(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347966
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】水中燃焼式気化装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/44 20060101AFI20180618BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20180618BHJP
F23L 9/04 20060101ALI20180618BHJP
F17C 9/02 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
F23D14/44
F23K5/00 307Z
F23L9/04
F17C9/02
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-43512(P2014-43512)
(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公開番号】特開2015-169357(P2015-169357A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503063168
【氏名又は名称】東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】外池 嘉朗
(72)【発明者】
【氏名】矢川 憲利
(72)【発明者】
【氏名】川上 悠
(72)【発明者】
【氏名】高畑 実
(72)【発明者】
【氏名】和崎 謙一
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−002734(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/103291(WO,A1)
【文献】
特開平03−149294(JP,A)
【文献】
特表平04−500978(JP,A)
【文献】
特開2009−209995(JP,A)
【文献】
特開2006−317047(JP,A)
【文献】
特開昭54−151566(JP,A)
【文献】
米国特許第3368548(US,A)
【文献】
米国特許第4488537(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/44
F23K 5/00
F23L 9/04
F17C 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽内に浸漬配置されかつ、その内部を通過する低温液化ガスを気化するように構成された熱交換器と、
ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を燃焼室内で燃焼させるよう構成されたバーナーと、
前記水槽内に浸漬されると共に、前記バーナーが取り付けられかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、
前記水槽内に浸漬されかつ、前記燃焼ガスを含む排気ガスを水中に噴出するよう構成された複数のスパージパイプと、
前記ダウンカマーの下端部に接続されると共に、各スパージパイプが接続されかつ、前記ダウンカマーから排出される前記排気ガスを前記各スパージパイプに分配するよう構成されたマニホールドと、を備え、
前記ブロワーから供給される空気は、前記バーナーの前記燃焼室内に導入される燃焼用の1次空気と、前記燃焼室には導入されない非燃焼用の2次空気とに分けられ、
前記2次空気は、前記ダウンカマー内において前記バーナーの火炎が到達する下端位置以下の前記ダウンカマーの下部において、前記バーナーからの燃焼ガスと合流するよう構成されている水中燃焼式気化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水中燃焼式気化装置において、
前記2次空気は、前記1次空気が前記2次空気よりも少ない低負荷状態において前記バーナーの火炎が到達する下端位置以下の前記ダウンカマーの下部において、前記バーナーからの燃焼ガスと合流するよう構成されている水中燃焼式気化装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水中燃焼式気化装置において、
前記バーナーは、前記燃焼室を区画形成する内筒と、当該内筒と同軸に配置される外筒とを有すると共に、前記ダウンカマーの上部に取り付けられ、
前記1次空気は前記内筒内に導入され、
前記2次空気は前記内筒と前記外筒との間に導入された後、前記バーナーの下端開口から前記ダウンカマー内に流入し、
前記内筒は、前記バーナーの下端から連続して、前記ダウンカマーに沿うように下方に延びると共に、前記内筒の下端は、前記バーナーの火炎が到達する下端位置以下の前記ダウンカマー内の下部に位置している水中燃焼式気化装置。
【請求項4】
水槽内に浸漬配置されかつ、その内部を通過する低温液化ガスを気化するように構成された熱交換器と、
ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を燃焼室内で燃焼させるよう構成されたバーナーと、
前記水槽内に浸漬されると共に、前記バーナーが取り付けられかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、
前記水槽内に浸漬されかつ、前記燃焼ガスを含む排気ガスを水中に噴出するよう構成された複数のスパージパイプと、
前記ダウンカマーの下端部に接続されると共に、各スパージパイプが接続されかつ、前記ダウンカマーから排出される前記排気ガスを前記各スパージパイプに分配するよう構成されたマニホールドと、を備え、
前記ブロワーから供給される空気は、前記バーナーの前記燃焼室内に導入される燃焼用の1次空気と、前記燃焼室には導入されない非燃焼用の2次空気とに分けられ、
前記2次空気は、前記マニホールドにおいて、前記バーナーからの燃焼ガスと合流するよう構成されている水中燃焼式気化装置。
【請求項5】
水槽内に浸漬配置されかつ、その内部を通過する低温液化ガスを気化するように構成された熱交換器と、
ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を燃焼室内で燃焼させるよう構成されたバーナーと、
前記水槽内に浸漬されると共に、前記バーナーが取り付けられかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、
前記水槽内に浸漬されかつ、前記燃焼ガスを含む排気ガスを水中に噴出するよう構成された複数のスパージパイプと、
前記ダウンカマーの下端部に接続されると共に、各スパージパイプが接続されかつ、前記ダウンカマーから排出される前記排気ガスを前記各スパージパイプに分配するよう構成されたマニホールドと、を備え、
前記ブロワーから供給される空気は、前記バーナーの前記燃焼室内に導入される燃焼用の1次空気と、前記燃焼室には導入されない非燃焼用の2次空気とに分けられ、
前記ダウンカマーの下部、又は、前記マニホールドには、前記2次空気の導入口が設けられ、
前記2次空気は、前記ダウンカマーの下部又は前記マニホールドにおいて、前記バーナーからの燃焼ガスと合流するよう構成されている水中燃焼式気化装置。
【請求項6】
請求項5に記載の水中燃焼式気化装置において、
前記複数のスパージパイプは、前記水槽内で所定の並び方向に並んで配置され、
前記マニホールドは、その基端が前記ダウンカマーの下端部に接続されると共に、前記水槽内を、前記並び方向に延びて配設され、
前記2次空気の導入口は、前記マニホールドの先端側の位置に設けられている水中燃焼式気化装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の水中燃焼式気化装置において、
前記バーナーは、前記ダウンカマーの上部に取り付けられかつ、前記燃焼ガスを下向きに噴出するように構成されている水中燃焼式気化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、水中燃焼式気化装置に関し、特に排気ガス中の有害物質を低減することによって気化装置の環境性能を高める構成に関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガスといった低温液化ガスの気化装置の一つとして、水中燃焼式気化装置(Submerged Combustion Vaporizer)が知られている(例えば特許文献1参照)。この水中燃焼式気化装置は、水槽内に浸漬されたダウンカマー上に設けられかつ、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を燃焼室内で燃焼させて、その燃焼ガスをスパージパイプから水中に噴出するよう構成されたバーナーと、前記水槽内に浸漬配置された伝熱管束を有する熱交換器と、を備えている。水中に気泡として噴出された燃焼ガス(つまり、排気ガス)が水槽内の水を撹拌しつつ、伝熱管束内を通過する低温液化ガスを加熱することによって、その低温液化ガスを気化させる。
【0003】
また、例えば特許文献2の
図1等には、ダウンカマーの上部にパイロットバーナーを、下部にメインバーナーを、それぞれ設け、空気及び燃料を、パイロットバーナー及びメインバーナーのそれぞれに分配して供給する構成が記載されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、水中燃焼式気化装置のバーナーとして、燃焼室を区画する内筒と、その内筒に同軸配置された外筒とを有しかつ、ブロワーから供給される空気を、燃焼室内に導入する1次空気と、燃焼室内には導入せずに、内筒と外筒との間に導入する2次空気とに分ける構成が記載されている。また、この水中燃焼式気化装置では、気化装置の負荷に応じて変更される燃料量に対応するように、1次空気と2次空気との割合を調整することで、排気ガス中の有害物質を低減するようにしている。具体的には、水中燃焼式気化装置の負荷が低く、それによって燃料量が少ないときには、1次空気量を少なくかつ、2次空気量を多くするのに対し、気化装置の負荷が高く、それによって燃料量が多いときには、1次空気量を多くかつ、2次空気量を少なくする。こうして、1次空気と2次空気とに分けることによって、全燃焼範囲で最適な空燃比で燃焼させることができ、バーナーからの燃焼ガス中の有害物質を低減しつつ、燃焼ガスに2次空気を合流させることで、水槽内に噴出し、均一に攪拌する排気ガスの量を十分に確保することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−209995号公報
