【文献】
Arch. Pharm. (Weinheim),1988年,Vol. 321,p. 95-98
【文献】
食品成分表2014,2014年 2月10日,p. 224
【文献】
Flazin類の濃度と醤油品質との関連,日本醤油研究所雑誌,1990年 1月25日,第16巻 第1号,p. 1-3
【文献】
食品成分表2014,2014年 2月10日,p. 232
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加工食品は、漬物、佃煮、乾物、練り製品、粉類、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品、乳製品、菓子類、嗜好品、健康食品、コンソメ、ブイヨン、お吸い物、粉末スープ、粉末だし及びスナック菓子のシーズニングパウダーから選択される、請求項7又は8に記載の加工食品。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
<PLの製造方法>
本実施形態におけるPLは、醤油からの精製によって得ることができる。特に限定しないが、この他の使用可能な入手方法として、有機合成法(Arch. Pharm(Weinheim), 1988, 321, 95−98)、微生物による生産を利用した方法などが挙げられ、公知の方法を用いることができる。
【0020】
なお、PL精製に使用する醤油には、例えば、たまり醤油、こいくち醤油、うすくち醤油や醤油を濃縮したものなどを使用することができる。また、魚醤、肉醤、草醤を排除する趣旨ではないが、一般的な大豆、小麦などの穀物を原料とした醤油であることが好ましい。
【0021】
醤油からのPLの抽出法としては、特に限定しないが、たとえば下記のような方法に拠ればよい。
(1)醤油を酢酸エチルで抽出した後、溶媒を留去して得られる回収物を酢酸エチル抽出物とする。
(2)当該抽出物を少量の酢酸エチルに溶かし、シリカゲルカラムおよびODSカラムに複数回供することで得られる画分の内、TLCで酢酸エチルのみで展開し、UV発色させた場合にRf=0.6−0.7付近に青色の呈色を示す物質を含む画分を回収して得られる黄色粉末がPerlolyrine(PL)である。
【0022】
<PL>
本実施形態におけるPLは、特に限定しないが、醤油由来のPLが好ましい。より好ましくは、醤油から抽出されたPLである。食品である醤油からPLを得るので食品に用いる場合、安全性の面から好ましい。
また、本実施形態におけるPLは、特に限定しないが、本実施形態におけるPLの製造方法で製造されたPLが好ましい。
本実施形態におけるPLは、特に限定しないが、hTRPV1の活性化剤や呈味改善剤や食品(特に限定しないが、液体調味料等)や食品添加剤等として用いることができる。
【0023】
<hTRPV1の活性化剤>
本実施形態におけるhTRPV1の活性化剤は、Perlolyrineを含有する。本発明者らは、鋭意検討した結果、初めて、醤油中のPLが高いhTRPV1活性を有していることを見出した。
【0024】
本実施形態におけるhTRPV1の活性化剤の形状は、ペースト状、粉末状、塊状等の固形物であってもよく、液状、コロイド状等の液体であってもよい。
【0025】
本実施形態におけるhTRPV1の活性化剤は、PL以外の成分を含んでいても良い。例えば、成分の安定化剤や醤油由来成分や用いたPL製造法由来成分等が挙げられる。
【0026】
本実施形態におけるhTRPV1の活性化剤におけるPL含有量は、特に限定しないが、hTRPV1の活性化剤の全質量部を100%としたときに、50〜100%であることが好ましい。より好ましくは、80〜100%であり、最も好ましいのは、95〜100%である。またPL含有量は、例えば、50、60、70、80、90、95、98、99、99.9または、100%であっても良く、これらの値の間の値であっても良い。
【0027】
本実施形態におけるhTRPV1の活性化剤のPL濃度は、特に限定しないが、例えば、0.5、1.1、1.5、1.9、2.0、2.1、2.9、3.0、3.1、3.9、4.0、4.1、4.9、5.0、5.1、9、10、20、30、40、50、60、70、80、89、90、91、100、110、120、130、140、150、200、250または、300μM以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0028】
本実施形態におけるhTRPV1の活性化剤は、特に限定しないが、好ましくは、上記活性化剤の全量を100%としたとき、10.0%(w/v)以下のNaClを含み、より好ましくは5.0%(w/v)以下のNaClを含み、最も好ましいのは、NaClを含まないことである。例えば、上記活性化剤を低塩食品に用いる場合、上記活性化剤に多くのNaClを含むと、低塩食品中の食塩濃度が上昇してしまうため、低塩食品に添加することが困難になる場合がある。
