(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
本発明の一実施形態に係る前記化合物は、下記化学式1で表される。
【0017】
前記化学式1で、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、ハロゲン基、シアノ基、置換または非置換のC
1−C
60アルキル基、置換または非置換のC
6−C
60アリール基、または、置換または非置換のC
3−C
60ヘテロアリール基を示し、R
3は、置換または非置換のC
6−C
60アリール基、または、置換または非置換のC
3−C
60ヘテロアリール基を示し、Xは、単結合、あるいは置換または非置換のC
3−C
10アリーレン基を示し、Aは、置換または非置換のC
3−C
60ヘテロアリール基、または、置換または非置換のC
6−C
60であるN、OまたはSを含む縮合多環基を示し、nは、1〜7の整数を示す。
【0018】
置換基Aにおいて、前記非置換のヘテロアリール基、またはN、OまたはSを含む非置換の縮合多環基のうち少なくとも一つ以上の水素は、後述する置換されたアルキル基において説明する置換基、または複数個のアリール基及びヘテロアリール基の少なくとも一方が、単結合で連結された置換基(例えば、メタターフェニル基(m−terphenyl group)、4,4’−(1,3−フェニレン)ジピリジン基(4,4’−(1,3−phenylene)dipyridine group)などがあるが、それらに制限されるものではない)で置換されていてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態に係る前記化合物は、既存の電子注入材料、電子輸送材料に比べ、駆動電圧が改善されて効率にすぐれた有機発光素子(OLED:organic light emitting diode)を実現する。また、かかる前記化合物によれば、駆動寿命が非常に優秀であり、電力効率の上昇により消費電力が改善された有機発光素子を製造することができる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る前記化合物は、化学式1の構造において、置換基R
3が、Xと共に一直線上に位置する。したがって、前記化合物は、共役長(conjugation length)が長くなるため、分子内の双極子モーメント(dipole moment)が大きくなる。ここで、電子輸送能または電子注入能を有する化合物は、双極子モーメントが大きいほど電子移動度がさらに速くなる。したがって、本発明の一実施形態に係る前記化合物は、分子内の双極子モーメントが大きく、電子移動度が速いため、有機発光素子の駆動電圧を低下させることができる。
【0021】
前記化学式1の化合物における置換基について、さらに具体的に説明する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記化学式1において、Xは、単結合またはフェニレンである。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、前記化学式1において、R
1及びR
2は連結され、スピロ構造(spiro structure)を形成してもよい。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記化学式1において、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基またはピリジル基であってもよい。
【0025】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記化学式1で、R
3は、化学式2a〜2fのうちのいずれか一つであってもよい。
【0026】
【化2】
・・化学式2a
・・化学式2b
・・化学式2c
・・化学式2d
・・化学式2e
・・化学式2f
【0027】
前記化学式2a〜2fにおいて、Y
1、Y
2及びY
3は、それぞれ独立して、−N=、または−C(R
20)=で表される連結基であり、Z
1、Z
2及びR
20は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC
1−C
20アルキル基、置換または非置換のC
6−C
20アリール基、置換または非置換のC
3−C
20ヘテロアリール基、置換または非置換のC
6−C
20縮合多環基、C
6−C
20アリール基またはC
3−C
20ヘテロアリール基で置換されたアミン基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、またはカルボン酸基であり、pは、1〜9の整数であり、*は、結合を表す。
【0028】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記化学式1で、Aは、化学式3a〜3lのうちいずれか一つであってもよい。
【0029】
【化3】
・・化学式3a
・・化学式3b
・・化学式3c
・・化学式3d
・・化学式3e
・・化学式3f
・・化学式3g
・・化学式3h
・・化学式3i
・・化学式3j
・・化学式3k
・・化学式3l
【0030】
前記化学式3a〜3lで、Y
1、Y
2及びY
3は、それぞれ独立して、−N=または−C(R
20)=で表される連結基であり、Z
1、Z
2、R
20、R
30及びR
31は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換または非置換のC
1−C
20アルキル基、置換または非置換のC
6−C
20アリール基、置換または非置換のC
3−C
20ヘテロアリール基、置換または非置換のC
6−C
20縮合多環基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基またはカルボン酸基であり、Q
1は、SまたはOであり、pは、1〜7の整数であり、*は、結合を示す。
【0031】
本明細書で使用される置換基のうち、代表的な置換基の定義については、以下のとおりである(なお、以下で限定する置換基の炭素数は、例示的ななものであり、置換基の特性を制限するものではない)。
【0032】
非置換のC
1−C
60アルキル基は、例えば、線形又は分枝型であり、代表的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、iso−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノナニル基、ドデシル基などを挙げることができる。前記アルキル基のうち一つ以上の水素は、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸基またはその塩、C
1−C
10アルキル基、C
1−C
10アルコキシ基、C
2−C
10アルケニル基、C
2−C
10アルキニル基、C
6−C
16アリール基、またはC
4−C
16ヘテロアリール基で置換されていてもよい。
【0033】
非置換のC
2−C
60アルケニル基は、前記非置換のアルキル基の中間および最末端に少なくとも一つ以上の炭素−炭素二重結合を含んでいることを意味する。代表的な例としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基などが挙げられる。前記アルケニル基のうち少なくとも一つ以上の水素は、前述の置換されたアルキル基において説明した置換基で置換されていてもよい。
【0034】
非置換のC
2−C
60アルキニル基は、前記非置換のアルキル基の中間および最末端に少なくとも一つ以上の炭素−炭素三重結合を含んでいることを意味する。代表的な例としては、アセチレン基、プロピレン基、フェニルアセチレン基、ナフチルアセチレン基、イソプロピルアセチレン基、t−ブチルアセチレン基、ジフェニルアセチレン基などが挙げられる。前記アルキニル基のうち少なくとも一つ以上の水素は、前述の置換されたアルキル基において説明した置換基で置換されていてもよい。
【0035】
非置換のC
3−C
60シクロアルキル基は、C
3−C
60環状アルキル基を意味する。前記シクロアルキル基のうち少なくとも一つ以上の水素は、前述の置換されたアルキル基において説明した置換基で置換されていてもよい。
【0036】
C
1−C
60非置換のアルコキシ基とは、−OA(ここで、Aは、例えば、前述の非置換のC
