(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
低メタノール流を、直列につながれた2つ又は3つのメタン合成反応器に送る前に、水洗浄に付し、そして水洗浄流をメタン合成反応器に送ることにより、メタン合成反応を実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
直列につながれた3つの断熱メタン合成反応器を使用し、ここで、第1のメタン合成反応器の入口温度は、250℃〜350℃であり、第1のメタン合成反応器の出口温度は、500℃〜680℃であり、第2及び第3のメタン合成反応器は、第1のメタン合成反応器よりも低い温度で稼働することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
メタノール合成反応に少なくとも1種のCu系メタノール合成触媒を使用し、メタン合成反応に少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
メタノール合成反応を、少なくとも1種の固定床反応器で実施し、この反応器は、少なくとも1種のCu系メタノール合成触媒が充填され、入口温度が200〜240℃であり、反応圧力が1.5〜9.0MPaであり、空間速度が2000〜12000h−1であるという条件で稼働することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
メタノール及び合成天然ガスを同時生産するためのプラントであって、少なくとも1つのコーカーと組合せて使用されるプラントであり、ここで、前記プラントは、(1)少なくとも1つのコークス炉ガス前処理ユニット、(2)少なくとも1つのCO2捕捉ユニット、(3)少なくとも1つの圧縮及び脱硫ユニット、(4)少なくとも1つのメタノール合成ユニット、(5)少なくとも1つのメタン合成ユニット、並びに(6)場合により少なくとも1つの深冷分離ユニットを含み;
前記コークス炉ガス前処理ユニットの少なくとも1つの入口は、前記コーカーの少なくとも1つのコークス炉ガス出口と連通しており;
前記CO2捕捉ユニットの少なくとも1つの入口は、前記コーカーの少なくとも1つの煙道ガス出口と連通しており;
前記CO2捕捉ユニットの少なくとも1つの出口及び前記コークス炉ガス前処理ユニットの少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの混合装置を介して、前記圧縮及び脱硫ユニットの少なくとも1つの入口と連通しており;
前記圧縮及び脱硫ユニットの少なくとも1つの出口は、前記メタノール合成ユニットの少なくとも1つの入口と連通しており;
前記メタノール合成ユニットの少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの精製装置を介して、前記メタン合成ユニットの少なくとも1つの入口と連通しており;
前記メタン合成ユニットの少なくとも1つの出口は、場合により前記深冷分離ユニットの少なくとも1つの入口と連通しており、
前記メタノール合成反応器が、少なくとも1つのワンススルー反応器であり、
前記プラントが、メタン水蒸気変換装置を1つも含まない、プラント。
【背景技術】
【0002】
コークス炉ガスは、コークス化過程における副産物であり、主として水素(55%〜60%)及びメタン(23%〜27%)からなる(容量によるか又はモル数による)。更には、これは少量のCO(5%〜8%)、C
2以上の飽和炭化水素(2%〜4%)、CO
2(1.5%〜3%)、O
2(0.3%〜0.8%)、及びN
2(3%〜7%)を含有する。コークス炉ガスは、燃料ガスとして使用することができ、また化学工学の生産における原料ガスとしても使用することができる。
【0003】
コークス炉ガスは、メタノールを生産するための原料ガスとして用いることができる。一般に、コークス炉ガスからメタノールを生産する方法は、ベンゼン、ナフタレン及びアンモニアの除去のようなコークス炉ガスの前処理;圧縮;精密脱硫及び塩化物除去のような深い洗浄;コークス炉ガス中のメタンがCO及びH
2に変換される、純酸素触媒部分酸化変換;並びにメタノール合成を含む。純酸素触媒部分酸化変換用の空気分離装置と、メタノール合成のための圧縮及び再循環システムとを装備する必要がある。
【0004】
コークス炉ガスはまた、天然ガスを生産するための原料ガスとしても用いることができる。コークス炉ガスからの天然ガスの生産における研究は、近年大いに注目されているが、これは主として、コークス炉ガスを原料として使用し、かつタール油、ナフタレン及びベンゼンのような不純物を除去するために前処理し、圧縮し、精密脱硫し、そしてメタン合成反応に付し、次に生じる生成物を吸収分離に付して、パイプライン輸送の国家基準と合致する天然ガスを生産する(例えば、CN101391935A、即ちCN200810046428.4)か、あるいは深冷分離に付して、含まれる炭化水素を液化することにより、液化天然ガスを生産する(例えば、CN101280235A、即ちCN200810055168.7)方法に集中している。
【0005】
近頃、コークス炉ガスにより液化天然ガス及びメタノールを同時生産するための方法に、少数の研究者が目を向けている。
【0006】
例えば、CN101575540A(CN200910085800.7)は、液化天然ガス及びメタノールを同時生産するための方法であって、精製して要件を満たしたコークス炉ガスから圧力スイング吸着法によりH
2及びCO
2を連続して分離し;残留ガスを深冷分離することにより、液化天然ガスと高COガスとを生産し、H
2、CO
2及びCOを混合して、生じる混合物をメタノール合成反応に付すことにより、メタノールを生産する工程を含む方法を提案している。しかしこの方法は、ガスを分離するために多量の圧力スイング吸着を必要とし、そしてプラント規模での制限が多い。
【0007】
CN102585951A(CN201210057987.1)は、コークス炉ガスから液化合成天然ガス、純水素及びメタノールを同時生産するための新しい方法を提案している。この方法において、コークス炉ガスは、精製し、圧縮し、そしてメタノール合成カラムに送ることにより、メタノールが合成される。粗メタノールを分離後、生じる反応ガスの一部は、再循環圧縮機によって圧縮し、メタノール合成カラムに再循環し、そして他の部分は、メタン化反応器に送ることにより、メタン合成反応を実施する。生じる反応生成物は、圧力スイング吸着に付すことにより、水素を取り出し、次に低温液化に付すことにより、液化天然ガスを生産する。この方法は、比較的複雑である。圧縮及び再循環システムは、メタノール合成に必須であり、よって投資は相当に大きくなり、かつエネルギー消費が相当に高い。また大量の水素生成物も、市場で消費するには困難である。
【0008】
発明の要約
本発明の目的は、コークス炉ガスによりメタノール及び合成天然ガスを同時生産する方法を提供することである。本発明の別の目的は、メタノール及び合成天然ガスを同時生産するためのプラントであって、コーカーと組合せて使用されるプラントを提供することである。該方法及びプラントは、低額の投資及び運転コストで稼働させることができ、リソースの最大活用を達成することができる。
【0009】
本発明のある態様において、本発明は、以下の技術的解決法を提供する:
コークス炉ガスによりメタノール及び合成天然ガスを同時生産する方法であって、前記方法が、
(1)少なくとも1種のコークス炉ガスを前処理する工程、
(2)前処理したコークス炉ガスに少なくとも1種の炭素含有ガスを加えることにより、水素/炭素比を調整する工程、
(3)生じる混合ガスを圧縮及び脱硫し、次にメタノール合成反応を実施する工程、
(4)生じるメタノール合成反応生成物を高メタノール流と低メタノール流とに分離する工程、
(5)低メタノール流を、直列につながれた2つ又は3つのメタン合成反応器中でのメタン合成反応に付す工程、並びに
(6)生じるメタン合成反応生成物から水を分離することにより、合成天然ガスを生産する工程
を含む方法。
【0010】
前記前処理が、コークス炉ガス中のタール油、ナフタレン、ベンゼン及びアンモニアの1種以上の除去を含むことを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0011】
前記炭素含有ガスが、CO及びCO
2の一方又は両方であることを特徴とする、前記解決法のいずれか1つに記載の方法。
【0012】
前記炭素含有ガスが、少なくとも1つのコーカーから放出された少なくとも1種の煙道ガスから捕捉されたCO
2であることを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0013】
