特許第6347989号(P6347989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6347989内航海運管理システム、サーバー、方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347989
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】内航海運管理システム、サーバー、方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20180618BHJP
   G06Q 20/14 20120101ALI20180618BHJP
【FI】
   G06Q50/30
   G06Q20/14
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-111849(P2014-111849)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-225618(P2015-225618A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】100110777
【弁理士】
【氏名又は名称】宇都宮 正明
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 邦明
【審査官】 関 博文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−108995(JP,A)
【文献】 特開2002−183267(JP,A)
【文献】 特開2015−221708(JP,A)
【文献】 特開2015−26308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海運会社において内航海運に関するデータを管理するために、ネットワークを介して接続された少なくとも1つのクライアント端末と共に用いられる内航海運管理サーバーであって、
海運会社の内航海運に関するデータを格納する管理データベースを記録する記録部と、
荷主から海運会社に委託された積荷を運搬する船舶の船名を特定する船名コード、船舶が寄港した日付を特定する日付データ、及び、船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コードを含む業務データを前記少なくとも1つのクライアント端末から受信して、業務データに含まれている複数の項目を航海毎に互いに関連付けて前記管理データベースに格納するデータ処理部と、
業務データの検索要求と共に、代理店コード、設定期間の開始日を特定する第1のデータ、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータをクライアント端末から受信したときに、受信された代理店コードを検索キーワードとして用いて業務データを検索して代理店コードに関連付けられた日付データを読み出し、読み出された日付データを第1及び第2のデータと比較することにより、設定期間の開始日から終了日までの日付に該当する日付データを抽出すると共に、抽出された日付データに関連付けられた船名コードを読み出すデータ検索部と、
受信された代理店コード、第1及び第2のデータ、抽出された日付データ、及び、抽出された日付データに関連付けられた船名コードによってそれぞれ特定される代理店名、設定期間の開始日及び終了日、船舶が寄港した日付、及び、船名を含む代理店料入力画面を前記クライアント端末の表示部に表示させるネットワーク接続部と、
を備える内航海運管理サーバー。
【請求項2】
前記データ処理部が、前記クライアント端末の表示部に表示された代理店料入力画面において船舶が寄港した日付に対応して入力された支払金額データを受信し、支払金額データによって表される支払金額を合計して合計支払金額を表す合計支払金額データを算出し、対応する代理店コード、日付データ、及び、船名コードに関連付けて前記管理データベースに格納する、請求項1記載の内航海運管理サーバー。
【請求項3】
前記業務データが、積荷の品名を特定する品名コードを含み、前記記録部が、代理店料の支払条件を特定する支払条件データを品名コードに対応して格納する品名マスターテーブルを記録しており、
前記データ処理部が、前記クライアント端末の表示部に表示された代理店料入力画面において船舶が寄港した日付に対応して入力された支払金額データを受信したときに、船舶が寄港した日付を特定する日付データに関連付けられた品名コードに基づいて前記品名マスターテーブルを参照して支払条件データを読み出し、支払条件データによって特定される支払条件に従って、支払金額データによって表される支払金額を、海運会社の費用と船主への立替と荷主への立替とに分類し、それぞれの合計金額を表す第1〜第3の合計金額データ、及び、それらの総合計金額を表す第4の合計金額データを算出して、対応する代理店コード、日付データ、及び、船名コードに関連付けて前記管理データベースに格納する、請求項1記載の内航海運管理サーバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の内航海運管理サーバーと、
船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コード、設定期間の開始日を特定する第1のデータ、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータが入力されたときに、検索命令に応答して、業務データの検索要求と共に、代理店コード、及び、第1及び第2のデータを前記内航海運管理サーバーに送信し、前記内航海運管理サーバーから受信したファイルに基づいて、代理店名、設定期間の開始日及び終了日、船舶が寄港した日付、及び、船名を含む代理店料入力画面を表示部に表示する少なくとも1つのクライアント端末と、
を備える内航海運管理システム。
【請求項5】
海運会社において内航海運に関するデータを管理するために用いられる内航海運管理方法であって、
荷主から海運会社に委託された積荷を運搬する船舶の船名を特定する船名コード、船舶が寄港した日付を特定する日付データ、及び、船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コードを含む業務データを少なくとも1つのクライアント端末から受信して、業務データに含まれている複数の項目を航海毎に互いに関連付けて管理データベースに格納するステップ(a)と、
