一体化することができる。
【0103】
そして、硬化性組成物の硬化物によって、床仕上げ材が床下地材上に強固に接着一体化されているので、床仕上げ材に施工後において目隙が生じることが抑制されている。
【0104】
又、リフォームなどにおいては、図2に示したように、既存の床構造の床仕上げ材上に硬化性組成物を用いて新しい床仕上げ材を敷設一体化して床構造が施工されてもよい。
【0105】
図1に示した床構造が既存の床構造である場合を例に挙げて説明する。既存の床仕上げ材20の上に、硬化性組成物を塗工した後、新しい床仕上げ材40を敷設する。
【0106】
しかる後、所定時間放置して硬化性組成物を空気中の湿気や、床仕上げ材及び床下地材に含まれている湿気によって硬化させることにより硬化物層50を得ると共に、この硬化物層50によって既存の床仕上げ材20と新しい床仕上げ材40とを接着一体化させて新しい床構造が施工される。
【0107】
なお、既存の床構造で用いられている硬化性組成物の硬化物層10'は、本発明の硬化性組成物の硬化物層に限らず、公知の硬化性組成物の硬化物層であってよい。
【0108】
図2の床構造の施工の場合、新しく施工される床構造の床面が、既存の床構造の床面に比してできるだけ高くならないように、新しい床仕上げ材はその厚みが通常用いられる床仕上げ材よりも薄く形成されている。このような床仕上げ材は、変形し易い上に、温度変化に伴う寸法変化率が、通常の厚みを有する床仕上げ材に比して大きい。
【0109】
上記硬化性組成物は、上述の通り、冬季のように温度が低い雰囲気下にあっても、塗工時の粘度が低く、既存の床仕上げ材上に塗工した後、新しい床仕上げ材を敷設すると、既存の床仕上げ材と、新しい床仕上げ材との間において円滑に流動して均一に拡がる。
【0110】
従って、新しい床仕上げ材が、部分的に厚く塗工された硬化性組成物の存在によって変形し、表面に凹凸が生じるような不測の事態は発生せず、新しい床仕上げ材は、美麗な状態に敷設される。
【0111】
更に、硬化性組成物の硬化物によって、新しい床仕上げ材が、既存の床仕上げ材上に強固に接着一体化されているので、床仕上げ材の厚みが薄く寸法安定性が低い場合にあっても、床仕上げ材に施工後において目隙が生じることが抑制されている。
【0112】
図1の床構造においては、床下地材上に硬化性組成物の硬化物層を介して床下地材が敷設一体化されている場合を説明したが、床下地材上に公知の床暖房パネルが配設され、この床暖房パネル上に硬化性組成物の硬化物層を介して床仕上げ材が敷設一体化されてもよい。
【0113】
図2の床構造においても、既存の床構造において、床下地材上に公知の床暖房パネルが配設され、この床暖房パネル上に公知の硬化性組成物の硬化物層を介して床仕上げ材が敷設一体化されてもよい。
【0114】
床暖房パネルが配設されている場合、床仕上げ材も床暖房パネルによって加熱されるが、硬化性組成物がヒンダードアミンを含有している場合、硬化性組成物は優れた耐熱性を発揮する。
【0115】
従って、床暖房パネルによる加熱にもかかわらず、硬化性組成物の硬化物層は、床仕上げ材(図2の床構造においては新しい床仕上げ材)を施工面上に強固に敷設一体化し、床構造の床面を構成している床仕上げ材に目隙などを生じさせることなく、床面を長期間に亘って美麗な状態に維持することができる。
【0116】
硬化性組成物が硬化してなる硬化物層のショアA硬度は、55〜85が好ましく、60〜75がより好ましい。硬化物層のショアA硬度が55以上であると、硬化物層が床仕上げ材を施工面上に強固に接着一体化し、床仕上げ材に目隙が発生するのを抑制することができる。硬化物層のショアA硬度が85以下であると、硬化物層がゴム弾性を有し、床鳴りを更に低減できるため好ましい。
【0117】
なお、本発明において、硬化性組成物が硬化してなる硬化物層のショアA硬度の測定は、硬化性組成物を基材として針葉樹合板上に幅10mm、厚み10mmで塗布した後、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下に14日間に亘って放置することにより硬化物層を形成し、この硬化物層のショアA硬度をJIS K6253に準拠してA型硬度計を用いて測定することにより行うことができる。
【発明の効果】
【0118】
本発明の硬化性組成物は、空気中の湿気や、床仕上げ材及び床下地材に含まれている湿気によって硬化し、床仕上げ材を施工面上(床下地材又は既存の床仕上げ材)に強固に接着一体化させることができる。
【0119】
従って、床仕上げ材が通常の厚みを有する場合は勿論のこと、厚みが薄い場合にあっても、床仕上げ材を施工面上に強固に接着一体化して床仕上げ材に目隙が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0120】
更に、本発明の硬化性組成物は、硬化性組成物の塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有する。床仕上げ材と施工面との間に均一な厚みでもって硬化性組成物を配設することができる。
【0121】