なお、本実施形態におけるhTRPV1の活性化剤は、食品に限らず様々なものに用いることができる。例えば、hTRPV1の活性化物質探索用のマーカー等が挙げられる。
【0029】
<呈味改善剤>
本実施形態における呈味改善剤は、Perlolyrineを含有する。そうすることで、例えば、食品に対して呈味を改善することが可能である。
【0030】
本実施形態における呈味改善剤は、特に限定しないが、例えば塩味の増強剤、旨味またはコクの増強剤やカリウム由来のえぐみの抑制剤が挙げられる。
【0031】
本実施形態における呈味改善剤の形状は、ペースト状、粉末状、顆粒状、塊状等の固形物であってもよく、液状、コロイド状等の液体であってもよい。
【0032】
本実施形態における呈味改善剤は、PL以外の成分を含んでいても良い。例えば、成分の安定化剤や醤油由来成分や用いたPL製造法由来成分等が挙げられる。
【0033】
本実施形態における呈味改善剤におけるPL含有量は、特に限定しないが、呈味改善剤の全質量部を100%としたときに、0.005〜100%であることが好ましい。より好ましくは、80〜100%であり、最も好ましいのは、95〜100%である。またPL含有量は、例えば、0.005、0.01、0.05、0.1、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、99、99.9または、100%であっても良く、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0034】
本実施形態における呈味改善剤は、特に限定しないが、好ましくは、上記呈味改善剤の全量を100%としたとき、10.0%(w/v)以下のNaClを含み、より好ましくは5.0%(w/v)以下のNaClを含み、最も好ましいのは、NaClを含まないことが好ましい。例えば、低塩食品に用いる場合、上記呈味改善剤に多くのNaClを含むと、低塩食品中の食塩濃度が上昇してしまうため、低塩食品に添加することが困難になる場合がある。
なお、本実施形態における呈味改善剤は、食品に限らず様々なものに用いることができる。例えば、呈味改善物質の探索用のマーカー等が挙げられる。
【0035】
本実施形態における呈味改善剤のPLの濃度は、呈味を改善させる物に対して、適宜決めることができる、例えば、呈味を改善させる物に含まれる食塩等の濃度に応じて適宜決めることができる。また、特に限定しないが、呈味を改善させる物の量に応じて、適宜決めることができる。一例として、呈味を改善させる物が大量である場合は、呈味改善剤のPLの濃度が高濃度のほうが扱いやすい場合がある。
本実施形態における呈味改善剤のPLの濃度は、特に限定しないが、好ましくは0.5μM以上である。呈味改善剤のPLの濃度は、例えば、0.1、0.5、1.0、1.1、5、9、10、20、30、40、50、60、70、80、89、90、91、100、110、120、130、140、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、または、2000μM以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0036】
なお、下記に本実施形態における呈味改善剤についての一例を示す。
【0037】
<塩味の増強剤>
本実施形態における塩味の増強剤は、Perlolyrineを含有する。そうすることで、例えば、食品に対して塩味を付与することが可能である。すなわち、食品(加工食品も含む)に対して、食塩の含量を増加させなくとも、上記増強剤を添加することで塩味の食味を増強することができる。
【0038】
本実施形態における塩味の増強剤のPLの濃度は、塩味の増強剤を加える物に対して、適宜決めることができる、例えば、塩味の増強剤を加える物に含まれる食塩等の濃度に応じて適宜決めることができる。また、塩味の増強させる物の量に応じて、適宜決めることができる。つまり、一例として、塩味の増強させる物が大量にある場合は、塩味の増強剤のPLの濃度が高濃度のほうが扱いやすい場合がある。
本実施形態における塩味の増強剤のPLの濃度は、特に限定しないが、好ましくは0.5μM以上である。塩味の増強剤のPLの濃度は、例えば、0.1、0.5、1.0、1.1、5、9、10、20、30、40、50、60、70、80、89、90、91、100、110、120、130、140、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、または、2000μM以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0039】
<旨味またはコクの増強剤>