業務データの検索要求と共に、代理店コード、設定期間の開始日を特定する第1のデータ、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータをクライアント端末から受信したときに、受信された代理店コードを検索キーワードとして用いて業務データを検索して代理店コードに関連付けられた日付データを読み出し、読み出された日付データを第1及び第2のデータと比較することにより、設定期間の開始日から終了日までの日付に該当する日付データを抽出すると共に、抽出された日付データに関連付けられた船名コードを読み出すステップ(b)と、
受信された代理店コード、第1及び第2のデータ、抽出された日付データ、及び、抽出された日付データに関連付けられた船名コードによってそれぞれ特定される代理店名、設定期間の開始日及び終了日、船舶が寄港した日付、及び、船名を含む代理店料入力画面を前記クライアント端末の表示部に表示させるステップ(c)と、
を備える内航海運管理方法。
【請求項6】
海運会社において内航海運に関するデータを管理するための内航海運管理サーバーにおいて用いられる内航海運管理プログラムであって、
荷主から海運会社に委託された積荷を運搬する船舶の船名を特定する船名コード、船舶が寄港した日付を特定する日付データ、及び、船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コードを含む業務データを少なくとも1つのクライアント端末から受信して、業務データに含まれている複数の項目を航海毎に互いに関連付けて管理データベースに格納する手順(a)と、
業務データの検索要求と共に、代理店コード、設定期間の開始日を特定する第1のデータ、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータをクライアント端末から受信したときに、受信された代理店コードを検索キーワードとして用いて業務データを検索して代理店コードに関連付けられた日付データを読み出し、読み出された日付データを第1及び第2のデータと比較することにより、設定期間の開始日から終了日までの日付に該当する日付データを抽出すると共に、抽出された日付データに関連付けられた船名コードを読み出す手順(b)と、
受信された代理店コード、第1及び第2のデータ、抽出された日付データ、及び、抽出された日付データに関連付けられた船名コードによってそれぞれ特定される代理店名、設定期間の開始日及び終了日、船舶が寄港した日付、及び、船名を含む代理店料入力画面を前記クライアント端末の表示部に表示させる手順(c)と、
をCPUに実行させる内航海運管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海運会社において内航海運に関するデータを管理するための内航海運管理システムに関する。さらに、本発明は、そのような内航海運管理システムにおいて用いられる内航海運管理サーバー、内航海運管理方法、及び、内航海運管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内航海運業においては、1つの航海について、荷物の運搬の依頼元である荷主に対する請求や、港代理店(以下、「代理店」ともいう)、燃料業者、及び、修理業者に対する支払を含む様々な債権債務が発生する。しかしながら、従来は、請求情報や支払情報を単にリストに格納しておくだけのことが多く、海運会社は、それらの内容の正確性を十分に確認することができなかった。
【0003】
例えば、積荷を運搬する船舶がある港のある場所に停泊する場合に、船舶をその場所に誘導した代理店は、所定の時期に海運会社に対して請求書を発行する。請求書の内容には誤りが存在することもあるが、航海に関する情報と代理店に関する情報とは別個に管理されていたので、請求書の内容が妥当であるか否かの判断が困難であった。従って、多くの海運会社は、請求書ベースで支払いを行っており、実際に支払うべき額よりも多くの額を支払うことによって損失を被っても、それに気付くことができなかった。
【0004】
また、請求情報や支払情報には、自社分の売上及び費用と、船主(船舶のオーナー)又は荷主分の預り又は立替とが存在するが、請求情報や支払情報を単にリストに格納しておくだけではそれらを区別することができず、会計システムに請求情報や支払情報を手作業で別途入力して振替仕訳を行う必要があった。
【0005】
関連する技術として、特許文献1には、出荷する荷物の運賃を算定する元になる運賃マスタデータ及び出荷した荷物の出荷データを運送会社の配送システムと出荷会社の物流システムのとの間で送受信し、出荷会社側で運送会社を評価すると共に、出荷した荷物を追跡調査することができる運賃照合管理システムが開示されている。
【0006】
この運賃照合管理システムは、配送システムから荷物の運賃を決定するための運賃マスタデータを取込み、それを運賃マスタファイルに保持する運賃マスタファイル生成部と、物流システムから荷物の出荷データを取込み、それを出荷データファイルに保持すると共に配送システムに引渡す出荷データファイル生成部と、運賃マスタファイル及び出荷データファイルからそれぞれ運賃マスタデータ及び出荷データを読み出して運賃を計算し、配送システムが請求する運賃データを取込み、前記運賃と前記運賃データとを比較して両者に差異があるときにはその旨を通知する運賃計算照合部と、出荷済みの荷物に関する問合せを行うと共に荷物の運賃に係る実績を集計する運賃統計作成部とを有する。
【0007】