前記炭素含有ガスを、生じる混合ガスが、2.2〜2.7、好ましくは2.4〜2.6、更に好ましくは2.45〜2.5、例えば、2.46〜2.5の水素/炭素比[ここで、前記水素/炭素比は、(nH
2−nCO
2)/(nCO+nCO
2)であり、nH
2、nCO
2及びnCOは、それぞれH
2、CO
2及びCOのモル数である]を有するような量で加えることを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0014】
工程(3)において、生じる混合ガスを、1.0〜9.0MPaに圧縮することを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0015】
工程(3)において、生じる混合ガスを、混合ガスの総硫黄含量がモル数で0.1ppm以下であるようなレベルまで脱硫することを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0016】
低メタノール流が、2.55〜3.05の水素/炭素比を有することを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0017】
低メタノール流を、直列につながれた2つ又は3つのメタン合成反応器に送る前に、水洗浄に付し、そして水洗浄流をメタン合成反応器に送ることにより、メタン合成反応を実施することを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0018】
メタノール合成反応が、ワンススルー反応であり、そしてメタノール合成反応の前にはメタン水蒸気変換が実施されないことを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0019】
第1のメタン合成反応器が、440℃以下の断熱温度上昇を有することを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0020】
直列につながれた3つの断熱メタン合成反応器を使用し、ここで、第1のメタン合成反応器は、広い温度範囲で稼働し、かつ250℃〜350℃の入口温度と500℃〜680℃の出口温度を持ち、第2及び第3のメタン合成反応器は、第1のメタン合成反応器の稼働温度より低い温度で稼働することを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0021】
合成天然ガスを、深冷分離に付すことにより、液化天然ガスを生産することを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0022】
メタノール合成反応に少なくとも1種の低圧又は中圧メタノール合成触媒(Cu系)を使用し、そしてメタン合成反応に少なくとも1種の広温度範囲メタン合成触媒(Ni系)を使用することを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0023】
メタノール合成反応を、固定床反応器で実施するが、この反応器は、クエンチ型、管状等温型、又は断熱型であってよく、少なくとも1種のCu系メタノール合成触媒を充填することができ、そして入口温度が200〜240℃、好ましくは200〜230℃、更に好ましくは200〜220℃であり、反応圧力が1.5〜9.0MPa、好ましくは3.0〜8.0MPa、更に好ましくは4.0〜8.0MPaであり、そして空間速度が2000〜12000h
−1、好ましくは4000〜10000h
−1、更に好ましくは5000〜8000h
−1であるという条件で稼働できることを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0024】
2つのメタン合成反応器を使用する場合には:
第1のメタン合成反応器では:固定床反応器を使用し;そしてこの固定床反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよく、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を充填することができ、そして入口温度が250〜350℃、好ましくは260〜330℃、更に好ましくは260〜320℃であり、圧力が1.0〜8.5MPa、好ましくは2.5〜7.5MPa、更に好ましくは3.5〜7.5MPaであり、そして空間速度が2000〜15000h
−1、好ましくは5000〜13000h
−1、更に好ましくは8000〜12000h
−1であるという条件で稼働でき;そして
第2のメタン合成反応器では:固定床反応器を使用し;そしてこの固定床反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよく、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を充填することができ、そして入口温度が250〜350℃、好ましくは250〜330℃、更に好ましくは250〜310℃であり、圧力が0.8〜8.3MPa、好ましくは2.3〜7.3MPa、更に好ましくは3.3〜7.3MPaであり、そして空間速度が2000〜10000h
−1、好ましくは3000〜10000h
−1、更に好ましくは5000〜8000h
−1であるという条件で稼働できる
ことを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0025】
3つのメタン合成反応器を使用する場合には:
第1のメタン合成反応器では:固定床反応器を使用し;そしてこの固定床反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよく、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を充填することができ、そして入口温度が250〜350℃、好ましくは260〜330℃、更に好ましくは260〜320℃であり、圧力が1.0〜8.5MPa、好ましくは2.5〜7.5MPa、更に好ましくは3.5〜7.5MPaであり、そして空間速度が2000〜15000h
−1、好ましくは5000〜13000h
−1、更に好ましくは8000〜12000h
−1であるという条件で稼働でき;
第2のメタン合成反応器では:固定床反応器を使用し;そしてこの固定床反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよく、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を充填することができ、そして入口温度が250〜350℃、好ましくは250〜330℃、更に好ましくは250〜310℃であり、圧力が0.8〜8.3MPa、好ましくは2.3〜7.3MPa、更に好ましくは3.3〜7.3MPaであり、そして空間速度が2000〜10000h
−1、好ましくは4000〜10000h
−1、更に好ましくは5000〜9000h
−1であるという条件で稼働でき;そして
第3のメタン合成反応器では:固定床反応器を使用し;そしてこの固定床反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよく、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を充填することができ、そして入口温度が250〜350℃、好ましくは250〜320℃、更に好ましくは250〜300℃であり、圧力が0.7〜8.2MPa、好ましくは2.2〜7.2MPa、更に好ましくは3.2〜7.2MPaであり、そして空間速度が2000〜10000h
−1、好ましくは4000〜10000h
−1、更に好ましくは6000〜9000h
−1であるという条件で稼働できる
ことを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0026】
第2のメタン合成反応器は、第1のメタン合成反応器の稼働温度よりも低い温度で稼働することを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0027】
第3のメタン合成反応器は、第2のメタン合成反応器の稼働温度よりも低い温度で稼働することを特徴とする、前記解決法のいずれか1つの方法。
【0028】
本発明の別の態様において、本発明は、以下の技術的解決法を提供する:
メタノール及び合成天然ガスを同時生産するためのプラントであって、少なくとも1つのコーカーと組合せて使用されるプラントであり、ここで、前記プラントは、
(1)少なくとも1つのコークス炉ガス前処理ユニット、
(2)少なくとも1つのCO
2捕捉ユニット、
(3)少なくとも1つの圧縮及び脱硫ユニット、
(4)少なくとも1つのメタノール合成ユニット、
(5)少なくとも1つのメタン合成ユニット、及び