1−C
60アルキル基)の構造を有する官能基であり、代表的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基などを挙げることができる。前記アルコキシ基のうち少なくとも一つ以上の水素は、前述の置換されたアルキル基において説明した置換基で置換されていてもよい。
【0037】
非置換のC
6−C
60アリール基は、一つ以上の芳香族環を含む炭素環芳香族系官能基を意味する。前記アリール基は、2以上の環を有する場合、互いに融合(fused)、または単結合などを介して連結されてもよい。アリールという用語は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルのような芳香族系官能基を含む。また、前記アリール基のうち一つ以上の水素は、前述の置換されたアルキル基において説明した置換基で置換されていてもよい。
【0038】
置換または非置換のC
6−C
60アリール基の例としては、フェニル基、C
1−C
10アルキルフェニル基(例えば、エチルフェニル基)、ハロフェニル基(例えば、o−,m−及びp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基)、シアノフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビフェニル基、ハロビフェニル基、シアノビフェニル基、C
1−C
10アルキルビフェニル基、C
1−C
10アルコキシビフェニル基、o−,m−及びp−トリル基、o−,m−及びp−クメニル基、メシチル基、フェノキシフェニル基、(α,α−ジメチルベンゼン)フェニル基、(N,N’−ジメチル)アミノフェニル基、(N,N’−ジフェニル)アミノフェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ハロナフチル基(例えば、フルオロナフチル基)、C
1−C
10アルキルナフチル基(例えば、メチルナフチル基)、C
1−C
10アルコキシナフチル基(例えば、メトキシナフチル基)、シアノナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントラキノリル基、メチルアントリル基、フェナントリル基、トリフェニレン基、ピレニル基、クリセニル基、エチル−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネリル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基などを挙げることができる。
【0039】
非置換のC
3−C
60ヘテロアリール基は、一つ以上の芳香族環を含み、該芳香族環を構成する原子がN、O、PまたはSのうち選択された1,2または3個のヘテロ原子を含む官能基である。ヘテロアリール基は、2以上の環を有する場合、互いに融合、または、単結合などを介して連結されてもよい。非置換のC
4−C
60ヘテロアリール基の例としては、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、カルバゾリル基、インドリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ジベンゾチオフェン基などを挙げることができる。また、前記ヘテロアリール基のうち少なくとも一つ以上の水素は、前述の置換されたアルキル基において説明した置換基で置換されていてもよい。
【0040】
非置換のC
6−C
60アリールオキシ基とは、−OA
1で表される官能基であり、A
1は、前記C
6−C
60アリール基である。前記アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基などを挙げることができる。前記アリールオキシ基のうち少なくとも一つ以上の水素は、前述の置換されたアルキル基において説明した置換基で置換されていてもよい。
【0041】
非置換のC
6−C
60アリールチオ基は、−SA
1で表される官能基であり、A
1は、前記C
6−C
60アリール基である。前記アリールチオ基の例としては、ベンゼンチオ基、ナフチルチオ基などを挙げることができる。前記アリールチオ基のうち、少なくとも1以上の水素は、前述の置換されたアルキル基の置換基において説明した置換基で置換されていてもよい。
【0042】
非置換のC
6−C
60縮合多環基とは、一つ以上の芳香族環及び一つ以上の非芳香族環が互いに融合された2以上の環を含んだ置換基、または環内に共役構造を有しない不飽和基を有する置換基を示す。前記縮合多環基は、官能基全体として芳香族性を有しないという点で、前述のアリール基またはヘテロアリール基と区別される。
【0043】
N、OまたはSを含む縮合多環基とは、N、OまたはSを含み、一つ以上の芳香族環及び一つ以上の非芳香族環が互いに融合された2以上の環を含んだ置換基、または環内に共役構造を有しない不飽和基を有する置換基を示す。なお、前記N、OまたはSを含む縮合多環基は、官能基全体として芳香性を有することができない官能基を意味する。
【0044】
前記縮合多環基、またはN、OまたはSを含む縮合多環基のうち一つ以上の水素は、前述の置換されたアルキル基において説明した置換基で置換されていてもよい。
【0045】
本発明の実施形態に係る前記化学式1で表現される化合物の具体的な例として、下記化合物1〜70を挙げることができる。しかしながら、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0047】
本発明の他の実施形態に係る有機発光素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び第2電極の間に介在する有機層と、を備えた有機発光素子であって、前記有機層は、前記化学式1で表される化合物を含む。
【0048】
前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層(以下、「H−機能層(H−functional layer)」ともいう)、バッファ層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、並びに電子輸送能及び電子注入能を同時に有する機能層(以下、「E−機能層(E−functional layer)」ともいう)のうち少なくとも1層を含んでもよい。
【0049】
さらに具体的には、前記有機層は、電子注入層、電子輸送層、またはE−機能層であってもよい。特に、前記有機層は、電子輸送層であってもよい。
【0050】
本発明の実施形態によれば、前記有機発光素子は、電子注入層、電子輸送層、E−機能層、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、またはH−機能層を含む。また、前記電子注入層、電子輸送層、またはE−機能層は、本発明の実施形態に係る電子注入能及び電子輸送能の少なくとも一方を有する化合物を含む。さらに、前記発光層は、アントラセン系化合物、アリールアミン系化合物またはスチリル系化合物を含んでもよい。
【0051】
本発明の他の実施形態によれば、前記有機発光素子は、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、またはH−機能層を含む。また、前記発光層の赤色層、緑色層、青色層または白色層のうちいずれか1層は、リン光化合物を含み、前記正孔注入層、正孔輸送層、またはH−機能層は、電荷生成物質を含んでもよい。なお、前記電荷生成物質は、p−ドーパントであり、前記p−ドーパントは、例えば、キノン誘導体、金属酸化物またはシアノ基含有化合物であってもよい。
【0052】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記有機層は、電子輸送層を含み、前記電子輸送層は、電子輸送性有機化合物及び金属錯体を含んでもよい。前記金属錯体は、Li錯体であってもよい。
【0053】
本明細書において「有機層」は、有機発光素子において、第1電極と第2電極との間に介在する単一または複数の層を示す用語である。
【0054】
図1は、本発明の実施形態に係る有機発光素子の断面図を概略的に図示したものである。以下、
図1を参照し、本発明の実施形態に係る有機発光素子の構造及び製造方法について説明する。