特許文献1の運賃照合管理システムは、自社内の物流システムと運送会社(他社)の配送システムとのデータインタフェース機能を有し、それぞれのシステムが有機的に各処理を実行することにより効果を発揮する。しかしながら、特許文献1の運賃照合管理システムは、自社に蓄積された情報のみに基づいて、他社からの請求額が適切であるか否かを判断することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−296414号公報(段落0009−0010、0018、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、上記の点に鑑み、本発明の第1の目的は、海運会社に蓄積された情報に基づいて、代理店から海運会社に対して発行された請求書の内容が適切であるか否かの判断を容易にすることができる内航海運管理システムを提供することである。また、本発明の第2の目的は、代理店に対する支払金額を海運会社の費用と船主又は荷主への立替とに自動的に分類する内航海運管理システムを提供することである。さらに、本発明の第3の目的は、そのような内航海運管理システムにおいて用いられる内航海運管理サーバー、内航海運管理方法、及び、内航海運管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る内航海運管理サーバーは、海運会社において内航海運に関するデータを管理するために、ネットワークを介して接続された少なくとも1つのクライアント端末と共に用いられる内航海運管理サーバーであって、海運会社の内航海運に関するデータを格納する管理データベースを記録する記録部と、荷主から海運会社に委託された積荷を運搬する船舶の船名を特定する船名コード、船舶が寄港した日付を特定する日付データ、及び、船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コードを含む業務データを前記少なくとも1つのクライアント端末から受信して、業務データに含まれている複数の項目を航海毎に互いに関連付けて前記管理データベースに格納するデータ処理部と、業務データの検索要求と共に、代理店コード、設定期間の開始日を特定する第1のデータ、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータをクライアント端末から受信したときに、受信された代理店コードを検索キーワードとして用いて業務データを検索して代理店コードに関連付けられた日付データを読み出し、読み出された日付データを第1及び第2のデータと比較することにより、設定期間の開始日から終了日までの日付に該当する日付データを抽出すると共に、抽出された日付データに関連付けられた船名コードを読み出すデータ検索部と、受信された代理店コード、第1及び第2のデータ、抽出された日付データ、及び、抽出された日付データに関連付けられた船名コードによってそれぞれ特定される代理店名、設定期間の開始日及び終了日、船舶が寄港した日付、及び、船名を含む代理店料入力画面を前記クライアント端末の表示部に表示させるネットワーク接続部とを備える。
【0011】
本発明の1つの観点に係る内航海運管理システムは、本発明のいずれかの観点に係る内航海運管理サーバーと、船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コード、設定期間の開始日を特定する第1のデータ、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータが入力されたときに、検索命令に応答して、業務データの検索要求と共に、代理店コード、及び、第1及び第2のデータを前記内航海運管理サーバーに送信し、前記内航海運管理サーバーから受信したファイルに基づいて、代理店名、設定期間の開始日及び終了日、船舶が寄港した日付、及び、船名を含む代理店料入力画面を表示部に表示する少なくとも1つのクライアント端末とを備える。
【0012】
本発明の1つの観点に係る内航海運管理方法は、海運会社において内航海運に関するデータを管理するために用いられる内航海運管理方法であって、荷主から海運会社に委託された積荷を運搬する船舶の船名を特定する船名コード、船舶が寄港した日付を特定する日付データ、及び、船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コードを含む業務データを少なくとも1つのクライアント端末から受信して、業務データに含まれている複数の項目を航海毎に互いに関連付けて管理データベースに格納するステップ(a)と、業務データの検索要求と共に、代理店コード、設定期間の開始日を特定する第1のデータ、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータをクライアント端末から受信したときに、受信された代理店コードを検索キーワードとして用いて業務データを検索して代理店コードに関連付けられた日付データを読み出し、読み出された日付データを第1及び第2のデータと比較することにより、設定期間の開始日から終了日までの日付に該当する日付データを抽出すると共に、抽出された日付データに関連付けられた船名コードを読み出すステップ(b)と、受信された代理店コード、第1及び第2のデータ、抽出された日付データ、及び、抽出された日付データに関連付けられた船名コードによってそれぞれ特定される代理店名、設定期間の開始日及び終了日、船舶が寄港した日付、及び、船名を含む代理店料入力画面を前記クライアント端末の表示部に表示させるステップ(c)とを備える。
【0013】
本発明の1つの観点に係る内航海運管理プログラムは、海運会社において内航海運に関するデータを管理するための内航海運管理サーバーにおいて用いられる内航海運管理プログラムであって、荷主から海運会社に委託された積荷を運搬する船舶の船名を特定する船名コード、船舶が寄港した日付を特定する日付データ、及び、船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コードを含む業務データを少なくとも1つのクライアント端末から受信して、業務データに含まれている複数の項目を航海毎に互いに関連付けて管理データベースに格納する手順(a)と、業務データの検索要求と共に、代理店コード、設定期間の開始日を特定する第1のデータ、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータをクライアント端末から受信したときに、受信された代理店コードを検索キーワードとして用いて業務データを検索して代理店コードに関連付けられた日付データを読み出し、読み出された日付データを第1及び第2のデータと比較することにより、設定期間の開始日から終了日までの日付に該当する日付データを抽出すると共に、抽出された日付データに関連付けられた船名コードを読み出す手順(b)と、受信された代理店コード、第1及び第2のデータ、抽出された日付データ、及び、抽出された日付データに関連付けられた船名コードによってそれぞれ特定される代理店名、設定期間の開始日及び終了日、船舶が寄港した日付、及び、船名を含む代理店料入力画面を前記クライアント端末の表示部に表示させる手順(c)とをCPUに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の1つの観点によれば、海運会社において航海に関する情報を代理店コードに関連付けて管理データベースに蓄積しておき、代理店から届いた請求書の内容をチェックする際に、代理店コード及び設定期間をクライアント端末に入力することにより、その代理店が設定期間において担当した寄港イベントについて、船舶が寄港した日付及び船名を含む代理店料入力画面がクライアント端末の表示部に表示されるので、代理店から海運会社に対して発行された請求書の内容が適切であるか否かの判断を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る内航海運管理システムの構成例を示す図。
