【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日 平成26年 5月21日 ウェブサイトのアドレス http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0420140521beaj.html 公開者 株式会社日刊工業新聞社 (刊行物等) ウェブサイトの掲載日 平成26年 5月22日 ウェブサイトのアドレス http://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news201400038.html 公開者 NTN株式会社 (刊行物等) ウェブサイトの掲載日 平成26年 5月22日 ウェブサイトのアドレス http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20140522/353568/ 公開者 株式会社日経BP (刊行物等) ウェブサイトの掲載日 平成26年 5月23日 ウェブサイトのアドレス http://www.sanpo−pub.co.jp/topnews/2014/0523016259.html 公開者 産報出版株式会社 (刊行物等) ウェブサイトの掲載日 平成26年 5月24日 ウェブサイトのアドレス http://mechanical−tech.jp/node/5915 公開者 株式会社メカニカル・テック社 (刊行物等) ウェブサイトの掲載日 平成26年 5月26日 ウェブサイトのアドレス http://response.jp/article/2014/05/26/223911.html 公開者 株式会社イード (刊行物等) ウェブサイトの掲載日 平成26年 5月26日 ウェブサイトのアドレス http://carview.yahoo.co.jp/news/market/20140526−10204741−carview/ 公開者 株式会社カービュー (刊行物等) ウェブサイトの掲載日 平成26年 5月26日 ウェブサイトのアドレス http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140526−00000002−rps− bus_all 公開者 ヤフー株式会社 (刊行物等) 発行日 平成26年5月21日 刊行物 日刊工業新聞 公開者 株式会社日刊工業新聞社 (刊行物等) 発行日 平成26年5月22日 刊行物 日経産業新聞 公開者 株式会社日本経済新聞社 (刊行物等)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日 平成26年5月26日 刊行物 日刊自動車新聞 公開者 株式会社日刊自動車新聞社 (刊行物等) 展示日 平成26年5月21日から5月23日 展示会名 自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展2014 主催者名 公益社団法人自動車技術会 公開者 NTN株式会社
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トルク伝達要素が係合するトラック溝を内周に形成したカップ部と、このカップ部の底部に形成された軸部とを別部材で構成し、前記カップ部を形成するカップ部材と前記軸部を形成する軸部材とを溶接してなる等速自在継手の外側継手部材の製造方法において、
前記カップ部材と軸部材を中炭素鋼で形成し、前記カップ部材として、その筒状部と底部を鍛造加工により一体に形成した後、機械加工工程において前記底部の外面に接合用端面を形成したカップ部材を準備し、前記軸部材として、機械加工工程において前記カップ部材の底部と接合される接合用端面を形成した軸部材を準備し、前記カップ部材の接合用端面と軸部材の接合用端面を突合せて、この突合せ部の外側から半径方向にビームを照射して溶接するものであって、
前記軸部材は、バー材を切断したビレットから鍛造加工により、前記接合用端面が形成される段部および半径方向内側の凹部を成形し、
前記鍛造加工は、前記ビレットから前記接合用端面が形成される段部をテーパ状に成形する予備成形工程と、その後、前記接合用端面が形成される段部および前記凹部を形成する本成形工程とからなることを特徴とする等速自在継手の外側継手部材の製造方法。
前記予備成形工程における据え込み距離(L1)と前記ビレットの直径(Dw1)の比L1/Dw1に対して、前記本成形工程における据え込み距離(L2)と予備成形後の直径(Dw2)の比L2/Dw2を小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手の外側継手部材の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した摩擦圧接によって生じた接合部74のバリ75は、摩擦熱とその後の冷却によって焼入れされて高い硬度を有すると共に、径方向と軸方向とに広がる歪んだ形状をしている。したがって、
図21に示すように、外径側のバリ75を旋削加工で除去する際、高い硬度によって旋削チップが激しく摩耗し、また、歪んだ形状によって旋削チップに欠けが生じやすい。そのため、旋削速度を上げることが難しく、旋削チップの1つのパス当たりの切削量が少なくパス数が増大するので、サイクルタイムが長く製造コストが上がるという問題がある。
【0008】
また、外側継手部材71の接合部74の接合状態を検査するために、高速探傷が可能な超音波探傷を行おうとしても、接合部74の内径側に残るバリ75によって超音波が散乱するため接合状態を確認できない。したがって、接合後、超音波探傷による全数検査ができないという問題もある。
【0009】
上記の問題に対して、接合にレーザ溶接あるいは電子ビーム溶接を行うことによって、摩擦圧接のような接合部表面の盛り上がりを抑えることが考えられるが、
図22に示すようなカップ部材72と軸部材73を突き合わせて溶接した場合、溶接中の加工熱により、中空空洞部76内の気体圧力が上昇し、溶接終了後は圧力の減少が生じる。この中空空洞部76の内圧の変化により、溶融物の吹き上がりが発生し、溶接部の外径の表面に凹み、溶接深さ不良や溶接内部に気泡が生じて溶接状態が悪化する。その結果、溶接部の強度が安定せず、品質に悪影響を及ぼすことになる。
【0010】
さらに、前述した
図20および
図21の摩擦圧接や
図22の溶接に用いたカップ部材72と軸部材73は、車種毎に異なる形状、寸法の軸部分の途中位置で接合するものである。そのため、後述するように生産性の向上やカップ部材の品種統合によるコスト低減の面でも問題があることが判明した。
【0011】
加えて、自動車用等の量産製品である等速自在継手の外側継手部材では、その軸部材の加工工程を削減し、生産性の向上および製造コストの削減を図ることが不可欠であることに着目した。
【0012】
本発明は、前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、溶接部の強度、品質の向上、溶接コストの削減、軸部材の生産性の向上および製造コストの削減、並びに品種統合によるコスト低減、生産管理の負荷低減を可能にする外側継手部材の製造方法および外側継手部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討および検証し、以下の知見を見出した。そして、これらの多面的な知見を基に、量産性を考慮した新たな製造コンセプトを着想し、本発明に至った。