【0055】
ここで、基板(図示せず)としては、一般的な有機発光素子で使用される基板を使用することができる。特に、機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取り扱い容易性及び防水性にすぐれるガラス基板または透明プラスチック基板を使用することができる。
【0056】
前記第1電極は、基板上部に、第1電極用物質を、蒸着法またはスパッタリング法などを用いて提供することによって形成される。前記第1電極がアノードである場合、正孔注入が容易なように、第1電極用物質は、仕事関数が大きい物質が選択される。また、前記第1電極は、反射型電極または透過型電極であってもよい。第1電極用物質としては、例えば、透明であり、伝導性にすぐれる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)などを利用することができる。または、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを用いることにより前記第1電極を反射型電極として形成することも可能である。
【0057】
前記第1電極は、単一層または2以上の多層構造を有してもよい。。前記第1電極は、例えば、ITO/Ag/ITOの3層構造であってもよいが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0058】
前記第1電極上部には、有機層が備えられる。
【0059】
前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、バッファ層(図示せず)、発光層、電子輸送層または電子注入層などを含んでもよい。
【0060】
正孔注入層(HIL)は、前記第1電極の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir−Blodgett)法などの多様な方法を用いて形成することができる。
【0061】
真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、例えば、蒸着温度が約100〜約500℃、真空度が約10
−8〜約10
−3torr(約1.3×10
−6〜約1.3×10
−1Pa)、蒸着速度が約0.01〜約100Å/sec(約0.001〜約10nm/sec)の範囲で選択される。ただし、該蒸着条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性などによって異なるため、上記に限定されるものではない。
【0062】
スピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、そのコーティング条件は、例えば、コーティング速度が約2,000rpm〜約5,000rpm、コーティング後の溶媒除去の熱処理温度が、約80℃〜200℃の温度範囲で選択される。ただし、該コーティング条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性によって異なるため、上記に限定されるものではない。
【0063】
正孔注入物質としては、公知の正孔注入物質を使用することができる。公知の正孔注入物質としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−[4−(フェニル−m−トリル−アミノ)−フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン(DNTPD)、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、4,4’,4”−トリス{N,Nジフェニルアミノ}トリフェニルアミン(TDATA)、4,4’,4”−トリス(N,N−2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、またはポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PANI/PSS)などを使用することができるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0065】
前記正孔注入層の厚みは、例えば、約100Å〜約10,000Å(約10nm〜約1,000nm)、より具体的には、約100Å〜約1,000Å(約10nm〜約100nm)であってもよい。前記正孔注入層の厚みが、前述の範囲に含まれる場合、実質的に駆動電圧を上昇させることなく、所望の正孔注入特性を得ることができる。
【0066】
次に、前記正孔注入層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような多様な方法を利用して、正孔輸送層(HTL)が形成される。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔輸送層を形成する場合、蒸着条件及びコーティング条件は、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同一の条件範囲から選択される。ただし、蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるため、上記に限定されるものではない。
【0067】
正孔輸送物質としては、公知の正孔輸送物質を使用することができる。公知の正孔輸送材料としては、例えば、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)などを挙げることができるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0069】
前記正孔輸送層の厚みは、例えば、約50Å〜約2,000Å(約5nm〜約200nm)、より具体的には、、約100Å〜約1,500Å(約10nm〜150nm)であってもよい。前記正孔輸送層の厚みが前述の範囲に含まれる場合、実質的に駆動電圧を上昇させることなく、所望の正孔輸送特性を得ることができる。
【0070】
前記H−機能層(正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する機能層)には、前述のような正孔注入層物質及び正孔輸送層物質のうち、1以上の物質が含まれる。また、前記H−機能層の厚みは、例えば、約500Å〜約10,000Å(約50nm〜約1,000nm)、より具体的には、約100Å〜約1,000Å(約10nm〜約100nm)であってもよい。前記H−機能層の厚みが前述の範囲に含まれる場合、実質的に駆動電圧を上昇させることなく、所望の正孔注入及び正孔輸送の特性を得ることができる。
【0071】
ここで、前記正孔注入層、正孔輸送層及びH−機能層のうち少なくとも1層は、下記化学式300で表される化合物、及び下記化学式350で表される化合物のうち一つ以上を含んでもよい。
【0072】
【化7】
・・化学式300
・・化学式350
【0073】
前記化学式300及び350において、Ar
11、Ar
12、Ar
21及びAr
22は、それぞれ独立して、置換または非置換のC
5−C
60アリーレン基である。
【0074】
前記化学式300において、前記e及びfは、互いに独立して0〜5の整数であり、例えば、0、1または2である。また、より具体的には、前記eは1であり、fは0であるが、本発明は、それらに限定されるものではない。
【0075】
前記化学式300及び350において、例えば、R
51〜R
58、R
61〜R
69、並びにR
71及びR
72は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸基またはその塩、置換または非置換のC
1−C
60アルキル基、置換または非置換のC
2−C
60アルケニル基、置換または非置換のC
2−C
60アルキニル基、置換または非置換のC
1−C
60アルコキシ基、置換または非置換のC
3−C
60シクロアルキル基、置換または非置換のC
5−C
60アリール基、置換または非置換のC
5−C
60アリールオキシ基、または置換または非置換のC
5−C
60アリールチオ基であってもよい。また、より具体的には、前記R
51〜R
58、R
61〜R
69、並びにR
71及びR
72は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸基またはその塩、C