図2】クライアント端末の表示部に表示される業務日報入力画面の例を示す図。
図3】業務日報テーブルに格納されている業務データの構造を示す図。
図4】クライアント端末の表示部に表示される代理店料入力画面の例を示す図。
図5図1に示す内航海運管理サーバーの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
<システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る内航海運管理システムの構成例を示す図である。この内航海運管理システムは、内航海運業を営む海運会社に設けられている。図1に示すように、内航海運管理システムは、内航海運に関するデータを管理するための内航海運管理サーバー10と、LAN(ローカルエリア・ネットワーク)等のネットワークを介して内航海運管理サーバー10に接続された少なくとも1つのクライアント端末20と、ネットワーク等を介してクライアント端末20に接続された少なくとも1つのプリンター30とを備えている。
【0017】
クライアント端末20としては、例えば、各種のデータや命令等を入力するために用いられるキーボードやマウスを含む操作部と、入力画面や検索結果画面等の画像を表示する表示部とを備えたパーソナル・コンピューターを使用することができる。プリンター30は、船舶に対する航海指示書や、代理店に対する業務依頼書や、荷主に対する運賃請求書等を作成するために用いられる。
【0018】
内航海運管理サーバー10は、操作部11と、ネットワーク接続部12と、データ処理部13と、データ検索部14と、記録部15と、表示部16とを含んでいる。ここで、ネットワーク接続部12〜データ検索部14の内の少なくとも一部は、中央演算装置(CPU)と、CPUに各種の処理を行わせるためのソフトウェア(内航海運管理プログラム)とによって構成されても良い。ソフトウェアは、記録部15の記録媒体に記録される。
【0019】
記録部15は、上記のソフトウェアに加えて、海運会社の内航海運に関するデータを格納する管理データベースを記録している。記録部15における記録媒体としては、内蔵のハードディスクの他に、外付けハードディスク、フレキシブルディスク、各種のメモリー、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いることができる。
【0020】
操作部11は、例えば、キーボードやマウスを含み、内航海運管理サーバー10を操作するために用いられる。ネットワーク接続部12は、例えば、HTTP(ハイパーテキスト・トランスファープロトコル)サーバー部やTCP/IP(トランスポート制御プロトコル/インターネットプロトコル)制御部等を含み、クライアント端末20の表示部に入力画面や検索結果画面等を表示させたり、ネットワークを介してクライアント端末20との間でデータの送受信を行う。
【0021】
データ処理部13は、クライアント端末20からネットワーク接続部12を介して受信したデータを処理したり、必要なデータを生成したり、データを管理データベースに格納して記録部15に記録する。データ検索部14は、記録部15に記録されている管理データベースにおいてデータを検索することができる。表示部16は、LCDディスプレイ等を含み、操作画面等の画像を表示する。
【0022】
記録部15に記録されている管理データベースは、業務日報に関する業務データを蓄積する業務日報テーブルと、代理店等に対する支払に関する支払データを蓄積する支払テーブルと、荷主に対する請求に関する請求データを蓄積する請求テーブルとを含んでいる。なお、業務データには、受注データと寄港データとが含まれている。
【0023】
また、管理データベースは、船名コードと船名に関するデータとを対応して格納する船名マスターテーブルと、取引先コードと取引先に関するデータとを対応して格納する取引先マスターテーブルと、品名コードと品名に関するデータとを対応して格納する品名マスターテーブルと、港コードと港名を表す文字データとを対応して格納すると共に、場所コードと港における場所名を表す文字データとを対応して格納する寄港地マスターテーブルとを含んでいる。
【0024】
次に、図1に示す内航海運管理システムの動作について説明する。
<受注データの入力>
海運会社が荷主から荷物の運搬業務を受注すると、海運会社のオペレーターは、クライアント端末20の操作部を操作することにより、ネットワークを介して内航海運管理サーバー10にアクセスする。
【0025】
内航海運管理サーバー10のネットワーク接続部12は、クライアント端末20からネットワークを介してアクセスを受けたときに、メニューをクライアント端末20の表示部に表示させる。オペレーターが、クライアント端末20の表示部に表示されたメニューの中から「業務日報入力」を選択すると、内航海運管理サーバー10のネットワーク接続部12は、業務日報入力画面をクライアント端末20の表示部に表示させる。
【0026】
図2は、クライアント端末の表示部に表示される業務日報入力画面の例を示す図である。業務日報入力画面がクライアント端末20の表示部に表示されると、オペレーターは、クライアント端末20の操作部を操作することにより、荷主から海運会社に委託された積荷を運搬する船舶の船名を特定する船名コード、船舶毎に1つの航海の受注ケースを特定する整理番号、及び、荷主を特定する荷主コード等を含む受注データを、業務日報入力画面に入力する。
【0027】
また、海運会社が船主から船舶を借りて積荷を運搬する場合には、オペレーターは、船舶借用料の支払先を特定する支払先コードを含む受注データを業務日報入力画面に入力する。なお、新規ケースの場合には、内航海運管理サーバー10のデータ処理部13が、整理番号を自動的に連番で発行するようにしても良い。