本実施形態における旨味またはコクの増強剤は、Perlolyrineを含有する。例えば、食品に対して旨味またはコクを付与することが可能である。すなわち、食品(加工食品も含む)に対して、食塩の含量を増加させなくとも、上記増強剤を添加することで旨味またはコクの食味を増強することができる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、PLが塩味の増強効果にとどまらず、旨味またはコクの増強することを見出した。つまり、PLが旨味またはコクの増強することができる新しい知見である。
【0040】
本実施形態における旨味またはコクの増強剤のPLの濃度は、旨味またはコクの増強剤を加える物に対して、適宜決めることができる、例えば、旨味またはコクの増強剤を加える物に含まれる食塩等の濃度に応じて適宜決めることができる。また、旨味またはコクの増強させる物の量に応じて、適宜決めることができる。つまり、一例として、旨味またはコクの増強させる物が大量にある場合は、旨味またはコクの増強剤のPLの濃度が高濃度のほうが扱いやすい場合がある。
本実施形態における旨味またはコクの増強剤のPLの濃度は、特に限定しないが、好ましくは0.5μM以上である。
旨味またはコクの増強剤のPLの濃度は、例えば、0.1、0.5、1.0、1.1、5、9、10、20、30、40、50、60、70、80、89、90、91、100、110、120、130、140、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、または、2000μM以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0041】
<えぐみの抑制剤>
本実施形態におけるカリウム由来のえぐみの抑制剤は、Perlolyrineを含有する。例えば、カリウムを含む食品に対して、この抑制剤を加える事で、食品中におけるカリウム由来のえぐみを低下させることができる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、さらに驚くべきことに、PLが塩味、旨味またはコクの増強効果にとどまらず、KClに起因する塩味様の刺激感は保ったまま、えぐみを抑制することを見出した。つまり、PLがえぐみを抑制する全く新しい知見である。
【0042】
本実施形態におけるカリウム由来のえぐみの抑制剤のPerlolyrineの濃度は、特に限定しないが、好ましくは、5μM以上である。より好ましくは、5以上200μM以下である。そうすることで、より有意な塩味、旨味及びコクの食味を増強され優れた嗜好性を有する調味料が得られる。
本実施形態におけるカリウム由来のえぐみの抑制剤のPLの濃度は、カリウム由来のえぐみの抑制剤を加える物に対して、適宜決めることができる、例えば、カリウム由来のえぐみの抑制剤を加える物に含まれる食塩やカリウム等の濃度に応じて適宜決めることができる。また、カリウム由来のえぐみの抑制剤を加える物の量に応じて、適宜決めることができる。つまり、一例として、カリウム由来のえぐみの抑制剤を加える物が大量にある場合は、カリウム由来のえぐみの抑制剤を加える物にPLの濃度が高濃度のほうが扱いやすい場合がある。
本実施形態におけるカリウム由来のえぐみの抑制剤のPLの濃度は、例えば、0.1、0.5、1.0、1.1、5、9、10、20、30、40、50、60、70、80、89、90、91、100、110、120、130、140、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、または、2000μM以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0043】
<PLを添加する食品について>
PLを食品に添加する場合のPLの形態は特に限定されず、粉末をそのまま食品に添加するか、あるいは少量の粉末をアルコールに溶かしてから食品に添加しても良い。
【0044】
本実施形態における食品は、Perlolyrineを加えた食品であって、上記食品は食塩を含む、食品である。つまり、PLを食品に添加する場合、最終的に製造された食品に塩化ナトリウム(食塩)が使用されているものであれば使用することが可能である。つまり、ここでいうPLを食品に添加するというのは、例えば、塩化ナトリウム(食塩)が含まれる食品にPLを加えることや、PLと食塩とその他食品原料を加えることや、PLと食塩を含まない食品に加えることも含まれる概念である。
従って、食塩が含まれる食品にPLを加えることが重要ではなく、最終的にPLを含有する食品に食塩が含まれていることが重要である。
【0045】