【特許文献2】特開2006−317047号公報
【特許文献3】特開2013−2734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ダウンカマーに取り付けられたバーナーの火炎は、バーナーの開口から突出し、少なくともその一部はダウンカマー内に位置することになる。また、特許文献3に記載されているような、内筒と外筒とを有するバーナーに対して、1次空気と2次空気とを分けて供給する構成では、特に水中燃焼式気化装置の負荷が低くて2次空気量が多いときに、ダウンカマー内で、火炎の外周囲を大量の2次空気が流れるようになる。この状態では、2次空気が火炎に接触することで火炎が冷やされ、燃焼温度が低下してしまう。燃焼温度の低下は排気ガス中の一酸化炭素を増やし、水中燃焼式気化装置の環境性能を低下させる。
【0007】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブロワーから供給される空気を1次空気と2次空気とに分けるようにした水中燃焼式気化装置において、排気ガス中の有害物質を低減して環境性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示する技術は、水中燃焼式気化装置に係り、この水中燃焼式気化装置は、水槽内に浸漬配置されかつ、その内部を通過する低温液化ガスを気化するように構成された熱交換器と、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を燃焼室内で燃焼させるよう構成されたバーナーと、前記水槽内に浸漬されると共に、前記バーナーが取り付けられかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、前記水槽内に浸漬されかつ、前記燃焼ガスを含む排気ガスを水中に噴出するよう構成された複数のスパージパイプと、前記ダウンカマーの下端部に接続されると共に、各スパージパイプが接続されかつ、前記ダウンカマーから排出される前記排気ガスを前記各スパージパイプに分配するよう構成されたマニホールドと、を備える。
【0009】
そして、前記ブロワーから供給される空気は、前記バーナーの前記燃焼室内に導入される燃焼用の1次空気と、前記燃焼室には導入されない非燃焼用の2次空気とに分けられ、前記2次空気は、
前記ダウンカマー内において前記バーナーの火炎が到達する下端位置以下の前記ダウンカマーの下
部において、前記バーナーからの燃焼ガスと合流するよう構成されている。
前記2次空気は、前記1次空気が前記2次空気よりも少ない低負荷状態において前記バーナーの火炎が到達する下端位置以下の前記ダウンカマーの下部において、前記バーナーからの燃焼ガスと合流するよう構成されている、としてもよい。
【0010】
ここで、「ダウンカマーの下部」とは、上下方向に延びるように水槽内に浸漬されるダウンカマーを、上下に2等分したときの下部(その境界を含む)と定義することが可能である。
【0011】
前記の構成によると、バーナーは、ブロワーから供給された空気(つまり、1次空気)と、燃料供給源から供給された燃料とを燃焼させる。燃焼ガスは、ダウンカマー、マニホールド及び複数のスパージパイプを通じて、2次空気と共に水槽内に噴出される。水中に気泡として噴出された排気ガス(つまり、燃焼ガス及び2次空気を含む)が水槽内の水を撹拌しつつ、熱交換器内を流れる低温液化ガスを加熱することによって、その低温液化ガスを気化させる。
【0012】
ブロワーから供給される空気は、1次空気と2次空気とに分けられ、1次空気はバーナーの燃焼室内に導入されて燃焼に利用される。一方、2次空気は燃焼室内には導入されずに燃焼ガスと共に水槽内に噴出する。1次空気と2次空気との割合は、バーナーに供給される燃料量に応じて調整される。具体的に、燃料量が少ないときには、1次空気は少なくかつ、2次空気は多くなり、燃料量が多いときには、1次空気は多くかつ、2次空気は少なくなる。こうして、水中燃焼式気化装置の負荷の高低に拘わらず、排気ガス中の有害物質を低減すると共に、水槽内に噴出する排気ガスの量が十分に確保されて、水中燃焼式気化装置の熱交換器性能が向上する。
【0013】
前記の構成では、2次空気は、ダウンカマーの下
部において、バーナーからの燃焼ガスと合流する。つまり、2次空気は、バーナーから各スパージパイプに至る燃焼ガスの流れ方向の下流側で、燃焼ガスと合流する。2次空気はバーナーの火炎には接触せず、バーナーの火炎が2次空気によって冷やされることが回避される。その結果、特に1次空気の量が少なくかつ、2次空気の量が多い水中燃焼式気化装置の低負荷運転時に、大量の2次空気によってバーナーの火炎が冷やされて燃焼温度が低下してしまうことが回避されることにより、排気ガス中の一酸化炭素が増えることが防止され、水中燃焼式気化装置の、特に低負荷運転状態における環境性能を向上させる。
【0014】