(6)場合により少なくとも1つの深冷分離ユニット
を含み;
前記コークス炉ガス前処理ユニットの少なくとも1つの入口は、前記コーカーの少なくとも1つのコークス炉ガス出口と(直接的又は間接的に)連通しており;
前記CO
2捕捉ユニットの少なくとも1つの入口は、前記コーカーの少なくとも1つの煙道ガス出口と(直接的又は間接的に)連通しており;
前記CO
2捕捉ユニットの少なくとも1つの出口及び前記コークス炉ガス前処理ユニットの少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの混合装置(例えば、ミキサー及び/又は三方管)を介して、前記圧縮及び脱硫ユニットの少なくとも1つの入口と(直接的又は間接的に)連通しており;
前記圧縮及び脱硫ユニットの少なくとも1つの出口は、前記メタノール合成ユニットの少なくとも1つの入口と(直接的又は間接的に)連通しており;
前記メタノール合成ユニットの少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの精製装置(例えば、水洗浄カラム)を介して、前記メタン合成ユニットの少なくとも1つの入口と(直接的又は間接的に)連通しており;そして
前記メタン合成ユニットの少なくとも1つの出口は、場合により前記深冷分離ユニットの少なくとも1つの入口と(直接的又は間接的に)連通している
プラント。
【0029】
前記CO
2捕捉ユニットが、少なくとも1つの化学吸収に基づくCO
2捕捉ユニット、少なくとも1つの物理吸着(温度スイング吸着又は圧力スイング吸着)に基づくCO
2捕捉ユニット、少なくとも1つの膜分離に基づくCO
2捕捉ユニット及びこれらの組合せよりなる群から選択される、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0030】
前記コークス炉ガス前処理ユニットが、少なくとも1つのタール油除去装置、少なくとも1つのナフタレン除去装置、少なくとも1つのベンゼン除去装置及び少なくとも1つのアンモニア除去装置を含む、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0031】
前記圧縮及び脱硫ユニットが、少なくとも1つの圧縮装置、並びに少なくとも1つのNHD硫黄除去装置、少なくとも1つの有機硫黄水素化変換装置、及び少なくとも1つの微粒子硫黄除去(例えば、ZnO硫黄除去)装置を含む、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0032】
前記メタノール合成ユニットが、少なくとも1つのメタノール合成反応器及び少なくとも1つのメタノール分離装置を含む、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0033】
前記メタノール合成反応器が、クエンチ型、管状等温型、又は断熱型であってよい、固定床反応器の形態である、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0034】
前記メタノール合成反応器に、少なくとも1種のCu系メタノール合成触媒が充填された、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0035】
前記メタノール分離装置が、少なくとも1つの気液分離装置及び/又は少なくとも1つの精留カラムを含む、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0036】
前記メタノール合成反応器が、少なくとも1つのワンススルー反応器である、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0037】
前記プラントが、メタン水蒸気変換装置を1つも含まない、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0038】
前記メタン合成ユニットが、直列につながれた2つ又は3つのメタン合成反応器、及び少なくとも1つのメタン分離装置を含む、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0039】
前記メタン合成反応器が、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよい、固定床反応器の形態である、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0040】
前記メタン合成反応器が、同一であるか又は異なっている、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【0041】
前記メタン合成反応器に、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒が充填された、前記解決法のいずれか1つのプラント。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【0043】
実施態様
コークス炉ガスは、水素に富んだガスであり、5〜8の水素/炭素比を有することさえある。本発明では、水素/炭素比とは、(nH
2−nCO
2)/(nCO+nCO
2)のことをいう[ここで、nH
2、nCO
2及びnCOは、それぞれH
2、CO
2及びCOのモル数である]。コークス炉ガスには、メタノールの生産におけるか合成天然ガスの生産におけるかには関わらず、過剰水素の問題が存在する。
【0044】
コーキングプロセスでは、総コークス炉ガスの容量で45%〜50%は、コーカーに再循環させて、加熱燃料ガスとして用いられる。コークス炉ガスの燃焼後、大量のCO
2を含有する煙道ガスが放出される;これは、環境を汚染するだけでなく、炭素資源の浪費の原因ともなる。
【0045】
深い研究を通じて、本発明者らは、コークス炉ガスによりメタノール及び合成天然ガスを同時生産するための新しい方法及びプラントを提案している。本発明によれば、コークス炉ガス中の水素元素及び煙道ガス中の炭素元素の利用を最大にするために、化学吸収、物理吸着(温度スイング吸着又は圧力スイング吸着)及び/又は膜分離を介して、コーカーの煙道ガスからCO
2を捕捉して、捕捉CO
2をコークス炉ガスに補充することにより、水素/炭素比を調整でき、このため、メタノール及び合成天然ガスの生産性を向上させるという目的が達成される。
【0046】
メタノール合成反応は、低いワンススルー変換を有する。したがってメタノール合成プラントには、一般に、変換を増加させるための圧縮及び再循環装置を備えることが要求される。メタン合成反応からは、大量の熱が発生する。適切な制御のない場合は、メタン合成における反応ガスの温度は、メタン合成触媒が耐えることのできる最高温度よりも高い、900℃以上にまで上昇する。したがって、メタン合成供給ガスのCOx含量が高すぎる場合は、メタン合成反応における空間速度を増加させ(触媒床における滞留時間を減少させる)、そして反応生成物の一部を圧縮及び再循環する必要があるか、又は少量の不活性希釈ガスを添加する必要がある。これらの結果として、圧縮及び再循環装置を提供する必要性が生じ、そして設備コスト及び運転コストの増大を招く。
【0047】
本発明の方法及びプラントは、空気分離装置及び部分酸化純酸素触媒コンバータなどの高価な装置も、あるいはメタノール合成の圧縮及び再循環システム、並びにメタン合成の圧縮及び再循環システムのような、変換を増加させ、そして通常の触媒作動温度を確保するための圧縮及び再循環装置も必要としない。したがって本発明は、著しく設備投資及び運転コストを低減させることができる。
【0048】
本発明によれば、炭素補充して精製したコークス炉ガスは、メタノール及び合成天然ガスを連続して生産するために直接使用することができるが、ここで、このメタノール合成は、ワンススルー反応である。このメタノール合成反応では、ガス中のCOx含量が13%未満となるようにCOx(CO及びCO
2)の一部が消費される。メタン合成供給ガスは、希釈せずに第1のメタン合成反応器に直接送ることができ、そしてメタン合成反応器の触媒床の最高温度は700℃未満に制御することができる。メタノール合成ユニットがメタン合成ユニットの前に提供されていない場合、メタン合成供給ガスが含有するCOxは多すぎる。これが、メタン合成反応器に直接送られる場合には、触媒床の温度を、メタン合成触媒が耐えることのできる最高温度よりも高いレベルである、900℃を超えるレベルにまで上昇させるであろう。このような場合には、反応温度を制御するために、必然的に低COx含量を有するガスがメタン合成供給ガスを希釈するために使用され、その結果、第1又は第2のメタン合成反応器の出口からのガスを圧縮し、そしてそれを再循環することにより、第1のメタン合成反応器に送られる供給ガスを希釈する、圧縮及び再循環システムを更に提供する必要性が生じる。本発明は、メタノール合成反応の欠点とメタン合成反応の欠点とを相互に補完させ、メタノール合成反応とメタン合成反応とを一緒に組合せることにより、欠点を利点へと変換する。