塩化ナトリウム(食塩)の分析については、特に限定するものではないが、分析結果の信頼性及び分析の容易性などの面から、一般的に醤油の塩分測定に用いられている、「しょうゆの日本農林規格(平成21年8月31日農林水産省告示第1218号)」に基づく、銀指示電極を用いた硝酸銀滴定で分析することが好ましい。塩化ナトリウムの具体的な測定法としては、公知の文献(たとえば「しょうゆ試験法」(財団法人日本醤油研究所・編集)等)に記載の方法を適用することもできる。
【0046】
PLを添加する食品の形態は、特に限定しないが、一例として調味料が挙げられる。例えば、塩、砂糖、コショウ等、醤油、味噌などの発酵調味料や、ポン酢、ドレッシング、めんつゆ、ラーメンスープ、ソース、醤油などの液体調味料が挙げられる。
また、PLを添加する食品の形態の例としては、加工食品が挙げられる。ここで、加工食品とは、食材に様々な加工を加えた食品であればよく、特に限定するものではないが、例えば、漬物、佃煮、乾物、練り製品、粉類、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品(即席麺、ドライ・フーズ、粉末飲料等)、乳製品、菓子類、嗜好品、健康食品などが挙げられる。これらのうちで、レトルト食品としては、親子丼等の丼類、カレー、シチュー、麻婆豆腐の素、スープ、ソース、粥、米飯等が挙げられる。さらに、例えば、コンソメ、ブイヨン、お吸い物などのスープ類などの液状加工食品等が挙げられる。
なお、ここでいう加工食品には、粉末スープや粉末だし、スナック菓子のシーズニングパウダーなど、粉末・顆粒状の食品も挙げることができる。
【0047】
本実施形態におけるPLは塩味増強作用を有することから、減塩タイプの食品に対して利用することが好ましい。とくに、塩分濃度0.9%以下の薄味の食品であっても、十分な塩味を感じさせることができる。
【0048】
本実施形態におけるPLの食品への添加量は、食品の形態や含有される食塩、塩化カリウム等の濃度に応じて適宜決めることができる。
本実施形態における食品のPLの濃度は、特に限定しないが、好ましくは5μM以上である。そうすることで、優れた嗜好性を有する食品が得られる。
なお、PLの濃度は、例えば、0.1、0.5、1.0、1.1、5、9、10、20、30、40、50、60、70、80、89、90、91、100、110、120、130、140、150、200、250、300、400または、500μM以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0049】
また本実施形態における食品の食塩濃度は、食品の形態や含有される塩化カリウム等の濃度に応じて適宜決めることができ特に限定しないが、好ましくは、食塩濃度が上記食品の全量を100%としたとき、0.9%(w/v)以下であることが好ましい。そうすることで、低塩分であっても、優れた嗜好性を有する食品が得られる。
なお、食塩濃度は、例えば、0.10、0.21、0.50、0.89、0.90、0.91、0.95、0.99、1.0、1.1、2、3、5、8、9、10、11、または、15%(w/v)以下でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0050】
本実施形態における食品は、PLおよび食塩を含有していればよく、他の物質が含まれていても良い。本実施形態における食品は、さらにカリウムを含有することが好ましい。本明細書におけるカリウムは、塩化物等の化合物の形態で含むこともできる。好ましくは塩化カリウムである。
【0051】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本実施形態における食品に、さらに塩化カリウムを加えることで、カリウムに起因する塩味様の刺激感は保ったまま、さらに驚くべきことに、カリウムに起因するえぐみが抑制されることを見出した。
後述する実施例で示すように、本実施形態における食品においてカリウムを有することで、塩化カリウムに起因する塩味感が増強され、問題点であった塩化カリウム特有のえぐみが抑制されるため、さらに低塩分であっても、優れた嗜好性を有する食品が得られる。
【0052】
なお、本実施形態における食品のカリウムの濃度は、食品の形態や含有されるPLや食塩等の濃度に応じて適宜決めることができ特に限定しないが、好ましくは、0.3%以上である。
上記食品の全量を100%としたとき、カリウムの濃度が、例えば0.01、0.05、0.09、0.10、0.21、0.30、0.50、0.60、0.80、0.89、0.90、0.91、0.95、0.99、1.0、または、1.5%(w/v)以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。カリウムの濃度が1.5%より大きい場合、PLの濃度によるが、カリウム特有のえぐみを感じ取れるようになる場合がある。
【0053】
<本実施形態における食品の製造方法>