一方で、燃焼ガスと2次空気とを含む排気ガスは、ダウンカマーの下
部で合流した後に、スパージパイプを通じて水中に気泡として噴出するから、十分な量の排気ガスを水中に噴出することが可能になる。こうして、特に燃料量が少なく、それによって燃焼ガスの量が少なくなる水中燃焼式気化装置の低負荷運転時においても、気化装置の熱交換器性能が高まる。
【0015】
前記バーナーは、前記燃焼室を区画形成する内筒と、当該内筒と同軸に配置される外筒とを有すると共に、前記ダウンカマーの上部に取り付けられ、前記1次空気は前記内筒内に導入され、前記2次空気は前記内筒と前記外筒との間に導入された後、前記バーナーの下端開口から前記ダウンカマー内に流入し、前記内筒は、前記バーナーの下端から連続して、前記ダウンカマーに沿うように下方に延びると共に、前記内筒の下端は、
前記バーナーの火炎が到達する下端位置以下の前記ダウンカマー内の下部に位置している、としてもよい。ここで、「ダウンカマーの上部」は、ダウンカマーを上下に2等分したときの上部(その境界は含まない)と定義することが可能である。バーナーを、ダウンカマーの上端部に取り付けてもよい。また、「ダウンカマー内の下部」も、前記と同様に、ダウンカマー内を上下に2等分したときの下部(その境界を含む)と定義することが可能である。
【0016】
ダウンカマーの上部に取り付けられたバーナーの火炎は、バーナーの下端から突出して、ダウンカマー内の、少なくとも上部に位置するようになる。また、内筒と外筒とを有するバーナーに供給された2次空気は、内筒と外筒との間の空間を通じてダウンカマー内に流入される。
【0017】
前記の構成では、内筒を、バーナーの下端から連続してダウンカマーに沿うように下方に延びて配設している。バーナーの火炎の全て又はその大部分は、内筒の内部に位置するようになる。これにより、バーナーの下端開口からダウンカマー内に流入した直後の2次空気は、下方に延長した内筒が介在することによって、バーナーの火炎と接触することが防止される。こうして、バーナーの火炎が、2次空気によって冷却されることが防止される。
【0018】
内筒の下端開口から排出される燃焼ガスは、その内筒の下端開口位置において2次空気と合流する。つまり、燃焼ガスと2次空気とは、ダウンカマーの下部において合流した後、スパージパイプを通じて水槽内に噴出される。
【0019】
こうして、内筒及び外筒を有するバーナーを備えかつ、1次空気と2次空気とに分けるようにした水中燃焼式気化装置において、運転負荷が低いときに、燃焼温度の低下を抑制することと、水槽内へ十分な量の排気ガスを噴出することとが両立する。
【0020】
ここに開示する水中燃焼式気化装置はまた、水槽内に浸漬配置されかつ、その内部を通過する低温液化ガスを気化するように構成された熱交換器と、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を燃焼室内で燃焼させるよう構成されたバーナーと、前記水槽内に浸漬されると共に、前記バーナーが取り付けられかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、前記水槽内に浸漬されかつ、前記燃焼ガスを含む排気ガスを水中に噴出するよう構成された複数のスパージパイプと、前記ダウンカマーの下端部に接続されると共に、各スパージパイプが接続されかつ、前記ダウンカマーから排出される前記排気ガスを前記各スパージパイプに分配するよう構成されたマニホールドと、を備え、前記ブロワーから供給される空気は、前記バーナーの前記燃焼室内に導入される燃焼用の1次空気と、前記燃焼室には導入されない非燃焼用の2次空気とに分けられ、前記2次空気は、前記マニホールドにおいて、前記バーナーからの燃焼ガスと合流するよう構成されている。
【0021】
ここに開示する水中燃焼式気化装置はまた、水槽内に浸漬配置されかつ、その内部を通過する低温液化ガスを気化するように構成された熱交換器と、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を燃焼室内で燃焼させるよう構成されたバーナーと、前記水槽内に浸漬されると共に、前記バーナーが取り付けられかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、前記水槽内に浸漬されかつ、前記燃焼ガスを含む排気ガスを水中に噴出するよう構成された複数のスパージパイプと、前記ダウンカマーの下端部に接続されると共に、各スパージパイプが接続されかつ、前記ダウンカマーから排出される前記排気ガスを前記各スパージパイプに分配するよう構成されたマニホールドと、を備え、前記ブロワーから供給される空気は、前記バーナーの前記燃焼室内に導入される燃焼用の1次空気と、前記燃焼室には導入されない非燃焼用の2次空気とに分けられ、前記ダウンカマーの下部、又は、前記マニホールドには、前記2次空気の導入口が設けられ、前記2次空気は、前記ダウンカマーの下部又は前記マニホールドにおいて、前記バーナーからの燃焼ガスと合流するよう構成されている。