【0028】
例えば、荷主である東京汽船から委託された荷物を、船主である横浜タンカーが所有する日本丸という船舶を用いて運搬する場合に、オペレーターは、日本丸を特定する船名コード「001234」、整理番号「080100」、東京汽船を特定する荷主コード「001111」、及び、横浜タンカーを特定する支払先コード「002222」等を含む受注データを業務日報入力画面に入力する。
【0029】
オペレーターが、マウス等を用いて、業務日報入力画面内の「検索」ボタンをクリックすると、クライアント端末20は、ネットワークを介して内航海運管理サーバー10に受注データを送信する。内航海運管理サーバー10のデータ処理部13及びデータ検索部14は、クライアント端末20からネットワーク接続部12を介して、受注データを受信する。
【0030】
データ検索部14は、船名コード「001234」に基づいて船名マスターテーブルを参照することにより、船名「日本丸」を表す文字データを読み出す。また、データ検索部14は、荷主コード「001111」及び支払先コード「002222」に基づいて取引先マスターテーブルを参照することにより、荷主「東京汽船」を表す文字データ及び支払先「横浜タンカー」を表す文字データを読み出す。
【0031】
ネットワーク接続部12は、受信された受注データ及び読み出された文字データに基づいて、更新された業務日報入力画面を表すファイル(HTML(ハイパーテキスト・マークアップランゲージ)ファイル等)を生成して、ネットワークを介してクライアント端末20に送信する。これにより、クライアント端末20の表示部において、船名「日本丸」、荷主「東京汽船」、及び、支払先「横浜タンカー」等を含む業務日報入力画面が表示される。
【0032】
このような業務日報入力画面において、オペレーターが、マウス等を用いて、項目番号「1」の「詳細」ボタンをクリックすると、項目番号「1」の詳細データを入力するためのダイアログボックスがクライアント端末20の表示部に表示される。なお、積荷を運搬する船舶が複数の港に停泊する場合を想定して、項目番号「2」及び「3」が設けられている。
【0033】
例えば、東京港のABCという場所においてAFO(A重油)を船舶に積んで、仙台港のDEFという場所においてAFOを陸揚げする場合に、オペレーターは、クライアント端末20の操作部を操作することにより、東京港を表す積港コード「0140」、積場所ABCを表す積場所コード「0123」、仙台港を表す揚港コード「0110」、揚場所DEFを表す揚場所コード「0456」、AFOを特定する品名コード「00123」、受注数量等を含む詳細データをダイアログボックスに入力する。
【0034】
オペレーターが、マウス等を用いて、ダイアログボックス内の「検索」ボタンをクリックすると、クライアント端末20は、ネットワークを介して内航海運管理サーバー10に詳細データを送信する。内航海運管理サーバー10のデータ処理部13及びデータ検索部14は、クライアント端末20からネットワーク接続部12を介して、詳細データを受信する。
【0035】
データ検索部14は、積港コード「0140」及び積場所コード「0123」に基づいて寄港地マスターテーブルを参照することにより、積港名「東京」を表す文字データ及び積場所名「ABC」を表す文字データを読み出す。また、データ検索部14は、揚港コード「0110」及び揚場所コード「0456」に基づいて寄港地マスターテーブルを参照することにより、揚港名「仙台」を表す文字データ及び揚場所名「DEF」を表す文字データを読み出す。また、データ検索部14は、品名コード「00123」に基づいて品名マスターテーブルを参照することにより、品名「AFO」を表す文字データを読み出す。
【0036】
ネットワーク接続部12は、受信された詳細データを含む受注データ及び読み出された文字データに基づいて、更新されたダイアログボックスを表すファイルを生成して、ネットワークを介してクライアント端末20に送信する。これにより、クライアント端末20の表示部において、積港名「東京」、積場所名「ABC」、揚港名「仙台」、揚場所名「DEF」、品名「AFO」等を含むダイアログボックスが表示される。
【0037】
オペレーターが、マウス等を用いて、ダイアログボックス内の「登録」ボタンをクリックすると、ダイアログボックスに表示された内容の少なくとも一部が業務日報入力画面に表示されると共に、登録命令がクライアント端末20からネットワークを介して内航海運管理サーバー10に送信される。内航海運管理サーバー10のネットワーク接続部12を介して登録命令を受信したデータ処理部13は、詳細データを含む受注データを、業務データとして管理データベースの業務日報テーブルに格納して登録する。
【0038】
<寄港データの入力>
荷主から海運会社に委託された荷物を積むために船舶が寄港した際に、海運会社のオペレーターは、クライアント端末20の操作部を操作することにより、ネットワークを介して内航海運管理サーバー10にアクセスして、クライアント端末20の表示部に表示されたメニューの中から「業務日報入力」を選択する。
【0039】
次に、オペレーターは、船名コード及び整理番号を業務日報入力画面に入力することにより、所望ケースを特定する。オペレーターが、マウス等を用いて、業務日報入力画面内の「検索」ボタンをクリックすると、入力された船名コード及び整理番号が、クライアント端末20からネットワークを介して内航海運管理サーバー10に送信される。
【0040】
内航海運管理サーバー10のデータ検索部14は、船名コード及び整理番号に基づいて、所望ケースの業務データを管理データベースの業務日報テーブルから読み出す。ネットワーク接続部12は、所望ケースの業務日報入力画面をクライアント端末20の表示部に表示させる。
【0041】
さらに、オペレーターが、マウス等を用いて、業務日報入力画面における項目番号「1」の「詳細」ボタンをクリックすると、項目番号「1」の詳細データを入力するためのダイアログボックスがクライアント端末20の表示部に表示される。オペレーターは、クライアント端末20の操作部を操作することにより、船舶が寄港した日付を特定する日付データ、及び、船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コードを含む寄港データをダイアログボックスに入力する。
【0042】