【0049】
本発明によれば、CO
2は煙道ガスから回収される。したがって、本発明は、リソースの最大活用及びCO
2排出量の減少を達成する。本発明の方法は、単純であり、かつ運転コストが低いため、経済的で環境に優しい生産方法である。
【0050】
本発明によれば、コークス炉ガスによりメタノール及び合成天然ガスを同時生産する方法は、
(1)少なくとも1種のコークス炉ガスを前処理する工程、
(2)前処理したコークス炉ガスに少なくとも1種の炭素含有ガスを加えることにより、水素/炭素比を調整する工程、
(3)生じる混合ガスを圧縮及び脱硫し、次にメタノール合成反応を実施する工程、
(4)生じるメタノール合成反応生成物を高メタノール流と低メタノール流とに分離する工程、
(5)低メタノール流を、直列につながれた2つ又は3つのメタン合成反応器中でのメタン合成反応に付す工程、
(6)生じるメタン合成反応生成物から水を分離することにより、合成天然ガスを生産する工程
を含む。
【0051】
本発明によれば、前記前処理は、コークス炉ガス中のタール油、ナフタレン、ベンゼン及びアンモニアの1種以上の除去を含む。前記前処理は、当該分野において標準的である。
【0052】
本発明によれば、前記炭素含有ガスは、CO及びCO
2の一方又は両方である。好ましくは、前記炭素含有ガスは、コーカーから放出された煙道ガスから捕捉された、CO
2である。CO
2捕捉方法は、化学吸収(複合アミン溶媒吸収など)、物理吸着(圧力スイング吸着及び温度スイング吸着など)、膜分離及びこれらの組合せを含む。これらのCO
2捕捉方法は、当該分野において標準的である。
【0053】
本発明によれば、前記炭素含有ガスは、生じる混合ガスが、2.2〜2.7の水素/炭素比を有するような量で加える。これにより、低メタノール流が2.55〜3.05の水素/炭素比を有すること、並びに低メタノール流中のCO及びCO
2の合計濃度が13mol%未満であることを保証できる。好ましくは、本発明によれば、前記炭素含有ガスは、生じる混合ガスが、2.4〜2.6、好ましくは2.45〜2.5、例えば、2.46〜2.5の水素/炭素比を有するような量で加える。
【0054】
本発明によれば、工程(3)において、生じる混合ガスは、1〜9MPa、例えば、1.0〜8.0MPa、3.0〜8.0MPa又は5.4〜8.0MPaに圧縮する。
【0055】
本発明によれば、工程(3)において、生じる混合ガスは、混合ガスの総硫黄含量がモル数で0.1ppm以下であるようなレベルまで脱硫する。脱硫方法は、NHD硫黄除去、水素化変換硫黄除去(有機硫黄を無機硫黄に変換する)、ZnO硫黄除去及びこれらの組合せを含む。これらの脱硫方法は、当該分野において標準的である。
【0056】
本発明によれば、低メタノール流は、2.55〜3.05の水素/炭素比を有する。
【0057】
本発明によれば、低メタノール流は、直列につながれた2つ又は3つのメタン合成反応器に送られる前に、水洗浄に付され、そして水洗浄流が第1のメタン合成反応器に送られることにより、メタン合成反応が実施される。
【0058】
本発明によれば、メタン合成反応生成物は、100ppm以下、例えば、50ppm以下のような80ppm以下のモル数によるCO含量、及び1.5%以下、例えば、1%以下のような1.2%以下のモル数によるCO
2含量を有する。
【0059】
本発明によれば、メタノール合成反応は、ワンススルー反応であり、そしてメタノール合成反応の前にメタン水蒸気変換は実施されない。
【0060】
本発明によれば、低メタノール流中のCO及びCO
2の合計濃度は、13mol%未満である。
【0061】
本発明によれば、第1のメタン合成反応器は、440℃以下の温度上昇を有する。
【0062】
本発明によれば、直列につながれた3つの断熱メタン合成反応器を使用することができるが、ここで、第1のメタン合成反応器は、広い温度範囲で稼働し、かつ250℃〜350℃の入口温度と500℃〜680℃の出口温度を持ち、そして第2及び第3のメタン合成反応器は、第1のメタン合成反応器より低い温度、例えば、330〜600℃、好ましくは330〜450℃、更に好ましくは330〜375℃で稼働する。
【0063】
本発明において、反応器稼働温度とは、反応器の出口の温度のことをいう。
【0064】
本発明によれば、合成天然ガスを深冷分離に付すことにより、液化天然ガスが生成する。深冷分離は、当該分野において標準的であり、例えば、合成天然ガスは、−165℃に低温冷却することができる。
【0065】
本発明によれば、少なくとも1つのCu系メタノール合成触媒(低圧又は中圧メタノール合成触媒)をメタノール合成反応に使用する。Cu系メタノール合成触媒は、特許出願CN1660489A、CN1660493A、CN1962063A、CN1356166A、CN102240552A、CN102451695A、CN103480377A、CN103480378A及びCN103506126A(特に、特許請求の範囲及び実施例のそれぞれに関して)に開示された調製方法により調製することができる。Cu系メタノール合成触媒の例は、Research Institute of Nanjing Chemical Industrial Groupにより製造されたC307及びNC310メタノール合成触媒を包含する。
【0066】
本発明によれば、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒をメタン合成反応に使用する。Ni系メタン合成触媒は、特許出願US3988262A、CN102500379A及びCN102500387A(特に、特許請求の範囲及び実施例のそれぞれに関して)に開示されたものであってよい。Ni系メタン合成触媒は、特許出願US3988262A、CN102500379A、CN102500387A及びCN102189003Aに開示された調製方法により調製することができる。Ni系メタン合成触媒の例は、Research Institute of Nanjing Chemical Industrial Groupにより製造されたNCJ−1広温度範囲メタン合成触媒及びNCJ−2低温メタン合成触媒を包含する。
【0067】
本発明によれば、メタノール合成反応は、入口温度が200℃〜240℃であり、そして反応圧力が3.0〜8.0MPaであるという条件で実施することができる。メタノール合成反応器は、固定床反応器であってよく、そしてこれは、クエンチ型、管状等温型、又は断熱型であってよく、かつ少なくとも1種のCu系メタノール合成触媒を充填することができる。
【0068】
本発明によれば、2つのメタン合成反応器を使用する場合には:
第1の反応器では:固定床反応器を使用し;そしてこの固定床反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよく、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を充填することができ、そして入口温度が250〜350℃であり、圧力が1.0〜8.5MPaであり、そして空間速度が2000〜15000h
−1であるという条件で稼働でき;そして
第2の反応器では:固定床反応器を使用し;そしてこの固定床反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよく、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を充填することができ、そして入口温度が250〜350℃であり、圧力が0.8〜8.3MPaであり、そして空間速度が2000〜10000h
−1であるという条件で稼働できる。
【0069】
本発明によれば、3つのメタン合成反応器を使用する場合には:
第1の反応器では:固定床反応器を使用し;そしてこの固定床反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよく、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を充填することができ、そして入口温度が250〜350℃であり、圧力が1.0〜8.5MPaであり、そして空間速度が2000〜15000h
−1であるという条件で稼働でき;
第2の反応器では:固定床反応器を使用し;そしてこの固定床反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよく、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を充填することができ、そして入口温度が250〜350℃であり、圧力が0.8〜8.3MPaであり、そして空間速度が2000〜10000h