(1)生産技術の面では、カップ部材と軸部材を密閉空間に設置して真空引きし、中空空洞部も真空化された状態で溶接することで溶融物の吹き上がりや気泡の発生が抑えられる。
(2)また、生産性の面では、生産性向上を図るために焼入れ焼戻しの熱処理を施したカップ部材と軸部材を溶接する場合、溶接時の熱で周辺部の温度が上昇し、熱処理部の硬度が低下する懸念がある。この問題に対しては、溶接工程の順序の入れ替えにより、継手機能への影響がない範囲で最も効率的でコスト低減が可能な工程で接合するという方法に着目した。例えば、溶接時の熱影響がないものであれば、焼入れ焼戻しの熱処理を施した完成状態のカップ部材と軸部材を溶接し、一方、熱影響があるものは、溶接後の熱処理とする工程とするなど、カップ部材や軸部材の形状、仕様等に応じて最適な工程をとるコンセプトを見出した。
(3)さらに、生産性や品種統合の面では、
図20〜22に示すカップ部材72には、次のような問題があることが判明した。すなわち、カップ部材72は、鍛造加工等によりカップ部の底部より縮径された短軸部が形成されるが、この短軸部が軸部材73の形状、寸法を基準にして設定され、軸部の途中位置で接合される構成となっている。軸部材73は、組み付けられる車両によって、標準的な長さのステムやロングステムというタイプの違いに加えて、種々の軸径や外周形状が要求される。このため、カップ部材72の短軸部を軸部材73の形状、寸法を基準にして設定し、軸部の途中位置で接合する場合、軸部材73と接合されるカップ部材72の短軸部の軸径(接合径)や形状、長さ(接合位置)の両方が異なるため、一種類の軸部材73に対して専用のカップ部材72が必要になる。したがって、生産性の向上やカップ部材の品種統合によるコスト低減の面でも問題があることが判明した。
(4)加えて、自動車用等の量産製品である等速自在継手の外側継手部材の新たな製造コンセプトを実用面で成立させるためには、外側継手部材の軸部材の加工工程を削減し、生産性の向上および製造コストの削減を可能にする鍛造加工に工夫が必要であることが判明した。具体的には、例えば、アプセッタによる鍛造では、各工程間で材料を搬送していくため、搬送時間が無視できず材料温度の低下が起こる。また、工程数が多い場合に、金型への接触も多くなることから、材料温度はより低下しやすくなる。材料温度が低下した場合、変形抵抗が大きくなるために所定の工程で狙い形状に加工することができなくなる問題があり、このために、従来は材料温度を1000〜1200℃の熱間領域まで加熱して鍛造する必要があった。この結果、熱間領域まで加熱することで結晶粒の肥大化が起こり易くなり、鍛造加工後の焼準工程が必須となり、また、熱間領域では、鍛造品表面にスケールと呼ばれる酸化被膜が形成されることから、ショットピーニング工程が必須であるという製造コスト高の課題があった。特に、長軸製品ではバー材からの全域旋削と比較してコストメリットがないために、鍛造による加工が敬遠される傾向にあるという問題が判明した。
【0014】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、トルク伝達要素が係合するトラック溝を内周に形成したカップ部と、このカップ部の底部に形成された軸部とを別部材で構成し、前記カップ部を形成するカップ部材と前記軸部を形成する軸部材とを溶接してなる等速自在継手の外側継手部材の製造方法において、前記カップ部材と軸部材を中炭素鋼で形成し、前記カップ部材として、その筒状部と底部を鍛造加工により一体に形成した後、機械加工工程において前記底部の外面に接合用端面を形成したカップ部材を準備し、前記軸部材として、機械加工工程において前記カップ部材の底部と接合される接合用端面を形成した軸部材を準備し、前記カップ部材の接合用端面と軸部材の接合用端面を突合せて、この突合せ部の外側から半径方向にビームを照射して溶接するものであって、前記軸部材は、バー材を切断したビレットから鍛造加工により、前記接合用端面が形成される段部および半径方向内側の凹部を成形
し、前記鍛造加工は、前記ビレットから前記接合用端面が形成される段部をテーパ状に成形する予備成形工程と、その後、前記接合用端面が形成される段部および前記凹部を形成する本成形工程とからなることを特徴とする。
【0016】
上記の構成により、溶接部の強度、品質の向上、溶接コストの削減、軸部材の生産性の向上および製造コストの削減、並びに品種統合によるコスト低減、生産管理の負荷低減が可能な外側継手部材の製造方法および外側継手部材を実現することができる。
【0017】
具体的には、上記の接合用端面の外径をジョイントサイズ毎に同一寸法にすることにより、品種統合するカップ部材の加工度を高め、生産性の向上および生産管理の軽減を一層促進することができる。
【0018】
ここで、特許請求の範囲および本明細書において、上記の接合用端面の外径をジョイントサイズ毎に同一寸法にしたとは、カップ部材が1つのジョイントサイズで1種類、すなわち、1品番ということに限定されるものではなく、例えば、最大作動角の異なる仕様により1つのジョイントサイズで複数の種類(複数品番)のカップ部材を設定し、これらのカップ部材の上記接合用端面の外径を同一寸法にしたものを包む概念のものである。また、これに加えて、例えば、継手機能や製造現場の実情、生産性等を考慮して、カップ部材を熱処理前の中間部品と熱処理を施した完成部品の複数形態で管理するために、1つのジョイントサイズで複数の種類(複数品番)のカップ部材を設定し、これらのカップ部材の上記接合用端面の外径を同一寸法にしたものも包むものである。
【0019】
ただし、カップ部材の接合用端面の外径と軸部材の接合用端面の外径を、必ずしも同一寸法にする必要はなく、例えば、溶接ビードの状態などを考慮して、カップ部材の接合用端面の外径に対して軸部材の接合用端面の外径を若干小径にすることや、反対にカップ部材の接合用端面の外径に対して軸部材の接合用端面の外径を若干大径にするなど適宜の寸法差をつけてもよい。本明細書において、カップ部材と軸部材の接合用端面の外径が、ジョイントサイズ毎に同一寸法に設定されているとは、カップ部材の接合用端面の外径と軸部材の接合用端面の外径との間においては適宜の寸法差があることも含む概念のものである。
【0020】
さらに、特許請求の範囲および明細書において、接合用端面の外径をジョイントサイズ毎に同一寸法にしたことや、突出面をジョイントサイズ毎に同一にしたことは、等速自在継手の形式が異なる場合も含むものであり、例えば、インボード側では、トリポード型等速自在継手とダブルオフセット型等速自在継手の上記接合用端面の外径を同一寸法にすることや、アウトボード側では、ツェッパ型等速自在継手とアンダーカットフリー型等速自在継手の上記接合用端面の外径を同一寸法にすることも含む概念のものである。さらには、インボード側とアウトボード側の等速自在継手の上記接合用端面の外径を同一寸法にすることも可能である。
【0021】
上記の軸部材の鍛造加工は、ビレットから接合用端面が形成される段部をテーパ状に成形する予備成形工程と、その後、接合用端面が形成される段部および前記凹部を形成する本成形工程とから構成することが好ましい。これにより、工程数を抑制し、熱間領域より低い温度領域の加熱温度での鍛造を可能となる。
【0022】