こうすることで2次空気は、ダウンカマーの下部又はマニホールドに設けられた導入口を通じて、ダウンカマー内又はマニホールド内へ導入される。マニホールドはダウンカマーの下端部に接続されていることから、ダウンカマーの下部に導入された2次空気は、ダウンカマーの上方に向かって逆流することなく、マニホールド内に流入し、そこから各スパージパイプを通じて、燃焼ガスと共に、水槽内に噴出する。従って、バーナーの火炎に2次空気が触れることが回避される。その結果、燃焼温度の低下が回避されて、排気ガス中の一酸化炭素が抑制される。
【0022】
前記複数のスパージパイプは、前記水槽内で所定の並び方向に並んで配置され、前記マニホールドは、その基端が前記ダウンカマーの下端部に接続されると共に、前記水槽内を、前記並び方向に延びて配設され、前記2次空気の導入口は、前記マニホールドの先端側の位置に設けられている、としてもよい。ここで、「マニホールドの先端側」とは、スパージパイプの並び方向に延びるマニホールドを当該方向に2等分したときの先端側(但し、その境界を含む)と定義してもよい。好ましくは、マニホールドの先端に、2次空気の導入口を設けることである。
【0023】
2次空気の導入口を、マニホールドの先端側の位置に設けることによって、2次空気の導入口は、バーナーの火炎に対して離れて位置することになるから、火炎が2次空気によって冷やされることを確実に回避することが可能になる。
【0024】
前記バーナーは、前記ダウンカマーの上部に取り付けられかつ、前記燃焼ガスを下向きに噴出するように構成されている、としてもよい。
【0025】
こうすることで、バーナーからの燃焼ガスは、ダウンカマー内を上部から下方に流れた後、ダウンカマーの下端部に接続されたマニホールドを介して、各スパージパイプに導入される。この構成において、2次空気をダウンカマーの下部又はマニホールドに導入することにより、2次空気が、ダウンカマーの上部に位置するバーナーの火炎に触れることが確実に回避され、2次空気の量が多いときでも、バーナーの火炎が冷やされることが防止される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、前述した水中燃焼式気化装置によると、ブロワーから供給される空気の内、2次空気を、ダウンカマーの下部又はマニホールドにおいて、バーナーからの燃焼ガスと合流するよう構成することで、バーナーの火炎が2次空気によって冷やされることが回避され、排気ガス中の一酸化炭素が増えることが防止される。それと共に、十分な量の排気ガスを水中に気泡として噴出することが可能になって、水中燃焼式気化装置の熱交換器性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】水中燃焼式気化装置の全体構成を示す概略図である。
【
図2】実施形態1に係るバーナーの構成を示す断面図である。
【
図3】実施形態2に係るバーナーの構成を示す断面図である。
【
図4】実施形態2に係るダウンカマー及びマニホールドを示す平面図である。
【
図5】実施形態2の変形例に係るダウンカマー及びマニホールドを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(水中燃焼式気化装置の全体構成)
以下、水中燃焼式気化装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、水中燃焼式気化装置1全体の概略を示している。この水中燃焼式気化装置1は、液化天然ガス(LNG)の気化装置である。水中燃焼式気化装置1は、例えば直方体状の水槽11中に浸漬されると共に、LNGの流路となる多数の伝熱管12aが多段に曲げ成形されて構成された熱交換器12を備えている。熱交換器12の一端は、LNGの入口となるLNG導入管12bに連通し、他端が、気化した天然ガス(NG)を排出させるNG排出管12cに連通している。
図1では、伝熱管12aの束は、簡易化して図示されているが、実際には、
図1の奥行きに多数列の伝熱管12aが配置されて互いに連通されている。伝熱管12aの本数やその配置は、効率よく熱交換できるものであれば特に制限されない。
【0029】
水槽11は、例えば矩形板状の天板11aで覆われている。この天板11aは、作業員が歩くこともでき、その所定箇所に円筒状のダウンカマー13が水槽11内に浸漬するように配設されている。
【0030】
ダウンカマー13の上端には、図外の燃料供給源から燃料供給管6を介して供給された燃料ガスと、ブロワー14を通じて供給された空気と、を燃焼させるバーナー2が設けられている。
【0031】
水槽11の底部には、ダウンカマー13に連通すると共に、バーナー2の燃焼ガスが噴出する多数の小孔15aが形成されたスパージパイプ15が配置されている。このスパージパイプ15も、
図1では1本しか描いていないが、実際には、
図1の奥行き方向に多数並べられており(
図4、5も参照)、熱交換器12の全体に燃焼ガスを含む気泡Bが及ぶようになっている。スパージパイプ15の本数やその配置は特に限定されず、気泡Bをまんべんなく且つ効率よく拡散させるために小孔15aを配置すればよい。小孔15aは、スパージパイプ15に均等に設けてもランダムに設けてもよく、主としてその上面及び側面に設けるとよい。
【0032】
ダウンカマー13と各スパージパイプ15との間には、マニホールド17が介設している。マニホールド17は、