従って、床仕上げ材が通常の厚みを有する場合は勿論のこと、厚みが薄い場合にあっても、床仕上げ材に凹凸を概ね生じさせることなく施工面上に床仕上げ材を美麗に敷設一体化することができる。
【0122】
本発明の硬化性組成物は、溶剤を必要としないので、溶剤系接着剤のような溶剤臭はない。したがって、硬化性組成物の使用時に溶剤臭がなく環境衛生に優れている。又、硬化性組成物を硬化させて形成される硬化物層からも溶剤臭は発生せず、硬化性組成物を用いた構造物の使用時においても環境衛生に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0123】
図1】本発明の好適な一実施形態である床構造の模式断面図である。
図2】本発明の好適な他の実施形態である床構造の模式断面図である。
図3】目隙試験の手順の一つを示した斜視図である。
図4】目隙試験で作製された接合体(I)を示した斜視図である。
図5】目隙試験で作製された接合体(II)を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0124】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0125】
実施例及び比較例で用いられた化合物を下記に示す。
[加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系樹脂]
・加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)(加水分解性シリル基としてジメトキシシリル基を有し且つ主鎖骨格がポリオキシプロピレンであるポリオキシプロピレン系重合体、ウレタン結合を有していない、数平均分子量:10000、分子量分布:1.49、25℃における粘度:7000mPa・s、カネカ製 製品名「サイリル EST280」)
・加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)(加水分解性シリル基としてジメトキシシリル基を有し且つ主鎖構造がポリオキシプロピレンであるポリオキシプロピレン系重合体、ウレタン結合を有していない、数平均分子量:4500、25℃における粘度400mPa・s、カネカ社製 製品名「SAX015」)
【0126】
[表面処理された炭酸カルシウム(C)及び表面処理されていない重質炭酸カルシウム(D)]
・表面処理された重質炭酸カルシウム(C1)(日東粉化社製 製品名「NCC2310」、ステアリン酸による表面処理、平均粒子径:1.0μm)
・表面処理された沈降性炭酸カルシウム(C2)(神島化学社製 製品名「カルシーズPLS505」、脂肪酸による表面処理、BET比表面積:12m2/g、平均粒子径:0.19μm)
・表面処理された沈降性炭酸カルシウム(C3)(白石工業社製 製品名「CCR」、脂肪酸による表面処理、BET比表面積:20m2/g、平均粒子径:0.12μm)
・表面処理された沈降性炭酸カルシウム(C4)(丸尾カルシウム製 製品名「カルファインN−350」、脂肪酸による表面処理、BET比表面積:24m2/g、平均粒子径:0.097μm)
・表面処理された沈降性炭酸カルシウム(C5)(白石工業社製 製品名「CC」、脂肪酸による表面処理、BET比表面積:26m2/g、平均粒子径:0.089μm)
・表面処理されていない重質炭酸カルシウム(D1)(白石カルシウム社製 製品名「ホワイトンSB」、平均粒子径:2.0μm)
・表面処理されていない重質炭酸カルシウム(D2)(白石カルシウム社製 製品名「ホワイトンP−30」、平均粒子径:2.0μm)
【0127】
[シラノール縮合触媒(E)]
・シラノール縮合触媒(E)(ジオクチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、日東化成社製 製品名「ネオスタンS−1」)
【0128】
[アミノシランカップリング剤]
・アミノシランカップリング剤(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製 商品名「KBM−603」)
【0129】
[脱水剤]
・脱水剤(ビニルトリメトキシシラン)
【0130】
[ヒンダードアミン]
・ヒンダードアミン(ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、BASF社製 製品名「Chimassorb2020FDL」、分子量:3000)
【0131】
[酸化防止剤]
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製 IRGANOX(登録商標)1010)
(実施例1〜、比較例1〜6)
加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)、表面処理された炭酸カルシウム(C)、表面処理されていない重質炭酸カルシウム(D)、シラノール縮合触媒(E)、ヒンダードアミン、アミノシランカップリング剤、脱水剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤のそれぞれを表1又は表2に示す配合量となるようにして、密封した攪拌機中で減圧しながら均一になるまで混合することにより硬化性組成物を作製した。