上記の予備成形工程における据え込み距離(L1)とビレットの直径(Dw1)の比L1/Dw1に対して、上記の本成形工程における据え込み距離(L2)と予備成形後の直径(Dw2)の比L2/Dw2を小さくすることが好ましい。これにより、座屈の発生を防止し、表皮の巻き込み等がなく、安定した据込みを可能とする。
【0023】
上記の予備成形工程において、ビレットを円錐角(θ)が5〜20°のパンチで成形することにより、熱間領域より低い温度領域の加熱温度でも座屈を防止することができる。
【0024】
上記の軸部材の鍛造加工において、ビレットを800〜1000℃に加熱することにより、鍛造加工後の焼準工程やショットピーニング工程を省略することができ、軸部材の生産性が向上し、製造コストを低減できる。
【0025】
上記の凹部の中にビレットの中央偏析部が留まっていることにより、溶接部の強度、品質の良好な等速自在継手の外側継手部材が得られる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る等速自在継手の外側継手部材の製造方法および外側継手部材によれば、溶接部の強度、品質の向上、溶接コストの削減、軸部材の生産性の向上および製造コストの削減、並びにカップ部材の品種統合によるコスト低減、生産管理の軽減が可能な外側継手部材の製造方法および外側継手部材を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
本発明に係る等速自在継手の外側継手部材の製造方法についての第1の実施形態を
図3〜14に示し、本発明に係る外側継手部材についての第1の実施形態を
図1および
図2に示す。はじめに、外側継手部材についての第1の実施形態を
図1および
図2に基づいて説明し、続いて、外側継手部材の製造方法についての第1の実施形態を
図3〜14に基づいて説明する。
【0030】
図1は、第1の実施形態の外側継手部材11が使用されたドライブシャフト1の全体構造を示す図である。ドライブシャフト1は、デフ側(図中右側:以下、インボード側ともいう)に配置される摺動式等速自在継手10と、駆動車輪側(図中左側:以下、アウトボード側ともいう)に配置される固定式等速自在継手20と、両等速自在継手10、20をトルク伝達可能に連結する中間シャフト2とを主要な構成とする。
【0031】
図1に示す摺動式等速自在継手10は、いわゆるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)である。この等速自在継手10は、カップ部12とカップ部12の底部から軸方向に延びた長寸軸部(以下、ロングステム部ともいう)13とを有する外側継手部材11と、外側継手部材11のカップ部12の内周に収容された内側継手部材16と、外側継手部材11と内側継手部材16のトラック溝30、40との間に配置されたトルク伝達要素としてのボール41と、外側継手部材11の筒状内周面42と内側継手部材16の球状外周面43とに、それぞれ嵌合する球状外周面45、球状内周面46を有し、ボール41を保持する保持器44とを備える。保持器44の球状外周面45の曲率中心O
1と球状内周面46の曲率中心O
2は、継手中心Oに対して、軸方向に反対側に等距離オフセットされている。
【0032】
ロングステム部13の外周面にはサポートベアリング6の内輪が固定されており、このサポートベアリング6の外輪は、図示しないブラケットを介してトランスミッションケースに固定されている。外側継手部材11は、サポートベアリング6によって回転自在に支持され、このようなサポートベアリング6を設けておくことにより、運転時等における外側継手部材11の振れが可及的に防止される。
【0033】
図1に示す固定式等速自在継手20は、いわゆるツェッパ型等速自在継手であり、有底筒状のカップ部21aとカップ部21aの底部から軸方向に延びた軸部21bとを有する外側継手部材21と、外側継手部材21のカップ部21aの内周に収容された内側継手部材22と、外側継手部材21のカップ部21aと内側継手部材22との間に配置されたトルク伝達要素としてのボール23と、外側継手部材21のカップ部21aの内周面と内側継手部材22の外周面との間に配され、ボール23を保持する保持器24とを備える。なお、固定式等速自在継手20として、アンダーカットフリー型等速自在継手が用いられる場合もある。
【0034】
中間シャフト2は、その両端部外径にトルク伝達用のスプライン(セレーションを含む。以下、同じ)3を有する。そして、インボード側のスプライン3を摺動式等速自在継手10の内側継手部材16の孔部とスプライン嵌合させることにより、中間シャフト2と摺動式等速自在継手10の内側継手部材16とがトルク伝達可能に連結される。また、アウトボード側のスプライン3を固定式等速自在継手20の内側継手部材22の孔部とスプライン嵌合させることにより、中間シャフト2と固定式等速自在継手20の内側継手部材22とがトルク伝達可能に連結される。この中間シャフト2として、中実タイプを示したが、中空タイプを用いることもできる。
【0035】
両等速自在継手10、20の内部には潤滑剤としてのグリースが封入されている。グリースの外部漏洩や継手外部からの異物侵入を防止するため、摺動式等速自在継手10の外側継手部材11と中間シャフト2との間、および固定式等速自在継手20の外側継手部材21と中間シャフト2との間には、蛇腹状のブーツ4、5がそれぞれ装着されている。
【0036】
図2に基づき、第1の実施形態の外側継手部材を説明する。
図2は、本実施形態の外側継手部材11を拡大して示したもので、
図2(a)は部分縦断面図で、
図2(b)は、
図2(a)のA部の拡大図で、
図2(c)は溶接前の形状を示す図である。外側継手部材11は、一端が開口し、内周面の円周方向等間隔にボール41(
図1参照)が転動する複数のトラック溝30と筒状内周面42が形成された有底筒状のカップ部12と、カップ部12の底部から軸方向に延び、カップ部12とは反対側の端部外周にトルク伝達用連結部としてのスプラインSpが設けられたロングステム部13とからなる。本実施形態では、外側継手部材11は、カップ部材12a、軸部材13aが溶接されて形成されている。
【0037】
図2(a)〜
図2(c)に示すカップ部材12aは、S53C等の0.40〜0.60重量%の炭素を含む中炭素鋼からなり、内周にトラック溝30と筒状内周面42が形成された筒状部12a1と底部12a2からなる一体成形品である。カップ部材12aの底部12a2には凸部12a3が形成されている。カップ部材12aの開口側の外周にはブーツ取付溝32が形成され、内周には止め輪溝33が形成されている。軸部材13aは、カップ部材12a側の外周に軸受装着面14および止め輪溝15が形成され、反対側の端部にスプラインSpが形成されている。
【0038】
軸部材13aは、S40C等の0.30〜0.55重量%の炭素を含む中炭素鋼からなる。カップ部材12aの底部12a2の凸部12a3に形成された接合用端面50と軸部材13aのカップ部材12a側端部の接合用端面51とを突合せ、カップ部材12aの外側から半径方向に電子ビーム溶接により溶接されている。
図2(a)および
図2(b)に示すように、溶接部49は、カップ部材12aの半径方向外側から照射されたビームによるビードで形成されている。詳細は後述するが、接合用端面50と接合用端面51の外径B〔
図4(b)、