−1であるという条件で稼働でき;そして
第3の反応器では:固定床反応器を使用し;そしてこの固定床反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよく、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒を充填することができ、そして入口温度が250〜350℃であり、圧力が0.7〜8.2MPaであり、そして空間速度が2000〜10000h
−1であるという条件で稼働できる。
【0070】
本発明によれば、メタノール及び合成天然ガスを同時生産するための、少なくとも1つのコーカーと組合せて使用されるプラントは、
(1)少なくとも1つのコークス炉ガス前処理ユニット、(2)少なくとも1つのCO
2捕捉ユニット、(3)少なくとも1つの圧縮及び脱硫ユニット、(4)少なくとも1つのメタノール合成ユニット、(5)少なくとも1つのメタン合成ユニット、並びに(6)場合により少なくとも1つの深冷分離ユニットを含み;
前記コークス炉ガス前処理ユニットの少なくとも1つの入口は、前記コーカーの少なくとも1つのコークス炉ガス出口と(直接的又は間接的に)連通しており;
前記CO
2捕捉ユニットの少なくとも1つの入口は、前記コーカーの少なくとも1つの煙道ガス出口と(直接的又は間接的に)連通しており;
前記CO
2捕捉ユニットの少なくとも1つの出口及び前記コークス炉ガス前処理ユニットの少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの混合装置(例えば、ミキサー及び/又は三方管)を介して、前記圧縮及び脱硫ユニットの少なくとも1つの入口と(直接的又は間接的に)連通しており;
前記圧縮及び脱硫ユニットの少なくとも1つの出口は、前記メタノール合成ユニットの少なくとも1つの入口と(直接的又は間接的に)連通しており;
前記メタノール合成ユニットの少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの精製装置(例えば、水洗浄カラム)を介して、前記メタン合成ユニットの少なくとも1つの入口と(直接的又は間接的に)連通しており;そして
前記メタン合成ユニットの少なくとも1つの出口は、場合により前記深冷分離ユニットの少なくとも1つの入口と(直接的又は間接的に)連通している。
【0071】
本発明によれば、前記CO
2捕捉ユニットは、少なくとも1つの化学吸収に基づくCO
2捕捉ユニット、少なくとも1つの物理吸着(温度スイング吸着又は圧力スイング吸着)に基づくCO
2捕捉ユニット、少なくとも1つの膜分離に基づくCO
2捕捉ユニット及びこれらの組合せよりなる群から選択される。
【0072】
本発明によれば、前記コークス炉ガス前処理ユニットは、少なくとも1つのタール油除去装置、少なくとも1つのナフタレン除去装置、少なくとも1つのベンゼン除去装置及び少なくとも1つのアンモニア除去装置を含む。
【0073】
本発明によれば、前記圧縮及び脱硫ユニットは、少なくとも1つの圧縮装置、並びに少なくとも1つのNHD硫黄除去装置、少なくとも1つの有機硫黄水素化変換装置、及び少なくとも1つの高度硫黄除去(例えば、ZnO硫黄除去)装置を含む。
【0074】
本発明によれば、前記メタノール合成ユニットは、少なくとも1つのメタノール合成反応器及び少なくとも1つのメタノール分離装置を含むが、ここで前記メタノール合成反応器は、クエンチ型、管状等温型、又は断熱型であってよい、固定床反応器の形態であり;前記メタノール合成反応器に、少なくとも1種のCu系メタノール合成触媒を充填することができ;前記メタノール分離装置は、少なくとも1つの気液分離装置及び/又は少なくとも1つの精留カラムを含み;そして前記メタノール合成反応器は、少なくとも1つのワンススルー反応器である。
【0075】
本発明によれば、前記プラントは、メタン水蒸気変換装置を1つも含まない。
【0076】
本発明によれば、前記メタン合成ユニットは、直列につながれた2つ又は3つのメタン合成反応器、及び少なくとも1つのメタン分離装置を含み、そしてここで、前記メタン合成反応器は、軸流型、放射流型、又は軸流−放射流型であってよい、断熱固定床反応器の形態であり、前記メタン合成反応器は、同一であるか又は異なっており(直列につながれた3つのメタン合成反応器の場合には、3つの反応器は、完全に異なっていても、又は部分的に異なっていても、即ち、3つの反応器の2つだけが同一であってもよい)、前記メタン合成反応器には、少なくとも1種のNi系メタン合成触媒、例えば、Research Institute of Nanjing Chemical Industrial Groupにより製造された、Ni系広温度範囲メタン合成触媒及びNi系低温メタン合成触媒が充填されている。
【0077】
以降、本発明の方法は
図1を参照して詳細に説明される。
【0078】
以下の実施例では、メタノール合成反応器に、C307 Cu系メタノール合成触媒を充填し、第1のメタン合成反応器には、NCJ−1 Ni系広温度範囲メタン合成触媒を充填し、そして第2のメタン合成反応器及び第3のメタン合成反応器(使用する場合)には、NCJ−2 Ni系低温メタン合成触媒を充填する。特に断りない限り、本説明全体を通じて、どの含量も、モル基準で算出する。
【0079】
以下の実施例における方法は
図1に示す。
【0080】
実施例1
コーカーの燃焼室から放出された煙道ガスをCO
2捕捉システムに導入した。煙道ガス中のCO
2のほとんどは、吸収カラム内の複合アミン溶媒に吸収させた。CO
2を吸収した溶媒を、CO
2を分離するために再生カラムに送った。コークス炉ガスは、タール油除去、ベンゼン除去及びナフタレン除去を包含する前処理に付すことにより、H
2 57.25%、C
2H
6 3.15%、CH
4 26.61%、CO 7.06%、CO
2 2.81%及びN
2 3.12%(水素/炭素比=5.52)の組成を有する供給ガスが生成した。この供給ガスは、煙道ガスから捕捉したCO
2と混合した。生じる混合物は、5.0MPaまで圧縮し、NHD法で脱硫し、次に230℃に加熱して、水素化コンバータに送ることにより、コークス炉ガス中の有機硫黄を無機硫黄に変換し、次にZnOで精密脱硫することにより、硫黄総量を0.1ppm以下のレベルに制御して、H
2 52.93%、C
2H
6 2.91%、CH
4 24.60%、CO 6.53%、CO
2 10.14%、N
2 2.88%(水素/炭素比=2.57)の組成を有する供給ガスが生成した。
【0081】
メタノール合成カラムに送られた供給ガスは、4.6MPaの圧力及び220℃の温度で、固定床反応器中で6500h
−1の反応空間速度でCu系メタノール合成触媒の存在下でのメタノール合成反応に付した。生じる反応ガスは、熱交換器により冷却して、分離することにより、液相生成物と気相生成物が生成した。この液相生成物が粗メタノールであり、これを精留することにより、精製メタノールが生成した。気相生成物は、3という水素/炭素比及び12.96%のCOx含量であったが、これをメタン合成ユニットに送った。
【0082】
メタン合成ユニットは、直列につながれた2つの同一の断熱メタン合成反応器(固定床)から構成した。ガスは、熱交換器により250℃に加熱し、4.2MPaの圧力で第1のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系広温度範囲メタン合成触媒を充填した。反応は、9000h
−1の空間速度で行った。メタン合成からの反応熱は、673℃までガスの温度を上昇させた。第1のメタン合成反応器からのガスの熱は、熱交換器及び廃熱ボイラーにより回収して、超高圧過熱水蒸気(11MPa)が副産物として生成した。ガスは、約250℃の温度まで熱交換器により冷却し、次いで第2のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系低温メタン合成触媒を充填した。反応は、5500h
−1の空間速度及び4.0MPaの反応圧力で行った。反応後、ガスの温度は、375℃まで上昇し、ガス中のCO含量は、82ppmまで減少し、そしてガス中のCO
2含量は、0.90%に減少した。ガスを冷却し、生じる水を分離した後、90.31%の炭化水素含量を有する気相生成物(即ち、合成天然ガス)を得た。
【0083】
気相生成物を−165℃まで低温冷却して、CH
4及びC
2H
6を気相生成物から分離することにより、液化天然ガスが生成した。
【0084】
実施例2
コーカーの燃焼室から放出された煙道ガスをCO
2捕捉システムに導入した。煙道ガス中のCO