本実施形態における食品の製造方法は、製造される食品がPLおよび食塩を含有しているのであれば、特に限定しないが、公知の方法を用いることができる。例えば、既製の食品にPLを加えて、食品を製造しても良く、PLとNaClとその他原料を加えて食品を製造しても良く、PLとその他原料を加えてその後NaClを加えて食品を製造しても良い。
【0054】
本実施形態における食品の形状は、特に限定しないが、例えばペースト状、粉末状、顆粒状、塊状等の固形物であってもよく、液状、コロイド状等の液体であってもよい。
【0055】
なお、下記に本実施形態におけるPLを有する食品についての一例を示す。
【0056】
<調味料>
本実施形態における調味料は、Perlolyrineを加えた調味料であって、
上記調味料は食塩を含む調味料である。Perlolyrineの濃度は、特に限定しないが、好ましくは、5μM以上である。より好ましくは、5以上200μM以下である。そうすることで、より優れた嗜好性を有する調味料が得られる。
本実施形態における調味料のPLの濃度は、例えば、0.1、0.5、1.0、1.1、5、9、10、20、30、40、50、60、70、80、89、90、91、100、110、120、130、140、150、200、250、300、400または、500μM以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
本実施形態における調味料の食塩濃度は、調味料の形態や含有される塩化カリウム等の濃度に応じて適宜決めることができ特に限定しないが、食塩濃度が上記調味料の全量を100%としたとき、0.9%(w/v)以下であることが好ましい。そうすることで、低塩分であっても、優れた嗜好性を有する調味料が得られる。
なお、食塩濃度が0.10、0.21、0.50、0.89、0.90、0.91、0.95、0.99、1.0、1.1、2、3、5、8、9、10、11、または、15%(w/v)以下でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0057】
本実施形態における調味料は、PLおよび食塩を含有していればよく、他の物質が含まれていても良い。本実施形態における調味料は、さらにカリウムを含有することが好ましい。そうすることで、塩化カリウムに起因する塩味感が増強され、塩化カリウム特有のえぐみが抑制されるため、さらに低塩分であっても、優れた嗜好性を有する調味料が得られる。
なお、本実施形態における調味料のカリウムの濃度は、調味料の形態や含有されるPLや食塩等の濃度に応じて適宜決めることができ特に限定しないが、好ましくは、0.3%以上である。
上記調味料の全量を100%としたとき、カリウムの濃度が0.01、0.05、0.09、0.10、0.21、0.30、0.50、0.60、0.80、0.89、0.90、0.91、0.95、0.99、1.0、または、1.5%(w/v)以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。カリウムの濃度が1.5%より大きい場合、カリウム特有のえぐみを感じ取れるようになる場合がある。
【0058】
<調味料の製造方法>
本実施形態における調味料の製造方法は、製造される調味料がPLおよび食塩を含有しているのであれば、特に限定しない。例えば、既製の調味料にPLを加えて、調味料を製造しても良く、PLとNaClとその他調味料原料を加えて調味料を製造しても良く、PLとその他調味料原料を加えてその後NaClを加えて調味料を製造しても良い。
【0059】
本実施形態における調味料の形状は、特に限定しないが、例えばペースト状、粉末状、顆粒状、塊状等の固形物であってもよく、液状、コロイド状等の液体であってもよい。なお、下記に液状調味料について詳しく説明する。
【0060】
<液体調味料>
本実施形態における液体調味料は、Perlolyrineを加えた液体調味料であって、液体調味料が食塩を含む液体調味料である。そうすることで、優れた嗜好性を有する液体調味料が得られる。
【0061】
本実施形態における液体調味料のPLの濃度は、液体調味料の形態や含有される食塩等の濃度に応じて適宜決めることができ特に限定しないが、好ましくは、5μM以上であり、より好ましくは、5以上200μM以下である。最も好ましいのは、5以上100μM以下である。そうすることでより有意な塩味、旨味及びコクの食味を増強され優れた嗜好性を有する液体調味料が得られる。なお、一概には言えないが、液体調味料の形態や含有される食塩等の濃度が高い場合、液体調味料のPLの濃度が高くすることで、優れた嗜好性を有する液体調味料が得られる場合がある。