図5(c)参照〕は、ジョイントサイズ毎に同一寸法に設定されている。ただし、カップ部材12aの接合用端面50の外径Bと軸部材13aの接合用端面51の外径Bを、必ずしも同一寸法にする必要はなく、例えば、溶接ビードの状態などを考慮して、接合用端面50の外径Bに対して接合用端面51の外径Bを若干小径にすることや、反対に接合用端面50の外径Bに対して接合用端面51の外径Bを若干大径にするなど適宜の寸法差をつけてもよい。本明細書において、接合用端面50と接合用端面51の外径Bは、ジョイントサイズ毎に同一寸法に設定されているとは、接合用端面50の外径Bと接合用端面51の外径Bとの間においては適宜の寸法差があることも含む概念のものである。
【0039】
図2に示すように、溶接部49が、軸部材13aの軸受装着面14よりカップ部材12a側の接合用端面51に形成されるので、軸受装着面14などは前もって加工可能で溶接後の後加工を廃止できる。また、電子ビーム溶接のため溶接部にバリが出ないので、溶接部の後加工も省略でき、製造コストが削減できる。さらに、溶接部の超音波探傷による全数検査が可能である。
【0040】
図2(c)に示すように、カップ部材12aの接合用端面50は、環状に座ぐった形態で旋削加工し、半径方向の中央部は鍛造肌を残している。これにより、旋削加工時間を短縮している。
【0041】
次に、本発明に係る製造方法についての第1の実施形態を
図3〜14に基づいて説明する。本実施形態の製造方法の特徴的な構成である軸部材の鍛造加工の詳細を説明する前に全体的な製造工程(加工工程)を説明する。
図3は、外側継手部材の製造工程の概要を示す。本実施形態では、カップ部材12aは、図示のように、バー材切断工程S1c、鍛造加工工程S2c、しごき加工工程S3cおよび旋削加工工程S4cからなる製造工程により製造される。一方、軸部材13aは、バー材切断工程S1s、鍛造加工工程S2s、旋削加工工程S3sおよびスプライン加工工程S4sからなる製造工程により製造される。このようにして製造されたカップ部材12aと軸部材13aの中間部品は、それぞれ、品番が付与されて管理される。
【0042】
その後、カップ部材12aと軸部材13aとが溶接工程S6、熱処理工程S7および研削加工工程S8を経て外側継手部材11が完成する。特許請求の範囲における機械加工工程とは、上記の製造工程のうち、旋削加工工程S4c、旋削加工工程S3sや、後述する研削加工工程S6s(
図17参照)を意味する。
【0043】
各工程の概要を説明する。各工程は、代表的な例を示すものであって、必要に応じて適宜変更や追加を行うことができる。まず、カップ部材12aの製造工程を説明する。
【0044】
[バー材切断工程S1c]
鍛造重量に基づいてバー材を所定長さで切断し、ビレットを製作する。
【0045】
[鍛造加工工程S2c]
ビレットを鍛造加工により、カップ部材12aの素形材として筒状部、底部および凸部を一体成形する。
【0046】
[しごき加工工程S3c]
前記素形材のトラック溝30および筒状円筒面42をしごき加工して、カップ部材12aの筒状部の内周を仕上げる。
【0047】
[旋削加工工程S4c]
しごき加工後の素形材に、外周面、ブーツ取付溝32、止め輪溝33などと接合用端面50を旋削加工する。本実施形態では、旋削加工工程S4cの後、中間部品としてのカップ部材12aに品番を付与して管理する。
【0048】
次に、軸部材13aの製造工程を説明する。
[バー材切断工程S1s]
【0049】
鍛造重量に基づいてバー材を所定長さで切断し、ビレットを製作する。
[鍛造加工工程S2s]
その後、軸部材13aの形状に応じて、ビレットをアプセット鍛造により概略形状に鍛造加工する。
【0050】
[旋削加工工程S3s]
ビレットの外周面(軸受装着面14、止め輪溝15、スプライン下径、端面など)とカップ部材12a側端部の接合用端面51を旋削加工する。
【0051】
[スプライン加工工程S4s]
旋削加工後の軸部材にスプラインを転造加工する。ただし、スプラインの加工は転造加工に限られるものではなく、適宜プレス加工等に置き換えることもできる。本実施形態では、スプライン加工後、中間部品としての軸部材13aに品番を付与して管理する。
【0052】
次に、カップ部材12aと軸部材13aから外側継手部材11が完成するまでの製造工程を説明する。
【0053】
[溶接工程S6]
カップ部材12aの接合用端面50と軸部材13aの接合用端面51を突合せて溶接する。溶接後、カップ部材12aと軸部材13aの溶接部49を超音波探傷方法により検査する。
【0054】
[熱処理工程S7]
溶接後のカップ部12の少なくともトラック溝30、筒状内周面42および軸部13の外周の必要範囲に熱処理として高周波焼入れ焼戻しを行う。溶接部は熱処理を施さない。カップ部12のトラック溝30や筒状内周面42はHRC58〜62程度の硬化層が形成される。また、軸部13の外周の所定範囲にHRC50〜62程度の硬化層が形成される。
【0055】
[研削加工工程S8]
熱処理後、軸部13の軸受装着面14等を研削加工して仕上げる。これにより、外側継手部材11が完成する。
【0056】
本実施形態の製造工程では、溶接工程後に熱処理工程を組み入れたものであるので、溶接時の熱で周辺部の温度が上昇し、熱処理部の硬度に影響がある形状や仕様のカップ部材および軸部材に適する。
【0057】
次に、本実施形態の製造方法の主要な構成を詳細に説明する。
図4(a)は、カップ部材12aのしごき加工後の状態を示す縦断面図で、
図4(b)は旋削加工後の状態を示す縦断面図である。カップ部材12aの素形材12a’は、鍛造加工工程S2cにおいて、筒状部12a1’、底部12a2’および凸部12a3’が一体成形される。その後、しごき加工工程S3cにおいて、トラック溝30および筒状円筒面42がしごき加工され、
図4(a)に示すように筒状部12a1’の内周が仕上げられる。
【0058】
その後、旋削加工工程S4cにおいて、
図4(b)に示すように、カップ部材12aの外周面、ブーツ取付溝32、止め輪溝33などと底部12a2の凸部12a3の接合用端面50および外径Bが旋削加工される。
【0059】
図5に軸部材13aの各加工工程における状態を示す。
図5(a)はバー材を切断したビレット13a”を示す正面図で、
図5(b)はビレット13a”を鍛造加工(アプセット鍛造)により概略形状に鍛造加工した素形材13a’を示す部分縦断面図で、
図5(c)は、旋削加工およびスプライン加工後の軸部材13aを示す部分縦断面図である。
【0060】
バー材切断工程S1sにおいて、
図5(a)に示すビレット13a”が製作され、鍛造加工工程S2sでは、
図5(b)に示すように、ビレット13a”をアプセット鍛造加工により、所定範囲の軸径を拡径させ、接合用端面51が形成される段部54、軸受装着面14が形成される第2の段部55、第1の段部56を形成すると共に、接合側端部(カップ部材12a側端部)に凹部52を形成した素形材13a’を製作する。
【0061】
その後、旋削加工工程S3sにおいて、
図5(c)に示すように、軸部材13aの外径、軸受装着面14、止め輪溝15、凹部52の内径部53(内径E)、接合用端面51およびその外径Bを旋削加工し、スプライン加工工程S4sにおいて、凹部52の反対側端部にスプラインSpが転造やプレスにより加工される。
【0062】
図4(b)に示すカップ部材12aの底部12a2の凸部12a3の接合用端面50の外径Bは、1つのジョイントサイズで同一寸法に設定されている。また、