【0132】
得られた硬化性組成物について、常態接着強さ、粘度、目隙試験1及び目隙試験2を下記の要領で測定し、その結果を表1及び表2に示した。
【0133】
得られた硬化性組成物の硬化物のショアA硬度を測定し、その結果を表1及び表2に示した。
【0134】
(常態接着強さ)
硬化性組成物の常態接着強さ(90度剥離試験)をJIS A5536 5.3.3 e)1)に準拠して測定した。試験用床仕上げ材として朝日ウッドテック社から商品名「ライブナチュラル(厚み12mm)にて市販されている床仕上げ材を用いた。試験用床下地材として針葉樹合板を用いた。
【0135】
(粘度)
作製直後の硬化性組成物の粘度をJIS K6833に準拠してB型粘度計を用いて23℃、10回転/分の条件下にて測定し、初期粘度とした。硬化性組成物を23℃で6カ月放置した後の硬化性組成物の粘度をJIS K6833に準拠してB型粘度計を用いて23℃、10回転/分の条件下にて測定し、貯蔵後粘度とした。
【0136】
測定された初期粘度及び貯蔵後粘度から貯蔵安定性を下記式に基づいて算出した。
貯蔵安定性(%)=100×(貯蔵後粘度−初期粘度)/初期粘度
【0137】
(目隙試験1)
床下地材70(針葉樹合板:縦300mm×横1800mm×厚み20mm)を80℃で1週間加熱することにより乾燥させた後、図3に示すように、床下地材70の短手方向に硬化性組成物60'をビード状(幅6mm、厚さ5mm)に相互の間隔が6mmとなるようにして6本塗工した。
【0138】
その後、図4に示すように、床下地材70の硬化性組成物60'が塗工された面上に、2枚の床仕上げ材80(針葉樹合板:縦300mm×横900mm×厚み12mm)を、一方の床仕上げ材80の短手方向一端面と、他方の床仕上げ材80の短手方向他端面とが接触するようにして積層することにより積層体を得た。
【0139】
次に、積層体の床仕上げ材80の四隅部に釘81を打ち、床仕上げ材80を床下地材70に固定した後、積層体を温度23℃、相対湿度55%の雰囲気下で2週間養生させることにより、硬化性組成物60'を硬化させて硬化物層60とし、床下地材70と床仕上げ材80とが硬化物層60によって接着一体化されてなる接合体(I)を得た。
【0140】
そして、この接合体(I)を温度80℃、相対湿度2%の雰囲気下で1週間、乾燥させた。乾燥後の接合体(I)における2枚の床仕上げ材80、80間に生じた目隙の寸法(mm)を測定した。
【0141】
(目隙試験2)
目隙試験1終了後、2枚の床仕上げ材80上にその長手方向に硬化性組成物をビード状(幅6mm、厚さ5mm)に相互の間隔が6mmとなるようにして6本塗工した。
【0142】
2枚の新しい床仕上げ材90(針葉樹合板:縦300mm×横900mm×厚み6.3mm)を用意した。床仕上げ材80の硬化性組成物が塗工された面上に、2枚の新しい床仕上げ材90を、一方の床仕上げ材90の短手方向一端面と、他方の床仕上げ材90の短手方向他端面とが接触するようにして積層することにより積層体を得た。
【0143】
次に、積層体の床仕上げ材90の四隅部に釘91を打ち、床仕上げ材90を床下地材70に固定した後、積層体を温度23℃、相対湿度55%の雰囲気下で2週間養生させることにより、硬化性組成物を硬化させて硬化物層61とし、既存の床仕上げ材80と、新しい床仕上げ材90とが硬化物層61によって接着一体化されてなる接合体(II)を得た(図5参照)。
【0144】
そして、この接合体(II)を温度80℃、相対湿度2%の雰囲気下で1週間、乾燥させた。乾燥後の接合体(II)における2枚の新しい床仕上げ材90、90間に生じた目隙の寸法(mm)を測定した。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【符号の説明】
【0147】
1 床基盤
10 硬化物層
20 床仕上げ材
30 床下地材
50 硬化物層
60' 硬化性組成物
60 硬化物層
61 硬化物層
70 床下地材
80 床仕上げ材
90 床仕上げ材
【要約】
【課題】 本発明は、床基盤上に敷設された床下地材上に床仕上げ材を接着するための硬化性組成物であって、塗工時の粘度が低く、冬季においても優れた塗工性を有し且つ床仕上げ材を変形させることなく美麗に敷設することができ、更に、床仕上げ材に敷設後において目隙を生じさせることなく強固に施工面上に敷設一体化させることができる硬化性組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の硬化性組成物は、数平均分子量が8000〜30000である加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)と、数平均分子量が3000〜6000である加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(B)と、表面処理された炭酸カルシウム(C)と、表面処理されていない重質炭酸カルシウム(D)と、シラノール縮合触媒(E)とを含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5