液体調味料のPLの濃度が5μM以上の場合には、より塩味や旨味及びコクの増強効果が強いため、食味における嗜好性をより向上できる。また、PLの濃度が200μMより高すぎる場合には、青臭みというPLの独特の異味が生じる場合がある。ただし、液体調味料の種類や人によっては、「PLの独特な異味を含んだ味を好ましくない」と感じない人がいる場合があるので、一概にPLの濃度が200μMより多く含む液体調味料が悪いとはいえない。
本実施形態における液体調味料のPLの濃度は、例えば、0.1、0.5、1.0、1.1、5、9、10、20、30、40、50、60、70、80、89、90、91、100、110、120、130、140、150、200、または、250μM以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0062】
本実施形態における液体調味料の食塩濃度は、液体調味料の形態や含有されるPLや塩化カリウム等の濃度に応じて適宜決めることができ特に限定しないが、食塩濃度が上記液体調味料の全量を100%としたとき、0.9%(w/v)以下であることが好ましい。そうすることで、後述する実施例で示すように、低塩分であっても、優れた嗜好性を有する液体調味料が得られる。
なお、食塩濃度が0.10、0.21、0.50、0.89、0.90、0.91、0.95、0.99、1.0、1.1、2、3、5または、8%(w/v)以下でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
本実施形態における液体調味料のカリウムの濃度は、液体調味料の形態や含有されるPLや食塩等の濃度に応じて適宜決めることができ特に限定しないが、好ましくは、0.3%(w/v)以上である。上記液体調味料の全量を100%としたとき、カリウムの濃度が、例えば0.01、0.05、0.09、0.10、0.21、0.30、0.50、0.60、0.80、0.89、0.90、0.91、0.95、0.99、1.0、または、1.5%(w/v)以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0063】
PLが醤油中に濃度10μM程度含まれていることはこれまでに報告されている。(非特許文献4)なお、一般的なこいくち醤油中に含まれる食塩濃度は、16−17%(w/v)である。しかしながら、醤油中におけるPLは醤油製造中に醤油内で作られたものである。従って、本実施形態の液体調味料は、Perlolyrineを加えた液体調味料であるので、従来の醤油とは異なるものである。
【0064】
<液体調味料の製造方法>
本実施形態における液体調味料の製造方法は、製造される調味料がPLおよび食塩を含有しているのであれば、特に限定しない。例えば、既製の液体調味料にPLを加えて、液体調味料を製造しても良く、PLとNaClとその他液体調味料原料を加えて液体調味料を製造しても良く、PLとその他液体調味料原料を加えてその後NaClを加えて液体調味料を製造しても良い。
【0065】
<加工食品>
本実施形態における加工食品は、Perlolyrineを加えた加工食品であって、上記加工食品は食塩を含む加工食品である。好ましくは、Perlolyrineの濃度が5μM以上〜200μM以下である加工食品である。そうすることでより優れた嗜好性を有する加工食品が得られる。
本実施形態における加工食品の食塩濃度は、加工食品の形態や含有されるPLや塩化カリウム等の濃度に応じて適宜決めることができ特に限定しないが、食塩濃度が上記加工食品の全量を100%としたとき、0.9%(w/v)以下であることが好ましい。そうすることで、低塩分であっても、有意な旨味及びコクの食味を増強された加工食品が得られる。なお、食塩濃度は、例えば、0.10、0.21、0.50、0.89、0.90、0.91、0.95、0.99、1.0、1.1、2、3、5、8、9、10、11、または、15%(w/v)以下でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0066】
本実施形態における加工食品は、PLおよび食塩を含有していればよく、他の物質が含まれていても良い。本実施形態における加工食品は、さらにカリウムを含有することが好ましい。そうすることで、さらに低塩分であっても、有意な旨味及びコクの食味を増強された加工食品が得られる。
なお、本実施形態における加工食品のカリウムの濃度は、加工食品の形態や含有されるPLや食塩等の濃度に応じて適宜決めることができ特に限定しないが、好ましくは、0.3%(w/v)以上である。上記加工食品の全量を100%としたとき、カリウムの濃度が、例えば0.01、0.05、0.09、0.10、0.21、0.30、0.50、0.60、0.80、0.89、0.90、0.91、0.95、0.99、1.0、または、1.5%(w/v)以上でもあってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であっても良い。