図5(c)に示す軸部材13aは、ロングステム用のものであるが、カップ部材12a側端部の接合用端面51の外径Bは、軸径や外周形状に関係なく、カップ部材12aの接合用端面50の外径Bと同一寸法に設定されている。そして、軸部材13aの接合用端面51は、軸受装着面14よりカップ部材12a側の位置に設定されている。このように寸法設定されているので、カップ部材12aを共用化し、軸部材13aのみを車種に応じた種々の軸径、長さや外周形状に製作し、両部材12a、13aを溶接することにより、種々の車種に適合する外側継手部材11を製作することができる。カップ部材12aの共用化についての詳細は後述する。
【0063】
次に、カップ部材12aと軸部材13aの溶接方法を
図10および
図11に基づいて説明する。
図10および
図11は溶接装置を示す概要図である。
図10は溶接前の状態を示し、
図11は溶接している状態を示す。
図10に示すように溶接装置100は、電子銃101、回転装置102、チャック103、センター穴ガイド104、テールストック105、ワーク受け台106、センター穴ガイド107、ケース108および真空ポンプ109を主な構成とする。
【0064】
溶接装置100内のワーク受け台106には、ワークであるカップ部材12a、軸部材13aが載置される。溶接装置100の一端にあるチャック103およびセンター穴ガイド107は回転装置102に連結されており、センター穴ガイド107によりカップ部材12aをセンタリングした状態でチャック103によりカップ部材12aを掴み、回転運動を与える。溶接装置100の他端にあるテールストック105にセンター穴ガイド104が一体に取り付けられ、両者は軸方向(
図10、11の左右方向)に進退可能に構成されている。
【0065】
センター穴ガイド104には軸部材13aのセンター穴がセットされ、センタリングされる。溶接装置100のケース108には真空ポンプ109が接続されている。本明細書において、密閉空間とは、ケース108により形成される空間111を意味する。本実施形態では、カップ部材12aおよび軸部材13aの全体が密閉空間111に収容されている。カップ部材12aおよび軸部材13aの接合用端面50、51に対応する位置に電子銃101が設けられている。電子銃101はワークに対して所定位置まで接近可能に構成されている。
【0066】
次に、上記のように構成された溶接装置100の作動と溶接方法を説明する。ワークであるカップ部材12aおよび軸部材13aは、溶接装置100と別の場所にストックされている。各ワークを、例えば、ロボットにより取り出し、
図10に示す大気に開放された溶接装置100のケース108内に搬送し、ワーク受け台106の所定位置にセットする。この時点では、センター穴ガイド104およびテールストック105は、図の右側に後退しており、カップ部材12aおよび軸部材13aの接合用端面50、51の間には隙間が設けられている。その後、ケース108の扉(図示省略)が閉まり、真空ポンプ109を起動してケース108内に形成される密閉空間111を減圧する。これにより、軸部材13aの凹部52、内径部53内も減圧される。
【0067】
密閉空間111が所定の圧力に減圧されたら、
図11に示すように、センター穴ガイド104およびテールストック105が左側に前進し、カップ部材12aと軸部材13aの接合用端面50、51の隙間がなくなる。これにより、カップ部材12aはセンター穴ガイド107によりセンタリングされてチャック103で固定され、軸部材13aはセンター穴ガイド104により支持される。この後、ワーク受け台106がワークから離れる。このときのワーク受け台106とワークとの間隔は微小なものでよいので、
図11では、上記間隔は図示を省略する。もちろん、ワーク受け台106を下方に大きく退避する構造にすることも可能である。
【0068】
その後、図示は省略するが、電子銃101が所定位置までワークに接近し、ワークを回転させて、予熱を開始する。予熱条件は、溶接条件とは異なり、電子銃101をワークに接近させてスポット径が大きな状態で電子ビームを照射するなどにより、溶接温度よりも低い温度とする。予熱することにより、溶接後の冷却速度を遅くすることで焼き割れを防止することができる。所定の予熱時間に達したら、電子銃101が所定の位置に後退し、ワークの外側から半径方向に電子ビームを照射し溶接が開始される。溶接が終了すると、電子銃101が退避し、ワークの回転が停止する。
【0069】
その後、図示は省略するが、密閉空間111を大気に開放する。そして、ワーク受け台106が上昇し、ワークを支持した状態で、センター穴ガイド104およびテールストック105が右側に後退し、チャック103を開放する。その後、例えば、ロボットがワークを掴み、溶接装置100から外し、冷却ストッカに整列させる。本実施形態では、カップ部材12aおよび軸部材13aの全体が密閉空間111に収容されている形態であるので、ケース108内の密閉空間111の構成を簡素化することができる。
【0070】
具体的には、炭素量が0.4〜0.6%のカップ部材12aおよび炭素量が0.3〜0.55%の軸部材13aを用いて、前述した溶接装置100で、ケース108内の密閉空間111の圧力を6.7Pa以下に設定して溶接した。溶接後の急冷を防止し溶接部硬度の高硬度化を抑制するために、カップ部材12a、軸部材13aの接合用端面50、51が300〜650℃になるよう予熱により均熱化した後、電子ビーム溶接を行った。この結果、製品機能上影響のない溶接表面の盛り上がり高さ(0.5mm以下)の溶接部が得られた。また、予熱による均熱化よって溶接完了後の溶接部硬度をHv200〜500の範囲内に抑えることができ、溶接強度が高く、かつ安定した溶接状態、品質を得ることができた。さらに、溶接装置100の密閉空間111を大気圧以下にして溶接することにより、溶接中の中空空洞部内の圧力変化を抑えることができ、溶融物の吹き上がりや内径側への引き込みを防ぐことができた。
【0071】
本実施形態の製造工程(加工工程)の全体構成は、前述したとおりであるが、次に本実施形態の特徴的な構成である軸部材の鍛造加工工程を
図6〜9に基づいて説明する。
図6は軸部材の鍛造加工を示し、
図6(a)は予備成形工程を示す縦断面図で、
図6(b)は予備成形品を拡大して部分縦断面図である。
図7は、本成形工程を示す縦断面図である。
図8は鍛造線を示す模式図であり、
図9は開発過程における知見を示す縦断面図である。
【0072】
従来は、材料温度の低下により変形抵抗が大きくなる問題のため、材料温度を1000〜1200℃の熱間領域まで加熱して鍛造する必要があった。この結果、熱間領域まで加熱することで結晶粒の肥大化が起こり易くなり、鍛造加工後の焼準工程が必須となり、また、熱間領域では、鍛造品表面にスケールと呼ばれる酸化被膜が形成されることから、ショットピーニング工程が必須であるという製造コスト高の課題があった。この課題を解決したのが、本実施形態の軸部材の鍛造加工工程S2sである。
【0073】
具体的には、本実施形態の軸部材の鍛造加工工程S2sは、後述する条件を評価テストにより導出したことにより、材料温度が低下する前に鍛造成形可能な工程数(2〜3工程)にて、熱間領域よりも低い800〜1000℃程度の温度領域で鍛造加工が可能となった。
【0074】
まず、軸部材の鍛造加工工程S2sの概要を説明する。本実施形態はアプセッタによる据込み鍛造加工を実施した。この鍛造加工工程S2sは、予備成形工程と本成形工程からなる。
図6(a)に示すように、予備成形工程の金型は、ダイス120とパンチ121を主な構成とする。