例えば、海運会社が2008年2月1日に東京港のABCという場所の○○海運の世話になって荷物を船舶に積んだ場合に、オペレーターは、積日データ「2008/02/01」、及び、積代理店である○○海運を特定する積代理店コード「000100」を含む寄港データをダイアログボックスに入力する。
【0043】
オペレーターが、マウス等を用いて、ダイアログボックス内の「検索」ボタンをクリックすると、クライアント端末20は、ネットワークを介して内航海運管理サーバー10に寄港データを送信する。内航海運管理サーバー10のデータ処理部13及びデータ検索部14は、クライアント端末20からネットワーク接続部12を介して寄港データを受信する。データ検索部14は、積代理店コード「000100」に基づいて取引先マスターテーブルを参照することにより、積代理店名「○○海運」を表す文字データを読み出す。
【0044】
ネットワーク接続部12は、登録されている業務データに加えて、受信された寄港データ及び読み出された文字データに基づいて、更新されたダイアログボックスを表すファイルを生成して、ネットワークを介してクライアント端末20に送信する。これにより、クライアント端末20の表示部において、積代理店名「○○海運」等を含むダイアログボックスが表示される。
【0045】
オペレーターが、マウス等を用いて、ダイアログボックス内の「登録」ボタンをクリックすると、ダイアログボックスに表示された内容の少なくとも一部が業務日報入力画面に表示されると共に、登録命令がクライアント端末20からネットワークを介して内航海運管理サーバー10に送信される。ネットワーク接続部12を介して登録命令を受信したデータ処理部13は、寄港データを受注データに関連付けて、業務データとして管理データベースの業務日報テーブルに格納して登録する。
【0046】
また、荷主から海運会社に委託された荷物を陸揚げするために船舶が寄港した際にも、海運会社のオペレーターは、クライアント端末20の操作部を操作することにより、ネットワークを介して内航海運管理サーバー10にアクセスして、クライアント端末20の表示部に表示されたメニューの中から「業務日報入力画面」を選択する。
【0047】
次に、オペレーターは、船名コード及び整理番号を業務日報入力画面に入力することにより、所望ケースを特定する。オペレーターが、マウス等を用いて、業務日報入力画面内の「検索」ボタンをクリックすると、入力された船名コード及び整理番号が、クライアント端末20からネットワークを介して内航海運管理サーバー10に送信される。
【0048】
内航海運管理サーバー10のデータ検索部14は、船名コード及び整理番号に基づいて、所望ケースの業務データを管理データベースの業務日報テーブルから読み出す。ネットワーク接続部12は、所望ケースの業務日報入力画面をクライアント端末20の表示部に表示させる。
【0049】
さらに、オペレーターが、業務日報入力画面において、マウス等を用いて、項目番号「1」の「詳細」ボタンをクリックすると、項目番号「1」の詳細データを入力するためのダイアログボックスがクライアント端末20の表示部に表示される。オペレーターは、クライアント端末20の操作部を操作することにより、船舶が寄港した日付を特定する日付データ、及び、船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コードを含む寄港データをダイアログボックスに入力する。
【0050】
例えば、海運会社が2008年2月2日に仙台港のDEFという場所の××海運の世話になって積荷を陸揚げした場合に、オペレーターは、揚日データ「2008/02/02」、及び、揚代理店である××海運を特定する揚代理店コード「000120」を含む寄港データをダイアログボックスに入力する。
【0051】
オペレーターが、マウス等を用いて、ダイアログボックス内の「検索」ボタンをクリックすると、クライアント端末20は、ネットワークを介して内航海運管理サーバー10に寄港データを送信する。内航海運管理サーバー10のデータ処理部13及びデータ検索部14は、クライアント端末20からネットワーク接続部12を介して寄港データを受信する。データ検索部14は、揚代理店コード「000120」に基づいて取引先マスターテーブルを参照することにより、揚代理店名「××海運」を表す文字データを読み出す。
【0052】
ネットワーク接続部12は、登録されている業務データに加えて、受信された寄港データ及び読み出された文字データに基づいて、更新されたダイアログボックスを表すファイルを生成して、ネットワークを介してクライアント端末20に送信する。これにより、クライアント端末20の表示部において、揚代理店名「××海運」等を含むダイアログボックスが表示される。
【0053】
オペレーターが、マウス等を用いて、ダイアログボックス内の「登録」ボタンをクリックすると、ダイアログボックスに表示された内容の少なくとも一部が業務日報入力画面に表示されると共に、登録命令がクライアント端末20からネットワークを介して内航海運管理サーバー10に送信される。ネットワーク接続部12を介して登録命令を受信したデータ処理部13は、寄港データを受注データに関連付けて、業務データとして管理データベースの業務日報テーブルに格納して登録する。
【0054】
図3は、管理データベースの業務日報テーブルに格納されている業務データの構造を示す図である。図3に示すように、受注データと船積み時の寄港データと陸揚げ時の寄港データとに含まれている複数の項目が、航海毎に互いに関連付けられて管理データベースの業務日報テーブルに格納されている。
【0055】
<業務データの検索>
図1に示す内航海運管理システムを用いることにより、代理店からの請求額が適正なものであるか否かを判断すると共に、支払金額の入力を行うことができる。例えば、2008年3月になって、2008年2月分の請求書が代理店から海運会社に届いた際に、海運会社のオペレーターは、クライアント端末20の操作部を操作することにより、ネットワークを介して内航海運管理サーバー10にアクセスする。
【0056】
内航海運管理サーバー10のネットワーク接続部12は、クライアント端末20からネットワークを介してアクセスを受けたときに、メニューをクライアント端末20の表示部に表示させる。オペレーターが、クライアント端末20の表示部に表示されたメニューの中から「代理店料入力」を選択すると、内航海運管理サーバー10のネットワーク接続部12は、代理店料入力画面をクライアント端末20の表示部に表示させる。
【0057】