1−C
10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)、C
1−C
10アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基など)、または、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、及びリン酸基またはその塩のうち一つ以上で置換されたC
1−C
10アルキル基及びC
1−C
10アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、ピレニル基、または、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸基またはその塩、C
1−C
10アルキル基及びC
1−C
10アルコキシ基のうち一つ以上で置換されたフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基及びピレニル基のうち一つであるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0076】
前記化学式300において、R
59は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、ピリジル基、及び、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸基またはその塩、置換または非置換のC
1−C
20アルキル基、及び、置換または非置換のC
1−C
20アルコキシ基のうち一つ以上で置換されたフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基及びピリジル基のうち一つである。
【0077】
本発明の実施形態によれば、前記化学式300で表される化合物は、下記化学式300Aで表される化合物であってもよい。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0079】
前記化学式300Aにおいて、R
51、R
61、R
62及びR
59についての詳細な説明は、前述の記載を参照する。
【0080】
例えば、前記正孔注入層、正孔輸送層及びH−機能層のうち少なくとも1層は、下記化合物301〜320のうち一つ以上を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0082】
前記正孔注入層、正孔輸送層及びH−機能層のうち少なくとも1層は、前述の公知の正孔注入物質、公知の正孔輸送物質、及び正孔注入能及び正孔輸送能を同時に有する化合物以外に、膜の導電性などを向上させるために、電荷生成物質をさらに含んでもよい。
【0083】
前記電荷生成物質は、例えば、p−ドーパントであってもよい。前記p−ドーパントは、キノン誘導体、金属酸化物及びシアノ基含有化合物のうち一つであるが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、前記p−ドーパントの代表的なな例としては、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)及び2,3,5,6−テトラフルオロ−テトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4−TCNQ)のようなキノン誘導体、タングステン酸化物及びモリブデン酸化物のような金属酸化物、及び下記化合物200のようなシアノ基含有化合物などを挙げることができる。しかし、本発明は、これらにそれらに限定されるものではない。
【0084】
【化10】
・・F4−TCNQ
・・化合物200
【0085】
前記正孔注入層、前記正孔輸送層または前記H−機能層が、前記電荷生成物質をさらに含む場合、前記電荷生成物質は、正孔注入層、前記正孔輸送層または前記H−機能層の中に均一に(homogeneous)分散されてもよく、または不均一に分散されてもよく、多様な変形が可能である。
【0086】
前記正孔注入層、正孔輸送層及びH−機能層のうち少なくとも1層と、前記発光層との間には、バッファ層が形成される。前記バッファ層は、発光層から放出された光の波長によって光学的共振距離を補い、効率を向上させることができる。ここで、前記バッファ層は、公知の正孔注入材料、正孔輸送材料を含んでもよい。また、前記バッファ層は、バッファ層の下部に形成された前記正孔注入層、正孔輸送層及びH−機能層に含まれた物質のうちの一つと同一の物質を含んでもよい。
【0087】
さらに、正孔輸送層、H−機能層またはバッファ層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの方法を用いて、発光層(EML)が形成される。ここで、真空蒸着法及びスピンコーティング法によって発光層を形成する場合、蒸着条件及びコーティング条件は、一般的に、正孔注入層の形成時とほぼ同一の条件範囲から選択される。ただし、蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるため、上記に限定されるものではない。
【0088】
また、前記発光層は、ホストを含んでもよい。
【0089】
前記ホストとしては、例えば、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)、4,4’−N,N’−ジカバゾール−ビフェニル(CBP)、ポリ(n−ビニルカルバゾール)(PVK)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(DNA)、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、E3、ジスチリルアリーレン(DSA)、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(dmCBP)、下記化合物501〜509などを使用することができるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0091】
または、前記ホストとして、下記化学式400で表されるアントラセン系化合物を使用することができる。
【0093】
前記化学式400において、Ar
111及びAr
112は、それぞれ独立して、置換または非置換のC
5−C
60アリーレン基であり、前記Ar
113〜Ar
116は、それぞれ独立して、置換または非置換のC
1−C
10アルキル基、あるいは置換または非置換のC
5−C
60アリール基であり、g、h、i及びjは、互いに独立して、0〜4の整数である。
【0094】
例えば、前記化学式400において、Ar
111及びAr
112は、フェニレン基、ナフチレン基、フェナントレニレン基またはピレニレン基、または、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基のうち一つ以上で置換されたフェニレン基、ナフチレン基、フェナントレニレン基、フルオレニル基、あるいはピレニレン基であってもよいが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0095】
また、例えば、前記化学式400において、g、h、i及びjは、それぞれ独立して、0、1または2であってもよい。
【0096】
さらに、例えば、前記化学式400において、Ar
113〜Ar
116は、それぞれ独立して、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基のうち一つ以上で置換されたC
1−C
10アルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、または、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸基またはその塩、C
1−C
60アルキル基、C
2−C
60アルケニル基、C
2−C
60アルキニル基、C
1−C
60アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基及びフルオレニル基のうち一つ以上で置換されたフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基及びフルオレニル基、及び下記化学式600のうち一つであるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0098】