2のほとんどは、吸収カラム内の複合アミン溶媒に吸収させた。CO
2を吸収した溶媒を、CO
2を分離するために再生カラムに送った。コークス炉ガスは、タール油除去、ベンゼン除去及びナフタレン除去を包含する前処理に付すことにより、H
2 57.25%、C
2H
6 3.15%、CH
4 26.61%、CO 7.06%、CO
2 2.81%及びN
2 3.12%(水素/炭素比=5.52)の組成を有する供給ガスが生成した。この供給ガスは、煙道ガスから捕捉したCO
2と混合した。生じる混合物は、7.8MPaまで圧縮し、NHD法で脱硫し、次に230℃に加熱して、水素化コンバータに送ることにより、コークス炉ガス中の有機硫黄を無機硫黄に変換し、次にZnOで精密脱硫することにより、硫黄総量を0.1ppm以下のレベルに制御して、H
2 52.67%、C
2H
6 2.90%、CH
4 24.48%、CO 6.49%、CO
2 10.59%、N
2 2.87%(水素/炭素比=2.46)の組成を有する供給ガスが生成した。
【0085】
メタノール合成カラムに送られた供給ガスは、7.4MPaの圧力及び210℃の温度で、固定床反応器中で7500h
−1の反応空間速度でCu系メタノール合成触媒の存在下でのメタノール合成反応に付した。生じる反応ガスは、熱交換器により冷却して、分離することにより、液相生成物と気相生成物が生成した。この液相生成物が粗メタノールであり、これを精留することにより、精製メタノールが生成した。気相生成物は、2.94という水素/炭素比及び11.86%のCOx含量であったが、これをメタン合成ユニットに送った。
【0086】
メタン合成ユニットは、直列につながれた2つの同一の断熱メタン合成反応器(固定床)から構成した。ガスは、熱交換器により250℃に加熱し、7.0MPaの圧力で第1のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系広温度範囲メタン合成触媒を充填した。反応は、11800h
−1の空間速度で行った。メタン合成からの反応熱は、652℃までガスの温度を上昇させた。第1のメタン合成反応器からのガスの熱は、熱交換器及び廃熱ボイラーにより回収して、超高圧過熱水蒸気(11MPa)が副産物として生成した。ガスは、約250℃の温度まで熱交換器により冷却し、次いで第2のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系低温メタン合成触媒を充填した。反応は、7500h
−1の空間速度及び6.8MPaの反応圧力で行った。反応後、ガスの温度は、343℃まで上昇し、ガス中のCO含量は、18ppmまで減少し、そしてガス中のCO
2含量は、0.48%に減少した。ガスを冷却し、生じる水を分離した後、91.45%の炭化水素含量を有する気相生成物(即ち、合成天然ガス)を得た。
【0087】
気相生成物を−165℃まで低温冷却して、CH
4及びC
2H
6を気相生成物から分離することにより、液化天然ガスが生成した。
【0088】
実施例3
コーカーの燃焼室から放出された煙道ガスをCO
2捕捉システムに導入した。煙道ガス中のCO
2のほとんどは、吸収カラム内の複合アミン溶媒に吸収させた。CO
2を吸収した溶媒を、CO
2を分離するために再生カラムに送った。コークス炉ガスは、タール油除去、ベンゼン除去及びナフタレン除去を包含する前処理に付すことにより、H
2 57.25%、C
2H
6 3.15%、CH
4 26.61%、CO 7.06%、CO
2 2.81%及びN
2 3.12%(水素/炭素比=5.52)の組成を有する供給ガスが生成した。この供給ガスは、煙道ガスから捕捉したCO
2と混合した。生じる混合物は、7.8MPaまで圧縮し、NHD法で脱硫し、次に230℃に加熱して、水素化コンバータに送ることにより、コークス炉ガス中の有機硫黄を無機硫黄に変換し、次にZnOで精密脱硫することにより、硫黄総量を0.1ppm以下のレベルに制御して、H
2 52.50%、C
2H
6 2.89%、CH
4 24.40%、CO 6.47%、CO
2 10.88%、N
2 2.86%(水素/炭素比=2.4)の組成を有する供給ガスが生成した。
【0089】
メタノール合成カラムに送られた供給ガスは、7.4MPaの圧力及び215℃の温度で、固定床反応器中で7500h
−1の反応空間速度でCu系メタノール合成触媒の存在下でのメタノール合成反応に付した。生じる反応ガスは、熱交換器により冷却して、分離することにより、液相生成物と気相生成物が生成した。この液相生成物が粗メタノールであり、これを精留することにより、精製メタノールが生成した。気相生成物は、2.81という水素/炭素比及び12.19%のCOx含量であったが、これをメタン合成ユニットに送った。
【0090】
メタン合成ユニットは、直列につながれた2つの同一の断熱メタン合成反応器(固定床)から構成した。ガスは、熱交換器により260℃に加熱し、7.0MPaの圧力で第1のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系広温度範囲メタン合成触媒を充填した。反応は、11000h
−1の空間速度で行った。メタン合成からの反応熱は、678℃までガスの温度を上昇させた。第1のメタン合成反応器からのガスの熱は、熱交換器及び廃熱ボイラーにより回収して、超高圧過熱水蒸気(11MPa)が副産物として生成した。ガスは、約260℃の温度まで熱交換器により冷却し、次いで第2のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系低温メタン合成触媒を充填した。反応は、8000h
−1の空間速度及び6.8MPaの反応圧力で行った。反応後、ガスの温度は、355℃まで上昇し、ガス中のCO含量は、35ppmまで減少し、そしてガス中のCO
2含量は、1.17%に減少した。ガスを冷却し、生じる水を分離した後、91.03%の炭化水素含量を有する気相生成物(即ち、合成天然ガス)を得た。
【0091】
気相生成物を−165℃まで低温冷却して、CH
4及びC
2H
6を気相生成物から分離することにより、液化天然ガスが生成した。
【0092】
実施例4
コーカーの燃焼室から放出された煙道ガスをCO
2捕捉システムに導入した。煙道ガス中のCO
2のほとんどは、吸収カラム内の複合アミン溶媒に吸収させた。CO
2を吸収した溶媒を、CO
2を分離するために再生カラムに送った。コークス炉ガスは、タール油除去、ベンゼン除去及びナフタレン除去を包含する前処理に付すことにより、H
2 57.25%、C
2H
6 3.15%、CH
4 26.61%、CO 7.06%、CO
2 2.81%及びN
2 3.12%(水素/炭素比=5.52)の組成を有する供給ガスが生成した。この供給ガスは、煙道ガスから捕捉したCO
2と混合した。生じる混合物は、7.0MPaまで圧縮し、NHD法で脱硫し、次に230℃に加熱して、水素化コンバータに送ることにより、コークス炉ガス中の有機硫黄を無機硫黄に変換し、次にZnOで精密脱硫することにより、硫黄総量を0.1ppm以下のレベルに制御して、H
2 52.76%、C
2H
6 2.90%、CH
4 24.53%、CO 6.51%、CO
2 10.42%、N
2 2.88%(水素/炭素比=2.50)の組成を有する供給ガスが生成した。
【0093】
メタノール合成カラムに送られた供給ガスは、6.6MPaの圧力及び225℃の温度で、固定床反応器中で6800h
−1の反応空間速度でCu系メタノール合成触媒の存在下でのメタノール合成反応に付した。生じる反応ガスは、熱交換器により冷却して、分離することにより、液相生成物と気相生成物が生成した。この液相生成物が粗メタノールであり、これを精留することにより、精製メタノールが生成した。気相生成物は、2.91という水素/炭素比及び12.51%のCOx含量であったが、これをメタン合成ユニットに送った。
【0094】
メタン合成ユニットは、直列につながれた2つの同一の断熱メタン合成反応器(固定床)から構成した。ガスは、熱交換器により250℃に加熱し、6.2MPaの圧力で第1のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系広温度範囲メタン合成触媒を充填した。反応は、10000h
−1の空間速度で行った。メタン合成からの反応熱は、677℃までガスの温度を上昇させた。第1のメタン合成反応器からのガスの熱は、熱交換器及び廃熱ボイラーにより回収して、超高圧過熱水蒸気(11MPa)が副産物として生成した。ガスは、約260℃の温度まで熱交換器により冷却し、次いで第2のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系低温メタン合成触媒を充填した。反応は、6500h