【0067】
本実施形態における加工食品の形状は、特に限定しないが、例えば、ペースト状、粉末状、顆粒状、塊状等の固形物であってもよく、液状、コロイド状等の液体であってもよい。
なお、粉末・顆粒状の加工食品としては、例えば、粉末スープや粉末だし、スナック菓子のシーズニングパウダーなどが挙げられ、液状加工食品としては、例えば、ポタージュ、コンソメ、ブイヨン、お吸い物などのスープ類などがあげられる。
また、本実施形態における加工食品は、本実施形態の調味料等を含んでいても良い。
【0068】
<加工食品の製造方法>
本実施形態における加工食品の製造方法は、製造される加工食品がPLおよび食塩を含有しているのであれば、公知の方法であってもよく、特に限定しない。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実験例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
(実施例1)醤油からのPLの単離
たまり醤油1.5Lを等量のヘキサンで抽出し、ヘキサン相と醤油相を得た。ヘキサン処理後の醤油相にさらに等量の酢酸エチルを入れて抽出し、よく静置した後、酢酸エチル相を回収し、溶媒を留去し、回収物を酢酸エチル抽出物とした。これを少量の酢酸エチルに溶かし、シリカゲルカラム(ウルトラパック、山善株式会社)に供し、酢酸エチルからメタノールへと段階的に濃度を切り替えながら溶出し、分画を行った。このうち酢酸エチル:メタノール=4:1で溶出した画分のうち、TLCで酢酸エチルのみで展開し、UV発色させた場合にRf=0.6−0.7付近に青色の呈色を示す物質を含む画分を回収した。回収画分から溶媒を留去し、ODSカラム(J'sphere ODS H−80、YMC)に供し、40%メタノールから100%メタノールへと段階的に切り替えて溶出を行った。100%メタノールで溶出した画分のうち、TLCで酢酸エチルのみで展開し、UV発色させた場合にRf=0.6−0.7付近に青色の呈色を示す物質を含む画分を回収した。回収した画分から溶媒を留去し、再度シリカゲルカラム分画に供した。酢酸エチルからメタノールへと段階的に濃度を切り替えながら溶出し、分画を行った。酢酸エチル:メタノール=9:1あたりで溶出され、TLCで酢酸エチルのみで展開し、UV発色させた場合にRf=0.6−0.7付近に青色の呈色を示す物質を含む画分を回収した。回収した画分から溶媒を留去し得られる物質がPerlolyrine(PL)である。
【0071】
(実施例2)hTRPV1活性化効果
(2−1)評価方法
テトラサイクリンによる発現誘導を受けるhTRPV1遺伝子を有したHEK293T細胞にテトラサイクリン1μg/mLを添加し、96ウェルブラックプレートクリアボトム(コーニング製品番号3603)に4×10
4細胞/ウェルになるよう播種し、一晩培養した。培養上清を取り除いた後、測定用バッファー(5.37mM KCl,0.44mM KH2PO4,137mM NaCl,0.34mM Na2HPO4・7H2O,5.56mM D−グルコース,20mM HEPES,1mM CaCl2,0.1% BSA,250mM プロベネシド,pH7.4)で希釈した3μM Fluo−4AM(モレキュラープローブ)を50μL添加し、1時間37℃でインキュベートした。その後Fluo−4AMを取り除き、測定用バッファーで1回洗浄した後、180μLの測定用バッファーを加え、測定用の細胞とした。
細胞内のカルシウム濃度変化の測定は、カルシウムイメージング法を利用し、Flex−stationII(Molecular Devices)を用いて測定した。測定は試料非添加状態での蛍光強度を30秒間測定した後、各試料を各々の細胞に20μLずつ添加し、添加後120秒間の蛍光強度を測定した。なお試料は終濃度の1000倍のDMSO溶液を調製し、測定用バッファーで希釈して用いた。その後イオノマイシンを終濃度5μMになるよう加え、細胞の最大蛍光量を測定した。各試料のhTRPV1活性は試料添加時の蛍光量をイオノマイシン添加時の蛍光量で割った値(イオノマイシン比)を用い、10μMカプサイシン投与時の応答と比較した。シグモイド曲線の作成およびEC50値の算出にはPrism 5 ソフトウェア(Graph Pad Software,San Diego,CA,USA)を用いた。
PLにおけるhTRPV1活性の応答評価については、10μMPLの添加のものに、10nMのhTRPV1特異的に阻害するBCTCを加えたもの用いて、上記の同じくhTRPV1活性は試料添加時の蛍光量をイオノマイシン添加時の蛍光量で割った値(イオノマイシン比)を用い、10μMカプサイシン投与時の応答と比較した。
【0072】
(2−2)結果
各種濃度のPLでのhTRPV1活性を