例えば、前記化学式400で表されるアントラセン系化合物は、下記化合物のうち一つであるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0100】
または、前記ホストとして、下記化学式401で表されるアントラセン系化合物を使用することができる。
【0102】
前記化学式401において、Ar
122〜Ar
125についての詳細な説明は、前記化学式400のAr
113に係わる説明を参照する。
【0103】
前記化学式401において、Ar
126及びAr
127は、それぞれ独立して、C
1−C
10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基またはプロピル基)である。
【0104】
前記化学式401において、k及びlは、互いに独立して、0〜4の整数である。例えば、前記k及びlは、0、1または2である。
【0105】
例えば、前記化学式401で表されるアントラセン系化合物は、下記化合物のうち一つであるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0107】
前記有機発光素子が、フルカラー有機発光素子である場合、発光層は、赤色発光層、緑色発光層、及び青色発光層にパターニングされる。
【0108】
ここで、前記赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層のうち少なくとも1層は、下記ドーパントを含んでもよい(ppy=フェニルピリジンである)
【0110】
例えば、赤色ドーパントとしては、下記の化合物を使用することができるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0112】
また、例えば、緑色ドーパントとしては、下記の化合物を使用することができるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0114】
一方、前記発光層に含まれるドーパントは、後述するようなPd錯体またはPt錯体であってもよいが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0116】
また、前記発光層に含まれるドーパントは、後述するOs錯体であってもよいが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0118】
前記発光層がホスト及びドーパントを含む場合、ドーパントの含量は、一般的に、ホスト約100質量部を基準にして、約0.01〜約15質量部の範囲で選択される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0119】
前記発光層の厚みは、例えば、約100Å〜約1,000Å(約10nm〜約100nm)、より具体的には、約200Å〜約600Å(約20nm〜約60nm)である。前記発光層の厚みが前述の範囲に含まれる場合、実質的に駆動電圧を上昇させることなく、優秀な発光特性を得ることができる。
【0120】
次に、発光層の上部に、電子輸送層(ETL)が、真空蒸着法あるいはスピンコーティング法、キャスト法などの多様な方法によって形成される。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって電子輸送層を形成する場合、蒸着条件またはコーティング条件は、一般的に、正孔注入層の形成時とほぼ同一の条件範囲から選択される。ただし、蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるため、上記に限定されるものではない。
【0121】
前記電子輸送層は、電子注入電極(カソード)から注入された電子を安定して輸送する機能を行う。したがって、前記電子輸送層の材料としては、本発明の実施形態に係る化合物、または公知の電子輸送物質を利用することができる。公知の電子輸送物質の例としては、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリン)−4−フェニルフェノレート(BAlq)、ベリリウムビス(ベンゾキノリン−10−オラート)(Bebq2)などのキノリン誘導体、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(DNA)、化合物201、化合物202のような材料を使用することができる。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0122】
【化22】
・・化学式201
・・化学式202
【0123】
前記電子輸送層の厚みは、例えば、約100Å〜約1,000Å(約10nm〜約100nm)、より具体的には、約150Å〜約500Å(約15nm〜約50nm)である。前記電子輸送層の厚みが前述の範囲に含まれる場合、実質的に駆動電圧を上昇させることなく、所望の電子輸送特性を得ることができる。
【0124】
なお、前記電子輸送層は、公知の電子輸送性有機化合物以外に、金属含有物質をさらに含んでもよい。
【0125】
前記金属含有物質は、例えば、Li錯体であってもよい。前記Li錯体の代表的な例としては、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)、または下記化合物203などを挙げることができる。
【0127】
また、電子輸送層の上部に、負極から電子の注入を容易にする機能を有する電子注入層(EIL)が積層される。電子輸送層の材料としては、本発明の実施形態に係る化合物を使用することもできるが、特別に材料を制限するものではない。
【0128】
前記電子注入層の形成材料としては、例えば、LiF、NaCl、CsF、Li
2O、BaOなどの電子注入層の形成材料として公知の物質を任意に使用することができる。前記電子注入層の蒸着条件は、一般的に、正孔注入層の形成時とほぼ同一の条件範囲から選択される。ただし、蒸着条件は、使用する化合物によって異なるため、上記に限定されるものではない。
【0129】
前記電子注入層の厚みは、例えば、約1Å〜約100Å(約0.1nm〜約10nm)、より具体的には、約3Å〜約90Å(約0.3nm〜約9nm)である。前記電子注入層の厚みが前述の範囲に含まれる場合、実質的に駆動電圧を上昇させることなく、所望の電子注入特性を得ることができる。
【0130】
このような有機層の上部には、第2電極が備えられる。前記第2電極は、電子注入電極であるカソードである。前記第2電極は、小さい仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物及びそれらの混合物を使用して形成することができる。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを薄膜に形成して、透過型電極として第2電極を形成することができる。一方、前面発光素子を得る場合は、ITO、IZOを利用して、第2電極を透過型電極として形成してもよく、多様な変形が可能である。
【0131】
以上、前記有機発光素子について、
図1を参照して説明したが、本発明は、上記例示に限定されるものではない。
【0132】
なお、発光層に、リン光ドーパントを使用する場合、三重項励起子または正孔が、電子輸送層に拡散する現象を防止するために、前記電子輸送層と発光層との間、またはE−機能層と発光層との間に、正孔阻止層(HBL)を形成してもよい。正孔阻止層(HBL)は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの方法を用いて形成することができる。ここで、真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔阻止層を形成する場合、蒸着条件またはコーティング条件は、一般的に、正孔注入層の形成時とほぼ同一の条件範囲から選択される。ただし、蒸着条件またはコーティング条件は、使用する化合物によって異なるため、上記に限定されるものではない。また、正孔阻止層(HBL)の材料としては、公知の正孔阻止材料を使用することができ、代表的な例としては、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロ−リン誘導体などを挙げることができる。例えば、下記のような2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を正孔阻止層材料として使用することができる。