図6(a)のビレット13a”の中心線より上側半分は、予備成形前の状態を示し、下側半分は予備成形後の状態を示す。ダイス120は、上下に2分割されており、その内周面には、ビレット13a”の直径Dw1と略同一の円筒状内周面120aと、円筒状内周面120aより拡径した第1の段部成形面120bと、第1の段部成形面120bよりさらに拡径した第2の段部成形面120cが形成されている。円筒状内周面120aと第1の段部成形面120bとの接続部120dは、テーパ状でかつ丸みを設けて滑らかに形成されている。同様に、第1の段部成形面120bと第2の段部成形面120cとの接続部120eも、テーパ状でかつ丸みを設けて滑らかに形成されている。第1の段部成形面120bと第2の段部成形面120cは略円筒状に形成されている。
【0075】
一方、パンチ121の内周面には、円錐角度θを有するテーパ状の成形面121aが形成されている。成形面121aの底部は、ビレット13a”の直径Dw1と略同一の直径を有する。
【0076】
本成形工程の金型は、
図7に示すように、ダイス122とパンチ123を主な構成とする。
図7も、
図6(a)と同様に中心線より上側半分は、本成形前の状態を示し、下側半分は本成形後の状態を示す。ダイス122の内周面には、ビレット13a”の直径Dw1と略同一の円筒状内周面122aと、円筒状内周面122aより拡径した第1の段部成形面122bと、第1の段部成形面122bよりさらに拡径した第2の段部成形面122cが形成されている。円筒状内周面122aと第1の段部成形面122bとの接続部122dは、テーパ状でかつ丸みを設けて滑らかに形成されている。同様に、第1の段部成形面122bと第2の段部成形面122cとの接続部122eも、テーパ状でかつ丸みを設けて滑らかに形成されている。第1の段部成形面122bと第2の段部成形面122cは略円筒状に形成されている。第2の段部成形面122cで成形された第2の段部が軸受装着面14を形成する部分となる。本実施形態では、本成形工程のダイス122は、予備成形工程のダイス120と同じものを用いたが、これに限られず、両ダイス120、122の仕様を適宜異なる設定にしてもよい。
【0077】
本成形工程のパンチ123の内周面には、若干の逃げ角を有する略円筒状成形面123aが形成されている。成形面123aで成形された段部が接合用端面を形成する部分となる。成形面123aの底部は、凹部52を成形するための凹部成形面123bが設けられている。
【0078】
次に、上記のような金型で構成された成形工程を説明する。ビレット13a”の加工部とその隣接する非加工部分を所定温度(800〜1000℃、例えば、900℃)に加熱する。予備成形工程では、
図6(a)の上側半分に示すように、加熱されたビレット13a”をダイス120の円筒状内周面120aによりグリップする。そして、パンチ121が前進し、ビレット13a”を加圧し、据込み距離L1までパンチ121が移動する。ビレット13a”は、
図6(a)に示すように、ダイス120の第1の段部成形面120bには材料が充足され、第2の段部成形面120cには、その一部(接続部120e側)に沿う状態まで拡径し、その拡径部分からパンチ121側へ緩やかなテーパ状をなした予備成形品13a”1が形成される。
【0079】
予備成形品13a”1の形状を
図6(b)に示す。図示のように、前述した第2の段部成形面120cの一部(接続部120e側)に沿う状態まで拡径した部分が最大直径Dw2”となり、パンチ121側の先端が最小直径Dw2’となる。
【0080】
続いて、本成形工程を説明する。予備成形品13a”1が、
図7の上側半分に示すように、本成形工程のダイス122の円筒状内周面122aによりグリップされる。そして、パンチ123が前進し、予備成形品13a”1を加圧し、据込み距離L2までパンチ123が移動する。これにより、材料がダイス122の第2の段部成形面122cおよびパンチ123の略円筒状成形面123a、凹部成形面123bに沿って充足され、本成形品(鍛造加工後の素形材)13a’が完成する。
【0081】
上記のような成形工程であるので、バー材を切断したビレット13a”の中央偏析部は、予備成形工程では、予備成形品13a”1のパンチ121側先端の最小直径Dw2’の部分に留められ、その後の本成形工程では、凹部52に留められる。この状態を
図8により補足説明する。
図8は、本実施形態の鍛造加工後の素形材13a’の鍛造線を示す模式図である。鍛造線Kの端部は、凹部52の範囲に集束するので、中央偏析部Jも凹部52に留まる。したがって、中央偏析部Jが接合用端面には現れないので、溶接部の強度、品質の良好な等速自在継手の外側継手部材が得られる。
【0082】
ここで、評価テストにより見出した本実施形態の鍛造加工工程S2sの特徴的な条件を以下に説明する。
【0083】
[据込み加工限界]
据込み加工限界として据込み距離Lと素材直径Dwの比により評価する。すなわち、据込み加工限界を決定するパラメータとして据込み距離Lと素材直径Dwの比である据込み比L/Dwが望ましい。据込み比L/Dwが大きいと座屈が発生し、表皮の巻き込み等が発生して正常な鍛造ができなくなる。
【0084】
本実施形態の軸部材が適用される自動車用ドライブシャフトでは、バー材を切断したビレット13a”の直径が30〜50mm程度であり、鍛造加工後の素形材13a’の接合用端部の直径Dw3は40〜60mm程度である。このような寸法の軸部材について、予備成形工程における据込み距離をL1、素材であるビレット13a”の直径をDw1とし、本成形工程における据込み距離をL2、素材である予備成形品13a”1の直径をDw2とすると、素材の加熱温度を800〜1000℃にしても座屈が発生しない安全な据込み比として、予備成形工程における据込み比L1/Dw1をL1/Dw1<1.5、本成形工程における据込み比L2/Dw2をL2/Dw2<0.5であることを確認した。
【0085】
ここで、予備成形品13a”の直径Dw2について説明する。予備成形工程のパンチ121はテーパ状の成形面121aを有するので、予備成形すると、予備成形品13a”1は、
図6(a)に示すように、ダイス120の第2の段部成形面120cの一部(接続部120e側)に沿う状態まで拡径し、その拡径部分からパンチ121側へ緩やかなテーパ状に形成される。そのため、予備成形品13a”1の直径Dw2は、
図6(b)に示す円錐部の最小直径Dw2’と最大直径Dw2”を平均した直径とする。すなわち、Dw2=(Dw2’+Dw2”)/2とする。
【0086】
[予備成形工程のパンチ形状]
素材の加熱温度が800〜1000℃程度では、熱間領域に比べて変形抵抗が増加し座屈し易くなる。また、円柱据込みは円錐据込みよりも座屈が発生しやすいことが判明した。そのため、予備成形工程のパンチ121の成形面121aをテーパ状に形成し、その際における最適な円錐角度θとして、5°≦θ≦20°とした。
【0087】
[本成形工程における据込み距離]
図9に開発過程における知見を示す。本成形工程で1回の据込み距離L2が20mm以下の場合では、角部に肉が充足する前に鍛造成形が完了してしまうため不充足Hが生じることが判明した。また、
図7に示すように、予備成形品13a”1の小径Dw2’と本成形工程のパンチ123の略円筒状の成形面123aの直径Dw3の径差をGとしたとき、径差G(=Dw3−Dw2’)が10mm以上であると、材料が型離れを引き起こし、ヒケI(