図1に示した。PLのhTRPV1に対するEC50値は2.87μMであり、また、hTRPV1特異的に阻害するBCTCによってPLの応答は有意に抑制された(
図2)。
【0073】
(実施例3)官能評価
(3−1)塩味増強効果
(予備試験)
塩味増強効果を得るために必要なPLの添加量を確認するため、濃度80mMの食塩水に対してPLをそれぞれ2.5、5、10(μM)添加したものを用意し、塩味増強具合を評価した。
【0074】
【表1】
【0075】
結果を表1に示す。なお、評価において「△」は塩味増強効果をほとんど感じず、PL由来の異味を感じる、「○」は塩味増強効果を感じるが、PL由来の異味を感じる、「◎」は十分な塩味増強効果を感じ、PLの異味は感じないことを示す。
【0076】
このことから、NaCl濃度80mMの食塩水に対し、PLを2.5−5μM添加すれば、十分な塩味増強効果が得られることが示唆された。
【0077】
(評価)
80mM NaCl溶液に5μM PLを添加したものと非添加のものを用いて、塩味、旨味、甘味、苦味、酸味、コクを5段階評価すると共に味が好ましいもの選択してもらった(n=12)。その結果を表2に示す。なお、「味の嗜好」の項目については、それぞれを「より好ましい」として選択した人数を示す。
結果、PL添加による有意な塩味向上効果を確認するともに、PL添加品の味のほうか好まれる傾向にあった。
【0078】
【表2】
【0079】
(3−2)旨味・コク増強効果
【0080】
(予備試験)
旨味・コクの増強効果を得るために必要なPLの添加量を確認するため、60mM NaClを含む市販の顆粒だし調味料溶液に対してPLをそれぞれ1、2.5、5(μM)添加しただしを用意し、旨味・コクの増強具合を評価した。
【0081】
【表3】
【0082】
結果を表3に示す。なお、評価において「△」は旨味・コクの増強効果をほとんど感じない、「○」は増強効果をわずかに感じるが不十分、「◎」は十分な旨味・コクの増強効果を感じたことを示す。
【0083】
このことから、60mM NaClを含む市販の顆粒だし調味料溶液に対してPLを5μM以上添加すれば、十分な旨味・コクの増強効果が得られることが示唆された。
【0084】
(評価)
60mM NaClを含む市販の顆粒だし調味料溶液に5μM PLを添加したものと非添加のものを用いて塩味、旨味、甘味、苦味、酸味、コクを5段階評価すると共に味が好ましいもの選択してもらった(n=10)。その結果を表4に示す。なお、「味の嗜好」の項目については、それぞれを「より好ましい」として選択した人数を示す。
結果、PL添加による有意な旨味、コク向上効果を確認するともに、PL添加品の味のほうか好まれる傾向にあった。
【0085】
【表4】
【0086】
(3−3)カリウム由来のえぐみ抑制効果
0.83%KCl入り減塩かけつゆ(NaCl濃度0.9%)と0.83%KCl入り減塩かけつゆ(NaCl濃度0.9%)5μM PL添加品に対する線尺度を用いて官能評価した。なお減塩かけつゆ(NaCl濃度0.9%)にKCl 0.83%またはNaCl 0.83%を添加したものをそれぞれ「減塩かけつゆ・えぐみあり」、「減塩かけつゆ・えぐみなし」とした。
【0087】
(評価)
線尺度を用いて官能評価を行った。全長15cmとして、「減塩かけつゆ・えぐみなし」を0cm、「減塩かけつゆ・えぐみあり」を15cmとして、評価者が思ったところにマークし、評価点の距離を0.1cm単位で比較した。(n=6)その結果を表5に示す。その結果から、PL添加品のほうが有意に減塩かけつゆ・えぐみなしに近かった。このことからPLはKCl由来のえぐみを抑えることが明らかになった。
【0088】
【表5】
【0089】
上記(2−2)結果から、PL10μMのものは、高いhTRPV1の活性化能を有していることがわかる。一方、上記(3−1)塩味増強効果の結果において、濃度80mMの食塩水に対してPL10μM添加したものは、塩味増強効果をほとんど感じない結果であった。このことから、条件によっては高いhTRPV1の活性化能を有する高濃度のPLであっても、必ずしも、より高い塩味増強効果を示すとは限らないことが言える。
【0090】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0091】
また、上記実施例では、市販の顆粒だし調味料溶液や減塩かけつゆに配合して官能評価を行ったが、漬物、佃煮、乾物、練り製品、粉類、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品(即席麺、ドライ・フーズ、粉末飲料等)、乳製品、菓子類、嗜好品、健康食品などの他の加工食品に配合してもよい。この場合にも、PLを他の加工食品に配合して官能評価を行っても、加工食品の種類及び味付けに応じた適切な配合量をくわえれば、同様に、嗜好性を向上させることについてできることが当業者には明らかである。