【0134】
前記正孔阻止層の厚みは、例えば、約20Å〜約1,000Å(約2nm〜約100nm)、より具体的には、約30Å〜約300Å(約3nm〜約30nm)である。前記正孔阻止層の厚みが前述の範囲を満足する場合、実質的に駆動電圧を上昇させることなく、優秀な正孔阻止特性を得ることができる。
【0135】
本発明による有機発光素子は、多様な形態の平板表示装置、例えば、受動マトリックス有機発光表示装置、及び能動マトリックス有機発光表示装置に備えられる。特に、能動マトリックス有機発光表示装置に備えられる場合、基板側に形成された第1電極は、画素電極として、薄膜トランジスタのソース電極またはドレイン電極と電気的に接続される。また、本発明による有機発光素子は、例えば、両面で画面を表示可能な平板表示装置に備えられてもよい。
【0136】
また、本発明の実施形態に係る有機発光素子の有機層は、本発明の実施形態に係る化合物を使用した蒸着方法、または本発明の実施形態に係る化合物を溶液にしてコーティングする湿式方法によって形成されてもよい。
【0137】
以下、合成例及び実施例をあげて、本発明の実施形態に係る有機発光素子について、さらに具体的に説明するが、本発明は、下記の合成例及び実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0138】
合成例1:化合物5の合成
【化25】
【0139】
中間体I−1の合成
4H−シクロペンタ[def]フェナントレン(化合物A)3.80g(20mmol)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)20mLと50%水酸化ナトリウム水溶液20mLとに加えた後、ヨードメタン2.96g(21mmol)を徐々に添加した。常温で24時間反応させた後、水50mlとジエチルエーテル50mlとで3回抽出した。集めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を蒸発させた。得られた残留物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体I−1 3.70g(収率85%)を得た。生成された化合物は、MS/FAB(mass spectroscopy/fast atom bombardment)によって確認した。
C
17H
14:計算値218.10、実測値218.32
【0140】
中間体I−2の合成
中間体I−1 3.70g(17.0mmol)、10%パラジウムチャコール600mgを、メタノール/塩化メチレン(体積比1/1)混合溶液100mlに溶かした後、水素気圧下(60psi(約41.4MPa))で15時間撹拌した。フィルタリングして触媒を除去した後、溶媒を蒸発させた。得られた残留物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体I−2 3.52g(収率94%)を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
17H
16:計算値220.12、実測値220.33
【0141】
中間体I−3の合成
CuBr
2 20gを蒸溜水60mLに溶かし、中性アルミナ40gを、常温で該水溶液に入れた。溶媒を蒸発させた後、得られた残留物を15時間100℃、4Torr(約533Pa)気圧下に置くと、アルミナに吸収されたCuBr
2が得られた。中間体I−2 4.40g(7.00mmol)を四塩化炭素140mLに溶かした後、常温で、前述のアルミナに吸収されたCuBr
2 62gを添加した。60℃で12時間撹拌した後でフィルタリングした固体を、四塩化炭素60mLで洗浄した。得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体I−3 2.14g(収率81%)を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
17H
14Br
2:計算値375.94、実測値376.11
【0142】
中間体I−4の合成
中間体I−3 2.14g(5.66mmol)をCS
2 70mLに溶かした後、CS
2に溶かしたブロミン0.32mL(6.22mmol)を3時間徐々に滴加する。1時間撹拌した後、真空下で濃縮した。得られた残留物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体I−4 1.92g(収率90%)を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
17H
12Br
2:計算値373.93、実測値374.14
【0143】
中間体I−5の合成
中間体I−4 1.92g(5.09mmol)、フェニルボロン酸(化合物B)0.34g(2.99mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)0.29g(0.25mmol)及びK
2CO
3 0.62g(4.48mmol)を、テトラヒドロフラン(THF)/H
2O(体積比2/1)混合溶液60mlに溶かした後、70℃で5時間撹拌した。前記反応溶液を室温に冷やした後、水40mlを加えてエチルエーテル50mlで3回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた残留物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体I−5 0.82g(収率74%)を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
23H
17Br:計算値372.05、実測値372.19
【0144】
中間体I−6の合成
中間体I−5 3.72g(10.0mmol)、ビス(ピナコラト)ジボラン(bis(pinacolato)diborane)2.54g(10.0mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)([1,1’−bis(diphenylphosphino)ferrocene]dichloropalladium(II)(以下、PdCl
2(dppf)
2とする)0.36g(0.5mmol)及びKOAc 2.94g(30.0mmol)を、DMSO 40mlに溶かした後、80℃で6時間撹拌した。反応液を常温に冷やした後、水50mlとジエチルエーテル50mlとで3回抽出した。集めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた残留物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体I−6 3.48g(収率80%)を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
29H
29BO
2:計算値420.22、実測値420.45
【0145】
化合物5の合成
中間体I−6 0.92g(2.20mmol)、2−(4−ブロモフェニル)−1−フェニル−1−ベンゾイミダゾール0.69g(化合物C)(2.20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスピン)パラジウム(Pd(PPh
3)
4)0.127g(0.11mmol)及びK
2CO
3 0.45g(3.3mmol)を、THF/H
2O(体積比2/1)混合溶液40mlに溶かした後、70℃で5時間撹拌した。前記反応溶液を室温に冷やした後、水30mlを加えてエチルエーテル30mlで3回抽出した。集めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた残留物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、化合物50.94g(収率76%)を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
42H