図9参照)が生じることが判明した。よって、本成形工程における1回の据込み距離L2の量を25mm以上とし、予備成形品13a”1の小径Dw2’と本成形工程のパンチ123の略円筒状の成形面123aの直径Dw3との径差Gを9mm以下とした。
【0088】
以上の鍛造加工条件により、素形材13a’は、加工部である段部54(接合用端面が形成される部分)、第2の段部55、第1の段部56においてJIS粒度番号6〜8となり、素材と同等以上の粒度を維持できた。また、第1の段部56に隣接する非加工部においてはJIS粒度番号5〜6と、加熱により多少の粒度の成長が見られたが、実用上問題のないレベルであった。非加熱部の素材部はJIS粒度番号6〜7となった。
【0089】
以上に説明したように、本実施形態の軸部材の鍛造加工工程S2sにより、熱間領域よりも低い800〜1000℃程度の温度領域で鍛造加工が可能となり、結晶粒の肥大化を抑制し、酸化皮膜も発生しない鍛造加工が達成できた。これにより、鍛造加工後の焼準工程やショットピーニング加工を廃止でき、製造コストの低減を図ることができた。
【0090】
以上に説明した本実施形態の軸部材の鍛造加工工程S2sは、アプセッタによる据込み鍛造加工を例示したが、これに限られず、スクリュープレス(ビンセント型スクリュープレス)等でも、同様の加工を行うことができる。
【0091】
次に、製造コンセプトのまとめとして、カップ部材の品種統合について、前述した
図5に示すロングステムタイプの軸部材13aとは異なる品番の軸部材を例示して補足説明する。
図12および
図13に示す軸部材13bは、インボード側の標準的なステム用のものである。軸部材13bには、カップ部材12aの底部12a2(凸部12a3)の接合用端面50〔
図4(b)参照〕に突合せる接合用端面51が形成されている。この接合用端面51の外径Bおよび内径Eは、
図5に示したロングステムタイプの軸部材13aの接合用端面51の外径Bおよび内径Eと同一寸法に形成されている。
【0092】
この軸部材13bは、インボード側の標準的なステム用のため、軸部の長さが短く、軸方向中央部に滑り軸受面18が形成され、この滑り軸受面18に複数の油溝19が形成されている。カップ部材12a側とは反対側の端部にはスプラインSpと止め輪溝48が形成されている。このように、標準的な長さのステムやロングステムというタイプの違いや、車種毎の種々の軸径や外周形状が異なっても、軸部材13a、13bの接合用端面51の外径Bは同一寸法に設定されている。
【0093】
カップ部材12aと軸部材13a、13bの接合用端面50、51の外径Bがジョイントサイズ毎に同一寸法に設定されているので、ジョイントサイズ毎に共用化されたカップ部材と車種毎に種々の軸部仕様を備えた軸部材が熱処理前の状態で準備することができ、カップ部材13aと軸部材13a、13bの中間部品のそれぞれに品番を付与して管理することができる。そして、カップ部材12aを品種統合しても、車種毎に種々の軸部仕様を備えた軸部材13a、13bと組み合わせて、要求に応じた種々の外側継手部材11を迅速に製作することができる。したがって、カップ部材12aの品種統合によるコスト低減、生産管理の負荷を軽減することができる。
【0094】
上記では、理解しやすいように、標準的な長さのステムとロングステムというタイプの違いを例として、カップ部材の品種統合の説明を行ったが、これに限ることなく、標準的な長さのステム間での車種毎の種々の軸部仕様を備えた軸部材やロングステム間の車種毎の種々の軸部仕様を備えた軸部材に対するカップ部材の品種統合も同様である。
【0095】
以上の要約として、本実施形態のカップ部材の品種統合の例を
図14に示す。図示のようにカップ部材は、1つのジョイントサイズで共用化され、例えば、品番C001が付与されて管理される。これに対して、軸部材は、車種毎に種々の軸部仕様を備え、例えば、品番S001、S002、〜S(n)が付与されて管理される。そして、例えば、品番C001のカップ部材と品番S001の軸部材を組み合わせて溶接すると、品番A001の外側継手部材を製作することができる。このように、カップ部材の品種統合により、コスト低減、生産管理の負荷を軽減することができる。この品種統合において、カップ部材は、1つのジョイントサイズで1種類、すなわち、1型番ということに限定されるものではなく、例えば、最大作動角の異なる仕様により1つのジョイントサイズで複数の種類(複数型番)のカップ部材を設定し、これらのカップ部材の上記接合用端面の外径Bを同一寸法にしたものを包むものである。
【0096】
外側継手部材についての第1実施形態の変形例を
図15に示す。
図15は、溶接前のカップ部材を示す縦断面図である。本変形例は、第1の実施形態のカップ部材の接合用端面の形態が異なる。
図15に示すように、カップ部材12a
1の底部12a2
1の凸部12a3
1に形成された接合用端面50
1は、半径方向の中心まで旋削加工されている。鍛造加工後の旋削取り代が多い場合の例である。第1の実施形態と同じ機能を有する部位には、同一の符号(下付き文字を除く)を付す。その他の構成や作用、すなわち、製造方法についての第1の実施形態において前述した各工程の概要、カップ部材および軸部材の主な加工工程における状態、軸部材の鍛造加工工程、カップ部材の共用化、溶接方法、品種統合や外側継手部材の構成などは同様であるので第1の実施形態の全ての内容を本実施形態に準用し、重複説明を省略する。
【0097】
図16に、本発明の製造方法についての第2の実施形態を示す。本実施形態の製造工程では、第1の実施形態で前述した
図3の熱処理工程S7中のカップ部材の熱処理工程を溶接工程S6の前に組入れて、熱処理工程S5cとし、カップ部材については完成品として準備するものである。この点を除いた内容、すなわち、製造方法についての第1の実施形態において前述した各工程の概要、カップ部材および軸部材の主な加工工程における状態、軸部材の鍛造加工工程、カップ部材の共用化、溶接方法、品種統合や外側継手部材の構成などは同様であるので第1の実施形態の全ての内容を本実施形態に準用し、相違する部分のみ説明する。
【0098】
図4(b)に示すように、カップ部材12aは、接合用端面50から底部12a2を経て径の大きな筒状部12a1に至る形状であり、かつ、焼入れ焼戻しとしての熱処理を施す部位が筒状部12a1の内周のトラック溝30、筒状内周面42である。このため、通常、熱処理部に対して溶接時の熱影響がないので、カップ部材12aについては溶接前に熱処理を施し完成部品として準備する。本実施形態の製造工程が実用面では好適である。
【0099】
本実施形態の製造工程では、カップ部材12aについては完成品としての熱処理が施されているので、完成品としての品番を付与して管理する。したがって、カップ部材12aの品種統合によるコスト低減、生産管理の負荷軽減が顕著になる。また、カップ部材12aは、鍛造加工、旋削加工、熱処理を経た完成品まで、単独で製造でき、段取り削減等も含めて生産性が向上する。
【0100】
本実施形態の場合、第1の実施形態で前述したカップ部材の品種統合の例を示す
図14については、図中のカップ部材の品番が完成品としての品番となるだけで、軸部材と外側継手部材については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0101】
図17に、本発明の製造方法の第3の実施形態を示す。本実施形態の製造工程では、第1の実施形態で前述した