図4、5に例示するように、その基端がダウンカマー13の下端部に接続されていると共に、スパージパイプ15の並設方向に延びて配設されている。各スパージパイプ15は、マニホールド17に連通しており、マニホールド17は、ダウンカマー13から排出される燃焼ガスを、各スパージパイプ15に分配する機能を有している。
【0033】
水槽11の天板11aには、燃焼排ガスを排気する煙突状のスタック16が設けられ、その上端が大気と連通している。
【0034】
水中燃焼式気化装置1は、バーナー2の燃焼ガスをスパージパイプ15の小孔15aを通じて水槽11内に気泡Bとして噴出させることによって、水槽11内の水を撹拌しつつ、熱交換器12内を通過するLNGを加熱する。このことによって、LNGを気化させてNGとし、これをNG排出管12cの出口から送り出すように構成されている。水中燃焼式気化装置1は、燃焼ガスを気泡Bとして水槽11内に噴出して水槽11内の水を撹拌すること、及び、スタック16から排出する燃焼排ガスの温度を、水槽内の温水温度とほぼ同等に低くすることにより、燃焼ガス中の燃焼生成水を100%再凝縮させ、その潜熱を全て温水に与えることが可能であることから熱効率が極めて高いという特徴がある。
【0035】
この水中燃焼式気化装置1では、特に水中燃焼式気化装置1の運転負荷が低いときの、排気ガス中の有害物質を低減するように構成されている。以下、その構成の詳細を、図面を参照しながら説明する。
【0036】
(実施形態1)
図2は、バーナー2の全体構成を示している。バーナー2は、外筒21と内筒22とを備えた二重管構造を有している。外筒21は、その上端が閉塞していると共に、その下端が開口しており、外筒21の外側面には、ブロワー14からバーナー2に空気を供給するための供給口23が、外側方に向かって開口するように設けられている。外筒21内には、この外筒21内を上下に2分割する区画壁24が設けられており、この区画壁24によって、空気供給口23もまた、上下に2分割されている。2分割された空気供給口23の内、上側の開口231は、後述する燃焼室25に供給されかつ燃料ガスと共に燃焼させるための1次空気が流入する1次空気用の開口231であるのに対し(同図の実線の矢印参照)、下側の開口232は、燃焼室25内には供給されずに、燃焼ガスと共にスパージパイプ15に導入される2次空気用の開口232である(同図の一点鎖線の矢印参照)。
【0037】
内筒22は、外筒21と同軸となるように、外筒21の内部に配設されている。内筒22と外筒21との間には、バーナー2の下端において下向きに開口する環状の空間28が区画形成されている。前述した1次空気用の開口231は、内筒22の上端開口に連通しており、これにより1次空気は、内筒22内に構成される燃焼室25に供給される。一方、2次空気用の開口232は、環状の空間28に連通しており、これにより2次空気は、この環状の空間28を通じて、バーナー2の下端開口からダウンカマー13内に流入する。
【0038】
バーナー2の供給口23には、
図1では図示していないが、1次空気と2次空気との流量割合を調整する分配弁5が接続されている。分配弁5は、ブロワー14とバーナー2との間に介設される。分配弁5は、上下方向に絞られてその流路断面が縮小された絞り流路51と、その基端部がステムに支持されることによって揺動する弁体52とを有する片持ちバタフライバルブである。この分配弁5は、図示を省略するアクチュエータによって、弁体52の先端が絞り流路51の最小断面付近の上壁に当接する位置から、下壁に当接する位置まで揺動することにより、バーナー2に供給される1次空気と2次空気との流量割合を、0:100〜100:0の範囲で変更可能に構成されている。具体的に、水中燃焼式気化装置1の通常運転時には、水中燃焼式気化装置1の負荷に対応する燃料ガス流量に見合う1次空気量(理論空燃比となるような空気量)となるように、1次空気と2次空気との流量割合を設定し、その流量割合に対応する弁開度となるように分配弁5を駆動する。すなわち、水中燃焼式気化装置1の負荷が低いときには燃料ガス流量が少なくなるため、1次空気量も相対的に少なくなる一方で、2次空気量は相対的に多くなり、逆に水中燃焼式気化装置1の負荷が高いときには燃料ガス流量が多くなるため、1次空気量も相対的に多くなる一方で、2次空気量は相対的に少なくなる。
【0039】
こうして、1次空気と2次空気との流量割合を調整することにより、特にバーナー2に供給する燃焼ガス量が減ったときに、過剰な空気による燃焼状態の悪化を回避する一方で、ブロワー14からバーナー2に供給する空気の総量は一定にすることにより、スパージパイプの小孔から噴出するガスの量を確保することで、水槽11内の撹拌を十分に行って、水中燃焼式気化装置1の熱交換器性能を低下させないことが実現する。
【0040】
内筒22の内部に区画構成される燃焼室25には、メインバーナー26が配設されている。メインバーナー26は、複数本の燃料ガスノズル261を備えており、ガスノズル261は、内筒22の中心位置に配設された燃料ガス供給管262の下端部を取り囲むように、周方向に互いに等間隔を空けて配設されている。各ガスノズル261の下端は、図示を省略するノズルが下向きに開口するように配設されているのに対し、その上端部は径方向の内方に向かって屈曲しており、その屈曲端が燃料ガス供給管262に接続されている。燃料ガス供給管262は、閉塞された外筒21の上端部を貫通して、その外部にまで延びており、燃料ガス供給管262の端部は、図外の燃料ガス供給源に接続されている。