図4は、クライアント端末の表示部に表示される代理店料入力画面の例を示す図である。オペレーターは、クライアント端末20の操作部を操作することにより、代理店コード(図4においては「支払先コード」と表示されている)、設定期間の開始日を特定する第1のデータ、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータを代理店料入力画面に入力する。
【0058】
例えば、代理店である○○海運からの2008年2月分の請求額をチェックする場合に、オペレーターは、代理店である○○海運を特定する代理店コード(支払先コード)「000100」、設定期間の開始日を特定する第1のデータ「2008/02/01」、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータ「2008/02/28」を代理店料入力画面に入力する。
【0059】
オペレーターが、マウス等を用いて、代理店料入力画面内の「検索」ボタンをクリックすると、クライアント端末20は、検索命令に応答して、業務データの検索要求と共に、代理店コード、第1のデータ、及び、第2のデータを、ネットワークを介して内航海運管理サーバー10に送信する。内航海運管理サーバー10のデータ検索部14は、クライアント端末20からネットワーク接続部12を介して、業務データの検索要求と共に、代理店コード、第1のデータ、及び、第2のデータを受信する。
【0060】
データ検索部14は、受信された代理店コードを検索キーワードとして用いて、管理データベースの業務日報テーブルに格納されている業務データを検索することにより、代理店コードに関連付けられた日付データを読み出す。また、データ検索部14は、読み出された日付データを第1及び第2のデータと比較することにより、設定期間の開始日から終了日までの日付に該当する日付データを抽出すると共に、抽出された日付データに関連付けられた船名コードを読み出す。抽出された日付データ、及び、抽出された日付データに関連付けられた船名コードは、ネットワーク接続部12に供給される。
【0061】
さらに、データ検索部14は、受信された代理店コード「000100」に基づいて取引先マスターテーブルを参照することにより、代理店名「○○海運」を表す文字データを読み出す。また、データ検索部14は、抽出された日付データに関連付けられた船名コード「001234」に基づいて船名マスターテーブルを参照することにより、船名「日本丸」を表す文字データを読み出す。読み出された文字データは、ネットワーク接続部12に供給される。
【0062】
ネットワーク接続部12は、受信された代理店コード、第1及び第2のデータ、抽出された日付データ、及び、抽出された日付データに関連付けられた船名コードによってそれぞれ特定される代理店名、設定期間の開始日及び終了日、船舶が寄港した日付、及び、船名を含む代理店料入力画面を表すファイル(HTMLファイル等)を生成する。ネットワーク接続部12は、生成したファイルを、ネットワークを介してクライアント端末20に送信することにより、検索結果を表す代理店料入力画面をクライアント端末20の表示部に表示させる。
【0063】
例えば、図4に示すように、クライアント端末20は、内航海運管理サーバー10から受信したファイルに基づいて、代理店コード(支払先コード)「000100」、代理店名「○○海運」、設定期間の開始日(計上日)「2008/02/01」〜設定期間の終了日(計上日)「2008/02/28」、船舶が寄港した日付(計上日)「2008/02/01」、船名コード「001234」、及び、船名「日本丸」を含む代理店料入力画面を表示部に表示する。なお、代理店入力番号は、オペレーターが入力しても良いし、内航海運管理サーバー10のデータ処理部13が、自動的に連番で発行しても良い。
【0064】
オペレーターは、代理店料入力画面に表示された情報と、代理店である○○海運から海運会社に対して発行された2008年2月分の請求書の内容とを比較することにより、代理店からの請求書の内容が適正なものであるか否かを判断することができる。例えば、代理店からの請求書に、2008年2月1日以外の計上日に関する請求が含まれている場合には、これが誤りであると判断することができる。
【0065】
<支払金額の入力>
さらに、オペレーターは、代理店から海運会社に対して発行された請求書に基づいて、クライアント端末20の操作部を操作することにより、代理店料入力画面において支払金額データを入力することができる。例えば、オペレーターは、船舶が寄港した日付(計上日)に対応して、「金額」、「消費税」、及び、「税込金額」の欄に、それぞれの金額を表す支払金額データを入力する。あるいは、消費税を含まない支払金額を表す支払金額データを「金額」の欄にオペレーターが入力することにより、内航海運管理サーバー10のデータ処理部13が、消費税の金額を表す支払金額データと、消費税込の支払金額を表す支払金額データとを算出するようにしても良い。
【0066】
図4においては、1つの計上日が抽出された代理店料入力画面が示されているが、複数の計上日が抽出される場合も想定される。そこで、内航海運管理サーバー10のデータ処理部13は、クライアント端末20の表示部に表示された代理店料入力画面において船舶が寄港した日付に対応して入力された支払金額データを受信し、支払金額データによって表される支払金額を合計して合計支払金額を表す合計支払金額データを算出しても良い。その場合に、ネットワーク接続部12は、合計支払金額を含む代理店料入力画面をクライアント端末20の表示部に表示させる。
【0067】
オペレーターが、マウス等を用いて、代理店料入力画面内の「登録」ボタンをクリックすると、登録命令が、クライアント端末20からネットワークを介して内航海運管理サーバー10に送信される。内航海運管理サーバー10のデータ処理部13は、ネットワーク接続部12を介して登録命令を受信し、合計支払金額データを、対応する代理店コード、日付データ、及び、船名コードに関連付けて、支払データとして管理データベースの支払テーブルに格納して登録する。
【0068】
代理店料の負担に関しては、海運会社と船主と荷主との間で取決めが定められることもある。代理店料の負担に関する取決めに従って、海運会社が代理店料を負担する場合と、船主が代理店料を負担する場合と、荷主が代理店料を負担する場合とが存在する。船主が代理店料を負担する場合には、海運会社が船主に対して代理店料を立て替えることになり、荷主が代理店料を負担する場合には、海運会社が荷主に対して代理店料を立て替えることになる。