図3の熱処理工程S7のカップ部と軸部の熱処理工程および軸部の研削加工工程S8を溶接工程S6の前に組み入れて、カップ部材の熱処理工程S5c、軸部材の熱処理工程S5sおよび研削加工工程S6sとしたものである。したがって、カップ部材と軸部材を共に完成品として準備するものである。この点を除いた内容、すなわち、製造方法についての第1の実施形態において前述した各工程の概要、カップ部材および軸部材の主な加工工程における状態、軸部材の鍛造加工工程、カップ部材の共用化、溶接方法、品種統合や外側継手部材の構成などは同様であるので第1の実施形態の全ての内容を本実施形態に準用し、相違する部分のみ説明する。
【0102】
軸部材は、スプライン加工工程S4sの後、熱処理工程S5sで外周面の所定範囲に高周波焼入れによりHRC50〜62程度の硬化層が形成される。接合用端面51を含む所定の軸方向部位は熱処理を施さない。カップ部材の熱処理、品番付与等については、製造方法についての第2の実施形態と同様であるので、重複説明を省略する。
【0103】
熱処理工程S5s後、軸部材は研削加工工程S6sに移され、軸受装着面14などを仕上げ加工する。これにより、完成品としての軸部材が得られる。そして、軸部材に完成品としての品番が付与され管理される。本実施形態の製造工程は、熱処理部に対して溶接時の熱影響が生じない形状、仕様を有するカップ部材および軸部材の場合に適する。
【0104】
本実施形態の製造工程では、カップ部材と軸部材の両方が完成品としての品番を付与して管理することができる。したがって、カップ部材の品種統合によるコスト低減、生産管理の負荷軽減が一層顕著になる。また、カップ部材および軸部材は、鍛造加工、旋削加工、熱処理および熱処理後の研削加工等を経た完成品まで、それぞれ、別々に製造でき、段取り削減等も含めて生産性が一層向上する。
【0105】
本実施形態の場合、第1の実施形態で前述したカップ部材の品種統合の例を示す
図14については、図中のカップ部材および軸部材の品番が完成品の品番となる。外側継手部材については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。ただし、完成部品としてのカップ部材や軸部材とは、前述した熱処理後の研削加工や焼入れ後切削加工等の仕上げ加工が施されたものに限られず、この仕上げ加工を残した熱処理完了状態のカップ部材や軸部材を含むものである。
【0106】
品種統合において述べたように、カップ部材は、1つのジョイントサイズで1種類、すなわち、1型番ということに限定されるものではない。すなわち、前述したように、例えば、最大作動角の異なる仕様により1つのジョイントサイズで複数の種類(複数型番)のカップ部材を設定し、これらのカップ部材の上記接合用端面の外径Bを同一寸法にしたものを包むものである。また、これに加えて、例えば、継手機能や製造現場の実情、生産性等を考慮して、カップ部材を熱処理前の中間部品と完成部品の複数形態で管理するために1つのジョイントサイズで複数の種類(複数型番)のカップ部材を設定し、これらのカップ部材の上記接合用端面の外径Bを同一寸法にしたものも包むものである。
【0107】
次に、本発明に係る外側継手部材についての第2の実施形態を
図18および
図19に基づいて説明する。本実施形態では、外側継手部材についての第1の実施形態と同様の機能を有する箇所には同一の符号(下付き文字を除く)を付して、要点のみを説明する。
【0108】
図18に示す摺動式等速自在継手10
2は、トリポード型等速自在継手(TJ)であり、カップ部12
2とカップ部12
2の底部から軸方向に延びたロングステム部13とを有する外側継手部材11
2と、外側継手部材11
2のカップ部12
2の内周に収容された内側継手部材16
2と、外側継手部材11
2と内側継手部材16
2との間に配置されたトルク伝達要素としてのローラ19とを備える。内側継手部材16
2は、ローラ19を外嵌した3本の脚軸18が円周方向等間隔に設けられたトリポード部材17で構成される。
【0109】
第1の実施形態の外側継手部材と同様に、ロングステム部13の外周面にはサポートベアリング6の内輪が固定され、このサポートベアリング6の外輪は、図示しないブラケットを介してトランスミッションケースに固定されている。外側継手部材11
2は、サポートベアリング6によって回転自在に支持され、運転時等における外側継手部材11
2の振れが可及的に防止される。
【0110】
図19に、外側継手部材11
2の部分縦断面を示す。図示のように、外側継手部材11
2は、一端が開口し、内周面の円周方向三等分位置にローラ19(
図18参照)が転動するトラック溝30
2と内周面31
2が形成された有底筒状のカップ部12
2と、カップ部12
2の底部から軸方向に延び、カップ部12
2側とは反対側の端部外周にトルク伝達用連結部としてのスプラインSpが設けられたロングステム部13とからなる。外側継手部材11
2は、カップ部材12a
2と軸部材13aが溶接されて形成されている。
【0111】
図19に示すように、カップ部材12a
2は、内周にトラック溝30
2と内周面31
2が形成された筒状部12a1
2と底部12a2
2からなる一体成形品である。カップ部材12a
2の底部12a2
2には凸部12a3
2が形成されている。カップ部材12a
2の開口側の外周にはブーツ取付溝32が形成されている。軸部材13aは、カップ部材12a
2側の外周に軸受装着面14および止め輪溝15が形成され、カップ部材12a
2側とは反対側の端部にスプラインSpが形成されている。
【0112】
カップ部材12a
2の底部12a2
2の凸部12a3
2に形成された接合用端面50
2と軸部材13aのカップ部材12a
2側端部の接合用端面51とを突合せ、半径方向の外側から電子ビーム溶接により溶接されている。溶接部49は、カップ部材12a
2の半径方向外側から照射されたビームによるビードで形成されている。第1の実施形態の外側継手部材と同様に、接合用端面50
2と接合用端面51の外径Bは、ジョイントサイズ毎に同一寸法に設定されている。溶接部49が、軸部材13aの軸受装着面14よりカップ部材12a
2側の接合用端面51に形成されるので、軸受装着面14などは前もって加工可能で溶接後の後加工を廃止できる。また、電子ビーム溶接のため溶接部にバリが出ないので、溶接部の後加工も省略でき、製造コストが削減できる。
【0113】
本実施形態の外側継手部材は、前述した外側継手部材についての第1の実施形態および製造方法についての第1〜3の実施形態において前述した内容と同様であるので、これらの全てを準用し、重複説明を省略する。
【0114】
以上の実施形態および変形例では、電子ビーム溶接を適用したものを示したが、レーザ溶接でも同様に適用することができる。
【0115】
以上の外側継手部材についての実施形態および変形例では、摺動式等速自在継手10としてのダブルオフセット型等速自在継手、トリポード型等速自在継手に適用した場合について説明したが、本発明は、クロスグルーブ型等速自在継手等、他の摺動式等速自在継手の外側継手部材、さらには固定式等速自在継手の外側継手部材にも適用することができる。また、以上では、ドライブシャフトを構成する等速自在継手の外側継手部材に本発明を適用しているが、本発明は、プロペラシャフトを構成する等速自在継手の外側継手部材にも適用することができる。
【0116】
本発明は前述した実施形態および変形例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。