【0041】
尚、このバーナー2には、前述したメインバーナー26の他に、バーナー2の着火時に、メインバーナー26に先立って駆動されるパイロットバーナーを備えているが、パイロットバーナーについては、ここに開示する技術と関連しないため、その図示及び説明は省略する。
【0042】
また、このバーナー2には、燃焼室25内に水を噴射することによって、燃焼温度が高くなりすぎることを抑制する水噴射管18が取り付けられている。水噴射管18は、バーナー2の上端を貫通しかつ、中心軸に沿って配設されており、その下端から放射状に水を噴射する。水噴射管18は、燃焼温度が高くなるような所定の運転状態のとき(例えば、水中燃焼式気化装置1の高負荷運転状態のとき)に燃焼室25内に水を噴射する。このことで、窒素酸化物(NOx)の生成を抑制し、排気ガス中の有害物質を低減する。
【0043】
そうして、このバーナー2において内筒22は、バーナー2の下端から連続して下方に突出し、ダウンカマー13内を、ダウンカマー13に沿うように下方に延びている。内筒22の下端は、
図2に示すように、ダウンカマー13の下部に位置している。ここでダウンカマー13の下部とは、上下方向に延びるダウンカマー13を上下に2等分したときの境界(
図2の破線参照)以下の部分をいう。従来の構成であれば、内筒が延長していないため、バーナー2の火炎はバーナー2の下端開口から下方に突出してダウンカマー13内に位置すると共に、火炎の外周囲を2次空気が流れるようになる。しかしながら、内筒22を延長した前記の構成では、ダウンカマー13内の火炎は(特に低負荷運転時には)、その全て又は大部分が、延長した内筒22内に位置するようになる。これにより、バーナー2の下端開口からダウンカマー13内に流入する2次空気は、内筒22とダウンカマー13の内周面との間の環状の空間内を下方に流れるようになる。つまり、内筒22は、ダウンカマー13内の上部において、火炎を2次空気から隔離して、火炎と2次空気とを非接触にする。こうして、バーナー2の火炎が2次空気によって冷やされることが防止される。この火炎の冷却防止は特に、水中燃焼式気化装置1の負荷が低くて、1次空気量が少なくかつ2次空気量が多いときに、火炎と2次空気との接触を確実に回避することができるため、有効である。火炎の冷却を防止することにより、燃焼ガス中の一酸化炭素の発生を抑制して、水槽11に噴出されかつ、スタック16を通じて排気される排気ガスの有害物質が低減される。
【0044】
ここで、内筒22は、その下端がダウンカマー13の下部に位置する範囲で適宜の長さに設定することが可能である。バーナー2の火炎は、供給される燃料量及び1次空気量に応じて、ダウンカマー13内の到達位置が変更し得るが、特に1次空気量が少なくかつ、2次空気量が多くなるような、水中燃焼式気化装置1の負荷が、所定負荷よりも低い状態下においてバーナー2の火炎が到達する下端位置の付近まで、内筒22が延びていることが好ましい。こうすることで、2次空気をバーナー2の火炎と接触させることなく、しかも、後述のように、バーナー2の火炎が到達しない位置で2次空気と燃焼ガスとを合流させることが可能になる。内筒22は、前記条件を満足する限度で、できるだけ短くしてもよい。
【0045】
燃焼ガスは、
図2に白抜きの矢印で示すように、内筒22の下端開口から下方に噴出し、ダウンカマー13内の内筒22の下端位置において、同図に一点鎖線の矢印で示す2次空気と合流する。つまり、燃焼ガスと2次空気とはダウンカマー13の下部において合流する。燃焼ガスと2次空気とを含む排気ガスは、前述したように、ダウンカマー13の下端部からマニホールド17内に流入し、その後、各スパージパイプ15に分配される。そうして、各スパージパイプ15の小孔15aを通じて水槽11内に噴出される。
【0046】
このように、内筒22をダウンカマー13内に延長することによって、特にバーナー2の下端付近において、2次空気と火炎が接触して火炎を冷却することが防止され、水中燃焼式気化装置1の排気ガス中の有害物質(ここでは一酸化炭素)が抑制されて、環境性能が向上する。2次空気と火炎との接触を回避することは、言い換えると、2次空気を、バーナー2の火炎の先端と、マニホールド17におけるスパージパイプ15の接続口(つまり、マニホールド17における排気ガスの排出口)との間で、燃焼ガスに合流させることである。
【0047】
また、燃焼ガスと2次空気とを合流させた上で、それらを含む排気ガスを水槽11内に噴出することにより、水槽11内に噴出するガスの量を十分に確保して、水中燃焼式気化装置1の熱交換器性能を高くすることが可能になる。
【0048】
(実施形態2)
図3は、実施形態2に係るバーナー20の全体構成を示している。実施形態2のバーナー20は、
図2に示すバーナー2とは異なり、外筒21を有していない。また、空気供給口23は分割されておらず、空気供給口23を通じてバーナー20内に流入する空気(つまり1次空気)は全て、燃焼室25を区画する筒220内に流入する(同図の実線の矢印参照)。尚、
図3に示すバーナー20において、