−1の空間速度及び6.0MPaの反応圧力で行った。反応後、ガスの温度は、364℃まで上昇し、ガス中のCO含量は、39ppmまで減少し、そしてガス中のCO
2含量は、0.73%に減少した。ガスを冷却し、生じる水を分離した後、91.31%の炭化水素含量を有する気相生成物(即ち、合成天然ガス)を得た。
【0095】
気相生成物を−165℃まで低温冷却して、CH
4及びC
2H
6を気相生成物から分離することにより、液化天然ガスが生成した。
【0096】
比較例1
コーカーの燃焼室から放出された煙道ガスをCO
2捕捉システムに導入した。煙道ガス中のCO
2のほとんどは、吸収カラム内の複合アミン溶媒に吸収させた。CO
2を吸収した溶媒を、CO
2を分離するために再生カラムに送った。コークス炉ガスは、タール油除去、ベンゼン除去及びナフタレン除去を包含する前処理に付すことにより、H
2 57.25%、C
2H
6 3.15%、CH
4 26.61%、CO 7.06%、CO
2 2.81%及びN
2 3.12%(水素/炭素比=5.52)の組成を有する供給ガスが生成した。この供給ガスは、煙道ガスから捕捉したCO
2と混合した。生じる混合物は、6.0MPaまで圧縮し、NHD法で脱硫し、次に230℃に加熱して、水素化コンバータに送ることにより、コークス炉ガス中の有機硫黄を無機硫黄に変換し、次にZnOで精密脱硫することにより、硫黄総量を0.1ppm以下のレベルに制御して、H
2 51.58%、C
2H
6 2.84%、CH
4 23.97%、CO 6.36%、CO
2 12.44%、N
2 2.81%(水素/炭素比=2.08)の組成を有する供給ガスが生成した。
【0097】
メタノール合成カラムに送られた供給ガスは、6.6MPaの圧力及び220℃の温度で、固定床反応器中で6800h
−1の反応空間速度でCu系メタノール合成触媒の存在下でのメタノール合成反応に付した。生じる反応ガスは、熱交換器により冷却して、分離することにより、液相生成物と気相生成物が生成した。この液相生成物が粗メタノールであり、これを精留することにより、精製メタノールが生成した。気相生成物は、2.12という水素/炭素比及び16.04%のCOx含量であったが、これをメタン合成ユニットに送った。
【0098】
メタン合成ユニットは、直列につながれた2つの同一の断熱メタン合成反応器(固定床)から構成した。第1のメタン合成反応器には、ガス再循環システムを取り付ける必要があった。メタノール合成カラムから出たガスと再循環ガスを混合した。生じる混合物を熱交換器により260℃に加熱し、次に第1のメタン合成反応器に送ったが、この反応器には、Ni系広温度範囲メタン合成触媒を充填した。このメタン合成反応は、触媒の作用下で起こった。反応は、10000h
−1の空間速度及び6.2MPaの反応圧力で行った。メタン合成からの反応熱は、666℃までガスの温度を上昇させた。第1のメタン合成反応器からのガスの熱は、熱交換器及び廃熱ボイラーにより回収して、超高圧過熱水蒸気(11MPa)が副産物として生成した。ガスは、約260℃の温度まで熱交換器により冷却して、2部に分割した。1部のガスは更に200℃まで冷却し、圧縮機により圧縮して、第1のメタン合成反応器入口へと再循環させた。もう1部のガスは、第2のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系低温メタン合成触媒を充填した。反応は、6500h
−1の空間速度及び6.0MPaの反応圧力で行った。反応後、ガスの温度は、364℃まで上昇し、ガス中のCO含量は、0.28%まで減少し、そしてガス中のCO
2含量は、6.52%に減少した。ガスを冷却し、生じる水を分離した後、86.26%の炭化水素含量を有する気相生成物(即ち、合成天然ガス)を得た。
【0099】
気相生成物を−165℃まで低温冷却して、CH
4及びC
2H
6を気相生成物から分離することにより、液化天然ガスが生成した。
【0100】
比較例2
コーカーの燃焼室から放出された煙道ガスをCO
2捕捉システムに導入した。煙道ガス中のCO
2のほとんどは、吸収カラム内の複合アミン溶媒に吸収させた。CO
2を吸収した溶媒を、CO
2を分離するために再生カラムに送った。コークス炉ガスは、タール油除去、ベンゼン除去及びナフタレン除去を包含する前処理に付すことにより、H
2 57.25%、C
2H
6 3.15%、CH
4 26.61%、CO 7.06%、CO
2 2.81%及びN
2 3.12%(水素/炭素比=5.52)の組成を有する供給ガスが生成した。この供給ガスは、煙道ガスから捕捉したCO
2と混合した。生じる混合物は、4.4MPaまで圧縮し、NHD法で脱硫し、次に230℃に加熱して、水素化コンバータに送ることにより、コークス炉ガス中の有機硫黄を無機硫黄に変換し、次にZnOで精密脱硫することにより、硫黄総量を0.1ppm以下のレベルに制御して、H
2 54.01%、C
2H
6 2.97%、CH
4 25.10%、CO 6.66%、CO
2 8.31%、N
2 2.95%(水素/炭素比=3.06)の組成を有する供給ガスが生成した。
【0101】
メタノール合成カラムに送られた供給ガスは、4.0MPaの圧力及び220℃の温度で、固定床反応器中で6500h
−1の反応空間速度でCu系メタノール合成触媒の存在下でのメタノール合成反応に付した。生じる反応ガスは、熱交換器により冷却して、分離することにより、液相生成物と気相生成物が生成した。この液相生成物が粗メタノールであり、これを精留することにより、精製メタノールが生成した。気相生成物は、3.5という水素/炭素比及び12.28%のCOx含量であったが、これをメタン合成ユニットに送った。
【0102】
メタン合成ユニットは、直列につながれた2つの同一の断熱メタン合成反応器(固定床)から構成した。ガスは、熱交換器により290℃に加熱し、3.6MPaの圧力で第1のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系広温度範囲メタン合成触媒を充填した。反応は、9000h
−1の空間速度で行った。メタン合成からの反応熱は、675℃までガスの温度を上昇させた。第1のメタン合成反応器からのガスの熱は、熱交換器及び廃熱ボイラーにより回収して、超高圧過熱水蒸気(11MPa)が副産物として生成した。ガスは、約280℃の温度まで熱交換器により冷却し、次いで第2のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系低温メタン合成触媒を充填した。反応は、5500h
−1の空間速度及び3.4MPaの反応圧力で行った。反応後、ガスの温度は、372℃まで上昇し、ガス中のCO含量は、28ppmまで減少し、そしてガス中のCO
2含量は、0.45%に減少した。ガスを冷却し、生じる水を分離した後、80.48%の炭化水素含量を有する気相生成物(即ち、合成天然ガス)を得た。
【0103】
気相生成物を−165℃まで低温冷却して、CH
4及びC
2H
6を気相生成物から分離することにより、液化天然ガスが生成した。
【0104】
参照例1
コーカーの燃焼室から放出された煙道ガスをCO
2捕捉システムに導入した。煙道ガス中のCO
2のほとんどは、吸収カラム内の複合アミン溶媒に吸収させた。CO
2を吸収した溶媒を、CO
2を分離するために再生カラムに送った。コークス炉ガスは、タール油除去、ベンゼン除去及びナフタレン除去を包含する前処理に付すことにより、H
2 57.25%、C
2H
6 3.15%、CH
4 26.61%、CO 7.06%、CO
2 2.81%及びN
2 3.12%(水素/炭素比=5.52)の組成を有する供給ガスが生成した。この供給ガスは、煙道ガスから捕捉したCO
2と混合した。生じる混合物は、4.4MPaまで圧縮し、NHD法で脱硫し、次に230℃に加熱して、水素化コンバータに送ることにより、コークス炉ガス中の有機硫黄を無機硫黄に変換し、次にZnOで精密脱硫することにより、硫黄総量を0.1ppm以下のレベルに制御して、H
2 53.86%、C
2H
6 2.96%、CH
4 25.03%、CO 6.64%、CO
2 8.57%、N
2 2.94%(水素/炭素比=2.98)の組成を有する供給ガスが生成した。
【0105】
精密脱硫ガスは、4.0MPaの圧力であった。メタノール合成ユニットを準備することなく、精密脱硫ガスはメタン合成ユニットに直接送ったが、このユニットは直列につながれた3つのメタン合成反応器(固定床)から構成した。メタン合成ユニットの第1のメタン合成反応器には、ガス再循環システムを取り付ける必要があった。精密脱硫ガスと再循環ガスを混合した。生じる混合物を熱交換器により300℃に加熱し、次に第1のメタン合成反応器に送ったが、この反応器には、Ni系広温度範囲メタン合成触媒を充填した。このメタン合成反応は、触媒の作用下で起こった。反応は、10000h