【0069】
そこで、オペレーターが、クライアント端末20の操作部を操作することにより、船舶が寄港した日付に対応して、代理店に対する支払金額を海運会社の費用と船主又は荷主への立替とに分類しても良いが、以下においては、内航海運管理サーバー10が、代理店に対する支払金額を自動的に分類する場合について説明する。
【0070】
そのために、記録部15は、代理店料の支払条件を特定する支払条件データを品名コードに対応して格納する品名マスターテーブルを記録している。代理店料の支払条件としては、代理店料を海運会社の費用とするという条件と、代理店料を船主への立替とするという条件と、代理店料を荷主への立替とするという条件とが存在する。例えば、それらの支払条件(立替区分)を特定する支払条件データ「0」、「1」、「2」に対応して、品名「AFO(A重油)」の品名コード「00122」、「00123」、「00124」が用いられても良い。
【0071】
データ処理部13は、クライアント端末20の表示部に表示された代理店料入力画面において船舶が寄港した日付に対応して入力された支払金額データをネットワーク接続部12から受信したときに、船舶が寄港した日付を特定する日付データに関連付けられた品名コードに基づいて品名マスターテーブルを参照して支払条件データを読み出す。
【0072】
さらに、データ処理部13は、支払条件データによって特定される支払条件に従って、支払金額データによって表される支払金額を、海運会社の費用と船主への立替と荷主への立替とに分類し、それぞれの合計金額を表す第1〜第3の合計金額データと、それらの総合計金額を表す第4の合計金額データとを算出する。第1〜第4の合計金額データの各々は、消費税を含まない合計金額を表す合計金額データと、消費税の合計金額を表す合計金額データと、消費税込の合計金額を表す合計金額データとを含んでも良い。
【0073】
ネットワーク接続部12は、支払条件データによって特定される支払条件と、第1〜第4の合計金額データによって表される合計金額とを含む代理店料入力画面を、クライアント端末20の表示部に表示させる。図4に示す代理店料入力画面においては、船舶が寄港した日付「2008/02/01」に対応して、立替区分が「1」及び「船主」と表示されている。これは、支払金額が船主への立替となることを表している。また、海運会社の費用となる「支払合計」と、船主への立替となる「船主立替合計」と、荷主への立替となる「荷主立替合計」と、それらの合計である「総合計」とが表示されている。
【0074】
オペレーターが、マウス等を用いて、代理店料入力画面内の「登録」ボタンをクリックすると、登録命令が、クライアント端末20からネットワークを介して内航海運管理サーバー10に送信される。内航海運管理サーバー10のデータ処理部13は、ネットワーク接続部12を介して登録命令を受信し、第1〜第4の合計金額データを、対応する代理店コード、日付データ、及び、船名コードに関連付けて、支払データとして管理データベースの支払テーブルに格納して登録する。これにより、支払データを会計システムにおいても利用できるようになるので、会計システムに支払情報を手作業で別途入力して振替仕訳を行う必要がなくなる。
【0075】
このように、支払金額が船主への立替となる場合には、ネットワーク接続部12が、抽出された日付データに関連付けられた支払先コード、及び、その支払先コードによって特定される船主名を代理店料入力画面に含めても良い。これにより、クライアント端末20の代理店料入力画面において、支払先コード(図4においては「船主コード」と表示されている)「002222」、及び、船主名「横浜タンカー」を含む代理店料入力画面が表示される。データ処理部13は、船主を特定する支払先コードを支払データに含めて管理データベースの支払テーブルに格納して登録する。
【0076】
<内航海運管理方法>
次に、本発明の一実施形態に係る内航海運管理方法について、図1及び図5を参照しながら説明する。図5は、図1に示す内航海運管理サーバーの動作を示すフローチャートである。海運会社のオペレーターが、内航海運管理サーバー10の電源を立ち上げて内航海運管理プログラムを起動させると、内航海運管理サーバー10のCPUが一連の動作を開始する。
【0077】
図5のステップS1において、データ処理部13は、荷主から海運会社に委託された積荷を運搬する船舶の船名を特定する船名コード、船舶が寄港した日付を特定する日付データ、及び、船舶の寄港に関与した代理店を特定する代理店コードを含む業務データを少なくとも1つのクライアント端末20から受信して、業務データに含まれている複数の項目を航海毎に互いに関連付けて管理データベースに格納する。
【0078】
ステップS2において、データ検索部14は、業務データの検索要求と共に、代理店コード、設定期間の開始日を特定する第1のデータ、及び、設定期間の終了日を特定する第2のデータをクライアント端末20から受信したときに、受信された代理店コードを検索キーワードとして用いて業務データを検索して代理店コードに関連付けられた日付データを読み出し、読み出された日付データを第1及び第2のデータと比較することにより、設定期間の開始日から終了日までの日付に該当する日付データを抽出すると共に、抽出された日付データに関連付けられた船名コードを読み出す。
【0079】
ステップS3において、ネットワーク接続部12は、受信された代理店コード、第1及び第2のデータ、抽出された日付データ、及び、抽出された日付データに関連付けられた船名コードによってそれぞれ特定される代理店名、設定期間の開始日及び終了日、船舶が寄港した日付、及び、船名を含む代理店料入力画面を、クライアント端末20の表示部に表示させる。
【0080】
以上の実施形態においては、内航海運管理サーバーを1つの端末によって構成する場合について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、内航海運管理サーバーを複数の端末によって構成しても良い。このように、当該技術分野において通常の知識を有する者によって、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0081】
10…内航海運管理サーバー、11…操作部、12…ネットワーク接続部、13…データ処理部、14…データ検索部、15…記録部、16…表示部、20…クライアント端末、30…プリンター
図1
図2
図3
図4
図5