図2に示すバーナー2と実質的に同じ構成について同じ符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0049】
このバーナー20の筒220は、実施形態1のバーナー2の内筒22とは異なり、ダウンカマー13内の下部まで延びておらず、その下端開口は、ダウンカマー13内の上端部に位置している。従って、
図3に概念的に示すように、バーナー2の下端開口からダウンカマー13内に突出する火炎は、ダウンカマー13内の上部において、筒220に覆われることなく、位置している。
【0050】
実施形態2の水中燃焼式気化装置1において、ブロワー14とバーナー2とをつなぐ空気供給路は2つに分岐しており、一方の分岐路(つまり、1次空気供給路)は、前述の通りバーナー2の供給口23に接続される一方、他方の分岐路(つまり、2次空気供給路)は、
図4に示すように、マニホールド17に接続される。2次空気の導入口は、
図4では明示していないが、マニホールド17におけるダウンカマー13の接続端(つまり、基端)の付近に設けられており、この導入口に連通する2次空気供給路19は、スパージパイプ15の並設方向に延びるマニホールド17に対して斜めに配置されている。これによって、2次空気供給路19から導入口を介してマニホールド17に流入した2次空気は、
図4に一点鎖線の矢印で示すように、マニホールド17内を上流側(つまり、ダウンカマー13との接続端側)から、下流側(つまり、マニホールド17の先端側)に向かって流れるようになる。これは、ダウンカマー13からマニホールド17に向かって流れる燃焼ガスの流れに沿う方向の流れであるため、2次空気の逆流が防止される。こうして、2次空気がバーナー2の火炎に接触して冷却することを防止すると共に、バーナー2の火炎が安定燃焼する。
【0051】
尚、前述した各分岐路には流量調整弁61、62が介設しており、この各流量調整弁61、62の開度調整によって、1次空気及び2次空気の量が調整される。
【0052】
実施形態2の水中燃焼式気化装置1においても、2次空気は、ダウンカマー13内においてバーナー2の火炎に触れることがないため、火炎の冷却が防止される。その結果、排気ガス中の一酸化炭素を抑制することが可能になる。一方で、2次空気を燃焼ガスに合流させた上で、各スパージパイプ15を介して水槽11内に供給することができるため、水槽11内に噴出する排気ガスの量を十分に確保して、水中燃焼式気化装置1の低負荷運転時においても、熱交換器性能を高く維持することが可能になる。
【0053】
尚、2次空気の導入口は、マニホールド17における接続端の近傍位置に限らず、ダウンカマー13の下部や、マニホールド17の他の位置に設けることが可能である。例えば
図5に概念的に示すように、ダウンカマー13の下端部において、マニホールド17の接続側とは逆側に、2次空気の導入口を設けてもよい。ダウンカマー13の下端部とは、マニホールド17の接続位置に相当する高さ位置(つまり、ほぼ同じ高さ位置)を意味する。この構成では、ダウンカマー13の下端部に流入した2次空気は、ダウンカマー13の下端部に接続されたマニホールド17内に、そのまま流入するようになるから、ダウンカマー13の上方に逆流することが防止される。その結果、バーナー2の火炎が2次空気に接触することが抑制され、火炎の冷却が防止される。尚、図示は省略するが、ダウンカマー13の下端部に設ける2次空気の導入口は、
図5に例示するように、マニホールド17の接続側とは逆側に設けることには限定されない。2次空気の導入口は、水槽11内の配設スペースを考慮して、ダウンカマー13の下端部における適宜の位置に設けることが可能である。また、2次空気の導入口は、ダウンカマー13の下端部に限らず、それよりも上方に設けてもよい(但し、バーナー2の火炎に接触しないように、ダウンカマー13の下部に限る)。
【0054】
また、
図5に示すように、2次空気の導入口は、マニホールド17の先端部に設けてもよい。2次空気は、
図5に矢印で示すように、マニホールド17の軸に沿う方向に、マニホールド17内に導入してもよい。この構成では、2次空気の導入口は、バーナー2の火炎に対し、確実に離れて位置することになるため、2次空気がバーナー2の火炎を冷却することが確実に防止される。尚、2次空気の導入口は、マニホールド17における先端部と基端部との中間位置に設けてもよい。また、マニホールド17に導入させる2次空気の導入方向は、導入口の設置位置に拘わらず、適宜の方向に設定することが可能である。
【0055】
さらに、ダウンカマー13の下部又はマニホールド17に設ける2次空気の導入口は、一つに限らず、複数、設けてもよい。
【0056】
加えて、実施形態2において、バーナー2は、ダウンカマー13の上端部に取り付ける以外にも、ダウンカマー13の下部に取り付けてもよい。
【0057】
さらに、ここに開示する技術は、LNGの気化装置に限らず、低温LPGを含む低温液化ガスの気化装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 水中燃焼式気化装置
11 水槽
12 熱交換器
13 ダウンカマー
14 ブロワー
15 スパージパイプ
17 マニホールド
2 バーナー
20 バーナー
21 外筒
22 内筒
25 燃焼室