30N
2:計算値562.24、実測値563.33
【0146】
合成例2:化合物14の合成
【化26】
【0147】
中間体I−7の合成
2−クロロ−4,6−ジフェニル−[1,3,5]−トリアジン2.68g(10mmol)、4−ブロモ−フェニルボロン酸2.82g(10.0mmol)、Pd(PPh
3)
4 0.58g(0.5mmol)及びK
2CO
3 4.14g(30.0mmol)を、THF/H
2O(体積比2/1)混合溶液60mlに溶かした後、70℃で5時間撹拌した。反応液を常温に冷やした後、水60mLとジエチルエーテル60mLとで3回抽出した。集めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた残留物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体I−6 2.56g(収率66%)を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
22H
18BrN
3:計算値403.06、実測値403.22
【0148】
【化27】
【0149】
中間体I−8の合成
中間体I−5の合成と同一の方法で、フェニルボロン酸の代わりに、4−ピリジンボロン酸を用いて、中間体I−8を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
22H
16BrN:計算値373.04、実測値373.16
【0150】
中間体I−9の合成
中間体I−6の合成と同一の方法で、中間体I−5の代わりに、中間体I−8を用いて、中間体I−9を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
28H
28BNO
2:計算値421.22、実測値421.41
【0151】
化合物14の合成
化合物5の合成と同一の方法で、中間体I−6の代わりに、中間体I−9を、2−(4−ブロモフェニル)−1−フェニル−1−ベンゾイミダゾールの代わりに、中間体I−7を用いて、化合物14を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
44H
34N
4:計算値618.27、実測値619.36
【0152】
合成例3:化合物32の合成
【化28】
【0153】
中間体I−10の合成
中間体I−5の合成と同一の方法で、フェニルボロン酸の代わりに、6−キノリンボロン酸を用いて、中間体I−10を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
26H
18BrN:計算値423.06、実測値423.23
【0154】
中間体I−11の合成
中間体I−6の合成と同一の方法で、中間体I−5の代わりに、中間体I−10を用いて、中間体I−11を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
32H
30BNO
2:計算値471.23、実測値471.41
【0155】
【化29】
【0156】
中間体I−12の合成
3,5−ジフェニル−[1,2,4]−トリアゾール2.21g(10mmol)、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン4.24g(15.0mmol)、CuI 0.10g(0.5mmol)、18−クラウン−6−エーテル0.13(0.5mmol)及びK
2CO
3 4.14g(30.0mmol)を、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)50mLに溶かした後、170℃で24時間撹拌した。反応液を常温に冷やした後、水60mLとジクロロメタン60mLとで3回抽出した。集めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた残留物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体I−12 2.56g(収率68%)を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
20H
14BrN
3:計算値375.03、実測値375.16
【0157】
化合物32の合成
化合物5の合成と同一の方法で、中間体I−6の代わりに、中間体I−11を、2−(4−ブロモフェニル)−1−フェニル−1−ベンゾイミダゾールの代わりに、中間体I−12を用いて、化合物32を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
46H
32N
4:計算値613.25、実測値614.36
【0158】
合成例4:化合物45の合成
【化30】
【0159】
中間体I−13の合成
中間体I−5の合成と同一の方法で、フェニルボロン酸の代わりに、2−フェナントレンボロン酸を用いて、中間体I−13を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
31H
21Br:計算値472.08、実測値472.23
【0160】
中間体I−14の合成
中間体I−6の合成と同一の方法で、中間体I−5の代わりに、中間体I−13を用いて、中間体I−14を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
37H
33BO
2:計算値520.25、実測値520.36
【0161】
【化31】
【0162】
中間体I−15の合成
中間体I−5の合成と同一の方法で、中間体I−4の代わりに、2,6−ジブロモピリジンを、4−ブロモ−フェニルボロン酸の代わりに、4−ピリジンボロン酸を用いて、中間体I−15を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
10H
7BrN
2:計算値233.97、実測値234.06
【0163】
化合物45の合成
化合物5の合成と同一の方法で、中間体I−6の代わりに、中間体I−14を、2−(4−ブロモフェニル)−1−フェニル−1−ベンゾイミダゾールの代わりに、中間体I−15を用いて、化合物45を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
41H
28N
2:計算値624.25、実測値625.39
【0164】
合成例5:化合物55の合成
【化32】
【0165】
中間体I−16の合成
中間体I−5の合成と同一の方法で、フェニルボロン酸の代わりに、2−(9,10−フェナントロ−リン)−ボロン酸を用いて、中間体I−16を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
29H
19BrN
2:計算値257.97、実測値258.03
【0166】
中間体I−17の合成
中間体I−6の合成と同一の方法で、中間体I−5の代わりに、中間体I−16を用いて、中間体I−17を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
35H
31BN
2O
2:計算値522.24、実測値522.38
【0167】
【化33】
【0168】
中間体I−18の合成
中間体I−5の合成と同一の方法で、中間体I−4の代わりに、2−ブロモ−ベンゾチアゾルを用いて、中間体I−18を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
13H
8BrNS:計算値288.95、実測値289.21
【0169】
化合物55の合成
化合物5の合成と同一の方法で、中間体I−6の代わりに、中間体I−17を、2−(4−ブロモフェニル)−1−フェニル−1−ベンゾイミダゾールの代わりに、中間体I−18を用いて、化合物55を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
42H
27N
3S:計算値625.23、実測値626.34
【0170】
合成例6:化合物60の合成
【化34】
【0171】
中間体I−19の合成
中間体I−5の合成と同一の方法で、フェニルボロン酸の代わりに、4−シアノフェニルボロン酸を用いて、中間体I−19を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
34H
20BrN:計算値522.43、実測値522.65