−1の空間速度及び4.0MPaの反応圧力で行った。メタン合成からの反応熱は、600℃までガスの温度を上昇させた。第1のメタン合成反応器からのガスの熱は、熱交換器及び廃熱ボイラーにより回収して、超高圧過熱水蒸気(11MPa)が副産物として生成した。ガスは、約280℃の温度まで熱交換器により冷却して、2部に分割した。1部のガスは、圧縮機により圧縮して、第1のメタン合成反応器入口へと再循環させた。もう1部のガスは、第2のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系低温メタン合成触媒を充填した。反応は、7000h
−1の空間速度及び3.8MPaの反応圧力で行った。反応後、ガスの温度は、467℃まで上昇した。生じる反応ガスを熱交換器により250℃まで冷却して、第3のメタン合成反応器に送った。この反応器には、Ni系低温メタン合成触媒を充填した。反応は、6000h
−1の空間速度及び3.7MPaの反応圧力で行った。反応後、ガスの温度は380℃であり、ガス中のCO含量は、14ppmまで減少し、そしてガス中のCO
2含量は、0.73%に減少した。ガスを冷却し、生じる水を分離した後、90.88%の炭化水素含量を有する気相生成物(即ち、合成天然ガス)を得た。
【0106】
気相生成物を−165℃まで低温冷却して、CH
4及びC
2以上の炭化水素を気相生成物から分離することにより、液化天然ガスが生成した。
【0107】
参照例2
コーカーの燃焼室から放出された煙道ガスをCO
2捕捉システムに導入した。煙道ガス中のCO
2のほとんどは、吸収カラム内の複合アミン溶媒に吸収させた。CO
2を吸収した溶媒を、CO
2を分離するために再生カラムに送った。コークス炉ガスは、タール油除去、ベンゼン除去及びナフタレン除去を包含する前処理に付し、そして煙道ガスから捕捉したCO
2と混合した。生じる混合物は、8.4MPaまで圧縮し、NHD法で脱硫し、次に220℃に加熱して、水素化コンバータに送ることにより、コークス炉ガス中の有機硫黄を無機硫黄に変換し、次にZnOで精密脱硫することにより、硫黄総量を0.1ppm以下のレベルに制御して、H
2 53%、C
2H
6 2%、CH
4 28%、CO 6%、CO
2 10%、N
2 1%の組成を有する供給ガスが生成した。
【0108】
メタノール合成カラムに送られた供給ガスは、8.1MPaの圧力及び220℃の温度で、Cu系メタノール合成触媒の存在下でのメタノール合成反応に付した。生じる反応ガスは、熱交換器により冷却して、分離することにより、液相生成物と気相生成物が生成した。生じる液相生成物が粗メタノールであり、これを精留することにより、精製メタノールが生成した。生じる気相生成物は、3という水素/炭素比及び11%未満のCOx含量であったが、これを洗浄カラムに送ることにより、水で残留メタノールを除去して、次にメタン合成ユニットに送った。
【0109】
メタン合成ユニットは、直列につながれた2つの断熱メタン合成反応器から構成した。ガスは、熱交換器により250℃に加熱して、第1のメタン合成反応器に送った。メタン合成からの反応熱は、600℃までガスの温度を上昇させた。第1のメタン合成反応器からのガスの熱は、熱交換器及び廃熱ボイラーにより回収して、超高圧過熱水蒸気(11MPa)が副産物として生成した。ガスは、約250℃の温度まで熱交換器により冷却し、次いで第2のメタン合成反応器に送った。反応後、ガスの温度は、450℃まで上昇し、ガス中のCO含量は、100ppmまで減少し、そしてガス中のCO
2含量は、1.5%に減少した。ガスを冷却し、生じる水を分離した後、88%の炭化水素含量を有する気相生成物(即ち、合成天然ガス)を得た。
【0110】
気相生成物を−165℃まで低温冷却して、CH
4及びC
2以上の炭化水素を気相生成物から分離することにより、94%を超える炭化水素含量を有する合成天然ガスが生成した。
【0111】
参照例3
コーカーの燃焼室から放出された煙道ガスをCO
2捕捉システムに導入した。圧力スイング吸着により純度99%のCO
2ガスを得た。コークス炉ガスは、タール油除去、ベンゼン除去及びナフタレン除去を包含する前処理に付して、煙道ガスから捕捉したCO
2と混合した。生じる混合物は、5.4MPaまで圧縮し、NHD法で脱硫し、次に220℃に加熱して、水素化コンバータに送ることにより、コークス炉ガス中の有機硫黄を無機硫黄に変換し、次にZnOで精密脱硫することにより、硫黄総量を0.1ppm以下のレベルに制御して、H
2 53%、C
2H
6 2%、CH
4 28%、CO 6%、CO
2 10%、N
2 1%の組成を有する供給ガスが生成した。
【0112】
メタノール合成カラムに送られた供給ガスは、5.1MPaの圧力及び220℃の温度で、Cu系メタノール合成触媒の存在下でのメタノール合成反応に付した。生じる反応ガスは、熱交換器により冷却して、分離することにより、液相生成物と気相生成物が生成した。生じる液相生成物が粗メタノールであり、これを精留することにより、精製メタノールが生成した。生じる気相生成物は、3という水素/炭素比及び13%未満のCOx含量であったが、これを洗浄カラムに送ることにより、水で残留メタノールを除去して、次にメタン合成ユニットに送った。
【0113】
メタン合成ユニットは、直列につながれた3つの断熱メタン合成反応器から構成した。ガスは、熱交換器により250℃に加熱して、第1のメタン合成反応器に送った。メタン合成からの反応熱は、680℃までガスの温度を上昇させた。第1のメタン合成反応器からのガスの熱は、熱交換器及び廃熱ボイラーにより回収して、超高圧過熱水蒸気(11MPa)が副産物として生成した。ガスは、約250℃の温度まで熱交換器により冷却し、次いで第2のメタン合成反応器に送った。反応後、ガスの温度は、600℃まで上昇した。生じる反応ガスは、熱交換器により260℃まで冷却して、第3のメタン合成反応器に送った。反応後、ガスの温度は360℃であり、ガス中のCO含量は、50ppmまで減少し、そしてガス中のCO
2含量は、1%に減少した。ガスを冷却し、生じる水を分離した後、90%の炭化水素含量を有する気相生成物(即ち、合成天然ガス)を得た。
【0114】
気相生成物を−165℃まで低温冷却して、CH
4及びC
2以上の炭化水素を気相生成物から分離することにより、94%を超える炭化水素含量を有する合成天然ガスが生成した。
【0115】
参照例4
コーカーの燃焼室から放出された煙道ガスをCO
2捕捉システムに導入した。膜分離により純度99%のCO
2ガスを得た。コークス炉ガスは、タール油除去、ベンゼン除去及びナフタレン除去を包含する前処理に付して、煙道ガスから捕捉したCO
2と混合した。生じる混合物は、6.4MPaまで圧縮し、NHD法で脱硫し、次に220℃に加熱して、水素化コンバータに送ることにより、コークス炉ガス中の有機硫黄を無機硫黄に変換し、次にZnOで精密脱硫することにより、硫黄総量を0.1ppm以下のレベルに制御して、H
2 53%、C
2H
6 2%、CH
4 28%、CO 6%、CO
2 10%、N
2 1%の組成を有する供給ガスが生成した。
【0116】
メタノール合成カラムに送られた供給ガスは、6.1MPaの圧力及び220℃の温度で、Cu系メタノール合成触媒の存在下でのメタノール合成反応に付した。生じる反応ガスは、熱交換器により冷却して、分離することにより、液相生成物と気相生成物が生成した。生じる液相生成物が粗メタノールであり、これを精留することにより、精製メタノールが生成した。生じる気相生成物は、3という水素/炭素比及び12%未満のCOx含量であったが、これを洗浄カラムに送ることにより、水で残留メタノールを除去して、ガスに20%の水分を持たせ、次にメタン合成ユニットに送った。
【0117】
メタン合成ユニットは、直列につながれた3つの断熱メタン合成反応器から構成した。ガスは、熱交換器により250℃に加熱して、第1のメタン合成反応器に送った。メタン合成からの反応熱は、650℃までガスの温度を上昇させた。第1のメタン合成反応器からのガスの熱は、熱交換器及び廃熱ボイラーにより回収して、超高圧過熱水蒸気(11MPa)が副産物として生成した。ガスは、約250℃の温度まで熱交換器により冷却し、次いで第2のメタン合成反応器に送った。反応後、ガスの温度は、560℃まで上昇した。生じる反応ガスは、熱交換器により260℃まで冷却して、第3のメタン合成反応器に送った。反応後、ガスの温度は370℃であり、ガス中のCO含量は、80ppmまで減少し、そしてガス中のCO
2含量は、1.2%に減少した。ガスを冷却し、生じる水を分離した後、90%の炭化水素含量を有する気相生成物(即ち、合成天然ガス)を得た。
【0118】
気相生成物を−165℃まで低温冷却して、CH
4及びC
2以上の炭化水素を気相生成物から分離することにより、94%を超える炭化水素含量を有する合成天然ガスが生成した。