【0172】
中間体I−20の合成
中間体I−6の合成と同一の方法で、中間体I−5の代わりに、中間体I−19を用いて、中間体I−20を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
40H
32BNO
2:計算値569.25、実測値569.42
【0173】
【化35】
【0174】
中間体I−21の合成
中間体I−5の合成と同一の方法で、中間体I−4の代わりに、2−ブロモ−イミダゾ[1,2−a]ピラジンを用いて、中間体I−21を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
12H
8BrN
3:計算値272.99、実測値273.31
【0175】
化合物60の合成
化合物5の合成と同一の方法で、中間体I−6の代わりに、中間体I−20を、2−(4−ブロモフェニル)−1−フェニル−1−ベンゾイミダゾールの代わりに、中間体I−21を用いて、化合物60を得た。生成された化合物は、MS/FABによって確認した。
C
46H
28N
4:計算値605.19、実測値606.30
【0176】
前記合成経路の合成方法、及び適切な原料物質を利用して次の化合物を追加合成した。表1〜5において、合成された化合物の1H NMR(nuclear magnetic resonance)及びMS/FABを示す。
【0177】
表1〜5の他の化合物も、前述の合成経路及び原料物質を参照し、当該技術分野の当業者であれば、該合成方法を容易に認識することができるであろう。
【0178】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0179】
実施例1
アノードは、コーニング(Corning)15Ω/cm
2(1,200Å(120nm))ITOガラス基板を、50mmx50mmx0.7mmサイズに切って使用した。ガラス基板をイソプロピルアルコールと純水とを利用して、それぞれ5分間超音波洗浄した後、30分間紫外線を照射し、さらにオゾンに露出させて洗浄した。その後、真空蒸着装置にこのガラス基板を設けた。
【0180】
前記基板上部に、まず、正孔注入層として、公知の物質である4,4’,4”−トリス(N,N−2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を真空蒸着し、600Å(60nm)厚に形成した。次に、正孔輸送性化合物として、公知の物質である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)を300Å(30nm)厚に真空蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0181】
前記正孔輸送層の上部に、青色蛍光ホストとして、公知の化合物である9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(DNA)を、青色蛍光ドーパントとして、公知の化合物である4,4’‐ビス(2,2‐ジフェニルビニル)‐1,1’‐ビフェニル(DPVBi)を、質量比98:2で同時蒸着し、300Å(30m)厚で発光層を形成した。
【0182】
【化36】
【0183】
次に、前記発光層の上部に、電子輸送層として、本発明の化合物5を300Å(30nm)厚に蒸着した。さらに、この電子輸送層の上部に、ハロゲン化アルカリ金属であるLiFを、電子注入層として10Å(1nm)厚に蒸着し、Alを3,000Å(300nm)(負極電極)厚に真空蒸着し、LiF/Al電極を形成することにより、有機発光素子を製造した。
【0184】
この素子は、電流密度50mA/cm
2で駆動電圧5.25V、発光輝度2,050cd/m
2であった。また、発光効率は、4.10cd/Aであり、半減寿命(hr@100mA/cm
2)は、291時間を示した。
【0185】
実施例2
電子輸送層の形成時に、前記化合物5の代わりに、化合物14を利用したことを除き、実施例1と同様に有機発光素子を製作した。
【0186】
この素子は、電流密度50mA/cm
2で駆動電圧5.31V、発光輝度2,355cd/m
2であった。また、発光効率は、4.71cd/Aであり、半減寿命(hr@100mA/cm
2)は、257時間を示した。
【0187】
実施例3
電子輸送層の形成時に、前記化合物5の代わりに、化合物32を利用したことを除き、実施例1と同様に有機発光素子を製作した。
【0188】
この素子は、電流密度50mA/cm
2で駆動電圧5.42V、発光輝度2,240cd/m
2であった。また、発光効率は、4.48cd/Aであり、半減寿命(hr@100mA/cm
2)は、245時間を示した。
【0189】
実施例4
電子輸送層の形成時に、前記化合物5の代わりに、化合物45を利用したことを除き、実施例1と同様に有機発光素子を製作した。
【0190】
この素子は、電流密度50mA/cm
2で駆動電圧5.20V、発光輝度2,258cd/m
2であった。また、発光効率は、4.51cd/Aであり、半減寿命(hr@100mA/cm
2)は、283時間を示した。
【0191】
実施例5
電子輸送層の形成時に、前記化合物5の代わりに、化合物55を利用したことを除き、実施例1と同様に行って有機発光素子を製作した。
【0192】
この素子は、電流密度50mA/cm
2で駆動電圧5.49V、発光輝度2,140cd/m
2であった。また、発光効率は、4.28cd/Aであり、半減寿命(hr@100mA/cm
2)は、203時間を示した。
【0193】
実施例6
電子輸送層の形成時に、前記化合物5の代わりに、化合物60を利用したことを除き、実施例1と同様に有機発光素子を製作した。
【0194】
この素子は、電流密度50mA/cm
2で駆動電圧5.44V、発光輝度2,211cd/m
2であった。また、発光効率は、4.42cd/Aであり、半減寿命(hr@100mA/cm
2)は、234時間を示した。
【0195】
比較例1
電子輸送層の形成時、前記化合物5の代わりに、公知の物質であるAlq3を利用したことを除き、実施例1と同様に有機発光素子を製作した。
【0196】
この素子は、電流密度50mA/cm
2で駆動電圧7.85V、発光輝度1,560cd/m
2であった。また、発光効率は、3.12cd/Aであり、半減寿命(hr@100mA/cm
2)は、113時間を示した。
【0197】
【化37】
【0198】
比較例2
電子輸送層の形成時、前記化合物5の代わりに、公知の物質である化学式700を利用したことを除き、実施例1と同様に有機発光素子を製作した。
【0199】
この素子は、電流密度50mA/cm
2で駆動電圧6.05V、発光輝度1,960cd/m
2であった。発光効率は、3.92cd/Aであり、半減寿命(hr@100mA/cm
2)は、201時間を示した。
【0200】
【化38】
・・化学式700
【0201】
各実施例の素子特性及び寿命結果を要約して表6に示す。
【0202】
【表6】
【0203】
表6を参照すると、本発明による化学式1の構造を有する化合物を電子輸送材料として用いた有機発光素子装置は、公知の物質であるAlq3または化学式700を用いた場合と比べ、駆動電圧がほぼ1V程度低くなり、効率が向上し、優秀なI−V−L特性を示すことがわかる。特に、本発明による化学式1の構造を有する化合物を電子輸送材料として用いた有機発光素子装置は、実施例1〜6および比較例1、2を比較すると、寿命が大幅に向上することがわかる。
【0204】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る有機発光素子用化合物は、優秀な電気的特性、高い電荷輸送能及び発光能を有する。そのため、本発明の実施形態に係る有機発光素子用化合物を用いることにより、発光効率及び素子寿命が良好であり、かつ適切な色座標を有し、高効率、低電圧、高輝度、長寿命である有機発光素子を製作することができる。
【0205】
また、本発明の実施形態に係る有機発光素子用化合物は、ガラス転移温度が高く結晶化を防止することができ、赤色、緑色、青色、白色などの全てのカラーの蛍光素子及びリン光素子に適する電子輸送材料として用いることができ、さらには緑色、青色、白色の発光材料としても用いることができる。
【0206】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。